JP5966170B1 - 屋根融雪装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2は、勾配を有する折板屋根に設置され、太陽光を受けて積雪を融かす勾配屋根用雪止め装置を開示する。
特許文献3は、屋根材の直下に空気流路を形成し、屋根材で集熱される太陽熱および/またはボイラーや電気を用いた加熱装置で生じる熱で暖められた空気を空気流路に流すことで屋根材の上に積もった雪を融かす融雪方法を開示する。
特許文献2に記載の勾配屋根用雪止め装置を用いると、太陽熱を利用して積雪を融かすことができるが、勾配屋根用雪止め装置で集熱した熱は金属製の折板屋根で伝えざるを得ず、伝熱効率が悪い。
特許文献3に記載の融雪方法は、暖められた空気を空気流路に流すことによって屋根材全面に熱を伝える。しかし、特許文献3には空気流路の具体的な構造は記載されていない。また、特許文献3の融雪方法は、平らな屋根材上の雪に覆われず露出している部分で太陽光を受けるのみであり、太陽熱を効率的に集熱することができない。
屋根板金の下に傾斜方向に延びる空間を形成するのに適した構造を有する勾配屋根である折板屋根に適用される屋根融雪装置であって、
長手方向が前記折板屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含む雪止めと、
前記折板屋根の傾斜方向に延びる折板の凸部を用いて形成されており、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材で塞がれた前記傾斜方向に延びる空間であって、前記雪止めの下側における折板屋根の傾斜面で収集される太陽熱を空気により前記雪止めの上側の屋根板金に伝達する熱伝達空間と、
前記折板と同様の形状であり、前記折板に下方より密接する金属板および/または熱伝導シートと、
を備えることを特徴とする。
軒先における前記仕切り部材で塞がれた前記熱伝達空間の端部、または下方に向けて曲がった軒先で太陽熱を収集し、当該収集される太陽熱を前記熱伝達空間内の空気による熱伝導により前記屋根板金に伝達することを特徴とする。
屋根板金の下に傾斜方向に延びる空間を形成するのに適した構造を有する勾配屋根である垂木組み小屋根に適用される屋根融雪装置であって、
長手方向が前記垂木組み小屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含む雪止めと、
前記垂木組み小屋根の傾斜方向に延びる垂木を用いて形成されており、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材で塞がれた前記傾斜方向に延びる空間であって、前記雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面で収集される太陽熱を空気により前記雪止めの上側の屋根板金に伝達する熱伝達空間と、
を備えることを特徴とする。
前記熱伝達空間の内部において、前記屋根板金に下方より密接する金属板および/または熱伝導シートを有することを特徴とする。
軒先において下方に延びる鼻隠し板金を有し、
前記鼻隠し板金で収集される太陽熱を前記熱伝達空間内の空気による熱伝導と前記金属板および/または熱伝導シートによる熱伝導とにより前記屋根板金に伝達する、
ことを特徴とする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る屋根融雪装置100の構成の一例を示す。図2は、図1のA−A線断面図である。
屋根融雪装置100は、傾斜した折板屋根101の軒先に、金属製の折板を利用して形成される軒先融雪装置である。屋根融雪装置100は、太陽熱集熱軒先面戸102と、熱伝導部103と、雪止め104と、仕切り断熱面戸105と、断熱材106とを備える。なお、114は雨樋である。
太陽熱集熱軒先面戸102は、図4に示すように、太陽熱収熱板102Aと熱伝導板102Bとが一体として形成されており、例えば、熱伝導の良い金属板または板金に熱伝導シートを張り合わせた構造である。
折板の底部には断熱材106が敷かれる。太陽熱集熱軒先面戸102の熱伝導板102Bは折板の凸部の内側に底部の断熱材106に接触するように敷設される。
折板の凸部と断熱材106と太陽熱集熱軒先面戸102の太陽熱収熱板102Aと仕切り断熱面戸105とは、折板凸部の内部に熱伝達空間111を形成する。太陽熱収熱板102Aは軒先において熱伝達空間111を塞ぎ、仕切り断熱面戸105はその反対側で熱伝達空間111を塞ぐ。仕切り断熱面戸105は、断熱材で形成される。このように、熱伝達空間111は、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材(太陽熱収熱板102Aと仕切り断熱面戸105)で塞がれた傾斜方向に延びる空間である。
