JP2016039057A - 燃料電池モジュール - Google Patents

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直樹 渡邉
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Shuhei Tanaka
修平 田中
暢夫 井坂
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Takuya Hoshiko
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Abstract

【課題】改質部の温度ムラを抑制することができる燃料電池モジュールを提供する。【解決手段】本発明は、燃料電池モジュール(2)であって、燃料電池セル(16)と、これらが内部に立設された発電室(10)と、この発電室を取り囲むように、燃料電池セルと概ね平行に延びる第1燃料ガス通路(20b)と、この第1燃料ガス通路の内側に沿って形成され、第1燃料ガス通路を通過した燃料ガスが流入される第2燃料ガス通路(20a)と、第1燃料ガス通路を取り囲むように設けられ、第1燃料ガス通路との間で熱交換可能に構成された排気ガス通路(21)と、第1燃料ガス通路の内部に改質用触媒を配置することにより構成された第1改質部(94a)と、第2燃料ガス通路の内部に改質用触媒を配置することにより構成され、第1改質部との間で熱交換可能に配置された第2改質部(94b)と、を有することを特徴としている。【選択図】図2

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池モジュールに関し、特に、燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュールに関する。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
特開2013−171740号公報(特許文献1)には、燃料電池装置が記載されている。この燃料電池装置においては、立設された複数の燃料電池セルの周囲を取り囲むように、燃料ガスを導くための環状の燃料ガス通路が設けられている。さらに、この燃料ガス通路の内部に水蒸気改質用の改質触媒を配置することにより改質部が構成されている。この改質部は、各燃料電池セルの上端部から中間部付近までを取り囲むように配置されている。一方、各燃料電池セルにおいて発電に使用されずに残った燃料ガスは各燃料電池セルの上端から流出し、そこで燃焼される。各燃料電池セルを取り囲むように配置された改質部は、各燃料電池セルの上端から流出した燃料ガスの燃焼熱により加熱される。
特開2013−171740号公報
しかしながら、特開2013−171740号公報記載の燃料電池装置においては、燃料電池セルを取り囲む改質部が、縦方向に長く分布して設けられているため、改質部の入口付近と出口付近で温度差が生じやすいという問題がある。さらに、改質部は、主として各燃料電池セルの上端部で燃料ガスを燃焼させた燃焼熱によって加熱されるため、この燃焼部に近い改質部の上端部と、下端部では温度差が大きくなりやすい。このように、改質部内で温度ムラが発生すると、温度の低い部分では十分な改質反応を発生させることができなくなり、改質部における改質性能が低下するという問題がある。さらに、改質部に温度ムラが発生すると、これにより取り囲まれた各燃料電池セルにも温度ムラが発生してしまい、燃料電池セルに悪影響を与えるという問題も発生する。
従って、本発明は、改質部の各部における温度ムラを抑制することができる燃料電池モジュールを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュールであって、燃料ガスと酸化剤ガスを反応させる複数の固体酸化物型燃料電池セルと、これら複数の固体酸化物型燃料電池セルが内部に立設された発電室と、この発電室の少なくとも一部を取り囲むように、複数の固体酸化物型燃料電池セルと概ね平行に延びる第1燃料ガス通路と、この第1燃料ガス通路の内側に沿って形成され、第1燃料ガス通路を通過した燃料ガスを流入させ、流出した燃料ガスが複数の固体酸化物型燃料電池セルに導かれる第2燃料ガス通路と、第1燃料ガス通路の少なくとも一部を取り囲むように設けられ、第1燃料ガス通路との間で熱交換可能に構成された排気ガス通路と、第1燃料ガス通路の内部に、燃料ガスを水蒸気改質する改質用触媒を配置することにより構成された第1改質部と、第2燃料ガス通路の内部に改質用触媒を配置することにより構成され、第1改質部との間で熱交換可能に配置された第2改質部と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、複数の固体酸化物型燃料電池セルが発電室内に立設されており、この発電室の少なくとも一部を取り囲むように第1燃料ガス通路が形成されている。第1燃料ガス通路内に改質用触媒を配置することにより第1改質部が構成され、第1燃料ガス通路を通過した燃料ガスが流入する第2燃料ガス通路に改質用触媒を配置することにより第2改質部が構成される。第1改質部は、第1燃料ガス通路の少なくとも一部を取り囲むように設けられた排気ガス通路を流れる排気ガスにより加熱される。第1改質部及び第2改質部を通過し、改質された燃料ガスが、各固体酸化物型燃料電池セルに導かれる。
このように構成された本発明によれば、発電室の少なくとも一部を取り囲むように構成した第1燃料ガス通路、第2燃料ガス通路に改質用触媒を夫々配置することにより、改質部を形成しているので、専用の改質器を設ける必要がなく、燃料電池モジュールを小型化することができる。また、固体酸化物型燃料電池セルを収容した発電室を取り囲むように改質器を設けているので、各燃料電池セルの熱ムラを抑制することができる。
一方、改質部を、固体酸化物型燃料電池セルと概ね平行に延びる燃料ガス通路内に縦方向に構成することにより、改質部の上部と下部で温度ムラが発生しやすいという新たな技術課題が見出された。本発明によれば、第1改質部と、第1改質部から流出した燃料ガスが流入する第2改質部とを、熱交換可能に配置することにより、この技術課題を解決した。即ち、第1改質部において多くの水蒸気改質反応が発生し、過剰な温度低下が発生した場合には、これと熱交換可能に配置された第2改質部の温度も低下する。第2改質部の温度が大きく低下すると、水蒸気改質反応により発生した水素ガスが、第2改質部において発熱反応であるメタネーション反応する。このメタネーション反応により発生した熱が、第2改質部から第1改質部に伝導され、第1改質部における温度低下が補償される。これにより、改質部の各部における温度ムラを抑制することができると共に、温度ムラに起因する改質用触媒の劣化を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、発電室内には、複数の固体酸化物型燃料電池セルにおいて発電に使用されずに残った燃料ガスを燃焼させる燃焼部が設けられ、第2改質部は、その上部が燃焼部の少なくとも一部を取り囲むように配置されている。
