JP2016044491A - 自己起立型越水防止機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で堤体の嵩上げを図る。【解決手段】自己起立型越水防止機構2は、一端が堤体3の上面4に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材5と、上端が支持部材5の揺動他端5Aに揺動可能に釣支された遮水部材9と、一端がこの遮水部材9上端に所定の角度βで接続され他端が水域側に突出する変位部材11と、この変位部材11の突出端に設けられた浮き14と、支持部材5の枢支部と堤体3の水域側端縁4Aとの間の堤体3上に設けられ、遮水部材9の下端縁9Bが水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材9との間で水密を保持するストッパ16とを備えて構成される。低水位時、支持部材5を水域側に傾倒させて遮水部材9を倒伏させ、水位上昇時、浮き14により変位部材11を持ち上げて遮水部材9を堤体3上に起立させ、堤体3を嵩上げするようにしている。【選択図】図1

Description

本発明は、河川や海岸等の堤防の天端に設置され、洪水や高潮時等の水位上昇時に堤防からの越水を防ぐ自己起立型越水防止機構に関する。
軟弱な地盤の上に設けられた堤防は、堤体や地盤の沈下による天端高の低下が堤防の性能を低下させている。また、将来予想されている気候変動では、海面上昇に加えて台風の強大化や洪水の増大が生じるとされており、堤防の越水対策が求められている。このような洪水や高潮などによる越水を軽減するには堤防の嵩上げが有効であるが、改修費用や期間、環境への影響などの問題があり整備が進んでいない。
一般に、堤防の越水対策には、予め立てておいた支柱に可搬式の堰板を取り付ける方法がとられているが、荒天時の作業のため、危険が伴う等の問題がある。このため、従来、堤防の天端(上面)にデッキを河川側に水平に張り出して回動可能に取り付け、平常時に、遮水デッキを水平に張り出した状態を保持する支持材を堤防の水域側壁に設け、遮水デッキの張り出し側下面にフロートを取り付け、河川側の水位上昇時、水位の上昇に応じて遮水デッキを回動させて堤防の天端上で起立させるようにした越水防止装置が提案されている(特許文献1参照。)。また、上端が地面に向かって開口する収納溝と、地面から所定の高さ以下の水がこの収納溝に流入することを阻止する流入防止スロープと、流入防止スロープの少なくとも地面より高い位置に形成され、この収納溝内に水を流入させる受入口と、収納溝内に収納される浮力体を有し、その下端が収納溝の上方に回動可能に固定され、収納溝内に水が注入されて浮力体に浮力が加わると回動して起立し外部からの水の流入を阻止する防水板と、防水板の所定角度以上の回動を規制する規制体とを備えた浸水防止構造が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2011−179310号公報 特開2013−119746号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の越水防止装置では、回動部からの漏水が避けられないという問題がある。また、堤防には、遮水デッキ起立時にこの遮水デッキを支持する構造物がないため、増水時の水圧に耐えるため、遮水デッキや回動部を頑強な構造としなければならず、装置を大型化しなければならないという問題がある。また、上記特許文献2に記載の浸水防止構造では、地面や堤体に収納溝を形成しなればならず、設置にコストがかかり、機動的に設置できないという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で、漏水を阻止し、しかも、増水時の水圧に確実に耐え得ることができ、たとえ、地盤沈下や計画外水位の上昇により既存堤防の天端不足が生じた場合でも、容易に設置することができる自己起立型越水防止機構を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る自己起立型越水防止機構は、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持手段と、上端が支持手段の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水手段と、一端が遮水手段上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出し、水域側の水位の上昇に応じて水域側に傾倒した支持手段を持ち上げ遮水手段を起立させる起立手段と、支持手段の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水手段の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水手段との間で水密を保持するストッパ手段とを備えて構成し、低水位時、支持手段を水域側に傾倒させて遮水手段を倒伏させ、水位上昇時、起立手段により遮水手段を堤体上に起立させ堤体を嵩上げすることを特徴としている。
