JP5219139B2 - 導波管スロットアレイアンテナ、導波管スロットアレイアンテナの設計方法および導波管スロットアレイアンテナの製造方法 - Google Patents
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Description
導波管スロットアレイアンテナは、互いに平行に複数設けられた放射導波路用の溝を一面に有する板状のベース体と、放射導波路に対応した複数のスロットを有するとともにベース体と合わさって放射導波管を画成するスロット板と、を備える。
導波管スロットアレイアンテナにあっては、所望の周波数の電波を一様に放射させるなどの電波放射特性が求められる。そのためのスロットの構造設計法が多数提案されている。
そこで、従来のスロット設計法にあっては、まず、単一のスロットまたは所定範囲のスロット群ごとにアドミッタンスの初期値を設定し、それを実現するスロット構造を求める。続いて、そのスロット構造を全体に拡張するが、このとき、スロット同士の相互作用を計算に入れながら解析を行い、所望の放射特性になるように繰り返し(イタレーション)の修正を実行する。これにより、複数のスロット間の相互作用をも十分に考慮し、所望の放射特性のアンテナを得ていた。
また、スロット板に設けられるすべてのスロット間の相互作用を正確に計算に組み込むことは実際的に無理があり、近似モデルによる計算となるため、厳密には所望の最適解からの誤差をすべて取り除くことはできないという問題がある。
(第1実施形態)
本発明の導波管スロットアレイアンテナに係る第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の外観を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態の分解斜視図である。
図3は、第1実施形態の平面視における拡大図である。
導波壁220によって放射導波路230が区画されている。
放射導波路230には給電導波管250から給電口240を介して同相または逆相で入力電磁波が給電される。
なお、図1中には逆相で給電する様子を示しているが、本実施形態は給電が同相の場合でも適用できる。
また、図2以降の図面では、給電導波路250の図示および給電口240の符号は省略する。
また、放射導波路230の長さ方向をz方向とすると、各スロット320はこのz方向に沿って縦長であるとともに、z方向に沿ったスロットの配置は千鳥状である(図3参照)。
スロット320の設計にあたっては、まず、等価回路で所望の電波放射特性を実現するスロットのアクティブアドミッタンス分布を求める。たとえば、図4に示すように、各スロット320を電気素子330とみなして、各スロット320のアドミッタンスYを求める。スロットアドミッタンスの分布はアンテナ100から放射する電波の特性をどのようにデザインするかによる。
例えば、総てのスロット320が同じ値のアドミッタンスYを有するようにしてもよく、あるいは、中心領域にあるスロット320のアドミッタンスYは大きくし、そこから徐々に辺縁領域にあるスロット320のアドミッタンスYが小さくなるように設計してもよい。
この場合、図5に示すように、半自由空間で単一のスロット320が孤立していると仮定して所望のスロット320の構造を求める。すなわち、他のスロット320との相互結合の影響は考えないで半自由空間にある孤立スロット320がそれぞれ所望のアドミッタンスYを持つようにする。各スロット320のアクティブアドミッタンスYは、主として、中心線からのオフセット量Δqで規定されるため、所望のアドミッタンスYを実現するためのオフセット量Δqを求める。ここで、オフセット量Δqは、図5に示される放射導波路230の中心線と各スロット320の中心線との距離である。
空胴部410は、スロット320から放射される電波がこの空胴で空胴共振して、空胴部410を備えたスロット320と空胴部410を備えない孤立スロットとで等価のアドミッタンスYとなるように設計されている。空胴部410のサイズを求める際には、図6に示すように、空胴部410の内壁について横の長さC1、縦の長さC2、高さC3を変数として設定し、スロットから放射される所望の電磁波で空胴共振するようにもとめる。
