JP2016050301A - 熱伝導性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂の優れた硬化物特性と、熱伝導性樹脂組成物に求められる熱伝導性を備えた、低温硬化性と優れた貯蔵安定性をも備える熱伝導性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)〜(E)成分を含む熱伝導性樹脂組成物。(A)分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物100質量部に対し、(B)アミンアダクト型熱潜在性硬化剤5〜50質量部(C)ホウ酸エステル化合物又は亜燐酸化合物0.01〜0.75質量部(D)次式で表されるフェノール化合物0.1〜5質量部(E)熱伝導性粉体400〜1200質量部
【選択図】なし

Description

本発明は熱伝導性を有する樹脂組成物に関するもので、特に一液加熱硬化型の組成物でありながら、良好な貯蔵安定性を有する熱伝導性の樹脂組成物である。具体的には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミンアダクト型熱潜在性硬化剤、および熱伝導性粉体からなる樹脂組成物の系において、ホウ酸エステル化合物、または特定構造の亜燐酸化合物と、特定構造の酸化防止剤を所定の比率で含有することにより、特に良好な貯蔵安定性を発現することができる、というものである。
近年、電子部品の小型化、軽量化への要求に伴い、半導体を実装した回路基板の高密度化や軽量なプラスチック材料の多用化が進んでいる。回路基板を高密度化するためには、半導体より発生した熱を効率よく拡散させることが必要であり、熱伝導性の低いプラスチック材料の多用化に対しては、熱を効率よく放出させることが求められている。また電子部品の使用環境の多様化に伴い、防汚、防水といったパッケージング技術への要求も高まっており、回路基板は熱が逃げにくい構造となっている。これらの背景より、回路基板には発生した熱を効率よく逃がす事を考慮した設計が重要であり、半導体と放熱部材との間に使用される接着剤には高い熱伝導性が望まれている。
さらに電子部品の小型化に伴い、構成する部品も精密な加工精度が必要となることから、これらを接着するための接着剤には、微小塗布に対応するためにある程度低粘度化する必要があるが、同時に当該接着剤が加熱時に流出することなどを防ぐため、所定の粘性を確保できるような粘度安定性の確保が求められている。加えてプラスチック材料の接着に用いる接着剤に求められる特性として、当該プラスチック材料にダメージを与えない程度の温度である、80〜120℃程度という比較的低温での硬化特性と、プラスチック材料に対する良好な接着性が求められている。
これらの条件を備えた接着剤としては、固体のアミンアダクト化合物を熱潜在性硬化剤として含む、エポキシ樹脂組成物が知られている。ここで、接着剤に高い熱伝導性を付与するには一般に、モース硬度の高い熱伝導性粉体を組成物中に高度に充填する必要がある。当該接着剤として前記のエポキシ樹脂組成物を用いた場合には、製造時や使用時の混練工程において、多量に含まれる熱伝導性粉体により前記固体の潜在性硬化剤の表面が研削されてしまい、当該潜在性硬化剤の活性が向上することにより組成物の貯蔵安定性が低下する、という問題点があった。特に80℃以下で硬化が可能な低温硬化型の一液性エポキシ樹脂組成物に使用される潜在性硬化剤では、その影響が顕著となる。
熱伝導性を有する樹脂組成物としては特許文献1、2の様に、エポキシ基を有するエポキシ樹脂とポリフェノール化合物を硬化性成分として、熱伝導性を有する充填剤を高充填した系が知られている。これらの樹脂組成物は主に、半導体デバイスのパッケージに用いる封止材料として知られており、エポキシ樹脂とポリフェノール化合物を反応させるためには、170〜200℃と高温で且つ長時間加熱する必要があるため、前述の要件を満たさず低温速硬化の用途には適さない。他方で特許文献3には、80〜100℃程度での低温で硬化可能な熱伝導性樹脂組成物が提案されている。しかしこれらの樹脂組成物は、−20℃という冷凍環境下での保管が必要であり、25℃以上の温度環境下では粘度の安定性が著しく低下するため、微小塗布への適用は困難である。
これらの問題点を解決するため、低温硬化が可能で且つ貯蔵安定性の高い、様々な放熱性エポキシ系の樹脂組成物が提案されている。例えば特許文献4では、低温で硬化が可能なアミン系潜在性硬化剤を含んでなるエポキシ樹脂組成物において、保存安定化剤として非イオン性界面活性剤を用いることが提案されている。しかしながら当該樹脂組成物の貯蔵安定性に関しては、20℃でのゲル化有無の評価のみにとどまり、安定塗布性に必要なパラメータである粘度変化率に関しては言及されていない。次に特許文献5では、エポキシ樹脂組成物の低温硬化性と貯蔵安定性を両立するための硬化剤成分として、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いることが提案されているが、当該組成物も常温での貯蔵安定性は十分なものではなかった。