なお、折板屋根101の勾配が大きい場合、図2に示すように、角度Eをつけて折板屋根の軒先を切断すると、太陽光109を効率良く受けることができる。
また、図5に示すように、太陽熱の集熱を良くするために太陽熱集熱軒先面戸102の太陽熱収熱板102Aの表面に透明断熱板102Dを貼るか、またはその表面を選択吸収膜で塗装することができる。更に、太陽熱集熱軒先面戸102の熱伝導板102Bに溝102Cを設け、その中に電熱ケーブル115を敷設することができる。
太陽熱収熱板102Aと熱伝導板102Bの熱によって熱伝達空間111の中の空気の温度が上昇し、対流111Aが生じる。対流111Aにより運ばれる熱によって雪止め104を覆う積雪107が溶けると、雪止め104が太陽光109を受けるようになり、雪止め104が加熱され、雪止め104の背面の積雪108を融かす。太陽熱収熱板102Aの集熱する熱によって積雪107が更に溶けると、雪止め104の下側の折板の凸部側面が太陽光109を受けるようになり、加熱される。折板の凸部側面で集熱される熱は熱伝導部103によって熱伝達空間111の内部の空気に伝達され、熱伝達空間111内の空気の温度が更に上昇する。
熱伝達空間111内の暖められた空気は対流111Aによって運ばれ、雪止め104の上側の積雪108を融かす。
なお、雪止め104の下側の折板の凸部側面は本発明の雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面の一例である。
なお、太陽熱集熱軒先面戸102の熱伝導板102Bの溝102Cの中に電熱ケーブル115を敷設している場合、太陽光の強度が弱い地域または時間帯では、電熱ケーブル115に通電し、太陽熱の不足を電熱で補うことができる。
なお、上述した図1〜図5には、傾斜した折板屋根101の軒先に雨樋114が設置されている例を示したが、雨樋114を設けずに、熱伝導板102Bを軒先で曲げて下方に延長し、その下方に延びた部分を板金で覆うこととしてもよい。この構造とすることにより、この下方に延びた部分でも太陽熱を収集し、その太陽熱を熱伝達空間111内の空気に伝えることができる。
例えば、東経141度、北緯43度(札幌)では2月10日の南中時の太陽高度は32.5度である。南中時以外の午前および午後の太陽高度は32.5度以下である。
午前10時の太陽高度B1は27度である。折板の凸部側面の曲げ角度Rは60〜70度である。曲げ角度Rを65度とすると、午前10時の折板の凸部側面への太陽光の入射角度C1は、180度―27度−65度=88度である。図7に示すように、このとき、折板の凸部側面の日射有効強度はSIN C1=0.99であり、折板の凸部側面は日射の99%を受けることができる。
また、太陽が西側に移動した午後2時の太陽高度B2は25度である。午後2時の折板の凸部側面への太陽光の入射角度C2は、180度―25度−65度=90度である。図7に示すように、このとき、折板の凸部側面の日射有効強度はSIN C2=1.0であり、折板の凸部側面は日射を100%受けることができる。
因みに、屋根平面が受ける日射強度は午前10時にSIN B1=0.45であり、午後2時にSIN B2=0.42である。折板の凸部側面は、屋根平面の2倍以上の強度で日射を受けることができる。
外気温度112dは1日を通して0℃前後であった。太陽熱集熱軒先面戸102の温度102dは40℃近くになり、熱伝達空間111内の空気の温度111dは25℃、熱伝導板102Bの温度102Bdは20℃、折板屋根101の融雪面の温度101dは10℃まで上昇した。これにより、積雪108を融かすことができた。
折板屋根201は、軒先が下方に向けて曲がっている。屋根融雪装置200は、軒先曲げ加工部213を有する点が第1の実施形態に係る屋根融雪装置100と異なる。軒先曲げ加工部213の先端は、下方を向いており、軒先断熱面戸202で塞がれている。軒先断熱面戸202は、断熱材で形成される。
折板の底部に断熱材206が敷かれる点は第1の実施形態に係る屋根融雪装置100と同様であるが、断熱材206は軒先曲げ加工部213に対応する部分が下方に向けて曲がっている。
