JP2016046034A - リチウム二次電池用負極活物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】Li2TiO3に対してリチウムを挿入し得る容量(リチウム挿入容量)を向上させ、ひいてはLi2TiO3系の酸化物を負極活物質に適用する際に充電容量を向上できるリチウム二次電池用負極活物質の提供。【解決手段】一般式:Li2−xNaxTiO3(xは0.1≦x≦0.7を満たす)で表される組成を有する酸化物を含むリチウム二次電池用負極活物質。【効果】Li2TiO3系の酸化物であるLi2−xNaxTiO3(x:0.1≦x≦0.7)ではリチウム挿入容量が向上する。そのため、Li2−xNaxTiO3(x:0.1≦x≦0.7)をリチウム二次電池の負極活物質として用いた場合、充電容量を増加させることができる。それにより、リチウム二次電池から取り出すことが可能なエネルギーを高めることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウム二次電池用負極活物質に関する。
リチウム二次電池は、電圧やエネルギー密度が高くメモリー効果が少ないなどの特徴を有していることから、自動車や携帯機器など様々な分野で利用されている。その利用が進むに連れて、リチウム二次電池の性能を更に向上することが求められている。
リチウム二次電池の性能を更に向上する方法として、負極活物質を改良する方法が考えられる。例えば特許文献1には、LiTi12を94%〜99%、LiTiOを1%〜6%、TiOを1.5%以下含んだチタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質として使用することが開示されている。特許文献1では、優れた初期放電容量及び高出力特性を示し、かつ、ガス発生が抑制された二次電池を得ることが目的とされている。
特開2012−214362号公報
特許文献1では、チタン酸リチウム粒子粉末中にLiTiOを1%〜6%含ませる理由として、格子の歪みの低減、欠陥の発生による導電性の向上、満充電時のガス発生の抑制が挙げられている。言い換えれば、LiTiOは、リチウムが挿入・脱離する負極活物質としては考慮されていない。これは、LiTiOに対してはリチウムが挿入・脱離しないと考えられているためと推察される。しかし、発明者らは、LiTiOも新規な負極活物質となり得ると考えて研究を進めたところ、LiTiOに対してもリチウムが挿入・脱離できることを今回初めて確認した。ただし、LiTiOに対してリチウムを挿入し得る容量(以下、単に「リチウム挿入容量」ともいう。)は必ずしも大きくないということも判明した。このようなLiTiO系の酸化物のリチウム挿入容量をより向上させ、ひいてはLiTiO系の酸化物を負極活物質に適用する際に充電容量をより向上できる技術が望まれる。
本発明によれば、一般式:Li2−xNaTiO(xは0.1≦x≦0.7を満たす)で表される組成を有する酸化物を含むリチウム二次電池用負極活物質が提供される。
LiTiO系の酸化物を負極活物質に適用する際に、リチウム二次電池の充電容量をより向上させることができる。
図1は、XRD測定結果の一例として実施例1の測定結果を示している。 図2は、評価対象の負極活物質に関するリチウムの挿入脱離試験の結果を示すグラフである。
本発明によれば、一般式:Li2−xNaTiO(xは0.1≦x≦0.7を満たす)で表される組成を有する酸化物を含む、リチウム二次電池用負極活物質、が提供される。このLiTiO系の酸化物であるLi2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)ではリチウム挿入容量が向上する。そのため、Li2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)をリチウム二次電池の負極活物質として用いた場合、充電容量を増加させることができる。それにより、リチウム二次電池から取り出すことが可能なエネルギーを高めることができる。
