JP2016037471A - カプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセル - Google Patents

カプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセル Download PDF

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Abstract

【課題】強度及び成形性を向上させたカプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセルを提供する。
【解決手段】本発明では、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有するカプセル皮膜組成物が提供される。前記グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部であってもよい。さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する構成であってもよい。また、本発明では、前記カプセル皮膜組成物を用いて得られるカプセルが提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、強度及び成形性を向上させたカプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセルに関する。
一般に、カプセルの皮膜基材としては、ゼラチン、及び可塑剤が用いられている。ゼラチンは、コラーゲンの加水分解物であり、ゲル化性を付与することにより成形性を向上させる物質である。可塑剤は、グリセリンやソルビトール等の多価アルコールが用いられ、弾力性を付与することにより皮膜強度やカプセル強度を向上させている。この可塑剤は、配合量を増加させると、皮膜の弾力性が向上し、強度が高くなる反面、ゼラチンに粘着性を与え、成形性を低下させる性質がある。
従来より、特許文献1に開示されるカプセル皮膜組成物が知られている。特許文献1のカプセル皮膜組成物は、ゼラチンを基剤(基材)とする皮膜中に、小麦粉をゼラチン量の0.5質量%〜50質量%配合することによりカプセル皮膜組成物の粘着性を低下させている。
特開平10−80466号公報
ところが、特許文献1に開示される組成物は、小麦粉の配合量を多くすると、カプセル皮膜組成物の粘着性及び弾力性が低下し、カプセル強度が低下する場合があるという問題があった。他方、カプセル皮膜組成物中の可塑剤とゼラチンの配合比率を調整するのみでは、強度と成形性の両立を図ることは困難であった。
本発明の目的とするところは、強度及び成形性を向上させたカプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセルを提供することにある。
本発明は、カプセル皮膜組成物において、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを併用することにより、強度と成形性を向上できることを見出したことに基づくものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有するカプセル皮膜組成物が提供される。前記グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部である構成であってもよい。さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する構成であってもよい。本発明の別の態様では、前記カプセル皮膜組成物を用いて得られるカプセルが提供される。
本発明によれば、カプセル皮膜組成物において、強度及び成形性を向上できる。
試験例3におけるカプセル皮膜組成物の乾燥時間と皮膜水分値との関係を示すグラフ。
以下、本発明のカプセル皮膜組成物を具体化した実施形態を説明する。
本実施形態のカプセル皮膜組成物の主成分であるゼラチンは、牛、豚、魚、鳥等を由来とするコラーゲンの加熱分解物であり、造膜性及びゲル化性を有した類い希な物質である。すなわちゼラチンは、例えば40重量%程度の高濃度の水溶液であっても流動性に優れるため、成形性、例えばカプセル成形性及び造膜性に優れている。従って、ゼラチンを皮膜基材とするカプセルは、その内容物を好適に保護することができる。またゼラチンは、温度に応じて可逆的にゾルゲル転移するゲル化性を有しているため、そのゾルゲル転移を利用してカプセルを容易に成形することができる。ゼラチンは、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ペプチドゼラチン等のいずれも使用することができる。これらのゼラチンの具体例うち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。ゼラチンの含有量は、成形性及び強度の向上の観点から適宜設定可能であるが、カプセル皮膜組成物の水以外の固形分中において、ゼラチンの含有量の下限は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。40質量%以上とすることにより、成形性をより向上させることができる。ゼラチンの含有量の上限は、固形分中において、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%以下とすることにより、強度をより向上させることができる。
