JP2016049034A - リファンピシリン耐性結核菌を検出する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下の(1)から(3)に示す工程を含む、結核菌のリファンピシリン耐性の検出方法。
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号1および2で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号3で示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程
[2]
以下の(1)から(3)に示す工程を含む、結核菌のリファンピシリン耐性の検出方法。
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号4および5で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号6から9のうちいずれかで示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程
[3]
[1]または[2]に記載のリファンピシリン耐性結核菌の検出方法であって、検出対象が、コドン509、510、511、512、513、514、515、516、520、521、522、523、526、527、529、531および533からなる群のうちいずれか1以上に生じる塩基変異である、[1]または[2]に記載の方法。
本発明で用いられる核酸プローブは、rpoB遺伝子の変異を検出することで結核菌のリファンピシリン耐性を検出するための核酸プローブである。前記核酸プローブはrpoB遺伝子の一部または全部とハイブリダイズして複合体を形成しうるものであれば特に制限されない。より好ましくは、rpoB遺伝子のみと特異的に複合体を形成し、それ以外の塩基配列を有する核酸とは複合体を形成しない核酸プローブであり、より好ましくはrpoB遺伝子の一部または全部の塩基配列と同一または相補的な塩基配列を有する核酸プローブである。
前記核酸プローブが複合体を形成する対象は、試料中に存在する結核菌ゲノム中のrpoB遺伝子でもよく、当該遺伝子の一部または全部を核酸増幅させて得られた核酸増幅産物でもよい。より好ましくは核酸増幅産物である。
別の言い方をすると、配列番号1〜9に記載されている塩基配列のうち一番長いものは29塩基、一番短いものは19塩基であるが、前記の核酸プローブの長さは、各塩基配列で示される配列の全長を有することが最も好ましい。前記「塩基配列の一部分」については、全長が15塩基未満とならない範囲内であれば、その配列の連続性を維持する前提で、少なくともいずれかの末端を欠いてもよい。その場合の塩基配列の長さは、長いほうが好ましい。例えば配列番号1であれば15塩基以上であれば良いが、より好ましくは16塩基以上、より好ましくは17塩基以上、より好ましくは18塩基以上、より好ましくは19塩基以上、より好ましくは20塩基以上、より好ましくは21塩基以上、より好ましくは22塩基以上、より好ましくは23塩基以上、より好ましくは24塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは26塩基以上、より好ましくは27塩基以上、より好ましくは28塩基以上、最も好ましくは29塩基である。また、例えば配列番号9であれば15塩基以上であれば良いが、より好ましくは16塩基以上、より好ましくは17塩基以上、より好ましくは18塩基以上、最も好ましくは19塩基である。
本発明のリファンピシリン耐性結核菌検出において、検出対象は試料中に含まれる結核菌のゲノム中のrpoB遺伝子を核酸増幅させて得られた核酸増幅産物であることが好ましい。核酸増幅産物を検出対照とする場合は、本発明に記載の核酸プローブと共に、rpoB遺伝子の一部を特異的に増幅するための核酸プライマーセットを使用してもよい。
別の言い方をすると、配列番号10〜17に記載されている塩基配列のうち一番長いものは32塩基、一番短いものは27塩基であるが、前記の核酸プローブの長さは、各塩基配列で示される配列の全長を有することが最も好ましい。前記「塩基配列の一部分」については、全長が15塩基未満とならない範囲内であれば、その配列の連続性を維持する前提で、少なくともいずれかの末端を欠いてもよい。その場合の塩基配列の長さは、長いほうが好ましい。例えば配列番号10であれば15塩基以上であれば良いが、より好ましくは16塩基以上、より好ましくは17塩基以上、より好ましくは18塩基以上、より好ましくは19塩基以上、より好ましくは20塩基以上、より好ましくは21塩基以上、より好ましくは22塩基以上、より好ましくは23塩基以上、より好ましくは24塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは26塩基以上、より好ましくは27塩基以上、より好ましくは28塩基以上、より好ましくは29塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは31塩基以上、最も好ましくは32塩基である。また、例えば配列番号17であれば15塩基以上であれば良いが、より好ましくは16塩基以上、より好ましくは17塩基以上、より好ましくは18塩基以上、より好ましくは19塩基以上、より好ましくは20塩基以上、より好ましくは21塩基以上、より好ましくは22塩基以上、より好ましくは23塩基以上、より好ましくは24塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは26塩基以上、最も好ましくは27塩基である。
本発明のリファンピシリン耐性結核菌の検出方法は、試料中に存在する結核菌のrpoB遺伝子の変異を検出することを特徴とする。
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号1および2で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号3で示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号4および5で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号6から9のうちいずれかで示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程
