JP2016056262A - イソシアヌレート−オキサゾリドン樹脂用原料組成物およびイソシアヌレート−オキサゾリドン樹脂 - Google Patents

イソシアヌレート−オキサゾリドン樹脂用原料組成物およびイソシアヌレート−オキサゾリドン樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】長期耐熱試験後に力学試験特性が著しく低下することがないイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂を提供する。
【解決手段】芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)、イミダゾール化合物(D)を含み、芳香族イソシアネート(A)と脂肪族イソシアネート(B)の重量比(A):(B)が90:10〜50:50の範囲にあり、かつ芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネート基(I)に対するエポキシ樹脂(C)中のエポキシ基(E)とのモル比(I/E)が2.5〜15の範囲にあるイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物と、これを加熱硬化して得られるガラス転移温度が250℃以上の高耐熱性を有しかつ200℃以上の高温環境下での長期耐熱性に優れるイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂である。
【選択図】なし

Description

本発明は、長期耐熱性に優れたイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(以下、ISOX樹脂とも云う)およびISOX樹脂用原料組成物に関する。
イソシアネート、エポキシ樹脂および触媒としてのイミダゾール化合物から成る組成物を加熱硬化することでISOX樹脂が得られることは、特許文献1に記載されている。また、イソシアネートとして4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、イミダゾール化合物として2-エチル-4-メチルイミダゾールを用いたISOX樹脂用原料組成物は特許文献2の中に例示されている。また、特許文献3には脂肪族ジイソシアネートを使用したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が開示されている。更に、非特許文献1には、イミダゾール・エポキシド・水共触媒系でのフェニルイソシアナートの三量化反応が起こり、トリフェニルイソシアヌラートを生成することが開示されている。
特開昭51−111898号公報 特開昭60−69121号公報 特開2002−308965号公報
小山徹,奈良原俊和;日本化学会誌,1986,[12] ,1758(1986)
しかしながら、従来のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(ISOX樹脂)は、高いTgを有するという点の耐熱性には優れるものの、200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの力学特性の低下が激しく、すなわち長期耐熱性という点で課題があった。
本発明者は、上記の課題を解決するために研究を行った結果、下記式(1)で示される芳香族イソシアネート(A)、下記式(2)で示される脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)、およびイミダゾール化合物(D)を含み、芳香族イソシアネート(A)と脂肪族イソシアネート(B)との重量比(A):(B)が90:10〜50:50の範囲にあり、かつ芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネート基(I)とエポキシ樹脂(C)中のエポキシ基(E)とのモル比(I/E)が2.5〜15.0の範囲にあることを特徴とするイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(ISOX樹脂)用原料組成物を調製し、それを加熱硬化して得られるイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(ISOX樹脂)は、250 ℃以上の高Tgかつ200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの力学特性の低下が極めて少ないことを見いだし、本発明を完成させた。
Figure 2016056262
ここで、R1はa価の芳香族基を表し、aは2〜10の数である。
Figure 2016056262
ここで、R2はb価の脂肪族基を表し、bは2〜10の数である。
すなわち本発明は、以下の内容を含む。
[1] 上記式(1)で示される芳香族イソシアネート(A)、上記式(2)で示される脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)、およびイミダゾール化合物(D)を含み、芳香族イソシアネート(A)と脂肪族イソシアネート(B)との重量比(A):(B)が90:10〜50:50の範囲にあり、かつ芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネートイソシアネート基(I)とエポキシ樹脂(C)中のエポキシ基(E)とのモル比(I/E)が2.5〜15の範囲にあることを特徴とするイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(ISOX樹脂)用原料組成物、
[2] 芳香族イソシアネート(A)が、上記式(1)において、R1が下記式(3)に示される芳香族基のいずれかである上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
Figure 2016056262
ここで、n1は0〜10の数である。
[3] 脂肪族イソシアネート(B)が、上記式(2)において、R2が下記式(4)に示される脂肪族基のいずれかである上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
Figure 2016056262
[4] 芳香族イソシアネート(A)が下記式(5)で示される4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(A-1)、脂肪族イソシアネート(B)が下記式(6)で示されるキシリレンジイソシアネートである上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
Figure 2016056262
Figure 2016056262
[5] エポキシ樹脂(C)が下記式(7)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(C-1)または下記式(8)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(C-2)である上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
Figure 2016056262
ここで、n9は0〜10の数である。
Figure 2016056262
ここで、n10は0〜10の数である。