可塑剤は、カプセル皮膜組成物によって得られるカプセルの強度をより向上させるために配合される。可塑剤としては、例えば多価アルコール及び糖類が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば糖アルコール、グリセリン類、及びグリコール類が挙げられる。糖アルコールとしては、例えばエリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、シクリトール、アルジトール、及び還元水飴が挙げられる。グリセリン類としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。糖類としては、例えばグルコース、フルクトース、及びスクロースが挙げられる。これらの可塑剤の具体例うち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、強度の向上の観点から、グリセリンが好く適用される。
可塑剤の含有量は、成形性及び強度の向上の観点から適宜設定可能であるが、固形分中における可塑剤の含有量の下限は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。含有量の下限を10質量%以上とすることにより、強度をより向上させることができる。固形分中における可塑剤の含有量の上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。含有量の上限を50質量%以下とすることにより、成形性をより向上させることができる。
また、ゼラチン100質量部に対する可塑剤の含有量の下限は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは35質量部以上である。含有量の下限を25質量部以上とすることにより、強度をより向上させることができる。また、ゼラチン100質量部に対する可塑剤の含有量の上限は、好ましくは65質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。含有量の下限を65質量部以下とすることにより、成形性をより向上させることができる。
グリコサミノグリカンは、カプセル皮膜組成物によって得られるカプセルの強度をより向上させるために配合される。グリコサミノグリカンは、ムコ多糖とも呼ばれ、アミノ糖を含む一群の酸性多糖である。グリコサミノグリカンの具体例としては、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸、及びそれらの塩が挙げられる。これらのグリコサミノグリカンの具体例うち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、強度の向上の観点から、ヒアルロン酸が好ましく適用される。グリコサミノグリカンの平均分子量は、特に限定されないが、強度向上の観点から好ましくは100万以下、より好ましくは50万以下である。
グリコサミノグリカンの含有量は、成形性及び強度の向上の観点から適宜設定可能であるが、固形分中におけるグリコサミノグリカンの含有量の下限は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。含有量の下限を0.01質量%以上とすることにより、強度をより向上させることができる。固形分中におけるグリコサミノグリカンの含有量の上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。含有量の上限を5質量%以下とすることにより、成形性をより向上させることができる。
また、ゼラチン100質量部に対するグリコサミノグリカンの含有量の下限は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.25質量部以上である。含有量の下限を0.01質量部以上とすることにより、強度をより向上させることができる。また、ゼラチン100質量部に対するグリコサミノグリカンの含有量の上限は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。含有量の上限を5質量部以下とすることにより、成形性をより向上させることができる。
本実施形態のカプセル皮膜組成物は、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、特に強度をより向上させる。また、カプセル同士の付着をより抑制することができる。ポリグリセリン骨格におけるグリセリンの重合度は、特に限定されないが、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜16である。またポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の種類は、特に限定されないが、高級脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、ペンタグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリントリミリステート等が挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例うち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、強度の向上の観点から、デカグリセリンモノオレートが好ましく適用される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、強度の向上等の観点から適宜設定可能であるが、固形分中において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の下限は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。含有量の下限を0.01質量%以上とすることにより、強度をより向上させることができる。また、カプセル同士の付着をより抑制することができる。固形分中において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。含有量の上限を10質量%以下とすることにより、カプセルの透明性をより高め、カプセルの外観特性をより向上させることができる。