すなわち、本発明の結核菌のリファンピシリン耐性の検出方法は、以下の工程(0)を含む方法であってもよい。
(0)rpoB遺伝子を核酸増幅するための核酸プライマーセットを含む組成物を含む反応液によって被検核酸を増幅する工程
この実施態様では、工程(0)は、遅くとも前記工程(3)の開始前に行うことが好ましい。さらに好ましくは前記工程(2)の前に行うことが好ましい。また、前記工程(1)の前に行うことも可能である。
また、この実施態様では、工程(2)においては、工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成しうる核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる。この実施態様で用いられる核酸プライマーセットおよび核酸プローブとしては前記のものを使用できる。
(2’)工程(1)で得られた複合体を含む反応系の温度を段階的に上昇させて融解曲線分析を行い、複合体を形成していた核酸増幅産物と核酸プローブの解離の有無を検知する工程
(3’)工程(2’)で解離が検知できた場合に、rpoB遺伝子が存在していたと判断し、さらに複合体の融解温度の差からrpoB遺伝子が変異を有するか否かを判定する工程
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
核酸増幅にPCR法を用いる場合、使用するDNAポリメラーゼは特に制限されないが、α型DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。その理由を以下に説明する。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を有するDNAポリメラーゼとして、「KOD FX(東洋紡製、商標)」、「KOD −Plus−(東洋紡製、商標)」、「KOD Dash(東洋紡製、商標)」、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、商標)なども利用できる。
なかでも、高い正確性とDNA合成活性とをあわせ持つKOD −Plus−が望ましい。
本発明のrpoB遺伝子検出方法においては、工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
前記方法の(2)で示される工程において、得られた複合体を検出する方法は特に限定されない。例えば、前記(2’)のように融解曲線分析による方法が挙げられる。
二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は、加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。
同様に、rpoB遺伝子中の無標識核酸プローブとの結合領域内に変異が含まれると、無標識核酸プローブと該核酸増幅産物とは、rpoB遺伝子が野生型である場合よりも弱く結合する。その場合、例えば融解曲線解析を実施した場合に、無標識核酸プローブがrpoB遺伝子の野生型を検査するときと比較して低い温度で融解し、蛍光標識された該核酸プローブの蛍光標識塩基に隣接したグアニンが離れるため、該核酸プローブが蛍光を発することになる。
従っていずれの核酸プローブと結合する位置に変異が含まれていても、前記検出系によって変異を検知することが可能になる。
工程(1)によって得られた核酸増幅産物の解離、および、解離により得られた一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記反応液の温度変化によって行うことができる。
[DNA合成活性]
本発明において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/ml BSA
B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl2, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンドルフチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
蛍光標識された核酸プローブと無標識の核酸プローブとを用いることで、rpoB遺伝子を検出し、かつ野生型rpoB遺伝子と変異型rpoB遺伝子とを鑑別できることを示す実験を行った。
(1)試料の調製
配列番号19で示されるフォワードプライマーと配列番号20で示されるリバースプライマーとを用いてrpoB遺伝子のうちコドン509〜コドン533に相当する領域を含む塩基配列をPCRによって核酸増幅した。次いで、核酸増幅産物をクローニングベクターpUC19に組み込み野生型rpoB陽性試料とした。さらに、該野生型rpoB陽性試料からinverse PCRによる部位特異的変異導入法を用いて変異を導入した直鎖状DNAを調製し、該直鎖状DNAをライゲーションすることで、所定の変異型rpoB遺伝子部分配列を含む環状DNAを調製した。左記環状DNAを変異型rpoB陽性試料とした。
rpoB遺伝子の核酸増幅にはKOD −Plus− ver.2(東洋紡製)を用いた。部位特異的変異導入法にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いた。作製した陽性試料の一覧を表1に記載した。
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により核酸増幅および融解曲線分析を行い核酸プローブと核酸増幅産物との複合体を検出した。分析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を用いた。
以下の試薬を含む溶液を調製した。試料には前記野生型または変異型rpoB陽性試料を25コピー/μlとなるように濃度調製したものを使用した。
100μMフォワードプライマー(配列番号10)0.25μl
100μMリバースプライマー(配列番号14)0.05μl
100μM核酸プローブ(配列番号1、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号2、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号3、3´末端リン酸化)0.06μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
DMSO 0.32μl
精製水 0.46μl
試料 4μl
