JP2016049688A - 印刷方法及び印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成することが可能な無機質基材への印刷方法を提供する。
【解決手段】無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗布し、熱溶融性無機粉末層を形成させる工程と、活性エネルギー線硬化型インク組成物を用いたインクジェット印刷により、前記熱溶融性無機粉末層上に印刷層1を形成し、該印刷層1を活性エネルギー線の照射により硬化させる工程と、熱溶融性無機粉末層及び硬化した印刷層1を備える無機質基材を焼成する工程とを含むことを特徴とする印刷方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、印刷方法及び該印刷方法により得られる印刷物に関し、特には、滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成することが可能な無機質基材への印刷方法に関するものである。
従来、タイルや琺瑯等においては無機質基材上に熱溶融性無機粉末(釉薬粉、琺瑯素材粉末等)を塗装し、高温で焼成し、硬化したガラス質層を形成した後に、スクリーン印刷等により高粘度のインクを印刷し、再度焼成することにより高意匠の画像形成を実施してきた。しかしながら少なくとも2回の焼成工程を要するため生産性に問題があった。
解決策として無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗装後、未焼成のままでインクジェットプリンターにより画像印刷を行い、その後に焼成することにより、1回の焼成により高意匠の印刷製品の製造が可能になった。インクジェットプリンターによって高意匠の印刷を施す際には水系や油性系のインクが広く検討されてきた。しかしながら、水系や油性系のインクを用いた場合には、熱溶融性無機粉末層上にインクジェット印刷を施す際に、インクが下層に浸透吸収されるため、画像が滲み、焼成後にも画像が滲んで鮮明な画像が得られないといった問題があった。
これら課題に対し、熱溶融性無機粉末層としてアンモニウム塩、ガラスフリット及び有機質バインダを必須成分とする処理液にてインク受容層を形成し、インクジェット印刷を行う方法(国際公開第2007/0202779号)や、電気的に中性化された未焼成の釉薬による釉薬層を形成する方法(特開平7−330473号公報)が提案されている。
国際公開第2007/0202779号 特開平7−330473号公報
しかしながら、従来の印刷方法では、無機質基材上に設けた熱溶融性無機粉末(釉薬粉、琺瑯素材粉末等)層上にインクジェット印刷した際、及び印刷後焼成するまでの間に画像に滲みが発生してしまい、高精細な画像を形成する場合に十分な鮮鋭性が得られないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、従来技術の問題を解決し、未焼成の熱溶融性粉末層上に、焼成後においても、滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成することが可能な無機質基材への印刷方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、滲みのない鮮明な画像を備える印刷物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、無機質基材上に形成した未焼成の熱溶融性無機粉末層上に、水系や油性系のインクを使用してインクジェットプリンターによる印刷を行うと、インク滴が無機粉末層に吸収されて、画像に滲みが発生し、焼成した後にも鮮明な画像は得られないことが分かった。特に無機質基材及び熱溶融性無機粉末層は水分を含んでおり、含水率が高い場合にはとりわけ画像の滲みが大きいことが分かった。
そこで、本発明者は、未焼成の熱溶融性無機粉末層上に、活性エネルギー線硬化型インク組成物によるインクジェット印刷を行うことで、滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の印刷方法は、無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗布し、熱溶融性無機粉末層を形成させる工程と、
活性エネルギー線硬化型インク組成物を用いたインクジェット印刷により、前記熱溶融性無機粉末層上に印刷層を形成し、該印刷層を活性エネルギー線の照射により硬化させる工程と、
熱溶融性無機粉末層及び硬化した印刷層を備える無機質基材を焼成する工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の印刷方法の好適例においては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が前記熱溶融性無機粉末層上に着弾したと同時に又は直後に活性エネルギー線の照射を行う。
