JP2016048370A - ワイヤーグリッド装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の自立型ワイヤーグリッドの一例は、直径5μm〜50μm程度の金属細線を、1本づつ設定された間隔で平行に並べ、金属枠に接着剤で貼り付けて作成されている。この自立型ワイヤーグリッドは、適用可能な周波数に限界があり、概ね1.5THz以上のテラヘルツ電磁波の偏光子に適用可能な構造のものは、微細な構造となることから実現することが困難とされている。
縦桟部111の幅(ワイヤー幅)や間隔は、ワイヤーグリッド用金属板101の性能を決定するパラメータであり、適用する光の周波数に応じて定まる。そして、ワイヤーグリッド用金属板101は、1.5THz以上のテラヘルツ電磁波にも適用可能な構造とすることができ、縦桟部111の幅Waは1.5μm〜50μmとすることができる。
なお、縦桟部111の幅Waはワイヤーグリッド用金属板101の性能を決定するパラメータとして一義的に定まるが、横桟部112の幅Wbや間隔(個数)等は、主にワイヤーグリッド用金属板101の強度を確保する観点から定まる。このため、横桟部112の幅Wbは、縦桟部111の幅以上の幅広に形成されている。具体的には、縦桟部111の幅Waを1.5μm〜50μmとし、横桟部112を15μm以上であって縦桟部111より幅広に形成する。
そこで、本発明は、従来のワイヤーグリッド装置では実現不可能であった透過電力特性および電力消光比を1素子で簡易に実現できるワイヤーグリッド装置を提供することを目的としている。
また、本発明の他のワイヤーグリッド装置は、矩形状の金属薄板の一端と他端との間に切欠部が設けられて、該一端と該他端との間に形成された細長いグリッド部を有する複数のグリッド板において、前記グリッド部同士が所定の間隔を介して対面するよう積層されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、前記グリッド板における隣接する前記グリッド板の前記一端の間および前記他端との間にスペーサが挿入されることにより、隣接する前記グリッド板の前記グリッド部間にスリットが形成されてグリッド板積層体が形成され、該グリッド板積層体における前記グリッド部が平行平板を構成することを主要な特徴としている。
また、本発明の他のワイヤーグリッド装置は、両側にネジ部が形成された平板状の下基台と、前記ネジ部の形成位置に対応して両側に孔が形成された平板状の上基台とを有し、前記グリッド板の一端と他端とに、前記ネジ部および前記孔の形成位置に対応して貫通孔が形成されていると共に、前記スペーサにも貫通孔が形成されており、前記グリッド板積層体を前記下基台と前記上基台との間に挟持し、前記上基台の前記孔に挿通した取付手段を、前記グリッド板積層体における前記グリッド板の前記貫通孔および前記スペーサの前記貫通孔に順次挿通して前記下基台のネジ部に螺着することにより組み立てられていてもよい。
また、本発明の他のワイヤーグリッド装置は、前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを約50μmとした時に、前記グリッド部間の間隔dが約10μm〜約50μm、前記グリッド部を配置する周期pが約11μm〜約50μmとされ、前記グリッド部の幅aを約1000μmから約3000μmとした時に、前記間隔dが約10μm〜約150μm、前記周期pが約11μm〜約300μmとされていてもよい。
また、本発明の他のワイヤーグリッド装置は、前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを50μm〜3000μmとした時に、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約10μm、周期pでは約2μm〜約20μmとされていてもよい。
また、本発明のさらに他のワイヤーグリッド装置は、細長い矩形状の金属薄板が一面のほぼ中央に形成されている矩形状のフィルムからなるフィルム基板を複数枚積層することにより平行平板が構成されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、伝搬方向の長さである前記金属薄板の幅aを約50μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm〜約50μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm〜約100μmとされ、前記金属薄板の幅aを約1000μm〜約2000μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm〜約150μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm〜約300μmとされることを主要な特徴としている。
また、本発明のさらに他のワイヤーグリッド装置は、平板状の底部と、該底部の上面から立設した複数本の立設柱とを有する基台と、前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれた前記フィルム基板を複数枚積層したフィルム基板積層体と、平板状の平板部と、該平板部において前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれている押さえ板とを備え、前記フィルム基板積層体が前記複数本の立設柱により位置合わせされて前記基台に収納され、該フィルム基板積層体の上に前記押さえ板が載置され、該押さえ板に挿通されたネジが前記基台に螺着されていてもよい。
また、本発明のさらに他のワイヤーグリッド装置は、前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm〜2000μmとした時に、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約5μm、周期pでは約1.01μm〜約20μmとされていてもよい。
また、本発明のさらに他のワイヤーグリッド装置は、前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm〜2000μmとした時に、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約23μm、周期pでは約1.01μm〜約43μmとされていてもよい。
また、矩形状の金属薄板の一端と他端との間に切欠部が設けられて、該一端と該他端との間に形成された細長いグリッド部を有する複数のグリッド板において、隣接するグリッド板の一端の間および他端との間にスペーサを挿入して、グリッド部同士が所定の間隔を介して対面するよう積層してグリッド板積層体を形成し、グリッド板積層体におけるグリッド部が平行平板を構成することにより、容易にテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置を歩留まりよく作成することができ、コストを低減することができるようになる。
また、基台の立設柱の位置が切り欠かれたフィルム基板を複数枚積層したフィルム基板積層体を、基台に収納してフィルム基板積層体の上に押さえ板を載置し、押さえ板に挿通されたネジを基台に螺着することにより、フィルム基板積層体におけるフィルム基板に形成された金属薄板が平行平板を構成することにより、容易にテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置を歩留まりよく作成することができ、コストを低減することができるようになる。
本発明の第1実施例のワイヤーグリッド装置1は、テラヘルツ波帯の周波数帯において偏光子として動作する。本発明の第1実施例のワイヤーグリッド装置1は、図1(a)(b)(c)に示すように所定の奥行きを有する直方体状とされた導電性の枠体10と、枠体10の縦方向に枠体10を貫通するよう多数形成されたスリット11とから構成されている。枠体10は金属製等の導電性とされ、金属製の枠体10をエッチングすることにより、スリット11を形成することができる。枠体10の奥行きをaとすると、スリットの奥行きがaとなる。多数のスリット11の縦方向の長さはl(小文字のエル)とされ、スリット11は互いに平行に配置されている。スリット11間の枠体10の領域によりグリッド12が形成される。スリット11の幅はd、グリッド12の幅はwとされ、グリッド12の周期はp(=d+w)とされている。第1実施例のワイヤーグリッド装置1では、枠体10に多数のスリット11が形成されることにより、平行平板とされる多数のグリッド12が形成されて、ワイヤーグリッド装置として機能するようになる。なお、lはグリッド12の長さでもあって、ワイヤーグリッド装置1の開口の寸法ともされている。なお、図示する例ではワイヤーグリッド装置1の横方向がx軸方向、縦方向がy軸方向、奥行き方向がz軸方向とされる。
