JP2016055705A - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗員の姿勢を適切なタイミングで適正な姿勢にさせる。
【解決手段】車両用乗員保護装置30では、シートクッション12の後端部に補助エアバッグ装置60が内蔵されている。そして、乗員Pの腰部とシートバック14との間で補助エアバッグ62が下側から上側へ膨張展開される。このため、乗員Pの上半身が補助エアバッグ62によって起き上がるため、乗員Pの上半身が適正な着座姿勢に矯正される。その結果、前面衝突時におけるラップベルト22Wのずり上がりが抑制されて、ラップベルト22Wの乗員Pの腹部に対する影響を低減できる。しかも、補助AB用インフレータ64が前突用インフレータ44よりも先に作動する。これにより、前突用エアバッグ42の膨張展開に先立って、乗員Pの上半身が適正な着座姿勢に矯正される。これにより、前面衝突時に乗員Pの上半身を前突用エアバッグ42によって良好に拘束することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用乗員保護装置に関する。
下記特許文献1に記載された車両用乗員保護装置では、衝突判断ECUによって車両の衝突を予測したときに、シートバックを適正角度に調整して、乗員の姿勢を適正な姿勢にするようになっている。
また、下記特許文献2に記載された車両用乗員保護装置では、シートバックにエアバッグ装置が内蔵されており、エアバッグ装置は、乗員の腰部又は背部に対向して配置されている。そして、車両の前面衝突時にエアバッグ装置が作動すると、エアバッグが乗員の腰部又は背部を車両前側へ押圧するようになっている。これにより、乗員の腰部に対する拘束性が高められる。なお、車両用乗員保護装置としては、他に下記特許文献3〜特許文献5に記載されたものがある。
特開2010−208542号公報 特開2007−15466号公報 特開2006−290258号公報 特開2009−166773号公報 特開2005−22596号公報
しかしながら、上記車両用乗員保護装置では、以下に示す課題がある。すなわち、例えば、背中の丸まった高齢者のような乗員では、乗員の骨盤が後傾して、乗員の腰部とシートバックとの間に隙間ができるように乗員が着座する傾向にある。また、比較的小柄な乗員では、乗員の脚部がシートクッションの前端にあたり、乗員がシートクッションに深く着座できない場合がある。この場合にも、乗員の骨盤が後傾して、乗員の腰部とシートバックとの間に隙間ができるように乗員が着座する傾向にある。
そして、このような着座姿勢をとる乗員に対してシートバックの傾斜角度を適正角度に変更しても、シートバックに対する乗員の上半身の姿勢は殆ど変化しない。また、上記のような着座姿勢をとる乗員に対して、乗員の腰部又は背部をエアバッグによって車両前側へ押圧すると、乗員の腰部が車両前側にさらに移動して、乗員の骨盤の後傾が促進される。このため、このような着座姿勢をとる乗員において、車両の前面衝突時に乗員の腰部を拘束するラップベルトが乗員の腹部側にずり上がり、ラップベルトの乗員の腹部に対する影響が大きくなる可能性がある。このため、上記のような着座姿勢をとる乗員に対して、乗員の上半身を適切なタイミングで適正な姿勢にさせることが望ましい。
本発明は、上記事実を考慮し、乗員の姿勢を適切なタイミングで適正な姿勢にさせることができる車両用乗員保護装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の車両用乗員保護装置は、第1インフレータからのガスの供給を受けて乗員の腰部とシートバックとの間で車両下側から車両上側へ膨張展開される補助エアバッグと、第2インフレータからのガスの供給を受けて乗員に対して車両前側で膨張展開される前面衝突用エアバッグと、前記第1インフレータ及び前記第2インフレータを作動させると共に、衝突判定時に前記第2インフレータよりも先に前記第1インフレータを作動させる制御部と、を備えている。
