JP2016023315A - チタン板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な強度と熱交換器用のプレートにプレス加工可能な高成形性とを兼ね備えたチタン板を提供する。【解決手段】Fe:0.020〜1.000質量%、O:0.020〜0.400質量%を含有し、残部がチタンおよび不可避的不純物からなり、α相の結晶粒組織を有するチタン板であって、α相の結晶粒は、アスペクト比が、平均値2.0以上、標準偏差0.70以上であり、円相当径が、平均値5μm以上100μm以下、最大値300μm以下であることを特徴とする。アスペクト比および粒径が比較的大きなブロック状の結晶粒が小さな結晶粒と混在するという結晶粒組織とすることにより、強度異方性が低減して、強度を有しつつ成形性が向上する。【選択図】なし

Description

本発明は、工業用純チタンからなるチタン板、特に成形加工を施されてプレート式熱交換器用プレートとして使用されるチタン板、およびその製造方法に関する。
一般に、チタン板は、比強度および耐食性に優れているので、化学、電力、食品製造プラント等の熱交換器用部材、カメラボディ、厨房機器等の民生品や、オートバイ、自動車等の輸送機器部材、家電機器等の外装材に使用されている。チタン板は、前記用途の中でも、近年適用が進みつつあるプレート式熱交換器に使用される場合、高い熱交換効率が要求されるため、表面積を増やすべくプレス成形によって波状に加工されて適用されている。そのため、熱交換器用のチタン板は、深い波目を付けるために優れた成形性が必要とされている。さらに、熱交換器用のチタン板は、熱交換器として必要とされる耐久性の向上や軽量化を実現するために、一定以上の強度が要求される。
前記の各種用途に多用される純チタン板は、JIS H4600の規格で規定され、Fe,O等の不純物濃度や強度等によってJIS1種、2種、3種等の等級があり、等級が増す程、強度が高くなり、用途に応じてそれらの使い分けがなされている。従来は、高い成形性が求められる部材には、強度で劣るものの延性が高いことから、FeやOの濃度が低いJIS1種の純チタン板(耐力165MPa以上)が用いられていた。しかし、近年は、熱交換器効率の向上に加えて、高強度化・軽量化の要求もますます増大している。この要求に応えるチタン板として、例えばJIS2種の純チタン板(耐力215MPa以上)が挙げられるが、このような純チタン板の強度レベルになると成形性が劣るため、熱交換器への適用が困難である。また、一般にチタン材料は、Fe,O等の不純物濃度を高くしたり、結晶粒微細化によって高強度化が図られるが、これらの方法では成形性が大きく低下する。
金属材料が成形されるためには塑性変形される必要があり、そのためには転位のすべり変形もしくは双晶変形が必要となる。しかしながら、純チタンは稠密六方晶(hcp構造)からなるα相の結晶粒組織を主体に構成され、bcc構造の鉄鋼材料やfcc構造のアルミニウムに比べて活動すべり系の数が少なく、また、複数のすべり系が容易に活動し難いとされ、塑性変形が難しい。このことから、成形性を向上させるためには、複数のすべり系/双晶系を活動させることが重要と考えられる。
そこで、例えば特許文献1には、α相の結晶粒の結晶粒径を大きくしてプレス成形時の変形双晶の頻度を増加させつつ、最終焼鈍後に圧下率0.7〜5%のスキンパス圧延を施して、集合組織(C軸のずれ角度)を調整して規定の蓄積ひずみ量とすることにより、耐力を保持したチタン板が提案されている。
特許第5385038号公報
しかしながら、前記の特許文献1は、スキンパス圧延を施すために、工程数が多くなるので生産性に劣り、改善の余地がある。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、耐力の高い強度と熱交換器に適用可能な高成形性とを兼ね備えたチタン板およびその製造方法を提供することが課題である。
本発明者らは、圧延方向と圧延幅方向とにおける各強度の差(強度異方性)を低減することにより、強度を確保しつつ成形性を向上させることに想到し、鋭意研究の結果、α相の結晶粒の形状を等軸粒状ではなくアスペクト比の高いブロック状にすることで、強度異方性が低減されることを見出した。