図2(a)に示すように、第1実施例のワイヤーグリッド装置1に入射したz軸方向に進行するテラヘルツ波は、スリット11が形成された枠体10に入射し、奥行きaとされた枠体10に形成されているグリッド12間を通過したテラヘルツ波が出射されるようになる。これをモデル化したのが図2(a)に示す解析モデルであり、入射するまでの枠体10の前の領域を仮想した周期境界壁14の領域と、周期境界壁14にステップ構造#1で連結された間隔dで対向すると共に奥行きaとされた電気壁13の領域と、この領域にステップ構造#2で連結された枠体10の後の領域を仮想した周期境界壁14との領域とからなる。なお、電気壁13は奥行きa、幅wとされたグリッド12により構成されることから、ステップ構造#1,#2のステップ高さはw/2とグリッド12の幅wの1/2となる。周期境界壁14間の距離pxは、グリッド12の周期pに等しくされている。
入射波はTMモード(Transverse Magnetic mode)であり、磁界H(ベクトル)の入射波Hi y、反射波Hr y、透過波Ht yは、
1つ目のステップ構造#1の散乱行列は励振関数Am、Bn、Clにより導出でき、2つ目のステップ構造#2の散乱行列と距離(奥行き)aで接続することにより、図1(a)に示すワイヤーグリッド装置1の全体構造でのTMモードのテラヘルツ波を入射した際の透過、反射特性が求まる。また、消光比はTEモード(Transverse ElectroMagnetic mode)の伝搬定数を考慮して求めることができる。これは、テラヘルツ波の電場の振幅方向がグリッド12の延伸方向である縦方向と直交する(TMモード)場合に透過配置となり、テラヘルツ波の電場の振幅方向がグリッド12の延伸方向である縦方向(TEモード)の場合に阻止配置となるからである。
これらの図に示すように、第2実施例のワイヤーグリッド装置2は、薄い金属板からなる複数枚のグリッド板20を互いに所定間隔となるよう積層したグリッド板積層体2aを備えている。複数枚のグリッド板20は、その両端にそれぞれ所定厚みのスペーサ21を介して積層され、これによりグリッド板20が所定間隔で積層されたグリッド板積層体2aが構成されている。このグリッド板積層体2aにおいては、積層された複数枚のグリッド板20により平行平板が構成される。そして、グリッド板積層体2aの上には、直方体状の上基台22が配置され、下には下基台23が配置されて、上基台22に挿通した取付ネジ24をグリッド板積層体2aを挿通して下基台23に螺着することにより、第2実施例のワイヤーグリッド装置2が構成されている。このように、第2実施例のワイヤーグリッド装置2は、グリッド板20とスペーサ21とで組み立てられた平行平板を構成するグリッド板積層体2aと、上基台22と、下基台23と、2本の取付ネジ24を組み立てる簡易な組立構造のワイヤーグリッド装置2とされることから、テラヘルツ波帯の偏光子として動作するワイヤーグリッド装置を安価に得ることができる。また、第2実施例の組立構造のワイヤーグリッド装置2は、良好な消光比を安定して得ることができる
これらの図に示すように、グリッド板20は細長いと共に厚みの薄い矩形状の金属板の一方の長辺から切欠部20bを形成することにより、両端の間であって他方の長辺に沿って細長い矩形状のグリッド部20aを形成するようにしている。両端にはほぼ正方形状の固定部20cが形成されており、固定部20cのほぼ中央に円形の貫通孔20dが形成されている。複数枚のグリッド板20が積層された際に、グリッド部20aが平行平板を構成し、テラヘルツ波帯の偏光子として機能するようになる。このグリッド部20aの横方向の長さがL2、その幅がa2とされ、グリッド板20の厚さはt2とされる。
これらの図に示すように、スペーサ21は所定の厚さd2とされ、グリッド板20間の間隔をd2とする機能を奏している。スペーサ21は、リング状の本体部21aから構成されており、本体部21aのほぼ中央には貫通孔21bが形成されている。スペーサ21は、金属製でも合成樹脂製でも良い。貫通孔21bの内径は、グリッド板20に形成された2つの貫通孔20dの内径とほぼ一致している。
このように設計した第2実施例のワイヤーグリッド装置2の外部に周期境界壁を仮想し、1本分抜き出した2次元解析モデルをモードマッチング法で設計し、TMモードの透過電力を解析した。消光比は、上述したように平行平板内のTEモードの伝搬定数を考慮して求めた。
なお、図10はグリッド部20aの幅a2を50μmとした時の解析結果を示す図表であり、図11はグリッド部20aの幅a2を1000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図12はグリッド部20aの幅a2を2000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図13はグリッド部20aの幅a2を3000μmとした時の解析結果を示す図表であり、いずれの場合においても、グリッド板20間の間隔(スペーサ21の厚さ)d2を10μm、50μm、100μm、150μmとすると共に、周期p2(=d2+t2)を11μm〜300μmの内の間隔d2に応じて取ることができる値とした解析結果である。この場合、図表にはグリッド板20の金属厚みt2も規定されているが、厚みt2は、t2=p2−d2により演算した値とされている。
さらにまた、間隔d2を約50μmとすると共に周期p2を約51μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、0.1THz〜2.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約99.96%〜100%で電力消光比が約−20.3dB〜約−27.3dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d2を約50μmとすると共に周期p2を約55μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、0.1THz〜2.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約99.11%〜100%で電力消光比が約−20.3dB〜約−27.2dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作する。さらにまた、間隔d2を約50μmとすると共に周期p2を約60μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、0.1THz〜2.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約96.78%〜100%で電力消光比が約−20.3dB〜約−27.1dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d2を約50μmとすると共に周期p2を約100μm(厚みt2は約50μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約64.28%〜約98.52%で電力消光比が約−23.6dB〜約−25.4dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を50μmとすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約10μm〜約50μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約11μm〜約100μmとなることが分かる。