特許文献6では、イミダゾールアダクト系硬化剤とホウ酸エステル化合物、フェノール樹脂を併用したエポキシ樹脂組成物を用いることにより、低温硬化性と貯蔵安定性を両立している。しかしながら当該組成物は、熱伝導性を有する粉体の添加量がエポキシ樹脂の添加量に対し50質量%以下と低いものであり、十分な熱伝導性をもたせられるよう熱伝導性粉体を高充填した場合における貯蔵安定性については、何ら言及がない。さらに、特許文献7では、熱伝導性の粉体であるアルミナとホウ酸トリメチル等を含む、一液の加熱硬化性エポキシ樹脂組成物が実施例3などに開示されている。しかしながら当該組成物は、貯蔵安定性を確保するために硬化剤成分としてマイクロカプセル化したアミン化合物を用いなければならず、このため硬化条件として120℃以上に加熱する必要があり、低温硬化に適したものではない。
特許文献7では、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤等を組み合わせてエポキシ系の熱伝導性樹脂ペーストの熱劣化抑制に用いることで、それぞれ単独で用いたときよりも高い効果が発揮されることが開示されている。しかしながら実際には、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤をどのような組み合わせであっても相乗効果を発揮できるものではなく、所定の化学構造を有する物質の組み合わせでなければ有意に作用するものではない。
特開平6−97325号公報 特開2002−309067号公報 特開2009−269984号公報 特開2009−292881号公報 特開2011−026383号公報 特開平11−100563号公報 特開平10−101773号公報 特開2010−248277号公報
前記の通り、基材に対する高い接着特性と、所定の熱伝導性を有する一液型エポキシ樹脂組成物において、良好な貯蔵安定性と低温硬化性を両立させる、という課題を解決することは従来困難であった。
本発明では、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、特定の貯蔵安定化剤を特定の割合で含有する熱伝導性樹脂組成物を用いることにより、これを実現するに至った。すなわち、以下(A)〜(E)成分を含んでなる、熱伝導性樹脂組成物である。
(A)分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物 100質量部に対し
(B)アミンアダクト型熱潜在性硬化剤 5〜50質量部
(C1)ホウ酸エステル化合物 0.01〜0.75質量部
(D)次の化学構造を有する化合物 0.1〜5質量部
Figure 2016050301
(式中、r,nはそれぞれ個別に0〜5の整数、mは1〜4の整数であり、Rは水素、置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アルキレン基、アリール基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる官能基であって、当該官能基の価数はmの値と同一である)
(E)熱伝導性粉体 400〜1200質量部
また本発明は、以下の実施態様も含んだものである。
第二の実施態様は、前記(C)成分が、以下の化学構造で示されるものである、前記第一の実施態様に記載の熱伝導性組成物である。
B(OR
ここで式中Rは水素、または置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる官能基であり、3つのうち全てが同一であっても異なっていてもよい
第三の実施態様は、以下(A)〜(E)成分を含んでなる、熱伝導性樹脂組成物である。
(A)分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物 100質量部に対し
(B)アミンアダクト型熱潜在性硬化剤 5〜50質量部
(C2)以下の化学構造を有する亜燐酸化合物 0.01〜1.0質量部
Figure 2016050301
,Rはそれぞれ独立に、炭素数が15以下で置換基を有しても良い脂肪族または脂環族の炭化水素基を表す
(D)次の化学構造を有する化合物 0.1〜5質量部
Figure 2016050301
(式中、r,nはそれぞれ個別に0〜5の整数、mは1〜4の整数であり、Rは水素、置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アルキレン基、アリール基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる官能基であって、当該官能基の価数はmの値と同一である)
(E)熱伝導性粉体 400〜1200質量部
第四の実施態様は、前記(A)成分がビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するものである、前記第一乃至第三の実施態様に記載の熱伝導性樹脂組成物である。
第五の実施態様は、前記(B)成分が、尿素アダクト型熱潜在性硬化剤を含有するものである、前記第一乃至第四の実施態様に記載の熱伝導性樹脂組成物である。
第六の実施態様は、前記第一乃至第五の実施態様に記載の熱伝導性樹脂組成物を硬化することにより得られた硬化物である。
本発明では、上記の組み合わせの組成物を用いることで、熱伝導性粉体を高充填したエポキシ樹脂を主成分とする熱伝導性樹脂組成物においても良好な貯蔵安定性を得ることができ、これにより安定塗布性と低温硬化性を両立する高熱伝導性一液性エポキシ樹脂を提供することが可能となった。すなわち本発明は、粘度の安定性と低温硬化性を両立し、かつ良好なな熱伝導性と、エポキシ樹脂組成物が備える接着強度、耐熱衝撃性を有した接着剤として利用できることを見出し、完成するに至ったものである。
