JP2016055776A - 鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブレーキペダル25の操作に応じて後輪ブレーキ11に操作力を伝達するとともに、ブレーキペダル25に入力される操作力が連動開始閾値を越えた時点で前輪ブレーキに操作力を伝達する操作力分配機構8を設ける。操作力分配機構8は、後輪ブレーキ11で制動力を発生したときに、後輪ブレーキ11で制動力を発生していないときよりも連動開始閾値を減少させる。
【選択図】図2
Description
また、上記従来の連動ブレーキ装置においては、何等かの原因によって後輪ブレーキの制動性能が低下した場合に、後輪ブレーキの制動力が充分に高まる前に前輪ブレーキの制動が開始されることが懸念される。
この場合、後輪ブレーキ(11)のブレーキ操作子(25)が操作されると、その操作に応動して操作力分配部材(24)が変位する。このとき、後輪ブレーキ(11)には、操作力分配部材(24)の後輪側伝達アーム(24b)を通して操作力が伝達される。こうして後輪ブレーキ(11)に実際に制動力が発生するようになると、連結部材(33)がブレーキベース(19)の変位を支持部材(30)に伝達し、ディレイスプリング(28)のセット荷重を小さくするように支持部材(30)が変位するようになる。この結果、操作力分配機構(8)の連動開始閾値が減少し、操作力分配部材(24)から前輪ブレーキ(10)に操作力が伝達され易くなる。
この形態の場合、極めて簡単な構成でありながら、後輪側のブレーキ操作子(25)の操作時に望ましいタイミングで前輪側に制動力を作用させることができる。
この場合、ディレイスプリング(28)の一端を支持する支持部材(30)の支持アーム片(30b)と、ディレイスプリング(28)から付勢力を受ける操作力分配部材(24)の後輪側伝達アーム(24b)がいずれも上方に向かって延出しているため、ディレイスプリング(28)の軸長を短くしてばね特性を安定させることができる。
この場合、支持部材(30)の連結片(30c)がスイングアーム(2)の下方側で車体後方側に向かって延出し、連結部材(33)の前部側がスイングアーム(2)の下方側で連結片(30c)に連結されるため、ブレーキベース(19)と支持部材(30)を連結する連結部材(33)を短くすることができる。したがって、連結部材(33)を大型化することなく、連結部材(33)の剛性を高めることができる。
この場合、支持部材(30)は、スイングアーム(2)よりも上方に延出する支持アーム片(30b)がスイングアーム(2)に設けられた規制部材(31A,31B)に当接することにより、過大な回動変位を規制されるようになる。
また、この発明によれば、後輪ブレーキに実際に制動力が発生した時点で前輪ブレーキが作動し易くなる構成とされているため、何等かの原因によって後輪ブレーキの制動性能が低下した場合にも、後輪ブレーキの制動力が充分に高まる前に前輪ブレーキの制動が開始されるを抑制することができる。
図1は、実施形態に係る鞍乗り型車両のブレーキシステム1の概略構成を示す図である。この実施形態においては、鞍乗り型車両として自動二輪車を採用している。
ブレーキシステム1は、制動部が油圧によって操作されるディスク式の前輪ブレーキ10と、制動部が機械的に操作されるドラム式の後輪ブレーキ11と、を備えている。この実施形態に係る連動ブレーキ装置は、このブレーキシステム1の一部によって構成されている。
鞍乗り型車両の前輪は、図示しないフロントフォークの下端に回転可能に支持され、後輪は、上下揺動可能なスイングアーム2の後端部に回転可能に支持されている。
第1ピストン14a,14aは、前輪ブレーキ用マスターシリンダ15から油圧を供給されることによって前輪を摩擦制動し、第2ピストン14bは、連動用マスターシリンダ16から油圧を供給されることによって前輪を摩擦制動する。
なお、図中の符号4は、ブレーキペダル25を初期位置に付勢するリターンスプリングであり、符号5は、ブレーキペダル25の回動変位を規制するストッパである。