図11を参照すると、グリッド部20aの幅a2を1000μmとした時には、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約99.10%〜約99.79%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約15μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約85.18%〜約96.37%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約20μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数においてTM透過電力が約63.89%〜約89.89%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらにまた、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約50μm(厚みt2は約40μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzおよび2.0THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約24.96%〜約57.48%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらにまた、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約100μm(厚みt2は約90μmとなる)とした時には、2.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約40.78%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約101μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が100%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約105μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.94%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、周期p2を約110μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.76%〜約99.78%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。この場合、周期p2を約300μm(厚みt2は約200μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数においてTM透過電力が約66.29%〜約82.32%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約150μmとすると共に周期p2を約151μm〜約300μm(厚みt2は約1μm〜約150μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約86.55%〜100%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を50μmから1000μmと伝搬方向の奥行きを長くすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2および周期p2の許容範囲が拡大することが図11の解析結果から分かる。例えば、間隔d2の許容範囲は約10μm〜約150μmとすることができ、周期p2も約11μm〜約300μmとすることができる。
図12を参照すると、グリッド部20aの幅a2を2000μmとした時には、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約99.10%〜約99.83%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約15μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約85.20%〜約96.94%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約20μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数においてTM透過電力が約63.95%〜約91.66%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。この場合、周期p2を約50μm(厚みt2は約40μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数帯、2.0THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約26.74%〜68.04%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約100μm(厚みt2は約90μmとなる)とした時には、1.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約22.79%で電力消光比が−100dBを超え、2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約84.51%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約101μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が100%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約105μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.94%〜約99.95%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約110μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.76%〜約99.79%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。この場合、周期p2を約300μm(厚みt2は約200μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数においてTM透過電力が約49.44%〜72.04%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約150μmとすると共に周期p2を約151μm〜300μm(厚みt2は約1μm〜150μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約78.04%〜100%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を1000μmから2000μmと伝搬方向の奥行きをさらに長くすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2および周期p2の許容範囲が若干拡大することが図12の解析結果から分かる。この場合の間隔d2の許容範囲は約10μm〜約150μmとすることができ、周期p2も約11μm〜約300μmとすることができる。
図13を参照すると、グリッド部20aの幅a2を3000μmとした時には、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約99.10%〜約99.11%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約15μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約85.21%〜約85.29%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、
間隔d2を約10μmとすると共に周期p2を約20μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時に、0.1THz〜2.5THzの周波数においてTM透過電力が約64.00%〜約64.07%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約101μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.99%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約105μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.76%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約100μmとすると共に周期p2を約110μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.0THzの周波数においてTM透過電力が約99.08%〜約99.10%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。この場合、周期p2を約300μm(厚みt2は約200μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数においてTM透過電力が約32.18%〜約35.86%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d2を約150μmとすると共に周期p2を約151μm〜300μm(厚みt2は約1μm〜150μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約59.91%〜100%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を2000μmから3000μmと伝搬方向の奥行きをさらに長くすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2および周期p2の許容範囲が若干縮小することが図13の解析結果から分かる。この場合の間隔d2の許容範囲は約10μm〜約150μmとすることができ、周期p2も約11μm〜約300μmとすることができる。
