JP2016050007A - スリットバルブ付きキャップ - Google Patents
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従来のスリットバルブ付き容器では、使用開始後に長く使用せずに保存すると、その間にスリットバルブを構成する弾性を有する合成樹脂、特にシリコンゴム製のものは互いに癒着し、次に使用する際にスリットバルブが円滑に開閉しなくなるという不都合があった。
また、上述の問題を解消するために、蓋の内側に形成された凸状構造を弁の周辺部に強く押し付け液密性を高めると、蓋を開けた時に弁がわずかに開いた状態の癖がつき易くなるという問題があった。
スリットバルブ付きキャップの具体的実施形態として、キャップ基体と蓋体は、ヒンジを介して連設されたヒンジキャップであることを特徴とする構成を採用する。
容器本体Aは、口部1を有する手指の力でスクイズして粘稠性の液体を押し出す弾性変形可能な容器であり、口部1の外周には、雄ネジ2が螺設されている。
装着筒4の内周には、口部1の外周に螺設された雄ネジ2と螺合する雌ネジ5が螺設され、また、装着筒4の上部外周には、ヒンジEが取着されるとともに、ヒンジEと反対側に切欠凹部6が形成されている。
さらに、開口筒8のバルブ取付凹部7に隣接してバルブ押え取付凹部9が形成されている。
さらに、開口筒8の外周には、後述する蓋体Dとの閉蓋状態を維持するために、係合突条8aが形成されている。
バルブ側壁11は、下方の保持部13が肉厚に形成され、キャップ基体Cの開口筒8内周のバルブ取付凹部7に取り付けられるようになっている。
バルブ側壁11とバルブ開閉膜12との接続部には、環状の肉溜まり16が形成されている。
バルブ開閉膜12は、容器本体A側の内圧が大気圧と等しいときに、バルブ開閉膜12自体の弾性力により図4(b)に示すように、十字スリット15は閉じた状態にある。
さらに、スリットバルブFは、前述した開口筒8内周のバルブ取付凹部7に嵌挿された後、下方からバルブ押え28をバルブ押え取付凹部9に嵌着することにより開口筒8との間に挟まれた状態で固定されるようになっている。
天板20の内面中央には、逆凸形状の押込み部22が形成され、キャップ基体Cに取り付けられたスリットバルブFのバルブ開閉膜12に当接するようになっている。
押込み部22は、図1(b)に示すように、中心部分が曲率半径R2の球面23と、周辺部分が曲率半径R3の球面24との二つの球面で構成され、本実施例の場合、曲率半径R2は2mm、曲率半径R3は3.5mmとなっており、R2はR3よりも小さく設定されている。
側周壁21のヒンジEと反対側の下端部には、円弧状の摘み部26が設けられている。
本実施例のキャップBは、図2に示すように、キャップ基体Cから蓋体Dを開蓋した状態で一体成形により作製される。
本実施例において、スリットバルブ付きキャップを組み立てるには、キャップ基体Cの開口筒8の内周に形成されたバルブ取付凹部7にスリットバルブFを嵌挿した後、バルブ押え28を同様に、バルブ押え取付凹部9に嵌着することにより、スリットバルブ付きキャップの組み立てが完了する。
容器本体Aに内容物を充填した後、容器本体Aの口部1にアルミニウム蒸着フィルムからなるシール30を貼着して封止した後、キャップ基体Cの装着部としての装着筒4を容器本体Aの口部1に螺合する。
なお、本実施例では、キャップBは、図1〜3に示すように、キャップ基体Cと蓋体DとをヒンジEで連結してなるヒンジキャップとして具体化しているが、蓋体Dは、ヒンジを無くしてアンダーカット等で嵌合させた蓋体であっても構わない。
つぎに、キャップ基体Cの装着筒4外周に形成された切欠凹部6に指を当て、蓋体Dの摘み部26を持ち上げると、蓋体DがヒンジEの回りを時計方向に回動する。
蓋体Dがキャップ基体Cから少し持ち上がると、キャップ基体Cの開口筒8外周の係合突条8aに係止していた蓋体D内面の係止リング25内周の係止突条25aが外れ、それと同時に、スリットバルブFのバルブ開閉膜12に当接していた押込み部22も離れることにより、スリットバルブFのバルブ開閉膜12が押込み部22による押し開きから開放され、図5(a)に示すように、十字スリット15が閉じた状態に戻る。
バルブ開閉膜12が押し戻された状態で、開口筒8を上向きにして手指を容器本体Aから離すと、大気圧により今度はバルブ開閉膜12を内側に押し開き、空気が容器本体A内に流入して、手指によりスクイズされ変形した容器本体の形状が元に戻る。