請求項1に記載の車両用乗員保護装置では、補助エアバッグが第1インフレータからガスの供給を受けると、乗員の腰部とシートバックとの間で補助エアバッグが車両下側から車両上側へ膨張展開される。このため、補助エアバッグの膨張展開時には、骨盤が後傾した着座姿勢をとる乗員の上半身が補助エアバッグによって起き上がるようになるため、乗員の上半身が適正な着座姿勢に矯正される。その結果、車両の前面衝突時においてラップベルトが乗員の腹部側へずり上がることが抑制されて、ラップベルトの乗員の腹部に対する影響を低減することができる。
しかも、制御部が、衝突判定時において、前面衝突用エアバッグ用の第2インフレータよりも先に第1インフレータを作動させるようになっている。すなわち、前面衝突用エアバッグの膨張展開に先立って、乗員の上半身を補助エアバッグによって適正な着座姿勢に矯正することができる。これにより、前面衝突時に乗員の上半身を前面衝突用エアバッグによって良好に拘束することができる。
請求項2に記載の車両用乗員保護装置は、請求項1に記載の発明において、前記制御部には、車両の前面衝突を予知する衝突予知部が接続されており、前記制御部が前記衝突予知部から出力される信号に基づいて車両の前面衝突を予測したときに前記第1インフレータを作動させる。
請求項2に記載の車両用乗員保護装置では、車両の前面衝突を予知する衝突予知部が制御部に接続されており、制御部は、衝突予知部から出力される信号に基づいて車両の前面衝突を予測する。そして、制御部が車両の前面衝突を予測したときに、第1インフレータが制御部によって作動する。このため、車両が前面衝突する前に補助エアバッグを作動させることができる。これにより、補助エアバッグの膨張展開時間を比較的長く設定することができる。換言すると、補助エアバッグの展開力を比較的小さく設定することができる。したがって、補助エアバッグが膨張展開するときの乗員に対する加害性を低減することができる。
請求項1に記載の車両用乗員保護装置によれば、乗員の姿勢を適切なタイミングで適正な姿勢にさせることができる。
請求項2に記載の車両用乗員保護装置によれば、補助エアバッグが膨張展開するときの乗員に対する加害性を低減することができる。
本実施の形態に係る車両用乗員保護装置が適用された車両のキャビン内の前部における右側部分を示す側面図であり、前突用エアバッグ、側突用エアバッグ、及び補助エアバッグが膨張展開された状態を示す側面図である。 図1に示される前突用エアバッグ、側突用エアバッグ、及び補助エアバッグが膨張展開される前における乗員の着座姿勢を示す側面図である。 図1に示される補助エアバッグの膨張展開状態における変形例を示す側面図である。 (A)は、図3に示される補助エアバッグの膨張展開状態において、車両の斜め衝突及び微小ラップ衝突時、又は車両の側面衝突時の乗員の挙動を説明するための平面図である。(B)は、図3に示される補助エアバッグの膨張展開状態において、車両の前面衝突時の乗員の挙動を説明するための側面図である。
以下、図面を用いて本実施の形態に係る車両用乗員保護装置30について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印RHは、それぞれ車両用乗員保護装置30が適用された車両(自動車)Vの前側、上側、車幅方向の一方側である右側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両(前方を向いた場合)の左右を示すものとする。
図1には、車両用乗員保護装置30が適用された車両VのキャビンC内の前部における右側部分が模式的な側面図にて示されている。この図に示されるように、キャビンC内の前部における右側部分には、助手席用の車両用シート10が配置されている。この車両用シート10は、乗員Pが着座するシートクッション12と、乗員Pの背部を支えるシートバック14と、を含んで構成されており、シートバック14の下端部がシートクッション12の後端部に連結されている。