ここで、図14ないし図21はグリッド部20aの幅a2を50μmとした時の解析結果を示す図表であり、図22ないし図29はグリッド部20aの幅a2を1000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図30ないし図37はグリッド部20aの幅a2を2000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図38ないし図45はグリッド部20aの幅a2を3000μmとした時の解析結果を示す図表であり、いずれの場合においても、グリッド板20間の間隔(スペーサ21の厚さ)d2を、1μm、5μm、10μm、23μm、50μm、100μm、150μmとすると共に、周期p2(=d2+t2)を2μm〜300μmの内の間隔d2に応じて取ることができる値とした解析結果である。この場合、図表にはグリッド板20の金属厚みt2も規定されているが、厚みt2は、t2=p2−d2により演算した値とされている。
図14ないし図21を参照すると、グリッド部20aの幅a2を50μmとした時で、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約2μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約68.58%〜約99.97%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約6μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約11.42%〜約97.23%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、3THz、6THz、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約37.96%〜約85.41%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約21μm(厚みt2は約20μmとなる)とした時には、3THz、6THz、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約9.98%〜約56.51%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約71μm(厚みt2は約70μmとなる)とした時、および、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約300μm(厚みt2は約299μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を50μmとすると、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約10μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約20μmとなることが分かる。また、グリッド部20aの幅a2を50μmとすると、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約43μmとなることが分かる。なお、グリッド部20aの幅a2を50μmとした時は、間隔d2は約1μmでは狭く、間隔d2を約10μmとすると最も効果的となり、3THz〜6THzの周波数帯では間隔d2を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
図22ないし図29を参照すると、グリッド部20aの幅a2を1000μmとした時で、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約2μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約66.91%〜約99.78%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約6μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約11.08%〜約92.51%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、3THz、6THz、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約21.52%〜約71.60%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約21μm(厚みt2は約20μmとなる)とした時には、3THz、6THzの周波数帯においてTM透過電力が約12.46%〜約37.43%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約71μm(厚みt2は約70μmとなる)とした時、および、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約300μm(厚みt2は約299μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を1000μmとすると、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約10μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約20μmとなることが分かる。また、グリッド部20aの幅a2を1000μmとすると、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約43μmとなることが分かる。なお、グリッド部20aの幅a2を1000μmとした時は、間隔d2は約1μmでは狭く、3THz〜10THzの周波数帯では間隔d2を約10μmとすると最も効果的となり、3THz〜6THzの周波数帯では間隔d2を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
図30ないし図37を参照すると、グリッド部20aの幅a2を2000μmとした時で、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約2μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約64.65%〜約99.39%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約6μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約10.38%〜約85.84%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、3THz、6THz、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約13.37%〜約57.68%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約21μm(厚みt2は約20μmとなる)とした時には、3THzの周波数帯においてTM透過電力が約25.09%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約71μm(厚みt2は約70μmとなる)とした時、および、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約300μm(厚みt2は約299μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を2000μmとすると、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約10μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約20μmとなることが分かる。また、グリッド部20aの幅a2を2000μmとすると、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約43μmとなることが分かる。なお、グリッド部20aの幅a2を2000μmとした時は、間隔d2は約1μmでは狭く、3THz〜10THzの周波数帯では間隔d2を約10μmとすると最も効果的となり、3THz〜6THzの周波数帯では間隔d2を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