このように構成された本発明によれば、第1改質部が排気ガス通路を流れる排気ガスにより加熱される一方、第2改質部は燃焼部の燃焼熱によって加熱されるので、第1、第2改質部の温度を速やかに上昇させることができる。また、第2改質部の下部において過剰な温度低下が発生した場合には、メタネーション反応により、その部分の温度を上昇させることができる。
本発明において、好ましくは、第1燃料ガス通路の少なくとも一部を取り囲む排気ガス通路は上方から下方に向けて排気ガスを導き、第1燃料ガス通路は下方から上方に向けて燃料ガスを導き、第2燃料ガス通路は上方から下方に向けて燃料ガスを導く。
このように構成された本発明によれば、第1燃料ガス通路内の第1改質部と、第2燃料ガス通路内の第2改質部が熱交換可能な配置をコンパクトな構成で実現することができる。また、第1改質部の入口と第2改質部の出口を隣接させた構成を容易に実現することができるので、メタネーション反応によって発生した熱を、温度低下が発生しやすい第1改質部の入口部分に、効果的に伝導させることができる。
本発明の燃料電池モジュールによれば、改質部の各部における温度ムラを抑制することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池モジュールを備えた固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池モジュールに内蔵されている燃料電池セル収容容器の断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池モジュールに内蔵されている燃料電池セル収容容器の主な部材を分解して示した断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池モジュールに内蔵されている排気集約室の部分を拡大して示す断面図である。 図2におけるV−V断面である。 本発明の一実施形態による燃料電池モジュールの改質部付近を拡大して示す断面図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による燃料電池モジュールを備えた固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池モジュールを備えた固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)1は、本発明の一実施形態による燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、外側断熱材7を介して燃料電池セル収容容器8が配置されている。この燃料電池セル収容容器8内の内部には発電室10が構成され、この発電室10の中には複数の燃料電池セル16が同心円状に立設されており、これらの燃料電池セル16により、燃料ガスと酸化剤ガスである空気の発電反応が行われる。
各燃料電池セル16の上端部には、排気集約室18が取り付けられている。各燃料電池セル16において発電反応に使用されずに残った残余の燃料(オフガス)は、上端部に取り付けられた排気集約室18に集められ、この排気集約室18の上部に設けられた複数の噴出口から流出される。流出した燃料は、発電室10内で発電に使用されずに残った空気により燃焼され、排気ガスが生成されるようになっている。
本発明の実施形態による燃料電池モジュール2においては、燃料電池セル16として、固体酸化物を用いた円筒横縞型セルが採用されている。各燃料電池セル16上には、複数の単セルが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16が構成されている。各燃料電池セル16は、その一端がアノード(陽極)、他端がカソード(陰極)となるように構成され、複数の燃料電池セル16のうちの半数は上端がアノード、下端がカソードとなるように配置され、残りの半数は上端がカソード、下端がアノードとなるように配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この純水タンクから供給される水の流量を調整する水供給装置である水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された炭化水素系の原燃料ガスの流量を調整する燃料供給装置である燃料ブロア38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
なお、燃料ブロア38を通過した原燃料ガスは、燃料電池モジュール2内に配置された脱硫器36を介して外側燃料ガス供給流路20b(図2)に供給される。また、脱硫器36においては、原燃料ガスに水素ガスを添加しておくことにより、原燃料ガス中の硫黄成分を除去することができる。このため、補機ユニット4には、原燃料ガスに水素ガスを添加するための凝縮器33、オリフィス34及び電磁弁35が内蔵されている。これらの構成及び作用については後述する。
また、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気の流量を調整する酸化剤ガス供給装置である空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)を備えている。
さらに、補機ユニット4には、燃料電池モジュール2からの排気ガスの熱を回収するための温水製造装置50が備えられている。この温水製造装置50には、水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュール2により発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による燃料電池モジュール2に内蔵された燃料電池セル収容容器の内部構造を説明する。図2は燃料電池モジュール2の断面図であり、図3は燃料電池セル収容容器の主な部材を分解して示した断面図である。
図2に示すように、燃料電池セル収容容器8内の空間には、複数の燃料電池セル16が同心円状に配列され、その周囲を取り囲むように第2燃料ガス通路である内側燃料ガス供給流路20a、第1燃料ガス通路である外側燃料ガス供給流路20b、排気ガス通路である排ガス排出流路21、酸化剤ガス供給流路22が順に同心円状に形成されている。
