JP2016040410A - 金属合金部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の方法によって変換された合金を用いて製造される部品の品質を改善する。【解決手段】合金の重量%でチタンが過半を占める合金を変換する方法であって、この方法は、その合金でできたインゴット1を製造する工程と;インゴット1がβトランザス温度(Tβ)よりも明確に低い現在の温度である間にインゴット1から合金を塑性変形させることからなる、第1のタイプ(A、B、C)の少なくとも第1と第2と第3の工程と;インゴット1がβトランザス温度(Tβ)よりも明確に低い現在の温度である間にインゴット1から合金を塑性変形させることからなる、第2のタイプ(A’、B’)の少なくとも第1と第2の工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、チタンが過半を占める合金を変換する方法に関する。
より具体的には、本発明は、合金の重量%でチタンが過半を占める合金(ただしこの合金はβトランザス温度を示し、その温度を超えるとα相合金構造からβ相合金構造への転移が観察される)を変換する方法に関するものであり、この方法は、
その合金でできたインゴットを製造する工程と;
前記インゴットがβトランザス温度よりも明確に高い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第1のタイプの少なくとも第1と第2と第3の工程と;
前記インゴットがβトランザス温度よりも明確に低い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第2のタイプの少なくとも第1と第2の工程を含んでいる。
チタン合金は、合金の重量%でチタンが過半を占めており、特に合金の少なくとも60重量%がチタンからなる。
同じ合金から得られる単一バッチの部品に属する部品は機械的強度が一様ではないことが見いだされている。
製造では、品質上の理由により、同じチタン合金から得られる似た部品は一様な機械的強度を示すことが望ましい。
本発明の1つの目的は、合金の重量%でチタンが過半を占める合金を変換する方法を提供することであり、この方法は、本発明の方法によって変換された合金を用いて製造される部品の品質を改善しようとする。
その目的のため、本発明により、合金を変換する方法として、合金の重量%でチタンが過半を占める合金(ただしこの合金はβトランザス温度を示し、その温度を超えるとα相合金構造からβ相合金構造への転移が観察される)を変換する方法が提供され、この方法は、
その合金でできたインゴットを製造する工程と;
前記インゴットがβトランザス温度Tβよりも明確に高い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第1のタイプA、B、Cの少なくとも第1と第2と第3の工程と;
前記インゴットがβトランザス温度Tβよりも明確に低い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第2のタイプA’、B’の少なくとも第1と第2の工程を含んでいる。
本発明の変換方法は、本質的に、第1のタイプA、B、Cと第2のタイプA’、B’の工程を以下の順番で適用すること、すなわち
合金が第1の温度T1である間に第1のタイプAの第1工程を実施し;その後、
第2のタイプA’の第1工程を実施し;その後、
合金が第1の温度T1よりも明確に低い第2の温度T2である間に第1のタイプBの第2工程を実施し;その後、
第2のタイプB’の第2工程を実施し;その後、
合金が第2の温度T2よりも明確に低い第3の温度T3である間に第1のタイプCの第3工程を実施することを特徴とする。
本発明を理解する上で、βトランザス温度Tβとは、その温度を超えると合金の構造の少なくとも一部でα相からβ相の合金構造への転移が観察される温度である。
α相の合金部分は、稠密六方晶ミクロ組織を示す。
β相の合金部分は、体心立方晶ミクロ組織を示す。