その際に、バルブ開閉膜12に内容物が付着して残留してしまう。
この時の押込み部22による最大押込み深さHは、スリット長Lが4.8mmで、肉厚が0.3mmである本実施例の場合、0.4〜0.6mmに設定されている。
このように、十字スリット15が押し開かれた状態にあると、バルブ開閉膜12に内容物が残留していても、十字スリット15の間に付着した内容物で癒着して、再度使用する際に十字スリット15が押し開きにくくなることを防止できる。
また、従来技術では、スリット端部15aが大きく押し開かれた状態で長時間放置されると、バルブ開閉膜12に押し開かれたままの癖がついて、吐出後に変形した容器本体の形状が元に戻る際に内容物が付着していない個所から先に外気が容器内に流入するため、いわゆる、サクション・バック効果が弱くなるが、本実施例の場合は、スリット端部15aが大きく押し開かれないので、バルブ開閉膜12に曲がり癖がつくのを避けることができる。
また、バルブ側壁11は、下方の保持部13が肉厚に形成されていることで、スリットバルブFを開口筒8内周に取り付け時の寸法安定性が向上し、十字スリット15を押込み部22により押し開く際に、均等に押し開くことができ、不使用時の十字スリット15の不均一な癒着を防ぐことができ、使用時において、内容物が斜めに吐出されるという不都合を解消することができる。
B キャップ
C キャップ基体
D 蓋体
E ヒンジ
F スリットバルブ
H 押込み深さ
L スリット長
R1 バルブ開閉膜の曲率半径
R2 押込み部の中心部分の曲率半径
R3 押込み部の周辺部分の曲率半径
1 口部
2 雄ネジ
3 上壁
3a 段部
4 装着筒
5 雌ネジ
6 切欠凹部
7 バルブ取付凹部
8 開口筒
8a 係合突条
9 バルブ押え取付凹部
11 バルブ側壁
12 バルブ開閉膜
13 保持部
14 補強リブ
15 十字スリット
15a スリット端部
15b スリット中心
16 肉溜まり
20 天板
21 側周壁
22 押込み部
23 曲率半径R2の球面
24 曲率半径R3の球面
25 係止リング
25a 係止突条
26 摘み部
28 バルブ押え
30 シール
Claims (7)
- キャップ基体と、キャップ基体の開口部に取り付けられ内圧が大気圧より高いとき外方に開放し内圧が大気圧と等しいときに弾性力により閉塞するスリットバルブと、キャップ基体の開口部を開閉する蓋体とを具え、
蓋体は、その内面に逆凸形状の押込み部が形成され、
押込み部は、蓋体を閉じたときにスリットバルブのスリット端から中心側のみに当接してスリットバルブを内方にわずかに押し開く形状をなすことを特徴とするスリットバルブ付きキャップ。 - 蓋体の内面に形成された押込み部は、中心部分の曲率半径が周辺部分の曲率半径よりも小さな二つ以上の球面からなる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のスリットバルブ付きキャップ。
- スリットバルブは、円筒形状のバルブ側壁と、バルブ側壁の内周縁から連設され開口部の内方に向けて部分球面をなすバルブ開閉膜とが弾性を有する合成樹脂材料により一体成形されたことを特徴とする請求項1または2に記載のスリットバルブ付きキャップ。
- スリットバルブは、バルブ開閉膜に部分球面の頂点を中心とする十字スリットが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスリットバルブ付きキャップ。
- スリットバルブは、バルブ側壁とバルブ開閉膜との接続部に肉溜まりが形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のスリットバルブ付きキャップ。
- スリットバルブは、バルブ側壁の保持部が肉厚に形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のスリットバルブ付きキャップ。
- キャップ基体と蓋体は、ヒンジを介して連設されたヒンジキャップであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスリットバルブ付きキャップ。
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