JP2016042042A - 物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】静電容量のずれを低減することのできる物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体を提供する。【解決手段】物理量センサー1は、支持部41および支持部41に連結部43、44を介して接続されている可動部42を有し、可動部42が第1可動部421および第2可動部422を有する揺動体4と、第1可動部421と対向して配置される第1固定電極51と、第2可動部422と対向して配置される第2固定電極52と、第2可動部422と対向し、かつ、第2固定電極52と重ならないように配置され、揺動体4と同電位となるダミー電極53と、を有し、第1固定電極51は、その一部が平面視で支持部41と重なるように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体に関するものである。
例えば、特許文献1には、一対の可動電極を有するシーソー揺動可能な可動体と、一方の可動電極と対向して配置される第1検出電極および対向電極と、他方の可動電極と対向して配置される第2検出電極と、を有し、対向電極が各可動電極と同電位となっている加速度センサーが開示されている。また、通常、このような構成の加速度センサーでは、加速度をより精度よく検出するために、加速度が加わっていない状態において、可動体と第1検出電極の間の静電容量Caと、可動体と第2検出電極との間の静電容量Cbとが等しくなるように設計される。
しかしながら、特許文献1の加速度センサーでは、スティッキングの発生を低減するための対向電極を設けており、この対向電極と第1検出電極との間に寄生容量が発生するため、前述した2つの静電容量Ca、Cbに差が生じてしまう。この差の大きさによっては、その差をICで調整しきれず(ICの調整範囲を超えてしまい)、加速度センサーの歩留まりが低下するという問題がある。
特開2013−160554号公報
本発明の目的は、静電容量のずれを低減することのできる物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の物理量センサーは、支持部と、前記支持部に連結部を介して接続され、前記支持部に対して揺動可能な可動部と、を有し、前記可動部が前記連結部に対して一方側に設けられる第1可動部および他方側に設けられる第2可動部を有する可動電極と、
前記第1可動部と対向して配置される第1固定電極と、
前記第2可動部と対向して配置される第2固定電極と、
前記第2可動部と対向し、かつ、前記第2固定電極と重ならないように配置され、前記可動電極と同電位となる対向電極と、を有し、
前記第1固定電極は、その一部が平面視で前記支持部と重なるように配置されていることを特徴とする。
これにより、静電容量のずれを低減することのできる物理量センサーが得られる。
[適用例2]
本適用例の物理量センサーでは、前記第2固定電極は、その一部が平面視で前記支持部と重なるように配置されており、
前記第1固定電極の前記支持部と重なっている領域の面積をS1とし、前記第2固定電極の前記支持部と重なっている領域の面積をS2としたとき、S1>S2なる関係を満足することが好ましい。
これにより、静電容量のずれをより効果的に低減することができる。
[適用例3]
本適用例の物理量センサーでは、前記第1固定電極と前記支持部との間に発生する静電容量をC1とし、
前記第2固定電極と前記支持部との間に発生する静電容量をC2とし、
前記第2固定電極と前記対向電極との間に発生する静電容量をC3としたとき、
(C2+C3)×0.9≦C1≦(C2+C3)×1.1なる関係を満足することが好ましい。
これにより、静電容量のずれを十分小さくすることができる。
[適用例4]
本適用例の物理量センサーでは、前記対向電極は、前記第2固定電極の前記支持部と反対側に配置されていることが好ましい。
これにより、第2固定電極の支持部との重なり合いが阻害されない。
[適用例5]
本適用例の物理量センサーでは、前記可動部の平面視にて、前記第2可動部の方が前記第1可動部よりも面積が大きいことが好ましい。
これにより、簡単な構成で、第1可動部と第2可動部の回転モーメントを異ならすことができる。
[適用例6]
本適用例の物理量センサーでは、前記支持部は、前記開口内に配置され、平面視で、前記第1可動部と前記第2可動部の間に位置していることが好ましい。
これにより、支持部と第1、第2固定電極とを簡単な構成で重ね合わせることができる。
[適用例7]
本適用例の物理量センサーでは、前記可動部は、前記第1可動部と前記第2可動部との間に開口部を有し、
前記開口部内に前記支持部が配置されていることが好ましい。
これにより、可動電極の構成が簡単となる。
[適用例8]
本適用例の物理量センサー装置は、上記適用例の物理量センサーと、
前記物理量センサーに電気的に接続されている電子部品と、を有していることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い物理量センサー装置が得られる。
[適用例9]