イコライザ24には、支軸26を中心に車体上方側に延出する前輪側伝達アーム24aと、支軸26を中心に車体下方側に延出する後輪側伝達アーム24bが設けられている。この実施形態では前輪側伝達アーム24aと後輪側伝達アーム24bとが相反方向に直線を成すように延出しているが、前輪側伝達アーム24aと後輪側伝達アーム24bは、相互に所定角度をもって屈曲するように延出するようにしても良い。
鞍乗り型車両の車体フレームFは、車体中心に略沿って後方に延出するメインフレーム50と、メインフレーム50の後端部から下方に延出するピボットプレート51と、メインフレーム50の後端部から後斜め上方に延出する左右一対のシートレール52と、を備えている。ピボットプレート51には、スイングアーム2の前端部が上下揺動可能に軸支されている。また、ピボットプレート51はメインフレーム50とともにエンジン53を支持している。なお、図中の符号6は、スイングアーム2のピボット軸である。
具体的には、後輪ブレーキ11で制動力が発生すると、ブレーキシュー20を支持するブレーキベース19が後輪の回転に引きずられて同方向に若干変位し、その変位がトルク伝達ロッド33を介して支持部材30に伝達される。この結果、支持部材30は、図中時計回り方向に回転し、支持アーム片30bは前方側に向かって変位する。
図3は、ブレーキペダル25が踏み込み操作されない初期状態での鞍乗り型車両の要部の様子を示す図であり、図4は、ブレーキペダル25が踏み込み操作された初期の鞍乗り型車両の要部の様子を示す図である。また、図5は、ブレーキペダル25が踏み込み操作されて後輪ブレーキ11で制動力を発生しているときの鞍乗り型車両の要部の様子を示す図である。
ブレーキペダル25が踏み込み操作されない初期状態では、図3に示すように、支持部材の支持アーム片30bはセットスプリング34の付勢力を受けて後部側の規制部材31Bに当接している。また、イコライザ24の支軸26は初期位置に位置されており、イコライザ24の前輪側伝達アーム24aと後輪側伝達アーム24bは前輪ブレーキ10と後輪ブレーキ11に操作力を伝達していない。
このとき、後輪ブレーキ11に制動力が発生していない場合には、トルク伝達ロッド33が初期位置のままに維持され、支持部材30の支持アーム片30bも初期位置に維持されている。したがって、このときディレイスプリング28のセット荷重は大きいままとなり、前輪ブレーキ10の連動開始閾値は比較的大きな値となっている。この状態では、連動用マスターシリンダ16は基本的に作動しない。
したがって、ブレーキペダル25の作動アーム25cの変位に伴ってイコライザ24の支軸26が前方に変位すると、前輪側伝達アーム24aがディレイスプリング28の付勢力に抗して連動用マスターシリンダ16に操作力を伝達するようになる。この結果、連動用マスターシリンダ16から前輪ブレーキ10に油圧が供給され、前輪ブレーキ10が作動する。
したがって、この実施形態に係る連動ブレーキ装置においては、ブレーキペダル25の踏み込み操作時に望ましいタイミングで前輪ブレーキ10に制動力を作用させることができる。
したがって、この実施形態に係る連動ブレーキ装置を採用した場合には、低コストでの製造が可能な極めて簡単な構成でありながら、ブレーキペダル25の踏み込み操作時に望ましいタイミングで前輪側に制動力を作用させることができる。
また、上記の実施形態においては、前輪側のブレーキ操作子としてブレーキペダルが採用されているが、前輪側のブレーキ操作子はブレーキレバーであっても良い。
さらに、この発明を適用する車両は、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)に限らず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の小型車両も含まれる。
8…操作力分配機構
10…前輪ブレーキ
11…後輪ブレーキ
18…ブレーキドラム
19…ブレーキベース
20…ブレーキシュー
24…イコライザ(操作力分配部材)
24a…前輪側伝達アーム
24b…後輪側伝達アーム
25…ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
26…支軸
28…ディレイスプリング
30…支持部材
30a…支持中心
30b…支持アーム片
30c…連結片