まず、図2に示すように、燃料電池セル収容容器8は、概ね円筒状の密閉容器であり、その側面には、発電用の空気を供給する酸化剤ガス流入口である酸化剤ガス導入パイプ56が接続され、底面には、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58が接続されている。
図2及び図3に示すように、燃料電池セル収容容器8の内部には、燃料電池セル16の周囲を取り囲むように、内側から順に、発電室構成部材である内側円筒部材64、中間円筒部材65、外側円筒部材66、内側円筒容器68、外側円筒容器70が配置されている。上述した内側燃料ガス供給流路20a、外側燃料ガス供給流路20b、排ガス排出流路21、及び酸化剤ガス供給流路22は、これらの円筒部材及び円筒容器の間に夫々構成される流路であり、隣り合う流路の間で熱交換が行われる。即ち、内側燃料ガス供給流路20aは発電室10を取り囲むように配置され、外側燃料ガス供給流路20bは内側燃料ガス供給流路20aを取り囲むように配置され、排ガス排出流路21は外側燃料ガス供給流路20bを取り囲むように配置され、酸化剤ガス供給流路22は排ガス排出流路21を取り囲むように配置されている。また、燃料電池セル収容容器8の下端側の空間には、排ガス排出流路21によって導かれた排気ガスが流入する排気ガス室23が設けられている。
内側円筒部材64は、概ね円筒状の中空体であり、その上端及び下端は開放されている。また、内側円筒部材64の内壁面には、分散室形成板である円形の第1固定部材63が気密的に溶接されている。この第1固定部材63の下面と、内側円筒部材64の内壁面と、分散室底部材72の上面により、燃料ガス分散室76が画定される。また、第1固定部材63には、各々燃料電池セル16を挿通させる複数の挿通穴63aが形成されており、各燃料電池セル16は、各挿通穴63aに挿通された状態で、セラミック接着剤により第1固定部材63に接着されている。このように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池モジュール2を構成する部材間相互の接合部には、セラミック接着剤が充填され、硬化されることにより、各部材が相互に気密的に接合されている。
外側円筒部材66は、内側円筒部材64の周囲に配置される円筒状の管であり、内側円筒部材64との間に円環状の流路が形成されるように、内側円筒部材64と概ね相似形に形成されている。さらに、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間には中間円筒部材65が配置されている。中間円筒部材65は、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間に配置された円筒状の管である。また、中間円筒部材65の内周面と内側円筒部材64の外周面の間の円環状の空間は第2燃料ガス通路である内側燃料ガス供給流路20aとして機能し、外側円筒部材66の内周面と中間円筒部材65の外周面の間の円環状の空間は第1燃料ガス通路である外側燃料ガス供給流路20bとして機能する。外側燃料ガス供給流路20b内の上部には、原燃料ガスを水蒸気改質するための改質用触媒が配置され、第1改質部94aが構成されている。また、内側燃料ガス供給流路20a内の上部にも改質用触媒が配置され、第2改質部94bが構成されている。このため、内側燃料ガス供給流路20a及びその中に設けられた第2改質部94bは燃料電池セル16における発熱、及び排気集約室18上端における残余燃料の燃焼により熱を受ける。また、外側燃料ガス供給流路20b及びその中に設けられた第1改質部94aは、残余燃料の燃焼により生成された燃焼ガスが流れる排ガス排出流路21により熱を受ける。なお、内側円筒部材64の上端部と外側円筒部材66の上端部は溶接により気密的に接合されており、内側燃料ガス供給流路20aと外側燃料ガス供給流路20bは、上端で折り返すように連結されている。さらに、中間円筒部材65の下端と、内側円筒部材64の外周面は、溶接により気密的に接合されている。
内側円筒容器68は、外側円筒部材66の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、外側円筒部材66との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が外側円筒部材66と概ね相似形に形成されている。この内側円筒容器68は、内側円筒部材64の上端の開放部を覆うように配置される。外側円筒部材66の外周面と、内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間は、排ガス排出流路21(図2)として機能する。この排ガス排出流路21は、内側円筒部材64の上端部に設けられた複数の小穴64aを介して内側円筒部材64の内側の空間と連通している。また、外側円筒部材66の下部内周面と、内側円筒部材64の下部外周面を接続するように、排気ガス横断通路23aが設けられている。この排気ガス横断通路23aにより、外側燃料ガス供給流路20bを横断して、排ガス排出流路21と排気ガス室23が連通される。
排ガス排出流路21の下部には、燃焼触媒器60及びこれを加熱するためのヒーターであるシースヒーター61が配置されている。
燃焼触媒器60は、排気ガス横断通路23aよりも上方に、外側円筒部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒器60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排気ガス横断通路23aを通って排気ガス室23に流入する。
シースヒーター61は、燃焼触媒器60の下方の、外側円筒部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物型燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、その近傍に配置されている燃焼触媒器60が活性温度まで加熱される。
外側円筒容器70は、内側円筒容器68の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、内側円筒容器68との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が内側円筒容器68と概ね相似形に形成されている。内側円筒容器68の外周面と、外側円筒容器70の内周面の間の円環状の空間は、酸化剤ガス供給流路22として機能する。また、外側円筒容器70の下部側面には、酸化剤ガス導入パイプ56が接続されており、酸化剤ガス供給流路22が酸化剤ガス導入パイプ56に連通される。