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、密度4〜6g/mlの着色剤を含む。
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記活性エネルギー線の照射による印刷層の硬化率が10〜100%である。
また、本発明の印刷物は、上記の印刷方法によって得られたことを特徴とする。
本発明の印刷方法によれば、滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成することが可能な無機質基材への印刷方法を提供することができる。また、本発明の印刷物によれば、滲みのない鮮明な画像を備える印刷物を提供することができる。
本発明の印刷方法の一実施態様における印刷・硬化工程後の状態を示す概略断面図である。 着色剤の比重が低すぎる場合に形成され得る印刷物の一例の断面図である。 着色剤の比重が高すぎる場合に形成され得る印刷物の一例の断面図である。 水系インクを用いた場合の印刷方法と本発明の印刷方法の一実施態様を比較した図である。 本発明の印刷物の一実施態様を示す概略断面図である。
以下に、本発明の印刷方法を詳細に説明する。本発明の印刷方法は、無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗布し、熱溶融性無機粉末層を形成させる工程と、活性エネルギー線硬化型インク組成物を用いたインクジェット印刷により、前記熱溶融性無機粉末層上に印刷層を形成し、該印刷層を活性エネルギー線の照射により硬化させる工程と、熱溶融性無機粉末層及び硬化した印刷層を備える無機質基材を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の印刷方法のように、熱溶融性無機粉末層上に印刷層を形成し、その後、無機質基材を焼成する場合、印刷層を構成する有機物は焼成により消失し、印刷層を構成する着色剤によって意匠が表現されることになるが、印刷層を構成する着色剤は、焼成時に熱溶融した無機粉末層を下降し、最終的に無機粉末層から焼成を経て形成されるガラス質層に組み込まれる。ここで、水系インクや油性系インクのようにインク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収されると、着色剤が下降する程度を揃えることができず、高精細な画像を形成することが困難になる。とりわけ基材及び熱溶融性無機粉末の含水率が高い場合には、水系インクではインク滴は溶解拡散して更に滲み、油性系インクではインク滴は拡散して更に滲む。これに対して、活性エネルギー線硬化型インク組成物のインクジェット印刷においては、熱溶融性無機粉末層上にインク滴が着弾後、迅速に硬化させることにより、熱溶融性無機粉末層に浸透吸収され難く、滲みが無く画像鮮明な印刷層を形成することができる。下地の含水率が高い場合においても硬化した印刷層は拡散することなく鮮明画像を維持する。焼成後にも、本発明の印刷方法によれば、高精細な画像を形成することができる。
本発明の印刷方法においては、まず、通常の方法により、無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗布し、熱溶融性無機粉末層を形成させる。ここで、熱溶融性無機粉末は、通常、水分散液の形態で塗布される。
本発明の印刷方法において、無機質基材は、特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、セラミック、タイル、陶磁器、琺瑯等が挙げられる。また、無機質基材は、ドライ成形やウェット成形のいずれの成形法によって得られた基材も用いることができ、更には、熱溶融性無機粉末を塗布する前に、ローラーハースキルンやトンネル炉、及びバッチ炉等により仮焼きしてもよい。無機質基材の仮焼き温度は、本焼成温度より高い場合、低い場合など目的製品に応じて選択される。
本発明の印刷方法において使用する熱溶融性無機粉末は、釉薬成分やガラス成分からなる粉末であり、無機質基材上で熱溶融してガラス質の皮膜を形成し、無機質基材に付着する。熱溶融性無機粉末は、無機質基材製品の目的用途に応じて、熱膨張係数及び熱溶融温度を調整すべく、組成調整を行う。なお、通常、熱溶融性無機粉末の水分散液に含まれる熱溶融性無機粉末の量は30〜60質量%である。
また、上記熱溶融性無機粉末は、白色顔料と共に塗布されることが好ましい。熱溶融性無機粉末層中に白色顔料が含まれることで、無機質基材を隠すことができ、画像の鮮鋭性を向上させることができる。白色顔料は、無機顔料であることが好ましく、セラミック用無機顔料が更に好ましい。例えば、Ce系、珪酸ジルコニウム系顔料等を挙げることができる。なお、熱溶融性無機粉末の水分散液に含まれる白色顔料の含有量は、無機粉末合計質量の20〜50質量%を占めることが好ましい。
上記熱溶融性無機粉末の水分散液には、水、熱溶融性無機粉末、白色顔料に加えて、必要に応じて、顔料分散剤、表面調整剤、消泡剤、保湿剤、防腐剤・防かび剤、pH調整剤等の添加剤や各種樹脂を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