すなわち、スロット周囲の4面を金属壁で囲んだ単体モデルを有限要素法シミュレーター(HFSS)で解析する。
このとき、外部領域は、管軸方向の電磁界周期性を模擬する周期境界壁W1および給電モデルを模擬する金属壁W2で覆うとする。
一つ一つのスロット320について空胴部410のサイズを逐一求めなくても、どれか一つのスロット320で空胴部410のサイズを決定したならば、それと同じものをすべてのスロット320に適用すればよい。
まず、スロット320のオフセットΔqが小さく、半自由空間における孤立スロットのアドミッタンスが0.13である場合に、この孤立スロットと同じアドミッタンスを実現する空胴部付きスロットの空胴部サイズを求めるとする。
図7は、半自由空間の孤立スロットのアドミッタンスが0.13の場合において、空胴部410の横の長さC1を0.42λで固定し、縦の長さC2と高さC3とを変数としたときのアドミッタンスの値を示すグラフである。なお、電波の中心周波数は25.3GHzとする。また、図7中ではアドミッタンスの実部だけを表し、虚部については0のラインだけを示している。
図7に示される通り、空胴部付きスロットのアドミッタンスが半自由空間における孤立スロットのアドミッタンス(=0.13)と同じになる空胴部のサイズは、横の長さC1を0.42λ(≒5.0mm)で固定として、縦の長さC2=0.57λ(≒6.7mm)、高さC3=0.30λ(≒3.5mm)と求められる。
図8は、半自由空間の孤立スロットのアドミッタンスが0.27の場合において、空胴部410の横の長さC1を0.42λで固定とし、縦の長さC2と高さC3とを変数としたときのアドミッタンスの値を示すグラフである。なお、電波の中心周波数は25.3GHzとし、図8中ではアドミッタンスの実部だけを表し、虚部については0のラインだけを示している。
さて、この場合でも、空胴部付きスロットのアドミッタンスが半自由空間における孤立スロットのアドミッタンス(=0.53)と同じになる空胴部のサイズは、横幅をC1=0.42λ(≒5.0mm)で固定として、縦の長さC2=0.57λ(≒6.7mm)、高さC3=0.30λ(≒3.5mm)となる。
この値は、スロットのオフセットが小さい場合(図7)と同じである。したがって、電波の中心周波数が決まれば、任意のスロットについて半自由空間での孤立スロットと同じアドミッタンス値を実現する空胴部付きスロットの空胴部サイズを求め、これをすべてのスロットに共通に用いればよい。
図9は、本実施形態に係る導波管スロットアレイアンテナ100の製造方法の手順を示すフローチャートである。
製造にあたっては、まず、導波管スロットアレイアンテナ100のスロット320および空胴部410の設計を行う(ST200)。
スロット320および空胴部410の設計では、まず、導波管スロットアレイアンテナ100の平面から放射する電波の所望の励振(アドミッタンス)分布を決める(ST100)。例えば、一様励振やテーラー分布などの励振分布をアンテナ100の用途に従って決める。ここで、アドミッタンスYは、スロットからの反射量S11を用いて、Y=(−2S11)/(1+S11)と表現できる。次に、ST100で決定した励振分布を実現するための各スロット320のアドミッタンスYを求める(ST110)。これは図4に示したように各スロット320を等価な電気素子330に置き換えて各スロットのアドミッタンスYを求める。そして、ST110にて求められたアドミッタンスYを実現する各スロット320の構造を求める(ST120)。このとき、他のスロット320との相互結合による影響は考慮せずに、図5にて説明したように、各スロットが半自由空間において孤立していると想定して所望のアドミッタンスを実現するオフセット量を求める。続いて、干渉遮断板400に形成する空胴部410のサイズを決定する(ST130)。
この空胴部サイズは、図6〜図8にて説明したように、スロット320のアドミッタンスYとは関係なく共通にできる。
したがって、電波の周波数に応じて空胴共振する空胴部サイズを求めて、そのサイズの空胴部410を総てのスロット320に対応した位置に穿設するように干渉遮断板400を設計する(ST140)。
これによってスロット320および空胴部410の設計が終了する。
このようにスロット320および空胴部410の設計が終了した後、具体的な製造工程に移行する。