そのためβトランザス温度よりも高温になると、稠密六方晶であった合金部分は変換されて体心立方晶の合金部分となることがわかる。本発明の方法における一連の工程は、合金の熱処理と可塑的な機械的変形操作の組み合わせである。この処理と操作は、合金を構成する結晶/粒子のサイズを徐々により一様にすることによって合金の内部ミクロ組織がより一様になるようなやり方で実施される。
そのため、本発明の方法によって変換されたチタン合金から製造された同じバッチの部品に属する部品は、ミクロ組織の観点と、合金に含まれるβ相粒子のサイズ分布の観点と、化学的組成の観点からして、より一様に製造されているという特徴を示す(本発明の方法によって変換された合金中には、化学種が、本発明の方法のさまざまな工程を実施する前のインゴットにおけるよりもうまく分布している)。
そのためバッチの部品の全体的品質が改善される。なぜならそれら部品を構成する合金は、そのバッチの部品間で一様であるという特徴を示すからである。
数(メトリック)トンの重量があるインゴット(インゴットは、典型的には3〜7トンの重量があり、高さが2メートル(m)超である)を形成するとき、インゴットは層化することが観察され、その結果として、インゴットの底部と中央部は、インゴットの頂部に見られる結晶の平均長と平均断面積よりもはるかに大きな平均長と平均断面積を持つ細長い結晶となる。
第1のタイプAの第1工程は、βトランザス温度よりも高い第1の温度T1で実施する。この第1の温度T1は、α相である合金の結晶構造の少なくとも一部をβ相の結晶構造へと変換するのに役立つ。β相にある大きな合金粒子の機械的変形/塑性変形により、β相のそれら大きな粒子が壊れるため、再結晶してやはりβ相のより小さな粒子となる。こうすることでインゴットの合金は、合金中に存在するα相とβ相の性質とβ粒子のサイズに関してより一様になる。
合金を機械的に塑性変形させている間も材料中に存在するα相とβ相の性質を保持するため、βトランザス温度よりも低温で、特に温度T4で実施する第2のタイプA’の第1工程は、合金内とβ相粒子の周囲に内部機械的応力を発生/蓄積させるのに役立つ。
第1のタイプBの第2工程である次の工程の間、合金の温度をβトランザス温度よりも高くし、第1の温度T1よりも明確に低い第2の温度T2に到達させる。この工程Bにおいて、第2のタイプA’の第1工程の間にβ相粒子の周囲に蓄積した機械的応力が、より大きなサイズであってより大きな応力を受けるβ粒子の破壊/転位を再度生じさせる。これら転位の効果は、合金の最大のβ粒子が再結晶化するのを促進することである。第1のタイプBのこの第2工程は再結晶化工程であり、より大きな粒子の中、またはミクロ組織の主要部に対する向きがより悪い粒子の中に転位を蓄積することにより、β粒子のサイズの最初の一様化を準備するのに役立つ。
第2のタイプB’の第2工程である次の工程の間、合金の温度を再度下げて、合金の温度がβトランザス温度Tβよりも低い現在の温度T4となるようにし、合金をもう一度塑性変形させて、合金内とβ相粒子の周囲に新たな機械的応力を発生させる。
この工程B’は、βトランザス温度よりも低温で実施されるため、合金中に存在する粒子のα相とβ相は保持され、機械的応力だけが、ミクロ組織に対して一様性が最も悪いβ粒子の周囲に発生する。
第1のタイプC第3工程である次の工程の間、合金の温度を再度上げて、合金の温度を、βトランザス温度Tβよりも高いが、第1のタイプBの第2工程で到達した第2の温度T2よりは明確に低い現在の温度(第3の温度T3と呼ぶ)となるようにする。第1のタイプCのこの第3工程において、第2のタイプB’の第2工程の間にβ粒子の周囲に蓄積した機械的応力が、サイズが最大であって最大の応力を受けるβ粒子の破壊/転位を再度引き起こす。これらの新しい転位の効果は、大半の転位を含むβ粒子の再結晶化を促進し続ける。したがって合金は再度、より一様にされる。
第1のタイプの第1と第2と第3の工程が徐々により低い温度で実施されるが、それでもβトランザス温度よりも高いままであるという事実により、徐々により細かい転位を生成させることが可能になり、β相合金の最も一様性が悪い粒子の析出が促進される。本発明の変換方法のこれら全工程が、合金中のα相粒子とβ相粒子のサイズ分布とこれら個々の粒子のサイズに関し、合金の結晶構造を一様にするのに寄与する。
