JP5713840B2 - 真空上注ぎ鋳造の終了方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空装置内の鋳型に向けて上方から溶鋼を注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造の終了方法に関する。
従来より、真空装置内の鋳型に向けて上方から溶鋼を注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造方法というものがある。
このような真空上注ぎ鋳造方法において、鋳型内に注入した溶鋼の鋳込状態(例えば、鋳型内におけるリアルタイムの溶鋼の鋳込重量や鋳込高さなど)がどのようになっているか監視することは、歩留などを向上するためにも非常に重要なことである。鋳型に溶鋼を注入している状況下で湯面レベルを監視する技術として特許文献1に示すものがある。
特許文献1では、真空溶解炉ののぞき窓と、のぞき窓外部に設けられたカメラとを結ぶ光学経路途中に、入射光の一部を別の方向に反射させる鏡を設け、この反射光を測定するために別のカメラを設け、一方のカメラを炉内の監視用とし、他方のカメラを溶湯レベル測定用とし、これら2つのカメラを用いて溶湯レベル(湯面レベル)を測定している。
真空上注ぎ鋳造方法における溶鋼の鋳込み終了を判定するものではないが、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する技術として特許文献2及び特許文献3に示すものがある。
特開昭62−084861号公報 特開昭54−102242号公報 特開昭50−129427号公報
特許文献1は、鋳型内の溶鋼をカメラにて撮像して撮像した画像を解析することによって湯面レベルを測定するものであるが、鋳込み時には、溶鋼の飛び散り(スプラッシュ)や発煙などの影響が大であり、カメラで撮像した画像を用いて湯面レベルを正確に求めることは非常に難しいのが実情である。また、特許文献2や特許文献3はカメラではなく非接触センサを用いて湯面レベルを求めているものの、これらに開示された技術を用いたとしても、溶鋼の飛び散りなどが激しい状況下にある真空上注ぎ鋳造では、正確に湯面レベルを求めることは非常に難しいのが実情である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、鋳込む真空上注ぎ鋳造において鋳込み終了を正確に行うことができる真空上注ぎ鋳造の終了方法を提供することを目的とする。
目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、第1容器内の溶鋼を第1容器の下側に設置した第2容器内に注入し、第2容器に注入した溶鋼を当該第2容器の下側に設置した真空装置内の鋳型に注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造にて、鋳型への溶鋼の鋳込状態を監視するにあたっては、第1容器の重量と第2容器内の湯面レベルとに基づいて鋳型への鋳込量を求める鋳込量算出工程と、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する湯面レベル測定工程と、鋳込量算出工程で求めた鋳込量と湯面レベル測定工程で求めた湯面レベルの少なくともいずれか一方を用いて鋳込状態を監視する鋳込状態監視工程と、を有しており、前記鋳込状態監視工程は、溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定でき、且つ第2湯面レベルの変動幅が所定値以下である際には、測定された第2湯面レベルから前記鋳型の残り高さを求め、求めた残り高さが所定範囲内であれば、前記鋳型への鋳込を終了することとし、溶鋼を
前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定できない、又は第2湯面レベルの変動幅が所定値より大きい際には、前記鋳型における目標溶鋼重量から現在の鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残り溶鋼重量を求め、求めた残り溶鋼重量が所定範囲内であれば、鋳込を終了するものとされていることを特徴とする。
鋳込量算出工程では、第1容器の重量をロードセルにより測定すると共に、第2容器内の溶鋼の湯面レベルを非接触型の測定器で測定することを特徴とする。