本適用例の電子機器は、上記適用例の物理量センサーを備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例10]
本適用例の移動体は、上記適用例の物理量センサーを備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の好適な実施形態に係る物理量センサーを示す平面図(上面図)である。 図1中のA−A線断面図である。 図1に示す物理量センサーの駆動を説明するための概略図である。 図1に示す物理量センサーの部分拡大断面図である。 本発明の物理量センサー装置の一例を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の移動体を適用した自動車を示す斜視図である。
以下、本発明の物理量センサー、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る物理量センサーを示す平面図(上面図)である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、図1に示す物理量センサーの駆動を説明するための概略図である。図4は、図1に示す物理量センサーの部分拡大断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」と言う。また、各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。
1.物理量センサー
まず、本発明の物理量センサーを説明する。
図1および図2に示す物理量センサー1は、例えば、慣性センサーとして使用することができ、具体的には、Z軸方向(鉛直方向)の加速度を測定するための加速度センサーとして利用可能である。このような物理量センサー1は、ベース基板2と、蓋体3と、これらによって形成されている内部空間Sに配置されている揺動体(可動電極)4と、を有している。
(ベース基板)
ベース基板2は、板状をなしている。また、ベース基板2の上面には、その縁部を除く中央部に開口する凹部21が形成されている。この凹部21は、揺動体4とベース基板2との接触を防止するための逃げ部として機能する。また、凹部21の中央部には、凹部21の底面211から島状に突出した凸部22が設けられており、この凸部22に揺動体4がシーソー揺動(軸Jまわりの回動)可能に固定されている。また、凹部21の側面および凸部22の側面は、傾斜面で構成されており、これにより、凹部21の底面211からベース基板2の上面への配線の引き回しを容易とし、これにより、配線の形成不良や断線等を低減している。また、ベース基板2には、凹部21の周囲に配置され、上面に開口する凹部23、24、25が形成されており、これら凹部23、24、25内に導体パターン5の一部が配置されている。
このようなベース基板2の構成材料としては、絶縁性を有しているのが良く、本実施形態では、ガラス材料を用いている。これにより、ベース基板2と揺動体4との接合に陽極接合を用いることができる。ただし、ベース基板2の構成材料としては、ガラス材料に限定されず、例えば、高抵抗なシリコン材料を用いてもよい。
このようなベース基板2には導体パターン5が形成されている。導体パターン5は、電極として、凹部21の底面211に配置されている第1固定電極51、第2固定電極52およびダミー電極53を有している。また、導体パターン5は、配線として、凹部21内で第1固定電極51と接続され、凹部23内に引き回されている配線54と、凹部21内で第2固定電極52と接続され、凹部24内に引き回されている配線55と、凹部21内でダミー電極53と接続されると共に凸部22で揺動体4と接続され、凹部25内に引き回されている配線56と、を有している。なお、凸部22の上面には溝221が形成されており、配線56は、この溝221内に引き回され、凸部22の頂部において導電性のバンプBを介して揺動体4に接続されている。また、導体パターン5は、端子として、凹部23内に配置され、配線54と接続されている端子57と、凹部24内に配置され、配線55と接続されている端子58と、凹部25内に配置され、配線56と接続されている端子59と、を有している。このような構成の導体パターン5のうち、端子57、58、59は、それぞれ、蓋体3から露出するように配置されており、これにより、導体パターン5と外部(例えば後述するICチップ102)とのコンタクトが可能となっている。
なお、第1固定電極51、第2固定電極52およびダミー電極53の詳細な配置やその効果については後に説明する。
このような導体パターン5の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物(透明電極材料)、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(揺動体)
揺動体4は、図1および図2に示すように、ベース基板2の上方に設けられている。この揺動体4は、支持部41と、可動部42と、可動部42を支持部41に対して揺動可能とするように可動部42と支持部41とを連結する一対の連結部43、44と、を有している。そして、連結部43、44を軸Jとして、可動部42が支持部41に対してシーソー揺動するように構成されている。