すなわち、本発明に係るチタン板は、Fe:0.020〜1.000質量%、O:0.020〜0.400質量%を含有し、残部がチタンおよび不可避的不純物からなり、α相の結晶粒組織を有するものであって、前記α相の結晶粒は、アスペクト比が、平均値2.0以上、標準偏差0.70以上であり、円相当径が、平均値5μm以上100μm以下、最大値300μm以下であることを特徴とする。さらに、本発明に係るチタン板は、N:0.050質量%以下、C:0.100質量%以下、Al:1.000質量%以下の少なくとも1種を含有していてもよく、また、板厚が0.05〜1.0mmであることが好ましい。
かかる構成のチタン板は、α相の結晶粒がアスペクト比の高いブロック状であることで、強度異方性が低く、強度が低下せずに成形性が向上し、強度と成形性のバランスが損なわれない。
本発明に係るチタン板の製造方法は、最終冷間圧延の後に、β変態点以上950℃未満に加熱して、0〜180秒間保持した後に、60℃/s以上で400℃以下まで冷却する最終焼鈍工程を行うことを特徴とする。
かかる手順により、最終焼鈍でβ相に変態させることで、その後の冷却時に形成されるα相の結晶粒が特定の形状および大きさのチタン板が得られる。
本発明に係るチタン板によれば、高い強度を有しつつ、プレート式熱交換器用プレートにプレス加工可能な高成形性を備えることができる。また、本発明に係るチタン板の製造方法によれば、前記効果を有するチタン板を安定して得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔チタン板〕
本発明に係るチタン板は、一般的な工業用純チタンが適用される、熱交換器用部材、輸送機器部材、家電機器等の外装材に用いることができ、特に強度と共に高い成形性が要求されるプレート式熱交換器用プレートに好適である。具体的には、本発明に係るチタン板は、圧延方向(RD)における0.2%耐力が170MPa以上であり、好ましくは200MPa以上であり、一方、好ましくは330MPa以下で、より好ましくは280MPa以下である。
(板厚:0.05〜1.0mm)
本発明に係るチタン板は、熱交換器用プレートとするために、板厚が0.05〜1.0mmであることが好ましい。チタン板は、板厚が0.05mm未満では、熱交換器用プレートとして実用的な強度が得難く、一方、チタン板は、板厚が1.0mmを超えると、成形時の変形抵抗が高くなって好ましくない上、コストが増大する。
本発明に係るチタン板は、α相の結晶粒組織を含有し、例えばJIS H 4600に規定される1〜4種の純チタンのような工業用純チタンに準じ、Fe:0.020〜1.000質量%、O:0.020〜0.400質量%を含有し、残部がチタンおよび不可避的不純物からなる。
(Fe:0.020〜1.000質量%、O:0.020〜0.400質量%)
チタン板は、Fe,Oの含有量が少ないと強度が低下する。また、FeやOの含有量が0.020質量%未満のチタン板を製造するためには高純度のスポンジチタンを原材料に適用することになり、コストが高くなる。したがって、Fe,Oの各含有量は0.020質量%以上とする。一方、Feを多く含有すると、インゴットの偏析が大きくなって生産性が低下する。そのため、Fe含有量は1.000質量%以下とし、0.250質量%以下が好ましく、0.120質量%以下がさらに好ましい。また、Oを多く含有すると、チタン板が脆くなって冷間圧延時の割れが生じ易くなり、生産性が低下し、また成形性が低下する。そのため、O含有量は0.400質量%以下とし、0.200質量%以下が好ましく、0.130質量%以下がより好ましく、0.100質量%以下がさらに好ましい。
本発明に係るチタン板は、Fe,O、およびTi(チタン)以外に、H,N,C,Al,Si,Cr,Ni等を不可避的不純物として含有してもよい。特に、N,C,Alは、不可避的不純物としての含有量を超えて添加されてもよく、本発明に係るチタン板は、N:0.050質量%以下、C:0.100質量%以下、Al:1.000質量%以下を含有することが好ましい。一方、H:0.005質量%以下、その他の元素:各0.1質量%以下であれば、本発明の効果を阻害するものではなく許容される。
(N:0.050質量%以下、C:0.100質量%以下、Al:1.000質量%以下)
