JP2016037252A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応すること。【解決手段】駆動系に横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4を備え、横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4との間に第1クラッチ3を介装し、モータ/ジェネレータ4と前輪10R,10Lとの間にベルト式無段変速機6を介装したハイブリッド車両において、横置きエンジン2の排気ガスを浄化する触媒2bと、触媒2bの温度を活性温度に触媒暖機する触媒暖機制御手段と、を設けた。触媒暖機制御手段は、第1クラッチ3をスリップ締結状態としつつ、エンジン制御する触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータトルクを制御すると共に、ベルト式無段変速機6の変速制御により第1クラッチ3のスリップ締結状態を維持する。【選択図】図1

Description

本発明は、駆動系にエンジンとモータを備え、エンジンとモータとの間に摩擦クラッチを介装し、モータと駆動輪との間に無段変速機を介装したハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、エンジンとモータ兼発電機と走行用モータを組み合わせたハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車両において、触媒を暖機するとき(エンジン冷機時)の走行制御は、触媒の早期活性化を図るためにモータ兼発電機によりエンジンが制御され、触媒が暖機される。また、ドライバの要求駆動トルクに応じて、走行用モータのモータトルクが制御される。これらの制御は、触媒の温度が活性温度に達するまで続けられる。
特開2000-297669号公報
しかしながら、触媒を暖機するときの走行制御は、エンジンと2つのモータの組み合わせが必要であるから、エンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができない、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、駆動系にエンジンとモータを備え、前記エンジンと前記モータとの間に摩擦クラッチを介装し、前記モータと駆動輪との間に無段変速機を介装したハイブリッド車両において、前記エンジンの排気ガスを浄化する触媒と、前記エンジンにより、前記触媒の触媒温度を活性温度に触媒暖機する触媒暖機制御手段と、を設けた。
前記触媒暖機制御手段は、前記摩擦クラッチをスリップ締結状態としつつ、前記エンジンをエンジン制御する前記触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じて前記モータのモータトルクを制御すると共に、前記無段変速機の変速制御により前記摩擦クラッチのスリップ締結状態を維持する。
よって、触媒暖機制御手段により、摩擦クラッチがスリップ締結状態とされつつ、エンジンがエンジン制御される触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータのモータトルクが制御されると共に、無段変速機の変速制御により摩擦クラッチのスリップ締結状態が維持される。
すなわち、触媒暖機運転の際、スリップ締結状態が維持されるので、走行状態に左右されずにエンジンを制御することができる。このため、触媒暖機運転の際、触媒暖機に適したエンジン制御により、触媒暖機を行うことができる。
これにより、触媒暖機運転の際、触媒暖機に適したエンジン制御を継続しつつ、モータトルク制御により要求駆動トルクに応えることができる。
この結果、エンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができる。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたFFプラグインハイブリッド車両を示す全体システム図である。 実施例1のハイブリッド車両の制御装置にて実行される触媒暖機制御処理の流れを示すフローチャート1である。 実施例1のハイブリッド車両の制御装置にて実行される触媒暖機制御処理の流れを示すフローチャート2である。 実施例1のハイブリッド車両の制御装置にて実行されるエンジン回転数rpm1を上昇させる場合の触媒暖機制御処理動作例を示すタイムチャートである。 従来例のエンジンと1モータタイプのハイブリッドシステムにて実行される触媒を暖機するときの走行制御処理動作例を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置を、「全体システム構成」、「触媒暖機制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1はFFハイブリッド車両の全体システムを示す。以下、図1に基づいて、FFハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
FFハイブリッド車両の駆動系としては、図1に示すように、スタータモータ1と、横置きエンジン2(エンジン、略称「ENG」)と、第1クラッチ3(摩擦クラッチ、略称「CL1」)と、モータ/ジェネレータ4(モータ、略称「MG」)と、第2クラッチ5(略称「CL2」)と、ベルト式無段変速機6(無段変速機、略称「CVT」)と、を備えている。ベルト式無段変速機6の出力軸は、終減速ギヤトレイン7と差動ギヤ8と左右のドライブシャフト(車軸)9R,9Lを介し、左右の前輪10R,10L(駆動輪)に駆動連結される。なお、左右の後輪11R,11Lは、従動輪としている。
前記スタータモータ1は、そのモータ軸に、横置きエンジン2のクランク軸に設けられたリングギア17と噛み合うピニオンギア18を有し、横置きエンジン2のスタータ始動時、リングギア17に対しピニオンギア18が噛み合い、クランク軸を回転駆動する。
前記横置きエンジン2は、クランク軸方向を車幅方向としてフロントルームに配置したエンジンであり、電動ウォータポンプ12と、横置きエンジン2の逆転を検知するクランク軸回転センサ13と、を有する。この横置きエンジン2の排気通路2a(排気系)に、排気ガスを浄化する触媒2bを有している。また、この横置きエンジン2は、スタータモータ1によりクランキングする「スタータ始動」と、モータ/ジェネレータ4によりクランキングする「強電始動(MG始動)」と、のいずれかを用いてエンジン始動される。
前記第1クラッチ3は、横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4との間に介装された油圧作動によるノーマルオープンの乾式多板摩擦クラッチであり、第1クラッチ油圧により完全締結/スリップ締結(スリップ締結状態)/解放が制御される。
前記モータ/ジェネレータ4は、第1クラッチ3を介して横置きエンジン2に連結された三相交流の永久磁石型同期モータである。このモータ/ジェネレータ4は、後述する強電バッテリ21を電源とし、ステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換するインバータ26が、ACハーネス27を介して接続される。
前記第2クラッチ5は、モータ/ジェネレータ4とベルト式無段変速機6との間に介装された油圧作動による湿式の多板摩擦クラッチであり、第2クラッチ油圧により完全締結/スリップ締結(スリップ締結状態)/解放が制御される。実施例1の第2クラッチ5は、遊星ギヤによるベルト式無段変速機6の前後進切替機構に設けられた前進クラッチ5aと後退ブレーキ5bを流用している。つまり、前進走行時には、前進クラッチ5aが第2クラッチ5とされ、後退走行時には、後退ブレーキ5bが第2クラッチ5とされる。なお、第2クラッチ5は、締結時に、外乱防止のために、微小スリップ制御されることがある。
前記ベルト式無段変速機6は、モータ/ジェネレータ4と駆動輪である左右の前輪10R,10Lとの間に介装され、プライマリ油室とセカンダリ油室への変速油圧によりベルトの巻き付き径を変えることで無段階の変速比を得る変速機である。このベルト式無段変速機6には、メインオイルポンプ14(メカ駆動)と、サブオイルポンプ15(モータ駆動)と、メインオイルポンプ14からのポンプ吐出圧を調圧することで生成したライン圧PLを元圧として第1,第2クラッチ油圧及び変速油圧を作り出す図外のコントロールバルブユニットと、を有する。なお、メインオイルポンプ14は、モータ/ジェネレータ4のモータ軸(=変速機入力軸)により回転駆動される。サブオイルポンプ15は、主に潤滑冷却用油を作り出す補助ポンプとして用いられる。また、ベルト式無段変速機6の出力軸側(駆動輪側)の回転数を変速機出力軸回転数とし、ベルト式無段変速機6の入力軸側(横置きエンジン側)の回転数を変速機入力軸回転数rpm2とする。
