JP2016036825A - 溶融金属注入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融金属の第1容器1に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔3を経由して溶融金属の第2容器2に注入する溶融金属注入方法において、第1容器内に過剰に溶湯を残留させることなく、第1容器内スラグが第2容器内へ流出することを完全に防止する。【解決手段】第1容器1の底面16から溶融金属表面22までの湯面高さHを計測し、湯面高さHが予め定めた停止湯面高さHCに到達したときに第1容器底面からの溶融金属注入を停止する。第1容器の基準高さ15位置を予め、距離計6を用いて、基準高さ15から底面16までの距離L1、溶湯20を注入している際の基準高さ15からスラグ層上面23までの距離L2を計測し、スラグ層の厚みSを測定しておき、H=L1−L2−Sとして湯面高さHを算出する。【選択図】図3

Description

溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する溶融金属注入方法に関するものであり、特に、連続鋳造において取鍋からタンディッシュに溶融金属を注入する方法に適するものである。
溶融金属、例えば溶鋼を連続鋳造するに際し、精錬炉で精錬を完了した溶鋼を取鍋に収容し、溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入し、その後タンディッシュからさらに連続鋳造鋳型内に溶鋼を注入し、鋳造を行う。ひとつのタンディッシュを用い、複数の取鍋から連続して溶鋼を供給して連続鋳造を行う方法が用いられ、連々鋳あるいは多連鋳と呼ばれている。
取鍋内に収容された溶湯の表面には、スラグ層が形成されていることが多い。取鍋からの溶湯注入の末期において、取鍋底面の注入孔から流出する注入流が溶湯からスラグに変化したところで注入を終了する。この過程で取鍋からタンディッシュ内に流入したスラグは、タンディッシュ表面にスラグ層を形成する。連々鋳によって複数の取鍋から溶湯を注入する場合には、それぞれの取鍋からの注入末期にスラグがタンディッシュ内に流入し、タンディッシュ内のスラグ量は流入したスラグが順次蓄積することとなる。
タンディッシュ内にスラグが流入すると、タンディッシュ内における溶湯中にスラグが懸濁化し、その溶湯が鋳型に注入されて鋳片となるため、製品におけるスラグ系介在物欠陥の要因となることが知られている。特に、複数の取鍋から連続して溶鋼を供給して連続鋳造を行う連々鋳においては、取鍋交換のたびに注入末期に混入するスラグがタンディッシュ内溶鋼に蓄積するため、流入スラグ起因が品質欠陥に及ぼす影響が大きい。従って、取鍋からの溶湯注入末期において、取鍋からタンディッシュへのスラグの流入を抑制することが要請されている。
取鍋からの溶湯注入末期において、取鍋からタンディッシュへのスラグの流入を抑制する方法については、種々の方法が提案され、実用化されている。
取鍋からのスラグの流出を目視観察で検知する方法が一般に採用されている。タンディッシュ内にスラグが流入すると表面にスラグが浮上するので、湯面の輝度や色調の変化によってスラグの流出を判断できる(特許文献1参照)。また、取鍋とタンディッシュの間の注出流を監視できるスペースを設けて、注出流を監視人が目視で監視することも行われる(特許文献2参照)。
特許文献3には、溶融金属流出路の周囲に磁界発生コイルと誘起電圧発生コイルを巻いて、起電圧発生コイルに誘起する誘導電圧の変化により流出路からの溶融金属中に溶融スラグが混入流出しているか否かを検知する溶融スラグの混入検知方法が開示されている。
特許文献4には、溶融金属の排出流の輝度をCCDカメラで測定して輝度信号のヒストグラムを作成し、スラグ流出開始時点を判断する流出スラグの検出方法が開示されている。
特許文献5には、溶融金属をロングノズルを介してタンディッシュに注湯するに際し、ロングノズル支持装置に取り付けた振動加速度計の振動出力の減衰率からスラグ流出の有無を検知し、スラグ流出が検出されたときに注湯を停止する方法が開示されている。スラグ流出と同時に流出流体の比重が急激に低下する結果、振動出力も急激に減衰することを利用したものである。