N,C,Alは、いずれも不可避的不純物としての含有量を超えて添加されるとチタン板の強度を向上させ、さらにAlは耐熱性を向上させる。これらの効果を得るために、N,C,Alは、各0.001質量%以上であることが好ましい。一方、チタン板は、N,C,Alを過剰に含有すると、冷間圧延時の割れが生じ易くなり、生産性が低下する。特にCはチタン板を脆くするため、C含有量は0.100質量%以下とし、0.050質量%以下が好ましい。また、N含有量は0.050質量%以下とし、0.014質量%以下が好ましい。Al含有量は1.000質量%以下とし、0.400質量%以下がより好ましく、0.200質量%以下がさらに好ましい。
本発明に係るチタン板におけるα相の結晶粒は、アスペクト比が、平均値2.0以上、標準偏差0.70以上であり、円相当径が、平均値5μm以上100μm以下、最大値300μm以下である。
(α相結晶粒のアスペクト比:平均値2.0以上、標準偏差0.7以上)
チタン板は、通常、耐力等の強度が、圧延方向(RD)よりも圧延幅方向(TD)に大きい傾向がある。また、一般的に、純チタン材においては、α相結晶粒がアスペクト比の低い(1または1に近い)等軸粒状で存在し、また、粒径が微細かつ均一である(例えば特許文献1)。これに対して本発明に係るチタン板は、アスペクト比および粒径が比較的大きなブロック状の結晶粒が、方向性を持たずに複雑に入り組んで、相対的に小さな結晶粒と混在するという結晶粒組織を有し、α相結晶粒のアスペクト比が、平均で2.0以上、標準偏差が0.70以上となる。このような結晶粒組織とすることにより、本発明に係るチタン板は、圧延方向(RD)の強度が向上して圧延幅方向(TD)に近付き、その結果、強度異方性が低減して成形性が向上すると考えられる。α相結晶粒のアスペクト比は、平均で2.0未満、あるいは標準偏差が0.70未満では、アスペクト比の高いブロック状の結晶粒が不足して強度異方性が低減し難い。平均のアスペクト比は、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.4以上である。また、α相結晶粒のアスペクト比の標準偏差は、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。α相結晶粒のアスペクト比の上限は規定されないが、平均値20、標準偏差3.5をそれぞれ超えることは実現困難である。
(α相結晶粒の円相当径:平均値5μm以上100μm以下、最大値300μm以下)
本発明に係るチタン板は、α相の結晶粒組織におけるブロック状の結晶粒が過剰に大きくなると、延性が低下し易い。したがって、α相結晶粒の円相当径(結晶粒の断面と同じ面積の円の直径)は、平均で100μm以下、最大で300μm以下とする。α相結晶粒の円相当径は、平均で60μm以下が好ましく、一方、平均で5μm未満にすることは実現困難であることから、5μm以上とし、10μm以上が好ましい。また、α相結晶粒の円相当径は、最大で250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
前記のα相の結晶粒の形状および大きさは、後記するように、製造において最終焼鈍条件を制御することで得られる。また、前記のα相の結晶粒の形状および大きさは、チタン板における任意の断面におけるものであり、板材であることから、チタン板の圧延面に平行な面を観察することにより測定することができる。具体的には、チタン板の表面(板面)を研磨して観察面とし、この面に走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子後方散乱回折(Electron Backscatter Diffraction:EBSD)法にてEBSDパターンを測定、解析し、方位差10°以上の境界を結晶粒界と認識して、この結晶粒界で囲まれた領域を結晶粒とする。
〔チタン板の製造方法〕
本発明に係るチタン板は、従来のチタン板と同様に、公知の方法にて、インゴットを分塊圧延し、熱間圧延、焼鈍、および冷間圧延を行って所望の板厚とし、さらに以下に説明する所定の最終焼鈍を行って製造される。