このようにして変換された合金は、より一様であるという機械的特徴を示すため、この合金から得られる金属部品で想定される方向に応じ、より一様にするという特徴が可能になる。
本発明の方法の好ましい一実施態様では、
第1の温度T1が、βトランザス温度Tβよりも少なくとも200℃、最大で300℃高いこと;
第2の温度T2が、βトランザス温度Tβよりも少なくとも100℃、最大で200℃高いこと;
第3の温度T3が、βトランザス温度Tβよりも少なくとも50℃、最大で150℃高いことが保証される。
最初に、βトランザス温度Tβと第1のタイプA、B、Cの第1、第2、第3の工程で順番に用いる温度T1、T2、T3の間の差を徐々に小さくする一方で;
βトランザス温度Tβよりも高い制限温度Tlimを超えないようにすることで;
近傍のβ相粒子が再結合して単一の大きなβ相粒子になるというリスクを回避することが可能になる。単一の大きなβ相粒子になると、合金をより一様にするという求める効果に反することになろう。
上記の実施態様の任意のものと組み合わせた本発明の好ましい一実施態様では、第2のタイプA’、B’、C’の工程の間に実施される各塑性変形が、第2のタイプのこの工程の直前の第1のタイプの工程の間に合金に適用される変形の効果の少なくとも一部を逆転させる傾向を持つことを保証する。
変形の効果を逆転させることにより、合金に適用される変形の少なくとも1つが逆転されることを理解されたい。例えば合金でできたビレットの長さが第1の変形操作によって短くなるならば、第1の変形操作の効果を逆転させる変形操作を実施してビレットの長さを増大させる必要がある。
第2のタイプA’、B’、C’の工程において、それに先立つ第1のタイプA、B、Cいずれかの工程の間に適用された変形の効果を逆転させることは、第1のタイプのその後の工程の間に与えることのできる変形の能力を増大させるのに役立つ。第1のタイプの工程の間に実施された変形の効果の少なくとも一部を逆転させるために変形が実施されなかったとすれば、第1のタイプの次の工程の間に合金を変形させる能力は、はるかに制限されることになろう。第1のタイプA、B、Cの2つの連続した工程の間に実施される変形操作は蓄積されてゆくことになり、合金の完全な局所的破壊を引き起こすことになろう。
そのため変形の効果を逆転させることにより、第1のタイプの工程の間に実施する多数の変形操作に伴う好ましくない効果を少なくすることが可能になる。
好ましい一実施態様では、第1のタイプの工程の間に実施する塑性変形操作のそれぞれは、第1のタイプの全工程に共通する合金圧縮方向に合金を圧縮することによる変形の操作であり、第1のタイプの工程におけるこれら塑性変形のそれぞれは、合金の長さLxを短くする効果を有する。
合金の長さLxは、変形を受ける合金または合金ブロックの最長サイズである。合金がインゴットの形態であるかビレットの形態であるかに関係なく、合金のこの長さLxは、常に、合金で測定できる最長サイズであるため、この長さLxは、合金に新たな変形工程を適用する前に測定される合金の実効長である。
したがって第1のタイプの工程の間に、合金は、実効最大サイズLxが短くなることによって稠密になる傾向がある。Tβよりも高い温度で実施されるこのタイプの変形により、合金は、合金を引き伸ばそうとする変形を受ける場合よりも弱くなる。
第2のタイプA’、B’、C’の工程の間に実施される各塑性変形操作は、合金の長さLxが第2のタイプの各工程において増大するような方向への圧縮によって合金を変形させる操作であることが好ましい。
典型的には、第2のタイプの工程の間に実施される塑性変形操作は、第1のタイプの全工程に共通する合金圧縮方向に対して垂直な圧縮方向に合金を圧縮することによって得られる。
本発明の他の特徴と利点は、非限定的な例として図面を参照して与える以下の説明から明らかになる。
本発明の方法を示す。
本発明の目的は、元々はインゴットの形態であるチタン合金を変換することであり、この変換方法は、合金のミクロ組織をより一様にするのに役立つ。
本発明の変換方法によって変換される合金は、1つ以上のビレットの形態である。このようにビレットの形態で入手した合金は、次に、順番に、