また、車両Vは、乗員拘束用のシートベルト装置20を備えている。このシートベルト装置20は、所謂3点式シートベルト装置とされて、図示しない車両Vのセンタピラーに設けられている。そして、乗員Pを拘束するシートベルト22では、乗員Pの腰部を拘束する部分がラップベルト22Wとされており、乗員Pの上半身を拘束する部分がショルダベルト22Sとされている。なお、シートベルト装置20を車両用シート10に設ける構成にしてもよい。
車両用シート10の前側には、車幅方向に延びるインストルメントパネル16が設けられている。また、車両用シート10の上側には、ルーフRFが設けられており、ルーフRFの前側には、ウィンドシールドガラスWGが設けられている。
(車両用乗員保護装置30について)
車両用乗員保護装置30は、前面衝突用エアバッグ装置40(以下、「前突用エアバッグ装置40」という)と、側面衝突用エアバッグ装置50(以下、「側突用エアバッグ装置50」という)と、補助エアバッグ装置60と、を含んで構成されている。また、車両用乗員保護装置30は、前突用エアバッグ装置40、側突用エアバッグ装置50、及び補助エアバッグ装置60を作動させる「制御部」としてのECU70(図2参照)を備えている。
(前突用エアバッグ装置40について)
前突用エアバッグ装置40は、乗員Pの前側のインストルメントパネル16内(裏側)に配置されて、車幅方向に延在されたインストルメントパネルリインフォース(図示省略)等に支持されている。そして、インストルメントパネル16には、前突用エアバッグ装置40を覆う部位において、エアバッグドアが形成されている。また、前突用エアバッグ装置40は、前面衝突用エアバッグ42(以下、「前突用エアバッグ42」という)と、ガス発生装置である「第2インフレータ」としての前面衝突用インフレータ44(以下、「前突用インフレータ44」という)と、略箱形状に形成されたエアバッグケース46と、を含んで構成されている。
前突用エアバッグ42は、一例として複数の基布の外周部を縫製することにより袋状に構成されている。また、前突用エアバッグ42の基端側に前突用インフレータ44が内蔵されており、前突用エアバッグ42が折り畳まれた状態で前突用インフレータ44と共にエアバッグケース46内に収納されている。そして、前突用エアバッグ42が前突用インフレータ44からガスの供給を受けると、前突用エアバッグ42の膨張圧によってインストルメントパネル16のエアバッグドアが開裂されて、前突用エアバッグ42が乗員Pの前側で膨張展開されるようになっている。これにより、車両Vの前面衝突時に前側へ移動する乗員Pの上半身を前突用エアバッグ42によって拘束するように構成されている。
(側突用エアバッグ装置50について)
側突用エアバッグ装置50は、車両用シート10におけるシートバック14の右側(車幅方向外側)部分に内蔵されている。また、側突用エアバッグ装置50は、側面衝突用エアバッグ52(以下、「側突用エアバッグ52」という)と、ガス発生装置である側面衝突用インフレータ54(以下、「側突用インフレータ54」という)と、を含んで構成されている。側突用エアバッグ52は、一例として複数の基布の外周部を縫製することにより袋状に構成されている。また、側突用エアバッグ52の基端側に側突用インフレータ54が内蔵されており、側突用エアバッグ52が折り畳まれた状態で側突用インフレータ54と共にシートバック14内に内蔵されている。そして、側突用エアバッグ52が側突用インフレータ54からガスの供給を受けると、側突用エアバッグ52の膨張圧によってシートバック14の表皮が開裂されて、側突用エアバッグ52が乗員Pの右側(車幅方向外側)で膨張展開されるようになっている。これにより、車幅方向外側からの側面衝突に対して乗員Pを側突用エアバッグ52によって拘束するように構成されている。
(補助エアバッグ装置60について)
補助エアバッグ装置60は、車両用シート10のシートクッション12の後端部に内蔵されて、シートクッション12の骨格部材であるシートクッションフレーム(図示省略)等に支持されている。補助エアバッグ装置60は、補助エアバッグ62と、ガス発生装置である「第1インフレータ」としての補助エアバッグ用インフレータ64(以下、「補助AB用インフレータ64」という)と、略箱形状に形成されたエアバッグケース66と、を含んで構成されている。