[6] イミダゾール化合物(D)が下記式(9)で示される1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(D-1)である上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
Figure 2016056262
[7] エポキシ樹脂(C-1)のn9が0である成分(n9=0体)またはエポキシ樹脂(C-2)のn10が0である成分(n10=0体)の濃度が、95重量%以上である上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物、
[8] 上記[1]に記載のISOX樹脂用原料組成物を加熱硬化させて得られるISOX樹脂、
[9] ガラス転移温度(Tg)が250℃以上、曲げ試験の破断強度と破断歪が各々、30MPa以上、1.2%以上であり、かつ200℃以上の高温環境下で長時間暴露した後の曲げ試験の破断強度と破断歪が各々、50MPa以上、0.9%以上である上記[8]に記載のISOX樹脂。
なお、本発明に係るイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂(ISOX樹脂)は、イソシアヌレート環およびオキサゾリドン環の二種の環構造が任意に結合してなる樹脂であり、例えば、下記式(10)で示されるものである。
Figure 2016056262
ここで、R、R3は、芳香族基または脂肪族基を表す。
オキサゾリドン環はエポキシ樹脂が無いと形成されないので、イソシアヌレート環とオキサゾリドン環の生成比率は、基本的にI/E比に依存する。
上記式(10)は、原料の芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)及びエポキシ樹脂(C)として、2官能イソシアネート及び2官能エポキシ樹脂を使用した場合の例である。ここで、R3はエポキシ樹脂に由来し、Rはイソシアネートに由来する。式(10)から理解されるようにオキサゾリドン環とイソシアヌレート環の割合は、I/E比に関係する。原料として、いずれも2官能化合物を使用した場合、I/E比が1のときは全部がオキサゾリドン環になると計算される。イソシアヌレート環を生成するためには、3つのイソシアネート基を必要とするが、I/E比が2.5〜15の範囲であれば、オキサゾリドン環が生成すると同時に過剰のイソシアネートからイソシアヌレート環が生成すると計算される。
原料として、1官能化合物を使用することもできるが、全部が1官能化合物であると重合が進まず、樹脂とはならないので、少なくとも1種は2官能以上の多官能化合物を使用する。しかし、3官能以上の化合物が多いと、架橋が発達しすぎるという問題が生じる。適当な鎖長で、適当な架橋度とするためには、イソシアネート及びエポキシ樹脂の両方が、2官能の化合物を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含み、一分子当たりの平均の官能数を1.8〜2.2の範囲とすることがよい。2官能の化合物を主とし、1官能化合物又は3官能以上の化合物は、これらの物性を調整するために配合することがよい。
本発明のISOX樹脂用原料組成物およびそれを加熱硬化して得られるISOX樹脂は、250 ℃以上の高Tgかつ200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの力学特性の低下が極めて少ない。そのため、安定した高品質の高耐熱性樹脂として高温環境下で長期間暴露されるような複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各長期耐熱用途へ提供することが可能となる。
本発明の芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)からなるISOX樹脂用原料組成物を加熱硬化させた場合、芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネート基がイミダゾール化合物(D) と反応して(A+D)、(B+D)または(A+B+D)のイソシアネートとイミダゾールとの付加体を形成し、またエポキシ樹脂(C)のエポキシ基がイミダゾール化合物(D) と反応して(C+D)のエポキシとイミダゾールとの付加体を形成し、それらの触媒作用によって3つのイソシアネートが反応して強度、耐熱性に優るイソシアヌレート環化構造を有する熱硬化物が生成する、と考えられる。一方、芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)のイソシアネート基とエポキシ樹脂(C)のエポキシ基との反応によってイソシアヌレート環化構造よりも剛直性、耐熱性に劣るオキサゾリドン環化構造を有する熱硬化物も生成する、と考えられる。したがって、I/Eが大きくなる程、すなわち(A)および(B)の配合率が高くなる程、イソシアヌレート環化構造がオキサゾリドン環化構造に比べて多く生成し、硬化物の強度、剛直性および耐熱性は増大する。なお、エポキシ樹脂(C)を配合しないと、上記の触媒作用が働かず硬化が進行しないので、オキサゾリドン環がなくイソシアヌレート環のみの硬化物は得られず、またオキサゾリドン環が存在することによって、靱性の点で好ましい。
反対に、I/Eが小さくなる程、すなわちエポキシ樹脂(C)に対する芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)の配合率が低くなる程、生成するイソシアヌレート環化構造がオキサゾリドン環化構造に比べて少なくなり、硬化物の強度、剛直性および耐熱性は減少する。特に、I/Eが2.5より少なくなると硬化物は、Tg≧250 ℃の耐熱性を得ることが困難になる他、強度低下で形状を保持できず成形体を調製できなくなる。また、I/Eが15.0より大きくなると硬化物の剛直性が過大になると同時に脆性が著しく増大して硬化物のISOX樹脂に欠け割れ等が発生して目的形状を得ることが困難になる。したがって、I/Eは2.5〜15.0の範囲となる。
本発明に用いられる芳香族イソシアネート(A)としては、ISOX樹脂の架橋構造を発達させるために二官能以上である必要があり、例えば、上記式(5)で示される4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(A-1)、下記式(11)で示されるポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(A-2)、下記式(12)で示されるトルエンジイソシアネート(A-3)、下記式(13)で示される4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートのポリプロピレングリコール付加体(A-4)、下記式(14)で示されるナフタレンジイシシアネート(A-5)などが例示できるが、反応性および安全性の点や価格の点から、(A-1)および(A-2)が好ましい。
Figure 2016056262
ここで、n11は0〜10の数である。
Figure 2016056262
Figure 2016056262
ここで、n12は0〜10の数である。
Figure 2016056262
この芳香族イソシアネート(A)のイソシアネート当量は、通常50〜300の範囲であるが、ISOX樹脂の生産性および長期耐熱性の観点から、90〜150の範囲のものが好ましい。本発明のISOX樹脂用原料組成物において、芳香族イソシアネート(A)の配合割合は、30〜80wt%、好ましくは45〜75wt%である。多くなり過ぎると、ISOX樹脂を製造できず、少な過ぎると、長期耐熱性が低下してくる。
