JP5713840B2 - 真空上注ぎ鋳造の終了方法 - Google Patents
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Description
このような真空上注ぎ鋳造方法において、鋳型内に注入した溶鋼の鋳込状態(例えば、鋳型内におけるリアルタイムの溶鋼の鋳込重量や鋳込高さなど)がどのようになっているか監視することは、歩留などを向上するためにも非常に重要なことである。鋳型に溶鋼を注入している状況下で湯面レベルを監視する技術として特許文献1に示すものがある。
真空上注ぎ鋳造方法における溶鋼の鋳込み終了を判定するものではないが、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する技術として特許文献2及び特許文献3に示すものがある。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、第1容器内の溶鋼を第1容器の下側に設置した第2容器内に注入し、第2容器に注入した溶鋼を当該第2容器の下側に設置した真空装置内の鋳型に注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造にて、鋳型への溶鋼の鋳込状態を監視するにあたっては、第1容器の重量と第2容器内の湯面レベルとに基づいて鋳型への鋳込量を求める鋳込量算出工程と、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する湯面レベル測定工程と、鋳込量算出工程で求めた鋳込量と湯面レベル測定工程で求めた湯面レベルの少なくともいずれか一方を用いて鋳込状態を監視する鋳込状態監視工程と、を有しており、前記鋳込状態監視工程は、溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定でき、且つ第2湯面レベルの変動幅が所定値以下である際には、測定された第2湯面レベルから前記鋳型の残り高さを求め、求めた残り高さが所定範囲内であれば、前記鋳型への鋳込を終了することとし、溶鋼を
前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定できない、又は第2湯面レベルの変動幅が所定値より大きい際には、前記鋳型における目標溶鋼重量から現在の鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残り溶鋼重量を求め、求めた残り溶鋼重量が所定範囲内であれば、鋳込を終了するものとされていることを特徴とする。
鋳込量算出工程では、第1容器から第2容器へ注入された溶鋼重量と、第2容器内の湯面レベルから算出された第2容器内の溶鋼重量とから、鋳型への鋳込量を求めることを特徴とする。
まず、真空上注ぎ鋳造装置について説明する。
クレーン8には吊り下げた親鍋3の重量を測定するための重量測定器(ロードセル)10が設けられており、このロードセル10によって親鍋3の重量が測定できるようになっている。ロードセル10で測定した測定値(重量)は、操作室等に設置されたコンピュータ11に出力されるようになっている。
中間鍋4には、当該中間鍋4に注入された溶鋼2の湯面レベル(湯面の高さ)を測定する第1レベル測定器15が設けられている。この第1レベル測定器15は、溶鋼2に接触せずに湯面レベルを測定する非接触型のもので、溶鋼2との距離をレーザ光によって測定するレーザ距離計16と、このレーザ距離計16から出射したレーザ光又は溶鋼2から反射したレーザ光を反射する反射板17とを備えている。レーザ距離計16は、中間鍋4の外側に設置され、反射板17は中間鍋4の上方に設置されている。これにより、レーザ距離計16は、溶鋼2などの輻射熱の影響が少なく、離れた箇所からでも中間鍋4内の溶鋼2の湯面レベル(第1湯面レベルということがある)を測定することができ、この第1湯面レベルは、コンピュータ11に出力されるようになっている。
真空装置5には、鋳型6に注入された溶鋼2の湯面レベルを測定する第2レベル測定器19が設けられている。この第2レベル測定器19は、溶鋼2に接触せずに湯面レベルを測定する非接触型のもので、溶鋼2との距離をマイクロ波によって測定するマイクロ波レベル計から構成されている。このマイクロ波レベル計19は、上蓋13の外側に設置されて、上蓋13から鋳型6内の溶鋼2にマイクロ波を出射することにより、鋳型6内の湯面レベル(第2湯面レベル)を測定することができ、この第2湯面レベルは、コンピュータ11(プロコンなど)に出力されるようになっている。
[真空上注ぎ鋳造の監視方法]
このような真空上注ぎ鋳造装置1を用いて溶鋼2の鋳込みを行うにあたっては、まず、電気炉又は転炉などの精錬炉で出鋼した溶鋼2が装入された親鍋3を鋳造ステーションに移動させる。そして、親鍋3内の溶鋼2を、第1ノズルを介して当該親鍋3の下側に設置した中間鍋4に注入する。また、中間鍋4内の溶鋼2を、第2ノズル14を介して当該中間鍋4の下側に設置した鋳型6に注入する。中間鍋4内の溶鋼2を鋳型6に注入する際には、真空装置5(真空タンク12)を真空状態にする。このように、溶鋼2を鋳型6内に注入して溶鋼2の鋳込みを行っている間は、鋳型6内の溶鋼2がどのような状態になっているか知るために、溶鋼2の鋳込状態を監視する。
本発明においては、鋳込量算出工程にて鋳型6に鋳込んだ溶鋼2の鋳込量を求める一方で、湯面レベル測定工程にて鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを測定し、これら鋳込量と第2湯面レベルとの少なくともいずれか一方を用いて溶鋼2の鋳込状態を監視することとしている。
ステップ1及びステップ2(初期設定)では、今回のチャージによる中間鍋4の大きさ(内径、高さ)等が決定し、後述するように、中間鍋4の大きさとレーザ距離計16による第1湯面レベルとから、中間鍋4内の溶鋼重量を求めることができる。