鋳込量算出工程では、第1容器から第2容器へ注入された溶鋼重量と、第2容器内の湯面レベルから算出された第2容器内の溶鋼重量とから、鋳型への鋳込量を求めることを特徴とする。
本発明によれば、真空上注ぎ鋳造において、鋳込み終了を正確に行うことができる。
真空上注ぎ鋳造装置の全体図である。 鋳造開始から鋳込量を求めるまでの流れを示したフローチャトである。 鋳造開始から第2湯面レベルを求めるまでの流れを示したフローチャトである。 鋳込状態監視工程と鋳込み終了を示したフローチャトである。 真空タンクの深さ(タンク深さ)、定盤の高さ、マイクロ波レベル計の角度の関係図である。
以下、真空上注ぎ鋳造の監視方法及び真空上注ぎ鋳造の終了方法について図を基に説明する。本発明の真空上注ぎ鋳造の監視方法は、真空上注ぎ鋳造装置にて溶鋼の鋳込みを行っている状況下にて、鋳型内におけるリアルタイムの溶鋼の鋳込重量や鋳込高さなどの所謂、鋳込状態を監視するものである。
まず、真空上注ぎ鋳造装置について説明する。
図1に示すように、真空上注ぎ鋳造装置1は、上流工程にて精錬処理を行った溶鋼2が装入された第1容器3と、この第1容器3の下側に設置され且つ第1容器3内の溶鋼2が注入される第2容器4と、この第2容器4の下側に設置された真空装置5内に設けられ且つ第2容器4内の溶鋼2が注入される鋳型6とを備えている。説明の便宜上、第1容器3のことを「親鍋」、第2容器4のことを「中間鍋」とする。
親鍋3は、転炉や電気炉などの精錬炉で出鋼された溶鋼2を受鋼して、溶鋼2を中間鍋4に注入するもので、溶鋼2を中間鍋4に注入するための第1ノズル7が設けられている。中間鍋4に溶鋼2を注入する際には、親鍋3は、クレーン8によって精錬炉から真空上注ぎ鋳造を行う鋳造ステーションまで運搬される。
クレーン8には吊り下げた親鍋3の重量を測定するための重量測定器(ロードセル)10が設けられており、このロードセル10によって親鍋3の重量が測定できるようになっている。ロードセル10で測定した測定値(重量)は、操作室等に設置されたコンピュータ11に出力されるようになっている。
中間鍋4は、親鍋3が鋳造ステーションでクレーン8により吊り下げられている状態において、親鍋3の下側で且つ真空装置5の上側に設置されるものである。この中間鍋4には、真空装置5(後述する真空タンク12)の上蓋13を貫通していて当該中間鍋4内の溶鋼2を鋳型6に注入するための第2ノズル14が設けられている。
中間鍋4には、当該中間鍋4に注入された溶鋼2の湯面レベル(湯面の高さ)を測定する第1レベル測定器15が設けられている。この第1レベル測定器15は、溶鋼2に接触せずに湯面レベルを測定する非接触型のもので、溶鋼2との距離をレーザ光によって測定するレーザ距離計16と、このレーザ距離計16から出射したレーザ光又は溶鋼2から反射したレーザ光を反射する反射板17とを備えている。レーザ距離計16は、中間鍋4の外側に設置され、反射板17は中間鍋4の上方に設置されている。これにより、レーザ距離計16は、溶鋼2などの輻射熱の影響が少なく、離れた箇所からでも中間鍋4内の溶鋼2の湯面レベル(第1湯面レベルということがある)を測定することができ、この第1湯面レベルは、コンピュータ11に出力されるようになっている。
真空装置5は、鋳型6を設置すると共に内部が略真空状態となる真空タンク12と、この真空タンク12内に設置された鋳型6とを備えている。真空タンク12は、鋳型6の全体を取り囲んでいて真空引きするための排気口18が設けられている。
真空装置5には、鋳型6に注入された溶鋼2の湯面レベルを測定する第2レベル測定器19が設けられている。この第2レベル測定器19は、溶鋼2に接触せずに湯面レベルを測定する非接触型のもので、溶鋼2との距離をマイクロ波によって測定するマイクロ波レベル計から構成されている。このマイクロ波レベル計19は、上蓋13の外側に設置されて、上蓋13から鋳型6内の溶鋼2にマイクロ波を出射することにより、鋳型6内の湯面レベル(第2湯面レベル)を測定することができ、この第2湯面レベルは、コンピュータ11(プロコンなど)に出力されるようになっている。
鋳型6は、有底状のものであって、真空タンク12の上蓋13を貫通する第2ノズル14の下側に設置されている。この鋳型6は、主に、定盤20と、この定盤20から上方に立ち上がる本体部(鋳型本体)21と、この本体部21の上部側に設けられた押湯部22とから構成されている。