発明者らは、上記のようにLiTiOに対してもリチウムが挿入・脱離できることを確認し、リチウム挿入容量を向上させるべく鋭意研究を続けたところ、リチウムの一部をナトリウムで置換したLi2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)において、リチウム挿入容量を改善できることを見出した。その場合、LiTiOに対してリチウムを脱離させ得る容量(以下、単に「リチウム脱離容量」ともいう。)についても同等又は改善できることを見出した。一方で、リチウムをナトリウムで置換し過ぎると、リチウム挿入容量が著しく小さくなったり、リチウム挿入容量は大きくなるが、リチウム脱離容量が著しく小さくなったりすることも見出した。言い換えると、上記負極活物質中のリチウムを置換するナトリウムの割合により、リチウム挿入容量や脱離容量が大きく変動する。このように物の構造に基づく効果の予測が困難な負極活物質の分野において、LiTiOのリチウムを置換する元素としてNaを選択し、かつ、リチウムを置換するナトリウムの割合の範囲として0.1≦x≦0.7の範囲を選択することにより、リチウム挿入容量を増加させることができ、リチウム脱離容量についても同等又は改善することができるという、顕著な効果を得ることができる。
ここで、リチウム挿入容量は、Li2−xNaTiOをリチウム二次電池の負極活物質に用いた場合、負極活物質の充電容量に相当する。すなわち、リチウム挿入容量を向上させることは、Li2−xNaTiOをリチウム二次電池の負極活物質に用いた場合における、負極活物質の充電容量を向上させることに相当する。また、リチウム脱離容量は、Li2−xNaTiOをリチウム二次電池の負極活物質に用いた場合、負極活物質の放電容量に相当する。すなわち、リチウム脱離容量を向上させることは、Li2−xNaTiOをリチウム二次電池の負極活物質に用いた場合における、負極活物質の放電容量を向上させることに相当する。したがって、本発明のLi2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)をリチウム二次電池の負極活物質に用いた場合、負極活物質の充電容量を増加させ、放電容量を同等又は増加させることができる。すなわち、利用可能なエネルギーを更に増加することができる。
本発明のLi2−xNaTiOにおいて、xは0.1≦x≦0.7の範囲である。xが0.1≦x≦0.7の範囲ではない場合、例えばxが小さすぎる場合、LiTiOの場合と比較して、リチウム挿入容量を増加させることができない。一方、xが大き過ぎる場合、LiTiOの場合と比較して、リチウム挿入容量を増加させることができないか、又は、リチウム挿入容量を増加させることができてもリチウム脱離容量が減少してしまう。また、xは0.3≦x≦0.7の範囲が好ましく、0.3≦x≦0.5の範囲がより好ましい。xがこれら好ましい範囲の場合、リチウム挿入容量をより増加させることができる。
また、Li2−xNaTiOにおいて、xが0.1≦x≦0.7の範囲の場合、x=0(LiTiO)の場合と比較して、リチウム脱離容量を同等かそれより増加させることができる。特に、xは0.3≦x≦0.7の範囲が好ましく、0.3≦x≦0.5の範囲がより好ましい。xがこれら好ましい範囲の場合、リチウム脱離容量も増加させることができる。
本発明のLi2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)は、CuKα線を用いた粉末XRD(X−ray diffraction)測定において、LiTiOの結晶構造における18.5°のメインピーク(強度をIとする)に対する43.6°のピーク(強度をIとする)の強度比I/Iが0.75未満である結晶構造を有する。一方、本発明とは異なるLi2−xNaTiO(x:x=0、0.9≦x≦2)は、強度比I/Iが0.75以上である。この相違の理由について理論的な解明は十分にはなされていないが、ナトリウムの置換量により、LiTiOの結晶構造の変形の仕方が異なるためではないかと考えられる。ただし、LiTiOの結晶構造は、ICDD(International Center for Diffraction Data)001−1061のLiTiOを基本としており、18.5°のメインピークは面指数(002)であり、43.6°のピークは面指数(−133)である。
本発明のLi2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)のリチウム挿入容量や脱離容量が増加する理由としては、理論的な解明は十分にはなされていないが、以下のように推定される。すなわち、LiTiOにおけるリチウムの一部がナトリウムに置換されていることや、上述の粉末XRD測定の結果を考慮すると、LiTiOの結晶に歪みが生じて、リチウムイオンが出入りし易い領域や、留まり易い領域が結晶内に発生する。そのため、リチウムイオンが結晶内に挿入・脱離され易くなる。その結果、リチウム挿入容量や脱離容量が増加すると考えられる。