以下より本発明について詳説する。
本発明に使用される(A)成分は、分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物であれば、その構造については特段の限定無く用いることができる。エポキシ基を一つ有する単官能エポキシ化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等の化合物を挙げることができる。
エポキシ基を二つ有する二官能エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、およびこれらを水添したものである水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と2官能イソシアネートを反応させて得られるオキサゾリドン型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、2,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、などのアルキレンオキサイドジオール型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ基を三つ以上有する多官能エポキシ化合物の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテルや、またテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール等のグリシジルアミン化合物などを挙げることができる。これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。本発明においては、得られる硬化物の耐熱性、機械的特性の観点から、分子内にエポキシ基を2個以上含む化合物を使用するのが好ましく、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれるビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが好適である。
公知の(A)成分の市販品としては、例えば三菱化学株式会社製のjER828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、850、830LVP、850CRP、835LV、HP4032D、703、720、726、820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080,EP4085、EP4088、EPU6、EPU7N、EPR4023、EPR1309、EP4920、日産化学工業株式会社製のTEPIC、信越化学工業株式会社製のKF−101、KF−1001、KF−105、X−22−163B、X−22−9002、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に使用される(B)成分のアミンアダクト型熱潜在性硬化剤は(A)成分を硬化させるために用いる成分である。当該(B)成分は、室温において前記(A)成分に不溶性の固体で、加熱により溶融、溶解して流動性を発現し、前記(A)成分と相溶することでこれと均一に反応して、硬化剤としての作用を奏するというものである。特に本発明においては、硬化剤成分としてアミンアダクト型熱潜在性硬化剤を用いることで、後述の(C)成分、(D)成分の協奏作用により、組成物に対してとりわけ良好な貯蔵安定性を付与することができる。
当該アミンアダクト型熱潜在性硬化剤としては、アミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素アダクト型熱潜在性硬化剤)、あるいはアミン化合物とエポキシ化合物の反応生成物(アミン−エポキシアダクト型熱潜在性硬化剤)等が公知の物質として挙げられる。本発明に用いることのできる公知の市販品は、尿素型アダクトとしては、例えばフジキュア FXE−1000、フジキュア FXR−1030(以上、T&K TOKA社製品)等が挙げられ、またアミン−エポキシアダクト系としては、例えばアミキュアPN−23、アミキュアMY−24、アミキュアPN−D、アミキュアMY−D、アミキュアPN−H、アミキュアMY−H(以上、味の素ファインテクノ社製品)、ノバキュアHX−3721、HX−3742(以上、旭化成工業社製品)、ハードナーH−3293S、H−3615S(以上、エー・シー・アール社製品)、ANCAMINE 2014AS、2014FG(以上、パシフィック・アンカー・ケミカル社製品)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、より低温で硬化できる尿素アダクト型熱潜在性硬化剤を好適に用いることができるが、これに限定するものではない。
本発明における(B)成分の組成量としては、前記(A)成分100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。5質量部未満であると、前記(A)成分を硬化させる作用が不十分であり、硬化物が硬化不良となる虞がある。50質量部を超えると、硬化物の硬度や耐熱性といった熱時特性に問題を生じてしまい、さらに組成物の貯蔵安定性にも悪影響が生じる。