すなわち、放射導波路230を有するベース板200を作成し(ST210)、次に、ST120にて求めたスロット構造を有するスロット板300を作成する(ST220)。そして、ST130およびST140にて求めた空胴部を有する干渉遮断板400を作成する(ST230)。最後に、ベース板200、スロット板300および干渉遮断板400を組み合わせることにより導波管スロットアンテナを得る(ST240)。
次に、本実施形態の効果を実証する実験例1について説明する。
図10は、本実施形態で説明したように設計した導波管スロットアレイアンテナについて、実際に空胴部付きスロットを多数配置した場合に、スロット数による放射強度とアドミッタンスの位相の変化を表したものである。
図10中、実線は、中心周波数を25.3GHz、放射導波管を16本、一本の放射導波管当たりのスロット数を18として、一様励振になるように設計した場合を示す。
破線は、本実施形態で説明したように、半自由空間で個々のアドミッタンスを実現するスロットに空胴部を設けた場合である。
仮にスロット間の相互作用が無視できないほど大きい場合には、スロットの数が増えてくると設計値から大きくずれてくるはずであるが、図10に示されるように、本実施形態の空胴部付きスロットはスロットの数が増えても相互作用の影響が極めて小さく、設計値どおりである。すなわち、空胴部410は開放型のチョーク構造として機能し、空胴部が共振状態となり、回り込みがない状態となることでスロット間の相互作用を打ち消していることがわかる。
このように本実施形態の空胴部付きスロットであれば、相互作用を考慮した繰り返し計算で修正することなく設計値の放射強度と位相を実現することができる。
次に、本実施形態の効果を実証する実験例2について説明する。
図11、図12、図13は、本実施形態の空胴部付きスロットを有する導波管スロットアレイアンテナで一様励振するように設計した場合の構造解析の結果である。
中心周波数は25.3GHzとし、空胴部サイズは横の長さC1=0.42λ(≒5.0mm)、縦の長さC2=0.57λ(≒6.7mm)、高さC3=0.30λ(≒3.5mm)とする。
図11にあるように、本実施形態によって一様励振が実現されていることがわかる。
また、図12にあるように、周波数24.3GHz〜25.5GHzでは従来と変わらず反射が抑制され、図13にあるように、指向性利得が向上することがわかる。
これにより本実施形態のすぐれた効果が示された。
特に、従来のように相互結合を考慮した繰り返し計算を行った場合には当初の設計値から反射特性が劣化する傾向があったが、本実施形態では繰り返し計算を行うことがないので当初の設計値から反射特性が劣化するようなことがなく指向性も高くできる。
次に、本実施形態の効果を実証する実験例3について説明する。
図14〜図19は、本実施形態の空胴部付きスロットを有する導波管スロットアレイアンテナでテーラー分布設計を行った試作品の実験結果である。
中心周波数は25.3GHzで、導波管は24本、一つの導波管あたりのスロット数を27とし、空胴部サイズは、横の長さC1=0.42λ(≒5.0mm)、縦の長さC2=0.57λ(=6.7mm)、高さC3=0.38λ(=4.5mm)とする。
なお、テーラー分布設計では導波管の寸法が一様励振の場合とは異なってくるので高さC3の値が一様励振の場合とは異なっている。
図15は図14のグラフをx=0で切った断面図であり、図16は図14のグラフをz=0で切った断面図である。
図14に示されるように、本実施形態によってテーラー分布にするための励振分布が実現できている。
ここで、テーラー分布のようなスロット間で励振偏差が大きい分布は、従来の相互結合を考慮した繰り返し修正計算では実現することが困難であった。
この点、本実施形態によれば、孤立スロットに空胴部を付けることによって相互結合を考慮した繰り返し計算が不要になるため、テーラー分布のような複雑な励振分布も容易に実現することができる。
図15、図16には放射強度に加えて位相分布も示しているところ、位相偏差が小さく抑えられていることが示されている。
また、図17、図18は、H面とE面とで遠方での電界強度をそれぞれ示すグラフである。
図17、図18において、-30dB付近にショルダーがあるもの-35dBを実現していることがわかる。