分散室底部材72は、概ね円形の皿状の部材であり、内側円筒部材64の内壁面にセラミック接着剤により気密的に固定される。これにより、第1固定部材63と分散室底部材72の間に、燃料ガス分散室76が構成される。また、分散室底部材72の中央には、バスバー80(図2)を挿通させるためのバスバー通路である挿通管72aが設けられている。各燃料電池セル16に電気的に接続されたバスバー80は、この挿通管72aを通して燃料電池セル収容容器8の外部に引き出される。また、挿通管72aには、セラミック接着剤が充填されることにより、バスバー80が固定され、燃料ガス分散室76の気密性が確保されている。また、セラミック接着剤は断熱性が高いため、燃料ガス分散室76から、挿通管72aを介した熱の流失も抑制することができる。
さらに、内側円筒部材64の内周面、分散室底部材72の底面、及び挿通管72aの外周面によって画定される円環状の空間は、排気ガス室23として利用される。この排気ガス室23には、その側面上部に排気ガス横断通路23aが接続され、排気ガスが導入される。また、排気ガス室23の底面には、排ガス排出パイプ58が接続され、この排ガス排出パイプ58を通して排気ガスが燃料電池モジュール2の外部へ排出される。
図2に示すように、内側円筒部材64の内周面、分散室底部材72の底面、及び挿通管72aの外周面によって画定される円環状の空間内には断熱材が配置されている。この断熱材は、燃料ガス分散室76(分散室底部材72の底面)に沿って配置された断熱材板状部73aと、この断熱材板状部73aから挿通管72aの周囲を取り囲むように延びる断熱材突出部73bから構成されている。これらの断熱材板状部73a及び断熱材突出部73bは、燃料ガス分散室76と排気ガス室23との間を断熱するように配置されている。
また、排気ガス室23内には、断熱材突出部73bを取り囲むように、水添脱硫器である脱硫器36が配置されている。この脱硫器36は、排気ガス室23に導入される排気ガスにより、触媒作用が可能な温度に加熱される。
一方、内側円筒容器68の天井面から垂下するように、円形断面の酸化剤ガス噴射用パイプ74が取り付けられている。この酸化剤ガス噴射用パイプ74は、内側円筒容器68の中心軸線上を鉛直方向に延び、その周囲の同心円上に各燃料電池セル16が配置される。酸化剤ガス噴射用パイプ74の上端が内側円筒容器68の天井面に取り付けられることにより、内側円筒容器68と外側円筒容器70の間に形成されている酸化剤ガス供給流路22と酸化剤ガス噴射用パイプ74が連通される。酸化剤ガス供給流路22を介して供給された空気は、酸化剤ガス噴射用パイプ74の先端から下方に噴射され、第1固定部材63の上面に当たって、発電室10内全体に広がる。
燃料ガス分散室76は、第1固定部材63と分散室底部材72の間に構成される円筒形の気密性のあるチャンバーであり、その上面に各燃料電池セル16が林立されている。第1固定部材63の上面に取り付けられた各燃料電池セル16は、その内側の燃料極が、燃料ガス分散室76の内部と連通されている。各燃料電池セル16の下端部は、第1固定部材63の挿通穴63aを貫通して燃料ガス分散室76の内部に突出し、各燃料電池セル16は第1固定部材63に、接着により固定されている。
図2に示すように、内側円筒部材64には、第1固定部材63よりも下方に複数の小穴64bが設けられている。内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間は、複数の小穴64bを介して燃料ガス分散室76内に連通されている。供給された燃料は、外側円筒部材66の内周と中間円筒部材65の外周の間の空間を一旦上昇した後、内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間を下降し、複数の小穴64bを通って燃料ガス分散室76内に流入する。燃料ガス分散室76に流入した燃料は、燃料ガス分散室76の天井面(第1固定部材63)に取り付けられた各燃料電池セル16の燃料極に分配される。
さらに、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16の下端部は、燃料ガス分散室76内でバスバー80に電気的に接続され、挿通管72aを通して電力が外部に引き出される。バスバー80は、各燃料電池セル16により生成された電力を、燃料電池セル収容容器8の外部へ取り出すための細長い金属導体であり、碍子78を介して分散室底部材72の挿通管72aに固定されている。バスバー80は、燃料ガス分散室76の内部において、各燃料電池セル16に取り付けられた集電体82と電気的に接続されている。また、バスバー80は、燃料電池セル収容容器8の外部において、インバータ54(図1)に接続される。なお、集電体82は、排気集約室18内に突出している各燃料電池セル16の上端部にも取り付けられている(図4)。これら上端部及び下端部の集電体82により、複数の燃料電池セル16が電気的に並列に接続されると共に、並列に接続された複数組の燃料電池セル16が電気的に直列に接続され、この直列接続の両端が夫々バスバー80に接続される。
次に、図4及び図5を参照して、排気集約室の構成を説明する。
図4は排気集約室の部分を拡大して示す断面図であり、図5は、図2におけるV−V断面である。
図4に示すように、排気集約室18は、各燃料電池セル16の上端部に取り付けられたドーナツ型断面のチャンバーであり、この排気集約室18の中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74が貫通して延びている。
図5に示すように、内側円筒部材64の内壁面には、排気集約室18支持用の3つのステー64cが等間隔に取り付けられている。図4に示すように、各ステー64cは金属製の薄板を折り曲げた小片であり、排気集約室18を各ステー64cの上に載置することにより、排気集約室18は内側円筒部材64と同心円上に位置決めされる。これにより、排気集約室18の外周面と内側円筒部材64の内周面の間の隙間、及び排気集約室18の内周面と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面との間の隙間は、全周で均一になる(図5)。
排気集約室18は、集約室上部材18a及び集約室下部材18bが気密的に接合されることにより構成されている。
集約室下部材18bは、上方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための円筒部が設けられている。
集約室上部材18aは、下方が開放された段付き円形カップ状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための開口部が設けられている。集約室上部材18aの下部は、集約室下部材18bの上方に開口したドーナツ型断面の領域に嵌め込まれる形状に構成されている。