上記熱溶融性無機粉末の水分散液は、例えば、熱溶融性無機粉末と白色顔料、水、添加剤とを混合し、ボールミル等により熱溶融性無機粉末粒子が所望の粒子径分布になるまで粉砕分散を行い、調製できる。
上記水分散液は、カーテンフローコーター塗装、スプレー塗装等の工業的に使用される通常の塗装方法により塗布される。
本発明の印刷方法において、熱溶融性無機粉末の水分散液の塗布量は、通常200〜700g/mの範囲内で、無機質基材の素材や用途によって、適宜調整される。
本発明の印刷方法においては、次に、活性エネルギー線硬化型インク組成物を用いたインクジェット印刷により、上記熱溶融性無機粉末層上に印刷層を形成し、該印刷層を活性エネルギー線の照射により硬化させる。これにより、印刷層を構成する成分が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収乃至拡散されて滲むことを防ぐことができ、滲みの無い画像鮮明な印刷層を形成することが可能である。
ここで、図1は、本発明の印刷方法の一実施態様における印刷・硬化工程後の状態を示す概略断面図である。図1に示す印刷物は、無機質基材と、該無機質基材上に形成された熱溶融性無機粉末層5と、該熱溶融性無機粉末層上に形成された印刷層1を備える。また、印刷層1は、着色剤2と、活性エネルギー線硬化性化合物の硬化により得られた樹脂3を備える。熱溶融性無機粉末層5は、白色顔料4と、熱溶融性無機粉末粉と、水(図示せず)を備える。
本発明の印刷方法において、活性エネルギー線硬化型インク組成物は、通常、着色剤を含む。活性エネルギー線硬化型インク組成物に用いる着色剤は、無機顔料であることが好ましく、セラミック用無機顔料が更に好ましい。セラミック用無機顔料は、陶磁器を含むセラミックの分野において着色剤として通常使用されている無機顔料であり、耐熱性と釉薬に対する安定性が高い。このような無機顔料には、酸化物、複合酸化物及び珪酸塩と称される顔料が含まれ、例えば、ブラック顔料としてCo-Cr-Fe、Co-Cr-Ni、Co-Ni-Cr-Fe、Co-Mn-Fe、Cu-Cr-Mn、Ti-Sb-Ni系顔料等、マゼンタ顔料としてZn-Ca-Si-Cr、Fe-Cr-Zn-Mn、Ti-Cr-W、Zr-Si-Fe、Zr-Fe、Cr-Sn、Ca-Sn-Si-Cr、Mn-Al、Sn-Na-Ca-S系顔料等、ブラウン顔料としてZn-Cr-Fe、Zn-Al-Cr-Fe、Zn-Fe-Cr-Zr、Fe-Al、Zn-Ti、Fe-Cr、Zn-Si-Fe-Cr系顔料等、イエロー顔料としてSn-V、Sn-Ti-V、Zr-V、Zr-V-In、Zr-Si-Pr、Ti-Cr-Sb、Ti-Cr-W、Zr-Y-V系顔料等、グリーン顔料としてCr-Si、Cr-AL、Co-Cr系顔料等、シアン顔料としてCo-Si、Co-AL、Co-Zn-AL、Co-Zn-AL-Si、Co-Zn-Si、Co-AL、Co-Cr-AL、Zr-Si-V系顔料等、白色顔料としてCe系、珪酸ジルコニウム系顔料等を挙げることができる。なお、これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。インク組成物中の着色剤の含有量は、使用目的により任意に決定できるが、例えば10〜40質量%であることが好ましい。
本発明の印刷方法においては、印刷層を構成する着色剤が焼成時に熱溶融性無機粉末層を揃って下降するのが好ましく、印刷層を構成する着色剤の比重は同程度に揃えることが好ましい。また、比重が低すぎると、熱溶融性無機粉末層の上部に着色剤が残ってしまい、熱溶融性無機粉末層の表面が粗くなり、仕上がりが悪くなる場合がある。図2は、着色剤の比重が低すぎる場合に形成され得る印刷物の一例の断面図である。一方、比重が高すぎると、熱溶融性無機粉末層の下部にまで下降し、熱溶融性無機粉末層を構成する白色顔料等と混ざり合い、所望の画像を表現できない場合がある。図3は、着色剤の比重が高すぎる場合に形成され得る印刷物の一例の断面図である。このため、活性エネルギー線硬化型インク組成物に用いる着色剤の密度は、例えば4〜6g/mlの範囲内にあることが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物は、紫外線等の活性エネルギー線照射時に反応性を示すモノマーを含む。具体的には、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基の数が1である単官能モノマー、該官能基数が2である2官能モノマー、該官能基数が3以上である多官能モノマー等が挙げられる。なお、これらモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。上記活性エネルギー線硬化型インク組成物中において、モノマーの含有量は、使用目的により任意に決定できるが、例えば、上記活性エネルギー線硬化型インク組成物中においては、着色剤以外の成分(例えば、モノマーの他、開始剤、分散剤、オリゴマー、及びその他添加剤)の総含有量が、60〜90質量%であることが好ましい。