また、図19に示されるように、24.3GHz〜26.2GHzにおいて反射が抑制され、-15.0dB以下であることがわかる。
これにより、本実施形態のテーラー分布設計への有効性が示された。
(1)本実施形態では、干渉遮断板400に設けた空胴部410によってスロット320を環囲することにより、スロット間の相互作用の影響を極めて小さくできる。これにより、アンテナの設計においてスロット間の相互作用を考慮した繰り返しの修正計算が不要になる。したがって、繰り返しの修正計算の手間がなく、アンテナの設計が非常に簡易なものになる。
次に本実施形態の第2実施形態について説明する。
第2実施形態おいては、空胴部410に代えて縦壁510を備える点に特徴を有する。
図20は、第2実施形態の全体斜視図である。
図20に示されるように、第2実施形態に係る導波管スロットアレイアンテナ500は、放射導波路230の境目に対応する位置において放射面側に立設された縦壁510を有する。
スロット320は長軸方向(z方向)よりも短軸方向(x方向)の方が相互結合の影響が大きいところ、縦壁510は、z方向に平行であってx方向のスロット320の相互結合を断ち切るように立設されている。
スロット320の設計にあっては、第1実施形態にて説明したように、半自由空間で単一のスロットが孤立していると仮定して所望のスロットの構造を求める(図5)。すなわち、他のスロット320との相互結合の影響は考えないで半自由空間にある孤立スロットがそれぞれ所望のアドミッタンスYを持つようにする。
縦壁510の設計にあたっては、第1実施形態における空胴部410の設計と同じように、縦壁510がある場合のスロット320が半自由空間にある孤立スロットと等価のアドミッタンスYとなるように設計する。
図21は、二つのスロット320と縦壁510とからなるモデルを示す図である。
縦壁条件の算出にあたって、このモデルにはスロット部分と、縦壁510に囲まれた領域から外部領域に繋がるところとで二か所の不連続点があるところ、これら不連続点に対する散乱行列をそれぞれ導いたうえで、それら散乱行列を接続する。
なお、スロット320の散乱行列はモーメント法によって得られ、縦壁510に囲まれた領域から外部領域に繋がるところの開口部分の散乱行列はモードマッチング法で得られる。
これは、第1実施形態の空胴部サイズがスロット320のアドミッタンスYに関わらず共通にできることに対応している。
具体例によって、スロット320のアドミッタンスYに関わらず、半自由空間における孤立スロットのアドミッタンスYを実現するための縦壁サイズが共通でよいことを示す。
図22は、半自由空間の孤立スロットのアドミッタンスが0.13の場合において、縦壁の間隔dと縦壁の高さhとを変数としたときのアドミッタンスの値を示すグラフである。
なお、電波の中心周波数は25.3GHzとする。また、図22中ではアドミッタンスの実部だけを表し、虚部については0のラインだけを示している。
図22に示される通り、縦壁付きスロットのアドミッタンスが半自由空間における孤立スロットのアドミッタンス(=0.13)と同じになる縦壁のサイズは、間隔dが0.52λ(≒6.2mm)、高さhが0.14λ(≒1.7mm)と求められる。
図23は、半自由空間の孤立スロットのアドミッタンスが0.27の場合において、縦壁の間隔dと、縦壁の高さhとを変数としたときのアドミッタンスの値を示すグラフである。
なお、電波の中心周波数は25.3GHzとし、図23中ではアドミッタンスの実部だけを表し、虚部については0のラインだけを示している。
この場合でも、縦壁付きスロットのアドミッタンスが半自由空間における孤立スロットのアドミッタンス(=0.27)と同じになる縦壁のサイズは、間隔dが0.52λ(≒6.2mm)、高さhが0.14λ(≒1.7mm)と求められる。
この値は、スロット320のオフセットΔqが小さい場合(図22)と同じである。
したがって、電波の中心周波数が決まれば、任意のスロットについて半自由空間での孤立スロットと同じアドミッタンス値を実現する縦壁510のサイズは共通にできる。
具体的には、図9においてST130に空胴部のサイズを求めるとあるのは本第2実施形態では縦壁のサイズを求めることに相当し、ST140に空胴部を配置するとあるのは本第2実施形態では縦壁を配置することに相当し、また、ST230の干渉遮断板を作成とあるのは本第2実施形態では縦壁を作成することに相当する。これにより、縦壁を備えた第2実施形態の製造手順となる。