31A,31B…規制部材
33…トルク伝達ロッド(連結部材)
34…セットスプリング
F…車体フレーム
Claims (5)
- 前輪に制動力を作用させる前輪ブレーキ(10)と、
後輪に制動力を作用させる後輪ブレーキ(11)と、
前記後輪ブレーキ(11)を操作するブレーキ操作子(25)と、
前記ブレーキ操作子(25)の操作に応じて前記後輪ブレーキ(11)に操作力を伝達するとともに、前記ブレーキ操作子(25)に入力される操作力が連動開始閾値を越えた時点で前記前輪ブレーキ(10)に操作力を伝達する操作力分配機構(8)と、
を備え、
前記操作力分配機構(8)は、前記後輪ブレーキ(11)で制動力を発生したときに、前記後輪ブレーキ(11)で制動力を発生していないときよりも前記連動開始閾値を減少させることを特徴とする鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置。 - 後輪が、スイングアーム(2)によって車体フレーム(F)に上下揺動可能に支持される鞍乗り型車両に用いられ、
前記後輪ブレーキ(11)は、
後輪と一体に回転するブレーキドラム(18)と、
車体側に取り付けられるブレーキベース(19)と、
前記ブレーキベース(19)に揺動可能に取り付けられ、後輪の制動時に前記ブレーキドラム(18)に押し付けられるブレーキシュー(20)と、を備えたドラム式のブレーキによって構成され、
前記操作力分配機構(8)は、
前記ブレーキ操作子(25)の作動に応動する支軸(26)に支持されるとともに、前記後輪ブレーキ(11)に操作力を伝達する後輪側伝達アーム(24b)と、前記前輪ブレーキ(10)に操作力を伝達する前輪側伝達アーム(24a)と、を有する操作力分配部材(24)と、
前記スイングアーム(2)に回動可能に支持される支持部材(30)と、
一端が前記スイングアーム(2)に支持されて、前記支持部材(30)を初期位置に付勢するセットスプリング(34)と、
一端が前記支持部材(30)に支持されて、前記前輪ブレーキ(10)に対する操作力伝達を阻止する方向に前記前輪側伝達アーム(24a)を付勢するディレイスプリング(28)と、
前記支持部材(30)と前記後輪ブレーキ(11)のブレーキベース(19)とを連結し、制動力の発生に伴う前記ブレーキベース(19)の変位に応じて、前記ディレイスプリング(28)のセット荷重が小さくなる方向に前記支持部材(30)を変位させる連結部材(33)と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置。 - 前記操作力分配部材(24)は、前記前輪側伝達アーム(24a)が前記支軸(26)を中心として上方側に延出するとともに、前記後輪側伝達アーム(24b)が前記支軸(26)を中心として下方側に延出し、
前記支持部材(30)は、
前記スイングアーム(2)に回動可能に支持される支持中心(30a)から上方に延出し、延出端に前記ディレイスプリング(28)と前記セットスプリング(34)が連結される支持アーム片(30b)と、
前記支持中心(30a)から前記支持アーム片(30b)と異なる方向に延出し、延出端に前記連結部材(33)が連結される連結片(30c)と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置。 - 前記支持部材(30)は、前記スイングアーム(2)の下部に軸支されるとともに、前記連結片(30c)が車体後方側に向かって延出し、
前記連結部材(33)は、前記スイングアーム(2)の下方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置。 - 前記支持部材(30)の支持アーム片(30b)は、前記スイングアーム(2)よりも上方に延出し、
前記スイングアーム(2)には、前記支持アーム片(30b)に当接して前記支持部材(30)の回動変位を規制する規制部材(31A,31B)が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の鞍乗り型車両の連動ブレーキ装置。
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