また、ゼラチン100質量部に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の下限は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。0.01質量部以上とすることにより、強度をより向上させることができる。また、カプセル同士の付着をより抑制することができる。ゼラチン100質量部に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の上限は、好ましくは12質量部以下、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。含有量の上限を12質量部以下とすることにより、カプセルの透明性を高め、カプセルの外観特性をより向上させることができる。
本実施形態のカプセル皮膜組成物は、製造時に水を適量添加してもよい。カプセル皮膜組成物に対する水の添加量は、固形分の各成分の比率、種類、粘度、混合性、製造装置、及び皮膜の乾燥効率等を考慮して適宜設定される。カプセル皮膜組成物の固形分100質量部に対する水の添加量の下限は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは45質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上である。一方、水の添加量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
次に、本実施形態のカプセル皮膜組成物の作用及び製造方法について記載する。
本実施形態のカプセル皮膜組成物の各成分が混合されることにより、カプセル皮膜の成形性及び強度に優れるカプセル皮膜組成物を得ることができる。本実施形態のカプセル皮膜組成物の製造方法は、まず上記各種原料を配合し、所定温度(好ましくは加熱条件)で均一に混練することにより混合物を得る工程が行われる。次に、公知の製造装置を用いてシート状に成形し、乾燥する工程を経ることにより製造することができる。
さらに、本実施形態のカプセル皮膜組成物を用いたカプセルの製造方法は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、本実施形態のカプセル皮膜組成物をソフトカプセルに適用する場合、ソフトカプセル原料混合物を製造する工程、及びソフトカプセル原料混合物をシート状に成形するとともに、充填成分を内包する工程からなる。充填成分の内包工程は、例えば、生産効率の高く、比較的多くの量の内容物を内包することができる打ち抜き法を採用することができる。打ち抜き法は、前記ソフトカプセル原料混合物からゲル状シートを作成し、金型でカプセル形状に打ち抜くことによって製造する方法である。より具体的には内容物を充填しながらソフトカプセルを成形するロータリーダイ法を挙げることができる。尚、ロータリーダイ法は、ゲル状シートが二つの円筒型成型ダイロールの回転によって打ち抜かれ、同時にポンプにより内溶液が充填される成型方法であって、カプセルの継ぎ目がダイロールの圧力・熱によって圧着されて密閉される方法である。ロータリーダイ法は、公知の装置、例えばロータリーダイ式カプセル充填機により実施することができる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有する。したがって、皮膜の強度やカプセルに成形した場合の強度及び成形性を向上させることができる。
(2)また、グリコサミノグリカンにより、皮膜の保湿性を向上させることができる。よって、内容液や外部環境により、皮膜水分の移行を抑制することができる。また、経時的な皮膜水分の低下を抑制し、カプセルの硬化、割れ等を抑制することができる。
(3)また、カプセルに成形した場合、カプセル同士の付着を抑制することができる。よって、カプセル同士の付着を抑制するために、カプセルの表面に付着防止剤をコーティングする必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
(4)グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部に設定してもよい。したがって、強度及び成形性をより向上させることができる。
(5)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルをさらに配合してもよい。したがって、濁りの発生等の外観特性の低下を抑制しながら、特に歪み(伸び)の増加により、強度をより向上させることができる。また、カプセルに成形した場合、カプセル同士の付着をより抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物は、ソフトカプセル用皮膜に限らずハードカプセル用皮膜に適用してもよい。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物が適用される分野は、特に限定されず、飲食品、医薬品、化粧品等の各分野において好ましく適用することができる。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物に内包されるカプセル充填成分が液体であっても粉末状等の固体であってもいずれでもよい。