単官能モノマーの具体例としては、例えば、ステアリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、及び2−(2’−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられ、これらをエチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖等のアルキレングリコール鎖により変性したものも使用できる。
2官能モノマーの具体例としては、例えば、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1、7−ヘプタンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、及びジプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられ、これらをエチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖等のアルキレングリコール鎖により変性したものも使用できる。
多官能モノマーの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、これらをエチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖等のアルキレングリコール鎖により変性したものも使用できる。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物には、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等の光重合開始剤、フェノチアジン等の重合禁止剤等を必要に応じて配合できる。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物は、着色剤をモノマー中でより良好に分散させるため、分散剤を含んでもよい。例えば、通常のインク組成物に用いられている湿潤剤、一般には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤を分散剤として使用できる。具体的には、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、無機エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩、酸基を含む共重合物等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ステアリルアミンアセテート、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。なお、これら分散剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の含有量は、使用する分散剤の種類等により任意に決定できるが、インク中0.2〜5質量%であることが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物には、更に必要に応じて、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等のオリゴマーを配合してもよい。また、表面調整剤、消泡剤等の添加剤や各種樹脂を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物は、例えば、モノマー、着色剤及び分散剤と、必要に応じて適宜選択されるオリゴマーや添加剤とを混合し、ビーズミル等により無機顔料が所望の粒子径分布になるまで粉砕分散を行い、調製できる。
上記活性エネルギー線硬化型インク組成物中に分散している着色剤の粒子径は、インクジェットプリンターのノズルから吐出可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、粒子径が大き過ぎると沈殿が起こり易くなり、粒径が小さ過ぎると色が出ない等の不具合が生ずる。このため、無機顔料の粒子径分布は、例えば、100〜900nmの範囲内であることが好ましい。なお、ここで粒子径分布とは、レーザー光散乱法粒度分布測定装置(例えば島津製作所製SALD−2300)で測定した、重量平均粒子径分布である。
本発明の印刷方法には、通常の印刷手段が使用できるが、インクジェットプリンターを用いて、上記活性エネルギー線硬化型インク組成物を熱溶融性無機粉末層上に吐出し、印刷層を形成することが好ましい。インクジェットプリンターとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を吐出させるインクジェットプリンターを挙げることができる。活性エネルギー線硬化系に適合するヘッドを搭載したインクジェットプリンターを使用し、インクの粘度を下げるために40〜50℃程度にヒーター付きヘッドによりインクを加温して吐出することもできる。