集約室下部材18bの周囲の壁の内周面と集約室上部材18aの外周面の間の隙間にはセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、大径シールリング19aが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。大径シールリング19aは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
一方、集約室下部材18b中央の円筒部の外周面と、集約室上部材18a中央の開口部の縁の間にもセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、小径シールリング19bが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。小径シールリング19bは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
集約室下部材18bの底面には複数の円形の挿通穴18cが設けられている。各挿通穴18cには燃料電池セル16の上端部が夫々挿通され、各燃料電池セル16は各挿通穴18cを貫通して延びている。各燃料電池セル16が貫通している集約室下部材18bの底面上にはセラミック接着剤が流し込まれ、これが硬化されることにより、各燃料電池セル16の外周と各挿通穴18cの間の隙間が気密的に充填されると共に、各燃料電池セル16が集約室下部材18bに固定されている。
さらに、集約室下部材18bの底面上に流し込まれたセラミック接着剤の上には、円形薄板状のカバー部材19cが配置され、セラミック接着剤の硬化により集約室下部材18bに固定されている。カバー部材19cには、集約室下部材18bの各挿通穴18cと同様の位置に複数の挿通穴が設けられており、各燃料電池セル16の上端部はセラミック接着剤の層及びカバー部材19cを貫通して延びている。
一方、集約室上部材18a上段の側面には、排気集約室18内に集約された燃料ガスを噴出させるための複数の噴出口18dが設けられている(図4)。各噴出口18dは、集約室上部材18a上段の側面に、等間隔に配置されている。発電に使用されずに残った燃料は、各燃料電池セル16の上端から排気集約室18内に流出し、排気集約室18内で集約された燃料は各噴出口18dから流出し、そこで燃焼される。従って、この発電室10上方の排気集約室18の周囲の空間は燃焼部10aとして機能する(図4)。
次に、図2を参照して、燃料供給源30から供給される原燃料ガスを改質するための構成について説明する。
まず、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間の空間で構成されている外側燃料ガス供給流路20bの下部には、水蒸気改質用の水蒸気を生成するための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側円筒部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から構成されている。また、蒸発部86は、排ガス排出流路21内に配置されたシースヒーター61と、排気ガス室23内に配置された断熱材板状部73aとの間に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側円筒部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側円筒部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
水供給パイプ88は内側円筒部材64の下端から外側燃料ガス供給流路20b内に鉛直方向に延びるパイプであり、水流量調整ユニット28から供給された水蒸気改質用の水が、水供給パイプ88を介して蒸発部86に供給される。水供給パイプ88の上端は、傾斜板86aを貫通して傾斜板86aの上面側まで延び、傾斜板86aの上面側に供給された水は、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面の間に留まる。傾斜板86aの上面側に供給された水は、そこで蒸発され水蒸気が生成される。
また、蒸発部86の下方には、原燃料ガスを外側燃料ガス供給流路20b内に導入するための燃料ガス導入部が設けられている。燃料ブロア38から送られた原燃料ガスは、脱硫器36及び燃料ガス供給パイプ90を介して外側燃料ガス供給流路20bに導入される。燃料ガス供給パイプ90は内側円筒部材64の下端から外側燃料ガス供給流路20b内に鉛直方向に延びるパイプである。また、燃料ガス供給パイプ90の上端は、傾斜板86aよりも下方に位置している。燃料ガス供給パイプ90から流出した原燃料ガスは、傾斜板86aの下側に導入され、傾斜板86aの傾斜により流路を絞られながら傾斜板86aの上側へ上昇する。傾斜板86aの上側へ上昇した原燃料ガスは、蒸発部86で生成された水蒸気と共に上昇しながら、十分に混合される。
さらに、中間円筒部材65の上部、外周側の円環状の空間には、第1改質部94aが設けられている。第1改質部94aは、各燃料電池セル16の上部と、その上方の排気集約室18の周囲を取り囲むように配置されている。第1改質部94aは、中間円筒部材65の外壁面に取り付けられた触媒保持板(図示せず)と、これにより保持された改質用触媒96によって構成されている。
同様に、中間円筒部材65の上部、内周側の円環状の空間には、第2改質部94bが設けられている。第2改質部94bは、各燃料電池セル16の上部と、その上方の排気集約室18の周囲を取り囲むように配置されている。第2改質部94bは、中間円筒部材65の内壁面に取り付けられた触媒保持板(図示せず)と、これにより保持された改質用触媒96によって構成されている。
このように、第1改質部94aと第2改質部94bは、中間円筒部材65の上部を挟んで対向するように配置されており、第1改質部94aと第2改質部94bの間では、中間円筒部材65を介して熱交換が行われる。
また、外側燃料ガス供給流路20b内を上昇してきた原燃料ガスと水蒸気の混合ガスは、第1改質部94a内に流入し、水蒸気改質されながら上昇する。次いで、第1改質部94aの上端から流出した混合ガスは、外側燃料ガス供給流路20bと内側燃料ガス供給流路20aが連通されている燃料ガス供給流路の上端部で折り返し、第2改質部94bに流入する。第2改質部94b内を下降した混合ガスは、第2改質部94bの下端から流出した後、内側燃料ガス供給流路20a内を更に下降する。