図38ないし図45を参照すると、グリッド部20aの幅a2を3000μmとした時であって、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約2μm(厚みt2は約1μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約88.99%〜約98.82%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約6μm(厚みt2は約5μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約26.19%〜約78.27%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約11μm(厚みt2は約10μmとなる)とした時には、3THz〜8THzの周波数帯においてTM透過電力が約11.22%〜約46.07%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約21μm(厚みt2は約20μmとなる)とした時には、3THz〜4THzの周波数帯においてTM透過電力が約10.76%〜約17.65%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約71μm(厚みt2は約70μmとなる)とした時、および、間隔d2を約1μmとすると共に周期p2を約300μm(厚みt2は約299μmとなる)とした時には、3THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、グリッド部20aの幅a2を3000μmとすると、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約10μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約20μmとなることが分かる。また、グリッド部20aの幅a2を3000μmとすると、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約43μmとなることが分かる。なお、グリッド部20aの幅a2を3000μmとした時は、間隔d2は約1μmでは狭く、3THz〜10THzの周波数帯では間隔d2を約10μmとすると最も効果的となり、3THz〜6THzの周波数帯では間隔d2を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
これらの図に示すように、第3実施例のワイヤーグリッド装置3は、基台50と、複数のフィルム基板30を積層したフィルム基板積層体3aと、押さえ板40を備えている。図49(a)(b)に示す基台50はアルミニウム合金等の金属製とされており、矩形の横長の平板状とされた底部51と、底部51の上面において1つの隅を除く3つの隅から所定の高さで立設された第1立設柱52、第2立設柱53、第3立設柱54とを備えている。第1立設柱52〜第3立設柱54の断面は、横長の矩形状とされており、基台50の中心に面している角にはR部が形成されて丸みを帯びている。また、底部51には4つのネジ孔55が形成されている。
また、フィルム基板積層体3aのパラメータとなる寸法は、金属薄板32間の間隔がd3とされ、金属薄板32の厚さはt3とされ、金属薄板32が配置される周期がp3とされる。p3=d3+t3となる。
フィルム基板積層体3aを基台50に収納した後に、基台50上に押さえ板40を配置して基台50に収納したフィルム基板積層体3aの上に載置する。この時、押さえ板40の第1切欠部42〜第3切欠部44に、基台50の第1立設柱52〜第3立設柱54がそれぞれ嵌合されて、基台50に対して押さえ板40が位置合わせされるようになる。また、押さえ板40の4つの挿通孔46が、フィルム基板積層体3aにおける各フィルム基板30の4つの孔部37および基台50の4つのネジ孔55に位置合わせされる。
第3実施例のワイヤーグリッド装置3の上記したパラメータにおいて、伝搬方向(z軸方向)の長さとなる金属薄板32の幅a3を50μm、1000μm、2000μmの3種類とした時に、金属薄板32間の間隔d3を10μm〜150μm、周期p3(=d3+t3)を10.01μm〜300μmとして、第3実施例のワイヤーグリッド装置3の外部に周期境界壁を仮想し、1本分抜き出した2次元解析モデルをモードマッチング法で設計し、周波数が0.1THz、0.5THz、1.0THz、1.5THzにおけるTMモードのTM透過電力[%]と電力消光比[dB]を解析した解析結果の図表を図51ないし図53に示す。なお、電力消光比は、上述したように金属薄板32で構成された平行平板内のTEモードの伝搬定数を考慮して求めた。これは、テラヘルツ波の電場の振幅方向が金属薄板32の延伸方向である横方向と直交する(TMモード)場合に透過配置となり、テラヘルツ波の電場の振幅方向が金属薄板32の延伸方向である横方向(TEモード)の場合に阻止配置となるからである。
なお、図51は金属薄板32の幅a3を50μmとした時の解析結果を示す図表であり、図52は金属薄板32の幅a3を1000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図53は金属薄板32の幅a3を2000μmとした時の解析結果を示す図表であり、いずれの場合においても、金属薄板32間の間隔d3を10μm、50μm、100μm、150μmとすると共に、周期p3(=d3+t3)を10.01μm〜150μmの内の間隔d3に応じて取ることができる値とした解析結果である。この場合、図表には金属薄板32の金属厚みt3も規定されているが、厚みt3は、t3=p3−d3により演算した値とされている。なお、ポリマーフィルム31の複素屈折率を約1.53+j0.0064としている。
間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約84.19%〜約99.63%で電力消光比が約−17.1dB〜−26.5dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約84.07%〜約99.63%で電力消光比が約−17.1dB〜−26.5dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約83.54%〜約99.63%で電力消光比が約−17.1dB〜−26.5dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約100μm(厚みt3は約50μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約35.49%〜97.67%で電力消光比が約−13.9dB〜−22.8dBのテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、金属薄板32の幅a3を50μmとすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は10μm〜50μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は10.01μm〜100μmとなることが分かる。