本発明の請求項1に係る自己起立型越水防止機構では、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持手段と、上端が支持手段の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水手段と、一端が遮水手段上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出し、水域側の水位の上昇に応じて水域側に傾倒した支持手段を持ち上げ遮水手段を起立させる起立手段と、支持手段の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水手段の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水手段との間で水密を保持するストッパ手段とを備えて構成し、低水位時、支持手段を水域側に傾倒させて遮水手段を倒伏させ、水位上昇時、起立手段により遮水手段を堤体上に起立させ堤体を嵩上げするようにしたことにより、平水時の低水位時には、支持手段を水域側に傾倒させて遮水手段を倒伏させ、水位が上昇すると、起立手段により水域側に傾倒した支持手段を持ち上げ遮水手段を起立させ、遮水手段により堤体は嵩上げされる。
本発明の請求項2に係る自己起立型越水防止機構は、ストッパ手段には、遮水手段の下端をロックするロック手段が設けられることを特徴としている。
本発明の請求項3に係る自己起立型越水防止機構は、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材と、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水部材と、一端がこの遮水部材上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出する変位部材と、この変位部材の突出端に設けられた浮きと、支持部材の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水部材の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材との間で水密を保持するストッパとを備え、低水位時、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位上昇時、浮きにより変位部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、堤体を嵩上げすることを特徴としている。
本発明の請求項3に係る自己起立型越水防止機構では、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材と、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水部材と、一端がこの遮水部材上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出する変位部材と、この変位部材の突出端に設けられた浮きと、支持部材の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水部材の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材との間で水密を保持するストッパとを備え、低水位時、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位上昇時、浮きにより変位部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、堤体を嵩上げするようにしたことにより、平水時の低水位時には、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位が上昇すると、浮きの浮力により変位部材が水域側に傾倒した支持部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、遮水部材により堤体は嵩上げされる。
本発明の請求項4に係る自己起立型越水防止機構は、遮水部材を、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水板により構成し、変位部材を、一端がこの遮水板上端に所定の傾斜角度で接続され他端が水域側に突出する枠体により構成したことを特徴としている。
本発明の請求項5に係る自己起立型越水防止機構は、遮水部材と変位部材とをそれぞれ、断面く字状に所定の角度で折曲され、折曲部が支持部材の揺動他端に釣支される折曲板の支持部材側板部と水域側板部とにより構成したことを特徴としている。
本発明の請求項6に係る自己起立型越水防止機構は、遮水部材の堤体上面に対する起立角度をθとし、水域側の水位をDとし、支持部材揺動他端の軸芯から浮きの水域側先端までの長さをLとし、遮水部材と変位部材との傾斜角度をβとし、支持部材揺動他端の軸芯から遮水部材の堤体側端縁までの長さをlとして、次式、
D=Lsin(θ+β)−lsinθ
から起立角度θの理論値を導き、
この理論値と実験で求められた値とを比較し、理論値と実験値とが整合する起立角度θconを求め、この整合する起立角度θconに基づいて、要求される堤防の嵩上げ高H(H=lsinθ)と堤体の水位基準とから支持部材と遮水部材と変位部材とストッパとの諸元を設計することを特徴としている。