補助エアバッグ62は、一例として複数の基布の外周部を縫製することにより袋状に構成されている。具体的には、後述するように、骨盤が後傾した着座姿勢をとる乗員P(図1参照)の腰部とシートバック14との間で補助エアバッグ62が膨張展開するように、補助エアバッグ62の前後方向の厚さ及び補助エアバッグ62の上端位置が設定されている。さらに、補助エアバッグ62の膨張展開時において上記乗員Pの腰部全体を補助エアバッグ62が後側から支持するように、補助エアバッグ62の左右方向の寸法が設定されている。そして、補助エアバッグ62の基端側(膨張展開された状態の下端側)に補助AB用インフレータ64が内蔵されており、補助エアバッグ62が折り畳まれた状態で補助AB用インフレータ64と共にエアバッグケース66内に収納されている。
また、補助エアバッグ62が補助AB用インフレータ64からガスの供給を受けると、補助エアバッグ62の膨張圧によってシートクッション12の表皮が開裂されて、補助エアバッグ62が上側へ膨張展開されるようになっている。具体的には、補助エアバッグ62が、上記乗員Pの腰部とシートバック14との間で、下側から上側へ膨張展開されるようになっている。また、補助AB用インフレータ64におけるガスの噴射圧力は、比較的低く設定されており、補助エアバッグ62の膨張展開時間が、前突用エアバッグ42及び側突用エアバッグ52の膨張展開時間よりも長くなるように設定されている。さらに、上述したように、補助エアバッグ62は、上記乗員Pの腰部とシートバック14との間で膨張展開されるため、補助エアバッグ62の大きさが、前突用エアバッグ42及び側突用エアバッグ52の大きさに比べて小さく構成されている。
(ECU70について)
図2に示されるように、ECU70には、前突用インフレータ44、側突用インフレータ54、及び補助AB用インフレータ64が電気的に接続されており、ECU70が各インフレータの作動制御を行うようになっている。また、ECU70には、衝突検知センサ72(広義には、「衝突検知部」として把握される要素である)及び「衝突予知部」としての衝突予知センサ74が電気的に接続されている。そして、衝突検知センサ72及び衝突予知センサ74から出力された信号に基づいて、ECU70が前突用インフレータ44、側突用インフレータ54、及び補助AB用インフレータ64、を作動させるようになっている。以下、初めに衝突検知センサ72及び衝突予知センサ74について説明し、次いでECU70について説明する。
衝突検知センサ72は、車両Vの前面衝突を検知する前面衝突検知センサ72A(以下、「前突検知センサ72A」という)と、車両Vの側面衝突を検知する側面衝突検知センサ72B(以下、「側突検知センサ72B」という)と、を含んで構成されている。
前突検知センサ72Aは、一例として加速度センサによって構成されて、車両Vの前部に配置された左右一対のフロントサイドメンバ(図示省略)の前端部などに設けられている。そして、前側から衝突体が車両Vに衝突したときには、ECU70が、前突検知センサ72Aから出力された信号に基づいて、車両Vに対する各種前面衝突を区別することなく検知(判定)するようになっている。
なお、車両Vの前面衝突の形態には、斜め衝突及び微小ラップ衝突等の車幅方向一方側にオフセットした位置への前面衝突が含まれる。ここで、斜め衝突(MDB斜突、オブリーク衝突)とは、例えばNHSTAにて規定される斜め前方(一例として、衝突相手方との相対角15°、車幅方向のラップ量35%程度の衝突)とされる。この実施形態では、一例として相対速度90km/hrでの斜め衝突が想定されている。また、微小ラップ衝突とは、車両Vの前面衝突のうち、例えばIIHSにて規定される衝突相手方との車幅方向のラップ量が25%以下の衝突とされる。例えば車体骨格であるフロントサイドメンバに対する車幅方向外側への衝突が微小ラップ衝突に該当する。この実施形態では、一例として相対速度64km/hrでの微小ラップ衝突が想定されている。