また、可動部42は、X方向に延びる長手形状(略長方形状)をなしており、−X方向(一方)側が第1可動部421となっており、+X方向(他方)側が第2可動部422となっている。また、第1、第2可動部421、422には、それぞれ、X方向に並設され、Y方向に延在する複数のスリット421a、422aが形成されている。これにより、可動部42のシーソー揺動の抵抗が低減する。また、第1可動部421と第2可動部422との間には開口423が形成されており、この開口423の内側に、支持部41および連結部43、44が配置されている。
また、第1、第2可動部421、422は、鉛直方向(Z軸方向)の加速度が加わったときの回転モーメントが互いに異なっており、前記加速度に応じて可動部42に所定の傾きが生じるように設計されている。これにより、鉛直方向の加速度が生じると、可動部42が軸Jまわりにシーソー揺動する。具体的には、本実施形態では、平面視で、第1可動部421の面積(軸Jから−X側の端までの距離)よりも第2可動部422の面積(軸Jから+X側の端までの距離)を大きくすることで、言い換えると、第1可動部421の質量よりも第2可動部422の質量を大きくすることで、第1可動部421の回転モーメントよりも第2可動部422の回転モーメントが大きくなるように設計されている。このような設計とすることにより、簡単に、第1、第2可動部421、422の回転モーメントを互いに異ならせることができる。また、後述するように、ダミー電極53を十分広く形成することができる。
なお、第1、第2可動部421、422の形状としては、前述したように、互いに異なる回転モーメントを有していれば特に限定されず、例えば、平面視での形状が同じであって、厚みが異なっていてもよい。また、同じ形状であって、いずれか一方に錘部が配置されていてもよい。錘部は、例えば、タングステン、モリブテン等の錘材料を別体として配置してもよいし、可動部42と一体的に形成されていてもよい。
また、支持部41は、開口部413内に配置されており、ベース基板2の凸部22に接合されている。また、連結部43、44も開口部413内に配置されており、これら連結部43、44によって、支持部41と可動部42とが連結されている。また、連結部43、44は、支持部41の両側に同軸的に位置している。これにより、鉛直方向の加速度が加わると、連結部43、44が捩り変形しながら、可動部42が軸Jまわりにシーソー揺動することとなる。
また、支持部41は、図1に示すように、略H型の平面視形状を有している。具体的には、支持部41は、中央部に位置し、連結部43、44が接続されていると共に凸部22に接合されている基部411と、基部411の−X側の端部からY軸方向両側に延出(突出)している延出部412、413と、基部411の+X軸側の端部からY軸方向両側に延出している延出部414、415と、を有している。そして、延出部412、413は、連結部43、44と第1可動部421との間に位置し、延出部414、415は、連結部43、44と第2可動部422との間に位置している。このような延出部412〜415を設けることで、後述するように、支持部41と第1固定電極51の重なり面積および支持部41と第2固定電極52の重なり面積をそれぞれ十分に広く確保することができ、静電容量の調整を広い範囲内で行うことができる。なお、支持部41の形状は、特に限定されず、例えば、延出部412〜415を省略してもよい。
このような揺動体4は、本実施形態では、リン、ボロン等の不純物をドープしたシリコン基板から形成されている。これにより、エッチングによって高精度に加工することができるため、揺動体4の寸法精度を優れたものとすることができる。また、揺動体4を陽極接合によってベース基板2(凸部22)に接合することができる。ただし、揺動体4の材料としては、シリコンに限定されない。また、導電性を付与する方法も、ドーピングに限定されず、例えば、可動部42の表面に金属等の導体層を形成してもよい。
このような揺動体4に対する第1、第2固定電極51、52およびダミー電極53の配置は次の通りである。すなわち、図1および図2に示すように、第1固定電極51は、第1可動部421と対向するように底面211に配置されており、第1可動部421との間に静電容量Caを形成している。また、第2固定電極52は、第2可動部422と対向するように底面211に配置されており、第2可動部422との間に静電容量Cbを形成している。また、ダミー電極53は、第2可動部422と対向するように、かつ、第2固定電極52よりも+X方向側(第2可動部422の先端側)に位置している。これら第1、第2固定電極51、52およびダミー電極53は、互いに離間して重ならないように配置され、互いに絶縁されている。
これら3つの電極51〜53のうち、第1、第2固定電極51、52は、加速度検知に用いられる電極であり、残りのダミー電極53は、製造時のスティッキングの発生を低減するための電極である。前述したように、揺動体4(正確には、揺動体4をパターニングする前のシリコン基板)とベース基板2とは陽極接合により接合するが、この際に印加する電圧によって揺動体4とベース基板2との間に静電力が発生し、この静電力によって揺動体4がベース基板2に張り付いてしまう場合がある。そのため、本実施形態では、ベース基板2の揺動体4と対向する面(底面211)に揺動体4と同電位のダミー電極53を設けることで、前記静電力を低減し、前述したような揺動体4のベース基板2への貼り付きを低減している。