前記第1クラッチ3とモータ/ジェネレータ4と第2クラッチ5により1モータ・2クラッチの駆動システムが構成され、この駆動システムによる主な駆動態様として「EVモード」と「HEVモード」と「HEV WSCモード」を有する。「EVモード」は、第1クラッチ3を解放し、第2クラッチ5を締結してモータ/ジェネレータ4のみを駆動源に有する電気自動車モードであり、「EVモード」による走行を「EV走行モード」という。「HEVモード」は、両クラッチ3,5を締結して横置きエンジン2とモータ/ジェネレータ4を駆動源に有するハイブリッド車モードであり、「HEVモード」による走行を「HEV走行モード」という。「HEV WSCモード」は、「HEVモード」において、モータ/ジェネレータ4をモータ回転数制御とし、第2クラッチ5を要求駆動力相当の容量にてスリップ締結するCL2スリップ締結モードである。なお、「HEVモード」は、モータアシストモード(モータ力行)・エンジン発電モード(ジェネレータ回生)・減速回生発電モード(ジェネレータ回生)を有する。この「HEV WSCモード」は、駆動系にトルクコンバータのような回転差吸収継手を持たないことで、「HEVモード」での停車からの発進域等において、横置きエンジン2(アイドル回転数以上)と左右前輪10L,10Rの回転差をCL2スリップ締結により吸収するために選択される。
なお、図1の回生協調ブレーキユニット16は、ブレーキ操作時、原則として回生動作を行うことに伴い、トータル制動トルクをコントロールするデバイスである。この回生協調ブレーキユニット16には、ブレーキペダルと、横置きエンジン2の吸気負圧を用いる負圧ブースタと、マスタシリンダと、を備える。そして、ブレーキ操作時、ペダル操作量に基づく要求制動力から回生制動力を差し引いた分を液圧制動力で分担するというように、回生分/液圧分の協調制御を行う。
FFハイブリッド車両の電源システムとしては、図1に示すように、モータ/ジェネレータ4の電源としての強電バッテリ21と、14V系負荷の電源としての14Vバッテリ22と、を備えている。
前記強電バッテリ21は、モータ/ジェネレータ4の電源として搭載された二次電池であり、例えば、多数のセルにより構成したセルモジュールを、バッテリパックケース内に設定したリチウムイオンバッテリが用いられる。この強電バッテリ21には、強電の供給/遮断/分配を行うリレー回路を集約させたジャンクションボックスが内蔵され、さらに、バッテリ冷却機能を持つ冷却ファンユニット24と、バッテリ充電容量(バッテリSOC)やバッテリ温度を監視するリチウムバッテリコントローラ86と、が付設される。
前記強電バッテリ21とモータ/ジェネレータ4は、DCハーネス25とインバータ26とACハーネス27を介して接続される。インバータ26には、力行/回生制御を行うモータコントローラ83が付設される。つまり、インバータ26は、強電バッテリ21の放電によりモータ/ジェネレータ4を駆動する力行時、DCハーネス25からの直流をACハーネス27への三相交流に変換する。また、モータ/ジェネレータ4での発電により強電バッテリ21を充電する回生時、ACハーネス27からの三相交流をDCハーネス25への直流に変換する。
前記14Vバッテリ22は、14V系負荷であるスタータモータ1及び補機類等の電源として搭載された二次電池であり、例えば、エンジン車等で搭載されている鉛バッテリが用いられる。強電バッテリ21と14Vバッテリ22は、DC分岐ハーネス25aとDC/DCコンバータ34とバッテリハーネス35を介して接続される。DC/DCコンバータ34は、強電バッテリ21からの数百ボルト電圧を14Vに変換するものであり、このDC/DCコンバータ34を、ハイブリッドコントロールモジュール81により制御することで、14Vバッテリ22の充電量を管理する構成としている。
FFハイブリッド車両の制御システムとしては、図1に示すように、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する機能を担う統合制御手段として、ハイブリッドコントロールモジュール81(エンジン始動制御手段、触媒暖機制御手段、略称:「HCM」)を備えている。このハイブリッドコントロールモジュール81に接続される制御手段として、エンジンコントロールモジュール82(略称:「ECM」)と、モータコントローラ83(略称:「MC」)と、CVTコントロールユニット84(略称:「CVTCU」)と、リチウムバッテリコントローラ86(略称:「LBC」)と、を有する。ハイブリッドコントロールモジュール81を含むこれらの制御手段は、CAN通信線90(CANは「Controller Area Network」の略称)により双方向情報交換可能に接続される。
前記ハイブリッドコントロールモジュール81は、各制御手段、イグニッションスイッチ91、アクセルペダルの踏み込み量からアクセル開度APOを検知するアクセル開度センサ92、車速VSP(車軸回転数、変速機出力軸回転数)を検知する車速センサ93、横置きエンジン2の冷却水温度を検知するエンジン水温センサ94、排気ガス量(排気ガスボリューム)を検知する排気ガス量センサ95、触媒2bの温度を検知する触媒温度センサ96等からの入力情報に基づき、様々な制御を行う。このハイブリッドコントロールモジュール81は、入力された情報に基づき、エンジントルク指令、エンジン回転数指令、モータ回転数指令、モータトルク指令等を出力する。ハイブリッドコントロールモジュール81は、エンジン始動制御を行う。エンジン始動制御は、EV走行モードにてエンジン始動要求があると、モータ/ジェネレータ4を用いた強電始動と、スタータモータ1を用いたスタータ始動と、のいずれかを用いてエンジンを始動する制御であり、エンジンを始動するために各制御手段の全体管理を行う。また、ハイブリッドコントロールモジュール81は、触媒暖機制御を行う。触媒暖機制御は、横置きエンジン2の動作中に、横置きエンジン2により、触媒2bの触媒温度を活性温度に触媒暖機する制御であり、触媒を暖機するために各制御手段の全体管理を行う。
前記エンジンコントロールモジュール82は、ハイブリッドコントロールモジュール81からのエンジントルク指令やエンジン回転数指令等に応じて、横置きエンジン2の燃料噴射制御や点火制御や燃料カット制御等を行い、横置きエンジン2のエンジン回転数やエンジントルクをエンジン制御する。
前記モータコントローラ83は、ハイブリッドコントロールモジュール81からのモータ回転数指令やモータトルク指令、アクセル開度情報、車速情報等に応じて、インバータ26によるモータジェネレータ4の力行制御や回生制御等を行い、モータ/ジェネレータ4のモータ回転数やモータトルクを制御する。
前記CVTコントロールユニット84は、第1クラッチ3の締結油圧制御、第2クラッチ5の締結油圧制御、ベルト式無段変速機6の変速油圧制御等を行い、第1クラッチ3と第2クラッチ5の完全締結/スリップ締結(スリップ締結状態)/解放を制御し、ベルト式無段変速機6の変速を制御する。
前記リチウムバッテリコントローラ86は、強電バッテリ21のバッテリSOCやバッテリ温度等を管理する。
[触媒暖機制御処理構成]
図2〜図3は、ハイブリッドコントロールモジュール81にて実行される触媒暖機制御処理流れ(触媒暖機制御手段)を示す。以下、図2〜図3に基づき、触媒暖機制御処理構成をあらわす図2〜図3の各ステップについて説明する。なお、図2〜図3の制御処理は、EVモードにてハイブリッド車両が発進するときに開始される。
ステップS1では、ドライバの操作によりアクセルペダルが踏み込まれ、アクセルONとなり、ステップS2へ進む。なお、このとき、第2クラッチ5が締結される。
ステップS2では、ステップS1でのアクセルONに続き、ドライバの要求駆動力に応じて、モータ/ジェネレータ4のモータトルクT2が制御される。すなわち、モータ/ジェネレータ4を駆動源とするEV走行モードで、車両を走行する。
ここで、「EV走行モード」と「HEV走行モード」は、車速VSP毎のアクセル開度APOで設定されている所定のエンジン始動停止線マップを用いて設定される。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標運転モードとする。例えば、アクセル開度APOが小さく車速VSPが所定値以下である所定の領域では、「EV走行モード」が選択される。
ステップS3では、ステップS2でのモータトルク制御に続き、エンジン始動要求が有るか否かを判断する。YES(エンジン始動要求有り)の場合はステップS4へ進み、NO(エンジン始動要求無し)の場合はステップS2へ戻る。
ここで、横置きエンジン2の始動が要求される場合とは、例えば、駆動力要求による場合とシステム要求による場合等である。駆動力要求による場合とは、例えば、ドライバが要求する要求駆動トルク(ドライバのアクセルペダル操作によるアクセル開度APO等)がモータ/ジェネレータ4が出力可能な上限の駆動トルク(駆動力)を超えている場合等である。また、アクセル開度APOが一定であっても、車速VSPが上昇することにより、駆動力要求になる。システム要求による場合とは、例えば、バッテリSOCの低下による強電バッテリ21への充電要求による場合や、冷却水の温度が低下したことによる場合等がある。
ステップS4では、ステップS3でのエンジン始動要求有りとの判断に続き、モータトルク制御から、モータ/ジェネレータ4のモータ回転数制御に変更し、ステップS5へ進む。すなわち、強電始動により横置きエンジン2をエンジン始動する。