本発明の印刷方法においては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により印刷層を硬化させることになるが、印刷層が滲まないように熱溶融性無機粉末層の表面に定着させるため、印刷後にできるだけ速く活性エネルギー線照射を行うことが好ましい。つまり、本発明の印刷方法においては、活性エネルギー線硬化型インク組成物が熱溶融性無機粉末層上に着弾したと同時に又は直後に活性エネルギー線の照射を行うことが好ましく、例えば1分以内が好ましく、0.1秒〜1秒が更に好ましい。活性エネルギー線照射ランプとしては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を挙げることができる。
本発明の印刷方法において、活性エネルギー線の照射による印刷層の硬化率は、10〜100%であることが好ましく、20〜90%であることが更に好ましい。印刷層の硬化率が10%より低いとインクの流動により画像不鮮明となる。従って、印刷層の硬化率を10%以上にすることで、印刷層が固定されて滲むことなく、画質を保持することができる。また、熱溶融性無機粉末層の被膜強度が低い場合においては、印刷層の被膜強度を抑える必要があり、硬化率は90%以下にすることが好ましい。本発明において、印刷層の硬化率は、活性エネルギー線照射時に反応性を示すモノマーの転化率であり、例えば、ATR(表面IR分析)により2重結合ピークの消失量より求める。
<硬化率の測定方法>
活性エネルギー線硬化型インク組成物を印刷し、活性エネルギー線照射前後の印刷層表面をFT−IR(ATR法)により測定する。
例えば、アクリルモノマーの主反応部位であるアクリロイル基由来の810cm−1(CH2=CH-C(=O)O-のCH2面外変角振動)の吸収強度の変化を追跡する。活性エネルギー線照射によって硬化反応が進行するのはアクリロイル基のみである場合は、硬化率を下記式(1)のように定義できる。
硬化率[%]=100%−(残存アクリロイル基量[%])・・・式(1)
ここで、残存アクリロイル基量は、アクリロイル基の反応により変化しないC=O収縮振動;1725cm−1の吸収を基準に、下記式(2)から算出できる。
残存アクリロイル基量[%]=[(活性エネルギー線照射後の吸収強度比)/(活性エネルギー線照射前の吸収強度比)]×100・・・式(2)
本発明の印刷方法においては、次に、熱溶融性無機粉末層及び硬化した印刷層を備える無機質基材を焼成する。滲みが無く画像鮮明な印刷層を備える無機質基材を焼成することで、高精細な画像を形成することが可能になる。
上記無機質基材の焼成は、特に制限されず、ローラーハースキルン、トンネル炉、バッチ炉等を用いた既知の方法を利用することができる。なお、焼成の条件は、無機質基材の焼結温度、熱溶融性無機粉末の溶融温度、焼成炉の能力により決められるが、できる限り短時間で目的とする温度まで昇温するのが望ましい。高温に長時間保持されると着色剤の脱色が進行し、熱溶融性無機粉末層の熱溶融により印刷された画像が動くことより画質が低下する。従って、熱溶融性無機粉末が溶融する最低時間に設定することが好ましい。
本発明の印刷方法を、水系インクを用いた場合の印刷方法と比較すると、図4のように説明できる。図4は、水系インクを用いた場合の印刷方法と、本発明の印刷方法の一実施態様を比較した図である。なお、図4の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、UVインクである。本発明の印刷方法によれば、活性エネルギー線の照射により印刷層を硬化させることで、印刷層を熱溶融性無機粉末層の表面に定着させることができる。一方、水系インクを用いた場合、焼成前に印刷層が熱溶融性無機粉末層中に滲んでしまうため、熱溶融性無機粉末層を構成する白色顔料等と混ざり合い、所望の画像を表現できない。
次に、本発明の印刷物を詳細に説明する。本発明の印刷物は、上述した本発明の印刷方法によって得られることを特徴とし、具体的には、無機質基材と、該無機質基材上に配置された無機ガラス質層とを備えており、該無機ガラス質層中に画像が表現されている。ここで、図5は、本発明の印刷物の一実施態様を示す概略断面図である。図5に示す印刷物は、無機質基材と、該無機質基材上に形成されたガラス質層6とを備える。また、ガラス質層6には、焼成時に白色顔料4が下降してできた白色顔料の層と、該白色顔料の層より上側の位置で着色剤2により表現された画像とが含まれている。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
工程1<熱溶融性無機粉末層の作製から印刷及び硬化まで>
1.熱溶融性無機粉末層の形成
1.1 熱溶融性無機粉末の水分散液
下記市販の分散液を使用した。いずれも固形分濃度は50質量%であった。
分散液A:亜鉛含有白釉薬(一般名)、元素組成 Si-Zr-Ca-Zn-P-AL、溶融温度950℃
