JP2016037471A - カプセル皮膜組成物及びそれを用いたカプセル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明では、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有するカプセル皮膜組成物が提供される。前記グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部であってもよい。さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する構成であってもよい。また、本発明では、前記カプセル皮膜組成物を用いて得られるカプセルが提供される。
【選択図】なし
Description
本実施形態のカプセル皮膜組成物の主成分であるゼラチンは、牛、豚、魚、鳥等を由来とするコラーゲンの加熱分解物であり、造膜性及びゲル化性を有した類い希な物質である。すなわちゼラチンは、例えば40重量%程度の高濃度の水溶液であっても流動性に優れるため、成形性、例えばカプセル成形性及び造膜性に優れている。従って、ゼラチンを皮膜基材とするカプセルは、その内容物を好適に保護することができる。またゼラチンは、温度に応じて可逆的にゾルゲル転移するゲル化性を有しているため、そのゾルゲル転移を利用してカプセルを容易に成形することができる。ゼラチンは、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ペプチドゼラチン等のいずれも使用することができる。これらのゼラチンの具体例うち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。ゼラチンの含有量は、成形性及び強度の向上の観点から適宜設定可能であるが、カプセル皮膜組成物の水以外の固形分中において、ゼラチンの含有量の下限は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。40質量%以上とすることにより、成形性をより向上させることができる。ゼラチンの含有量の上限は、固形分中において、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%以下とすることにより、強度をより向上させることができる。
本実施形態のカプセル皮膜組成物の各成分が混合されることにより、カプセル皮膜の成形性及び強度に優れるカプセル皮膜組成物を得ることができる。本実施形態のカプセル皮膜組成物の製造方法は、まず上記各種原料を配合し、所定温度(好ましくは加熱条件)で均一に混練することにより混合物を得る工程が行われる。次に、公知の製造装置を用いてシート状に成形し、乾燥する工程を経ることにより製造することができる。
(1)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有する。したがって、皮膜の強度やカプセルに成形した場合の強度及び成形性を向上させることができる。
(5)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルをさらに配合してもよい。したがって、濁りの発生等の外観特性の低下を抑制しながら、特に歪み(伸び)の増加により、強度をより向上させることができる。また、カプセルに成形した場合、カプセル同士の付着をより抑制することができる。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物は、ソフトカプセル用皮膜に限らずハードカプセル用皮膜に適用してもよい。
・上記実施形態において、カプセル皮膜組成物に内包されるカプセル充填成分が液体であっても粉末状等の固体であってもいずれでもよい。また、カプセルに充填(内包)される内容物としては、特に限定されず栄養補助成分、健康食品成分等の食品成分、特定の効能・効果の発揮を目的とする医薬品成分等、化粧品成分等の種々の有効成分が挙げられる。尚、成形・充填されたカプセルは、瓶詰め包装、PTP包装、パウチ等の包装形態で包装されて保存してもよい。
(試験例1)
カプセル皮膜組成物にヒアルロン酸を添加した場合の皮膜成形性及び皮膜の強度について評価した。表1に示される各成分を混合して各実施例及び比較例のカプセル皮膜組成物を調製した。
ロータリーダイ式カプセル充填機のキャスティングドラムを用いてシート状に成形する際の成形のしやすさについて、◎:流動性がよく均一なシート成形ができる場合、○:流動性が低下するが、均一なシート成形ができる場合、△:高粘度で脱泡時間を要するが均一なシート成形ができる場合、×:高粘稠のため均一なシート状が作成できない場合、として評価した。