(蓋体)
蓋体3は、下面に開口する凹部31を有しており、この凹部31が凹部21とで内部空間Sを形成するように、ベース基板2に接合されている。このような蓋体3は、本実施形態では、シリコン基板で形成されている。これにより、蓋体3とベース基板2とを陽極接合によって接合することができる。なお、蓋体3をベース基板2に接合しただけの状態では、ベース基板2に形成されている凹部23、24、25を介して内部空間Sの内外が連通されている。そのため、本実施形態では、図2に示すように、TEOSCVD法等で形成されたSiO膜6によって凹部23、24、25を封止し、内部空間Sを気密封止している。
以上、物理量センサー1の構成について簡単に説明した。このような物理量センサー1では、次のようにして鉛直方向の加速度を検知することができる。物理量センサー1に鉛直方向の加速度が加わっていない場合、可動部42は、図3(a)に示すように、水平状態を維持している。そして、物理量センサー1に鉛直方向下向き(−Z軸方向)の加速度G1が加わると、第1、第2可動部421、422の回転モーメントの異なりから、可動部42は、図3(b)に示すように、軸Jを中心にして時計回りにシーソー揺動する。反対に、物理量センサー1に鉛直方向上向き(+Z軸方向)の加速度G2が加わると、可動部42は、図3(c)に示すように、軸Jを中心して反時計回りにシーソー揺動する。このような可動部42のシーソー揺動によって、第1可動部421と第1固定電極51の離間距離および第2可動部422と第2固定電極52の離間距離が変化し、これに応じて静電容量Ca、Cbが変化する。そのため、これら静電容量Ca、Cbの変化量(静電容量Ca、Cbの差動信号)に基づいて加速度の値を検出することができる。また、静電容量Ca、Cbの変化の方向から加速度の方向(−Z軸側の加速度なのか、+Z軸側の加速度なのか)を特定することができる。このようにして、物理量センサー1を用いて加速度を検出することができる。
このように、物理量センサー1では、静電容量Ca、Cbの差動信号に基づいて加速度を検知するため、加速度が加わっていない状態にて、静電容量Ca、Cbがほぼ等しくなるように設計されていることが好ましい。このように設計することによって、受けた加速度をより正確に検出できる。そのため、本実施形態では、可動部42を底面211に対してほぼ平行として、第1固定電極51と第1可動部421のギャップと、第2固定電極52と第2可動部422のギャップをほぼ等しくすると共に、第1固定電極51の第1可動部421と重なっている領域の面積と第2固定電極52の第2可動部422と重なっている領域の面積とをほぼ等しくすることで、静電容量Ca、Cbをほぼ等しくしている。また、製造精度によって静電容量Ca、Cbが僅かにずれてしまう場合もあるため、このような場合には、後述するICチップ102に含まれている補正回路等を用いて、静電容量Ca、Cbのオフセットがゼロになるような補正を行っている。
ここで、実際には、静電容量Caは、端子57、59間の静電容量Ca’として検出され、静電容量Cbは、端子58、59間の静電容量Cb’として検出されるため、静電容量Ca、Cbを等しく設計しても、寄生容量等の影響によって静電容量Ca’、Cb’に差が生じる場合がある。静電容量Ca’、Cb’の差ΔC’が僅か(所定範囲内)であれば、前述したようにICチップ102による補正が可能となり問題とならないが、差ΔC’が大きければ(所定範囲外であれば)、前述したようなICチップ102による補正ができない。このようなものは、検出精度を保証することができず、結果として、物理量センサー1の製造歩留まりが低下する。
そこで、物理量センサー1では、静電容量Ca’、Cb’の差ΔC’をICチップ102の補正可能範囲内に収めることができるように、好ましくは、差ΔC’をゼロにできるような構成としている。以下、このことについて詳細に説明する。物理量センサー1では、前述したように、第2固定電極52の隣にダミー電極53を配置しているため、図2に示すように、これらの間に静電容量(寄生容量)C3が形成される。そのため、静電容量Cb’に静電容量C3が乗ってしまい、静電容量Cb’が静電容量Ca’よりも大きくなってしまう。
そこで、物理量センサー1では、図4に示すように、第1固定電極51をその一部が平面視で支持部41と重なるように配置して、第1固定電極51と支持部41との間に静電容量C1を形成し、同様に、第2固定電極52をその一部が平面視で支持部41と重なるように配置して、第2固定電極52と支持部41との間に静電容量C2を形成し、これら静電容量C1、C2の大きさを調節することによって、差ΔC’を小さくしている。具体的には、図4に示すように、平面視で、第1固定電極51の支持部41と対向している領域51aの面積をS1とし、第2固定電極52の支持部41と対向している領域52aの面積をS2としたとき、S1>S2なる関係を満足するように構成されている。そのため、静電容量C1が静電容量C2より大きくなり、その分、差ΔC’を小さくする(好ましくはゼロにする)ことができる。よって、差ΔC’をICチップ102の補正可能範囲内に収めることができ、物理量センサー1の製造歩留まりが向上する。