分散液B:亜鉛非含有白釉薬(一般名)、元素組成 Si-Zr-Ca-P-Ba-AL、溶融温度1150℃
分散液C:琺瑯用ガラスフリット分散液白(一般名)、元素組成 Si-Ca-Al-K、溶融温度700℃
1.2 無機質基材
タイル1:内装用素焼きタイル(仮焼き品)、厚み5mm、含水率5質量%
タイル2:磁器タイル未焼成品、厚み8mm、含水率10質量%
琺瑯材 :表面処理鋼板0.8mm、含水率0質量%
1.3 熱溶融性無機粉末層の作製
タイル1には分散液Aをフローコーターにより、塗布量450g/mになるよう塗装し、熱溶融性無機粉末層を作製した。最終含水率は10質量%であった。
タイル2には分散液Bをスプレーにて、塗布量550g/mになるよう塗装し、熱溶融性無機粉末層を作製した。最終含水率は20質量%であった。
琺瑯材には分散液Cをスプレーにて、塗布量300g/mになるよう塗装し、熱溶融性無機粉末層を作製した。最終含水率は5質量%であった。
なお、上記最終含水率は、熱溶融性無機粉末層を備える無機質基材を105℃にて3時間放置した後の質量減少率より求めた。
式中、uは、最終含水率(質量%)であり、Wは、熱溶融性無機粉末層を備える無機質基材を105℃にて3時間放置した後の質量減少量(g)であり、Wは、105℃にて3時間放置した後の熱溶融性無機粉末層を備える無機質基材の質量(g)である。
2.インクの調製
表1、表2、表3、表4、及び表5に示す配合処方に従い、原料を混合し、得られた混合物をビーズミルにて6時間練合し、インクを調製した。
使用した各色顔料は構造組成にて各表に示した。
2.1 インクの性状確認
2.1.1 粘度の測定
レオメーター(AntonpaarPysica社製MCR301)を使用して、40℃で、ずり速度100S−1にて測定した。
2.1.2 粒子径の測定
レーザー光散乱法粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2300)を使用して、25℃で重量平均粒子径及び粒子径分布を測定した。
2.1.3 密度の測定
JIS K 5600−2−4に準じて比重瓶を使用して、23℃で測定算出した。
3.印刷物の作製
ピエゾ方式のUVインク用ヒーター付きヘッドを搭載したインクジェットプリンターに、各インクセットを装填し、インクを45℃に加温して、無機質基材に吐出し、所定の模様を描画した。所定時間後にメタルハライドランプ乃至LEDランプを照射した。
3.1.1 ランプ照射時の積算光量は下記照度計にて測定した。
メタルハライドランプの照射光量:EYE UV METER UVPF−A1 HEADSENSER PD365
LEDランプの照射光量:UVICURE PLusII(UVA2)
3.1.2 硬化率の測定は下記IR分析装置を使用して測定した。
SHIMSZU IR racer−100 を使用して810cm−1の減少率より求めた。
工程2<焼成>
工程1によって作製したタイル又は琺瑯材をバッチ式電気炉内に水平におき、所定温度まで30分〜60分かけて昇温し、所定温度到達後すぐに冷却を開始し、120分〜240分かけて室温まで冷却した。
1.印刷、焼成品の仕上がり評価
下記評価基準に基づき評価実施した。
外観評価1及び2:画像鮮明度(画像に滲み、ゆがみ、ボケ、抜け、曇りがなく鮮明か)
評価A:鮮明な画像を得た。
評価B:やや不鮮明である。
評価C:明らかに不鮮明である。
なお、表6〜7中、外観評価1は、印刷後焼成直前に行った外観評価の結果を示し、外観評価2は、焼成終了後に行った外観評価の評価を示す。
外観評価3:焼成後のガラス質層の表面状態
評価A:ガラス質感(光沢感)があり、表面が平滑である。
評価B:ガラス質感(光沢感)があるが、表面の一部が平滑でない。
以下、表6に基づいて実施例を説明する。
(実施例1)
工程1:タイル1に分散液Aを塗装し、熱溶融性無機粉末層を形成させた。インクセットAをジェットプリンターにて吐出し、風景画画像を印刷した。画像印刷後、5秒後にメタルハライドランプを照射(積算光量200mJ/cm)した。同条件での印刷層の硬化率は20%であった。
工程2:1100℃で焼成し、印刷タイルを作製した。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例2)
工程1において、画像印刷後、メタルハライドランプの積算光量を500mJ/cmに変更する以外は実施例1と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は100%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明ではあったが、焼成後の仕上がり外観(外観評価3:B)がやや劣っていた。
(実施例3)
工程1において、画像印刷後、メタルハライドランプを照射するまでの時間を50秒に変更する以外は実施例1と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は20%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例4)