ステップS5では、ステップS4でのモータ回転数制御への変更に続き、第2クラッチ5を締結からスリップ締結状態に制御して、ステップS6へ進む。なお、第2クラッチ5のスリップ締結容量は、ドライバからの要求駆動トルク分に調節される。また、車両停止時にエンジン始動して、HEV走行モードで車両が発進する場合には、第2クラッチ5はスリップ締結状態に制御せず締結を維持することがある。
ステップS6では、ステップS5での第2クラッチ5のスリップ締結制御に続き、第1クラッチ3を解放からスリップ締結状態に制御して、ステップS7へ進む。
ステップS7では、第1クラッチ3のスリップ締結制御に続き、横置きエンジン2を始動して、ステップS8へ進む。すなわち、第1クラッチ3をスリップ締結状態に制御することにより、モータ/ジェネレータ4を用い、横置きエンジン2をクランキングして強電始動する。この強電始動制御は、モータ/ジェネレータ4をスタータモータとし、横置きエンジン2をクランキングして、横置きエンジン2を始動させる。
ステップS8では、ステップS7での横置きエンジン2の始動に続き、触媒暖機運転要求が有るか否かを判断する。YES(触媒暖機運転要求有り)の場合はステップS9へ進み、NO(触媒暖機運転要求無し)の場合はエンドへ進む。
ここで、触媒暖機運転の要求の有無は、例えば、触媒2bの触媒温度により判断される。触媒温度が活性温度に達していない場合には、「触媒暖機運転要求有り」と判断される。また、触媒温度が活性温度に達している場合には、「触媒暖機運転要求無し」と判断される。そして、「触媒暖機運転」とは、第1クラッチ3をスリップ締結状態としつつ、横置きエンジン2をエンジン制御する触媒暖機を行いながら走行することである。
ステップS9では、ステップS8での触媒暖機運転要求有りとの判断に続き、横置きエンジン2の始動時(初期)における横置きエンジン2の初期エンジン回転数rpm1と初期エンジントルクT1の初期値を取得して、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS9での初期エンジン回転数rpm1と初期エンジントルクT1の初期値の取得、或いは、ステップS13でのエンジン回転数rpm1の上昇制御に続き、ステップS9またはステップS13のエンジン回転数rpm1とエンジントルクT1を一定に制御して、ステップS11へ進む。
ここで、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御は、(電制)スロットルの開度調節(吸入空気量)や燃料噴射量等により行われる。例えば、アイドリング制御である。
ステップS11では、ステップS10でのエンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御に続き、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かを判断する。すなわち、第1クラッチ3のスリップ締結状態が維持されるか否かを判断する。YES(スリップ締結状態維持条件成立)の場合はステップS12へ進み、NO(スリップ締結状態維持条件不成立)の場合はステップS13へ進む。
ここで、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比」から変速機入力軸回転数rpm2が算出される。これにより、ステップS11では、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2が、エンジン回転数rpm1から第1クラッチ3のスリップ差回転数α1を減算した回転数よりも低いか否かを判断する。言い換えると、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2にスリップ差回転数α1を加えた回転数が、エンジン回転数rpm1よりも低いか否かを判断する。このため、「rpm2<rpm1−α1」の場合には、第1クラッチ3のスリップ締結状態が維持される(スリップ締結状態維持条件成立)。一方、「rpm2≧rpm1−α1」の場合には、第1クラッチ3のスリップ締結状態が維持されないことになる(スリップ締結状態維持条件不成立)。なお、変速機出力軸回転数は、このときの値を用いる。また、「エンジン回転数rpm1」が初期エンジン回転数rpm1(ステップS9)の場合には、この条件を、「初期スリップ締結状態維持条件」という。
そして、スリップ差回転数α1は、小さすぎると第1クラッチ3が繋がってしまう。反対に、スリップ差回転数α1は、大きすぎると、エネルギーロスが大きくなってしまう。このため、スリップ差回転数α1は、これらのバランスを考えて適正値を任意で決定する。
ステップS12では、ステップS11でのスリップ締結状態維持条件成立との判断に続き、スリップ締結状態(スリップ差回転)にて、第1クラッチ3のクラッチ締結容量(締結力)を一定制御して、ステップS14へ進む。
ここで、第1クラッチ3のクラッチ締結容量は、ステップS10で一定に制御したエンジントルクT1を伝達することができるクラッチ締結容量に一定制御する。これにより、クラッチ締結容量を超えるエンジントルクT1は、第1クラッチ3を介して伝達されない。すなわち、クラッチ締結容量を超えた分のエンジントルクT1は、スリップ差回転により吸収される。
ステップS13では、ステップS11でのスリップ締結状態維持条件不成立との判断に続き、一定制御されているエンジン回転数rpm1を、回転数α2分、上昇させる制御を行う。そして、エンジン回転数rpm1を上昇後のエンジン回転数rpm1とし、ステップS10へ戻る。すなわち、ステップS11において、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2にスリップ差回転数α1を加えた回転数を超えるように、エンジン回転数rpm1を変速機出力軸回転数(車速VSP)に応じて制御する。
ここで、回転数α2は、小さすぎると、目標とするエンジン回転数に達するまでに時間がかかってしまう。反対に、回転数α2は、大きすぎると、目標とするエンジン回転数を大きく超えてしまう場合がある。このため、回転数α2は、オフセットで上げつつ、車両の制御速度に応じて上げる。例えば、車両の制御速度が遅く、エンジン回転数rpm1が直ぐに上がらないような場合は、回転数α2の上げ幅を小さくする。
ステップS14では、ステップS12でのクラッチ締結容量の一定制御に続き、第2クラッチ5をスリップ締結状態から締結に制御して、ステップS15へ進む。
ステップS15では、ステップS14での第2クラッチ5の締結制御に続き、モータ回転数制御から、モータトルク制御に変更し、ステップS16へ進む。
ここで、モータトルクT2と第1クラッチ3のスリップ締結容量により伝達されるエンジントルクT1とを合算した合算トルクが、ドライバの要求駆動トルクになるように、モータトルクT2を制御する。
ステップS16では、ステップS15でのモータトルク制御への変更、ステップS19でのエンジン回転数rpm1の上昇制御、ステップS20での初期エンジン回転数rpm1への変更制御、或いは、ステップS22での触媒暖機制御継続との判断に続き、ベルト式無段変速機6を変速(変速比)制御し、変速機入力軸回転数rpm2を一定に制御して、ステップS17へ進む。すなわち、変速機入力軸回転数rpm2をエンジン回転数rpm1より低い回転数に変速制御して、第1クラッチ3のスリップ差回転を維持する。
ここで、変速比は、車速VSPとアクセル開度APOにより目標変速機入力軸回転数が設定される変速比マップを用いて設定される。
ステップS17では、ステップS16での変速機入力軸回転数rpm2の一定制御に続き、ステップS11と同様に、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かを判断する。YES(スリップ締結状態維持条件成立)の場合はステップS18へ進み、NO(スリップ締結状態維持条件不成立)の場合はステップS19へ進む。なお、変速機出力軸回転数は、このときの値を用いる。
ステップS18では、ステップS17でのスリップ締結状態維持条件成立との判断に続き、2つの条件について判断する。まず、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「初期エンジン回転数rpm1(初期rpm1)−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かを判断する(初期スリップ締結状態維持条件)。次に、「この初期スリップ締結状態維持条件が継続して成立している運転時間(上記運転時間)」が「時間t1」より長いか否かを判断する(初期エンジン回転数変更条件)。そして、YES(初期エンジン回転数変更条件成立)の場合はステップS20へ進み、NO(一方の条件が不成立)の場合はステップS21へ進む。
ここで、初期スリップ締結状態維持条件は、触媒暖機運転中に、変速機出力軸回転数が低下することにより、成立することがある。