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、2cm四方にカットした。次に、レオメータ(山電社製:RE2−33005B)を用いた突き刺し試験により、破断荷重(N)を測定した。尚、測定条件は、プランジャー:RP−01、速度5mm/秒にて突き刺し試験を実施し、応力−ひずみ曲線を求めた。かかる曲線より最大破断荷重(N)を求めた。得られた数値を表1に示す。
カプセル皮膜組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルをさらに添加した場合の皮膜成形性及び皮膜の強度について評価した。表2に示される各成分を混合して各実施例及び比較例のカプセル皮膜組成物を調製した。上記試験例1と同様の方法を用いて、下記表2に示される各例の原料から、ソフトカプセル原料混合物を厚さ0.9mmのシート状に成形し、皮膜の水分が約8〜9質量%になるまで静置乾燥させることにより、各例のカプセル皮膜組成物を製造した。
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、2cm四方にカットした。次に、レオメータ(山電社製:RE2−33005B)を用いた突き刺し試験により、破断荷重(N)を測定した。尚、測定条件は、プランジャー:RP−01、速度5mm/秒にて突き刺し試験を実施し、応力−ひずみ曲線を求めた。かかる曲線より最大変形(mm)を求めた。比較例1の最大変形を100とした場合の相対値を表2に示す。
上記のように得られたシート状の各カプセル皮膜組成物について、標準光源下においてパネラーが目視にて、◎:透明性に優れる場合、○:透明性がやや低下する場合、△:濁りが生じている場合、×:濁りが強く白濁している場合、として評価した。結果を表2に示す。
カプセル皮膜組成物にヒアルロン酸を添加した場合の保湿性について評価した。試験例1において作成された実施例3,5及び比較例1のカプセル皮膜組成物を使用した。各例のカプセル皮膜組成物を次の条件(1)〜(3)の雰囲気下に放置した後のカプセル皮膜組成物中の水分(%)を常圧加熱乾燥法(105℃、2時間)にて測定した。条件(1):20℃・20%RH環境下にて20時間乾燥させた。条件(2):20℃・20%RH環境下にて40時間乾燥させた。条件(3):20℃・20%RH環境下にて200時間乾燥させた。結果を図1に示す。
カプセル皮膜組成物より、カプセルを成形した後、カプセルの成形性及び耐衝撃性、カプセル同士の付着性を評価した。試験例1において作成された実施例5及び比較例1の乾燥後の各カプセル皮膜組成物を使用した。また、下記表3に示される実施例15及び比較例2のカプセル皮膜組成物を、試験例1と同様の方法を用いて製膜した。
ロータリーダイ法を用いてカプセル形状に成形する際の成形のしやすさについて、◎:接合部から内容物の漏れがなく、問題なくカプセル形状に成形できる場合、○:接合部の接着がやや弱いが、問題なくカプセル形状に成形できる場合、△:皮膜の接合が悪く、内容物の漏れによりカプセル形状に成形できない場合、×:皮膜の接合が困難であり、カプセル形状に成形できない場合、として評価した。
得られた各例のカプセル皮膜組成物について、100粒を内容量100mLのポリ容器に入れ、20時間、40℃の環境下にて保管した。ポリ容器を傾斜20°の板の上から10cm落下させ、カプセル同士が完全にばらけるまでの落下回数を求めた。尚、落下回数が小さいほど、粘着力が低く、カプセル同士の付着防止性が高いことを示す。◎:落下回数が1〜5回の場合、○:6〜10回の場合、△:11〜15回の場合、×:16回以上の場合、として評価した。
得られた各例のカプセルについて、机上にカプセルを1つ置き、100gの分銅を100cmの高さから落下させる処理を、カプセル20個について繰り返し(計20回)、そのうちカプセルが割れた個数を測定した。○:割れた個数が1個以下の場合、△:割れた個数が2〜4個場合、×:割れた個数が5個以上の場合、として評価した。
(イ)前記カプセル皮膜組成物の固形分中において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、0.01〜10質量%である前記カプセル皮膜組成物。かかる(イ)の構成によれば、カプセル皮膜の透明性を低下させることなく、強度をより向上させることができる。また、カプセルに成形した場合、カプセル同士の付着をより防止することができる。
Claims (4)
- ゼラチン、可塑剤、及びグリコサミノグリカンを含有するカプセル皮膜組成物。
- 前記グリコサミノグリカンの含有量は、ゼラチン100質量部に対し、0.01〜5質量部である請求項1に記載のカプセル皮膜組成物。
- さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1又は請求項2に記載のカプセル皮膜組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカプセル皮膜組成物を用いて得られるカプセル。
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