本発明に用いられる脂肪族イソシアネート(B)としては、芳香族イソシアネート(A)と同様にISOX樹脂の架橋構造を発達させるために二官能以上である必要があり、例えば、上記式(6)で示されるキシリレンジイソシアネート(B-1)、下記式(15)で示される水素化キシリレンジイソシアネート(B-2)、下記式(16)で示されるイソホロンジイソシアネート(B-3)などが例示できるが、反応性および耐熱性の点から(B-1)が好ましい。
Figure 2016056262
Figure 2016056262
この脂肪族イソシアネート(B)のイソシアネート当量は、通常50〜300の範囲であるが、ISOX樹脂の生産性および長期耐熱性の観点から、90〜150の範囲のものが好ましい。本発明のISOX樹脂用原料組成物において、脂肪族イソシアネート(B)の配合割合は、5〜50wt%、好ましくは10〜40wt%である。多くなり過ぎると、長期耐熱性が低下する傾向となり、少な過ぎると、ISOX樹脂を製造することが困難になる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂(C)としては、上記式(7)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(C-1)、上記式(8)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(C-2)、下記式(17)で示されるビスフェノールS型エポキシ樹脂(C-3)、下記式(18)で示されるナフタレン系エポキシ樹脂(C-4)、下記式(19)で示されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(C-5)、下記式(19)で示されるフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(C-6)、下記式(21)で示されるアミノフェノール型エポキシ樹脂(C-7)、下記式(22)で示されるジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂(C-8)など各種のエポキシ樹脂が例示できるが、反応性および加工性の点や価格の点から(C-1)および(C-2)が好ましい。
Figure 2016056262
ここで、n13は0〜10の数である。
Figure 2016056262
Figure 2016056262
ここで、n14は0〜10の数である。
Figure 2016056262
ここで、n15は0〜10の数である。
Figure 2016056262
Figure 2016056262
このエポキシ樹脂(C)は、所望のISOX樹脂のイソシアヌレート環化構造およびオキサゾリドン環化構造を生成するために必須の成分であり、そのエポキシ当量は、通常100〜1000の範囲であるが、イソシアヌレート環化構造およびオキサゾリドン環化構造を適切な割合で生成するために、150〜300の範囲のものが好ましい。本発明のISOX樹脂用原料組成物において、エポキシ樹脂(C)の配合割合は、5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%である。多くなり過ぎると、オキサゾリドン環化構造を生成し過ぎて長期耐熱性が低下する傾向となり、少な過ぎると、オキサゾリドン環化構造が少ないか形成しなくなり靱性の点で好ましくない。
本発明に用いられる上記式(4)で示されるイミダゾール化合物(D)としては、常温で液状のものが好ましく、上記式(9)で示される1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(D-1)、下記式(23)で示される2-エチル-4-メチルイミダゾール(D-2)、下記式(24)で示される1,2-ジメチルイミダゾール(D-3)、下記式(25)で示される1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール(D-4)などが例示できるが、反応性と安定性の点から(D-1)が好ましい。
Figure 2016056262
Figure 2016056262
Figure 2016056262
このイミダゾール化合物(D)の添加量は、0.1〜5wt%、好ましくは0.5〜2wt%である。少な過ぎると、触媒作用を十分に発揮できず所望のイソシアヌレート環化構造を形成できなくなる一方、多過ぎると、硬化物の強度等の低下をもたらす。
本発明で用いられる上記式(1)で示される芳香族イソシアネート(A)、上記式(2)で示される脂肪族イソシアネート(B)の重量比は、(A):(B)=90:10〜50:50の範囲である。(A)の(B)に対する重量比が90より大きいと、硬化物であるISOX樹脂が白濁しクラックが発生する問題や長期耐熱性が著しく劣化する問題が生じる。また、(A)の(B)に対する重量比が50より小さいと、長期耐熱性が著しく劣化する問題が生じる。これら芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートの重量比(A):(B)について、より好ましくは(A):(B)=90:10〜60:40、さらに好ましくは(A):(B)=90:10〜70:30である。
本発明において、芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネート基(I)とエポキシ樹脂(C)中のエポキシ基(E)のモル比(I/E)は、上述したとおり、2.5〜15.0の範囲である。I/Eが15.0より大きいと硬化性が著しく低下してISOX樹脂成形体が得られない。I/Eが2.5より小さいと硬化物構造の剛直性が低下してISOX樹脂の十分な長期耐熱性が確保できない。I/Eについて、より好ましくは3.0〜7.0、さらに好ましくは5.0〜7.0の範囲である。
本発明のISOX樹脂原料組成物においては、上記成分(A)、(B)、(C)および(D)の他に、必要に応じて、離型剤、カップリング剤、充填材、その他を適宜配合することができる。
本発明のISOX樹脂原料組成物は、加熱硬化させることにより、硬化成形物としてのISOX樹脂を得ることができる。加熱硬化条件に関して、加熱温度は150℃〜200℃、加熱時間は0.5〜1.5時間である。さらに成形後にポストキュアすることが好ましく、ポストキュア温度は250℃〜300℃、ポストキュア時間は1〜3時間であることが望ましい。加熱硬化、ポストキュアを、各々、数段階に分けて行ってもよい。
本発明のISOX樹脂用原料組成物を加熱硬化して得られる硬化成形物としてのISOX樹脂は、上述した構造式(10)で表される通り、イソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造を保有する。この場合、本発明で製造されるISOX樹脂は、従来のISOX樹脂とは、イソシアヌレート環同志、オキサゾリドン環同志またはイソシアヌレート環とオキサゾリドン環とをつなぐ構造であるR1、R2の比率が異なる。即ち、本発明ISOX樹脂におけるR1とR2の比率は、原料組成物の芳香族イソシアネート(A)(R1含有)と脂肪族イソシアネート(B)(R2含有)の比率を規定することに連動して、特定範囲になる。
このISOX樹脂は、優れたガラス転移温度(Tg)を有しており、250℃以上、好ましくは280℃以上である。また、曲げ試験における破断強度30MPa以上、破断歪1.2%以上であり、貯蔵弾性率や加熱重量減少温度も高い。さらに、200℃以上の高温環境下で6,000時間にも及ぶ長時間の暴露においても、上記各物性(弾性率、破断強度、破断歪、貯蔵弾性率、加熱重量減少)の低下が極めて少ない材料を提供できる。