側突検知センサ72Bは、一例として加速度センサによって構成されて、図示しない車両Vのセンタピラーやサイドドアなどに設けられている。そして、車両Vの車幅方向外側から衝突体が車両Vに衝突したときには、側突検知センサ72BからECU70へ出力された信号に基づいて、車両Vに対する側面衝突をECU70が検知(判定)するようになっている。なお、側突検知センサ72Bを圧力チャンバと圧力センサとによって構成してもよい。具体的には、圧力チャンバを車両のサイドドア内に配置し、その圧力チャンバ内の圧力変化を圧力センサによって検出してもよい。
衝突予知センサ74は、車両Vの衝突を事前に予知するためのものである。この衝突予知センサ74は、車両Vの前面衝突を予知する前面衝突予知センサ74A(以下、「前突予知センサ74A」という)と、車両Vの側面衝突を予知する側面衝突予知センサ74B(以下、「側突予知センサ74B」という)と、を含んで構成されている。
前突予知センサ74Aは、ミリ波レーダやステレオカメラなどによって構成されている。具体的には、ミリ波レーダは、図示しない車両Vのフロントグリルの車幅方向中央付近に設けられている。そして、ミリ波レーダから車両Vの前側にミリ波を出射して、ミリ波レーダが、衝突体から反射される電波を受信し、衝突体と車両Vとの距離や相対速度などを測定すると共に、測定データをECU70へ出力するようになっている。また、ステレオカメラは、図示は省略するが、ウィンドシールドガラスWGの上部における車幅方向中央付近に設けられている。このステレオカメラは、車両Vの前側を撮影して、車両Vへの衝突体を検出するようになっている。そして、ステレオカメラは、検出した衝突体までの距離や車両Vと衝突体との相対速度等を測定し、測定データをECU70へ出力するようになっている。
側突予知センサ74Bは、車両Vの側部に設けられて、前突予知センサ74Aと同様にミリ波レーダやステレオカメラなどによって構成されている。すなわち、側突予知センサ74Bとしてのミリ波レーダやステレオカメラなどによって、車両Vの側方における衝突体までの距離や車両Vと衝突体との相対速度等を測定し、側突予知センサ74Bが測定データをECU70へ出力するようになっている。
ECU70は、衝突予知センサ74及び衝突検知センサ72からの出力信号に基づいて、前突用インフレータ44、側突用インフレータ54、及び補助AB用インフレータ64を作動させるようになっている。具体的には、ECU70が、衝突予知センサ74からの出力信号に基づいて、車両Vの前面衝突又は側面衝突を回避できずに車両Vが前面衝突又は側面衝突すると予測(判定)したときには、ECU70が補助AB用インフレータ64を作動させるように設定されている。つまり、補助AB用インフレータ64が車両Vの前面衝突前又は側面衝突前に作動するようになっている。
さらに、ECU70が、衝突検知センサ72からの出力信号に基づいて、車両Vの前面衝突又は側面衝突を検知(判定)したときには、前突用インフレータ44又は側突用インフレータ54がECU70によって作動するように設定されている。つまり、前突用インフレータ44及び側突用インフレータ54が車両Vの前面衝突後又は側面衝突後に作動するようになっている。したがって、本実施の形態では、補助AB用インフレータ64が、前突用インフレータ44及び側突用インフレータ54よりも先に作動するように設定されている。
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
(車両Vの前面衝突)
上記のように構成された車両用乗員保護装置30では、乗員Pが着座するシートクッション12の後端部に補助エアバッグ装置60が内蔵されている。そして、車両Vの走行中に、ECU70が前突予知センサ74Aからの出力信号に基づいて車両Vの前面衝突を予測(判定)したときには、補助AB用インフレータ64がECU70によって作動する。このため、補助AB用インフレータ64がガスを発生して、当該ガスが補助エアバッグ62に供給される。補助エアバッグ62が補助AB用インフレータ64からガスの供給を受けると、補助エアバッグ62の膨張圧によってシートクッション12の表皮が開裂されて、補助エアバッグ62が上側へ膨張展開される。