まず、従来公知の方法で、鋳塊(インゴット(工業用純チタン))を製造し、この鋳塊を分塊鍛造または分塊圧延する。例えば、まず、所定成分の原料を消耗電極式真空アーク溶解法(VAR法)や電子ビーム溶解法により溶解した後、鋳造してチタン鋳塊を得る。この鋳塊を所定の大きさのブロック形状に分塊鍛造(熱間鍛造)する。Fe等の成分については前記の通りである。このブロック形状にした鋳塊を、例えば700〜1050℃に加熱して熱間圧延を行って熱延板を得る。
熱延板を600〜850℃で保持して焼鈍した後に、冷間圧延を行って所望の板厚の冷延板を得る。冷間圧延による総圧下率(熱間圧延板に対する加工率)は20〜98%とすることが好ましい。なお、冷間圧延の途中で、前記冷間圧延前と同様の焼鈍(中間焼鈍)を行ってもよい。この場合は、中間焼鈍後における冷間圧延(最終冷間圧延)のみでの圧下率が20〜70%程度とすることが好ましく、また、冷間圧延前の焼鈍は行わなくてもよい。冷間圧延前および中間の各焼鈍は、大気、真空、Ar等の不活性ガス、還元性ガスのいずれの雰囲気でもよく、また、バッチ炉、連続炉のいずれで行うこともできる。また、特に大気雰囲気で焼鈍(大気焼鈍)した場合は、チタン板(熱延板)表面にスケールが付着しているので、次工程(中間焼鈍であれば後続の冷間圧延)の前に、スケール除去工程として、例えばソルト熱処理、酸洗処理等を行う。
本発明に係るチタン板は、冷間圧延後に、最終焼鈍工程を所定の条件で行うことにより、α相の結晶粒組織を前記にて規定されたものとすることができる。以下、本発明に係るチタン板の製造方法における最終焼鈍工程について説明する。
(最終焼鈍)
本発明に係るチタン板は、最終焼鈍において、温度および時間を調整して、α相の結晶粒径およびアスペクト比を制御することが好ましい。そのために、焼鈍温度はβ変態点(Tβ)以上950℃未満とする。β変態点とは、チタン板(冷延板)の全体(100%)がβ相となる最低温度であり、チタンの組成(Fe含有量等)によって変化する。先行の冷間圧延前および中間の焼鈍においては、前記した通り、純チタン材の一般的な焼鈍条件で、再結晶が進行する600℃以上で、かつβ変態点未満の850℃以下である。このように、β相の分率を増大させないことで、α相の結晶粒の成長が阻害されずに等軸粒状に成長する。これに対して最終焼鈍においては、β変態点以上すなわちβ単相域に加熱することにより、冷延板の全体をβ相に変態させる。その後に、後記条件で冷却することで、β相からα相に変態する際にアスペクト比の高い結晶粒に成長させる。ただし、β単相域において温度が高いほどβ相の結晶粒の成長が促進され、950℃以上になると粗大化し、これに伴い、その後に形成されるα相の結晶粒も粗大化する。また、前記焼鈍温度での保持時間が長くなるにしたがい、β相の結晶粒が大きくなり、180秒間を超えると粗大化する。したがって、最終焼鈍工程における焼鈍温度(保持温度)はβ変態点以上950℃未満とし、この温度範囲での保持時間は0〜180秒間とする。なお、保持時間の下限が0秒間とは、冷延板を加熱してβ変態点に到達したら直ちに冷却してもよいということである。最終焼鈍は、大気、真空、不活性ガス、還元性ガスのいずれの雰囲気でもよい。なお、大気焼鈍した場合は、冷却後に、前記したようにスケール除去工程を行うことが好ましい。
最終焼鈍後の冷却速度が緩やかであると、β相からα相に変態する際に、結晶粒が等軸粒状に成長し易い。したがって、前記条件の最終焼鈍後に、60℃/s以上で冷却する。前記の冷却速度は、400℃以下になるまでとし、さらなる冷却における速度は特に規定しない。このような急速冷却を行うために、最終焼鈍は連続炉で行うことが好ましい。なお、冷却速度の上限は規定されないが、設備能力上、1000℃/sを超える冷却は困難である。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例によって制限を受けるものではなく、請求項に示した範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〔試験材作製〕