工程1:タイル2に分散液Bを塗装し、熱溶融性無機粉末層を形成させた。インクセットBをジェットプリンターにて吐出し、大理石画像を印刷した。画像印刷後、0.5秒後にLEDランプ(385)を照射(積算光量220mJ/cm)した。尚同条件での印刷層の硬化率は20%であった。
工程2:1250℃で焼成し、印刷タイルを作製した。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例5)
工程1において、画像印刷後、LEDランプの積算光量を440mJ/cmに変更する以外は実施例4と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は40%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例6)
工程1において、画像印刷後、LEDランプの積算光量を880mJ/cmに変更する以外は実施例4と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は80%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例7)
工程1:琺瑯材に分散液Cを塗装し、熱溶融性無機粉末層を形成させた。インクセットCをジェットプリンターにて吐出し、花柄画像を印刷した。画像印刷後、20秒後にメタルハライドランプを照射(積算光量300mJ/cm)した。同条件での印刷層の硬化率は50%であった。
工程2:800℃で焼成し、印刷琺瑯材を作製した。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例8)
工程1において、画像印刷後、LEDランプの積算光量を350mJ/cmに変更し、印刷後紫外線照射までの間隔を5秒に変更する以外は実施例7と同様の基材種、工程1,2にて印刷琺瑯材を作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は60%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例9)
工程1において、画像印刷後、LEDランプの積算光量を450mJ/cmに変更する以外は実施例7と同様の基材種、工程1,2にて印刷琺瑯材を作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は90%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)も良好であった。
(実施例10)
工程1において、画像印刷後、メタルハライドランプの積算光量を80mJ/cmに変更する以外は実施例1と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は8%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:B)は未硬化のインクが熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散したためやや不鮮明となり、焼成後の画像(外観評価2:B)も同様にやや不鮮明な印刷画像となった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
(実施例11)
工程1において、画像印刷後、メタルハライドランプを照射するまでの時間を400秒に変更する以外は実施例1と同様の基材種、工程1,2にて印刷タイルを作製した。尚同条件での印刷層の硬化率は20%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:B)は、焼成前にインクが熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散したためにやや不鮮明となり、焼成後の画像(外観評価2:B)も同様にやや不鮮明な印刷画像となった。
(実施例12)
実施例2に準じて行うが、照射終了後から焼成開始までの間隔を3日に変更した。尚同条件での印刷層の硬化率は100%であった。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:A)は鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:A)も鮮明ではあったが、焼成後の仕上がり外観(外観評価3:B)がやや劣っていた。
以下表7に基づいて比較例を説明する。
(比較例1)
工程1:実施例1と同様に熱溶融性無機粉末層を形成させた。次いで、インクセットD(油性)をジェットプリンターにて吐出し、風景画画像を印刷した。
工程2:実施例1と同様に行った。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:C)は不鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:C)も不鮮明であった。