鍛造により最終部品(ロッドやトラックなどの着陸装置の大きな部品であることが好ましい)に必要とされる特定の形にされ;次いで
加工されて鍛造時に存在していた合金の一部が除去され;次いで場合によっては
溶液熱処理され、水または空気の中で焼き入れされ;次いで
熱時効によって硬化される。このようにして時効された合金は、β粒子の間に主にα相合金のノジュールが含まれるとともに、β粒子の内側に二次的αが析出した擬β合金になる。
本発明は主に本発明の変換方法に関係しているとはいえ、本発明の変換方法に従って変換された合金から製造される航空機着陸装置の部品(ロッド、トラック、脚支柱など)や、着陸装置と同等なサイズ(1m超)の任意の部品を製造する方法にも関する。
製造方法には、本発明の合金変換方法に加え、大きなサイズのほぼ完成した着陸装置部品(着陸装置のロッド、トラック、スラットなど)を得るためのそれに続く鍛造、加工、時効という上記の工程が含まれる。
本発明の変換方法についての説明を続ける。
本発明の変換方法の第1工程は、合金の重量%でチタンが過半を占める合金を製造することからなる。この合金は、βトランザス温度Tβが800℃〜950℃の範囲、好ましくは900℃となるように選択する。
より具体的には、合金の選択は、以下の合金のグループからなされる。
第1の合金(Ti 10-2-3)(重量%で、以下の元素
アルミニウム、Al 2.6%〜3.4%
炭素、C ≦0.050%
水素、H ≦0.015%
鉄、Fe 1.6%〜2.2%
窒素、N ≦0.050%
酸素、O ≦0.013%
チタン、Ti 83%〜86.8%
バナジウム、V 9.0〜11%を含む)、
第2のタイプの合金(Ti 5-5-5-3)(重量%で、以下の元素
鉄、Fe 0.5%〜1.5%
炭素、C 最大で0.1%
ケイ素、Si 最大で0.15%
クロム、Cr 0.5%〜1.5%
モリブデン、Mo 4%〜5.5%
バナジウム、V 4%〜5.5%
窒素、N 最大で0.05%
チタン、Ti 79.4%〜86.3%
アルミニウム、Al 4.4%〜5.7%
ジルコニウム、Zr 最大で0.3%
酸素、O 最大で0.18%
水素、H 最大で0.15%
不純物 0.3%を含む)、
第3のタイプの合金(Ti 5-5-5-3-1)(重量%で、以下の元素
鉄、Fe 0.5%〜1.5%
炭素、C 最大で0.1%
ケイ素、Si 最大で0.15%
クロム、Cr 0.5%〜1.5%
モリブデン、Mo 4%〜5.5%
バナジウム、V 4%〜5.5%
窒素、N 最大で0.05%
チタン、Ti 79.4%〜86.3%
アルミニウム、Al 4.4%〜5.7%
ジルコニウム、Zr 1%
酸素、O 最大で0.18%
水素、H 最大で0.15%
不純物 0.3%を含む)、
特許文献GB 2 470 613 Aに記載されている第4のタイプの合金(Ti18)(重量%で、以下の元素
アルミニウム、Al 5.3%〜5.7%
バナジウム、V 4.8%〜5.2%
鉄、Fe 0.7%〜0.9%
モリブデン、Mo 4.6%〜5.3%
クロム、Cr 2.0%〜2.5%
酸素、O 0.12%〜0.16%を含み、
残部が少なくともチタンと不純物である)、
第5の合金(重量%で、以下の元素
チタン、Ti 少なくとも84%
アルミニウム、Al 4%〜7.5%
酸素、O 少なくとも0.1%
炭素、C 少なくとも0.01%と、
バナジウム、モリブデン、クロム、鉄から選択した少なくとも1種類の元素を含み、少なくとも0.1重量%のハフニウムとジルコニウムも追加して含む)
本発明の方法を利用して変換するのに第5の合金が特に適している。なぜなら第5の合金は、βトランザス温度Tβが800℃〜950℃の範囲にあるから、より具体的にはβトランザス温度Tβ=900℃だからである。
より具体的には、この第5の合金は、重量%で、少なくとも84%のチタンと、少なくとも以下の元素
アルミニウム、Al 4.0%〜7.5%
バナジウム、V 3.5%〜5.5%
モリブデン、Mo 4.5%〜7.5%
クロム、Cr 1.8%〜3.6%
鉄、Fe 0.2%〜0.5%
ハフニウム、Hf 0.1%〜1.1%
酸素、O 0.1%〜0.3%
炭素、C 0.01%〜0.2%
を含んでいる。