混合された原燃料ガス及び水蒸気が、第1改質部94a、第2改質部94b内に充填された改質用触媒96に接触すると、水蒸気改質反応SRが進行し、水素が豊富に含まれる燃料ガスに改質される。改質された燃料ガスは、中間円筒部材65の内周と内側円筒部材64の外周の間の空間を下方に流れ、燃料ガス分散室76に流入して、各燃料電池セル16に供給される。第1改質部94a、第2改質部94b内における改質反応については後述する。
次に、図1及び図2を参照して、原燃料ガスに水素ガスを添加するための構成を説明する。
図2に示すように、燃料ガス分散室76には、水素取出管92が接続されている。この水素取出管92は、燃料ガス分散室76の内部と連通し、断熱材板状部73aを貫通し、さらに排気ガス室23を貫通して燃料電池モジュール2の外部まで延びている。図1に示すように、水素取出管92は、補機ユニット4に内蔵された凝縮器33に接続されている。燃料ガス分散室76内の燃料ガスは、水素ガスと共に多くの水蒸気を含んでいる。凝縮器33においては、燃料ガスに含まれている水蒸気が凝縮され、水素ガスと分離される。水蒸気を分離された水素ガスは、オリフィス34及び電磁弁35を介して、燃料供給源30から供給された原燃料ガスに、燃料ブロア38の上流側で混合される。水素ガスが添加された原燃料ガスは、燃料ブロア38により脱硫器36に送り込まれる。
燃料ガス分散室76内の圧力は燃料ブロア38の上流側の圧力よりも高いため、この圧力差により、改質された燃料ガスが燃料ガス分散室76から取り出される。オリフィス34は、燃料ガス分散室76から燃料ブロア38の上流側へ戻る流路に適度な流路抵抗を与え、適量の水素ガスが原燃料ガスに添加されるように調整されている。また、原燃料ガスへの水素の添加を行わないときは、電磁弁35が閉弁される。
次に、図1及び図2を参照して、固体酸化物型燃料電池装置1の作用を説明する。
まず、固体酸化物型燃料電池装置1の起動工程において、燃料ブロア38が起動され、燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒器60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。燃料ブロア38により供給された燃料は、脱硫器36を介して、燃料ガス供給パイプ90から外側燃料ガス供給流路20bに流入する。流入した燃料は、外側燃料ガス供給流路20b内を上昇して第1改質部94aに至り、次いで、第2改質部94b内、及び内側燃料ガス供給流路20a内を下降し、内側円筒部材64の下部に設けられた多数の小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、第1改質部94a、第2改質部94b内の改質用触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
燃料ガス分散室76に流入した燃料ガスは、燃料ガス分散室76の第1固定部材63に取り付けられた各燃料電池セル16の内側(燃料極側)を通って排気集約室18に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、各燃料電池セル16の温度が十分に上昇しておらず、また、インバータ54への電力の取り出しも行われていないため、発電反応は発生しない。
排気集約室18に流入した燃料は、排気集約室18の噴出口18dから噴出される。各噴出口18dから噴出された燃料は、点火ヒーター(図示せず)により点火され、各噴出口18dの周りの空間である燃焼部10aにおいて燃焼される。この燃焼により、高温の燃焼ガスが生成され、燃焼部10aを取り囲むように配置されている第2改質部94b、及び燃焼部10a下方の発電室10内が加熱される。また、燃焼により生成された排気ガス(燃焼ガス)は、内側円筒部材64の上部に設けられた小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。高温の排気ガスは、排ガス排出流路21内を下降し、その内側に設けられた第1改質部94a、及び外側に設けられた酸化剤ガス供給流路22内を流れる発電用の空気を加熱する。
このように、燃焼部10aにおける燃焼熱、及び排ガス排出流路21内を流れる排気ガスの熱により、第1改質部94a、第2改質部94bは原燃料ガスを水蒸気改質可能な温度まで速やかに加熱される。さらに、排気ガスは、排ガス排出流路21内に配置された燃焼触媒器60を通ることにより一酸化炭素が除去される。一酸化炭素が除去された排気ガスは、排気ガス横断通路23aを通って半径方向内方に流れ、排気ガス室23に流入する。排気ガス室23に流入した排気ガスは、排気ガス室23内に配置された脱硫器36を加熱し、排ガス排出パイプ58を通って燃料電池モジュールから排出される。
排気ガス及びシースヒーター61により蒸発部86が加熱されると、蒸発部86に供給された水蒸気改質用の水が蒸発され、水蒸気が生成される。水蒸気改質用の水は、水流量調整ユニット28により、水供給パイプ88を介して燃料電池セル収容容器8内の蒸発部86に供給される。蒸発部86で生成された水蒸気と、燃料ガス供給パイプ90を介して供給された原燃料ガスは、外側燃料ガス供給流路20b内で十分に混合される。
混合された原燃料ガス及び水蒸気は、外側燃料ガス供給流路20b内を上昇し、第1改質部94aに流入する。第1改質部94a、第2改質部94bの改質用触媒96が改質可能な温度まで上昇している状態においては、原燃料ガス及び水蒸気の混合気がこれらを通過する際、式(1)に示す水蒸気改質反応SRが発生し、混合気が水素を多く含む燃料ガスに改質される。改質された燃料ガスは、燃料ガス分散室76を介して各燃料電池セル16の内側(燃料極側)に供給される。
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (1)
一方、空気流量調整ユニット45により供給された酸化剤ガスである空気は、酸化剤ガス導入パイプ56を介して酸化剤ガス供給流路22に流入する。酸化剤ガス供給流路22に流入した空気は、内側を流れる排気ガスにより加熱されながら酸化剤ガス供給流路22内を上昇する。酸化剤ガス供給流路22内を上昇した空気は、燃料電池セル収容容器8内の上端部で中央に集められ、酸化剤ガス供給流路22に連通された酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入する。酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入した空気は下端から発電室10内に噴射され、噴射された空気は第1固定部材63の上面に当たって発電室10内全体に広がる。発電室10内に流入した空気は、排気集約室18の外周壁と内側円筒部材64の内周壁の間の隙間、及び排気集約室18の内周壁と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面の間の隙間を通って上昇する。