[真空上注ぎ鋳造の監視方法]
このような真空上注ぎ鋳造装置1を用いて溶鋼2の鋳込みを行うにあたっては、まず、電気炉又は転炉などの精錬炉で出鋼した溶鋼2が装入された親鍋3を鋳造ステーションに移動させる。そして、親鍋3内の溶鋼2を、第1ノズルを介して当該親鍋3の下側に設置した中間鍋4に注入する。また、中間鍋4内の溶鋼2を、第2ノズル14を介して当該中間鍋4の下側に設置した鋳型6に注入する。中間鍋4内の溶鋼2を鋳型6に注入する際には、真空装置5(真空タンク12)を真空状態にする。このように、溶鋼2を鋳型6内に注入して溶鋼2の鋳込みを行っている間は、鋳型6内の溶鋼2がどのような状態になっているか知るために、溶鋼2の鋳込状態を監視する。
以下、図2〜4を用いて溶鋼2の鋳込状態を監視する監視方法を、真空上注ぎ鋳造方法と共に説明する。なお、後述する様々な計算は、コンピュータ11で行う。
本発明においては、鋳込量算出工程にて鋳型6に鋳込んだ溶鋼2の鋳込量を求める一方で、湯面レベル測定工程にて鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを測定し、これら鋳込量と第2湯面レベルとの少なくともいずれか一方を用いて溶鋼2の鋳込状態を監視することとしている。
鋳込量算出工程では、ロードセル10によって測定した親鍋3の重量(溶鋼重量と風袋重量とを含む)と、非接触型の測定器であるレーザ距離計16で測定した中間鍋4内の溶鋼2の第1湯面レベルとを用いて鋳込量を求めることとしている。即ち、鋳込量算出工程では、中間鍋4内の第1湯面レベルから中間鍋4内の溶鋼重量を求め、この中間鍋4内の溶鋼重量と親鍋3の溶鋼重量とから鋳型6に鋳込んだ溶鋼2の鋳込量を求める。
図2のステップ1〜ステップ6は、鋳造(造塊)を開始してから鋳込量を求めるまでの流れ(鋳込量算出工程)を示したものである。中間鍋4の大きさや使用回数によっては中間鍋4の内容積が変わることから、まず、ステップ1では、使用する中間鍋4の種類(内径、高さ)、中間鍋4の使用回数の設定をする。この中間鍋4の種類及び使用回数の設定は、鋳造開始後又は鋳造開始前に行う。
ステップ2では、初期設定にて設定された中間鍋4の使用回数から現状の中間鍋4の内径を決定する。中間鍋4を使用すると付着物等の増加が増加するため、例えば、使用回数が1回増加する毎に中間鍋4の内径が10mm程度減少することがある。なお、使用回数に応じた中間鍋4の内径の変化量は過去の操業実績によって決定する。
ステップ1及びステップ2(初期設定)では、今回のチャージによる中間鍋4の大きさ(内径、高さ)等が決定し、後述するように、中間鍋4の大きさとレーザ距離計16による第1湯面レベルとから、中間鍋4内の溶鋼重量を求めることができる。
ステップ3では、鋳造開始後、レーザ距離計16からレーザ光を出射して中間鍋4内の溶鋼2の第1湯面レベルを測定する。例えば、レーザ距離計16から中間鍋4の底部までの光路距離(レーザ距離計16から反射板17までの距離+反射板17から中間鍋4の上部までの距離+中間鍋4の高さ)から、レーザ距離計16で測定した測定値を引くことによって、第1湯面レベルを求めることができる。
なお、鋳造を行うにあたっては、例えば、130〜300tonの鋼塊を鋳造(造塊)することとし、真空装置5(真空タンク12)の真空度は0.5torrとし、鋳型6に注入する溶鋼2の注入速度は、4ton/min〜8ton/minとし、中間鍋4に注入する溶鋼2の注入速度は、4ton/min〜8ton/minとし、親鍋3の受鋼の溶鋼重量は50ton〜140ton、中間鍋4の受鋼の溶鋼重量は、40ton又は60tonとしている。レーザ距離計16は神戸製鋼製であり、測定距離は0.5m〜10m、分解能は1mmである。レーザ距離計16での測定は当業者常法通りに行う。
ステップ4では、中間鍋4内の溶鋼2の第1湯面レベルから中間鍋4内の溶鋼重量を求める。具体的は、初期設定に基づいて設定した中間鍋4の内径、高さ及び第1湯面レベルから中間鍋4に注入された溶鋼2の体積を、例えば、円錐台体積計算の公式などを用いて求め、求めた溶鋼2の体積に溶鋼2の比重を掛けることによって、中間鍋4の溶鋼重量を求める。