また、時間t1のカウントは、初期スリップ締結状態維持条件の成立から起動したタイマー値をセットし、制御周期(例えば、10S)ごとに加算することで演算される。そして、この時間t1は、上記運転時間が時間t1よりも長くなったとき、または、上記運転時間が時間t1よりも長くなる前に初期スリップ締結状態維持条件が不成立になったとき、リセットされる。この時間t1は、長すぎると、ロスが大きくなる。反対に、時間t1は、短すぎると、エンジン回転数rpm1がハンチングする。このため、時間t1は、エンジン回転数rpm1がハンチングしない短い時間に設定する。なお、時間t1のカウント中は、初期エンジン回転数変更条件不成立として、ステップS21へ進む。
ステップS19では、ステップS17でのスリップ締結状態維持条件不成立との判断に続き、ステップS13と同様に、一定制御されているエンジン回転数rpm1を、回転数α2分、上昇させる制御を行う。そして、エンジン回転数rpm1を上昇後のエンジン回転数rpm1とし、ステップS16へ戻る。すなわち、ステップS13と同様に、ステップS17において、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2にスリップ差回転数α1を加えた回転数を超えるように、エンジン回転数rpm1を変速機出力軸回転数(車速VSP)に応じて制御する。
ステップS20では、ステップS18での初期エンジン回転数変更条件成立との判断に続き、現在のエンジン回転数rpm1を、初期エンジン回転数rpm1に変更する制御を行い、ステップS16へ戻る。
ステップS21では、ステップS18での一方の条件が不成立との判断に続き、触媒暖機運転を終了するか否か、すなわち、排気ガス量(排ガスVOL)が触媒暖機必要量(触媒暖機に必要な排気ガス量)より大きいか否かを判断する。YES(触媒暖機運転終了)の場合はステップS23へ進み、NO(触媒暖機運転継続)の場合はステップS22へ進む。
ステップS22では、ステップS21での触媒暖機運転継続との判断に続き、触媒暖機制御を禁止する制御禁止指令が出力されたか否かを判断する。YESの場合(触媒暖機制御禁止)はステップS23へ進み、NO(触媒暖機制御継続)の場合はステップS16へ戻る。
ここで、禁止指令は、触媒暖機運転が維持されると、触媒暖機運転以外の機能要求性能を満足することができなくなる場合に、出力される。「機能要求性能」とは、駆動輪10R,10Lが滑った場合、バッテリSOCが触媒暖機制御による制御を続行することができないほど低い場合、モータトルク以上の駆動力要求があった場合、ベルト式無段変速機6の変速機作動油温の温度が一定以上の場合等である。
ステップS23では、ステップS21での触媒暖機制御終了との判断、或いは、ステップS22での触媒暖機制御禁止との判断に続き、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御を終了して、ステップS24へ進む。
ステップS24では、ステップS23でのエンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御の終了に続き、エンジン回転数rpm1とモータ回転数を同期させて、ステップS25へ進む。
ステップS25では、ステップS24でのエンジン回転数rpm1とモータ回転数の回転数同期に続き、この回転数同期により第1クラッチ3がスリップ締結状態から締結して、ステップS25へ進む。
ステップS26では、ステップS25での第1クラッチ2の締結制御に続き、触媒暖機制御を終了し、横置きエンジン2を実点火して、エンドへ進む。これにより、EV走行モードからHEV走行モードへ移行する。
なお、上記の図2〜図3の制御処理は、EVモードにてハイブリッド車両が発進するときに開始されるが、ハイブリッド車両がEV走行モード中に開始されても良い。ただし、そのとき、図2〜図3の制御処理はステップS2から開始する。
次に、作用を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置における作用を、「触媒暖機制御処理動作」「触媒暖機制御の特徴的作用」、「触媒暖機制御での他の特徴的作用」に分けて説明する。
[触媒暖機制御処理動作]
図2〜図3のフローチャートに基づき、触媒暖機制御処理動作の流れを説明する。以下、「モータトルクと変速の制御中の第1の触媒暖機制御処理動作」と、「モータトルクと変速の制御中の第2の触媒暖機制御処理動作」と、「モータトルクと変速の制御中の第3の触媒暖機制御処理動作」に分けて説明する。
(モータトルクと変速の制御中の第1の触媒暖機制御処理動作)
まず、触媒暖機制御のうち、モータトルク制御中、かつ、ベルト式無段変速機6の変速制御中に、エンジン回転数rpm1が一定の場合(例えば、定速走行の場合)について説明する。
ドライバの操作により、アクセルペダルが踏み込まれると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む。ステップS2では、ドライバの要求駆動力に応じて、モータトルクT2が制御される。ステップS3では、エンジン始動要求が有るか否かが判断される。エンジン始動要求が無い場合には、ステップS2→ステップS3へと進む流れが繰り返される。
次に、ステップS3でエンジン始動要求有りの場合には、図2のフローチャートにおいて、ステップS3からステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む。すなわち、横置きエンジン2を始動するための制御が行われる。ステップS4では、モータトルク制御からモータ回転数制御に変更され、ステップS5では、第2クラッチ5が締結からスリップ締結状態に制御され、ステップS6では、第1クラッチ3が解放からスリップ締結状態に制御され、ステップS7では、横置きエンジン2がモータ/ジェネレータ4により強電始動される。そして、ステップS8では、触媒暖機運転要求が有るか否かが判断される。外気温や車両の走行状態により判断が異なるが、通常、横置きエンジン2が始動された場合には、触媒暖機運転要求が有りと判断され、触媒暖機制御が開始される。
そして、ステップS8で触媒暖機運転要求有りの場合には、図2のフローチャートにおいて、ステップS8からステップS9→ステップS10→ステップS11へと進む。すなわち、ステップS9では、エンジン始動時の初期エンジン回転数rpm1と初期エンジントルクT1の初期値が取得され、ステップS10では、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1が一定に制御される。そして、ステップS11では、「変速機入力軸回転数rpm2」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かが判断される。
このステップS11でのスリップ締結状態維持条件が成立しないと、ステップS11からステップS13へ進む。ステップS13では、一定制御されているエンジン回転数rpm1を、回転数α2分、上昇させる制御が行われる。そして、エンジン回転数rpm1を上昇後のエンジン回転数rpm1とし、ステップS10へ戻る。なお、ステップS11のスリップ締結状態維持条件が成立しない場合とは、変速機出力軸回転数が大きくなる場合である。また、スリップ締結状態維持条件が不成立となる間は、ステップS10→ステップS11→ステップS13へと進む流れが繰り返される。
そして、ステップS11でのスリップ締結状態維持条件が成立すると、図2〜図3のフローチャートにおいて、ステップS11からステップS12→ステップS14→ステップS15→ステップS16→ステップS17へと進む。すなわち、ステップS12では、第1クラッチ3のクラッチ締結容量が一定に制御され、ステップS14では、第2クラッチ5がスリップ締結状態から締結に制御され、ステップS15では、モータ回転数制御からモータトルク制御に変更され、ステップS16では、変速機入力軸回転数rpm2がエンジン回転数rpm1より低い回転数に変速制御され、第1クラッチ3のスリップ差回転が維持される。すなわち、ハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒暖機運転の際、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1が一定に制御され、変速機入力軸回転数rpm2がエンジン回転数rpm1より低い回転数に変速制御され、スリップ差回転が維持されながら、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータトルクT2が制御される。
そして、ステップS17では、「変速機入力軸回転数rpm2」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かが判断される。ここで、エンジンrpm1が一定の場合は、ステップS17のスリップ締結状態維持条件が成立する。