本発明の請求項7に係る自己起立型越水防止機構は、整合する起立角度θconが35度以上であることを特徴としている。
本発明の請求項8に係る自己起立型越水防止機構は、遮水部材の下端には、転動部材が回動自在に設けられ、ストッパには、この転動部材が係脱自在に係止される係止溝が形成されることを特徴としている。
本発明の請求項1に係る自己起立型越水防止機構は、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持手段と、上端が支持手段の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水手段と、一端が遮水手段上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出し、水域側の水位の上昇に応じて水域側に傾倒した支持手段を持ち上げ遮水手段を起立させる起立手段と、支持手段の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水手段の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水手段との間で水密を保持するストッパ手段とを備えて構成し、低水位時、支持手段を水域側に傾倒させて遮水手段を倒伏させ、水位上昇時、起立手段により遮水手段を堤体上に起立させ堤体を嵩上げするようにしたので、簡素な構成で確実に遮水することができ、たとえ、地盤または堤体の沈下や外水位の上昇により既存堤防の天端不足が生じた場合でも、容易に設置することができる。
本発明の請求項3に係る自己起立型越水防止機構は、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材と、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水部材と、一端がこの遮水部材上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出する変位部材と、この変位部材の突出端に設けられた浮きと、支持部材の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水部材の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材との間で水密を保持するストッパとを備え、低水位時、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位上昇時、浮きにより変位部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、堤体を嵩上げするようにしたので、簡素な構成で水圧に耐えて確実に遮水することができ、たとえ、地盤または堤体の沈下や外水位の上昇により既存堤防の天端不足が生じた場合でも、容易に設置することができる。また、通常時は堤防の天端高を低く抑えることができ、堤防を嵩上げすることによる景観の悪化および生物の移動の妨害を生じない。
図1は本発明の第1の実施例に係る自己起立型越水防止機構を示す概念図である。(実施例1) 図2は図1の自己起立型越水防止機構を示す側面図である。 図3は図1の自己起立型越水防止機構を示す平面図である。 図4の(A)、(B)はそれぞれ、図1の自己起立型越水防止機構のストッパを示す側面図および一部省略平面である。 図5の(A)、(B)はそれぞれ、図1の自己起立型越水防止機構の低水位時と水位上昇時の状態を示す説明図である。 図6は本発明の第2の実施例に係る自己起立型越水防止機構と同一の構造を有する模型を用いて実験を行った実験結果から導かれた外水位と起立角度との関係を示す表である。(実施例2) 図7の(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第2の実施例に係る自己起立型越水防止機構の支持部材と遮水部材と変位部材を示す平面図および側面図である。
簡素な構成で、水圧に耐えて確実に漏水を阻止し、しかも、容易に設置するという目的を、一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材と、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水部材と、一端がこの遮水部材上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出する変位部材と、この変位部材の突出端に設けられた浮きと、支持部材の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水部材の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材との間で水密を保持するストッパとを備え、低水位時、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位上昇時、浮きにより変位部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、堤体を嵩上げするようにしたことにより実現した。