(試料として、WT(野生型)、511GTG、512GGC、516GTC、516CAC、531TTG、531TGG、533CCGを使用した。本明細書において各変異体陽性試料は「コドン番号 変異後の塩基配列」を名称としている。例えば511GTGならば、コドン511の塩基がGTGに置換変異された試料となる。)
94℃・30秒
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・5秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
40℃〜80℃(0.09℃/秒で温度上昇)
図2は、配列番号10からなる塩基配列を有するフォワードプライマーと配列番号14からなる塩基配列を有するリバースプライマーとで構成される核酸プライマーセットと、配列番号1〜3からなる塩基配列をそれぞれ有する核酸プローブとを用いて、WTおよび511GTGを試料として核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。本実施例で用いた核酸プローブは消光プローブであり、核酸増幅産物と共に39℃に置くことによって増幅された標的核酸と結合し消光する。その後、徐々に温度を上げることで核酸プローブは標的核酸から遊離し、蛍光を発する。従って、徐々に温度を上げる過程で蛍光変化量が正に変化すれば、それは即ち標的核酸と結合していた核酸プローブが遊離したことを示している。
図2から、WTを試料とした場合は約70℃で蛍光の大きな変化が生じ検出ピークが得られたことがわかる。一方、511GTGでは約65℃と約70℃の両方で蛍光の大きな変化が生じ検出ピークが得られている。WTと511GTGとで検出ピーク形状が異なることから、本発明の方法により野生型のrpoB遺伝子とコドン511が変異したrpoB遺伝子とを識別できることが示された。
同様に図3〜8はそれぞれ、512GGC、516GTC、516CAC、531TTG、531TGG、533CCGがWTと検出ピークが異なることを示しており、本結果からコドン511、512、516、531、533のいずれかに変異を有するrpoB遺伝子を野生型rpoB遺伝子と区別することが可能であることが明らかになった。
蛍光標識された核酸プローブと無標識の核酸プローブとを用いることで、rpoB遺伝子を検出し、かつ野生型rpoB遺伝子と変異型rpoB遺伝子とを鑑別できることを示す実験を行った。
(1)試料の調製
配列番号19で示されるフォワードプライマーと配列番号20で示されるリバースプライマーとを用いてrpoB遺伝子のうちコドン509〜コドン533に相当する領域を含む塩基配列をPCRによって核酸増幅した。次いで、核酸増幅産物をクローニングベクターpUC19に組み込み野生型rpoB陽性試料とした。さらに、該野生型rpoB陽性試料からinverse PCRによる部位特異的変異導入法を用いて変異を導入した直鎖状DNAを調製し、該直鎖状DNAをライゲーションすることで、所定の変異型rpoB遺伝子部分配列を含む環状DNAを調製した。左記環状DNAを変異型rpoB陽性試料とした。
rpoB遺伝子の核酸増幅にはKOD −Plus− ver.2(東洋紡製)を用いた。部位特異的変異導入法にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いた。作製した陽性試料の一覧を表2に記載した。
(2)核酸増幅および融解曲線分析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により核酸増幅および融解曲線分析を行い核酸プローブと核酸増幅産物との複合体を検出した。分析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を用いた。
以下の試薬を含む溶液を調製した。試料には前記野生型または変異型rpoB陽性試料を25コピー/μlとなるように濃度調製したものを使用した。
100μMフォワードプライマー(配列番号10)0.25μl
100μMリバースプライマー(配列番号14)0.05μl
100μM核酸プローブ(配列番号1、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号2、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号3、3´末端リン酸化)0.06μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
DMSO 0.32μl
精製水 0.46μl
試料 4μl
(試料として、WT、510_AG、510CAT、513TAA、513AAT、513CCA、514TTC+、515GTG、523CGG、526CAA、529AAAを使用した。510_AGの_は元の塩基が欠失していることを指す。また、514TTC+の+は挿入変異であることを指す。)
94℃・30秒
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・5秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
40℃〜80℃(0.09℃/秒で温度上昇)
図9は、配列番号10からなる塩基配列を有するフォワードプライマーと配列番号14からなる塩基配列を有するリバースプライマーとで構成される核酸プライマーセットと、配列番号1〜3からなる塩基配列をそれぞれ有する核酸プローブとを用いて、WTおよび510_AGを試料として核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図9から、WTを試料とした場合は約70℃で蛍光の大きな変化が生じ検出ピークが得られたことがわかる。一方、510_AGでは約70℃以外に約65℃でも蛍光の変化が生じ検出ピークが得られている。WTと510_AGとで検出ピーク形状が異なることから、本発明の方法により野生型のrpoB遺伝子とコドン511が変異したrpoB遺伝子とを識別できることが示された。
同様に図10〜18はそれぞれ、510CAT、513TAA、513AAT、513CCA、514TTC+、515GTG、523CGG、526CAA、529AAAがWTと検出ピークが異なることを示しており、本結果からコドン510、513、514、515、523、526、529のいずれかに変異を有するrpoB遺伝子を、野生型rpoB遺伝子と区別することが可能であることが明らかになった。