上記、スラグ流出を目視で観察する方法、電磁的に検出する方法、光学機器を用いる方法、振動測定を行う方法のいずれも、取鍋からスラグが流出開始してからそのスラグ流出を検知する方法であって、スラグ流出を完全に抑制することは原理的に困難である。
特許文献2には、溶融スラグと溶鋼から構成される融体の電気伝導度を、取鍋の電極(第1の電極)とタンディッシュの電極(第2の電極)とで測定することにより、溶鋼の取鍋からの注出にともなって移動する、溶融スラグと溶鋼との界面を検知して、これから注入完了時刻を予想し、完了時刻の前に注出ノズルを閉鎖する方法が開示されている。溶融スラグが取鍋から流出するのを未然に防止できるので、タンディッシュの溶鋼に溶融スラグが混入することがなくなるとしている。しかし、この方法は未だに実用化されるに至っていない。
特許文献1には、取鍋の重量を測定してスラグが流出する確率の低い所定の残湯量に達した段階で注湯を停止する方法が紹介されている。しかしこの方法はばらつきが大きく、スラグ流出を確実に防止しようとすると、取鍋内の残湯量が大きい段階で注湯を停止する必要があり、歩留まりを低下させることとなるため、実用化することができない。
本発明が対象とする溶融金属注入方法では、溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する方法が対象となる。溶鋼の連続鋳造であれば、取鍋が第1容器に対応し、タンディッシュが第2容器に対応する。
特開2007−275938号公報 特開平11−104797号公報 特開平8−33972号公報 特開平10−128526号公報 特開2005−334936号公報
本発明は、溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する溶融金属注入方法において、第1容器内に過剰に溶湯を残留させることなく、第1容器内スラグが第2容器内へ流出することを完全に防止することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する溶融金属注入方法において、
第1容器の底面から溶融金属表面までの距離を湯面高さHとし、第1容器の基準高さ位置を予め定めるとともに、第1容器からの注入を停止する湯面高さを予め定めて「停止湯面高さHC」とし、
第1容器に溶湯を収容する前の前記基準高さから底面までの距離L1を測定するとともに、第1容器に溶湯を収容した後に溶湯表面に形成されているスラグ層の厚みSを測定しておき、
第1容器から第2容器に溶湯を注入している際の基準高さからスラグ層上面までの距離L2を計測し、前記基準高さから底面までの距離L1、スラグ層の厚みSを用いて湯面高さHを算出し、湯面高さHが前記停止湯面高さHCに到達したときに第1容器底面からの溶融金属注入を停止することを特徴とする溶融金属注入方法。
(2)第1容器からの注入を停止する際の湯面高さと第2容器へのスラグ流出量との関係を予め計測し、当該計測結果に基づいて前記停止湯面高さHCを定めることを特徴とする上記(1)に記載の溶融金属注入方法。
(3)前記第1容器が取鍋であり、前記第2容器が連続鋳造タンディッシュであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶融金属注入方法。
(4)前記第1容器に溶湯を収容する前の基準高さから底面までの距離L1の測定、及び、第1容器から溶湯を注入している際の基準高さからスラグ層上面までの距離L2の測定を、マイクロ波センサーを用いて行うことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の溶融金属注入方法。
(5)前記基準高さ位置として、第1容器上端位置を用いることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の溶融金属注入方法。
本発明は、溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する溶融金属注入方法において、第1容器の底面から溶融金属表面までの湯面高さHを計測し、湯面高さHが予め定めた停止湯面高さHCに到達したときに第1容器底面からの溶融金属注入を停止することにより、第1容器内に過剰に溶湯を残留させることなく、第1容器内スラグが第2容器内へ流出することを完全に防止することができる。