Li2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm〜10μmが挙げられる。
上記のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の製造方法を用いることができる。リチウム源であるLi含有化合物、ナトリウム源であるNa含有化合物及びチタン源であるTi含有化合物を、Li:Na:Tiが所望のモル比(2−x):x:1になるように秤量し、混合する。そして、得られた混合物を不活性雰囲気下、500〜800℃で所望の時間仮焼成し、得られた仮焼成物を不活性雰囲気下、800〜1000℃で所望の時間本焼成する。それにより、上記のリチウム二次電池用負極活物質が得られる。不活性雰囲気としては、アルゴン/水素雰囲気、アルゴン雰囲気及び窒素雰囲気などに例示され、酸化しない雰囲気であれば、還元雰囲気であってもよい。焼成の時間としては、仮焼成及び本焼成のいずれも3時間以上であれば何時間であってもよい。
上記のLi含有化合物、Na含有化合物及びTi含有化合物は特に限定されず、適宜選択することができる。各化合物は、1種を単独で用いてもよいし、或いは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、1つの化合物が、Li、Na及びTiのうちの2種以上を含むものであってもよい。具体的には、Li含有化合物としてはLiCO、LiNOが例示され,Na含有化合物としてはNaCO、NaCO例示され、Ti含有化合物としてはTiが例示される。ただし、混合物の調製方法は特に限定されず、任意の混合方法を採用することができる。
次に、上記の製造方法で得られるリチウム二次電池用負極活物質を用いたリチウム二次電池について説明する。
(負極)
負極は、例えば、上記のリチウム二次電池用負極活物質に、導電助材及び/又はバインダーを加え、必要に応じて更に分散媒を加えてスラリーを形成し、負極集電体に塗布することで作製することができる。
導電助材としては、炭素材料、導電性高分子材料などが挙げられ、炭素材料が好適に用いられる。炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが例示され、これらを単独又は2種類以上の組み合わせで用いることができる。
バインダーとしては、SBR−CMC(スチレンブタジエンゴム−カルボキシルメチルセルロース)、ポリアクリル酸、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミドイミド、ポリビニリデンフルオロライド、ポリギミック酸、ポリテトラフロオロエチレンなどが例示される。
分散媒としては、アルコール、グリコール、セロソルブ、アミン、ケトン、カルボン酸アミド、リン酸アミド、スルホキシド、カルボン酸エステル、リン酸エステル、エーテル、ニトリルなどが挙げられる。具体的には、エタノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンが例示される。
負極集電体の材料としては、リチウム基準電位で0.8V以下でLiと合金化反応を起こさない金属材料が挙げられる。そのような金属材料としては、銅、銅を含む合金が例示される。また、負極集電体の形状としては、棒状、箔状、メッシュ状、板状などが例示され、メッシュ状が好適に用いられる。
負極の製造方法としては、負極活物質と、導電助材及び/又はバインダーと、必要に応じて分散媒とを含むスラリー、あるいは、それらに更に溶剤を加えたスラリーを負極集電体上に塗布して、乾燥し、プレスする方法が挙げられる。それにより、負極集電体上に負極活物質層を有する負極を形成することができる。溶剤の材料としては、分散媒として上述した材料を用いることができる。塗布方法としては、メタルマスク印刷法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などが挙げられる。また、バインダーの結着の効果を上げるためなどのために、必要に応じて熱処理等をしてもよい。
(正極)
正極は、例えば、正極活物質に、導電助材及び/又はバインダーを加え、必要に応じて更に分散媒を加えてスラリーを形成し、正極集電体に塗布することで作製することができる。これら正極活物質、導電助材、バインダー、分散媒、正極集電体などの材料は、リチウム二次電池の材料として従来知られた材料を用いることができ、例えば、正極活物質としてはリチウム含有複合化合物を用いることができ、導電助材、バインダー及び分散媒としては負極の場合と同様の材料を用いることができ、正極集電体としてはアルミニウム、ニッケル、ステンレスを用いることができる。
