本願で開示する電動調理器は、底部中央に軸通筒を備える調理容器と、前記調理容器を載置する載置台と、前記載置台上に突出させた駆動軸と、前記駆動軸を回転させる回転機構と、前記載置台上に載置された前記調理容器を加熱する加熱手段と、前記調理容器の温度を検出する温度センサと、前記温度センサからの出力信号に基づいて前記加熱手段を制御するとともに前記駆動軸の回転を制御する制御部とを有する本体部と、前記調理容器内で前記駆動軸の回転により回転するカッターとを備えた電動調理器であって、前記制御部は、前記調理容器が所定の温度となるように前記加熱手段を制御しながら、所定の長さの回転期間と所定の長さの停止期間とを繰り返して前記駆動軸を間欠的に回転させる間欠回転工程において、一つの前記回転期間を複数の副回転期間と複数の副停止期間とにさらに分割した間欠駆動を行って前記調理容器内の被調理物を調理する。
本開示にかかる電動調理器は上記の構成を備え、制御部が加熱手段と駆動軸の回転とを制御して、調理容器内の被調理物を所定のプログラムにしたがって加熱調理することができる。特に、調理容器が所定の温度となるように加熱手段を制御しながら、所定の長さの回転期間と所定の長さの停止期間とを繰り返して駆動軸を間欠的に回転させる間欠回転工程において、制御部が、一つの回転期間を複数の副回転期間と複数の副停止期間とにさらに分割した間欠駆動を行うことで、液体に比較的小さな具材が混じった被調理物の場合でも、具材を調理容器の底面近傍に位置させることができる。このため、具材に加熱手段からの熱が十分に伝わると共に、具材が調理容器の底面に焦げ付いてしまうことを防止でき、さらに、大きな具材や硬い具材が投入された場合でも、十分に柔らかくなった状態で粉砕することができる。
本開示にかかる電動調理器では、前記制御部は、前記副回転期間において、当該期間での所定の回転数に到達するまで段階的に前記駆動軸の回転数を増加させることが好ましい。このようにすることで、カッターの刃が回転した際に調理容器内の被調理物が、蒸気と共に蒸気口から調理容器の外部に飛び出してしまうことを効果的に防止することができる。
また、前記制御部は、前記回転期間における最初の前記副回転期間の開始前に、前記駆動軸を前記最初の副回転期間における所定の回転数よりも低速で一定期間回転させることが好ましい。このようにすることで、比較的長時間にわたって回転が停止していた、回転期間の最初においても、低速で回転するカッターの刃によって具材を効果的にかき混ぜることができ、調理容器内の具材が蒸気と共に蒸気口から調理容器の外部に飛び出してしまうことをさらに効果的に防止することができる。
また、本開示のフードプロセッサーにおいて、前記制御部は、前記駆動軸を停止させた状態で、被調理物が投入された前記調理容器を加熱する予備加熱工程と、本開示にかかるいずれかの間欠回転工程と、前記調理容器の温度が所定の温度となるように維持した状態で、前記回転機構を一定の時間、前記間欠回転工程における回転数よりも高速で回転させる高速回転工程とを順次行うことで、前記調理容器内の被調理物を調理することが好ましい。このようにすることで、具材をとろみのあるポタージュ状にした「飲むスープ」などを自動的に調理することができる。
さらに、前記制御部は、前記高速回転工程において、所定の回転数に到達するまで段階的に前記駆動軸の回転数を増加させることが好ましい。このようにすることで、高速回転工程においても、被調理物が蒸気と共に蒸気口から外に飛び出してしまう事態を効果的に防止することができる。
また、前記高速回転工程の後の保温工程において、前記制御部が、前記調理容器に前記高速回転工程において加えられる熱量よりも少ない熱量を加えることが好ましい。このようにすることで、調理の完了後しばらく経った状態でも、できたてと変わらないおいしい料理をユーザに提供することができる。
さらに、前記加熱手段が誘導加熱コイルであることが好ましい。加熱手段に誘導加熱コイルを用いることで、調理容器の温度制御をより高い精度で行うことができる。
以下、本願で開示する電動調理器について、具体例を示しながら図面を参照して説明する。
(実施の形態)
以下では、本願で開示する電動調理器の実施の形態として、加熱手段としての誘導加熱コイルを備えたフードプロセッサーであって、調理容器内部に配置された伝達軸に、調理目的に応じて各種カッターを交換可能に固定でき、制御部によって誘導加熱コイルから調理容器に加えられる熱量と、カッターを回転させる駆動軸の回転とを制御して、各種調理をプログラム可能なものを例示して説明する。
本実施形態にかかるフードプロセッサーは、野菜や魚肉類のみじん切り等の他に、ジュースやスープなどの液体、パン粉などの粉体を用いた調理に加え、加熱と撹拌や具材の切断とを同時に行って、各種のスープやシチュー、カレーのルーなどを調理可能なものである。
<フードプロセッサーの構成例>
図1は、本実施形態にかかるフードプロセッサーの全体構成を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態にかかるフードプロセッサーの各部の構成を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態でその形状を例示するフードプロセッサーは、本体部1と本体部1の載置台1c上に載置された調理容器2と、調理容器2の上部開口を覆って閉塞可能な蓋体3とを備えている。
本体部1は、その上面が載置台1cを形成する本体下部1aと、本体下部1aの載置台1c部分以外の部分の上方に配置された側面側上部1bとで構成されている。また、本体部1の内部には、調理容器2内に配置される調理刃(ブレード)4a付きのカッター4を回転させる、図1、図2では図示しない回転機構が収容されている。
本体下部1aの上面として形成された載置台1cは略円形に構成され、載置台1cの中央部からは、調理容器2の内部に挿通されてカッター4を回転させる駆動軸5が突出している。なお、載置台1cは、その中央部分1c1がより高く、周辺部分1c2がより低く形成されている。また、本実施形態にかかるフードプロセッサーでは、図1、図2では図示しない加熱手段としての誘導加熱コイルで調理容器2を加熱する際に、調理容器2の温度を制御して各種の調理プログラムを実行可能とするため、載置台1cの駆動軸5配置部分の側方に調理容器2が載置された際にその底部と接触して調理容器2の温度を検出する温度センサ6が配置されている。
本体部1の側面側上部1bは、載置台1c上に載置された調理容器2の一部を側方から包み込むように載置台1c側の側面が湾曲凹面に形成されている。このようにすることで、調理容器2を本体部1に対して正しい位置に載置し易くすると共に、調理容器2が載置された状態での機器外観のデザイン性を向上させている。側面側上部1bの、調理容器2に対向する面とは反対側の上方部分には、側面側上部1b内への冷却風の取り入れ口である上部吸気口7が形成されている。
本体下部1aの、側面側上部1bが配置された側とは反対側の側面(図1、図2における左側の側面)には、フードプロセッサーを動作させるための操作部8が配置されている。操作部8には、電源スイッチや各種の操作ボタン、操作ダイヤル、また、設定されたプログラムの内容やフードプロセッサーの動作状態を表示するためのランプや表示デバイスとしての液晶パネルなどが必要に応じて適宜配置される。なお、図1および図2で示した操作部8の配置位置は例示であって、操作部8の配置位置は、本実施形態において操作部が配置されている本体下部1aの側面側上部1bが配置された側の側面とは反対側の側面二は限られず、本体部1の他の側面、すなわち、図1、図2における手前側、奥側、または、右側に位置する本体下部1aの側面、さらには、側面側上部1bに配置することも可能である。