図52を参照すると、金属薄板32の幅a3を1000μmとした時には、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.27%〜約84.80%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約81.73%〜約84.58%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.5μm(厚みt2は約0.5μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数においてTM透過電力が約79.29%〜83.58%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.32%〜約84.82%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.21%〜約84.77%で電力消光比が電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約50.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約81.73%〜約84.58%で電力消光比が約−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約50μmとすると共に周期p3を約100μm(厚みt3は約50μmとなる)とした時には、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約34.74%〜63.01%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.33%〜約83.35%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.29%〜約83.31%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.13%〜約83.14%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約300μm(厚みt3は約150μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約34.75%〜約36.71%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、伝搬方向の長さである金属薄板32の幅a3を50μmから1000μmと長くすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は10μm〜150μmの範囲に拡大され、周期p3の許容範囲は10.01μm〜300μmと拡大することが分かる。
図53を参照すると、金属薄板32の幅a3を2000μmとした時には、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約78.85%〜約85.65%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約78.76%〜約85.60%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約10.5μm(厚みt2は約0.5μmとなる)とした時に、0.1THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約78.34%〜85.36%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約50μm(厚みt2は約40μmとなる)とした時に、1.0THz〜1.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約21.36%〜51.59%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約10μmとすると共に周期p3を約100μm(厚みt2は約90μmとなる)とした時に、1.0THzの周波数帯においてTM透過電力が約28.63%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
間隔d3を約100μmとすると共に周期p3を約100.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.93%〜約83.07%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約100μmとすると共に周期p3を約100.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.87%〜約83.03%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約100μmとすると共に周期p3を約100.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.61%〜約82.85%で電力消光比が約−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作する。また、間隔d3を約100μmとすると共に周期p3を約300μm(厚みt3は約200μmとなる)とした時には、0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約26.49%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する。
間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.94%〜約83.07%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.90%〜約83.04%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約150.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約82.72%〜約82.92%で電力消光比が約−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作し、間隔d3を約150μmとすると共に周期p3を約300μm(厚みt3は約150μmとなる)とした時には、0.1THz〜0.5THzの周波数帯においてTM透過電力が約34.85%〜約45.74%で電力消光比が約−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。
このように、伝搬方向の長さである金属薄板32の幅a3を2000μmとより長くすると、テラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は10μm〜150μmの範囲に拡大され、周期p3の許容範囲は10.01μm〜300μmと拡大することが分かり、第3実施例のワイヤーグリッド装置3はテラヘルツ波帯に対して従来得ることができなかった良好な特性の偏光子として動作することが分かる。
ここで、図54ないし図62は金属薄板32の幅a3を50μmとした時の解析結果を示す図表であり、図63ないし図71は金属薄板32の幅a3を1000μmとした時の解析結果を示す図表であり、図72ないし図80は金属薄板32の幅a3を2000μmとした時の解析結果を示す図表であり、いずれの場合においても、金属薄板32間の間隔d3を1μm、5μm、10μm、23μm、50μm、100μm、150μmとすると共に、周期p3(=d3+t3)を1.01μm〜300μmの内の間隔d3に応じて取ることができる値とした解析結果である。この場合、図表には金属薄板32の金属厚みt3も規定されているが、厚みt3は、t3=p3−d3により演算した値とされている。なお、ポリマーフィルム31の複素屈折率を約1.53+j0.0064としている。
図54ないし図62を参照すると、金属薄板32の幅a3を50μmとした時には、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約83.35%〜約99.92%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約77.31%〜約99.87%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約53.91%〜約99.59%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約11μm(厚みt3は約10μmとなる)とした時には、2THz、4THz、6THzの周波数帯においてTM透過電力が約13.71%〜約58.50%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約31μm(厚みt3は約30μmとなる)とした時には、2THzの周波数帯においてTM透過電力が約11.25%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約300m(厚みt3は約299μmとなる)とした時には、2THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、金属薄板32の幅a3を50μmとすると、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約5μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約20μmとなることが分かる。また、金属薄板32の幅a3を50μmとすると、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約43μmとなることが分かる。なお、金属薄板32の幅a3を50μmとした時は、2THz〜10THzの周波数帯では間隔d3を約10μmとすると最も効果的となり、2THz〜4THzの周波数帯では間隔d3を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