この際、各燃料電池セル16の外側(空気極側)を通って流れる空気の一部は発電反応に利用される。また、排気集約室18の上方に上昇した空気の一部は、排気集約室18の噴出口18dから噴出する燃料の燃焼に利用される。燃焼により生成された排気ガス、及び発電、燃焼に利用されずに残った空気は、小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。排ガス排出流路21に流入した排気ガス及び空気は、燃焼触媒器60により一酸化炭素が除去された後、排出される。
このように、各燃料電池セル16が発電可能な温度である650℃程度まで上昇し、各燃料電池セル16の内側(燃料極側)に改質された燃料が流れ、外側(空気極側)に空気が流れると、電気化学反応により起電力が発生する。このような状態において、起動工程を完了し、発電工程が開始される。即ち、燃料電池セル収容容器8から引き出されているバスバー80にインバータ54を接続することにより、各燃料電池セル16から電力が取り出され、発電が開始される。
次に、図6を参照して、起動工程中における第1改質部94a及び第2改質部94bの温度状態を説明する。
図6は、本発明の実施形態による燃料電池モジュール2の改質部付近を拡大して示す断面図である。
図6に示すように、排気集約室18から流出したオフガスは燃焼部10aにおいて燃焼されるため、燃焼部10aを取り囲むように位置している第2改質部94bの上部が加熱される。また、燃焼により生じた排気ガスは、上方にある小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入し、内側に配置された第1改質部94aを加熱しながら下方に流れる。このため、第1改質部94aの上部が最も高温の排気ガスによって加熱され、排気ガスは温度を低下させながら下方へ流れ、第1改質部94aの下部を加熱する。従って、第1改質部94a、第2改質部94bとも、その上部は加熱されやすく、下部は加熱されにくい状態にある。
一方、原燃料ガス及び水蒸気の混合気は、まず、下端から第1改質部94aに流入し、そこで水蒸気改質されながら上昇する。水蒸気改質により生成された水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、及び一酸化炭素(CO)、及び未改質の原燃料ガス及び水蒸気は、第1改質部94aの上端から流出し、今度は、上端から第2改質部94bに流入する。このため、未改質の原燃料ガスは第1改質部94aの下部に最も多く存在し、上方に流れるに従って、未改質の原燃料ガスの濃度は低下する。さらに、第1改質部94aから流出した燃料ガス(未改質の原燃料ガス及び改質された燃料ガス)が上端から流入する第2改質部94bにおいては、その上端で未改質の原燃料ガスの濃度が最も高く、下端部では未改質の原燃料ガスは殆ど存在しなくなる。このため、水蒸気改質反応は、高濃度の未改質の原燃料ガスが存在する第1改質部94aの下部において最も多く発生し、第2改質部94bの下部では殆ど発生しない。
ここで、上記式(1)に示した水蒸気改質反応は吸熱反応であり、この反応が加熱されにくい状態にある第1改質部94aの下部で多く発生すると、この部分において温度低下が発生しやすくなる。この第1改質部94a下部における温度低下は、改質部の温度ムラの原因となる。このような温度ムラは、特に、燃料電池モジュール2内全体の温度が低い、起動工程の前半において発生しやすい。
ところが、本実施形態の燃料電池モジュール2おいては、第1改質部94aと第2改質部94bが、中間円筒部材65を挟んで対向するように配置され、それらの間で熱交換可能に構成されているため、このような温度ムラを抑制することができる。即ち、第1改質部94a下部において多くの吸熱反応が発生すると、これに対向して配置されている第2改質部94bの下部から熱が奪われ、第2改質部94b下部の温度も低下する。一方、第2改質部94b下部は、第1改質部94a及び第2改質部94b上部を通過した燃料ガスが流入する部分であるため、原燃料ガス中の炭化水素は、その殆どが既に水蒸気改質により、水素及び一酸化炭素、二酸化炭素に改質されている。ここで、第1改質部94a下部における吸熱反応の影響で温度低下した第2改質部94bの下部に、これらのガスが流入すると、平衡組成を補償するように、式(2)に示すメタネーション反応が発生する。
3H2+CO → CH4+H2O (2)
このメタネーション反応は、水素ガスと一酸化炭素からメタンと水が生成される、水蒸気改質反応とは逆の反応である。メタネーション反応は発熱反応であるため、第2改質部94b下部においてメタネーション反応が発生すると、この部分の温度が上昇する。この温度上昇により、温度が低下した第1改質部94a下部が加熱され、この部分の温度低下が抑制される。このように、本実施形態においては、第1改質部94aと第2改質部94bが熱交換可能に構成されているため、第1改質部94aにおいて多くの水蒸気改質反応が発生して過剰な温度低下が発生すると、これにより温度低下された第2改質部94bにおいてメタネーション反応が発生し、第1改質部94aの温度低下が抑制される。即ち、本実施形態においては、第1改質部94aと第2改質部94bを対向して熱交換可能に配置することにより、自律的に第1改質部94a下部の温度低下が抑制され、改質部全体の温度ムラが抑制される。このように、第1改質部94aの入口と第2改質部94bの出口とを隣接して配置し、熱交換を可能とすることにより、改質部の温度ムラを自律的に抑制することができる。
なお、第2改質部94bにおいてメタネーション反応が発生すると、反応により発生したメタン及び水(水蒸気)が燃料電池セル16に供給されることとなる。しかしながら、メタネーション反応は燃料電池モジュール2内全体の温度が低い起動工程中に発生するため、各燃料電池セル16において発電反応は行われず、燃料電池セル16に供給された燃料は全て燃焼部10aにおいて燃焼される。従って、メタネーション反応の発生が燃料電池セル16に悪影響を与えることはない。
本発明の実施形態の燃料電池モジュール2によれば、発電室10を取り囲むように構成した外側燃料ガス供給流路20b、内側燃料ガス供給流路20aに改質用触媒96を夫々配置することにより、第1改質部94a、第2改質部94bを形成しているので、専用の改質器を設ける必要がなく、燃料電池モジュール2を小型化することができる。また、燃料電池セル16を収容した発電室10を取り囲むように改質部を設けているので、各燃料電池セ16ルの熱ムラを抑制することができる。