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1および図2はそれぞれ、本発明の第1の実施例に係る自己起立型越水防止機構を示す概念図および側面図である。本実施例に係る自己起立型越水防止機構2は、河川やダムやため池、あるいは、海岸(水域)に臨んで設置された堤防(堤体)3の上面(天端)4に設置される。堤防3の上面4には、支持部材(支持手段)5が水域側端縁4Aから所定の距離S分陸側に後退した部位P1に設けられた取り付け具7A〜7Cに揺動自在に設けられる。支持部材5は上下の枠5A、5Bとこれら両枠5A、5B間を結ぶ縦枠5C、5Dと、縦枠5C、5Dと上下枠5A、5Bとで画成される空間内にこれら各枠5A〜5Dを連結して設けられた筋交い5Fとにより構成される。支持部材5は、下枠(支持部材下端)5Bが回動軸6を通じて上面4に取り付けられた取り付け具7A〜7Cに軸支されるようになっている。
この支持部材5の上枠5Aには、釣支軸8を介して遮水部材(遮水手段)9の上端9Aが揺動可能に釣支される。遮水部材9は矩形状の金属製の板により構成される。遮水部材9の下端縁9Bには、堤防3の上面4に敷設されたプレート17上を転動可能なローラ(ロック手段)10が設けられる。遮水部材9は、長手方向の左右両端9C、9D間の寸法が上枠5Aの左右両端間寸法より大きく設定され、長手方向両端9C、9Dがそれぞれ同じ長さ分上枠5Aの両端より外側に延長されるようになっている。遮水部材9の長手方向の左右両端9C、9Dには、合成樹脂製の変形可能なシール15A、15Bが設けられる。これらシール15A、15Bは、堤防3に遮水部材9が水域側に臨んで微小な空隙を確保して並んで配置された際、重なりあって微小な空隙に填隙され水密を保つようになっている。遮水部材9は、支持部材5が水域側に傾倒すると、ローラ10が堤防3の上面4のプレート17を陸側に向かって転動して倒伏し、後述するストッパ16または縦枠5C、5Dに当接し、それ以上の変位が規制されるようになっている。また、遮水部材9は、水域側に傾倒している支持部材5が起き上がると、その起き上がりに伴って、ローラ10が堤防3の上面4のプレート17を水域側に向かって転動して起き上がるようになっている。
遮水部材9の上端9Aには、変位部材(起立手段)11の前後方向(図3では左右方向)一端が所定の角度βで連結される。角度βは遮水部材の9の平坦な遮水面に対し略90°以上で100°以下であることが好ましい。つまり、変位部材11が上方に変位した際、その変位する力が遮水部材9から釣支軸8を介して支持部材5の上枠5Aに円滑に伝達される角度となることが、すなわち、90°から100°の範囲となることが好ましい。変位部材11は、内側に筋交い13が配設された矩形状枠体12により構成される。枠体12の長手方向寸法、すなわち、枠体12の前後方向の両前後枠部12A、12Bの長さは、遮水部材9の長手方向寸法より短寸に設定され、枠体12の左右両枠部12C、12Dは、それぞれ同じ長さ分遮水部材9の長手方向両端9C、9Dより後退している。枠体12の前後方向他端枠部12Bには、浮き(起立手段)14が連結される。浮き14は枠体12の前方側枠部(水域側枠部)12Bに沿って取り付けられ、水域側に配置されるようになっており、浮き14に浮力が作用すると、枠体12全体に均等に浮力が伝わるようになっている。変位部材11(枠体12と筋交い13)と浮き14とにより起立手段が構成される。本実施例では、浮き14は、径75mm、長さ740mmの塩化ビニール管の両端を塞いで構成している。なお、浮き14は、図2および図3では、枠体12の前方側枠部(水域側枠部)12Bの端面に取り付けられているが、これに限られるものではなく、図1および図5の(A)、(B)に示す概念図のように、枠体12の、遮水部材9と向き合う面12Eの外側に取り付けるようにしてもよい。
堤防3の上面4には、支持部材5が枢支される取り付け具7A〜7Cと堤体3の水域側端縁4Aとの間にストッパ(ストッパ手段)16が設けられる。ストッパ16の陸側には、上面を遮水部材9のローラ10が転動するプレート17が、堤防3の上面4上に敷設される。ストッパ16は、金属製プレートを断面三角形状に折曲して構成される。ストッパ16の平坦な陸側傾斜面16Aは、遮水部材9が起立してそれ以上の揺動が規制される位置で密着され液密を保持するようになっている。このため、陸側傾斜面16Aは、遮水部材9の設計起立角度θに合致させて所定の傾斜角度で形成される。本実施例では、ストッパ16の底面部とのなす角度を70°に設定している。
ストッパ16の陸側傾斜面16Aには、遮水部材9のローラ10に対応する部位にローラ10が係脱自在に係止される係止溝(ロック手段)18が形成される。ローラ10と係止溝18とによりロック手段が構成される。ローラ10は、係止溝18の上面18Aに当接すると、ロックされるようになっている。すなわち、遮水部材9は、浮き14が浮力により上昇して、枠体12が釣支軸8を支点に梃子のように持ち上げられると、支持部材5が持ち上げられ、遮水部材9はローラ10がプレート17上を転動してストッパ16側に近づいて起き上り、ローラ10が係止溝18に係止されると、遮水部材9は傾斜した起立位置でロックされるようになっている。このとき、遮水部材9は、上端が支持部材5に支持されており、傾斜した起立状態で保持される(図5の(B)参照)。水域の水位が低下し、浮き14と枠体12が釣支軸8を中心に下方に変位すると、ローラ10は係止溝18との係合が解かれ、支持部材5は水域側に傾倒し、遮水部材9はストッパ16上に載置され、枠体12と浮き14とが堤防3の岸壁に臨むようになっている(図2および図5の(A)参照)。