(電解質)
電解質は、電解質塩としてのリチウム塩を含むリチウムイオン導電性物質であり、電解液、ゲル状又は固体状の電解質が挙げられ、電解液が好適に用いられる。電解液は、リチウム塩と溶剤とを含む。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化リン酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CFSON)、が例示される。溶剤としては、炭酸エステル、環状エステル類(エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)など)、鎖状エステル類(ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)など)、脂肪族カルボン酸エステル類(ギ酸メチル(MF)など)、γ−ラクトン類(γ−ブチロラクトン(BL)など)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン(DME)など)、若しくは、これらのうちのいくつかを組み合わせた溶剤、が例示される。このうち、溶剤としては、非プロトン系の極性有機溶媒が好ましく、EC等の環状カーボネート化合物(高誘電率、高粘度)とDECやEMC等の鎖状カーボネート化合物とを含有して成るものがより好ましい。また、溶剤は、イオン液体であってもよい。
電解液中のリチウム塩の濃度は、0.3〜5M(mol/L)であることが好ましく、0.8〜3Mであることがより好ましく、0.8〜2.5Mであることが更に好ましく、0.8〜1.5Mであることが特に好ましい。リチウム塩濃度が5Mを超えると、電解液の粘度が過度に高められ、ハイレートでの放電容量や低温での放電容量が低下する。一方、このリチウム塩の濃度が0.3M未満となると、リチウムイオンの消費に対して供給が追従できなくなり、ハイレートでの放電容量や低温での放電容量が低下する。
(セパレータ)
電解質中にはセパレータが含まれていてもよい。セパレータの材料としては、絶縁性を有する多孔膜であれば特に制限はなく、樹脂材料であってもよいし、無機材料であってもよい。例えば、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンの単層又は複数層の微多孔膜、または、それらと無機多孔膜との積層膜が例示される。
(リチウム二次電池)
リチウム二次電池の製造方法については特に制限はなく、例えば、上記の正極、セパレータ及び負極を積層して電極体を形成し、電極体間に上記の電解質を介在させるように及び電解質を容器に封入することでリチウム二次電池が作製される。その場合、電極体の種類は、積層型、捲回型のいずれも適用可能である。また、リチウム二次電池の形状は特に制限はなく、コイン型、円筒型、角型が挙げられる。
(対極リチウム評価)
負極活物質の評価として、対極リチウム評価を行う。具体的には、評価対象である負極活物質を作用極とし、リチウム金属を対極とし、上述の電解質を電解質として、対極リチウム評価用リチウム二次電池(以下、「評価用リチウム二次電池」という。)を作製し、その評価用リチウム二次電池を評価する。この場合、作用極の負極活物質が正極として機能し、対極のリチウム金属が負極として機能する。評価用リチウム二次電池としては、2032型のコインセルが例示される。評価としては、評価用リチウム二次電池おいて、所定のリチウム基準電位の範囲におけるリチウムの挿入脱離試験、すなわち作用極へのリチウムの挿入及び作用極からのリチウムの脱離に関する試験を実施した。この対極リチウム評価は、負極活物質の種類ごとに行われる。