特に、高温長時間の暴露後において、従来材料では、破断強度が初期に比べて半分以下に低下していたが、本発明の硬化物では、初期と同等を維持するか、むしろ初期に比べて向上するという優れた長期耐熱性を発揮する。
次に、実施例で本発明を具体的に説明する。実施例中に示したISOX樹脂用原料組成物および硬化物について、硬化物の構造および特性の評価方法は、次の通りである。
(1)イソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造形成確認;
FT-IR測定により、イソシアヌレートのカルボニル基の伸縮振動に帰属される1710 cm-1およびオキサゾリドンのカルボニル基の伸縮振動に帰属される1760 cm-1に吸収ピークが認められるか否かで判断した。
(2)曲げ試験による弾性率[GPa]、破断強度[MPa]、および破断歪[%];
曲げ試験は、通常の三点曲げ試験により行い、各物性を測定した。
(3)動的粘弾性測定による貯蔵弾性率(以後、E'と記載する)およびガラス転移温度(以後、Tgと記載する)[℃];
周波数10Hz、昇温速度2℃/分の条件下、動的粘弾性測定(以後、DMAと記載する)を行い、ガラス転移温度(Tg)は、DMAで得た硬化物の温度分散損失正接曲線のピーク温度とした。
(4)1, 5, 10重量%加熱重量減少温度(以後、Td1, Td5, Td10と各々記載する )
[℃];
昇温速度10 ℃/分、空気気流下、TG-DTA装置を用いて測定した硬化物の加熱重量変化曲線において150 ℃での重量を基準とし、1, 5, 10各重量%減少した温度とした。
実施例1
芳香族イソシアネート(A)として4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(A-1)(三井化学(株)製コスモネートPH)71.1g、脂肪族イソシアネート(B)としてキシリレンジイソシアネート(B-1)(三井化学(株)製タケネート500)7.9g、エポキシ樹脂(C)としてエポキシ当量186g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(C-1-1)(新日鉄住金化学(株)製エポトートYD-128)20.0g、イミダゾール化合物(D)として 1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(D-1)(四国化成工業(株)製キュアゾール1B2PZ)1.0gを各々300mlディスポカップに採り、ステンレス製へラでよく攪拌混合し、(A):(B)重量比=90:10、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比= 6.1のISOX樹脂原料組成物100gを調製した。次に、同組成物を真空デシケーター中で室温下、3時間の真空脱泡を行った。次に、縦×横×厚さ=140×10×4mmのスペース6箇所を有する金型へ前記真空脱泡済みISOX樹脂原料組成物を注型し熱風オーブン中、150 ℃で0.5時間、200℃で0.5時間、270℃で3時間の条件で熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
次に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中で、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、2.91(初期値)から3.72(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、36.7(初期値)から80.1(高温暴露試験後)へと変化した。同破断歪(%)は、1.22(初期値)から2.39(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa) は、1.61(初期値)から1.40(高温暴露試験後)と変化した。220℃でのE'は、1.30(初期値)から1.19(高温暴露試験後)と変化した。
またTg(tan δピーク温度)は、320℃(初期値)から297℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=315℃(初期値)から313℃(高温暴露試験後)、Td5=351℃(初期値)から370℃(高温暴露試験後)、Td10=378℃(初期値)から400℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例2
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.3のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、2.83(初期値)から3.61(高温暴露試験後)へ変化した。同破断強度(MPa)は、40.2(初期値)から118.1(高温暴露試験後)へ変化した。同破断歪(%)は、1.37(初期値)から3.73(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.51(初期値)から1.25(高温暴露試験後)へ変化し、220℃でのE'は、1.28(初期値)から1.13(高温暴露試験後)へと変化した。同Tg(tan δピーク温度)は、317℃(初期値)から282℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=308℃(初期値)から305℃(高温暴露試験後)、Td5=347℃(初期値)から363℃(高温暴露試験後)、Td10=374℃(初期値)から392℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例3
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=60:40、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比= 6.7のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.20(初期値)から3.82(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、57.0(初期値)から82.4(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.78(初期値)から2.15(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.48(初期値)から1.53(高温暴露試験後)、220℃でのE'は、1.26(初期値)から1.23(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、305℃(初期値)から286℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=301℃(初期値)から317℃(高温暴露試験後)、Td5=340℃(初期値)から368℃(高温暴露試験後)、Td10=369℃(初期値)から394℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例4