ところで、図2に示されるように、例えば、背中の丸まった高齢者のような乗員Pでは、乗員Pの骨盤が後傾して、乗員Pの腰部とシートバック14との間に隙間ができるように乗員Pが車両用シート10に着座する傾向にある。また、比較的小柄な乗員P(例えば、AF05ダミー相当の体格の乗員)では、乗員Pの脚部(脹脛)がシートクッション12の前端にあたり、乗員Pがシートクッション12に深く着座できない場合がある。この場合にも、乗員Pの骨盤が後傾して、乗員Pの腰部とシートバックとの間に隙間ができるように乗員Pが車両用シート10に着座する傾向にある。
このため、このような着座姿勢をとる乗員Pに対して、補助エアバッグ62が、乗員Pの腰部とシートバック14との間で下側から上側へ膨張展開される。これにより、図1に示されるように、乗員Pの上半身が補助エアバッグ62によって起き上がるように(乗員Pの背筋が略上下方向に伸びるように)なるため、乗員Pの上半身がシートバック14に沿うような適正な着座姿勢に矯正される。
さらに、ECU70が前突検知センサ72Aからの出力信号に基づいて車両Vの前面衝突を検知(判定)すると、前突用インフレータ44がECU70によって作動する。前突用インフレータ44が作動すると、前突用インフレータ44がガスを発生して、当該ガスが前突用エアバッグ42に供給される。前突用エアバッグ42が前突用インフレータ44からガスの供給を受けると、前突用エアバッグ42の膨張圧によってインストルメントパネル16のエアバッグドアが開裂されて、前突用エアバッグ42が乗員Pの前側で瞬時に膨張展開される。これにより、慣性力によって前側へ移動する乗員Pの上半身が前突用エアバッグ42によって拘束される。
(車両Vの側面衝突)
一方、車両Vの走行中に、ECU70が側突予知センサ74Bからの出力信号に基づいて車両Vの側面衝突を予測(判定)したときには、補助AB用インフレータ64がECU70によって作動する。このため、上述と同様に、補助AB用インフレータ64がガスを発生して、当該ガスが補助エアバッグ62に供給される。補助エアバッグ62が補助AB用インフレータ64からガスの供給を受けると、補助エアバッグ62の膨張圧によってシートクッション12の表皮が開裂されて、乗員Pの腰部とシートバック14との間において、補助エアバッグ62が下側から上側へ膨張展開される。
さらに、ECU70が側突検知センサ72Bからの出力信号に基づいて車両Vの側面衝突を検知(判定)すると、側突用インフレータ54がECU70によって作動する。側突用インフレータ54が作動すると、側突用インフレータ54がガスを発生して、当該ガスが側突用エアバッグ52に供給される。側突用エアバッグ52が側突用インフレータ54からガスの供給を受けると、側突用エアバッグ52の膨張圧によってシートバック14の表皮が開裂されて、側突用エアバッグ52が乗員Pの車幅方向外側で瞬時に膨張展開される。これにより、車幅方向外側へ移動する乗員Pの上半身が側突用エアバッグ52によって拘束される。したがって、車両Vの側面衝突時においても乗員Pの着座姿勢が補助エアバッグ62によって適正な姿勢に矯正される。
以上説明したように、本実施の形態では、乗員Pの腰部とシートバック14との間において補助エアバッグ62が下側から上側へ膨張展開されるため、補助エアバッグ62によって乗員Pの上半身をシートバック14に沿うような適正な着座姿勢に矯正することができる。その結果、車両Vの前面衝突時においてラップベルト22Wが乗員Pの腹部側へずり上がることが抑制されて、ラップベルト22Wの乗員Pの腹部に対する影響を低減することができる。また、ラップベルト22Wのずり上がりが抑制されるため、乗員Pがラップベルト22Wの下側をすり抜ける所謂サブマリン現象の発生を抑制することができる。