次に、本実施例に係る自己起立型越水防止機構2の作用について説明する。自己起立型越水防止機構2は、金属板からなり下端縁9Bが堤防上面4を転動する遮水部材9とこの遮水部材9の上端縁に所定の角度βで連結された枠体12とこの枠体12の前方側枠部12Bに連結された浮き14とは一体に構成されて、支持部材5の上枠5Aに釣支軸8を介して釣支されるようになっている。このため、図5の(A)に示すように、水域の水位が低い場合、支持部材5が水域側に傾倒し、遮水部材9がストッパ16上に載置され、枠体12と浮き14とが堤防3の岸壁に臨んだ状態となっている。そして、水域の水位の上昇に伴って、浮き14に浮力がかかると、枠体12が支持部材5の上枠5Aを上方に押し上げ、遮水部材9のローラ10が堤防3の上面4を転動して、遮水部材9が起立し始める。そして、図5の(B)に示すように、遮水部材9の水域側面下部がストッパ16に当接し、ローラ10がストッパ16の係止溝18に嵌ると、遮水部材9は下端がストッパ16にロックされ、上端が支持部材5に支持されるようになっている。このため、傾斜して起立した状態の遮水部材9は、その高さ分、堤体3の上面4から水位を嵩上げして越水を防止する。このため、本実施例に係る自己起立型越水防止機構2では、簡素な構成で、漏水を阻止し、しかも、増水時の水圧に確実に耐え得ることができ、たとえ、地盤沈下や計画外水位の上昇により既存堤防の天端不足が生じた場合でも、容易に設置することができる。また、通常時は堤防の天端高を低く抑えることができ、堤防を嵩上げすることによる景観の悪化および生物の移動の妨害を生じない。
次に、本発明の第2の実施例に係る自己起立型越水防止機構102について説明する。本実施例に係る自己起立型越水防止機構102は、要求される堤防の嵩上げ高Hと支持部材5と遮水部材9と変位部材11とストッパ16との諸元を、理論値と実験で求められた値とを比較し、理論値と実験値とが整合する起立角度θcon(本実施例ではθcon>35°)を求め、この整合する起立角度θconに基づいて、設計するようになっている。すなわち、遮水部材の堤体上面に対する起立角度をθとし、水域側の水位をDとし、支持部材揺動他端の軸芯から浮きの水域側先端までの長さをLとし、遮水部材と変位部材との傾斜角度をβとし、支持部材揺動他端の軸芯から遮水部材の堤体側端縁までの長さをlとして、次式、
D=Lsin(θ+β)−lsinθ ・・・・(1)
から起立角度θの理論値を導き、
この理論値と実験で求められた値(図6参照)とを比較し、理論値と実験値とが整合する起立角度θconを求め、この整合する起立角度θconに基づいて、要求される堤防の嵩上げ高H(H=lsinθ)と堤防3の水位基準(浸水被害のおそれのある堤防3の上面4のレベル、すなわち、水位基準0は上面4のレベルに相当する。)Dsとから支持部材5と遮水部材9と変位部材11とストッパ16との諸元を設計するようになっている。
本実施例では、理論値と実験値を求めるに当たり、外水位の上昇とともに、遮水部材が想定どおり起立するかどうかを、水理模型実験により検証した。水理模型実験では、幅0.9mの水槽内部にアクリルで製作したフルード則に基づく1/3スケールの模型を海岸堤防上部を模擬した耐水ベニヤ製の台に設置した(図7の(A)、(B)参照)。この模型の構造は、本発明の第2の実施例に係る自己起立型越水防止機構102に相当するもので、第2の実施例に係る自己起立型越水防止機構102は、図7の(A)、(B)に示すように、上記第1の実施例に係る自己起立型越水防止機構2が、支持部材5と変位部材11とをそれぞれ枠体と筋交いとにより構成しているのに対し、支持部材105と変位部材111を板材で構成した点が異なる外はほぼ同一の構成を備えている。すなわち、本実施例に係る自己起立型越水防止機構102は、遮水部材9と変位部材111とをそれぞれ、断面く字状に所定の角度βで折曲され、折曲部が支持部材105の揺動他端に釣支される折曲板の支持部材側板部と水域側板部とにより構成している。実験では、海側(水域側)の水位を上昇させ、模型の動作を検証した。また、模型単体で予備実験を行い、海側(水域側)に設置したフロート114(浮き14に相当)の位置と動作機構の関係を検討した上で、3個の模型を並べて配置した場合の漏水を観察した。
図1に示すL(海側フロート長)を230mm、210mmおよび190mmの3通りに変化させた場合の外水位と起立角度θの関係を図6に示す。水理模型実験の結果、安定して遮水部材の起立動作が行われ、いずれのケースでも外水位の上昇に伴い線形に遮水部材が起立することが確認された。一方、図6中の直線は、各線種に対応した海側フロート長Lにおいて、上記(1)式から求めた起立角度θの理論値である。水理模型実験では、(1)式において、D:海側水位(水域側水位、すなわち、水位基準0より低いマイナスの水位)、L:海側(水域側)フロート長さ、θ:起立角度、β:く字状に折曲された堤防板の屈曲角(第1の実施例の遮水部材9と変位部材11との傾斜角度に相当)、l=陸側堤防板長さ(遮水部材9の前後方向長さに相当)である。