純チタン(JIS H4600)鋳塊、および純チタン鋳塊にN等を添加して、VAR法により溶解し、鋳造して、表1に示す組成のチタン鋳塊を得た。このチタン鋳塊を、分塊鍛造(熱間鍛造)して熱間圧延を施して、板厚4.0mmの熱延板とした。熱延板の表面のスケールを除去し、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を施し、板厚0.50mmの冷延板を得た。冷延板に表1に示す条件で最終焼鈍を施し、ソルトバス処理および酸洗による脱スケール処理を行い、板厚0.45mmの試験材を得た。また、試験材の組成に基づき、β変態点(Tβ)を熱力学計算ソフト「ThermoCalc」を用いて算出し、表1に併記する。
(α相の結晶粒の測定)
試験材の表面(板面)を研磨して、板厚1/2部(板厚中心部)の圧延面において、0.8mm角(圧延方向、圧延幅方向に各0.8mm)の領域を、EBSDによる組織観察を行った。EBSD測定は、FE−SEMおよびEBSD検出器を使用した。測定データについて、EBSDデータ解析ソフトを用いて解析し、方位差10°以上の境界を結晶粒界と設定して、各結晶粒のアスペクト比および円相当径を算出した。アスペクト比の平均値および標準偏差、ならびに円相当径の平均値および最大値を表1に示す。
〔評価〕
(成形性、延性)
試験材から、JISZ2201に規定される13号試験片を、荷重軸と圧延方向(RD)または圧延幅方向(TD)とがそれぞれ一致する方向に採取した。室温でJIS H4600に基づいて引張試験を実施して、圧延方向と圧延幅方向における0.2%耐力(YSR,YST)、および圧延方向における破断伸び(EL)を測定した。圧延方向における0.2%耐力(YSR)および破断伸び(EL)、また、強度異方性としてYST/YSRを算出し、それぞれ表1に示す。また、YSR,ELを無次元化した値(無次元数、[YSR],[EL]で表す)から下式(1)に基づいて強度延性指標Hを算出し、表1に示す。合格基準は、圧延方向における0.2%耐力(YSR)が170MPa以上、YST/YSRが1.15以下、Hが正(>0)とした。
H=[EL]−(65−0.15×[YSR]) ・・・(1)
Figure 2016023315
表1に示すように、試験材No.1〜10は、α相の結晶粒のアスペクト比および円相当径が本発明の範囲内であり、強度異方性が低く、十分な強度と成形性を有していた。
これに対して、試験体No.11〜15は、試験材No.1〜5とそれぞれ同一の組成でありながら最終焼鈍条件が本発明の範囲外であり、その結果、α相の結晶粒のアスペクト比および円相当径が本発明の範囲外になった比較例である。試験体No.11,14は、β変態点未満で最終焼鈍を行ったため、α相の結晶粒が等軸粒状に成長し、0.2%耐力が主に圧延幅方向(TD)に増大して強度異方性が高くなった。試験体No.12,15は最終焼鈍温度が高過ぎ、また、試験体No.13は最終焼鈍における保持時間が長過ぎたために、それぞれα相の結晶粒が粗大化し、その結果、破断伸びが低下し、あるいはさらに0.2%耐力が増大して、これに伴い延性が低下した。

Claims (4)

  1. Fe:0.020〜1.000質量%、O:0.020〜0.400質量%を含有し、残部がチタンおよび不可避的不純物からなり、α相の結晶粒組織を有するチタン板であって、
    前記α相の結晶粒は、アスペクト比が、平均値2.0以上、標準偏差0.70以上であり、円相当径が、平均値5μm以上100μm以下、最大値300μm以下であることを特徴とするチタン板。
  2. さらに、N:0.050質量%以下、C:0.100質量%以下、Al:1.000質量%以下の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のチタン板。
  3. 板厚が0.05〜1.0mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチタン板。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のチタン板を製造する方法であって、
    最終冷間圧延の後に、β変態点以上950℃未満に加熱して、0〜180秒間保持した後に、60℃/s以上で400℃以下まで冷却する最終焼鈍工程を行うことを特徴とするチタン板製造方法。
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