ここで、静電容量C1、C2、C3の関係としては、上記効果を発揮することができる限り、特に限定されないが、例えば、(C2+C3)×0.9≦C1≦(C2+C3)×1.1なる関係を満足していることが好ましく、(C2+C3)=C1なる関係を満足していることがより好ましい。これにより、上述した効果をより顕著に発揮することができる。
特に、本実施形態では、支持部41を第1可動部421と第2可動部422の間に配置しているため、例えば、第1、第2固定電極51、52を支持部41側に延長することで、前述した領域51a、52aを簡単に形成することができる。そのため、物理量センサー1の構成が簡単なものとなる。また、本実施形態のように、第1可動部421と第2可動部422の間に開口423を形成し、開口423に支持部41を配置することで、揺動体4の構成が簡単なものとなる。
また、ダミー電極53が第2固定電極52の+X軸側(支持部41と反対側)に位置しているため、ダミー電極53によって、第2固定電極52の領域52aの形成が阻害されることがない。この点からも、物理量センサー1の構成が簡単なものとなる。
なお、本実施形態では、静電容量C2を形成しているが、静電容量C2を形成しなくてもよい。すなわち、平面視で、第2固定電極52を支持部41と重ならないように配置してもよい。これによっても、上記と同様の効果を発揮することができる。また、本実施形態では、寄生容量として、静電容量C3しか考慮していないが、その他、配線54、56間に形成される静電容量や、配線55、56間に形成される静電容量等を考慮して、静電容量C1、C2の大きさを調節してもよい。
2.物理量センサー装置
次に、本発明の物理量センサー装置を説明する。
図5は、本発明の物理量センサー装置の一例を示す断面図である。
図5に示す物理量センサー装置100は、基板101と、接着層103を介して基板101の上面に固定されている物理量センサー1と、接着層104を介して物理量センサー1の上面に固定されているICチップ(電子部品)102と、を有している。そして、物理量センサー1およびICチップ102が基板101の下面を露出させた状態で、モールド材Mによってモールドされている。なお、接着層103、104としては、例えば、半田、銀ペースト、樹脂系接着剤(ダイアタッチ剤)等を用いることができる。また、モールド材Mとしては、例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、トランスファーモールド法によってモールドすることができる。
また、基板101の上面には複数の端子101aが配置されており、下面には図示しない内部配線やキャスタレーションを介して端子101aに接続されている複数の実装端子101bが配置されている。このような基板101としては、特に限定されないが、例えば、シリコン基板、セラミック基板、樹脂基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板等を用いることができる。
また、ICチップ102には、例えば、物理量センサー1を駆動する駆動回路や、前述した差ΔC’を補正する補正回路や、静電容量Ca’、Cb’の差動信号から加速度を検出する検出回路や、検出回路からの信号を所定の信号に変換して出力する出力回路等が含まれている。このようなICチップ102は、ボンディングワイヤー105を介して物理量センサー1の端子57、58、59と電気的に接続されており、ボンディングワイヤー106を介して基板101の端子101aに電気的に接続されている。
このような物理量センサー装置100は、物理量センサー1を備えているので、優れた信頼性を有している。
3.電子機器
次に、本発明の電子機器を説明する。
図6は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、その落下や傾斜を計測するための加速度や角速度等の物理量を計測する物理量センサー1が搭載されている。このように、上述した物理量センサー1を搭載することで、信頼性の高いパーソナルコンピューター1100を得ることができる。
図7は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、その落下や傾斜を計測するための加速度や角速度等の物理量を計測する物理量センサー1が搭載されている。このように、上述した物理量センサー1を搭載することで、信頼性の高い携帯電話機1200を得ることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、その落下や傾斜を計測するための加速度や角速度等の物理量を計測する物理量センサー1が搭載されている。このように、上述した物理量センサー1を搭載することで、信頼性の高いディジタルスチルカメラ1300を得ることができる。
なお、本発明の電子機器は、図6のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図7の携帯電話機、図8のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
4.移動体
次に、本発明の移動体を説明する。