本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を評価用リチウム二次電池に用いた場合、後述されるように、放電容量、すなわち作用極の負極活性物質のリチウム挿入容量を増加させることができる。このことは、本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を通常の(評価用でない)リチウム二次電池に用いた場合にも、充放電の関係は逆になるが、同様に適用することができる。すなわち、本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を通常の(評価用でない)リチウム二次電池に用いた場合、充電容量、すなわち負極の負極活性物質のリチウム挿入容量を増加させることができる。すなわち、本発明に係るリチウム二次電池の負極活物質を用いることで、リチウム二次電池の充電容量を向上させることができる。また、本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を評価用リチウム二次電池に用いた場合、後述されるように、充電容量、すなわち作用極の負極活性物質のリチウム脱離容量を同等に又は増加させることができる。このことは、本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を通常の(評価用でない)リチウム二次電池に用いた場合にも、充放電の関係は逆になるが、同様に適用することができる。すなわち、本実施の形態に係るリチウム二次電池用負極活物質を通常の(評価用でない)リチウム二次電池に用いた場合、放電容量、すなわち負極の負極活性物質のリチウム脱離容量を同等又は増加させることができる。すなわち、本発明に係るリチウム二次電池の負極活物質を用いることで、リチウム二次電池の放電容量を同等又は向上させることができる。
以下、本発明の実施例を示す。実施例では、評価対象の負極活物質について結晶性の評価及び対極リチウム評価を行った。なお、実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例において、各測定は、以下の装置で行った。
XRD測定:RIGAKU ULTIMA IV
充放電特性の測定装置:ナガノ BTS2004
(1)作用極(評価対象の負極活性物質)
(1−1)負極活物質の作製
LiCO、NaCO及びTiを、Li:Na:Tiが所望のモル比(2−x):x:1になるように秤量し、混合した。ただし、x=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1、1.5、2であり、それぞれ比較例1、実施例1〜実施例4、比較例2〜5に対応する。得られた混合物をアルゴン/水素(水素2.5%)雰囲気下、750℃で12時間仮焼成した。得られた仮焼成物をアルゴン/水素(水素2.5%)雰囲気下、850℃で24時間本焼成して負極活物質を得た。
(1−2)作用極の作製
得られた負極活物質とポリビニリデンフルオロライド(PVDF)とアセチレンブラックとを重量比で85:10:5になるように秤量し、混合して、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリーを得た。
得られたスラリーをドクターブレード法により銅箔上に塗布し、φ16mmに打ち抜き、乾燥し、プレスして、作用極を得た。
(2)対極(リチウム金属)
箔状のリチウム金属を、ローラーにより平滑化し、φ19mmに打ち抜いて対極を得た。
(3)電解質
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で3:4:3として混合した溶剤に、LiPFを1Mの割合で混合して非水電解質を得た。
(4)セパレータ
ポリプロピレン(PP)からなる多孔質膜を所定の大きさに切り出しセパレータを得た。
(5)評価用リチウム二次電池
2032型コインセル用の容器内に、得られた作用極、セパレータ及び対極を積層して挿入し、必要に応じてスペーサ(ステンレス)を挿入し、容器内部を電解質で満たすことで、2032型コインセルの評価用リチウム二次電池を得た。
(6)評価
(6−1)結晶性の評価
上記の(1−1)で得られた負極活物質(Li2−xNaTiO(x:0〜2))について、結晶性を評価すべく、CuKα線を用いた粉末XRD(X−ray diffraction)測定を実施した。その測定結果に基づいて、ICDD001−1061のLiTiOのチャートを参照して、LiTiOにおける18.5°(面指数(002))のメインピーク(強度I)に対する、43.6°(面指数(−133))のピーク(強度I)の強度比I/Iを評価した。
(6−2)対極リチウム評価
評価用リチウム二次電池において、25℃環境下、リチウム基準電位0.01V〜2.5Vの範囲で、0.1C(ただし、1Cは1時間で満充電可能な電流値)の電流値で、リチウムの挿入脱離試験、すなわち作用極へのリチウムの挿入及び作用極からのリチウムの脱離に関する試験を実施した。
(7)評価結果
(7−1)結晶性評価