本発明に使用される(C1)成分のホウ酸エステル化合物は、本発明の組成物に含まれる、エポキシ樹脂の反応を抑制し、貯蔵安定性を高めるために用いられる成分である。当該成分を、エポキシ樹脂組成物中に含ませることで、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を向上できることは公知で、またフェノール化合物と組み合わせて用いることでホウ酸エステル化合物自体の安定性が改善されることも公知であるが、本発明においてはフェノール化合物は後述の(D)成分として示される、特定構造の化合物を用いており、またエポキシ樹脂組成物の硬化剤としては前記(B)成分のアミンアダクト型熱潜在硬化剤を用いており、さらに当該化合物は熱伝導性粉体を含ませた熱伝導性のエポキシ樹脂組成物に用いることで、とりわけ良好な貯蔵安定性を発現することが認められた。すなわち、従来エポキシ樹脂を比較的低温で硬化させることができる前記硬化剤では、熱伝導性粉体を多量に含む系で用いる場合、当該粉体の研磨作用によりその表面が削り取られ、活性な表面が露出することにより貯蔵中にエポキシ樹脂との反応が進んでしまい、結果として貯蔵安定性が確保できない、という問題があった。しかしながら本発明では、後述の成分(D)と当該(C1)成分を組み合わせて用いることにより、熱伝導性粉体を多量に含む系においても貯蔵安定性の低下を招来することなく、安定性に優れた熱伝導性樹脂組成物を提供することができるのである。
当該化合物としては任意のホウ酸エステル化合物を用いることができるが、本発明においてより好ましくは、分子中にホウ酸エステルを1つ有する以下一般式(1)で表される化合物である。
B−(OR (1)
ここで式中Rは水素、または置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アリール基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる官能基であり、3つのうち全てが同一であっても異なっていてもよいものである。当該化合物としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル等のホウ酸トリアルキルエステル化合物を挙げることができ、材料の入手容易性等からホウ酸トリブチルが特に好適に選択することができる。
本発明における(C1)成分の組成量としては、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜0.75質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部である。0.01質量部未満であると、熱伝導性樹脂組成物に対する貯蔵安定効果を十分に発揮することができず、0.75質量部を超えた場合においては硬化物特性に悪影響を生じ、耐久性等が低下してしまう。
また本発明における貯蔵安定性を高める成分として、(C2)化学構造式(2)を有する亜燐酸化合物を用いることもできる。 当該成分をエポキシ樹脂組成物中に含ませることでエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を向上できること、並びに当該成分をフェノール系酸化防止剤と組み合わせて用いることで、エポキシ樹脂組成物の耐熱劣化性をより向上できることも公知であるが、本発明において(C2)成分は特定の化学構造を有する化合物に限定してあること、およびフェノール系酸化防止剤は後述の(D)成分として示される、特定構造の化合物を用いている点で特に優れた効果を発揮するものである。またエポキシ樹脂組成物の硬化剤としては前記(B)成分のアミンアダクト型熱潜在硬化剤を用いており、さらに熱伝導性のエポキシ樹脂組成物に適用した際にとりわけ良好な貯蔵安定性を発現する点に関しても、前記(C1)成分を用いたときと同様に際立った効果を奏するものである。
Figure 2016050301
式中、R,Rはそれぞれ独立に、炭素数が15以下で置換基を有しても良い脂肪族または脂環族の炭化水素基を表す
(C2)成分として上記構造を有さない亜燐酸化合物をエポキシ樹脂組成物に用いた場合には、望ましい貯蔵安定性能を発揮することができず、場合によっては酸として作用することにより安定性が低下する虞がある。本発明において用いることができる(C2)成分の市販品としては、JPE−10、JPE−13R(以上、城北化学社製品)等を挙げることができる。
本発明における(C2)成分の組成量としては、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.75質量部である。0.01質量部未満であると、熱伝導性樹脂組成物に対する貯蔵安定効果を十分に発揮することができず、1.0質量部を超えた場合においては、硬化物特性に悪影響を生じて耐久性等が低下してしまい、場合によっては貯蔵安定性の低下を惹起する。なお本発明において当該(C2)成分は、独立して用いても、前記(C1)成分と併せて用いてもよいが、組成量はそれぞれ所定の範囲内で組み合わせる必要がある。