熱伝導板202Bは、熱伝導の良い金属板および/または熱伝導シートであり、軒先断熱面戸202と分離して形成されている。熱伝導板202Bも軒先曲げ加工部213に対応する部分が下方に向けて曲がっている。第1の実施形態に係る屋根融雪装置100と同様に、熱伝導板202Bも折板の凸部の内側に底部の断熱材206に接触するように敷設される。熱伝導板202Bには溝202Cが設けられており、その中に電熱ケーブル115が敷設される。
折板の凸部と断熱材206と軒先断熱面戸202と仕切り断熱面戸105とは、折板の凸部の内部に熱伝達空間111を形成する。第1の実施形態に係る屋根融雪装置100と同様に、屋根融雪装置200でも、熱伝達空間111は、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材(軒先断熱面戸202と仕切り断熱面戸105)で塞がれた傾斜方向に延びる空間である。
図11に示すように、雪止め104の下側に積雪107が存在し、その上側に積雪108が存在する場合でも、軒先曲げ加工部213の下方を向いた先端部分には雪が積もらない。このため、太陽光109が入射すると、軒先曲げ加工部213が太陽光109を受けて加熱される。これにより、熱伝達空間111の中の空気の温度が上昇し、対流111Aが生じる。そして、屋根融雪装置200は、第1の実施形態に係る屋根融雪装置100と同様の原理で積雪107と積雪108を融かす。
なお、雪止め104の下側の折板の凸部側面は本発明の雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面の一例である。
屋根融雪装置300は、第1の実施形態に係る折板屋根101または第2の実施形態に係る折板屋根201の傾斜部分の中ほどに設置される。屋根融雪装置300は、第1の実施形態に係る屋根融雪装置100または第2の実施形態に係る屋根融雪装置200と併用される。
折板凸部と断熱材306と仕切り断熱面戸305Aと仕切り断熱面戸305Bとは、折板凸部の内部に熱伝達空間111を形成する。一方の仕切り断熱面戸305Aは軒先側において熱伝達空間111を塞ぎ、他方の仕切り断熱面戸305Bはその反対側で熱伝達空間111を塞ぐ。仕切り断熱面戸305Aと仕切り断熱面戸305Bは、断熱材で形成される。第1の実施形態に係る屋根融雪装置100および第2の実施形態に係る屋根融雪装置200と同様に、屋根融雪装置300でも、熱伝達空間111は、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材(仕切り断熱面戸305Aと仕切り断熱面戸305B)で塞がれた傾斜方向に延びる空間である。
軒先に配置された屋根融雪装置100または屋根融雪装置200により軒先の融雪が進むと、図13に示すように、雪止め104の下側の積雪307が屋根傾斜の下側に滑落移動する。すると、雪止め104の下側の折板の凸部側面が太陽光109を受けて加熱される。これにより、熱伝達空間111の中の空気の温度が上昇し、対流111Aが生じる。
熱伝達空間111内の暖められた空気は対流111Aによって運ばれ、雪止め104の上側の積雪308を融かす。
なお、雪止め104の下側の折板の凸部側面は本発明の雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面の一例である。
屋根融雪装置400は、傾斜した垂木組み小屋根401の軒先に、その傾斜方向に延びる垂木を利用して形成される軒先融雪装置である。屋根融雪装置400は、熱伝導部403と、下地補強材403Bと、雪止め404と、断熱材406と、垂木412と、仕切り垂木412Bとを備える。下地補強材403Bは、熱伝導のよい金属またはアルミ製のエキスパンドメタルもしくは金属またはアルミ製のグレーチングメタルである。なお、414は屋根下地板である。
垂木組み小屋根401の屋根表面は金属板で構成される。垂木組み小屋根401は、下方に延びる鼻隠し板金401Bを軒先に有する。熱伝導部403は、熱伝導の良い金属板および/または熱伝導シート(例えば、カーボングラファイトシート)であり、垂木組み小屋根401の屋根表面の金属板の下に配置される。熱伝導部403は軒先で曲り、下方に延びる。その下方に延びた部分を鼻隠し板金401Bが覆う。
下地補強材403Bは、屋根の傾斜部分において熱伝導部403と屋根下地板414の間に配置される。
垂木412は、勾配屋根の傾斜方向に延び、屋根下地板414を支える。垂木412の底部には断熱材406が敷かれる。
熱伝導部403と、断熱材406と、垂木412と、仕切り垂木412Bとは、熱伝達空間411を形成する。仕切り垂木412Bは軒先の反対側で熱伝達空間411を塞ぐ。仕切り垂木412Bは、木製である。熱伝達空間411は、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材(軒先で下方に曲った熱伝導部403と仕切り垂木412B)で塞がれた傾斜方向に延びる空間である。