次に、ステップS17でのスリップ締結状態維持条件が成立すると、図3のフローチャートにおいて、ステップS17からステップS18へと進み、ステップ18では、2つの条件について判断される。まず、初期スリップ締結状態維持条件が成立するか否かが判断される。次に、初期エンジン回転数変更条件が成立するか否かが判断される。ここで、エンジンrpm1が一定の場合は、ステップS18の初期スリップ締結状態維持条件も初期エンジン回転数変更条件も成立しない。なお、仮に初期スリップ締結状態維持条件が成立しても、初期エンジン回転数変更条件が成立しない。この初期エンジン回転数変更条件が成立しない場合とは、変速機出力軸回転数が低下して、初期スリップ締結状態維持条件が成立しても、時間t1経過前に変速機出力軸回転数が上昇し、この初期スリップ締結状態維持条件が不成立となる場合である。例えば、定速走行中にドライバのアクセル戻し操作により少し減速した後、すぐにドライバがアクセルペダルを踏み込み、定速走行に復帰した場合である。
そして、ステップS18での初期エンジン回転数変更条件が成立しないと、図3のフローチャートにおいて、ステップS18からステップS21へと進み、ステップS21では、排気ガス量が触媒暖機必要量より大きいか否かが判断される。
しかし、外気温や車両の走行状態により判断は異なるが、触媒暖機には時間(例えば、数十秒から数分)が必要となる。このため、触媒暖機運転から少しの間は、ステップS21では触媒暖機運転継続と判断される。よって、ステップS21での触媒暖機運転終了と判断されるまでは、ステップS21からステップS22へと進む。
次に、ステップS21での触媒暖機運転継続と判断されると、ステップS21からステップS22へ進み、ステップS22では、触媒暖機制御の制御禁止指令が出力されたか否かが判断される。ステップS22で触媒暖機制御継続と判断される場合は、「ステップS21での触媒暖機運転終了との判断」、或いは、「ステップS22での触媒暖機制御禁止との判断」がされるまでは、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21→ステップS22へと進む流れが繰り返される。
そして、「ステップS21での触媒暖機運転終了との判断」、或いは、「ステップS22での触媒暖機制御禁止との判断」がされると、図3のフローチャートにおいて、ステップS21またはステップS22からステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26へと進む。ステップS23では、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御が終了され、ステップS24では、エンジン回転数rpm1とモータ回転数を同期させ、ステップS25では、第1クラッチ3がスリップ締結状態から締結となり、ステップS26では、触媒暖機制御が終了され、横置きエンジン2が実点火されて、エンドへ進む。これにより、EV走行モードからHEV走行モードへ移行する。
(モータトルクと変速の制御中の第2の触媒暖機制御処理動作)
次に、触媒暖機制御のうち、モータトルク制御中、かつ、ベルト式無段変速機6の変速制御中に、エンジン回転数rpm1を上昇させる場合(例えば、加速走行が続く場合)について説明する。
図2〜図3のフローチャートにおいて、ドライバの操作により、アクセルペダルが踏み込まれてから、ステップS17へ進む流れは、上記の「第1の触媒暖機制御処理動作」と同様であるから説明を省略する。
ステップS17では、「変速機入力軸回転数rpm2」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かが判断される。ここで、エンジン回転数rpm1を上昇させる場合は、ステップS17のスリップ締結状態維持条件が成立しない。
このステップS17でのスリップ締結状態維持条件が成立しないと、ステップS17からステップS19へ進む。ステップS19では、一定制御されているエンジン回転数rpm1を、回転数α2分、上昇させる制御が行われる。そして、エンジン回転数rpm1を上昇後のエンジン回転数rpm1とし、ステップS16へ戻る。
これにより、スリップ差回転が維持されるので、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等が、スリップ差回転(スリップ締結状態)により吸収される。このため、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等が前輪10R,10Lに伝達されない。なお、このステップS17のスリップ締結状態維持条件が成立しない場合とは、例えば加速走行が続き、変速機出力軸回転数が大きくなる場合である。また、スリップ締結状態維持条件が不成立となる間は、ステップS16→ステップS17→ステップS19へと進む流れが繰り返される。
次に、ステップS17でのスリップ締結状態維持条件が成立する(例えば、加速走行から定速走行へ移行する)と、図3のフローチャートにおいて、ステップS17からステップS18へと進み、ステップ18では、2つの条件について判断される。まず、初期スリップ締結状態維持条件が成立するか否かが判断される。次に、初期エンジン回転数変更条件が成立するか否かが判断される。ここで、エンジン回転数rpm1を上昇させる場合は、ステップS18の条件が成立しない。なお、ステップS18に関する他の説明は、上記の「第1の触媒暖機制御処理動作」と同様であるから説明を省略する。
そして、ステップS18での初期エンジン回転数変更条件が成立しないと、図3のフローチャートにおいて、ステップS18からステップS21以降へと進む。このステップS18からステップS21以降へと進む流れは、上記の「第1の触媒暖機制御処理動作」と同様であるから説明を省略する。ただし、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21→ステップS22へと進む流れが繰り返される間に、定速走行から再加速走行へ移行する場合には、ステップS16→ステップS17→ステップS19へと進む。
(モータトルクと変速の制御中の第3の触媒暖機制御処理動作)
次に、触媒暖機制御のうち、モータトルク制御中、かつ、ベルト式無段変速機6の変速制御中に、エンジン回転数rpm1を初期エンジン回転数rpm1に変更する制御を行う場合について説明する。
図2〜図3のフローチャートにおいて、ドライバの操作により、アクセルペダルが踏み込まれてから、ステップS17へ進む流れは、上記の「第1の触媒暖機制御処理動作」と同様であるから説明を省略する。
ステップS17では、「変速機入力軸回転数rpm2」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満か否かが判断される。ここで、エンジン回転数rpm1を初期エンジン回転数rpm1に変更する制御を行う場合は、ステップS17のスリップ締結状態維持条件が成立する。
次に、ステップS17でのスリップ締結状態維持条件が成立する(例えば、減速走行が続く)と、図3のフローチャートにおいて、ステップS17からステップS18へと進み、ステップ18では、2つの条件について判断される。まず、初期スリップ締結状態維持条件が成立するか否かが判断される。次に、初期エンジン回転数変更条件が成立するか否かが判断される。ここで、エンジン回転数rpm1を初期エンジン回転数rpm1に変更する制御を行う場合は、ステップS18の初期エンジン回転数変更条件が成立する。なお、触媒暖機制御が継続し、初期スリップ締結状態維持条件が継続して成立となる間であって、「この初期スリップ締結状態維持条件が継続して成立している運転時間」が「時間t1」より長くなるまでは、ステップS18→ステップS21→ステップS22→ステップS16→ステップS17へと進む流れが繰り返される。
このステップS18での初期エンジン回転数変更条件が成立すると、ステップS18からステップS20へと進み、ステップS20では、現在のエンジン回転数rpm1が、初期エンジン回転数rpm1に変更される制御が行われ、ステップS16へ戻る。なお、このステップS18の初期エンジン回転数変更条件が成立する場合とは、変速機出力軸回転数が低下して、初期スリップ締結状態維持条件が成立し、この条件が継続して成立している運転時間が時間t1より長くなる場合である。例えば、定速走行中または加速走行中から、ドライバのブレーキペダル踏込操作により、減速走行へ移行する場合である。
そして、図3のフローチャートにおいて、ステップS20からステップS16へ戻り、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21以降へと進む流れは、上記の「第1の触媒暖機制御処理動作」と同様であるから説明を省略する。
以上、「第1の触媒暖機制御処理動作」と、「第2の触媒暖機制御処理動作」と、「第3の触媒暖機制御処理動作」に分けて説明したが、それぞれの動作において、図3のステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21→ステップS22へと進む流れが繰り返される中で、ステップS17→ステップS19へと進む場合もあるし、ステップS18→ステップS20へと進む場合もある。
次に、図4のタイムチャートに示す動作例に基づき、エンジン回転数rpm1を上昇させる場合(第2の触媒暖機制御処理動作)について説明する。