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=50:50、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.8のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.17(初期値)から3.76(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、75.7(初期値)から61.2(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.46(初期値)から1.59(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.49(初期値)から1.53(高温暴露試験後)、220℃でのE'は、1.27(初期値)から1.28(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、297℃(初期値)から281℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=298℃(初期値)から310℃(高温暴露試験後)、Td5=339℃(初期値)から365℃(高温暴露試験後)、Td10=372℃(初期値)から393℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例5
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=10.0 wt.%、I/E比=14.1のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、2.76(初期値)から3.43(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、28.9(初期値)から91.8(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.01(初期値)から3.51(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.42(初期値)から1.53(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.36(初期値)から1.23(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、333℃(初期値)から302℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=290℃(初期値)から289℃(高温暴露試験後)、Td5=340℃(初期値)から351℃(高温暴露試験後)、Td10=382℃(初期値)から391℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例6
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=30.0 wt.%、I/E比=3.6のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、2.69(初期値)から3.40(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、37.9(初期値)から137.0(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.03(初期値)から4.63(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による貯蔵弾性率E'(GPa) at 40℃は、1.23(初期値)から1.28(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、0.64(初期値)から0.36(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、291℃(初期値)から251℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=261℃(初期値)から258℃(高温暴露試験後)、Td5=311℃(初期値)から322℃(高温暴露試験後)、Td10=354℃(初期値)から360℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
比較例1
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、脂肪族イソシアネート(B)は使用せず、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=100:0、(C)配合率=30.0 wt.%、I/E比=5.9のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得たが、得られたISOX樹脂には結晶性と思われる白濁と多数のクラックが認められ試験片に用いることはできなかった。
比較例2
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=40:60、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=7.0のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.14(初期値)から3.70(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、94.4(初期値)から40.0(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、3.14(初期値)から1.03(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例3
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=20:80、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=7.4のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.33(初期値)から4.03(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、73.9(初期値)から30.5(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.09(初期値)から0.72(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例4
実施例1に記載したものと同じ脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、芳香族イソシアネート(A)は使用せず、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=0:100、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=7.8のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第1表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、2.71(初期値)から3.01(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、54.5(初期値)から16.1(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.98(初期値)から0.43(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例5