本体下部1aの底面には、フードプロセッサーが載置されるテーブルや流し台などの表面から本体部1の底面を離間させることができる複数個の脚部9が配置されている。このようにすることで、載置される面に微細な凹凸や段差がある場合でもフードプロセッサーを安定して載置することができ、また、本体部1の底面と載置面との間の空間が確保できる。
本実施形態のフードプロセッサーの調理容器2は、内部に被調理物を入れて調理を行うワークボウル2aと、ワークボウル2aの外側を覆うカバー部材2bとで構成されている。
ワークボウル2aは、誘導加熱コイルからの誘導磁界によって渦電流を生じさせることができるように、ステンレスなどの金属材料で構成された略有底円筒状の部材である。ワークボウル2aの底面中央には、調理容器2を載置台1c上に載置した際に、載置台1c上に突出する駆動軸5を内蔵する軸カバー11の外表面を覆う軸通筒12が配置されていて、軸通筒12にカッター4を被せるように配置することで、駆動軸5の回転によりカッター4が回転するようになっている。
ワークボウル2aの上端部分には、外方へ延出した鍔部13が形成されている。また、ワークボウル2aの外側面には、外方へ突出するリブ14が断続的に複数個配置されている。
カバー部材2bは、ワークボウル2aの側面を覆う円筒状の部材であり、カバー部材2bの上端縁にワークボウル2aの鍔部13が重なって、ワークボウル2aを保持する。カバー部材2bの内側表面には、ワークボウル2aのリブ14と係合する突起部15(図3参照)が形成されていて、ワークボウル2aとカバー部材2bとが着脱可能となっている。カバー部材2bの側面には把手16が固着されていて、ユーザは把手16を用いて、ワークボウル2aとカバー部材2bとが一体化された調理容器2を持ち運びすることができる。
また、ワークボウル2aが固着された状態で、ワークボウル2aの側面外側とカバー部材2bの側面内側との間には所定の間隔が形成されるようになっている。このため、誘導加熱コイルによってワークボウル2aの温度が高くなっている場合でも、ユーザは、把手16を用いて調理容器2を安全に持ち運びすることができ、また、本体部1に載置した状態で不用意に調理容器2の部分に触れた場合でも、やけどなどをする危険からユーザを保護することができる。
本実施形態のフードプロセッサーでは、ワークボウル2aが固着された状態で、カバー部材2bの底部がワークボウル2aの底面よりも下方側に延出するようになっていて、調理容器2を本体部1の載置台1c上に載置した際、カバー部材2bの延出部分が載置台1cの周辺部分1c2に位置するようになっている。このようにすることで、調理容器2を載置台1c上に載置した際に、載置台1cの中心位置と調理容器2の中心位置とを容易に一致させることができ、ワークボウル2aの底面中央の軸通筒12に正しく軸カバー11が嵌り込むようにすることができる。また、本実施形態のフードプロセッサーでは、載置台1cの中央部分1c1が高くなっていることで、載置台1c上に配置されたワークボウル2aの底面と載置台1cの裏側面に配置された誘導加熱コイルとの距離を小さくして、ワークボウル2aの加熱効率を高く維持することができる。
なお、本実施形態のフードプロセッサーの調理容器では、カバー部材2bと把手16とが樹脂で一体成型された構成を例示しているが、把手16の少なくともその一部分をカバー部材2bとは別の部材で構成することもできる。
蓋体3は、一例として透明なガラス材料または樹脂材料により形成されていて、調理容器2のワークボウル2a上側の開口部分を閉塞することが可能な略円板状の部材である。蓋体3の上面中央には、ユーザが蓋体を保持できるようにつまみ部17が形成されている。また、本実施形態のフードプロセッサーでは、蓋体3によって調理容器3の開口部分が密閉閉塞されてしまうと加熱調理中に調理容器2の内部空間の圧力が上昇するため、蓋体3には調理容器2内部の空間と外部とを連通する蒸気口18が配置されていて、蓋体3を装着した状態でも調理容器2の内部空間が密閉されないようになっている。
蓋体3の周辺部分には、蓋体3がワークボウル2aの上面を覆った際に、ワークボウル2aの鍔部13とカバー部材2bの上端とに当接可能な厚肉の枠部19が配置されている。枠部19には、カバー部材2bの把手16の上端部分と係合する第1の突起部19aと、本体部1の側面側上部1cの上端部に形成された溝部1dに係合する第2の突起部19bとが形成されていて、本体部1、調理容器2、蓋体3を一体化することができるようになっている。
図3は、本実施形態のフードプロセッサーの内部の構成を説明するための側断面図である。図3は、フードプロセッサーを調理容器2の把手16の中心線と本体部1の側面側上部1bの中心部とを結ぶ直線で分断した時の断面構成を示している。
図3に示すように、本体部1の本体下部1aの上面である載置台1cの中心部分を貫通して駆動軸5が配置されている。また、本体部1の側面側上部1bの内部にはモーター20が配置されている。モーター20のシャフト21に接続された回転板22の回転が、連動ベルト23によって駆動軸5の下端部に固定されたプーリー24に伝えられることで、駆動軸5が所定の回転数で回動する。このように、本実施形態のフードプロセッサーでは、モーター20、シャフト21、回転板22、連動ベルト23、プーリー24が、駆動軸5を回転させる回転機構を構成する。
モーター20のシャフト21は、モーター20の上方側にも伸びていて、発熱するモーター20の温度を下げるために、モーター20の上方に配置されるモーターファン25の回転軸と兼用されている。モーター20は、シャフト21を回転させることで駆動軸5を回転させると同時に、自身を冷却するためのモーターファン25を回転させる。
載置台1c上に突き出た駆動軸5は軸カバー11で覆われている。調理容器2が載置台1c上の所定の位置に載置されると、軸カバー11が調理容器2のワークボウル2a底部中央に形成された軸通筒12の内部に挿入され、駆動軸5が回転すると調理容器2の軸通筒12内部で軸カバー11が同様に回転する。
軸カバー11の上端部に、カッター4の中心軸であるカッター軸部4bを被せるように差し込むことで、軸カバー11の外表面とカッター軸部4bの内表面とが摺接されるとともに、軸カバー11とカッター軸部4bとに形成された凹凸部が嵌合するようになっていて、カッター4を駆動軸5の回転に伴って回転可能なように取り付けることができる。
このとき、調理容器2のワークボウル2a底部に形成された軸通筒12は、カッター軸部4bに形成された空洞部分の内側に差し込まれる状態となるため、軸通筒12はカッター4の回転の妨げとはならないようになっている。なお、カッター4には、そのカッター4を用いて行う調理目的に応じた形状のブレード4aが固着されている。本実施形態のフードプロセッサーでは、調理目的に応じて、図2、図3において図示した調理刃である切断用のブレード4aに限らず、円板に複数個の開口部と微小突起が形成されたおろし金や、板状または棒状の突起物などによる撹拌部材、パン生地などを捏ねる羽根状部材など、各種形状の部材がブレード4aに替わって固着されたカッター4を交換可能に装着できる。
その上方に調理容器2のワークボウル2aの底面が配置される載置台1cの裏面、すなわち、載置台1cの本体部1の内部側の面には、平面視したとき環状である誘導加熱コイル26が配置されている。誘導加熱コイル26は、その環状中心が駆動軸5に略一致するように配置されている。このように、誘導加熱コイル26の中心を駆動軸5と略一致させることで、誘導加熱コイル26をワークボウル2aの底面とほぼ同軸の状態で配置することができ、ワークボウル2aを効果的に暖めることができる。なお、誘導加熱コイル26の中心を駆動軸5と略一致させることで、誘導加熱コイル26は、駆動軸5の下端部に固着されたプーリー24とも略同軸状に配置されることになる。