距離計で第1容器の基準高さから底面までの距離L1を測定する状況を示す概略断面図である。 第1容器の溶湯表面に形成されているスラグ層の厚みSを測定する状況を示す概略断面図である。 距離計で第1容器の湯面高さHを計測する状況を示す概略断面図である。 第1容器からの注入終了時の湯面高さHEと、タンディッシュ内スラグ厚み増加量Δt、取鍋内残溶鋼量WMとの関係を示す図である。 基準高さとして第1容器静置面を用いたときの距離計と基準高さ位置との距離を計測する状況を示す概略断面図である。 取鍋内のスラグ層厚みSと注入終了時取鍋内残留物重量WEとの関係を示す図である。 連々鋳のチャージ順番と、タンディッシュ内スラグ層厚みtの推移を示す図である。
前述のとおり、本発明が対象とする溶融金属注入方法では、溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する方法が対象となる。溶鋼の連続鋳造であれば、取鍋が第1容器に対応し、タンディッシュが第2容器に対応する。以下、鋼の連続鋳造の場合であって、第1容器が取鍋、第2容器がタンディッシュである事例に基づいて説明する。
取鍋(第1容器)底面から溶鋼(溶融金属)表面までの距離を湯面高さHとする。取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入終了時期を正確に把握し、取鍋内に過剰に溶鋼を残留させることなく、取鍋内スラグがタンディッシュ内へ流出することを完全に防止するため、溶鋼注入終了時期検出指標として、上記湯面高さHが有効ではないかと着想した。しかし、注入中において取鍋内溶鋼の湯面高さHを直接計測する手段は存在しない。
取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入中において、例えば取鍋1の上方にマイクロ波距離計のような距離計6Bを配置し、距離計6Bから取鍋内容物表面(スラグ層上面23)までの距離X2を測定することができる(図3)。また、取鍋の整備が完了して取鍋内に溶鋼を収容する前の段階で、取鍋の上方に同じく距離計6Aを設置し、距離計6Aから取鍋底面16までの距離X1を測定することができる(図1)。
次に、取鍋の基準高さ位置を定める。例えば、取鍋上端位置、取鍋が取鍋受け座と接触する取鍋静置面などを、基準高さ位置とすることができる。図1〜3は取鍋上端10位置を基準高さ15位置とした場合であり、図5は取鍋静置面12を基準高さ15位置とした場合である。以下、取鍋上端位置を基準高さ位置とした場合について説明する。溶鋼注入中について、取鍋上方の距離計6Bから基準高さ位置(取鍋上端10)までの距離Y2を予め求めることができる(図3)。また、取鍋底面計測時について、取鍋上方の距離計6Aから基準高さ位置(取鍋上端10)までの距離Y1を予め求めることができる(図1)。
溶鋼注入中について、溶鋼表面には図3に示すようにスラグ層21が存在するため、取鍋内容物表面は溶鋼表面22ではなく、スラグ層上面23である。そのため、距離計6Bから溶鋼表面23までの距離を直接計測することはできず、距離計6Bからスラグ層上面23までの距離X2が計測される。そこで本発明では、取鍋に溶鋼を収容した後に溶鋼表面に形成されているスラグ層の厚みSを計測することとして、この問題を解決した。例えば、精錬炉から取鍋内に溶鋼を出鋼した後、連続鋳造前にRH真空脱ガスなどの二次精錬が行われるときには、二次精錬処理において、取鍋内溶鋼表面のスラグ層厚みを計測することができる。具体的には、図2に示すように、スラグ厚み測定ジグ7として金属棒を準備し、スラグ層上面から溶鋼領域まで達するように金属棒を挿入し、所定時間経過後にその金属棒を引き上げれば、金属棒においてスラグが付着した部分の長さがスラグ層の厚みSとして検出することができる。