これらチタン合金のそれぞれは、独自のβトランザス温度Tβを示す。
典型的には、好ましい第5の合金の温度は、Tβ=900℃である。
上述のように、βトランザス温度は、その温度を超えるとα相合金構造からβ相構造への転移が観察される温度である。
このようにして製造された合金は鋳造されてその合金のインゴット1を形成する。
図1からわかるように、本発明の変換方法は、
インゴットがβトランザス温度Tβよりも明確に高く、制限温度Tlim=Tβ+300℃よりも低い現在の温度にある間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第1のタイプA、B、Cの少なくとも第1と第2と第3の工程と;
前記インゴットがβトランザス温度Tβよりも明確に低い現在の温度にある間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第2のタイプA’、B’の少なくとも第1と第2工程を含んでいる。
この実施例では、方法は、第2のタイプC’の第3工程を含んでいる。
第1のタイプA、B、Cと第2のタイプA’、B’のこれら工程は、合金の所定の一部のために以下の順番で実施され、この順番は、
合金が第1の温度T1である間に第1のタイプAの第1工程を実施し;次いで
合金が、第4の温度と呼ぶ温度T4である間に第2のタイプA’の第1工程を実施し;次いで
合金が、第1の温度T1よりも明確に低い第2の温度T2である間に第2のタイプBの第2工程を実施し;次いで
合金がT4である間に第2のタイプB’の第2工程を実施し;次いで
合金が、第2の温度T2よりも明確に低い第3の温度T3である間に第1のタイプCの第3工程を実施し;次いで
合金がT4である間に第2のタイプC’の第3工程を実施することからなる。
典型的には、T1は、(Tβ+200℃)<T1<(Tβ+300℃)によって定義され;T2は、T2<T1かつ(Tβ+100℃)<T2<(Tβ+200℃)によって定義され;T3は、T3<T2<T1かつ(Tβ+50℃)<T3<(Tβ+150℃)によって定義され;T4は、第2のタイプの工程それぞれの間に用いられる第4の温度であり、(Tβ−65℃)<T4<(Tβ−35℃)または(Tβ−55℃)<T4<(Tβ−45℃)によって定義される(後者が好ましい)。言い換えるならば、第2のタイプの工程それぞれは、βトランザス温度Tβ−50℃から±15℃の範囲内、好ましくは±5℃の範囲内にある第4の温度T4で実施される。図1では、Tβ=800℃、T1=1100℃、T2=1000℃、T3=90℃、T4=750℃である。
これらの温度T1、T2、T3、T4は、特定の温度から±15℃の範囲内、好ましくは±5℃の範囲内である場合に満たされる。選択した第4の温度T4により、β粒子の周囲に過剰な応力を蓄積させることなく、合金中に存在するα相とβ相を保持することが可能になる。
第2のタイプA’、B’、C’のこれら工程が実施される温度は同じであると説明したが、その温度を互いに異なるようにすることが可能である。
第1のタイプAの第1工程の前に、合金でできたインゴット1は、その合金の主軸X−Xを規定する実効長Lxを有する。
第1のタイプA、B、Cの全工程において、合金を圧縮する方向は、合金のこの主軸に平行な方向、より具体的にはインゴットのこの長さに平行な方向を向いている。
第2のタイプA’、B’、C’の工程において合金を圧縮する方向は、合金の長さに対して垂直、すなわち主軸X−Xに対して垂直である。
典型的には、第1のタイプA、B、Cの工程において実施する圧縮は、インゴットをプレスの顎部の間に配置し、それらの顎部を互いにインゴットの長さに平行な方向に移動させることによって実施される。
典型的には、第2のタイプA’、B’、C’の工程において実施される圧縮は、互いに向かい合って配置された必要に応じて整形されたツールの間で合金を平坦にして合金の断面積を小さくし、そのことによって合金の長さを徐々に長くすることによって実現される。第1のタイプAの第1工程の間に実施される変形は、合金の長さLxを、第1のタイプAのこの第1工程を実施する前に測定した合金の長さLxの20%〜30%だけ短くする少なくとも1つの圧縮成形操作Rを含んでいる。