図3のステップ10〜ステップ13は、鋳造(造塊)を開始してから鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを求めるまでの流れ(湯面レベル測定工程)を示したものである。第2湯面レベルを測定するマイクロ波レベル計19は真空タンク12の上部に設けられているため、第2湯面レベルを求めるにあたっては真空タンク12や鋳型6の大きさ等が必要であるため、まず、ステップ10では、真空タンク12や鋳型6の種類を設定する。図5に示すように、ステップ11では、設定された真空タンク12や鋳型6によってタンク深さ、定盤20の高さ、マイクロ波レベル計19の角度θを決定する。
ステップ13にて、ステップ10で予め設定されたタンク深さ、定盤20の高さ及びマイクロ波レベル計19の角度θから第2湯面レベルを算出する。例えば、第2湯面レベルを、「第2湯面レベル=タンク深さ−湯面距離−定盤の高さ」にて求める。湯面距離は、「湯面距離=測定距離×マイクロ波レベル計19の角度θ」である。なお、図5に示すように、計算に用いるタンク深さは、「タンク深さ=マイクロ波レベル計19から鋳型6の底部(定盤20の上面)までの垂直距離+定盤20の高さ」とするとよい。
[真空上注ぎ鋳造の終了方法]
さて、上述したように、鋳込の終了を判定するためには、鋳型6内の溶鋼2の鋳込状態を知る必要がある。
このよく用いられている手法では、所定長さの下り棒を用意し、この下り棒を鋳型6の上端(押湯部22の上端)に吊して、吊した下り棒の先端部が鋳込み終了の位置となるようセッティングする。そして、溶鋼2の鋳込み中には、真空タンク12の上蓋13に設けた覗き窓から鋳型6内の溶鋼2の第2湯面が下り棒の先端部に達しているかどうかを目視し、目視にて鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルが下り棒の先端に達したときに鋳込の終了と判定する。
ステップ20では、溶鋼2を鋳型6に鋳込んでいる間において、第2湯面レベルが測定できていて第2湯面レベルを用いて、残りの湯面レベル(残り高さ)が求められる状況であるか否かを判定する。残り高さは、鋳込の終了となる目標湯面レベルから現状の第2湯面レベルを差し引くことによって求めることができる。
ステップ22では、ステップ20で求めた残り高さが所定範囲内であるか否かの判定を行い、残り高さが所定範囲内であれば(ステップ22、YES)であれば、ステップ23に進み、鋳込を終了する。例えば、ステップ22において、残り高さ≦0mm(所定範囲内)であると、ステップ23に進み、中間鍋4から鋳型6への溶鋼2の注入を停止して、鋳込を終了する。
一方、ステップ22において、残り高さが所定範囲内ではなく、第2湯面レベルが目標湯面レベルから離れている状況下では、再び第2湯面レベルを測定して処理を繰り返す。
ステップ24では、鋳込量算出工程にて求めた鋳込量が溶鋼重量(目標重量)に達しているか否かを知るために、目標重量から鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残りの溶鋼重量(残り溶鋼重量という)を求める。ステップ25では、ステップ24で求めた残り溶鋼重量が、所定範囲内であるか否かの判定を行い、残り溶鋼重量が所定範囲内であれば(ステップ25、YES)であれば、ステップ23に進み、鋳込を終了する。例えば、ステップ25において、残り溶鋼重量≦0kg(所定範囲内)であると、ステップ23に進み、中間鍋4から鋳型6への溶鋼2の注入を停止して、鋳込を終了する。
また、上述した実施形態において、鋳込量算出工程による鋳込量の算出や湯面レベル測定工程による第2湯面レベルの測定のタイミングは、特に限定されない。例えば、溶鋼2を鋳込む前半〜中盤までの間は、鋳込量だけを求めて鋳込状態を監視することとし、中盤から後半となった時点で第2湯面レベルと鋳込量との両方を求めて鋳込状態を監視してもよい。
2 溶鋼
3 第1容器(親鍋)
4 第2容器(中間鍋)
5 真空装置
6 鋳型
7 第1ノズル
8 クレーン
10 ロードセル
11 コンピュータ
12 真空タンク
13 上蓋
14 第2ノズル
15 第1レベル測定器
16 レーザ距離計
17 反射板
18 排気口
19 第2レベル測定器
20 定盤
21 本体部
22 押湯部
Claims (3)
- 第1容器内の溶鋼を第1容器の下側に設置した第2容器内に注入し、第2容器に注入した溶鋼を当該第2容器の下側に設置した真空装置内の鋳型に注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造にて、鋳型への溶鋼の鋳込状態を監視するにあたっては、
第1容器の重量と第2容器内の湯面レベルとに基づいて鋳型への鋳込量を求める鋳込量算出工程と、
鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する湯面レベル測定工程と、
鋳込量算出工程で求めた鋳込量と湯面レベル測定工程で求めた湯面レベルの少なくともいずれか一方を用いて鋳込状態を監視する鋳込状態監視工程と、
を有しており、
前記鋳込状態監視工程は、
溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定でき、且つ第2湯面レベルの変動幅が所定値以下である際には、測定された第2湯面レベルから前記鋳型の残り高さを求め、求めた残り高さが所定範囲内であれば、前記鋳型への鋳込を終了することとし、
溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定できない、又は第2湯面レベルの変動幅が所定値より大きい際には、前記鋳型における目標溶鋼重量から現在の鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残り溶鋼重量を求め、求めた残り溶鋼重量が所定範囲内であれば、鋳込を終了するものとされている
ことを特徴とする真空上注ぎ鋳造の終了方法。 - 鋳込量算出工程では、
第1容器の重量をロードセルにより測定すると共に、第2容器内の溶鋼の湯面レベルを非接触型の測定器で測定することを特徴とする請求項1に記載の真空上注ぎ鋳造の終了方法。 - 鋳込量算出工程では、
第1容器から第2容器へ注入された溶鋼重量と、第2容器内の湯面レベルから算出された第2容器内の溶鋼重量とから、鋳型への鋳込量を求めることを特徴とする請求項2に記
載の真空上注ぎ鋳造の終了方法。
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