本実施形態にかかるフードプロセッサーでは、本体下部1aの内部で、駆動軸5を回動可能に支持すると共に、シャフト21が回動可能な状態でモーター20を支持するベースプレート27が配置されている。ベースプレート27は、剛性の高いメッキ鋼板などの金属製部材で形成されていて、回転機構を構成するモーター20のシャフト21や駆動軸5が傾いたり、シャフト21と駆動軸5との間の距離が変動したりすることを防止して、連動ベルト23を介して、モーター20のシャフト21に接続された回転板22の回転を確実に駆動軸5に固定されたプーリー24へと伝えることができる。ベースプレート27は、その主面方向が水平方向となるように、本体下部1aの内部に略水平に配置されている。
また、本実施形態のフードプロセッサーでは、シャフト21の回転を駆動軸5に伝達する回転板22、連動ベルト23、プーリー24をベースプレート27の下面側に配置し、ベースプレート27の上面側にモーター20を配置している。なお、誘導加熱コイル26は、載置台1cの裏面に配置されているため、ベースプレート27の上面側に位置していて、モーター20と誘導加熱コイル26とは、いずれもベースプレート27の上面側で水平方向、すなわち、ベースプレート27の配置方向に平行となる位置に並ぶように配置されていることとなる。
本体下部1aのプーリー24の配置位置よりもさらに下側には、モーター20や誘導加熱コイル26などのフードプロセッサーの各部分へ必要な電源を供給する電源回路部品や、フードプロセッサーの各部分の状態を検出したり動作を制御したりする制御回路部品などの各種電気回路部品28が搭載された回路基板29が配置されている。
本実施形態にかかるフードプロセッサーでは、回路基板29上に配置された電気回路部品28の一つとしてのマイクロコンピュータが制御部としての機能を果たす。制御部であるマイクロコンピュータは、操作部8によりユーザから入力指示された調理内容にしたがって、温度センサ6からの信号として入力される調理容器の温度情報に基づいて、誘導加熱コイル26に投入される電力量を制御することで、調理容器2の温度を所定の温度となるように制御する。また、制御部は、モーター20のコイルに流れる電流量を直接制御することで、モーターの回転/停止と回転時の回転数とを制御し、回転機構を介して回転が伝えられる駆動軸5の回転を制御する。制御部が駆動軸の回転を制御することで、駆動軸とともに回転する調理容器2内のカッター4の回転を制御することができる。
なお、制御部は、上記例示したマイクロコンピュータで構成する場合に限られず、加熱手段から調理容器に加えられる熱量と、カッターを回転させる駆動軸の回転を制御することができる従来公知の制御回路手段、例えば、論理回路の組合せ等によって形成することも可能である。また、制御部は、制御プログラムや動作経歴などを記憶する記憶手段を備える構成とすることができる。さらにまた、上記では、制御部を回路基板29上に配置した例を示したが、制御部を操作部8の回路基板上、または、本体部内の他の部分に配置された電気回路基板上に配置することもできる。
回路基板29のさらに下方の本体下部1aの底面近傍には、回路基板29と操作部8との間の部分に、冷却ファンである本体ファン30が配置されている。また、本実施形態にかかるフードプロセッサーでは、本体ファン30の配置位置に対応して本体下部1aの底面に、底面吸気口31が形成されている。
本体ファン30は、底面吸気口31から外部の空気を吸い込んで、動作時に高温となる誘導加熱コイル26と発熱源となる回路基板29上に配置された電気回路部品28とに冷却風を送風する。なお、本実施形態のフードプロセッサーでは、本体ファン30の約半分が回路基板29と重なるように配置すると共に、回路基板29の端部であって本体ファン30の回転軸の上方に相当する位置に仕切り板32を形成し、本体ファン30からの冷却風が、誘導加熱コイル26と回路基板29上の電気回路部品28との双方に確実に供給されるようになっている。
本体下部1aの底面における底面吸気口31とは反対側の位置、すなわち、モーター20が配置されている位置の下方に相当する部分には、第1の排気口33が形成されている。第1の排気口33は、本体部1の上部に配置された上部吸気口7と本体部1の底面に配置された底面吸気口31とから本体部1内に吸入された冷却風の出口となる。
また、本実施形態のフードプロセッサーでは、回路基板29と対向する位置の本体部1の底面に、第2の排気口34が形成されている。第1の排気口33と第2の排気口34との間には、回路基板29の配置部分とモーター20配置部分の下方部分との空間を分離する隔壁35が配置されている。
本実施形態のフードプロセッサーでは、回転機構を支持するベースプレート27が、モーター20のシャフト21と駆動軸5との位置関係を規定してシャフト21の回転を駆動軸5へと確実に伝達させるための部材として機能すると同時に、ベースプレート27が、本体部1内の冷却風の通風経路の形成にも寄与して、本体部1内の発熱部品を効率的に冷却することができる。特に本実施形態のフードプロセッサーでは、より細かな温度制御を可能とするために、加熱手段として高温となる誘導加熱コイルを用いているため、本体部内部の空気の流れを制御して本体部内部の温度が異常な高温となることがないように配慮されている。
<フードプロセッサーの動作例>
以下、上記構成例を説明した本実施形態にかかるフードプロセッサーの動作例を説明する。
以下では、本願で開示するフードプロセッサーとして、「きざむ」、「飲むスープ」、「食べるスープ」、「あたため再加熱」の4つの調理モードを備えたものを例示して説明する。ここで、「きざむ」モードとは、従来のフードプロセッサーのように、加熱することなく食材を切断、撹拌等する調理モードである。「飲むスープ」モードとは、例えば、ポタージュスープ等の具材が細かく砕かれた状態で混じっている、比較的きめが細かく流動性が低いスープを調理するモードである。「食べるスープ」モードとは、例えば、ミネストローネ等の具材がその本来の形状を保ったまま液体状のスープに混じっているものであり、比較的きめが粗く流動性が高いスープを調理するモードである。「あたため再加熱」モードとは、一度冷えてしまったスープを温め直す調理モードである。
なお、本実施形態にかかるフードプロセッサーは、ユーザがこれらの調理モードでの調理を容易に指示することができるように、図1から図3を用いて説明した上述の構成例における操作部8に、上記4つの調理モードを指示するための操作ボタンを備えている。また、調理を一時的に中止する場合や、入力操作の取消が容易にできるように、「一時停止」ボタン、「取消」ボタンを備えている。
以下、具材をより細かく粉砕した状態のスープを調理する、「飲むスープ」モードでの調理を行う場合の動作例を説明する。
[第1の動作例]
図4は、本実施形態にかかるフードプロセッサーにおいて、「飲むスープ」モードでの調理を行う場合の動作を示すフローチャートである。また、図5は、「飲むスープ」モードでの調理時における、調理容器の温度と駆動軸の回転数との推移を示す図である。図5において、上段が調理容器の温度の推移を、下段がカッターを回転させる駆動軸の回転数の推移を、それぞれ示している。
ユーザは、ワークボウル2aをカバー部材2bの内部に収めて調理容器2として一体化した後、把手16を用いて調理容器2を本体部1の載置台1c上に載置する。次にユーザは、ワークボウル2a内の軸通筒12にカッター4を被せるようにセットし、ワークボウル2a内に被調理物としての所定量の水と具材とを投入する。さらにユーザは、調理容器2の開口部に蓋体3を装着した後、載置台1c上に載置した調理容器2を時計周りに少し回転させることで、前述した蓋体3の第2の突起部19bを本体部上部1bの溝部1dに係合させることができ、この状態が、調理容器2と蓋体3とが本体部1上に正しく載置された状態となる。なお、ユーザは、調理容器2内にカッター4を配置するとともに被調理物である水と具材とを投入し、蓋体3を閉じた状態で、調理容器2を本体部1の載置台1c上に載置することもできる。