図63ないし図71を参照すると、金属薄板32の幅a3を1000μmとした時には、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約83.59%〜約99.77%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約77.60%〜約99.66%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約54.20%〜約98.84%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約11μm(厚みt3は約10μmとなる)とした時には、5THz、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約16.37%〜約27.07%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約31μm(厚みt3は約30μmとなる)とした時には、9THzの周波数帯においてTM透過電力が約33.20%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約300m(厚みt3は約299μmとなる)とした時には、2THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、金属薄板32の幅a3を1000μmとすると、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約5μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約20μmとなることが分かる。また、金属薄板32の幅a3を1000μmとすると、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約43μmとなることが分かる。なお、金属薄板32の幅a3を1000μmとした時は、2THz〜10THzの周波数帯では間隔d3を約10μmとすると最も効果的となり、2THz〜4THzの周波数帯では間隔d3を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
図72ないし図80を参照すると、金属薄板32の幅a3を2000μmとした時には、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.01μm(厚みt3は約0.01μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約83.26%〜約99.10%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.1μm(厚みt3は約0.1μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約77.19%〜約98.67%で電力消光比が−100dBを超えるきわめて良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。さらに、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約1.5μm(厚みt3は約0.5μmとなる)とした時に、2THz〜10THzの周波数帯においてTM透過電力が約53.69%〜約95.92%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約11μm(厚みt3は約10μmとなる)とした時には、5THz、7THzの周波数帯においてTM透過電力が約13.69%〜約25.89%で電力消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約31μm(厚みt3は約30μmとなる)とした時には、7THzの周波数帯においてTM透過電力が約12.08%で電力消光比が−100dBを超える良好なテラヘルツ波帯の偏光子として動作することが分かる。また、間隔d3を約1μmとすると共に周期p3を約300m(厚みt3は約299μmとなる)とした時には、2THz〜10THzの周波数帯において良好なTM透過電力が得られておらず、テラヘルツ波帯の偏光子としてほぼ動作しないことが分かる。
このように、金属薄板32の幅a3を2000μmとすると、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約5μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約20μmとなることが分かる。また、金属薄板32の幅a3を2000μmとすると、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約43μmとなることが分かる。なお、金属薄板32の幅a3を2000μmとした時は、2THz〜10THzの周波数帯では間隔d3を約10μmとすると最も効果的となり、2THz〜4THzの周波数帯では間隔d3を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
以上説明した図10ないし図13に示す解析結果は、第2実施例のワイヤーグリッド装置の解析結果であるが、第1実施例のワイヤーグリッド装置においても成立する。すなわち、本発明の第1,2実施例のワイヤーグリッド装置においては、平行平板の伝搬方向の長さaを約50μm〜約3000μmとするのが好適であり、長さaを約50μmとした時は、平行平板の間隔dを約10μm〜約50μmとすると共に、平行平板の周期を約11μm〜約50μmとするのが好適である。また、長さaを約1000μm〜約3000μmとした時は,平行平板の間隔dを約10μm〜約150μmとすると共に、平行平板の周期を約11μm〜約300μmとするのが好適である。この場合、平行平板における伝搬方向の長さを1000μm以上とすると、0.1THz〜2.5THzにおける多くの周波数領域において、TM透過電力が約40%以上で、かつ、消光比が−100dBを超えるテラヘルツ波帯の偏光子として動作するようになる。
また、本発明の第1,2実施例のワイヤーグリッド装置においては、平行平板の伝搬方向の長さであるグリッド部20aの幅a2を50μm〜3000μmとすると、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約10μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約20μmとなることが分かる。また、グリッド部20aの幅a2を50μm〜3000μmとすると、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d2の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p2の許容範囲は約2μm〜約43μmとなることが分かる。なお、グリッド部20aの幅a2を50μm〜3000μmとした時は、3THz〜10THzの周波数帯では間隔d2を約10μmとすると最も効果的となり、3THz〜6THzの周波数帯では間隔d2を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
なお、本発明にかかる第2実施例のワイヤーグリッド装置においてグリッド板を積層する枚数は、グリッド板をスペーサを介して積層していった寸法が、ワイヤーグリッド装置に必要とされる開口の高さの寸法になる枚数とされる。
この場合、第2実施例のワイヤーグリッド装置におけるワイヤーグリッドを構成する平行平板の間隔は、ワイヤーグリッド装置の性能を決定するパラメータである。本発明の第2実施例のワイヤーグリッド装置では、組み立てることにより大量生産した場合にも上記間隔を安定して一定の値に保つことができ、当該ワイヤーグリッド装置の歩留まりを向上することができる。また、スペーサーの厚さを変更するだけで、適用される周波数帯を変更することができるようになる。