また、本実施形態においては、第1改質部94aと、第1改質部94aから流出した燃料ガスが流入する第2改質部94bとを、熱交換可能に配置することにより、第1改質部94aにおいて多くの水蒸気改質反応が発生し、過剰な温度低下が発生した場合には、これと熱交換可能に配置された第2改質部94bの温度も低下する。第2改質部94bの温度が大きく低下すると、水蒸気改質反応により発生した水素ガスが、第2改質部94bにおいて発熱反応であるメタネーション反応する。このメタネーション反応により発生した熱が、第2改質部94bから第1改質部94aに伝導され、第1改質部94aにおける温度低下が補償される。これにより、改質部の各部における温度ムラを抑制することができると共に、温度ムラに起因する改質用触媒96の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態の燃料電池モジュール2によれば、第1改質部94aが排ガス排出流路21を流れる排気ガスにより加熱される一方、第2改質部94bは燃焼部10aの燃焼熱によって加熱されるので、第1、第2改質部の温度を速やかに上昇させることができる。また、第2改質部94bの下部において過剰な温度低下が発生した場合には、メタネーション反応により、その部分の温度を上昇させることができる。
さらに、本実施形態の燃料電池モジュール2によれば、外側燃料ガス供給流路20b内の第1改質部94aと、内側燃料ガス供給流路20a内の第2改質部94bが熱交換可能な配置をコンパクトな構成で実現することができる。また、第1改質部94aの入口と第2改質部94bの出口を隣接させた構成を容易に実現することができるので、メタネーション反応によって発生した熱を、温度低下が発生しやすい第1改質部94aの入口部分に、効果的に伝導させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、第1改質部94aの出口と、第2改質部94bの入口との間に、改質用触媒96が配置されていない空間が存在したが、この空間に改質用触媒96を充填し、第1改質部94aと第2改質部94bを切れ目なく構成することもできる。
また、上述した実施形態においては、第1改質部94aの入口と出口、第2改質部94bの入口と出口が夫々同じ高さ位置に構成されていたが、メタネーション反応による熱伝導の効果が及ぶ範囲で、これらの高さを変更することもできる。
1 固体酸化物型燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 外側断熱材
8 燃料電池セル収容容器
10 発電室
10a 燃焼部
16 燃料電池セル(固体酸化物型燃料電池セル)
18 排気集約室
18a 集約室上部材
18b 集約室下部材(第2固定部材)
18c 挿通穴
18d 噴出口
18e 接着剤充填枠
19a 大径シールリング
19b 小径シールリング
19c カバー部材
20a 内側燃料ガス供給流路(第2燃料ガス通路)
20b 外側燃料ガス供給流路(第1燃料ガス通路)
21 排ガス排出流路(排気ガス通路)
22 酸化剤ガス供給流路
23 排気ガス室
23a 排気ガス横断通路
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給装置)
30 燃料供給源
33 凝縮器
34 オリフィス
35 電磁弁
36 脱硫器(水添脱硫器)
36c 脱硫器流入管
36d 脱硫器流出管
38 燃料ブロア(燃料供給装置)
40 空気供給源
45 空気流量調整ユニット(酸化剤ガス供給装置、空気ブロア)
50 温水製造装置
54 インバータ
56 酸化剤ガス導入パイプ(酸化剤ガス流入口)
58 排ガス排出パイプ(排ガス流出口)
60 燃焼触媒器
61 シースヒーター(ヒーター)
63 第1固定部材(分散室形成板)
63a 挿通穴
63b 接着剤充填枠
64 内側円筒部材(発電室構成部材)
64a 小穴
64b 小穴
64c ステー(位置決め部材)
64d 棚部材
65 中間円筒部材
66 外側円筒部材
66a 棚部材
67 カバー部材
68 内側円筒容器(排気通路構成部材)
70 外側円筒容器(供給通路構成部材)
72 分散室底部材
72a 挿通管(バスバー通路)
72b フランジ部
73a 断熱材板状部
73b 断熱材突出部
74 酸化剤ガス噴射用パイプ
76 燃料ガス分散室
78 碍子
80 バスバー
82 集電体
86 蒸発部
86a 傾斜板
88 水供給パイプ
90 燃料ガス供給パイプ
92 水素取出管
94a 第1改質部
94b 第2改質部
96 改質用触媒

Claims (3)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスを反応させることにより発電する燃料電池モジュールであって、
    燃料ガスと酸化剤ガスを反応させる複数の固体酸化物型燃料電池セルと、
    これら複数の固体酸化物型燃料電池セルが内部に立設された発電室と、
    この発電室の少なくとも一部を取り囲むように、上記複数の固体酸化物型燃料電池セルと概ね平行に延びる第1燃料ガス通路と、
    この第1燃料ガス通路の内側に沿って形成され、上記第1燃料ガス通路を通過した燃料ガスを流入させ、流出した燃料ガスが上記複数の固体酸化物型燃料電池セルに導かれる第2燃料ガス通路と、
    上記第1燃料ガス通路の少なくとも一部を取り囲むように設けられ、上記第1燃料ガス通路との間で熱交換可能に構成された排気ガス通路と、
    上記第1燃料ガス通路の内部に、燃料ガスを水蒸気改質する改質用触媒を配置することにより構成された第1改質部と、
    上記第2燃料ガス通路の内部に改質用触媒を配置することにより構成され、上記第1改質部との間で熱交換可能に配置された第2改質部と、
    を有することを特徴とする燃料電池モジュール。
  2. 上記発電室内には、上記複数の固体酸化物型燃料電池セルにおいて発電に使用されずに残った燃料ガスを燃焼させる燃焼部が設けられ、上記第2改質部は、その上部が上記燃焼部の少なくとも一部を取り囲むように配置されている請求項1記載の燃料電池モジュール。
  3. 上記第1燃料ガス通路の少なくとも一部を取り囲む上記排気ガス通路は上方から下方に向けて排気ガスを導き、上記第1燃料ガス通路は下方から上方に向けて燃料ガスを導き、上記第2燃料ガス通路は上方から下方に向けて燃料ガスを導く請求項2記載の燃料電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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