図1は、XRD測定結果の一例として実施例1の測定結果を示している。横軸は回折角2θ(°)、縦軸は回折強度(任意単位)である。図の下側には参考としてICDD001−1061のLiTiOを示している。XRD測定の結果、実施例1〜実施例4の負極活物質(Li2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7))については、I/I<0.75が満たされていた。一方、比較例1〜比較例5の負極活物質(Li2−xNaTiO(x:x=0、0.9≦x≦2))については、I/I≧0.75であった。
(7−2)対極リチウム評価
図2は、評価対象の負極活物質に関するリチウムの挿入脱離試験の結果を示すグラフである。ただし、縦軸はリチウム挿入容量及びリチウム脱離容量を示し、横軸はx(ナトリウムの割合)を示している。図中のA1〜A4はそれぞれ実施例1〜実施例4を示し、B1〜B5はそれぞれ比較例1〜比較例5を示し、丸印はリチウム挿入容量を示し、四角印はリチウム脱離容量を示している。また、図2の結果をまとめものを表1に示す。
図2及び表1に示されるように、実施例1〜実施例4(Li2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7):図2の領域P)は、LiTiO、すなわち比較例1と比較して、リチウム挿入容量が増加し、改善した(149〜172mAh/g)。このとき、リチウム脱離容量も同等又は増加し、改善した(87〜110mAh/g)。そして、Li2−xNaTiO(x:0.1≦x≦0.7)は、リチウム基準電位で0.5V以下においてコンバージョン反応を示さないで(図示されず)、リチウムの挿入・脱離の容量として少なくとも概ね100mAh/gの可逆性を持った酸化物材料として使用することができることが確認された。したがって、実施例1〜実施例4の負極活物質をリチウム二次電池に用いると、比較例1(LiTiO)を用いる場合と比較して、負極活物質の充電容量が増加し、放電容量が同等又は増加する。よって、リチウム二次電池での利用可能なエネルギーが増加する。
一方、比較例2、3(Li2−xNaTiO(x:0.9≦x≦1))では、比較例1(LiTiO)と比較して、リチウム挿入容量が著しく減少してしまった(120、53mAh/g)。更に、比較例4、5(Li2−xNaTiO(x:1.5≦x≦2))では、比較例1(LiTiO)と比較して、リチウム挿入容量は増加したが(169、224mAh/g)、リチウム脱離容量が比較例1よりも著しく低下してしまった(52、52mAh/g)。したがって、比較例2〜比較例5の負極活物質をリチウム二次電池に用いると、負極活物質の充電容量が減少して、又は、充電容量が増加するが放電容量が減少する。よって、リチウム二次電池での利用可能なエネルギーが減少する。
また、図2や表1に示されるように、リチウムを置換するナトリウムの割合を単調に増加させると、リチウム挿入容量は、一旦増加し、その後減少し、その後再び上昇するという複雑な動きを示し、かつ、リチウム脱離容量は、一旦増加し、その後減少し、その後概ね同じ値を示すという複雑な動きを示した。このように、上記負極活物質中のリチウムを置換するナトリウムの割合により、リチウム挿入容量や脱離容量が大きく変動するという負極活物質の構造に基づく効果の予測が困難な分野において、リチウムを置換する元素としてNaを選択し、かつ、リチウムを置換するナトリウムの割合の範囲として0.1≦x≦0.7の範囲を選択することにより、リチウム挿入容量を増加させつつ、リチウム脱離容量についても同等又は改善することができるという、顕著な効果を得ることができた。
Figure 2016046034

Claims (1)

  1. 一般式:Li2−xNaTiO(xは0.1≦x≦0.7を満たす)で表される組成を有する酸化物を含む、
    リチウム二次電池用負極活物質。
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JP (1) JP2016046034A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172671A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 本田技研工業株式会社 チタン酸化物およびその製造方法、二次電池用活物質およびその製造方法、並びにチタン酸化物を活物質として用いた二次電池

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