ユーザが、被調理物を収容した調理容器2を載置台1c上に載置した後、操作部8の「飲むスープ」モードの開始を指示する調理ボタンを操作することで、「飲むスープ」モードでの調理が開始される。
図4に示すフローチャートにおいて、「飲むスープ」モードでの調理が開始されると、制御部は、まず調理容器2が載置台1c上に正しく載置されたか否かの載置確認を行う(ステップS01)。
載置確認は、例えば、載置台1c上にその先端部分が突出して配置されている温度センサ6が、載置された調理容器2の底面で押し下げられることを検出する機構によって行うことができる。また、本体上部1bの溝部1dに蓋体3の第2の突起部19bが係合されたことを検知する機構を設けて確認することもできる。
さらにまた、例えば、「飲むスープ」モードの調理ボタンが操作されてすぐに、制御部がモーター20の回転を制御して、カッター4を高速で短時間回転させて、蓋体3の隙間からの被調理物の吹きこぼれが無いことをユーザが確認できようにすることで、載置確認が行われるようにしてもよい。
載置確認(ステップS01)の結果、調理容器2が正しく載置されていない場合(「No」の場合)、制御部は、調理動作を中止し「飲むスープ」モードの調理を終了させる。この場合は、必要に応じて、例えば警告ランプや音声を用いて、ユーザに調理容器2が正しく載置されていないことを知らせるような警告表示を行う設定(ステップS07)とすることができる。
載置確認(ステップS01)の結果、調理容器2が正しく載置されていることが検出された場合(「Yes」の場合)、制御部は、誘導加熱コイル26に通電して調理容器2を暖める、図5に示した予備加熱工程を開始する(ステップS02)。
調理容器2内に投入された具材をなるべく小さく粉砕したスープを調理する「飲むスープ」モードでは、具材が十分に柔らかくなった後にカッター4で粉砕する調理プログラムとなる。このため、調理の開始時点からなるべく短時間で調理容器2内の水の温度を所定の温度(T1、一例として100℃)まで上昇させることが必要となり、予備加熱工程(ステップS02)では、制御部は、誘導加熱コイル26に最大限である100%の電力を連続的に印加投入する。
このとき、調理容器2の温度は、図5に示すように調理開始時の温度(T0)から上昇していく。また、予備加熱工程では、制御部はモーター20に電流を流さず、駆動軸5を回転させない。
なお、制御部は、温度センサ6からの信号出力を監視することで、例えば調理開始時の調理容器2の温度が所定の閾値(一例として、100℃)よりも高い場合や、誘導加熱コイル26から調理容器2に加えられる熱量に対して調理容器2の温度上昇が異常に速く、調理容器2内に所定量の水が供給されていない「空焚き」状態であることが疑われる場合等の、各種の異常が検出された場合(ステップS03で「Yes」の場合)には、必要に応じてユーザに異常を警告(ステップS07)した後、調理を終了する。
異常検出がされなかった場合(ステップS03で「No」の場合)、制御部は予備加熱工程における調理容器2の加熱を行い、所定の条件が満たされた場合に、次の間欠回転工程(ステップS04)に移行する。
予備加熱工程から間欠回転工程へと移行する所定の条件としては、例えば図5に示すように、制御部が、温度センサ6が検知する調理容器2の温度が所定の温度T2(<T1、一例として75℃)を超えたことを検知した場合を設定することができる。また、調理容器2の温度が、所定の温度T1に到達したことを検知してから、間欠回転工程に移行するように設定することも可能である。さらに、予備加熱工程の開始時からタイマーを動作させて、当該タイマーによって、予備加熱工程の開始から所定の時間(一例として8分間)が経過した場合に、予備加熱工程から間欠回転工程に移行するように設定することもできる。
なお、予備加熱工程から間欠回転工程への移行のタイミングは、間欠回転工程において、カッター4が被調理物として調理容器2内に投入された具材が暖まることで柔らかくなって、容易にほぼ一定の大きさに切断することができる状態になることを目安として決定することが好ましい。
間欠回転工程(ステップS04)において、制御部は、調理容器2の温度を所定の温度T1に維持することができるように、誘導加熱コイル26に投入する電力を調整する。具体的に制御部は、間欠加熱工程に移行した後、調理容器2の温度が温度T1に到達するまでの間は誘導加熱コイル26への投入電力を100%から徐々に低減させて、調理容器2の温度が一時的に温度T1を大きく上回る、いわゆるオーバーシュートが起きないように調整する。また、調理容器2の温度がT1に到達した後は、当該温度から所定の範囲内の温度(一例として±3℃)を維持できるように適宜必要な電力(30%〜70%出力)を連続して、または間欠的に誘導加熱コイル26に印加する。
間欠回転工程において制御部は、駆動軸5を、所定期間の回転期間t1(一例として45秒間)と、所定時間の停止期間t2(一例として45秒間)とを繰り返して、所定の回転数R2(一例として200r.p.m.)で間欠的に回転させる。
このように、間欠回転工程で調理容器2の温度を所定の温度T1に維持しながら、駆動軸5を間欠的に回転させることで、調理容器2内の被調理物は、比較的低速で回転するカッター4によってかき混ぜられると共に、一定以上の大きさの具材が切断される。このように、調理容器2を暖めながらカッター4を間欠的に回転させる間欠回転工程を設けることによって、後の高速回転工程において具材がカッター4によって微細に粉砕することができる状態になるように具材を芯まで加熱するに当たって、具材が調理容器2内面の底に溜まって焦げ付きを起こさないようにすることができる。また、大きな具材が切断されることで具材をほぼ一定の大きさに揃えることができ、後の高速回転工程で、具材を微細に粉砕することが容易となる。
間欠回転工程における、所定の温度T1と、回転期間t1と停止期間t2との長さは、例えば具材の深部にも十分熱が通った状態となっているなどのように、高速回転工程に移行する際の具材の状態が高速回転工程での処理に好ましい状態となることを基準に適宜定められる。本実施形態では、このような観点から、一例として、間欠回転工程の期間を20分間、回転期間と停止期間との長さをいずれも45秒間と設定している。なお、回転期間と停止期間の長さとが同じであることは必須ではなく、いずれかの長さを他方の長さよりも長くすることができる。
本実施形態のフードプロセッサーでは、制御部は、間欠回転工程の回転期間t1において、駆動軸5の回転数を一定の値R2で維持するのではなく、回転期間t1における駆動軸5の回転数をさらに詳細に制御して、図5に示すように、回転期間t1を副回転期間t11と副停止期間t12にさらに細分化した間欠回転駆動を行っている。
図6は、本実施形態のフードプロセッサーにおける、間欠回転工程での制御部の駆動軸の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、間欠回転工程に移行すると(START)、制御部は、まず工程期間タイマーをスタートさせる(ステップS101)。この工程期間タイマーは、間欠回転工程として設定された時間をカウントするもので、予備加熱工程から間欠回転工程に移行したときにスタートし、この工程期間タイマーが所定の時間(一例として20分間)をカウントすると、制御部は間欠回転工程を終了して次の高速回転工程へと移行する。
ステップS101で、工程期間タイマーをスタートさせた後に、制御部は、回転期間と停止期間とを繰り返す間欠回転工程での駆動軸5の回転を制御するために、回転期間タイマーをスタートさせる(ステップS102)。本実施形態のフードプロセッサーの場合、回転期間t1は、一例として45秒間であるため、回転期間タイマーは45秒間をカウントする。