油性インクは硬化しないため、インク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散して画像が不鮮明となった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
(比較例2)
工程1:実施例4と同様に熱溶融性無機粉末層を形成させた。次いで、インクセットD(油性)をジェットプリンターにて吐出し、大理石画像を印刷した。
工程2:実施例4と同様に行った。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:C)は不鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:C)も不鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
油性インクは硬化しないため、インク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散し、焼成時昇温過程で流動して画像が不鮮明となった。とりわけ含水率の高い下地への印刷であり拡散ボケが発生した。
(比較例3)
工程1:実施例1と同様に熱溶融性無機粉末層を形成させた。次いで、インクセットE(水性)をジェットプリンターにて吐出し、風景画画像を印刷した。
工程2:実施例1と同様に行った。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:C)は不鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:C)も不鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
水性インクは硬化しないため、インク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散し、印刷時にすでに画像不鮮明となった。
(比較例4)
工程1:実施例4と同様に熱溶融性無機粉末層を形成させた。次いで、インクセットE(水性)をジェットプリンターにて吐出し、大理石画像を印刷した。
工程2:実施例4と同様に行った。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:C)は不鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:C)も不鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
水性インクは硬化しないため、インク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散し、印刷時にすでに画像不鮮明となった。とりわけ含水率の多い下地への印刷であり、滲みが大きかった。
(比較例5)
工程1:実施例7と同様に熱溶融性無機粉末層を形成させた。次いで、インクセットE(水性)をジェットプリンターにて吐出し、花柄画像を印刷した。
工程2:実施例7と同様に行った。
印刷後焼成前の画像(外観評価1:C)は不鮮明で、焼成後の画像(外観評価2:C)も不鮮明であった。焼成後の表面状態(外観評価3:A)は良好であった。
水性インクは硬化しないため、インク滴が熱溶融性無機粉末層に浸透吸収及び拡散し、印刷時にすでに画像不鮮明となった。
表中、「印刷後焼成までの放置時間」の項目において、「<1日」との記載は、0.1〜24時間を意味する。
1 印刷層
2 着色剤
3 樹脂
4 白色顔料
5 熱溶融性無機粉末層
6 ガラス質層

Claims (5)

  1. 無機質基材上に熱溶融性無機粉末を塗布し、熱溶融性無機粉末層を形成させる工程と、
    活性エネルギー線硬化型インク組成物を用いたインクジェット印刷により、前記熱溶融性無機粉末層上に印刷層を形成し、該印刷層を活性エネルギー線の照射により硬化させる工程と、
    熱溶融性無機粉末層及び硬化した印刷層を備える無機質基材を焼成する工程と
    を含むことを特徴とする印刷方法。
  2. 前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が前記熱溶融性無機粉末層上に着弾したと同時に又は直後に活性エネルギー線の照射を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記活性エネルギー線硬化型インク組成物が、密度4〜6g/mlの着色剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷方法。
  4. 前記活性エネルギー線の照射による印刷層の硬化率が10〜100%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷方法によって得られたことを特徴とする印刷物。
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