また、カプセルに充填(内包)される内容物としては、特に限定されず栄養補助成分、健康食品成分等の食品成分、特定の効能・効果の発揮を目的とする医薬品成分等、化粧品成分等の種々の有効成分が挙げられる。尚、成形・充填されたカプセルは、瓶詰め包装、PTP包装、パウチ等の包装形態で包装されて保存してもよい。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物の膜厚は、カプセルの目的・用途等に応じ適宜設定される。例えば前記カプセル皮膜組成物の膜厚は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.9mm以上である。一方、前記カプセル皮膜組成物の膜厚は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。前記カプセル皮膜組成物の膜厚をかかる範囲に規定することにより、成形性及び強度保持をより向上させることができる。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物により成形されるカプセルの形状は特に限定されないが、断面形状又は外形が、例えば、楕円形、長形、球形、しずく形、SUPPO形、及び涙型が挙げられる。
・上記実施形態のカプセル皮膜組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、通常カプセル皮膜組成物の製造に用いられるその他の公知の添加剤を適宜配合してもよい。
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1)
カプセル皮膜組成物にヒアルロン酸を添加した場合の皮膜成形性及び皮膜の強度について評価した。表1に示される各成分を混合して各実施例及び比較例のカプセル皮膜組成物を調製した。
まず、調合タンク内に下記表1に示される各例の原料を、表に示される数値(質量部)になるように投入し、加熱しながら撹拌溶解・脱泡を行い、粘稠なソフトカプセル原料混合物(調合液)を調製した。次に、ロータリーダイ式カプセル充填機(三協社製)のキャスティングドラムを用いた皮膜成形工程により、ソフトカプセル原料混合物を厚さ0.9mmのシート状に成形し、皮膜水分が約9〜10質量%になるまで静置乾燥させることにより、各例のカプセル皮膜組成物を製造した。
各例のカプセル皮膜組成物について、皮膜成形性及び皮膜の強度(破断荷重)について下記に示される基準に従い、評価を行った。それらの評価結果を表1に示す。尚、表1を含む各表中における各成分の配合を示す数値の単位は、質量部又は質量%(配合成分としての水以外の固形分中の割合)である。また、ヒアルロン酸は、分子量範囲が5万以下の市販品を使用した。
(皮膜成形性)
ロータリーダイ式カプセル充填機のキャスティングドラムを用いてシート状に成形する際の成形のしやすさについて、◎:流動性がよく均一なシート成形ができる場合、○:流動性が低下するが、均一なシート成形ができる場合、△:高粘度で脱泡時間を要するが均一なシート成形ができる場合、×:高粘稠のため均一なシート状が作成できない場合、として評価した。
(皮膜の強度(破断荷重))
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、2cm四方にカットした。次に、レオメータ(山電社製:RE2−33005B)を用いた突き刺し試験により、破断荷重(N)を測定した。尚、測定条件は、プランジャー:RP−01、速度5mm/秒にて突き刺し試験を実施し、応力−ひずみ曲線を求めた。かかる曲線より最大破断荷重(N)を求めた。得られた数値を表1に示す。
表1の各実施例に示されるように、ヒアルロン酸をカプセル皮膜組成物に添加することにより、皮膜の成形性を損なうことなく、破断荷重を比較例1に対して増加できることが確認された。つまり、ヒアルロン酸によりカプセル皮膜組成物の強度を向上できることが確認された。
(試験例2)
カプセル皮膜組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルをさらに添加した場合の皮膜成形性及び皮膜の強度について評価した。表2に示される各成分を混合して各実施例及び比較例のカプセル皮膜組成物を調製した。上記試験例1と同様の方法を用いて、下記表2に示される各例の原料から、ソフトカプセル原料混合物を厚さ0.9mmのシート状に成形し、皮膜の水分が約8〜9質量%になるまで静置乾燥させることにより、各例のカプセル皮膜組成物を製造した。
各例のカプセル皮膜組成物について、皮膜成形性、皮膜の強度(破断変形)及び外観特性について下記に示される基準に従い、評価を行った。それらの評価結果を表2に示す。尚、皮膜成形性は、試験例1欄に記載の方法に従い測定した。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてデカグリセリンモノオレートを使用した。
(皮膜の強度(破断変形))
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、2cm四方にカットした。次に、レオメータ(山電社製:RE2−33005B)を用いた突き刺し試験により、破断荷重(N)を測定した。尚、測定条件は、プランジャー:RP−01、速度5mm/秒にて突き刺し試験を実施し、応力−ひずみ曲線を求めた。かかる曲線より最大変形(mm)を求めた。比較例1の最大変形を100とした場合の相対値を表2に示す。
(外観特性)
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、標準光源下においてパネラーが目視にて、◎:透明性に優れる場合、○:透明性がやや低下する場合、△:濁りが生じている場合、×:濁りが強く白濁している場合、として評価した。結果を表2に示す。