なお、第1実施例のワイヤーグリッド装置において、スリットは枠体の辺に平行に枠体のほぼ全領域に形成すればよい。
また、本発明の第3実施例のワイヤーグリッド装置においては、平行平板の伝搬方向の長さとされる金属薄板32の幅a3を50μm〜2000μmとすると、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約5μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約20μmとなることが分かる。また、金属薄板32の幅a3を50μm〜2000μmとすると、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する間隔d3の許容範囲は約1μm〜約23μmの範囲となり、周期p3の許容範囲は約1.01μm〜約43μmとなることが分かる。なお、金属薄板32の幅a3を50μm〜2000μmとした時は、2THz〜10THzの周波数帯では間隔d3を約10μmとすると最も効果的となり、2THz〜4THzの周波数帯では間隔d3を約10μm〜約23μmとすると最も効果的となる。
また、本発明の第3実施例のワイヤーグリッド装置におけるワイヤーグリッドを構成する平行平板とされる金属薄板の間隔は、ワイヤーグリッド装置の性能を決定するパラメータであるが、この間隔はフィルム基板の厚さで一義的に決定される。すなわち、本発明の3実施例のワイヤーグリッド装置では、大量生産した場合にも上記間隔を安定して一定の値に保つことができ、当該ワイヤーグリッド装置の歩留まりを向上することができる。また、フィルム基板の厚さを変更するだけで、適用される周波数帯を変更することができるようになる。さらに、ポリマーフィルムは、シクロオレフィンポリマーフィルムを用いるようにしたが、これに限ることはなくテラヘルツ波帯において誘電正接の小さいフィルムならばいずれの材料からなるフィルムでも用いることができる。また、フィルムに替えてフィルム状の物質を金属薄板の面に形成しても良い。例えば、金属薄板の面に所定の厚さになる樹脂等の絶縁性の物質を塗布あるいは貼着することにより、金属薄板を所定間隔で対向させるようにしても良い。
Claims (10)
- 所定の奥行きを有する直方体状とされた導電性の枠体の一辺に平行に、前記枠体に複数形成されたスリットと、該スリット間にそれぞれ形成されたグリッドとを備え、前記グリッドが平行平板を構成するテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
前記枠体の奥行きaを約50μmとした時に、前記スリットの幅dが約10μm〜約50μm、前記グリッドの周期pが約11μm〜約50μmとされ、前記枠体の奥行きaを約1000μmから約3000μmとした時に、前記スリットの幅dが約10μm〜約150μm、前記グリッドの周期pが約11μm〜約300μmとされることを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。 - 細長い矩形状の金属薄板のグリッド部を有する複数のグリッド板において、前記グリッド部同士が所定の間隔を介して対面するよう積層されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
前記グリッド板における隣接する前記グリッド板の前記一端の間および前記他端との間にスペーサが挿入されることにより、隣接する前記グリッド板の前記グリッド部間にスリットが形成されてグリッド板積層体が形成され、該グリッド板積層体における前記グリッド部が平行平板を構成することを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。 - 両側にネジ部が形成された平板状の下基台と、
前記ネジ部の形成位置に対応して両側に孔が形成された平板状の上基台とを有し、
前記グリッド板の一端と他端とに、前記ネジ部および前記孔の形成位置に対応して貫通孔が形成されていると共に、前記スペーサにも貫通孔が形成されており、前記グリッド板積層体を前記下基台と前記上基台との間に挟持し、前記上基台の前記孔に挿通した取付手段を、前記グリッド板積層体における前記グリッド板の前記貫通孔および前記スペーサの前記貫通孔に順次挿通して前記下基台のネジ部に螺着することにより組み立てられていることを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。 - 前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを約50μmとした時に、前記グリッド部間の間隔dが約10μm〜約50μm、前記グリッド部を配置する周期pが約11μm〜約50μmとされ、前記グリッド部の幅aを約1000μmから約3000μmとした時に、前記間隔dが約10μm〜約150μm、前記周期pが約11μm〜約300μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
- 前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを50μm〜3000μmとした時に、3THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約10μm、周期pでは約2μm〜約20μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
- 前記平行平板の伝搬方向の長さである前記グリッド部の幅aを50μm〜3000μmとした時に、3THz〜6THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約23μm、周期pでは約2μm〜約43μmとされることを特徴とする請求項2または3に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
- 細長い矩形状の金属薄板が一面のほぼ中央に形成されている矩形状のフィルムからなるフィルム基板を複数枚積層することにより平行平板が構成されたテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置であって、
伝搬方向の長さである前記金属薄板の幅aを約50μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm〜約50μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm〜約100μmとされ、前記金属薄板の幅aを約1000μm〜約2000μmとした時に、前記フィルム基板間の間隔dが約10μm〜約150μmとすると共に、前記フィルム基板を積層する周期pが約10.01μm〜約300μmとされることを特徴とするテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。 - 平板状の底部と、該底部の上面から立設した複数本の立設柱とを有する基台と、
前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれた前記フィルム基板を複数枚積層したフィルム基板積層体と、
平板状の平板部と、該平板部において前記基台の前記立設柱の位置が切り欠かれている押さえ板とを備え、
前記フィルム基板積層体が前記複数本の立設柱により位置合わせされて前記基台に収納され、該フィルム基板積層体の上に前記押さえ板が載置され、該押さえ板に挿通されたネジが前記基台に螺着されていることを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。 - 前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm〜2000μmとした時に、2THz〜10THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約5μm、周期pでは約1.01μm〜約20μmとされることを特徴とする請求項7または8に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
- 前記平行平板の伝搬方向の長さとされる前記金属薄板の幅aを50μm〜2000μmとした時に、2THz〜4THzの周波数帯におけるテラヘルツ波帯の偏光子として動作する許容範囲が、間隔dでは約1μm〜約23μm、周期pでは約1.01μm〜約43μmとされることを特徴とする請求項7または8に記載のテラヘルツ波帯用のワイヤーグリッド装置。
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