時刻t1において、ドライバによりイグニッションONされた場合であり、レンジ位置はPレンジである。時刻t1から時刻t2の間は、時刻t1と同様である。
時刻t2において、ドライバによりレンジ位置がPレンジからDレンジに変更される。このとき、アクセル開度APOはゼロなので、車両は発進しない。時刻t2から時刻t3の間は、時刻t2と同様である。
時刻t3において、ドライバによりアクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度APOが徐々に上昇を開始する。このとき、僅かに遅れて、第2クラッチ5が解放から締結に制御される。時刻t3から時刻t4の間は、アクセル開度APOが上昇する。なお、モータトルクT2は、アクセル開度APOに合わせて制御される。この時刻t3が、図2のフローチャートにおいて、START→ステップS1→ステップS2→ステップS3に相当する。
時刻t4になり、アクセル開度APOの上昇により、駆動力要求によりエンジン始動要求有りと判断される。これにより、モータトルク制御からモータ回転数制御に変更される。そして、モータ回転数と変速機入力軸回転数rpm2と車速VSPが徐々に上昇を開始し、車両が発進する。この時刻t4が、図2のフローチャートにおいて、ステップS3の「YES」→ステップS4に相当する。
時刻t4から時刻t5の間において、時刻t4から僅かに遅れて、第2クラッチ5が締結からスリップ締結状態に制御され、次いで第1クラッチ3が解放からスリップ締結状態に制御される。また、目標エンジントルクが出力される。そして、時刻t4から時刻t5の間に、横置きエンジン2を始動させるために、モータ回転数が上昇する。また、アクセル開度APOの上昇により、変速機入力軸回転数rpm2と車速VSPが上昇する。この時刻t4から時刻t5の間が、図2のフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS6に相当する。なお、横置きエンジン2をスタータ始動する場合、時刻t4から時刻t6の間では、第1クラッチ3をスリップ締結状態に制御せず解放とする(図4の破線)。また、第2クラッチ5が締結状態でエンジン始動されても、ショックを受けない場合、時刻t4から時刻t6の間では、第2クラッチ5はスリップ締結状態に制御せず締結を維持する。
時刻t5において、横置きエンジン2がエンジン始動し、これにより触媒温度が上昇を開始する。ただし、ここでは、横置きエンジン2の実点火時期(ADV)が遅角され、横置きエンジン2は実点火されない。また、触媒温度が活性温度に達していないので、触媒暖機運転要求有りと判断され、時刻t5から触媒暖機制御が開始される。このとき、エンジン始動時の初期エンジン回転数rpm1と初期エンジントルクT1の初期値が取得され、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1が一定に制御される。そして、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満になる(スリップ締結状態維持条件成立する)ように、エンジン回転数rpm1を上昇させる制御を開始する。なお、車速VSPが上昇し、ベルト式無段変速機6の変速制御が開始される。この時刻t5が、図2のフローチャートにおいて、ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11に相当する。
時刻t5から時刻t6の間において、「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満になる(スリップ締結状態維持条件成立する)ように、エンジン回転数rpm1を上昇させる。この時刻t5から時刻t6の間が、図2のフローチャートにおいて、ステップS10→ステップS11→ステップS13へと進む流れの繰り返しに相当する。
時刻t6において、スリップ締結状態維持条件が成立する。これにより、スリップ締結状態で、第1クラッチ3のクラッチ締結容量が一定制御され、第2クラッチ5がスリップ締結状態から締結に制御される。また、モータ回転数制御からモータトルク制御に変更される。このモータトルクT2は、モータトルクT2とエンジントルクT1を合算した合算トルクが、ドライバの要求駆動トルクになるように、アクセル開度APOに合わせて制御される。また、第2クラッチ5が締結状態でエンジン始動される場合、継続して、第2クラッチ5は締結状態に維持される。
そして、ベルト式無段変速機6の変速制御(CVT変速比制御)により、変速機入力軸回転数rpm2の一定制御が開始される。なお、図4のエンジン回転数rpm1に示すように、実線(エンジン回転数rpm1)と破線(変速機入力軸回転数rpm2)との差が、スリップ差回転数α1に相当する。この時刻t6が、図2〜図3のフローチャートにおいて、ステップS11の「YES」→ステップS12→ステップS14→ステップS15→ステップS16に相当する。
時刻t6から時刻t7の間において、車速VSPに応じて、ベルト式無段変速機6が変速制御されて、変速機入力軸回転数rpm2が一定に制御されている。また、第1クラッチ3のスリップ差回転(スリップ締結状態)により、第1クラッチ3のベルト式無段変速機側と横置きエンジン2側の差回転が吸収されるので、エンジン回転数rpm1が一定に制御されている。そして、時刻t6から時刻t7の間の後半において、車速VSPが上昇しつつ、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比に近づいている。この時刻t6から時刻t7の間が、図3のフローチャートにおいて、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21→ステップS22へと進む流れの繰り返しに相当する。
時刻t7において、車速VSPが上昇しつつ、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比に近づいたため「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」が「エンジン回転数rpm1−第1クラッチ3のスリップ差回転数α1」未満になる(スリップ締結状態維持条件が成立する)ように、エンジン回転数rpm1を上昇させながら、ベルト式無段変速機6の変速比を最ロー変速比側に変速させる制御を開始する。この時刻t7が、図3のフローチャートにおいて、ステップS17の「NO」→ステップS19へと進む流れに相当する。
時刻t7から時刻t8の間において、エンジン回転数rpm1を上昇させながら、ベルト式無段変速機6の変速比が最ロー変速比側に変速させる制御が行われる。この時刻t7から時刻t8の間が、図3のフローチャートにおいて、ステップS16→ステップS17→ステップS19へと進む流れの繰り返しに相当する。
時刻t8において、スリップ締結状態維持条件が成立すると共に、触媒温度が活性温度(触媒活性温度)に達する。これにより、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の一定制御が終了され、エンジン回転数rpm1とモータ回転数を同期させ、第1クラッチ3がスリップ締結状態から締結する。そして、触媒暖機制御が終了され、横置きエンジン2が実点火される。これにより、EV走行モードからHEV走行モードへ移行する。この時刻t8が、図3のフローチャートにおいて、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS21→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26→エンドへと進む流れに相当する。なお、時刻t5から時刻t8までが触媒暖機制御稼動領域となる。
このように、時刻t5から時刻t8まですなわち触媒温度が活性温度に達するまで、車両走行中にエンジン始動しても、第1クラッチ3のスリップ締結状態が維持されているので、走行状態に左右されずに横置きエンジン2を制御することができる。このため、横置きエンジン2の実点火時期(ADV)を遅らせることができる。これにより、時刻t5から時刻t8までは、横置きエンジン2を実点火させずに、触媒暖機に適したエンジン制御をすることができる最適触媒暖機運転領域となる。また、触媒暖機制御中に横置きエンジン2が実点火されないので、最適触媒暖機運転領域と触媒暖機制御稼動領域が同一となる。したがって、横置きエンジン2と1つのモータ/ジェネレータ4を備えたハイブリッド車両の走行時であっても、触媒暖機運転の際、スリップ締結状態が維持されるので、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができる。
[触媒暖機制御の特徴的作用]
例えば、エンジンとモータ兼発電機と走行用モータを組み合わせたハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両によれば、触媒を暖機するとき(エンジン冷機時)の走行制御は、触媒の早期活性化を図るためにモータ兼発電機によりエンジンが制御され、触媒が暖機される。また、ドライバの要求駆動トルクに応じて、走行用モータのモータトルクが制御される。これらの制御は、触媒の温度が活性温度に達するまで続けられる。