本発明に使用される(D)成分である化学構造式(3)にて示される化合物は、前記(C)成分と協奏して、本発明の組成物に含まれるエポキシ樹脂の反応を抑制し、貯蔵安定性を高めるために用いられる成分である。当該構造を有する化合物は、エポキシ樹脂組成物等に加えることで老化防止用途として用いられることは公知であるが、本発明においては前述の(C)成分と組み合わせて用いることで、さらに貯蔵安定作用を向上させる機能を発現するものである。その機構は明らかではないが、以下機構が推測される。すなわち、組成物中では前記(C1)または(C2)成分と(D)成分が複合体を形成し、これが貯蔵時には系中に安定して存在している。ここで、前記熱伝導粉体の研削作用による前記(B)成分表面の露出時において、前記複合体が速やかに分解し、これにより生じた(C1)または(C2)成分の化合物が選択的にアミンアダクト前記(B)の表面に相互作用することで保護被膜を形成し、機能的保護膜として働くことで貯蔵安定作用を発現する、との機構である。
Figure 2016050301
式中、r,nはそれぞれ個別に0〜5の整数、mは1〜4の整数であり、Rは水素、置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アルキレン基、アリール基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる官能基であって、当該官能基の価数はmの値と同一である。ここで本発明で用いている、上記構造を有する化合物は、フェノール系酸化防止剤として公知のものであるが、上記構造を有さないフェノール系酸化防止剤と比して、特に顕著な作用を示すものである。即ち熱時粘度上昇率で評価した組成物の貯蔵安定特性において、上記構造を有さないフェノール系酸化防止剤を用いた場合に比べると、前記(C1)または(C2)成分との組合せによる貯蔵安定性向上効果は格段に優れたものであり、上記構造を有する化合物を選択することが本発明の特徴の一つとなっているのである。
上記構造を有する化合物の市販品としては、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80(以上、ADEKA社製品)、IRGANOX1010,IRGANOX1035,IRGANOX1076,IRGANOX1135,IRGANOX259(以上、BASF社製品)等を挙げることができる。なおここで、本発明において特に好適な構造の化合物としては、化学構造式(4)で示されるものである。
Figure 2016050301
上記構造の化合物の市販品としては、アデカスタブAO−60、IRGANOX1010を挙げることができる。
本発明における(D)成分の組成量としては、前記(A)成分100質量部に対して0.1〜5.0質量部、好ましくは0.15〜2.5質量部である。0.1質量部未満であると、熱伝導性樹脂組成物に対する貯蔵安定効果を十分に発揮することができず、5.0質量部を超えると硬化物の特性に悪影響を及ぼし、耐久性等の低下を惹起する虞がある。
本発明に使用される(E)成分の熱伝導性粉体は、本発明の組成物を適用した部材から生じる熱を効果的に伝導することができる材料からなる粉体である。具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、ニッケル、及びこれらの合金、チタン、ダイヤモンド、炭素繊維、カーボンブラック、石英、シリカ粉等の単一物質から成る材料、あるいは、無機充填材の粒子に銀、銅、金又は炭素材料を表面被覆した複合材料や、金属充填材の粒子に無機材料又は炭素材料を表面被覆した複合材料等を使用でき、これら材料は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。入手容易性、コスト等の観点から、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素が好ましく選択することができ、特に好適には酸化アルミニウムである。また、組成物中での当該成分と前記(A)成分とのなじみやすさ等をを考慮すると、(E)成分は表面がシランカップリング剤等で処理されたものを用いることが好適である。
本発明で用いる(E)成分の粒径は特に制限するものではないが、良好な熱伝導特性を持たせるためには100μm以下であることが好ましく、より好適には1〜50μmの範囲にあるものと、1μm未満のものを組み合わせて用いることが充填効率上有用である。また(E)成分の形状についても特に制限するものではなく、球状、針状、繊維状、鱗片状、樹枝状、平板状、不定形状等のいずれであっても、用途に応じた形状を選択することができる。
本発明における(E)成分の組成量としては、前記(A)成分100質量部に対して400〜1200質量部、好ましくは500〜1000質量部である。400質量部未満であると、本発明の熱伝導性樹脂組成物は十分な熱伝導性を生じ得ず、他方で1200質量部を超えると、硬化前組成物のハンドリング性や硬化物の物理特性が低下する等の問題が生じる。当該(E)成分を上記範囲で添加することで、本発明の熱伝導性樹脂組成物は概ね2.0W/(m・K)以上の熱伝導特性を有することができ、これにより適用対象となる部材から発生した熱を効率的に伝導、発散させることができるようになる。
また本発明においては、組成物の特性を損なわない範囲において任意の添加成分をさらに含ませることができる。当該成分としては例えば、可塑剤、溶剤、希釈剤、シランカップリング剤等の接着性向上成分、分散剤、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤等の界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、防錆剤、防腐剤、粘弾性調整剤、レオロジー調整剤、着色剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤、熱伝導性でない充填剤等を挙げることができる。さらに本発明の熱伝導性樹脂組成物には、粘弾性の調整等を目的としてとして、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル樹脂等の高分子材料を含有させてもよい。