しかも、ECU70によって、補助AB用インフレータ64が前突用インフレータ44よりも先に作動する。このため、前突用エアバッグ42の膨張展開に先立って、乗員Pの着座姿勢が補助エアバッグ62によって適正な姿勢に矯正される。これにより、車両Vの前面衝突時において前側へ移動する乗員Pの上半身を前突用エアバッグ42によって良好に拘束することができる。以上により、車両Vの前面衝突時に乗員Pの姿勢を適切なタイミングで適正な姿勢にさせることができる。
また、本実施の形態では、上述したように、ECU70が車両Vの前面衝突を予測して、車両Vの前面衝突前に補助AB用インフレータ64がECU70によって作動するように設定されている。これにより、補助エアバッグ62の膨張展開時間を比較的長く設定することができる。すなわち、補助AB用インフレータ64におけるガスの噴射圧力を比較的低く設定することができる。その結果、補助エアバッグ62が膨張展開するときに乗員Pに作用する補助エアバッグ62の展開力が小さくなるため、乗員Pに対する加害性を低減することができる。
なお、本実施の形態では、補助エアバッグ62が乗員Pの腰部とシートバック14との間で下側から上側へ膨張展開されるようになっているが、乗員Pの腰部及び背部とシートバック14との間で補助エアバッグ62を膨張展開させるように構成してもよい。すなわち、図3に示されるように、補助エアバッグ62の上端部を上側へ延ばして、乗員Pの背部とシートバック14との間にも補助エアバッグ62が配置されるように構成してもよい。
この場合には、乗員Pの腰部及び背部が補助エアバッグ62によって後側から支えられるため、ショルダベルト22Sの乗員Pに対する拘束力を高めることができる。これにより、例えば、車両Vの斜め衝突及び微小ラップ衝突時、或いは車両Vの側面衝突時において、ショルダベルト22Sが乗員Pの上半身から外れることを抑制できる。以下、この点について説明する。
図4(A)に示されるように、車両Vへの前面衝突が左側への斜め衝突又は微小ラップ衝突であった場合には、乗員Pは慣性力によって前方へ移動しつつ車体に対し車幅方向の衝突側である左側へ移動する(図4(A)の矢印A参照)。すなわち、乗員Pが左斜め前方へ移動する。また、車両Vへの側面衝突が左側からの側面衝突であった場合では、乗員Pは慣性力によって左側へ移動する(図4(A)の矢印B参照)。このため、乗員Pの左斜め前方又は左側への移動によって、乗員Pの肩部付近からショルダベルト22Sが外れる可能性がある。
これに対して、補助エアバッグ62の上端部を上側へ延ばすことで、乗員Pの腰部及び背部が補助エアバッグ62によって後側から支えられる。このため、乗員Pの上半身とシートバック14との間の隙間が補助エアバッグ62によって埋められて、ショルダベルト22Sの乗員Pに対する拘束力が高くなる。これにより、ショルダベルト22Sに対する乗員Pの左斜め前方又は左側への相対移動が抑制されて、ショルダベルト22Sが乗員Pの上半身から外れることを抑制できる。
さらに、乗員Pの腰部及び背部とシートバック14との間で補助エアバッグ62を膨張展開させることで、補助エアバッグ62の乗員Pに対する支持面積を大きくすることができる。これにより、図4(B)に示されるように、車両Vの前面衝突時に慣性力によって前側へ移動した乗員Pの上半身(図4(B)の2点鎖線で示される乗員Pを参照)がショルダベルト22Sの反力によって再び後側へ移動するときに(図4(B)の実線で示される乗員Pを参照)、乗員Pが補助エアバッグ62に当たる衝撃を低減することができる。
また、本実施の形態では、車両Vの前面衝突前(すなわち、ECU70が車両Vの前面衝突を予測(判定)したとき)に補助AB用インフレータ64がECU70によって作動するように設定されている。これに代えて、車両Vの前面衝突後(衝突検知センサ72の出力信号に基づいてECU70が車両Vの前面衝突を検知(判定)したとき)に補助AB用インフレータ64をECU70によって作動させるように設定してもよい。このため、本発明における「衝突判定時」とは、車両Vが前面衝突する前の所定期間(詳しくは、衝突予知センサ74の出力信号に基づいてECU70が車両Vの前面衝突を予測したときからの所定の期間)及び車両Vの前面衝突後の所定の期間(衝突検知センサ72の出力信号に基づいてECU70が車両Vの前面衝突を検知したときからの所定の期間)の両方を含んでいる。そして、車両Vの前面衝突後に補助AB用インフレータ64を作動させる場合には、補助AB用インフレータ64のガスの噴射圧力を本実施の形態に比べて高く設定して、補助エアバッグ62の展開速度を本実施の形態に比べて短くするように構成してもよい。