しかし、触媒を暖機するときの走行制御は、エンジンと2つのモータの組み合わせが必要であるから、エンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができない、という課題がある。
このエンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両において、従来から行われている触媒を暖機するときの走行制御を比較例として、図5のタイムチャートに示す。従来の制御では、図5に示すように、イグニッションONされた時刻t11から時刻t13までの車両走行前において、エンジンが実点火されず(エンジン実点火時期のリロード)に触媒暖機を重視するエンジン制御(図5の最適触媒暖機運転領域)が行われる。しかし、時刻t14において車両が走行を開始すると、触媒暖機を重視するエンジン制御から、走行性能を重視するエンジン制御(運転性確保)に変更されるので、エンジン実点火時期(ADV)が進角され、エンジンが実点火される。このため、車両走行中に、触媒暖機に適したエンジン制御を行うことができない。すなわち、従来の制御では、図5に示すように、触媒暖機制御中に横置きエンジン2が実点火されるので、この最適触媒暖機運転領域と触媒暖機制御稼動領域(時刻t11〜時刻t15)が異なる。このように、従来のエンジンと1つのモータを備えたハイブリッド車両では、エンジンと2つのモータを組み合わせたハイブリッド車両のような走行制御を行うことができない。なお、触媒暖機の開始(時刻t11)から触媒の温度が活性温度に達する(時刻t15)までの触媒暖機制御稼動領域では、エンジンにより触媒が暖機される。
これに対し、実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、第1クラッチ3がスリップ締結状態とされつつ、横置きエンジンがエンジン制御される触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータ/ジェネレータ4のモータトルクT2が制御されると共に、ベルト式無段変速機6の変速制御により第1クラッチ3のスリップ締結状態が維持される構成を採用した(図2のステップS8〜図3のステップS26、図4の時刻t5〜時刻t8)。
すなわち、触媒暖機運転の際、スリップ締結状態が維持されるので、走行状態に左右されずに横置きエンジン2を制御することができる。このため、横置きエンジン2のエンジン実点火時期(ADV)を遅らせることができる。これにより、触媒暖機運転の行う際、触媒暖機に適したエンジン制御により、触媒暖機を行うことができる(図4の時刻t5〜時刻t8)。
また、触媒暖機運転の際、スリップ締結状態が維持され、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータトルクT2が制御されるので、触媒暖機に適したエンジン制御を継続しつつ、モータトルク制御により要求駆動トルクに応えることができる。
この結果、横置きエンジン2と1つのモータ/ジェネレータ4を備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができる。
加えて、実施例1では、触媒暖機運転の際、触媒温度が活性温度に達するまでエンジン実点火時期(ADV)を遅らせることができるので、触媒温度が活性温度に達する前に横置きエンジン2が実点火される場合よりも、燃費を抑制することができると共に、触媒2bによる排気性能を抑制することができる。
[触媒暖機制御での他の特徴的作用]
実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒暖機運転の際、エンジン回転数rpm1が一定に制御される構成を採用した(図2のステップS10〜図3のステップS23、図4の時刻t6〜時刻t8)。このため、燃料混合比を一定に維持することができる。
また、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒暖機運転の際、エンジントルクが一定に制御される構成を採用した(図2のステップS10〜図3のステップS23、図4の時刻t6〜時刻t8)。このため、触媒温度をより早く昇温することができる。
したがって、触媒暖機運転の際、燃料混合比を一定に維持することができると共に、触媒温度をより早く昇温することができる。
加えて、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒暖機運転の際、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1が一定に制御され、変速機入力軸回転数rpm2がエンジン回転数rpm1より低い回転数に変速制御され、スリップ差回転が維持される構成を採用した(図2のステップS10〜図3のステップS23、図4の時刻t6〜時刻t8)。
このため、触媒暖機運転を行う際、触媒暖機に適したエンジン制御により、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1が一定に制御され、触媒暖機を行うことができるので、横置きエンジン2を過渡運転しなくて良い。これにより、横置きエンジン2において、触媒暖機運転中の空気量変化による空燃比変化が少なくなり、エンジンアウトエミッションを低減することができ、触媒暖機運転中の排気ガス排出量を少なくすることができる。
実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、モータトルクT2とエンジントルクT1とを合算した合算トルクが要求駆動トルクになるように、モータトルクT2が制御される構成を採用した(図2のステップS15〜図3のステップS26、図4の時刻t6〜時刻t8)。
このため、触媒暖機運転の際、触媒暖機を行いながら、走行性能を維持することができる。
実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2に第1クラッチ3のスリップ差回転数α1を加えた回転数を超えるように、エンジン回転数rpm1が車速VSPに応じて制御される構成を採用した(図3のステップS17〜ステップS20、図4の時刻t7〜時刻t8)。
すなわち、エンジン回転数rpm1が車速VSPに応じて制御されるので、ベルト式無段変速機6の変速比が最ハイ変速比にならない。このため、スリップ差回転が維持される。これにより、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等が、スリップ差回転(スリップ締結状態)により吸収されるので、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等が前輪10R,10Lに伝達されない。
したがって、触媒暖機運転の際、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等が前輪10R,10Lに伝達されないので、運転性が悪化しない。
実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒暖機運転が維持されると、触媒暖機運転以外の機能要求性能を満足することができなくなる場合、制御が禁止されると共に、第1クラッチ3が締結される構成を採用した(図3のステップS22、ステップS25)。
このような場合に、触媒暖機制御手段による制御が禁止されると共に、第1クラッチ3が締結されることによって、横置きエンジン2により車両が走行される(HEV走行)。
したがって、機能要求性能を満足することができる。
実施例1では、触媒暖機制御手段としてのハイブリッドコントロールモジュール81により、触媒温度が活性温度に達すると、触媒暖機運転が終了される(図3のステップS21、ステップS23〜ステップS26、図4の時刻t8)。
すなわち、触媒温度が活性温度に達することにより、触媒2bの排気浄化作用が機能するようになる(排気性能を保つ)。
したがって、触媒暖機運転終了後に横置きエンジン2が実点火された場合、横置きエンジン2から排出される排気ガスを触媒2bにより浄化することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動系にエンジン(横置きエンジン2)とモータ(モータ/ジェネレータ4)を備え、エンジン(横置きエンジン2)とモータ(モータ/ジェネレータ4)との間に摩擦クラッチ(第1クラッチ3)を介装し、モータ(モータ/ジェネレータ4)と駆動輪(前輪10R,10L)との間に無段変速機(ベルト式無段変速機6)を介装したハイブリッド車両において、
エンジン(横置きエンジン2)の排気ガスを浄化する触媒2bと、
エンジン(横置きエンジン2)により、触媒2bの触媒温度を活性温度に触媒暖機する触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)と、を設け、