回転期間t1において、制御部は、駆動軸5を副回転期間t11の間回転動作させ、副停止期間t12の間停止させる、細分化された間欠駆動を行う(ステップS103)。本実施形態の動作例では、副回転期間t11(ON時間)を一例として1.5秒間、副停止期間t12(OFF時間)を一例として0.7秒間として動作させている。
制御部は、この回転期間t1における細分化された間欠駆動を行いながら回転期間タイマーが所定時間経過を検知し、終了となるか否かを確認する(ステップS105)。回転期間タイマーが所定期間t1,本動作例では45秒間経過したことを検知すると(「Yes」の場合)、間欠回転工程における停止期間t2に移行するため、制御部は、停止期間t2をカウントする停止期間タイマーをONさせる(ステップS106)。本動作例では、停止期間t2も回転期間t1と同様に45秒間と設定されている。
停止期間タイマーを動作させた後、制御部は駆動軸5の回転を停止させて(ステップS107)、停止期間t2にはいる。なお、図5では、図面が煩雑となることを防ぐために、副回転期間t11が3回で回転期間t1となるように示されているが、本実施形態の場合、回転期間t1が45秒間であるのに対して細分化された間欠駆動の一周期が2.2秒(ON1.5秒+OFF0.7秒)であるため、実際には、一つの回転期間t1の中に、21回の副回転期間t11が含まれることとなる。
停止期間タイマーが、所定時間(t2、45秒間)が経過するまで(ステップS109で「No」の場合)、制御部は駆動軸5を停止させた状態を維持し、停止期間タイマーが、所定時間(t2、45秒間)が経過したことをカウントすると(ステップS109で「yes」の場合)、制御部は、ステップS102に戻って、再び間欠回転期間における回転期間t1の動作を行う。
なお、回転期間t1中に、工程期間タイマーが終了し、所定の期間(20分)が経過したことを検出した場合(ステップS104で「Yes」の場合)は、制御部は、間欠回転期間での動作を終了させて(END)、後述の高速回転期間へと移行する。
また同様に、停止期間t2中に、工程期間タイマーが終了し、所定の期間(20分)が経過したことが検出された場合(ステップS108で「Yes」の場合)は、制御部は、間欠回転期間での動作を終了させて(END)、後述の高速回転期間へと移行する。
このように、本動作例の場合、制御部は、図6に示すフローチャートにしたがって、駆動軸5を間欠駆動する間欠回転工程における一つの回転期間内で、駆動軸5を回転させる副回転期間と駆動軸5を停止させる副停止期間とを繰り返す細分化された間欠駆動を行う。このように、間欠回転工程における回転期間に副回転期間と副停止期間とに分けた間欠駆動を行うことで、回転期間において所定の回転数で連続した回転を行う場合と比較して、カッター4の回転によって生じる調理容器2内の水流を小さくすることができる。このため、液体に比較的小さな具材が混じった「飲むスープ」モードで調理される被調理物の場合でも、具材を、調理容器2の水流による舞い上がりを抑えて底面近傍に位置させることができ、具材に加熱手段である誘導加熱コイル26からの熱が十分に伝わると共に、水流で具材を移動させることができるので、具材が調理容器2の底面に焦げ付いてしまうことを防止できる。この結果、大きな具材や硬い具材が投入されている場合でも、十分に柔らかくなった状態で後の高速回転工程に移行でき、高速回転工程で具材を良好に粉砕することができる。さらにまた、回転期間において連続してモーター20が回転しないため、調理時の動作音を低減することができる。
図6に示すフローチャートにしたがって間欠回転工程での動作が終了すると、制御部は、図4のフローチャートにステップS05として示す高速回転工程へと移行する。
図5に示すように、高速回転工程では、制御部は、調理容器2の温度を所定温度T1に維持した状態で、駆動軸5を間欠回転工程での回転数よりも早い回転数R1(一例として、300r.p.m.)で、期間t3(一例として1分間)の間回転させる。高速回転工程において制御部は、調理容器2の温度を所定の温度T1(一例としての100℃)から所定の範囲内の温度(一例として±3℃)を維持できるように、誘導加熱コイル26に適宜必要な電力(30%〜70%出力)を連続して、または間欠的に印加する。
このように、調理容器2の温度を所定温度T1に保った状態で駆動軸5によりカッター4を高速回転させることで、間欠回転工程で芯まで十分に加熱されて柔らかくなると共に、ほぼ一定の大きさになるように切断されていた状態の具材を、微細な粒子状に裁断することができる。この結果、スープの中に微細な具材の食感が残った「飲むスープ」を調理することができる。
所定の時間t3が経過して高速回転工程が終了すると、制御部は、駆動軸5の回転を停止させて、保温工程に移行する(ステップS06)。
保温工程では、調理容器2の温度を調理中の間欠回転工程や高速回転工程での設定温度T1よりも少し低い保温温度T3(一例として80℃)に保つことで、ユーザは、調理の完了から少し時間が経過した後でも、暖かい「飲むスープ」を堪能することができる。
なお、本動作例では、保温工程では制御部は駆動軸5の回転を停止した状態としているが、「飲むスープ」モードでの調理設定が、比較的具材が大きい粒子状で残るさらさら感を求めたスープを調理する設定となっている場合などでは、所定時間以上が経過した場合に、低速で短時間、カッター4を回転させて調理容器2の底面部分に粒子状の具材が沈降して固まってしまうことを防止するように設定することも可能である。
高速回転工程が終了した直後、もしくは、一定時間の保温工程を経た後に、ユーザが調理終了を示す「取消」ボタンを押すことで、制御部は、誘導加熱コイル26への通電を停止させ、駆動軸5が回転している場合にはこれを停止させて、「飲むスープ」モードを完了させる。
以上説明したように、本実施形態に示すフードプロセッサーでの動作モードでは、制御部が、予備加熱工程、間欠回転工程、高速回転工程を経ることで、具材が微細な粒子状に粉砕されて混じるポタージュスープなどの「飲むスープ」を、自動的に調理することができる。
このとき、特に、間欠回転工程における駆動軸が回転する回転期間において、駆動軸を一定の回転数で連続して回転させるのではなく、副回転期間と副停止期間とにさらに詳細に分割した間欠駆動を行う。このような動作制御を行うことで、本実施形態のフードプロセッサーでは、間欠回転工程において、調理容器内に大きな水流が生じて具材が舞い上がってしまうことを防止し、具材を調理容器の底面近傍に位置させて十分に熱が加わるようにすることができる。また、駆動軸を回転させる時のモーターの動作音を低減して調理を行うことができる。
[第2の動作例]
以下、本実施形態にかかるフードプロセッサーにおける、動作例の変形例としての第2の動作例について説明する。
図7は、第2の動作例における調理容器の温度と駆動軸の回転数の推移を示す図であり、図7において、上段が調理容器の温度の推移を、下段がカッターを回転させる駆動軸の回転数の推移を、それぞれ示している。図7は、第1の動作例における図5に相当する図である。
この第2の動作例は、「飲むスープ」モードでの調理時における制御部の動作であるため、予備加熱工程、間欠回転工程、高速回転工程、さらに保温工程を経て「飲むスープ」を調理するという基本的な制御内容は、上記[第1の動作例]として示した制御動作と同じである。このため、[第2の動作例]においても、制御部は、図4で示す「飲むスープ」モードでの基本調理のフローチャートにしたがって動作する。また、間欠回転工程と高速回転工程における調理容器の設定温度T1とT2、保温工程における設定温度T3、間欠回転工程における回転期間t1と停止期間t2の長さ、高速回転工程における高速回転期間t3の長さ、間欠回転工程における回転期間での回転数R2、高速回転工程における回転数R1は、いずれも、図5に示す第1の動作例の場合と同じとなっている。