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、イミダゾール化合物(D)を使用し、エポキシ樹脂(C)を使用しない第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=0 wt.%、I/E比=∞ のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化して硬化物を得た。同様のFT-IR測定により1710 cm-1の吸収からイソシアヌレート環構造の生成は確認したが、1760 cm-1の吸収はなくオキサゾリドン環構造の生成は確認できなかった。得られた硬化物には多数のクラックが認められ、試験片として用いることはできなかった。
比較例6
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第1表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=40 wt.%、I/E比=2.3のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得たが、得られたISOX樹脂には多数のクラックが認められ、試験片として用いることはできなかった。
Figure 2016056262
実施例1〜6(第1表)は、高温暴露試験(220℃で6000時間)後において、各物性(弾性率、破断強度、破断歪、貯蔵弾性率、加熱重量減少)の低下が極めて少ない。特に、高温長時間の暴露後において、比較例では、破断強度が初期に比べて半分以下に低下しているが、実施例の硬化物では、初期と同等を維持するか、むしろ初期に比べて向上するという優れた長期耐熱性を発揮している。これは、実施例材料は、高温暴露試験中においても、硬化が進行し(揮発分除去も含む)、劣化とのバランスを維持できていると考えられる。
次に、エポキシ樹脂(C)として、高純度の蒸留品を使用した実施例および比較例を示す。
実施例7
実施例1に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、およびイミダゾール化合物(D)を使用し、エポキシ樹脂(C)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂蒸留品(新日鉄住金化学(株)製エポトートYD-8125、式(7)のn9=0体純度98 wt.%)を使用して、
第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=90:10、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=5.6のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.65(初期値)から4.79(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、51.2(初期値)から67.2(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.39(初期値)から1.43(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.29(初期値)から1.27(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.21(初期値)から1.13(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、329℃(初期値)から292℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=311℃(初期値)から241℃(高温暴露試験後)、Td5=348℃(初期値)から308℃(高温暴露試験後)、Td10=377℃(初期値)から385℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例8
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=90:10、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=5.8のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.65(初期値)から4.79(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、51.2(初期値)から67.2(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.39(初期値)から1.43(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.29(初期値)から1.27(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.21(初期値)から1.13(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、329℃(初期値)から292℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=311℃(初期値)から241℃(高温暴露試験後)、Td5=348℃(初期値)から308℃(高温暴露試験後)、Td10=377℃(初期値)から385℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例9
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=60:40、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.2のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、4.04(初期値)から4.09(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、74.6(初期値)から55.5(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.83(初期値)から1.16(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.88(初期値)から1.65(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.53(初期値)から1.27(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、315℃(初期値)から296℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=301℃(初期値)から308℃(高温暴露試験後)、Td5=345℃(初期値)から361℃(高温暴露試験後)、Td10=374℃(初期値)から386℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例10