以上の準備のもと、湯面高さHの算出を行う。まず、取鍋に溶鋼を収容する前の基準高さ15から底面16までの距離L1については、図1に示すように、距離計6Aから取鍋底面16までの距離X1として計測した値から、予め求めた距離計6Aから基準高さ15位置までの距離Y1を引くことにより、求めることができる。次に、取鍋から溶鋼を注入している際の基準高さ15からスラグ層上面23までの距離L2は、図3に示すように、距離計6Bからスラグ層上面23までの距離X2として計測した値から、予め求めた距離計6Bから基準高さ15までの距離Y2を引くことにより、求めることができる。そして、湯面高さHは、基準高さ15から底面16までの距離L1から、基準高さ15からスラグ層上面23までの距離L2を引き、さらにその値からスラグ層厚みSを引くことによって求めることができる。即ち、
1=X1−Y1
2=X2−Y2
H=L1−L2−S
として湯面高さHを求めることができる。
鋼の連続鋳造において、距離計6としてマイクロ波センサーを用い、基準高さ15位置として取鍋上端10を用い、上記方法を採用して取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼注入中に湯面高さHを計測した(図3参照)。取鍋形状は容器内高さが3.5m、内径が2.3m、内容積が13〜15m2である。取鍋容量は70〜80トンで、溶鋼(S35C)を収容している。マイクロ波センサーの使用周波数は32MHzである。取鍋底面の注入孔3のオンオフ弁としてスライディングノズル5を用いている。取鍋底面の注入孔3とタンディッシュ2内溶鋼との間の注入流はロングノズル4によって外気と遮断している。注入末期に取鍋スライディングノズル5を遮断した時点での湯面高さHEを計測した。
転炉で精錬を行った溶鋼を取鍋に収容し、二次精錬としてVAD処理、RH処理を行い、連続鋳造を経る処理工程にて試験を実施した。取鍋内スラグ厚みSは、RH処理工程において図2に示す前記方法によって計測した。
取鍋底面計測用の距離計6Aは転炉に設置している。取鍋上方の距離計6Aから基準高さ15位置(取鍋上端)までの距離Y1については、図面上の値として予め求めた。また、注入中の取鍋内容物表面位置測定用の距離計6Bは連続鋳造に設置している。取鍋上方の距離計6Bから基準高さ15位置(取鍋上端)までの距離Y2については、図面上の距離値として予め求めた。
取鍋に溶鋼を収容する前の基準高さから底面16までの距離L1については、距離計6Aから取鍋底面16までの距離X1として計測した値から、
1=X1−Y1
として求めた。次に、取鍋1から溶鋼を注入している際の基準高さからスラグ層上面23までの距離L2は、距離計6Bからスラグ層上面23までの距離X2として計測した値から、
2=X2−Y2
として求めた。そして、湯面高さHは、
H=L1−L2−S
として求めた。
鋳造中の取鍋全重量を計測し、取鍋全重量から空の取鍋重量を差し引いた内容物重量Wを算出するとともに、注入終了後の取鍋内残留物重量WEを求めた。取鍋内スラグ厚みSからスラグ重量を算出し、取鍋内残留物重量WEからスラグ重量を差し引くことにより、取鍋内残溶鋼重量WMを求めた。スラグ重量の算出に当たっては、取鍋内溶鋼表面積とスラグ厚みSをかけることによってスラグ容積を算出し、スラグ比重を3としてスラグ重量を算出した。
連々鋳を行い、各取鍋からタンディッシュへの注入途中の定常状態において、タンディッシュ内溶鋼表面のスラグ厚みtを計測した。計測方法は、取鍋内スラグ厚みSの計測方法と同様、タンディッシュ内溶鋼表面のスラグ層24上面から溶鋼領域まで達するように金属棒を挿入し、所定時間経過後にその金属棒を引き上げ、金属棒においてスラグが付着した部分の長さをスラグ層24の厚みtとした。連々鋳が進行して各取鍋の注入末期スラグ混入が発生するたびに、スラグ厚みtは蓄積して増大する。今回チャージのスラグ層厚みと次回チャージのスラグ層厚みとの差Δtが、今回チャージで流出するスラグに起因するスラグ厚みとなる。連々鋳の最終チャージについては、次チャージが存在しないので、最終チャージの流出スラグに起因するスラグ厚みを計測することができない。
取鍋からの溶鋼注入を停止する判断について、従来からの方法1として、タンディッシュ内の溶鋼表面にスラグが浮上したのを目視観察して停止する方法を採用した。表1の比較例5〜10は、一連の連々鋳であり、方法1によって注入終了判定を行っている。また、従来からの方法2として、鋳造中の取鍋全重量を計測し、取鍋全重量から空の取鍋重量を差し引いた内容物重量Wを算出し、内容物重量Wが2.5トンとなった時点で溶鋼注入を停止する方法を採用した。表1の比較例11〜14は、一連の連々鋳であり、方法2によって注入終了判定を行っている。