図7で示す第2の動作例も、ユーザが、ワークボウル2aの軸通筒12にカッター4を被せるようにセットし、ワークボウル2a内に被調理物としての所定量の水と具材とを投入して、操作部8の「飲むスープ」モードの調理ボタン8aを操作することで、「飲むスープ」モードでの調理が開始される。
図4に示すフローチャートにしたがって、「飲むスープ」モードでの調理が開始されると、制御部は、載置確認(ステップS01)の後、誘導加熱コイル26に通電して、調理容器2を暖める予備加熱工程(ステップS02)を開始する。予備加熱工程では、誘導加熱コイル26に100%の電力が連続して投入される。そして、所定の条件が満たされた場合、例えば、温度センサ6が検知する調理容器2の温度が所定の温度T2(一例として75℃)を超えたことを検知したことにより、制御部は、間欠回転工程に移行する。
間欠回転工程(ステップS04)において、制御部は、誘導加熱コイル26に投入する電力を調整することで調理容器2の温度を所定の温度T1に維持する。例えば誘導加熱コイル26に印加される電力は、100%出力から徐々に低減して30%〜70%出力とされ、これを連続してまたは間欠的に印加することで、調理容器2の温度が所定の温度T1に対して一定の範囲(一例としての±3℃)に維持される。
また、間欠回転工程で制御部は、モーター20のコイルに流す電流を制御することで、駆動軸5を所定期間の回転期間(t1、一例として45秒間)と、所定時間の停止期間(t2、一例として45秒間)とを繰り返して、所定の回転数(R2、一例として200r.p.m.)で間欠的に回転させる。そして、第2の動作例においても、制御部は、間欠回転工程の回転期間t1において副回転期間と副停止期間とにさらに細分化した間欠回転駆動を行っている。
図8は、第2の動作例における制御部の駆動軸の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。図8は、第1の動作例における図6に相当するものである。
図8に示すように、間欠回転工程が開始される(START)と、制御部は工程期間タイマーをスタートさせる(ステップS201)。この工程期間タイマーは、間欠回転工程として設定された時間をカウントするもので、予備加熱工程から間欠回転工程に移行したときにスタートし、この工程期間タイマーが所定の時間(一例として20分間)をカウントすると、制御部は間欠回転工程を終了して高速回転工程へと移行する。
ステップS201で、工程期間タイマーをスタートさせた後に、制御部は、回転期間と停止期間とを繰り返す間欠回転工程での駆動軸5の回転を制御するために、回転期間タイマーをスタートさせる(ステップS202)。本実施形態のフードプロセッサーの場合、回転期間t1は、一例として45秒間であるため、回転期間タイマーは45秒間をカウントする。
回転期間t1における最初の副回転期間では、制御部は、所定の時間(t13、一例として1秒間)、副回転期間の所定の回転数R2(一例としての200r.p.m.)よりも低速のプレ回転数R3(一例として100r.p.m.)で動作させるプレ回転期間を設ける(ステップS203)。
期間t13(一例として1秒間)のプレ回転期間が終了した後、制御部は、駆動軸5を間欠的に駆動して副回転期間t14と副停止期間t15を備えた間欠駆動を行う。このときの駆動軸5の回転動作は、一例としてON時間である副回転期間t14が1.5秒、OFF時間である副停止期間t15が0.7秒である(ステップS204)。
図7に示すように、第2の動作例において制御部は、複数回が繰り返される副回転期間t14、t16の全ての期間で、最初から所定の回転数R2での回転を行うのではなく、副回転期間t14、t16の終了時に所定の回転数R2となるように、回転数を段階的に増加させていくという制御を行う。このため、プレ回転期間t13終了直後の1回目の副回転期間t14では、プレ回転期間t13での回転数R3から所定の回転数R2まで徐々に回転数を増加させる。また、副停止期間t15の後の2回目以降の副回転期間t16では、停止状態(回転数0r.p.m.)から所定の回転数R2まで、徐々に回転数を増加させる。
その後、制御部は、停止状態から所定の回転数R2まで徐々に回転数を増加させる副回転期間と、回転を停止させる副停止期間とを繰り返す間欠駆動を行いながら、回転期間タイマーが所定時間経過(一例としての45秒間)を検知し、終了となるか否かを確認する(ステップS206)。なお、図5と同様に、図面の煩雑化を避けるために、図7においても3回目の副回転期間終了時に回転期間t1が終了するように図示しているが、本実施形態の場合、回転期間45秒間に対して、プレ回転期間t13が1秒間で、細分化された間欠駆動の一周期が2.2秒(1.5秒+0.7秒)であるため、実際には、一つの回転期間t1の中に、20回の副回転期間t14、t16が含まれることとなる。
回転期間タイマーが所定期間t1、本動作例では45秒間経過したことを検知すると(「Yes」の場合)、間欠回転工程における停止期間t2に移行するため、制御部は、停止期間をカウントする停止期間タイマーをONさせる(ステップS207)。本動作例では、停止期間t2も回転期間t1と同様に45秒間と設定されている。
停止期間タイマーを動作させた後、制御部は駆動軸5の回転を停止させて(ステップS208)、停止期間t2にはいる。
停止期間タイマーが、所定時間(t2、45秒間)が経過するまで(ステップS210で「No」の場合)、制御部は駆動軸を停止させた状態を維持し、停止期間タイマーが、所定時間(t2、45秒間)が経過したことを検出すると(ステップS210で「yes」の場合)、制御部は、ステップS202に戻って、再び間欠回転期間における回転期間の動作を行う。
なお、回転期間t1中に、工程期間タイマーが終了し、所定の期間(20分)が経過したことを検出した場合(ステップS205で「Yes」の場合)は、制御部は、間欠回転期間での動作を終了させて(END)、次の高速回転期間へと移行する。
また、同様に、停止期間t2中に、工程期間タイマーが終了し、所定の期間(20分)が経過したことを検出した場合(ステップS209で「Yes」の場合)は、制御部は、間欠回転期間での動作を終了させて(END)、次の高速回転期間へと移行する。
このように、本動作例の場合、制御部は、図8に示すフローチャートにしたがって駆動軸を間欠駆動する間欠回転工程における一つの回転期間内で、最初に一定期間、回転期間における所定の回転数よりも低い回転数で駆動軸を回転させるプレ回転駆動を行い、その後、駆動軸を回転させる副回転期間と駆動軸を停止させる副停止期間とを繰り返す細分化された間欠駆動を行う。また、制御部は、それぞれの副回転期間において、最初から所定の回転数での回転を行うのではなく、副回転期間の最後に所定の回転数に到達するように、それぞれの副回転期間において回転数を段階的に増加させる制御を行う。
上記説明した第1の動作例とは異なり、副回転期間において制御部が、その冒頭から所定の回転数での回転を行うのではなく、段階的に回転数を増加させて副回転期間の最後に所定の回転数に到達する回転制御を行うことで、副停止期間から副回転期間への移行時に、停止していた被調理物が急激に撹拌されることを防止することができる。このため、カッターの回転に伴って、調理容器内に溜まっていた蒸気と共に被調理物が蒸気口である通気孔から飛び出してしまうという不所望な事態を回避することができる。