第1のタイプBの第2工程の間に実施される変形も、合金の長さLxを、第2のタイプA’の第1工程を実施した後かつ第1のタイプBの第2工程を実施する前に測定した合金の長さLxの20%〜30%だけ短くする圧縮成形操作Rを含んでいる。
第1のタイプCの第3工程の間に実施される変形も、合金の長さLxを、第2のタイプB’の第2工程を実施した後かつ第1のタイプCの第3工程を実施する前に測定した合金の長さLxの15%〜20%だけ短くする圧縮成形操作Rを含んでいる。
圧縮成形操作Rは、合金を長さLxに沿って、すなわち合金の軸X−Xに沿って圧縮する操作である。
第2のタイプA’の第1工程の間に実施される変形E1は、合金の長さLxを、第1のタイプAの第1工程を実施した後かつ第2のタイプA’の第1工程の間に長さLxを増大させる前に測定した合金の長さLxの20%〜30%だけ増大させるために実施される。
第2のタイプB’の第2工程の間に実施される変形E4により、合金の長さLxを、第1のタイプBの第2工程を実施した後かつ第2のタイプB’のこの第2工程の間に長さLxを増大させる前に測定した合金の長さLxの20%〜30%だけ増大させることができる。
第1のタイプCの第3工程の後、第2のタイプC’の第3工程を実施し、合金に、鍛造部品を得るためのその後の鍛造に適した形とサイズを与える。
第2のタイプC’のこの第3工程により、合金の長さLxを、第1のタイプCの第3工程を実施した後かつ第2のタイプC’の第3工程の間に長さLxを増大させる前に測定した合金の長さLxの少なくとも30%だけ増大させることができる。
第1のタイプBの第2工程の後かつ第2のタイプC’の第3工程の前に、好ましくは工程B’と工程Cの間に、合金を横断面で切断し、ビレット1’、1”と呼ばれる棒の形態の2つの細長い部品を得る工程Xを実施することに注意されたい。
理想的には、これらの部品/ビレット1’、1”は、形が同じである。航空機着陸装置の大きな部品を形成することになるビレットの形は、実質的に正確な円筒形であり、長さは2m〜3mの範囲、直径は0.4m〜0.5mの範囲にある。
第1のタイプAの第1工程を実施する前には、合金インゴットは、元々正確な円筒形であり、長さは3m〜5mの範囲、直径は0.6m〜1.2mの範囲にある。
2つのビレット1’、1”の体積は、インゴットの体積よりも小さい。これは、本発明の合金変換方法のさまざまな工程の間に合金の一部が失われたことを意味する。
本実施例では、
工程Aにおいて、圧縮成形操作R1を実施した後、伸長操作E1を実施し;
工程A’において、圧縮成形操作R2を実施した後、伸長操作E2を実施し;
工程Bにおいて、圧縮成形操作R3を実施した後、伸長操作E3を実施し;
工程B’において、圧縮成形操作R4を実施した後、伸長操作E4を実施し;
工程Cにおいて、圧縮成形操作R5を実施した後、伸長操作E5を実施し;
工程C’において、圧縮成形操作R6を実施した後、伸長操作E6を実施し、鍛造可能な最終的なビレット1’を製造する。
これら伸長操作E1、E2、E3、E4、E5、E6は、牽引ではなくて合金を横方向に圧縮することによって得られた合金の実効長Lxを長くする操作である。
この方法の終了時のビレット1’は、変換された合金でできており、その内部では、ミクロ組織が、少なくともβ相粒子のサイズと合金内のこれらの粒子の分布に関し、この方法の工程Aを実施する前に観察されるミクロ組織と比べてより一様にされている。
本発明の方法を、第1のタイプの3つの工程と第2のタイプの3つの工程を持つものとして説明したが、第1のタイプの工程の数をより多くするとともに、第2のタイプの工程をより多くすることもできることを理解されたい。
実施する第2のタイプの工程の数がいくつであれ、第1のタイプの2つの連続した工程の間に第2のタイプの少なくとも1つの工程が確実に実施されることが好ましい。

Claims (16)

  1. 合金の重量%でチタンが過半を占める合金であって、βトランザス温度を示し、その温度を超えるとα相合金構造からβ相合金構造への転移が観察される合金を変換する方法であって、
    その合金でできたインゴット(1)を製造する工程と;