表1の比較例5〜14に、注入終了時の湯面高さHE、取鍋内残留物重量WE、取鍋内残溶鋼重量WM、タンディッシュ内スラグ厚みt、チャージごとのスラグ厚み増加量Δtを含め、評価結果を示している。また、注入終了時の基準高さからスラグ層上面23までの距離をL2Eとして記載している。
Figure 2016036825
同じ評価結果を用い、図4において、横軸に注入終了時の湯面高さHE、縦軸(左側)をタンディッシュ内のチャージごとスラグ厚み増加量Δt(方法1を▲、方法2を▼で表記)、縦軸(右側)を取鍋内残溶鋼重量WM(方法1を■、方法2を◆で表記)としてデータをプロットした。図4から明らかなように、スラグ厚み増加量Δtは、注入終了時の湯面高さHEが38mm以上ではゼロであり、湯面高さHEが38mm未満となるとHEの減少に伴って増大することが明らかである。一方取鍋内残溶鋼重量WMは、注入終了時の湯面高さHEの減少に伴って直線的に減少している。
上記データに基づき、取鍋からの注入停止を湯面高さHに基づいて制御することとした。そして取鍋からの注入を停止する湯面高さ(停止湯面高さHC)を38mmと定め、一連の連々鋳において試験を行った。結果を表1の発明例1〜4、及び図4(Δtを○、WMを□)に示す。
発明例1〜4から明らかなように、発明例1〜3のタンディッシュ内スラグ厚み増加量Δtはいずれも0mmであり、取鍋からのスラグ流出を防止することができた。取鍋内残溶鋼重量WMは1.1トン程度で安定している。これに対して、スラグ浮上を目視観察して注入停止する従来の方法1は、取鍋内残溶鋼重量WM(図4の■)は低減するものの、タンディッシュ内スラグ厚み増加量Δt(取鍋からのスラグ流出量)(図4の▲)が大きな値となる。また、内容物重量Wが2.5トンとなった時点で溶鋼注入を停止する従来の方法2では、ばらつきが大きく、取鍋内残溶鋼重量WMが過大となる場合(比較例14)、判断が遅れてスラグ流出に至る場合(比較例13)などが見られた。
以上の結果に基づき、本発明は、溶融金属の第1容器1(例えば取鍋)に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔3を経由して溶融金属の第2容器2(例えばタンディッシュ)に注入する溶融金属注入方法において、第1容器1の底面16から溶融金属表面22までの距離を湯面高さHとし、第1容器の基準高さ15位置を予め定めるとともに、第1容器からの注入を停止する湯面高さを予め定めて「停止湯面高さHC」とし、第1容器1に溶湯を収容する前の基準高さ15から底面16までの距離L1を測定するとともに、第1容器に溶湯を収容した後に溶湯表面に形成されているスラグ層21の厚みSを測定しておき、第1容器1から溶湯を注入している際の基準高さ15からスラグ層上面23までの距離L2を計測し、基準高さ15から底面16までの距離L1、スラグ層の厚みSを用いて湯面高さHを算出し、湯面高さHが前記停止湯面高さHCに到達したときに第1容器底面からの溶融金属注入を停止する。これにより、第1容器からの注入停止時期を最適化することができ、第1容器からのスラグ流出を防止しつつ、第1容器に残留する溶湯重量を最小化することができる。
ここにおいて、停止湯面高さHCについては、第1容器からの注入を停止する際の湯面高さと第2容器へのスラグ流出量との関係を予め計測し、当該計測結果に基づいて定めることとすると好ましい。
前述のとおり、第1容器が取鍋であり、前記第2容器が連続鋳造タンディッシュであるときに、本発明の効果を特に有効に発揮することができる。その他、第1容器が転炉であり、第2容器が取鍋である場合もしくは、第1容器、第2容器が共に取鍋である場合においても本発明を適用して効果を発揮することができる。
第1容器に溶湯を収容する前の基準高さから底面までの距離L1の測定、及び、第1容器から溶湯を注入している際の基準高さからスラグ層上面までの距離L2の測定を行う距離計6として、マイクロ波センサーを用いて行うと好ましい。距離計としては他に、X線距離計、光学式距離計、赤外線距離計を用いることができる。