実施例1、2とは異なる核酸プライマーセットを用いて核酸増幅させた核酸増幅産物を検出対象とし、蛍光標識された核酸プローブと無標識の核酸プローブとを用いることで、rpoB遺伝子を検出し、かつ野生型rpoB遺伝子と変異型rpoB遺伝子とを鑑別できることを示す実験を行った。
(1)試料の調製
実施例1、2で使用したWTを使用した。濃度は25コピー/μlとし、濃度調製は10mMのTris−HCl(pH7.5)で行った。
(2)核酸増幅および融解曲線分析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により核酸増幅および融解曲線分析を行い核酸プローブと核酸増幅産物との複合体を検出した。分析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を用いた。
以下の試薬を含む溶液を調製した。核酸プライマーの組み合わせは表3に記載した。
100μMフォワードプライマー(配列番号10、11、12、13のいずれか)0.25μl
100μMリバースプライマー(配列番号14、15、16、17のいずれか)0.05μl
100μM核酸プローブ(配列番号1、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号2、5´末端BODIPY−FL標識、3´末端リン酸化)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号3、3´末端リン酸化)0.06μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
DMSO 0.32μl
精製水 0.46μl
試料 4μl
(試料として、WTを使用した)
実施例2に同じ
図19は、配列番号10からなる塩基配列を有するフォワードプライマーと配列番号14からなる塩基配列を有するリバースプライマーとで構成される核酸プライマーセットと、配列番号1〜3からなる塩基配列をそれぞれ有する核酸プローブとを用いて、WTを試料として核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。
同様に図20〜29は表3に記載した核酸プライマー組み合わせで同様の実験を行った結果である。本実施例から、本発明の検出方法および本発明で用いられる核酸プローブセットは、特定の塩基配列を有する核酸プライマーによる核酸増幅産物を対象とせず、様々な塩基配列を有する核酸プライマーセットを用いて得られた核酸増幅産物を対象とした検出が可能であることが示された。
実施例1、2とは異なる塩基配列を有する核酸プローブを用いて、rpoB遺伝子を検出し、かつ野生型rpoB遺伝子と変異型rpoB遺伝子とを鑑別できることを示す実験を行った。
(1)試料の調製
実施例1、2で使用した試料のうちWT、511GTG、512GGC、531TTGを使用した。濃度は25コピー/μlとし、濃度調製は10mMのTris−HCl(pH7.5)で行った。
(2)核酸増幅および融解曲線分析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により核酸増幅および融解曲線分析を行い核酸プローブと核酸増幅産物との複合体を検出した。分析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を用いた。
以下の試薬を含む溶液を調製した。試料には前記野生型または変異型rpoB陽性試料を25コピー/μlとなるように濃度調製したものを使用した。核酸プライマーの組み合わせは表2に記載した。
100μMフォワードプライマー(配列番号10、11、12、13のいずれか)0.25μl
100μMリバースプライマー(配列番号14、15、16、17のいずれか)0.05μl
100μM核酸プローブ(配列番号4、3´末端BODIPY−FL標識)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号5、3´末端BODIPY−FL標識)0.03μl
100μM核酸プローブ(配列番号6、3´末端リン酸化)0.06μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)4μl
DMSO 0.32μl
精製水 0.46μl
試料 4μl
実施例2に同じ
図30は、配列番号10からなる塩基配列を有するフォワードプライマーと配列番号14からなる塩基配列を有するリバースプライマーとで構成される核酸プライマーセットと、配列番号4〜6からなる塩基配列をそれぞれ有する核酸プローブとを用いて、WTおよび511GTGを試料として核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。
同様に図31、32は511GTGの代わりに、512GGC、531TTGを試料として同様の実験を行った結果である。本実施例から、本発明で用いる核酸プローブは配列番号1〜3に限定されず、左記とは異なる塩基配列を有する核酸プローブも使用可能であることが明らかになった。
Claims (3)
- 以下の(1)から(3)に示す工程を含む、結核菌のリファンピシリン耐性の検出方法。
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号1および2で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号3で示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程 - 以下の(1)から(3)に示す工程を含む、結核菌のリファンピシリン耐性の検出方法。
(1)試料中の結核菌に由来する核酸と、以下の(A)および(B)に記載の核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(A)配列番号4および5で示された蛍光標識された2本の核酸プローブ
(B)配列番号6から9のうちいずれかで示された1本の無標識核酸プローブ
(2)工程(1)で得られた複合体を検出する工程
(3)工程(2)で測定または検出されるデータを解析することで結核菌のリファンピシリン耐性を判別する工程 - 請求項1または2に記載のリファンピシリン耐性結核菌の検出方法であって、検出対象が、コドン509、510、511、512、513、514、515、516、520、521、522、523、526、527、529、531および533からなる群のうちいずれか1以上に生じる塩基変異である、請求項1または2に記載の方法。
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