本実施形態の効果を実証する実験例4について説明する。
図24は、本実施形態で説明したように設計した導波管スロットアレイアンテナ500について、スロット数による放射強度とアドミッタンスの位相の変化を表したものである。
図24中、実線は、中心周波数を25.3GHz、放射導波管を16本、一本の放射導波管当たりのスロット数を18として、一様励振になるように設計した場合を示す。
破線は、本実施形態で説明したように、半自由空間で個々のアドミッタンスを実現するスロット320に縦壁510を設けた場合である。
スロット間の相互作用が無視できないほど大きい場合にはスロットの数が増えてくると設計値から大きくずれてくるはずであるが、図24に示されるように、本実施形態では、スロットの数が増えても相互作用の影響が極めて小さく、設計値どおりである。
このように縦壁を備えた本実施形態によれば、相互作用を考慮した繰り返し計算で修正することなく設計値の放射強度と位相を実現することができる。
次に、本実施形態の効果を実証する実験例5について説明する。
図25、図26は、本実施形態の縦壁を有する導波管スロットアレイアンテナで一様励振するように設計した場合の構造解析の結果である。
中心周波数は25.3GHzとし、縦壁サイズは、間隔dを0.52λ(≒6.2mm)、高さhを0.14λ(≒1.7mm)とする。
図25にあるように指向性利得が向上し、図26にあるように、周波数24.3GHz〜25.5GHzでは反射が抑制されていることがわかる。
特に、従来のように相互結合を考慮した繰り返し計算を行った場合には当初の値から反射特性が劣化する傾向があったが、本実施形態では繰り返し計算を行うことがないので当初の設計値から反射特性が劣化するようなことがなく指向性も高くできる。
上記第1実施形態においては、一つのスロット320に対して一つの空胴部を設けていたが、例えば、図27に示すように複数のスロット320に対して一つの空胴部410を設けてもよい。
なお、一つの導波管にあるスロット列に対して一つの空胴部を設ける場合が第2実施形態に相当するといえる。
このような構成によれば、干渉遮断板400に穿設する孔の数が少なくなるので加工手間が少なくてよい。
空胴部410がない場合には短軸方向(x軸方向)においてスロット間の相互結合が大きくなるため、スロット間の相互作用を考慮した修正計算を繰り返す必要が発生することになる。さらに、短軸方向で相互結合した複数のスロットに対して空胴共振を生じさせる空胴部のサイズを求めることも難しくなる。したがって、複数のスロットに対して空胴部を設ける場合には長軸方向(z軸方向)に並んだスロットに対して一つの空胴部を設けることが好ましい。
上記第1実施形態では、干渉遮断板に空胴部を穿設する場合を例に説明したが、図28に示すように、スロット板300に対して空胴部410を構成する壁411を立設してもよい。
さらには、空胴部は空胴共振を与える条件を満たしていれば、スロットの周囲を完全に環囲することなく、隙間412が空いていてもよい。
上記第1実施形態では、空胴部の形は4面の壁に囲まれた直方体形状である場合を例示したが、図29に示すように、空胴部は平面視で楕円または円形であって、円柱形状であってもよい。
たとえば、複数の放射導波路を有するベース板を備える場合を例示したが、一つ一つ独立した放射導波管を平行にならべて平面状の導波管スロットアレイアンテナにしてもよいことはもちろんである。
たとえば、空胴部付き導波管スロットアンテナで一様励振設計する場合には、横の長さC1=0.34λ(≒4.0mm)、縦の長さC2=0.53λ(≒6.28mm)、高さC3=0.30λ(≒3.6mm)(カッコ内は中心周波数25.3GHzの場合の値)とすることもできる。
同様に、導波管スロットアレイアンテナでテーラー分布設計を行う場合でも空胴部サイズは上記実験例中の具体的な値に限定されるものではない。
Claims (9)
- 管軸方向に複数のスロットを有する放射導波路が多数平行に設けられた導波管スロットアレイアンテナにおいて、
一または複数のスロットを環囲するように前記スロットが設けられている面から立ち上がる壁を有し、壁の内側のスロットと壁の外側のスロットとの干渉を遮断する空胴部を備え、