起立角度の理論値と実験で得られた値を比較すると、θ=35°よりも起立した(角度が急な)領域で両者がよく整合すると判断できる。起立角度θがわかれば、堤防3の最終的な嵩上げ高Hは、H=lsinθで与えられる。このため、必要とされる堤防3の嵩上げ高と外水位が定まれば、(1)式により自己起立型越水防止機構の各要素の諸元を設計することができる。なお、自己起立型越水防止機構の遮水部材9が35°よりも倒伏した領域で理論値と実験値に差が生じるのは、既存堤防に設けたストッパ16の上に遮水部材9が載置されることで、遮水部材9の下端が浮くためである。このように、各部材の諸元を最も適切な寸法で構成することができ、コストダウンを図ることができるとともに漏水を確実に防ぐことができる。構成を簡素化することができるので、既存堤防が地盤や堤体の沈下により天端高が低下した場合に堤防の全面的な更新が困難であっても、容易にかつ安価で設置することができる。
なお、上記各実施例では、遮水部材を板状に形成しているがこれに限られるものではなく、湾曲させて構成するようにしてもよい。また、ストッパ16には、遮水部材9と密着する面に弾性変形可能な合成樹脂製のシールを貼着するようにしもよい。さらに、変位部材を枠体12や板体111で構成しているがこれに限られるものではなく、棒状のアームで構成するようにしてもよい。また、遮水部材9と変位部材11、111との間に補強材を設けるようにしてもよい。
3 堤防(堤体)
4 堤防上面
4A 堤防の水域側端縁
5 支持部材
5A 支持部材の揺動他端
9 遮水部材
9B 遮水部材の下端縁
11 変位部材
14 浮き
16 ストッパ
β 遮水部材と変位部材の接続角度

Claims (8)

  1. 一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持手段と、
    上端が支持手段の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水手段と、
    一端が遮水手段上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出し、水域側の水位の上昇に応じて水域側に傾倒した支持手段を持ち上げ遮水手段を起立させる起立手段と、
    支持手段の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水手段の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水手段との間で水密を保持するストッパ手段とを備えて構成し、
    低水位時、支持手段を水域側に傾倒させて遮水手段を倒伏させ、水位上昇時、起立手段により遮水手段を堤体上に起立させ堤体を嵩上げすることを特徴とする自己起立型越水防止機構。
  2. ストッパ手段には、遮水手段の下端をロックするロック手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の自己起立型越水防止機構。
  3. 一端が堤体の上面に水域側から後退して枢支され水域側に傾倒可能な支持部材と、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水部材と、一端がこの遮水部材上端に所定の角度で接続され他端が水域側に突出する変位部材と、この変位部材の突出端に設けられた浮きと、支持部材の枢支部と堤体の水域側端縁との間の堤体上に設けられ、遮水部材の下端縁が水域側に変位するのを規制するとともに遮水部材との間で水密を保持するストッパとを備え、
    低水位時、支持部材を水域側に傾倒させて遮水部材を倒伏させ、水位上昇時、浮きにより変位部材を持ち上げて遮水部材を堤体上に起立させ、堤体を嵩上げすることを特徴とする自己起立型越水防止機構。
  4. 遮水部材を、上端が支持部材の揺動他端に揺動可能に釣支された遮水板により構成し、
    変位部材を、一端がこの遮水板上端に所定の傾斜角度で接続され他端が水域側に突出する枠体により構成したことを特徴とする請求項3に記載の自己起立型越水防止機構。
  5. 遮水部材と変位部材とをそれぞれ、断面く字状に所定の角度で折曲され、折曲部が支持部材の揺動他端に釣支される折曲板の支持部材側板部と水域側板部とにより構成したことを特徴とする請求項3に記載の自己起立型越水防止機構。
  6. 遮水部材の堤体上面に対する起立角度をθとし、水域側の水位をDとし、支持部材揺動他端の軸芯から浮きの水域側先端までの長さをLとし、遮水部材と変位部材との傾斜角度をβとし、支持部材揺動他端の軸芯から遮水部材の堤体側端縁までの長さをlとして、次式、
    D=Lsin(θ+β)−lsinθ
    から起立角度θの理論値を導き、
    この理論値と実験で求められた値とを比較し、理論値と実験値とが整合する起立角度θconを求め、この整合する起立角度θconに基づいて、要求される堤防の嵩上げ高H(H=lsinθ)と堤体の水位基準とから支持部材と遮水部材と変位部材とストッパとの諸元を設計することを特徴とする請求項3ないし5のうちいずれか1に記載の自己起立型越水防止機構。
  7. 整合する起立角度θconが35度以上であることを特徴とする請求項6に記載の自己起立型越水防止機構。
  8. 遮水部材の下端には、転動部材が回動自在に設けられ、ストッパには、この転動部材が係脱自在に係止される係止溝が形成されることを特徴とする請求項3ないし7のうちいずれか1に記載の自己起立型越水防止機構。
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