なお、それぞれの回転期間の最初は、停止期間の間カッターの回転が停止されていた直後の状態であるため、副停止期間終了直後の副回転期間開始時の状態よりも、さらに長い期間カッターが停止していたこととなる。このため、回転期間の冒頭の期間は、カッターを急激に回転した場合に被調理物が蒸気と共に蒸気口から外部へと飛び出すおそれがより高まっている状態と言うことができる。そこで、本第2の動作例のように、間欠回転工程の回転期間の冒頭に、間欠回転工程での所定の回転数よりも低い回転数で一定の期間カッターを回転させるプレ回転期間を設けることで、より効果的に、被調理物の蒸気口からの飛び出しを防止することができる。なお、プレ回転期間を設けることで所定の効果が得られる原因については、はっきりとは判明していないが、比較的長い間カッターが回転していなかったことで、被調理物の中に気泡が混じり込みやすく、プレ回転期間の低速回転によって、この被調理物内部の気泡を除去できるからではないかと推定できる。このため、プレ回転期間を設けるに当たり、プレ回転期間での回転数と、プレ回転期間の長さを定めるにあたっては、被調理物であるスープとなる液体の粘度や具材の大きさ等との関係から、これらの被調理物が加熱されることにより生じる気泡が、どのくらい被調理物内部に留まりやすいのかという観点から設定することが好ましい。
図8に示すフローチャートにしたがって間欠回転工程での動作が終了すると、制御部は、図4のフローチャートにステップS05として示す高速回転工程へと移行する。
図7に示すように、高速回転工程で駆動部は、調理容器2の温度を所定温度T1に維持した状態で、駆動軸5を間欠回転工程での回転数よりも早い回転数R1(一例として、300r.p.m.)で、期間t3(一例として1分間)の間回転させる。このとき、図7に示すように制御部は、高速回転工程の開示時点から徐々に回転数を増加させていって、一定時間経過後、例えば、高速回転期間の長さ1分間のうちの最初の10秒間が経過したときに所定の回転数R1に到達するように制御する。
第2の動作例では、第1の動作例で示したように、高速回転工程の開始と同時に所定の回転数R1での駆動軸5の回転を開始させるのではなく、制御部は、高速回転工程においても徐々に回転数を増加させるように制御している。このようにすることで、高速回転工程で必要とされるカッターの回転数を確保しつつ、停止状態か、もしくは、より低い回転数で回転していた状態であった高速回転工程への移行前の状態から一気にカッターを高速回転させた場合に生じる、被調理物の蒸気口からの外部への飛び出しを効果的に低減することができる。
このように、調理容器の温度を所定温度T1に保った状態でカッターを高速回転させることで、間欠回転工程で芯まで十分に加熱されて柔らかくなると共に、ほぼ一定の大きさに切断されていた状態の具材を、微細な粒子状に裁断することができる。また、このとき、調理容器内に溜まっていた蒸気と共に、具材が蒸気口から外部へと飛び出してしまうことを防止することができ、スープの中に微細な具材の食感が残った「飲むスープ」を吹きこぼれ等の不所望な事態を生じさせることなく調理することができる。
高速回転工程が終了すると、制御部は、モーターの回転を停止させて保温工程に移行し(ステップS06)、その後、調理プログラムを終了する。
このように、図7および図8を用いて説明した本実施形態のフードプロセッサーにおける第2の動作例では、制御部は、間欠回転工程の回転期間における副回転期間において、駆動軸の回転数を段階的に増加させて所定の回転数となるように制御する。このようにすることで、副回転期間の開始時に被調理物である具材が、調理容器内の蒸気と共に、蒸気口から外部へと飛び出してしまうことを効果的に防止することができる。
また、制御部は、それぞれの回転期間の最初の副回転期間の開始前に、駆動軸を副回転期間での回転数よりも低速で一定期間回転させる。このようなプレ回転期間を設けることで、比較的長時間停止していたカッターを回転させるために蒸気口からの具材の飛び出し出しがより生じやすい間欠回転工程の回転期間の開始時でも、具材の飛び出しを効果的に防止することができる。
さらにまた、高速回転工程における駆動軸の回転開始時においても、駆動軸の回転を段階的に増加させる制御を行うことで、高速回転工程への移行時においても、蒸気口からの具材の飛び出しを効果的に防止することができる。特に、ユーザが、所定の範囲量以上の被調理物を投入して調理を開始してしまった場合や、「飲むスープ」モードでの調理が開始されてからしばらく経過した後に具材を追加したため、カッターが回転した際に具材が想定のとおりに柔らかくなっていない場合など、蒸気口からの具材の飛び出しが生じやすい場合であっても、これを効果的に防止することができる。この結果、ユーザが想定外の使用方法で使用した場合でも具材の飛び出しという不所望な事態を効果的に回避することができる、より安全性の高いフードプロセッサーを実現することができる。
なお上記した第2の動作例では、副回転期間と高速回転工程において、制御部が、駆動軸の回転数を連続的に直線状に増加させる場合を例として説明した。しかし、第2の動作例において、駆動軸の回転を段階的に増加させる制御方法としては、回転数を時間の経過と共に同じ比率で直線状に増加させる場合には限られず、増加率が変化しながら回転数が増加する、すなわち、時間の経過と共に回転数が曲線状に増大するような制御を行うことができる。この場合において、制御部は、回転数の増加度合いが徐々に減少する場合、すなわち、回転数を示すグラフが上に凸の曲線状となる場合、また、回転数の増加度合いが徐々に大きくなる場合、すなわち、回転数のグラフが下に凸の曲線となる場合のいずれの制御も可能である。また、制御部が、回転数の増加期間の内の一部の期間においてのみ直線状に回転数が増加するように制御することもできる。
さらに、制御部は、回転数の増加が連続的に漸次増加するような制御に限らず、2段から数段の階段状に、不連続な増加度合いで回転数が増加するように制御することができる。
また、上記した第2の動作例では、制御部がプレ回転期間において、最初から所定の回転数R3で駆動軸を回転させる制御例を説明したが、これに限られず、制御部は、プレ回転期間においても連続的にまたは階段状に、回転数を増加させるように制御することができる。
さらに、上記第2の動作例では、副回転期間において、副回転期間の最後に所定の回転数(上記例におけるR2)に到達するように回転数を増加させる制御を行うことを例示したが、制御部は、副回転期間の中間部分で所定の回転数に到達して、その後副回転期間が終了するまでの間は当該所定の回転数での回転を行うように制御することもできる。
さらにまた、上記した第2の動作例では、制御部が、回転期間の最初にプレ回転期間を設け、副回転期間と高速回転工程との両方において駆動軸の回転数を段階的に増加させる制御を行う場合を説明した。しかし、本開示のフードプロセッサーにおける制御部での制御動作は、上記第2の動作例の動作に限定されるものではない。例えば、副停止期間の長さが短い場合や、具材の種類や量などの関係から、ある程度の時間にわたってカッターが停止した状態であっても被調理物内での気泡の発生が抑えられることなどによって、最初の副回転期間において、段階的に回転数を増加させる制御のみで具材の吹き出しを確実に防止できるのであれば、プレ回転期間を設ける必要はない。
また、上記第2の動作例では、間欠回転工程における複数の副回転期間全てにおいて、回転数を段階的に増加させる制御を行う場合を例示したが、制御部は、複数の副回転期間の全てで回転数を段階的に増加させる制御を行うことは必須ではない。特に回転期間の最初にプレ回転期間を設けた場合には、回転期間の後半部分の副回転期間では回転数を増加させる制御を行わなくても、具材の飛び出しを防止できる場合がある。
また、高速回転期間移行時に具材が十分に小さくなっている場合や、被調理物の量がもともと少ない場合など、高速回転工程において駆動軸の回転数を段階的に増加させる制御を行わなくてもよい場合も存在する。