    そのインゴットがβトランザス温度(Tβ)よりも明確に低い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第1のタイプ(A、B、C)の少なくとも第1と第2と第3の工程と;
    そのインゴットがβトランザス温度(Tβ)よりも明確に低い現在の温度である間にそのインゴットから合金を塑性変形させることからなる、第2のタイプ(A’、B’)の少なくとも第1と第2の工程を含む方法において、この方法が、
    第1と第2のタイプ(A、A’、B、B’、C)の工程を以下の順番で適用すること、すなわち
    合金が第1の温度(T1)である間に第1のタイプ(A)の第1工程を実施し;その後、
    第2のタイプ(A’)の第1工程を実施し;その後、
    合金が第1の温度(T1)よりも明確に低い第2の温度(T2)である間に第1のタイプ(Bの第2工程を実施し;その後、
    第2のタイプ(B’)の第2工程を実施し;その後、
    合金が第2の温度(T2)よりも明確に低い第3の温度(T3)である間に第1のタイプ(C)の第3工程を実施することを特徴とする方法。
  2. 前記第1の温度(T1)がβトランザス温度(Tβ)よりも少なくとも200℃、最大で300℃高く;
    前記第2の温度(T2)がβトランザス温度(Tβ)よりも少なくとも100℃、最大で200℃高く;
    前記第3の温度(T3)がβトランザス温度(Tβ)よりも少なくとも50℃、最大で150℃高い、請求項1に記載の合金変換方法。
  3. 第2のタイプ(A’、B’)の工程の間に実施される各塑性変形が、第2のタイプのその工程の前の第1のタイプの工程において合金に適用される変形の効果の少なくとも一部を逆転させる傾向がある、請求項1又は2に記載の合金変換方法。
  4. 第1のタイプの工程の間に実施される塑性変形操作のそれぞれが、第1のタイプの全工程に共通する合金圧縮方向に合金を圧縮することによる変形の操作であり、第1のタイプの工程におけるこれら塑性変形操作のそれぞれは、合金の長さ(Lx)を短縮する効果を有する、請求項1〜3の少なくとも1項に記載の合金変換方法。
  5. 第2のタイプの工程の間に実施される塑性変形操作のそれぞれが、第2のタイプの各工程で合金の長さ(Lx)が増大するような方向に圧縮することによって合金を変形させる操作である、請求項4に記載の合金変換方法。
  6. 第1のタイプ(A)の第1工程の間に実施される変形(R1)が、合金の長さ(Lx)を、第1のタイプ(A)のこの第1工程を実施する前に測定したこの合金の長さ(Lx)の20%〜30%だけ短くすることができる、請求項5に記載の合金変換方法。
  7. 第1のタイプ(B)の第2工程の間に実施される変形(R3)が、合金の長さ(Lx)を、第2のタイプ(A’)の第1工程を実施した後かつ第1のタイプ(B)のこの第2工程を実施する前に測定したこの合金の長さ(Lx)の20%〜30%だけ短くすることができる、請求項6に記載の合金変換方法。
  8. 第1のタイプ(C)の第3工程の間に実施される変形(R5)が、合金の長さ(Lx)を、第2のタイプ(B’)の第2工程を実施した後かつ第1のタイプ(C)のこの第3工程を実施する前に測定した合金の長さ(Lx)の15%〜20%だけ短くすることができる、請求項6又は7に記載の合金変換方法。
  9. 第2のタイプ(A’)の第1工程の間に実施される変形(E2)が、合金の長さ(Lx)を、第1のタイプ(A)の第1工程を実施した後かつ第2のタイプ(A’)のこの第1工程の間の長さ(Lx)の増大前に測定したこの合金の長さ(Lx)の20%〜30%だけ長くすることができる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の合金変換方法。
  10. 第2のタイプ(B’)の第2工程の間に実施される変形(E4)が、合金の長さ(Lx)を、第1のタイプ(B)の第2工程を実施した後かつ第2のタイプ(B’)のこの第2工程の間の長さ(Lx)の増大前に測定したこの合金の長さ(Lx)の20%〜30%だけ長くすることができる、請求項9に記載の合金変換方法。