第1容器の基準高さ位置として、上記実施の形態では第1容器上端位置を用いている。第1容器の基準高さ位置としては他に、図5に示すように、第1容器1が受け座13と接触する支持部材11の第1容器静置面12を用いることができる。取鍋底面計測用の距離計6A、注入中の注入中の取鍋内容物表面位置測定用の距離計6Bのいずれも、当該箇所に取鍋を載置する前に、図5(a)に示すように距離計6と受け座の表面14との距離を計測しておく。その後、取鍋1の支持部材11を受け座13に載置すると、受け座の表面14と第1容器静置面12とが接触するので、前記測定した距離が、距離計6と第1容器静置面12との距離、即ち距離計6と基準高さ15位置との距離(X1、X2)に対応することとなる。
なお、図6、図7に、前記表1に記述したデータのプロットを記載する。本発明1〜4の本発明例が◇、従来の方法1の比較例5〜10が●、従来の方法2の比較例11〜14が▲である。
図6は、横軸を取鍋内スラグ厚みS、縦軸を注入終了時の取鍋内残留物重量WEとして、表1のデータをプロットした。本発明1〜4のプロットを直線で結んだときのy軸切片が約1.1トンである。一方、前述のとおり、スラグ比重を3として取鍋内溶鋼表面積とスラグ厚みSからスラグ重量を算出し、取鍋内残留物重量WEからスラグ重量を差し引いて取鍋内残溶鋼量WMを算出し、表1に示している。本発明1〜4はいずれも取鍋内言溶鋼量WMが1.1トンとなっており、図6の本発明例(◇)のy軸切片の値と一致していることがわかる。
図7には、横軸に連々鋳のチャージ順番をとり、縦軸にタンディッシュ内スラグ厚みtをとって、それぞれの連々鋳(本発明1〜4、比較例5〜10、比較例11〜14)をプロットした。
1 第1容器(取鍋)
2 第2容器(タンディッシュ)
3 注入孔
4 ロングノズル
5 スライディングノズル
6 距離計
7 スラグ層厚み測定ジグ
10 取鍋上端
11 支持部材
12 第1容器静置面
13 受け座
14 受け座の表面
15 基準高さ
16 底面
20 溶湯
21 スラグ層
22 溶融金属表面(溶鋼表面)
23 スラグ層上面
24 スラグ層

Claims (5)

  1. 溶融金属の第1容器に収容した溶湯を、第1容器底面の注入孔を経由して溶融金属の第2容器に注入する溶融金属注入方法において、
    第1容器の底面から溶融金属表面までの距離を湯面高さHとし、
    第1容器の基準高さ位置を予め定めるとともに、第1容器からの注入を停止する湯面高さを予め定めて「停止湯面高さHC」とし、
    第1容器に溶湯を収容する前の前記基準高さから底面までの距離L1を測定するとともに、第1容器に溶湯を収容した後に溶湯表面に形成されているスラグ層の厚さSを測定しておき、
    第1容器から第2容器に溶湯を注入している際の基準高さからスラグ層上面までの距離L2を計測し、前記基準高さから底面までの距離L1、スラグ層の厚みSを用いて湯面高さHを算出し、
    湯面高さHが前記停止湯面高さHCに到達したときに第1容器底面からの溶融金属注入を停止することを特徴とする溶融金属注入方法。
  2. 第1容器からの注入を停止する際の湯面高さと第2容器へのスラグ流出量との関係を予め計測し、当該計測結果に基づいて前記停止湯面高さHCを定めることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属注入方法。
  3. 前記第1容器が取鍋であり、前記第2容器が連続鋳造タンディッシュであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属注入方法。
  4. 前記第1容器に溶湯を収容する前の基準高さから底面までの距離L1の測定、及び、第1容器から溶湯を注入している際の基準高さからスラグ層上面までの距離L2の測定を、マイクロ波センサーを用いて行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融金属注入方法。
  5. 前記基準高さ位置として、第1容器上端位置を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の溶融金属注入方法。
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