以下、実施例により本発明の効果を詳説するが、これら実施例は本発明の態様の限定を意図するものでは無い。
本発明の熱伝導性樹脂組成物の特性は、以下方法による実施例にて評価検討を行った。本発明の熱伝導性樹脂組成物、及び比較に用いた熱伝導性樹脂組成物に含まれる構成成分は、以下に示す材料を用いた。また各組成物は、表1〜7中に記載した組成比に従い調製した。なお表中に記載の数値は、各成分の組成質量比である。
(A)成分
・jER806:ビスフェノールF型エポキシ樹脂 三菱化学社製品
・jER630:グリシジルアミン型3官能エポキシ樹脂 三菱化学社製品
・GOT:グリシジルアミン型2官能エポキシ樹脂 日本化薬社製品
(B)成分
・フジキュアーFXR−1030:尿素アダクト型熱潜在性硬化剤 T&K TOKA社製品
・フジキュアーFXE−1000:尿素アダクト型熱潜在性硬化剤 T&K TOKA社製品
(B)の比較成分
・アミキュアPN−23:アミン−エポキシアダクト型熱潜在性硬化剤 味の素ファインテクノ社製品
・DICY7:ジシアンジアミド誘導体 三菱化学社製品
・エピクロンB605−IM:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア DIC社製品
(C1)成分
・ホウ酸トリブチル:試薬 東京化成社製品
・ホウ酸トリメチル:試薬 東京化成社製品
・キュアダクトL−07N:2,2’−カルボニルビスオキシビス−1,3,2−ジオキサボロラン−4,5−ジオン 5質量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 91質量%、フェノールノボラック樹脂 4質量%からなる混合物 四国化成社製品
(C2)成分
・JPE−13R:ビストリデシルペンタエリスリトールジホスファイト(化学構造式(2)において、R=R=炭素数が13の直鎖脂肪族炭化水素) 城北化学工業社製品
・JPE−10:ビスデシルペンタエリスリトールジホスファイト(化学構造式(2)において、R=R=炭素数が10の直鎖脂肪族炭化水素) 城北化学工業社製品
(C2)の比較成分
・JP−3CP:トリクレジルホスファイト 城北化学工業社製品
・JPM−313:ジフェニルトリデシルホスファイト 城北化学工業社製品
(D)成分
・Irganox1010:ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート] BASF社製品
(D)の比較成分
・スミライザーMDP−S:2,2’−メチレンビス−6−t−ブチル−4−メチルフェノール 住友化学社製品
(E)成分
・アドマファインAO−509:平均粒径が10μm、BET比表面積が1m/gの球状アルミナ アドマテックス社製品
・AS−40:平均粒径が12μm、BET比表面積が1.2m/gの球状アルミナ 昭和電工社製品
その他の添加成分
・KBM403:エポキシシラン系カップリング剤 信越化学工業社製品
・DisperBYK111:湿潤分散剤 ビックケミー・ジャパン社製品
上記(A)成分又はその比較成分は、(C)成分又はその比較成分、(D)成分とその他の添加成分と混合し、60℃で加熱しながら30分間攪拌を行った。その後これを25℃まで冷却し、ここに(E)成分またはその比較成分を添加して10分間攪拌した後、(B)成分またはその比較成分を添加して、30分間真空下で混合攪拌することにより、本実施例での評価に用いた熱伝導性樹脂組成物(以下、評価用組成物という)を調製した。
上記製法により調製した各評価用組成物は、以下に条件を記したそれぞれの項目について特性評価を行い、その結果を併せて表2に示した。
[粘度測定条件]
各評価用組成物をプラスチック容器に約20g秤量採取して、各評価用組成物の温度が25℃になってから粘度(Pa・s)を測定した。測定に使用した粘度計の仕様および条件は以下の通りである。
測定装置:TV−33型粘度計(EHD型)東機産業株式会社製品
・コーンローター:3°×R14
・回転速度:0.5rpm
・測定時間:5分
・測定上限値:1024Pa・s
・測定温度:25℃
[貯蔵性]
各評価用組成物を40℃の恒温槽内で48時間静置し、その後初期粘度評価と同様の条件で粘度の測定を行い、貯蔵粘度として記録した。貯蔵粘度/初期粘度の値(粘度変化率)を粘度上昇比として算出した。ここで、粘度変化率が2未満のものを合格として評価し、表中「貯蔵性」項目に○にて表記、2以上のものを不合格として評価し、同×にて表記した。
[熱伝導率]
各評価用組成物を均一な薄膜として塗布し、80℃にて1時間加熱することで、厚さが0.5mmの熱伝導率評価の試験片(以下、熱伝導率試験片という)を作製した。当該熱伝導率試験片を室温にて静置し、これらが25℃となった段階で、挿入法により熱伝導率λ(W/(m・k))を測定した。ここで挿入法とは、複数のリファレンスを用いて行う測定のことであり、X軸に対照物質(リファレンス)の熱伝導率、Y軸に下記式で示される「偏差」をとって測定値をプロットし、Y軸の値が0の時のX軸の値を近似式により計算する方法である。その時のX軸の値が熱伝導率試験片の熱伝導率となる。なお加熱により硬化しなかったものは熱伝導率の測定は行わず、表中「未硬化」と記載した。