表2の各実施例に示されるように、ポリグリセリン脂肪酸エステルをカプセル皮膜組成物に添加することにより、皮膜の成形性及び外観特性を損なうことなく、破断変形を比較例1に対して増加できることが確認された。つまり、ポリグリセリン脂肪酸エステルによりカプセル皮膜組成物の柔軟性を増加させることができ、衝撃によるカプセルの割れ等を一層防止することができる。
(試験例3)
カプセル皮膜組成物にヒアルロン酸を添加した場合の保湿性について評価した。試験例1において作成された実施例3,5及び比較例1のカプセル皮膜組成物を使用した。各例のカプセル皮膜組成物を次の条件(1)〜(3)の雰囲気下に放置した後のカプセル皮膜組成物中の水分(%)を常圧加熱乾燥法(105℃、2時間)にて測定した。条件(1):20℃・20%RH環境下にて20時間乾燥させた。条件(2):20℃・20%RH環境下にて40時間乾燥させた。条件(3):20℃・20%RH環境下にて200時間乾燥させた。結果を図1に示す。
図1に示されるように、実施例3,5の構成について、低湿度雰囲気下においては、比較例1の構成に比べ、経時的な水分低下が抑制されることが確認された。つまり、ヒアルロン酸により、カプセル皮膜組成物の保湿性が向上することが確認された。特に、経時的な皮膜水分の低下を抑制し、カプセルの硬化、割れ等を一層抑制できることが期待される。
(試験例4)
カプセル皮膜組成物より、カプセルを成形した後、カプセルの成形性及び耐衝撃性、カプセル同士の付着性を評価した。試験例1において作成された実施例5及び比較例1の乾燥後の各カプセル皮膜組成物を使用した。また、下記表3に示される実施例15及び比較例2のカプセル皮膜組成物を、試験例1と同様の方法を用いて製膜した。
得られた各例のカプセル皮膜組成物について、ロータリーダイ法により、ソフトカプセルを製造した。金型として、OVAL−6を使用した。ロータリーダイ式カプセル充填機(三協社製)を用いて、内容物として用いた中鎖脂肪酸トリグリセリド300mgを内包しながら膜厚0.9mmのソフトカプセルを作製した。作成された各例のソフトカプセルについて、ソフトカプセル製造時のカプセル成形性、カプセル同士の付着性、及びカプセルの耐衝撃性について評価を行った。結果を表3に示す。
(カプセル成形性)
ロータリーダイ法を用いてカプセル形状に成形する際の成形のしやすさについて、◎:接合部から内容物の漏れがなく、問題なくカプセル形状に成形できる場合、○:接合部の接着がやや弱いが、問題なくカプセル形状に成形できる場合、△:皮膜の接合が悪く、内容物の漏れによりカプセル形状に成形できない場合、×:皮膜の接合が困難であり、カプセル形状に成形できない場合、として評価した。
(カプセル付着性)
得られた各例のカプセル皮膜組成物について、100粒を内容量100mLのポリ容器に入れ、20時間、40℃の環境下にて保管した。ポリ容器を傾斜20°の板の上から10cm落下させ、カプセル同士が完全にばらけるまでの落下回数を求めた。尚、落下回数が小さいほど、粘着力が低く、カプセル同士の付着防止性が高いことを示す。◎:落下回数が1〜5回の場合、○:6〜10回の場合、△:11〜15回の場合、×:16回以上の場合、として評価した。
(カプセルの耐衝撃性)
得られた各例のカプセルについて、机上にカプセルを1つ置き、100gの分銅を100cmの高さから落下させる処理を、カプセル20個について繰り返し(計20回)、そのうちカプセルが割れた個数を測定した。○:割れた個数が1個以下の場合、△:割れた個数が2〜4個場合、×:割れた個数が5個以上の場合、として評価した。
表3に示されるように、カプセル皮膜組成物にヒアルロン酸を添加することにより、カプセルの耐衝撃性が改善されることが確認された。また、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルをさらに添加した場合、カプセル同士の付着が一層抑制されることが確認された。また、比較例1と実施例5の対比より、ヒアルロン酸を添加することによっても、カプセル同士の付着が抑制されることが確認された。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記カプセル皮膜組成物の固形分中において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、0.01〜10質量%である前記カプセル皮膜組成物。かかる(イ)の構成によれば、カプセル皮膜の透明性を低下させることなく、強度をより向上させることができる。また、カプセルに成形した場合、カプセル同士の付着をより防止することができる。
(ロ)前記カプセル皮膜組成物を用い、ロータリーダイを用いてソフトカプセルを製造する方法。かかる(ロ)の構成によれば、前記カプセル皮膜組成物は、適度な強度及び成形性を有するため、ソフトカプセルを効率的に且つ容易に製造することができる。

Claims (4)

  1. ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有するカプセル皮膜組成物。
  2. 前記グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部である請求項1に記載のカプセル皮膜組成物。
  3. さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1又は請求項2に記載のカプセル皮膜組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカプセル皮膜組成物を用いて得られるカプセル。
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