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=50:50、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.3のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、4.09(初期値)から4.35(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、92.7(初期値)から44.1(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.33(初期値)から0.91(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.81(初期値)から1.61(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.51(初期値)から1.34(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、288℃(初期値)から343℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=302℃(初期値)から311℃(高温暴露試験後)、Td5=361℃(初期値)から349℃(高温暴露試験後)、Td10=378℃(初期値)から390℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例11
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=10.0 wt.%、I/E比=13.1のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.47(初期値)から4.44(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、46.7(初期値)から66.0(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.33(初期値)から1.75(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.42(初期値)から0.85(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、1.42(初期値)から1.36(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、343℃(初期値)から310℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=311℃(初期値)から328℃(高温暴露試験後)、Td5=349℃(初期値)から363℃(高温暴露試験後)、Td10=381℃(初期値)から394℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
実施例12
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=30.0 wt.%、I/E比=3.4のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に比較記載した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.39(初期値)から4.40(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、46.5(初期値)から98.7(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、1.36(初期値)から2.31(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。DMA測定による40℃での貯蔵弾性率E'(GPa)は、1.23(初期値)から1.52(高温暴露試験後)、 220℃でのE’は、0.67(初期値)から0.39(高温暴露試験後)、同Tg(tan δピーク温度)は、300℃(初期値)から246℃(高温暴露試験後)で若干の低下に止まった。特にTgは長期高温暴露後も耐熱性の目安とした250℃を大きく上回っており、長期耐熱性は優れていた。TG-DTA測定によるTd1、Td5、Td10は各々、Td1=280℃(初期値)から292℃(高温暴露試験後)、Td5=319℃(初期値)から333℃(高温暴露試験後)、Td10=353℃(初期値)から363℃(高温暴露試験後)となり優れた長期耐熱性を確認した。
比較例7
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、脂肪族イソシアネート(B)を使用せずに第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=100:0、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=5.4のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.73(初期値)から4.78(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、37.5(初期値)から47.0(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、0.97(初期値)から0.95(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例8
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=40:60、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.5のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、4.13(初期値)から4.00(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、110.7(初期値)から32.7(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.82(初期値)から0.66(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例9
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用して、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=20:80、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=6.9のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、3.39(初期値)から3.98(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、69.3(初期値)から35.3(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.04(初期値)から0.85(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例10
