JP2016040616A - 木管楽器及び整流部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベーム式B♭クラリネットとされる木管楽器は、上管及び下管を含む本体管を備え、下管に音程補正専用に利用される補正用音孔20が形成される。補正用音孔20の内部に整流部材33が設けられている。整流部材33は、フィルム部材を複数箇所で折り曲げることによりM字形状に形成されている。整流部材33は、演奏時に補正用音孔20において乱れる気流を整えることができ、補正用音孔20から発生する雑音を軽減することが可能となる。
【選択図】図2
Description
音程補正専用の音孔の孔径を、演奏に利用される他の音孔の孔径より大きく形成する。
[従来技術2]
音程補正専用の音孔と、これを開閉する開放位置のタンポ付きキーとの間隔、すなわち、音程補正専用の音孔でのタンポ開きをなるべく大きく設定する。
[従来技術3]
下管の径方向に対し、音程補正専用の音孔の軸線方向を傾けて形成し、当該音孔から流れ出る空気が開放位置のタンポ付きキーに当たらないようにする。
本発明の目的は、音孔の孔径を小さい寸法に設定しつつ、雑音の発生を軽減することができる木管楽器及び整流部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、木管楽器の部品点数や製造コストの削減を図ることができ、演奏が困難になることを防止することができる木管楽器及び整流部材を提供することにある。
前記整流部材は、弾性力を有する帯状の部材からなり、
前記整流部材の前記音孔内部での位置決めは、素材の弾性力により前記音孔の内部に当該整流部材の両側が押し当てられることで行われる、という構成を採っている。
また、本発明は、管体に形成された音孔の内部に、該音孔での空気の流入出可能に整流部材を設け、
前記整流部材は、多孔質部材である、という構成を採ることもできる。
前記整流部材は、前記音孔での空気の流入出可能に設けられ、
弾性力を有する帯状の部材からなり、
前記音孔内部での位置決めは、素材の弾性力により前記音孔の内部に前記帯状部材の両側が押し当てられることで行われる、という構成を採っている。
また、本発明の整流部材は、木管楽器の管体に形成された音孔の内部に挿入可能に設けられる整流部材であって、
前記整流部材は、前記音孔での空気の流入出可能に設けられ、
多孔質材である、という構成を採ることもできる。
なお、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」は、図1を基準として用いる。
ちなみに、演奏時における基音と第3〜10部分音にはグラフのような有意な周波数変動は認められない。また、クラリネットは原理上奇数倍音しか出ないとされているが、実際には基音成分に対し第2部分音は−30dB程度の音圧レベルを有しており、十分に知覚される。これは、気柱共鳴振動の1周期の間に空気粒子が楽器内部から音孔外側へ移動する半周期と、同じく音孔外部から楽器内部へ移動する半周期に、それぞれ副次的に生じる空気の擾乱に起因して第2部分音が発生すると理解されており、高速連続流動の乱流現象による風切音の発生メカニズムとは原理が異なるものである。
1μ程度のPIV専用の潤滑油の粒子(DOS)をマウスピース側からエアーと一緒に本体管13内に送り込み、暗幕で覆った簡易BOX内でレーザーを垂直もしくは平行に当て、自動吹鳴装置で吹鳴させた最低音共鳴時の本体管13内や音孔20,24近傍の粒子速度を計測した。補正用音孔20近傍の流速と、補正用音孔20位置に近い音孔24近傍の流速とを計測、比較し、補正用音孔20にあっては整流部材33を挿入した場合と、挿入しない場合との流速の計測、比較も行った。結果として、音孔24近傍の空気の流れは、補正用音孔20近傍の空気の流れと異なることが分かった。音孔24は、補正用音孔20に比べ径が大きくなるので、下管18外部から内部への流れも、下管18内部から外部への流れも流速が小さく、また、上下方向に対して図1中左右方向の空気の流れに大きな差がないことが分かった。これに対し、補正用音孔20近傍の空気の流れは、下管18外部から内部への流れも、下管18内部から外部への流れも流速が相対的に大きくなり、これが雑音を発生させる要因になっていると考えられる。加えて、補正用音孔20からの下管18外部から内部へ吸込む空気の流れは上下方向から、下管18内部から外部へと噴出する空気の流れは前記左右方向となっているが、補正用音孔20内部に整流部材33を設けることで、外部への気流の噴出と内部への気流の吸込みとの両方の流速が抑えられた。特に、下管18内部から外部への噴出の際、補正用音孔20の周りの空気の流れが全周に亘って均一になっていることを確認できた。従って、補正用音孔20近傍での空気の流れが、その内部に気流の圧力分布の境界条件を拘束させる整流部材33を挿入することによって、上下方向と左右方向との空気の流れの差が生じなくなったことにより雑音が軽減されたと思われる。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 管体に形成された音孔の内部に、該音孔での空気の流入出可能に整流部材を設け、
前記整流部材は、弾性力を有する帯状の部材からなり、
前記整流部材の前記音孔内部での位置決めは、素材の弾性力により前記音孔の内部に当該整流部材の両側が押し当てられることで行われることを特徴とする木管楽器。 - 管体に形成された音孔の内部に、該音孔での空気の流入出可能に整流部材を設け、
前記整流部材は、多孔質部材であることを特徴とする木管楽器。 - 前記管体は上管及び下管を含み、当該下管に前記整流部材を設けた音孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の木管楽器。
- 前記整流部材を設けた音孔は、音程補正専用に利用される音孔であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の木管楽器。
- 前記音孔の内周面に段差を設け、当該段差の形成面に前記整流部材を係合可能に設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の木管楽器。
- 木管楽器の管体に形成された音孔の内部に挿入可能に設けられる整流部材であって、
前記整流部材は、前記音孔での空気の流入出可能に設けられ、
弾性力を有する帯状の部材からなり、
前記音孔内部での位置決めは、素材の弾性力により前記音孔の内部に前記帯状部材の両側が押し当てられることで行われることを特徴とする整流部材。 - 木管楽器の管体に形成された音孔の内部に挿入可能に設けられる整流部材であって、
前記整流部材は、前記音孔での空気の流入出可能に設けられ、
多孔質材であることを特徴とする整流部材。
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Citations (7)
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-
2015
- 2015-10-22 JP JP2015207955A patent/JP6098693B2/ja active Active
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