測定装置:QTM−D3 京都電子工業株式会社製品
・リファレンス:発泡ポリエチレン(λ=0.0352W/(m・k))、シリコーンゴム(λ=0.238W/(m・k))、石英(λ=1.417W/(m・k))
・硬化物の厚さ:0.5mm
・偏差(%)=(熱伝導率試験片の熱伝導率−リファレンスの熱伝導率)/(リファレンスの熱伝導率)×100
[硬化強度]
寸法が10mm×25mm×100mmのアルミニウム(A1050)製の試験用基材の一端より、25mm×10mmの面積に評価用組成物を膜厚が1mmとなるよう塗布した。同寸法の試験用基材の端部から10mmの面積を、前記評価用組成物を塗布した他方の試験用基材の塗布部位に載置して、各試験片の当該箇所以外は重畳しない形で一直線になるよう貼り合わせ、これらが変位しないようクリップで固定した。この状態で80℃の熱風乾燥炉に1時間静置することにより硬化させ、硬化強度評価の試験片(以下、硬化強度試験片という)を作製した。当該硬化強度試験片を室温にて静置し、これらが25℃となった段階で、引っ張りせん断試験機(オリエンテック社製品 テンシロンRTF−2410)を用い、引張速度10mm/minにて硬化強度試験片の両端を反対方向に引張り、最大荷重の値を測定した。当該最大荷重を前記接着面積で割ることにより得られた数値を硬化強度(MPa)として算出した。ここで、前記硬化強度が1MPa以上のものを合格として評価し、表中○にて表記、1MPa未満のものを不合格として評価し、表中×にて表記した。
[耐久性]
前記硬化強度試験片と同じ製法で試験片を作製した。当該試験片を、−40℃×30分及び125℃×30分に環境変化するヒートサイクル試験装置内に静置し、当該サイクルを200往復繰り返した。当該試験の前後で硬化強度を測定し、試験後/試験前の値(変化率)が50%未満のものは表中○にて表記し、50〜70%のものは表中△にて表記、70%を超えるものは表中×にて表記した。なお加熱により硬化しなかったものは、耐久性伝導率の評価を行わず、表中「未硬化」と記載した。
Figure 2016050301
実施例1〜4の結果より、本発明の熱伝導性樹脂組成物は所定の熱電伝導率を保持しつつ優れた貯蔵性を有し、且つ80℃で硬化を行った場合における必要な硬化強度と、優れた耐久性(耐ヒートサイクル特性)を有していることが認められた。また同結果より、本発明の熱伝導性樹脂組成物では、(A)成分として各種のエポキシ樹脂を使用しても発明の効果が認められていることから、本発明はエポキシ樹脂の種類を問うものではないことが分かる。他方で、(C1)または(C2)と(D)成分を共に含まない比較例1では、貯蔵性、耐久性共に低下しており、少なくともいずれかの成分は必須のものであることが確認された。さらに(C1)または(C2)成分を添加していない比較例2及び(D)成分を添加していない比較例4では、いずれも貯蔵性が大きく低下することが確認されていることから、(C1)または(C2)と(D)成分は、それぞれ単独で用いても本発明の作用を奏するものではないことが確認された。また本発明の(B)成分に替えて、貯蔵安定性が優れていることの知られる硬化剤系を使用した比較例3では、貯蔵性が良好な組成物を得ることができたものの、80℃での硬化を行った場合の硬化強度が不十分であり、貯蔵安定性と低温硬化性が両立出来ないことが確認された。
Figure 2016050301
実施例4〜6の結果より、本発明の組成物に含まれる(E)成分の熱伝導性粉体は、前記(A)成分100質量部に対して500質量部以上含ませた場合において2.0[W/(m・K)]以上の熱伝導特性となることが確認できた。他方で(E)成分の添加量が500質量部未満である比較例5,6では、その熱伝導特性は2.0[W/(m・K)]に満たないことことが確認された。
Figure 2016050301
実施例7〜8の結果より、本発明の組成物に含まれる(C1)成分のホウ酸エステル化合物は、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜0.5質量部含ませた場合において、良好な保存性が得られることが確認された。他方で該(C1)成分が0.005質量部とした比較例7では貯蔵性が不十分なものとなり、1質量部とした比較例8では、硬化物の特性が低下することに起因する耐久性の低下が認められた。実施例9〜10の結果より、本発明に用いることのできるホウ酸エステル化合物としては、適宜選択できることができるが、特に良好な貯蔵性の特性を発現する化合物としては、アルキル炭素数が6未満のトリアルコキシボランであることが分かる。
Figure 2016050301
実施例4,比較例9の結果より、本発明の組成物に含まれる硬化剤成分としては、アミンアダクト型熱潜在性硬化剤が有効であり、他の熱潜在性硬化剤を用いた場合においては、耐久性が低下することが認められた。比較例10の結果より、本発明で用いる前記(D)成分の添加量が所定の範囲を超過すると、貯蔵性に問題が生じるばかりか硬化強度も低下するという問題が生じることが認められた。また比較例11より、前記(D)成分として所定の構造で特定したフェノール化合物以外の構造のフェノール系酸化防止剤を用いた場合においては、貯蔵性が十分に発現せず、本発明の効果を奏さないものであることが確認できた。
Figure 2016050301