前記空胴部は、この空胴部にて環囲されたスロットが、半自由空間にあると仮定したスロットと等価のアドミッタンスを有するように設計されている
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナ。 - 請求項1に記載の導波管スロットアレイアンテナにおいて、
前記空胴部は、開放型チョーク構造である
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナ。 - 請求項1から請求項2のいずれかに記載の導波管スロットアレイアンテナにおいて、
前記空胴部は、前記スロットのアドミッタンスに関わらず総てのスロットに対して共通のサイズを用いる
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の導波管スロットアレイアンテナにおいて、
前記放射導波路を区画する導波壁を有するベース板と、前記ベース板の各放射導波路に対応する位置においてその長手方向に沿うように複数のスロットが穿設されたスロット板と、
前記スロット板を間に挟んで前記ベース板に合わせられる扁平板状の干渉遮断板と、を備え、
前記空胴部は、前記干渉遮断板において前記スロットに対応する位置に穿設されている
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナ。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の導波管スロットアレイアンテナのスロットおよび空胴部の構造を設計する方法であって、
導波管スロットアレイアンテナから放射する電波の所望の励振分布を決める工程と、
前記決定した励振分布を実現するための各スロットのアドミッタンスを求める工程と、
前記求めたスロットのアドミッタンスを実現する各スロットの構造を各スロットが半自由空間において孤立しているモデルで求める工程と、
半自由空間にあると仮定したスロットと等価のアドミッタンスを有するように前記空胴部のサイズを求める工程と、を備える
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナの設計方法。 - 放射導波路を有するベース板を作成する工程と、
請求項5に記載の導波管スロットアレイアンテナの設計方法にて求められたスロットの構造を有するスロット板を作成する工程と、
請求項5に記載の導波管スロットアレイアンテナの設計方法にて求められた空胴部を有する干渉遮断板を作成する工程と、
前記ベース板、前記スロット板および前記干渉遮断板を組み合わせる工程と、を備える導波管スロットアレイアンテナの製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の導波管スロットアレイアンテナにおいて、
前記空胴部に代えて、放射導波路の境目に対応する位置において放射面側に立設された縦壁を備える
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナ。 - 請求項7に記載の導波管スロットアレイアンテナのスロットおよび縦壁の構造を設計する方法であって、
導波管スロットアレイアンテナから放射する電波の所望の励振分布を決める工程と、
前記決定した励振分布を実現するための各スロットのアドミッタンスを求める工程と、
前記求めたスロットのアドミッタンスを実現する各スロットの構造を各スロットが半自由空間において孤立しているモデルで求める工程と、
半自由空間にあると仮定したスロットと等価のアドミッタンスを有するように前記縦壁のサイズを求める工程と、を備える
ことを特徴とする導波管スロットアレイアンテナの設計方法。 - 放射導波路を有するベース板を作成する工程と、
請求項8に記載の導波管スロットアレイアンテナの設計方法にて求められたスロットの構造を有するスロット板を作成する工程と、
請求項8に記載の導波管スロットアレイアンテナの設計方法にて求められた縦壁を作成する工程と、
前記ベース板、前記スロット板および前記縦壁を組み合わせる工程と、を備える導波管スロットアレイアンテナの製造方法。
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