  11. 第1のタイプ(C)の第1工程の後に第2のタイプ(C’)の第3工程を実施する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の合金変換方法。
  12. 第1のタイプ(B)の第2工程の後かつ第2のタイプ(C’)の第3工程の前に、合金の横断面での切断工程を実施し、ビレットと呼ばれる棒の形態の2つの細長い部分を取得する、請求項11に記載の合金変換方法。
  13. 第2のタイプの工程のそれぞれを、βトランザス温度(Tβ)−50℃から±15℃以内、好ましくは±5℃以内の第4の温度(T4)で実施する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の合金変換方法。
  14. 前記合金を、800℃から950℃の範囲に収まる、好ましくは900℃となるβトランザス温度(Tβ)を示すように選択する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の合金変換方法。
  15. 前記合金の選択が、
    第1の合金(Ti 10-2-3)(重量%で、以下の元素
    アルミニウム、Al 2.6%〜3.4%
    炭素、C ≦0.050%
    水素、H ≦0.015%
    鉄、Fe 1.6%〜2.2%
    窒素、N ≦0.050%
    酸素、O ≦0.013%
    チタン、Ti 83%〜86.8%
    バナジウム、V 9.0〜11%を含む)、
    第2のタイプの合金(Ti 5-5-5-3)(重量%で、以下の元素
    鉄、Fe 0.5%〜1.5%
    炭素、C 最大で0.1%
    ケイ素、Si 最大で0.15%
    クロム、Cr 0.5%〜1.5%
    モリブデン、Mo 4%〜5.5%
    バナジウム、V 4%〜5.5%
    窒素、N 最大で0.05%
    チタン、Ti 79.4%〜86.3%
    アルミニウム、Al 4.4%〜5.7%
    ジルコニウム、Zr 最大で0.3%
    酸素、O 最大で0.18%
    水素、H 最大で0.15%
    不純物 0.3%を含む)、
    第3のタイプの合金(Ti 5-5-5-3-1)(重量%で、以下の元素
    鉄、Fe 0.5%〜1.5%
    炭素、C 最大で0.1%
    ケイ素、Si 最大で0.15%
    クロム、Cr 0.5%〜1.5%
    モリブデン、Mo 4%〜5.5%
    バナジウム、V 4%〜5.5%
    窒素、N 最大で0.05%
    チタン、Ti 79.4%〜86.3%
    アルミニウム、Al 4.4%〜5.7%
    ジルコニウム、Zr 1%
    酸素、O 最大で0.18%
    水素、H 最大で0.15%
    不純物 0.3%を含む)、
    第4のタイプの合金(Ti18)(重量%で、以下の元素
    アルミニウム、Al 5.3%〜5.7%
    バナジウム、V 4.8%〜5.2%
    鉄、Fe 0.7%〜0.9%
    モリブデン、Mo 4.6%〜5.3%
    クロム、Cr 2.0%〜2.5%
    酸素、O 0.12%〜0.16%を含み、
    残部が少なくともチタンと不純物である)、
    第5の合金(重量%で、以下の元素
    チタン、Ti 少なくとも84%
    アルミニウム、Al 4%〜7.5%
    酸素、O 少なくとも0.1%
    炭素、C 少なくとも0.01%と、
    バナジウム、モリブデン、クロム、鉄から選択した少なくとも1種類の元素を含み、少なくとも0.1重量%のハフニウムとジルコニウムも追加して含む)からなされる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の合金変換方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の合金変換方法に従って変換された合金から製造された航空機着陸装置、例えばロッド、脚支柱、トラック。
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