実施例7に記載したものと同じ脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、芳香族イソシアネート(A)を使用せずに第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=0:100、(C)配合率=20.0 wt.%、I/E比=7.2のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得た。
同様に、得られたISOX樹脂をギアオーブン中、220℃、6000時間の高温暴露試験に供した。高温暴露試験前後のISOX樹脂の特性を第2表に併記した。曲げ試験の弾性率(GPa)は、4.23(初期値)から4.98(高温暴露試験後)、同破断強度(MPa)は、98.0(初期値)から31.6(高温暴露試験後)、同破断歪(%)は、2.32(初期値)から0.60(高温暴露試験後)となり長期耐熱性は不十分であった。
比較例11
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、イミダゾール化合物(D)を使用し、エポキシ樹脂(C)を使用しない第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=0 wt.%、I/E比=∞ のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化して硬化物を得た。同様のFT-IR測定により1710 cm-1の吸収からイソシアヌレート環構造の生成は確認したが、1760 cm-1の吸収はなくオキサゾリドン環構造の生成は確認できなかった。得られた硬化物には多数のクラックが認められ、試験片として用いることはできなかった。
比較例12
実施例7に記載したものと同じ芳香族イソシアネート(A)、脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)およびイミダゾール化合物(D)を使用し、第2表記載の組成で実施例1と同じ条件手順で、(A):(B)重量比=80:20、(C)配合率=40 wt.%、I/E比=2.2のISOX樹脂原料組成物100gを調製後、熱硬化し、FT-IR測定による1710 cm-1および1760 cm-1の各吸収の存在からイソシアヌレート環構造およびオキサゾリドン環構造の生成を各々確認し、ISOX樹脂を得たが、得られたISOX樹脂には多数のクラックが認められ、試験片として用いることはできなかった。
Figure 2016056262
エポキシ樹脂(C)として、高純度の蒸留品を使用した実施例7〜12(第2表)は、暴露前(初期)の曲げ試験の破断強度および破断伸度がより高い値を示し、かつ硬化物の外観について、表面にピンホールや荒れが全く無く、より良好である。これは、高純度品は、2級水酸基がないことから、耐熱性に劣るウレタン結合生成がなく、熱硬化時のウレタン結合の分解等が生じないためと考えられる。
以上説明したように、本発明のISOX樹脂用原料組成物およびISOX樹脂は、ガラス転移温度250℃以上の耐熱性と200℃以上の高温環境下での長期耐熱性が要求される複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各分野への利用が期待される。特に、航空機の構造材料、燃料電池自動車の水素タンク、風力発電の羽根などで使用される強化繊維プラスチック材料(CFRP)としての応用が期待される。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で示される芳香族イソシアネート(A)、下記式(2)で示される脂肪族イソシアネート(B)、エポキシ樹脂(C)、およびイミダゾール化合物(D)を含み、芳香族イソシアネート(A)と脂肪族イソシアネート(B)との重量比(A):(B)が90:10〜50:50の範囲にあり、かつ芳香族イソシアネート(A)および脂肪族イソシアネート(B)中のイソシアネート基(I)とエポキシ樹脂(C)中のエポキシ基(E)とのモル比(I/E)が2.5〜15の範囲にあることを特徴とするイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
    ここで、R1はa価の芳香族基を表し、aは2〜10の数である。
    Figure 2016056262
    ここで、R2はb価の脂肪族基を表し、bは2〜10の数である。
  2. 芳香族イソシアネート(A)が、上記式(1)において、R1が下記式(3)に示される芳香族基のいずれかである請求項1記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
    ここで、n1は0〜10の数である。
  3. 脂肪族イソシアネート(B)が、上記式(2)において、R2が下記式(4)に示される脂肪族基のいずれかである請求項1記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
  4. 芳香族イソシアネート(A)が下記式(5)で示される4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(A-1)、脂肪族イソシアネート(B) が下記式(6)で示されるキシリレンジイソシアネート(B-1)である請求項1記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
    Figure 2016056262
  5. エポキシ樹脂(C)が下記式(7)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(C-1)または下記式(8)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(C-2)である請求項1記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
    Figure 2016056262
  6. イミダゾール化合物(D)が下記式(9)で示される1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(D-1)である請求項1記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
    Figure 2016056262
  7. エポキシ樹脂(C-1)のn9が0である成分(n9=0体)またはエポキシ樹脂(C-2)のn10が0である成分(n10=0体)の濃度が、95重量%以上である請求項5に記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物。
  8. 請求項1に記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂用原料組成物を加熱硬化させて得られるイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂。
  9. ガラス転移温度(Tg)が250℃以上、曲げ試験の破断強度と破断歪が各々、30MPa以上、1.2%以上であり、かつ200℃以上の高温環境下で長時間暴露した後の曲げ試験の破断強度と破断歪が各々、50MPa以上、0.9%以上である請求項8に記載のイソシアヌレート-オキサゾリドン樹脂。
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