図9は、本発明の移動体を適用した自動車を示す斜視図である。
自動車1500には物理量センサー1が内蔵されており、例えば、物理量センサー1によって車体1501の姿勢を検出することができる。物理量センサー1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。
以上、本発明の物理量センサー、物理量センサー装置、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
1……物理量センサー
2……ベース基板
21、23、24、25……凹部
211……底面
22……凸部
221……溝
3……蓋体
31……凹部
4……揺動体
41……支持部
411……基部
412……延出部
413……開口部
414、415……延出部
42……可動部
421……第1可動部
421a……スリット
422……第2可動部
422a……スリット
423……開口
43、44……連結部
5……導体パターン
51……第1固定電極
52……第2固定電極
51a、52a……領域
53……ダミー電極
54、55、56……配線
57、58、59……端子
6……SiO
100……物理量センサー装置
101……基板
101a……端子
101b……実装端子
102……ICチップ
103、104……接着層
105、106……ボンディングワイヤー
1100……パーソナルコンピューター
1102……キーボード
1104……本体部
1106……表示ユニット
1108……表示部
1200……携帯電話機
1202……操作ボタン
1204……受話口
1206……送話口
1208……表示部
1300……ディジタルスチルカメラ
1302……ケース
1304……受光ユニット
1306……シャッタボタン
1308……メモリ
1310……表示部
1312……ビデオ信号出力端子
1314……入出力端子
1430……テレビモニタ
1440……パーソナルコンピューター
1500……自動車
1501……車体
1502……車体姿勢制御装置
1503……車輪
B……バンプ
C1、C2、C3、Ca、Cb……静電容量
G1、G2……加速度
J……軸
M……モールド材
S……内部空間

Claims (10)

  1. 支持部と、前記支持部に連結部を介して接続され、前記支持部に対して揺動可能な可動部と、を有し、前記可動部が前記連結部に対して一方側に設けられる第1可動部および他方側に設けられる第2可動部を有する可動電極と、
    前記第1可動部と対向して配置される第1固定電極と、
    前記第2可動部と対向して配置される第2固定電極と、
    前記第2可動部と対向し、かつ、前記第2固定電極と重ならないように配置され、前記可動電極と同電位となる対向電極と、を有し、
    前記第1固定電極は、その一部が平面視で前記支持部と重なるように配置されていることを特徴とする物理量センサー。
  2. 前記第2固定電極は、その一部が平面視で前記支持部と重なるように配置されており、
    前記第1固定電極の前記支持部と重なっている領域の面積をS1とし、前記第2固定電極の前記支持部と重なっている領域の面積をS2としたとき、S1>S2なる関係を満足する請求項1に記載の物理量センサー。
  3. 前記第1固定電極と前記支持部との間に発生する静電容量をC1とし、
    前記第2固定電極と前記支持部との間に発生する静電容量をC2とし、
    前記第2固定電極と前記対向電極との間に発生する静電容量をC3としたとき、
    (C2+C3)×0.9≦C1≦(C2+C3)×1.1なる関係を満足する請求項2に記載の物理量センサー。
  4. 前記対向電極は、前記第2固定電極の前記支持部と反対側に配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  5. 前記可動部の平面視にて、前記第2可動部の方が前記第1可動部よりも面積が大きい請求項1ないし4のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  6. 前記支持部は、前記開口内に配置され、平面視で、前記第1可動部と前記第2可動部の間に位置している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  7. 前記可動部は、前記第1可動部と前記第2可動部との間に開口部を有し、
    前記開口部内に前記支持部が配置されている請求項6に記載の物理量センサー。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の物理量センサーと、
    前記物理量センサーに電気的に接続されている電子部品と、を有していることを特徴とする物理量センサー装置。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の物理量センサーを備えていることを特徴とする電子機器。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の物理量センサーを備えていることを特徴とする移動体。
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