なお、熱伝導部403に溝403Aを設け、その中に電熱ケーブル415を敷設することができる。
また、熱伝導部403と下地補強材403Bの熱は熱伝達空間411の内部の空気に伝わる。熱伝達空間411の内部の空気の温度が上昇すると、対流411Aが生じる。対流411Aにより運ばれる熱によって更に、積雪407が溶ける。
雪止め404を覆う積雪407が溶けると、雪止め404が太陽光109を受けるようになり、雪止め404が加熱され、雪止め404の背面の積雪408を融かす。また、積雪407が更に溶けると、雪止め404の下側において垂木組み小屋根401の傾斜面が露出して太陽光を受けるようになり、熱伝導部403、下地補強材403B、および熱伝達空間411の内部の空気は更に加熱される。
熱伝導部403、下地補強材403B、および対流411Aによって伝達される熱は、雪止め404の上側の積雪108を融かす。
なお、雪止め404の下側の垂木組み小屋根401の傾斜面は本発明の雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面の一例である。
なお、熱伝導部403の溝403Aの中に電熱ケーブル415を敷設している場合、太陽光の強度が弱い地域または時間帯では、電熱ケーブル415に通電し、太陽熱の不足を電熱で補うことができる。
熱伝達空間の高さと幅がそれぞれ2〜3cmと小さいと、対流が生じにくい。しかし、上述した実施形態に記載したように、折板屋根の折板や垂木組み小屋根の垂木を利用して熱伝達空間を形成すれば、熱伝達空間の高さと幅を例えばそれぞれ少なくとも5cmとすることができる。このように熱伝達空間の高さと幅が大きいと、対流が生じやすくなり、その結果、熱の移動が大きくなって、屋根板金に太陽熱を効率よく伝えることができる。
更に、熱伝達空間を囲む面を構成する屋根板金に密接する金属板および/または熱伝導シートを設けることにより、太陽熱を屋根板金に更に効率よく伝えることができる。
Claims (5)
- 屋根板金の下に傾斜方向に延びる空間を形成するのに適した構造を有する勾配屋根である折板屋根に適用される屋根融雪装置であって、
長手方向が前記折板屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含む雪止めと、
前記折板屋根の傾斜方向に延びる折板の凸部を用いて形成されており、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材で塞がれた前記傾斜方向に延びる空間であって、前記雪止めの下側における折板屋根の傾斜面で収集される太陽熱を空気により前記雪止めの上側の屋根板金に伝達する熱伝達空間と、
前記折板と同様の形状であり、前記折板に下方より密接する金属板および/または熱伝導シートと、
を備えることを特徴とする屋根融雪装置。 - 軒先における前記仕切り部材で塞がれた前記熱伝達空間の端部、または下方に向けて曲がった軒先で太陽熱を収集し、当該収集される太陽熱を前記熱伝達空間内の空気による熱伝導により前記屋根板金に伝達することを特徴とする請求項1に記載の屋根融雪装置。
- 屋根板金の下に傾斜方向に延びる空間を形成するのに適した構造を有する勾配屋根である垂木組み小屋根に適用される屋根融雪装置であって、
長手方向が前記垂木組み小屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含む雪止めと、
前記垂木組み小屋根の傾斜方向に延びる垂木を用いて形成されており、底面に断熱材が配置され、かつ、傾斜方向における両端部が仕切り部材で塞がれた前記傾斜方向に延びる空間であって、前記雪止めの下側における勾配屋根の傾斜面で収集される太陽熱を空気により前記雪止めの上側の屋根板金に伝達する熱伝達空間と、
を備えることを特徴とする屋根融雪装置。 - 前記熱伝達空間の内部において、前記屋根板金に下方より密接する金属板および/または熱伝導シートを有することを特徴とする請求項3に記載の屋根融雪装置。
- 軒先において下方に延びる鼻隠し板金を有し、
前記鼻隠し板金で収集される太陽熱を前記熱伝達空間内の空気による熱伝導と前記金属板および/または熱伝導シートによる熱伝導とにより前記屋根板金に伝達する、
ことを特徴とする請求項4に記載の屋根融雪装置。
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