実施例14〜17の結果より、本発明は(C2)を用いた場合においてもエポキシ樹脂の種類を問うものではないことが確認された。また(C2)成分のみを含み(D)成分を含んでいない比較例12では、貯蔵性、耐久性共にが大きく低下することが確認されていることから、(C1)または(C2)と(D)成分は、それぞれ単独で用いても本発明の作用を奏するものではないことが確認された。また本発明の(B)成分に替えて、貯蔵安定性が優れていることの知られる硬化剤系を使用した比較例3では、貯蔵性が良好な組成物を得ることができたものの、80℃での硬化を行った場合の硬化強度が不十分であり、貯蔵安定性と低温硬化性が両立出来ないことが確認された。
Figure 2016050301
実施例17〜19の結果より、本発明は(C2)を用いた場合においても、(E)成分の熱伝導性粉体は、前記(A)成分100質量部に対して500質量部以上含ませた場合において2.0[W/(m・K)]以上の熱伝導特性となることが確認できた。
Figure 2016050301
実施例17、20〜23、及び比較例14,15の結果より、本発明は(C2)を用いる場合には、化学構造式(2)に該当する構造の化合物を用いなければ好適な特性が発揮されないことが確認された。また当該成分は所定の組成量範囲においてその効果を発揮するものであり、所定範囲に満たない組成の比較例16及び所定範囲を超過した比較例17では、それぞれ貯蔵性、耐久性の評価において劣る結果となることが確認された。さらに(D)成分を含まず、(C2)成分を増量した組成の比較例18では、貯蔵性、耐久性共に劣った結果となっていることから、当該成分だけでは本発明はその作用を奏することができず、(D)成分と組み合わせることで初めて有用なものであることが認められた。
本発明による熱伝導性樹脂組成物は、エポキシ樹脂としての優れた硬化物特性と、熱伝導性樹脂組成物に求められる熱伝導性を備えたものでありながら、低温硬化性と優れた貯蔵安定性をも兼ね備えるものであって、高接着強度と低温硬化性を求められる部材、例えばプラスチック材料で構成された回路基板等の電子部品の接着、被覆、充填等の用途において好適に用いることのできる、有用なものである。

Claims (6)

  1. 以下の(A)〜(E)成分を含んでなる、熱伝導性樹脂組成物。
    (A)分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物 100質量部に対し
    (B)アミンアダクト型熱潜在性硬化剤 5〜50質量部
    (C1)ホウ酸エステル化合物 0.01〜0.75質量部
    (D)次の化学構造を有する化合物 0.1〜5質量部
    Figure 2016050301
    (式中、r,nはそれぞれ個別に0〜5の整数、mは1〜4の整数であり、Rは水素、置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アルキレン基、アリール基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる官能基であって、当該官能基の価数はmの値と同一である)
    (E)熱伝導性粉体 400〜1200質量部
  2. 前記(C1)成分が、以下の化学構造で示されるものである、前記請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
    B(OR
    式中Rは水素、または置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる官能基であり、3つのうち全てが同一であっても異なっていてもよい
  3. 以下の(A)〜(E)成分を含んでなる、熱伝導性樹脂組成物。
    (A)分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物 100質量部に対し
    (B)アミンアダクト型熱潜在性硬化剤 5〜50質量部
    (C2)以下の化学構造を有する亜燐酸化合物 0.01〜1.0質量部
    Figure 2016050301
    (式中R,Rはそれぞれ独立に、炭素数が15以下で置換基を有しても良い脂肪族または脂環族の炭化水素基を表す)
    (D)次の化学構造を有する化合物 0.1〜5質量部
    Figure 2016050301
    (式中、r,nはそれぞれ個別に0〜5の整数、mは1〜4の整数であり、Rは水素、置換基を有しても良い炭素数が1〜6のアルキル基、アルキレン基、アリール基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる官能基であって、当該官能基の価数はmの値と同一である)
    (E)熱伝導性粉体 400〜1200質量部
  4. 前記(A)成分がビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するものである、前記請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分が、尿素アダクト型熱潜在性硬化剤を含有するものである、前記請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 前記請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物を硬化することにより得られた硬化物。
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