触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、摩擦クラッチ(第1クラッチ3)をスリップ締結状態としつつ、エンジン(横置きエンジン2)をエンジン制御する触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じてモータ(モータ/ジェネレータ4)のモータトルクT2を制御すると共に、無段変速機(ベルト式無段変速機6)の変速制御により摩擦クラッチ(第1クラッチ3)のスリップ締結状態を維持する(図1〜図4)。
このため、エンジン(横置きエンジン2)と1つのモータ(モータ/ジェネレータ4)を備えたハイブリッド車両の走行時、触媒暖機に適したエンジン制御により触媒暖機を行いながら、ドライバの要求駆動トルクに対応することができる。
(2) 触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、触媒暖機運転の際、エンジン(横置きエンジン2)のエンジン回転数rpm1とエンジントルクT1を一定に制御し、無段変速機(ベルト式無段変速機6)の変速機入力軸回転数rpm2をエンジン回転数rpm1より低い回転数に変速制御して、摩擦クラッチ(第1クラッチ3)のスリップ差回転を維持する(図2〜図4)。
このため、(1)の効果に加え、触媒暖機運転の際、燃料混合比を一定に維持することができると共に、触媒温度をより早く昇温することができる。
(3) 触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、モータトルクT2と摩擦クラッチ(第1クラッチ3)のスリップ締結容量により伝達されるエンジン(横置きエンジン2)のエンジントルクT1とを合算した合算トルクが、要求駆動トルクになるように、モータトルクT2を制御する(図2〜図4)。
このため、(1)または(2)の効果に加え、触媒暖機運転の際、触媒暖機を行いながら、走行性能を維持することができる。
(4) 触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、無段変速機(ベルト式無段変速機6)の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数rpm2に摩擦クラッチ(第1クラッチ3)のスリップ差回転数α1を加えた回転数を超えるように、エンジン回転数rpm1を車速VSPに応じて制御する(図3と図4)。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、触媒暖機運転の際、エンジン回転数rpm1とエンジントルクT1の変動によるショック等前輪10R,10Lに伝達されないので、運転性が悪化しない。
(5) 触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、触媒暖機運転を維持すると、触媒暖機運転以外の機能要求性能を満足することができなくなる場合、制御を禁止すると共に、摩擦クラッチ(第1クラッチ3)を締結する(図3)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、機能要求性能を満足することができる。
(6) 触媒暖機制御手段(ハイブリッドコントロールモジュール81)は、触媒温度が活性温度に達すると、触媒暖機運転を終了する(図3と図4)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、触媒暖機運転終了後に横置きエンジン2が実点火された場合、横置きエンジン2から排出される排気ガスを触媒2bにより浄化することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、無段変速機として、ベルト式無段変速機6とする例を示した。しかしながら、無段変速機としては、トロイダル式無段変速機であっても良い。要するに、無段変速機であれば良い。
実施例1では、FFハイブリッド車両の駆動系に第2クラッチ5を備えた例を示した。しかしながら、触媒暖機制御を行うためには、第2クラッチ5を備えていなくても良い。すなわち、モータ/ジェネレータ4のモータ軸とベルト式無段変速機6の入力軸が直結状態であっても良い。
実施例1では、変速比により制御する例を示した。しかしながら、減速比により制御しても良い。この場合、図3のステップS11、ステップS17とステップS18の「変速機出力軸回転数×最ハイ変速比(ベルト式無段変速機6の最ハイ時の変速比)」を、「変速機出力軸回転数÷最ハイ減速比(最ハイ時の減速比)」とする。
実施例1では、図3のステップS8において、触媒暖機運転要求が有るか否かの判断を、触媒温度が活性温度に達しているか否かにより判断する例を示した。しかしながら、横置きエンジン2の冷却水温度等により判断しても良い。すなわち、この冷却水温度により、横置きエンジン2が冷機状態にある場合には「触媒暖機運転要求有り」と判断され、横置きエンジン2が冷機状態にない場合には「触媒暖機運転要求無し」と判断される。
実施例1では、図3のステップS21において、触媒暖機運転を終了するか否かの判断を、排気ガス量が触媒暖機必要量より大きいか否かにより判断する例を示した。しかしながら、触媒温度が活性温度に達しているか否か等により判断しても良い。すなわち、触媒温度が活性温度に達している場合には「触媒暖機運転終了」と判断され、触媒温度が活性温度に達していない場合には「触媒暖機運転継続」と判断される。
実施例1では、触媒2bを、横置きエンジン2の排気通路2a(排気系)に有する例を示した。しかしながら、触媒2bは、排気ガスを浄化することができれば、実施例1に示した配置に限られない。
実施例1では、ハイブリッド車両として、FFハイブリッド車両とする例を示した。しかしながら、実施例1に示した構成に限られるものではない。例えば、FRハイブリッド車両や4WDハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両に対しても適用しても良い。要するに、エンジンと1モータタイプのハイブリッドシステムであれば良い。
2 横置きエンジン(エンジン)
3 第1クラッチ(摩擦クラッチ)
4 モータ/ジェネレータ(モータ)
10R,10L 前輪(駆動輪)
6 ベルト式無段変速機(無段変速機)
2a 排気通路(排気系)
2b 触媒
81 ハイブリッドコントロールモジュール(触媒暖機制御手段)
rpm1 エンジン回転数
rpm2 変速機入力軸回転数
T1 エンジントルク
T2 モータトルク
α1 スリップ差回転数
VSP 車速

Claims (6)

  1. 駆動系にエンジンとモータを備え、前記エンジンと前記モータとの間に摩擦クラッチを介装し、前記モータと駆動輪との間に無段変速機を介装したハイブリッド車両において、
    前記エンジンの排気ガスを浄化する触媒と、
    前記エンジンにより、前記触媒の触媒温度を活性温度に触媒暖機する触媒暖機制御手段と、を設け、
    前記触媒暖機制御手段は、前記摩擦クラッチをスリップ締結状態としつつ、前記エンジンをエンジン制御する前記触媒暖機を行いながら走行する触媒暖機運転の際、ドライバの要求駆動トルクに応じて前記モータのモータトルクを制御すると共に、前記無段変速機の変速制御により前記摩擦クラッチのスリップ締結状態を維持する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記触媒暖機制御手段は、前記触媒暖機運転の際、前記エンジンのエンジン回転数とエンジントルクを一定に制御し、前記無段変速機の変速機入力軸回転数を前記エンジン回転数より低い回転数に変速制御して、前記摩擦クラッチのスリップ差回転を維持する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記触媒暖機制御手段は、モータトルクと前記摩擦クラッチのスリップ締結容量により伝達される前記エンジンのエンジントルクとを合算した合算トルクが、前記要求駆動トルクになるように、前記モータトルクを制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記触媒暖機制御手段は、前記無段変速機の変速比が最ハイ変速比になるときの変速機入力軸回転数に前記摩擦クラッチのスリップ差回転数を加えた回転数を超えるように、前記エンジン回転数を車速に応じて制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記触媒暖機制御手段は、触媒暖機運転を維持すると、前記触媒暖機運転以外の機能要求性能を満足することができなくなる場合、制御を禁止すると共に、前記摩擦クラッチを締結する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  6. 請求項1から請求項5までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記触媒暖機制御手段は、前記触媒温度が前記活性温度に達すると、前記触媒暖機運転を終了する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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