このように、第2の動作例での調理を行う場合には、被調理物における具材の種類や大きさ、全体量、カッターの停止期間の長さなどを勘案して、具材の飛び出しを効果的に防止できるように制御部が駆動軸の回転制御を行うことが好ましい。
[その他の調理モードでの制御]
ここで、「食べるスープ」モードや、「あたため再加熱」モードなど、「飲むスープ」モード以外の調理モードにおける駆動軸の回転制御について説明する。
「食べるスープ」モードでは、「飲むスープ」モードのように具材を細かい粒子状に粉砕しない。「食べるスープ」モードにおいて、調理開始のボタン操作の後、載置確認を行った後に、制御部は、駆動軸5を停止させた状態で誘導加熱コイル26に電力を投入する加熱工程に移行する。
この加熱工程では、誘導加熱コイル26を用いて、調理容器2の温度が所定の温度T1(一例として100℃)となるように加熱し、その状態を維持する。このため、制御部は、誘導加熱コイル26に対し、最初は100%の電力を投入した後、調理容器2の温度が所定の温度T1に近づくと徐々に投入電力を小さくし、その後30%から70%程度の電力を連続的または間欠的に投入して調理容器2の温度制御を行って、被調理物の加熱を続ける。
具材が十分に柔らかくなるなど、「食べるスープ」が調理できたと判断できる時間が経過することを確認すると、制御部は必要に応じて保温工程に移行した後、「食べるスープ」モードでの調理を終了する。
このように、「食べるスープ」モードでは、具材をそのままの状態で残すことが必要となるため、基本的な調理プログラムにおいては、調理工程期間の全体において積極的に駆動軸5を回転させることはない。
しかし、大きすぎる具材を一定の範囲内の大きさに切断する必要がある場合や、加熱途中で調理容器2の底部に具材が焦げ付いてしまうことを防止するために、「食べるスープ」モードにおいても、低速でかつ間欠的に駆動軸5を回転させる場合がある。このような場合、駆動軸5を間欠的に回転させる工程中の所定の期間駆動軸を回転させる回転期間において、上記「飲むスープ」モードでの制御と同じように、制御部は、回転期間を副回転期間と副停止期間とにさらに細分化した間欠駆動を行うことができる。このようにすることで、回転期間に連続して駆動軸を回転させる場合と比較して、カッターによって具材を必要以上に切断してしまって、「食べるスープ」の特徴である具材の形を維持することができなくなってしまうというおそれを回避できる。また、モーターの動作音を低減することができる。
「あたため再加熱」モードでは、調理済みのスープを再び温めることが目的となるため、制御部は誘導加熱コイル26に電力を投入して調理容器2を暖めるのみで、駆動軸5を回転させてカッター4を回転させる制御を行わないことが基本となる。
しかし、「飲むスープ」を再加熱する場合に、細かな粒子状の具材が調理容器2の底部に固まってしまって焦げ付いてしまうことを防止する場合や、「食べるスープ」モードでより効率的に短時間でスープを温めたい場合などにおいて、低速でかつ間欠的に駆動軸5を回転させる場合がある。このような場合でも、駆動軸5を間欠的に回転させる工程中の所定の期間駆動軸を回転させる回転期間において、上記「飲むスープ」モードでの制御と同じように、制御部は、回転期間を副回転期間と副停止期間とにさらに細分化した間欠駆動を行うことができる。このようにすることで、回転期間に連続して駆動軸を回転させる場合と比較して、具材が調理容器の底部に焦げ付いてしまうことを防止することができ、また、カッターによって具材を必要以上に切断してしまって「食べるスープ」の特徴である具材の形を維持することができなくなってしまう、というおそれを回避できる。また、モーターの動作音を低減することができる。
このように、本開示にかかるフードプロセッサーの駆動軸の回転制御は、さまざまな調理プログラムにおいて、カッターを間欠的に回転させる場合に適用することができる。
以上、各種の調理モードを含めた具体的な動作例を示して説明したように、本開示にかかるフードプロセッサーでは、調理容器を過熱している状態で駆動軸を間欠的に回転させる間欠回転工程における回転期間で、制御部が、回転期間を副回転期間と副停止期間とに細分化した間欠回転駆動をおこなう。このようにすることで、間欠回転工程の回転期間において、大きな水流が生じて具材が舞い上がってしまったり、必要以上に具材が切断されてしまったり、またモーターの動作音が大きくなってしまったりする不所望な状態を効果的に回避することができる。
また、調理容器を加熱した状態で、細分化された間欠駆動における副回転期間や、高速回転期間などの、駆動軸の回転が高速回転へと変化する場合において、制御部が、駆動軸の回転を段階的に増加するように制御することで、調理容器内の蒸気と共に被調理物の具材が、蒸気口から外部に飛び出してしまうことを効果的に防止することができる。
さらにまた、調理容器を過熱した状態で、比較的長時間停止していた駆動軸を回転させる最初の期間前に、所定の回転数よりも低速回転で一定期間駆動軸を回転させるように制御する。このようにすることで、例えば、長時間の停止状態において被調理物内に溜まった気泡を逃がすことができ、蒸気口からの被調理物の飛び出しをさらに効果的に防止することができる。
以上の説明において、本開示にかかるフードプロセッサーとして、駆動軸の回転制御を、モーターのコイルに流す電流量を直接調整することで制御する構成について説明した。この場合には、モーターの動作回路として例えばインバータ回路を用いることができる。また、その他にも、変速機を用いるなど、モーターの回転数を所定の値に制御する既知のさまざまな方法を利用して、駆動軸の回転を制御することができる。
また、上記説明では、加熱手段として誘導加熱コイルを用いたいわゆるIH方式の加熱手段を備えたものを例示したが、これに限られず、抵抗加熱方式のヒータによって、調理容器を加熱する方式を採用することもできる。
さらに、上記説明において、温度センサとして調理容器の底面に接触してその温度を検出するものを例示したが、温度センサは、調理容器の底面以外の温度を検出する構成でもよく、また、赤外線を利用するなどして調理容器に直接接触せずに所定の間隔を有した状態で調理容器の温度を検出する手段を利用することができる。
また、フードプロセッサーの全体構成として、本体部の載置台の側方に側面側上部が形成され、側面側上部の内部にモーターが配置され、モーターのシャフトと駆動軸を回転させるプーリーとが連動ベルトで連動して回転する構成を例示した。しかし、本開示のフードプロセッサーにおいて、本体部の外観形状や、モーターの回転を駆動軸に伝える回動機構に制限はなく、例えば、本体部としてその上面全体が載置台となるような形状とするとともに、本体部内部のモーターの回転軸と駆動軸とを一体化して、モーターの回転を直接的に駆動軸に伝えるような構成とすることもできる。
さらに、モーターと駆動軸を一体化しない構成としても、上記実施形態で説明したベースプレートを備えた構成には限られず、例えば、モーターと駆動軸とをそれぞれ別々の部材を用いて、本体部内部で支持する構成とすることができる。さらに、上記構成例では、駆動軸に固着されたプーリーに、モーターの回転を伝達する伝達部材として、シャフトに固着された回転板とプーリーとを連動させる連動ベルトとを用いる構成としたが、例えば、回転板を設けずに連動ベルトをモーターのシャフトに直接巻き付けて、プーリーを回転させる構成とすることができる。
また、上記例では、電動調理器の例としてカッターが交換可能なフードプロセッサーを例示して説明したが、本発明は、他の電動調理器、例えば、いわゆるジューサーと称されるカッターが交換可能でない電動調理器に適用することができる。さらに、いわゆるミルや脱穀器など、調理容器と調理容器内で回転して各種調理を行うカッターを備え、被調理物を加熱する調理プログラムが設定可能な各種電動調理器に適用することができる。