また、本実施の形態では、補助エアバッグ装置60がシートクッション12の後端部に内蔵されているが、補助エアバッグ装置60の配設位置はこれに限らない。例えば、補助エアバッグ装置60をシートクッション12に対して後側に配置して、シートクッション12の後端部とシートバック14の下端部との間から補助エアバッグ62を上側へ膨張展開させるように構成してもよい。
また、本実施の形態の説明では、上述のように骨盤が後傾した着座姿勢をとる乗員Pに対して説明したが、適正な着座姿勢をとる乗員Pに対しても補助エアバッグ装置60を適用することができる。すなわち、適正な着座姿勢をとる乗員Pが車両用シート10に着座したときでも、乗員Pの腰部とシートバック14との間に隙間ができる場合がある。この場合には、乗員Pの腰部とシートバック14との間において補助エアバッグ62が下側から上側へ膨張展開されて、乗員Pの腰部とシートバック14との間の隙間が補助エアバッグ62によって埋められる。これにより、適正な姿勢をとる乗員Pに対するラップベルト22Wの拘束力を高くすることができると共に、当該乗員Pに対するサブマリン現象の発生を一層抑制することができる。
一方、適正な姿勢をとる乗員Pが車両用シート10に着座したときに、乗員Pの腰部とシートバック14との間に隙間がない場合には、補助エアバッグ装置60の真上に乗員Pの尻部が位置するようになる。そして、上述したように補助AB用インフレータ64のガスの噴射圧力は比較的低く設定されているため、この場合には、例えば、補助エアバッグ62の膨張展開が抑制されて(補助エアバッグ62がシートクッション12の表皮を開裂させずに)、補助エアバッグ62が乗員Pの尻部を上側へ押圧するようになる。このため、この場合にも、乗員Pに対するラップベルト22Wの拘束力を高くすることができると共に、当該乗員Pに対するサブマリン現象の発生を一層抑制することができる。
また、本実施の形態では、車両用乗員保護装置30を助手席用の車両用シート10に着座した乗員Pに対して適用したが、車両用乗員保護装置30を運転席用の車両用シートに着座した乗員(運転者)に対して適用してもよい。すなわち、前突用エアバッグ42を、車両Vのステアリングコラム(図示省略)に設けられた運転席用エアバッグ装置とすると共に、側突用エアバッグ装置50及び補助エアバッグ装置60を車両Vの運転席用の車両用シートに設けるように構成してもよい。
14 シートバック
30 車両用乗員保護装置
42 前面衝突用エアバッグ
44 前面衝突用インフレータ(第2インフレータ)
62 補助エアバッグ
64 補助エアバッグ用インフレータ(第1インフレータ)
70 ECU(制御部)
74 衝突予知センサ(衝突予知部)
P 乗員

Claims (2)

  1. 第1インフレータからのガスの供給を受けて乗員の腰部とシートバックとの間で車両下側から車両上側へ膨張展開される補助エアバッグと、
    第2インフレータからのガスの供給を受けて乗員に対して車両前側で膨張展開される前面衝突用エアバッグと、
    前記第1インフレータ及び前記第2インフレータを作動させると共に、衝突判定時に前記第2インフレータよりも先に前記第1インフレータを作動させる制御部と、
    を備えた車両用乗員保護装置。
  2. 前記制御部には、車両の前面衝突を予知する衝突予知部が接続されており、
    前記制御部が前記衝突予知部から出力される信号に基づいて車両の前面衝突を予測したときに前記第1インフレータを作動させる請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
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