ステップ5では、親鍋3の重量をロードセル10によって測定しておき、親鍋3の重量から親鍋3の風袋重量を差し引くことによって親鍋3の溶鋼重量(現溶鋼重量という)を求める。ここで、予め鋳造開始時の親鍋3の溶鋼重量(初期溶鋼重量という)を求めておき、初期溶鋼重量から現溶鋼重量を差し引くことによって、親鍋3から中間鍋4に注入した溶鋼重量(移注量という)を求める。なお、複数回に亘って親鍋3を取り替えて鋳造を行う場合は、親鍋3から中間鍋4に注入した移注量を累積する。また、親鍋3の重量を測定するロードセル10はクレーン8に設けたもので測定重量は0.5〜300tonであり、分解能は0.5tonであるものを用いた。ロードセル10による親鍋3の重量の測定は、当業者常法通りに行った。
ステップ6では、移注量から中間鍋4内の溶鋼重量を差し引くことによって鋳型6に鋳込んだ鋳込量を求める。
図3のステップ10〜ステップ13は、鋳造(造塊)を開始してから鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを求めるまでの流れ(湯面レベル測定工程)を示したものである。第2湯面レベルを測定するマイクロ波レベル計19は真空タンク12の上部に設けられているため、第2湯面レベルを求めるにあたっては真空タンク12や鋳型6の大きさ等が必要であるため、まず、ステップ10では、真空タンク12や鋳型6の種類を設定する。図5に示すように、ステップ11では、設定された真空タンク12や鋳型6によってタンク深さ、定盤20の高さ、マイクロ波レベル計19の角度θを決定する。
ステップ12では、マイクロ波レベル計19からマイクロ波を照射して、鋳型6内の溶鋼2の湯面で反射した測定距離を測定する。マイクロ波レベル計19は神戸製鋼製であって、測定距離は1m〜20m、分解能は1mmである。マイクロ波レベル計19の測定は当業者常法通りに行う。
ステップ13にて、ステップ10で予め設定されたタンク深さ、定盤20の高さ及びマイクロ波レベル計19の角度θから第2湯面レベルを算出する。例えば、第2湯面レベルを、「第2湯面レベル=タンク深さ−湯面距離−定盤の高さ」にて求める。湯面距離は、「湯面距離=測定距離×マイクロ波レベル計19の角度θ」である。なお、図5に示すように、計算に用いるタンク深さは、「タンク深さ=マイクロ波レベル計19から鋳型6の底部(定盤20の上面)までの垂直距離+定盤20の高さ」とするとよい。
[真空上注ぎ鋳造の終了方法]
さて、上述したように、鋳込の終了を判定するためには、鋳型6内の溶鋼2の鋳込状態を知る必要がある。
鋳型6への鋳込の終了を判定するにあたっては、鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを監視し、湯面レベルが鋳込み終了の位置に達したときに鋳込み終了と判定することが考えられる。
このよく用いられている手法では、所定長さの下り棒を用意し、この下り棒を鋳型6の上端(押湯部22の上端)に吊して、吊した下り棒の先端部が鋳込み終了の位置となるようセッティングする。そして、溶鋼2の鋳込み中には、真空タンク12の上蓋13に設けた覗き窓から鋳型6内の溶鋼2の第2湯面が下り棒の先端部に達しているかどうかを目視し、目視にて鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルが下り棒の先端に達したときに鋳込の終了と判定する。
しかしながら、このように下り棒を用いて溶鋼2の湯面レベルを監視しながら鋳込の終了を判定する場合は、その判定が非常に難しい場合がある。例えば、中間鍋4の溶鋼2を鋳型6に注入している状況下において、第2ノズル14から鋳型6へ注入する溶鋼2が広がる場合がある。このように溶鋼2が広がってしまうと視界が邪魔されて下り棒の先端部が見えにくく鋳込の終了の判定が難しくなったり、広がった溶鋼2が下り棒にかかってしまって溶鋼2の熱により下り棒が溶けてしまうことがある。このように物理的に下り棒を用いて鋳込の終了を判定するために鋳込状態を監視することは難しい場合がある。
そこで、本発明によれば、鋳込量算出工程にて鋳型6への鋳込量を求め、鋳込状態監視工程にて、求めた鋳込量が予め設定された溶鋼重量(目標重量)に達しているか否かによって鋳込の終了を判定したり、湯面レベル測定工程でマイクロ波レベル計19によって鋳型6内の第2湯面レベルを測定し、鋳込状態監視工程にて、測定した第2湯面レベルが、鋳込の終了となる湯面レベル(目標湯面レベル)に達しているか否かによって鋳込の終了を判定することとしている。
図4のステップ20〜ステップ25は、鋳込状態監視工程を示したものである。
ステップ20では、溶鋼2を鋳型6に鋳込んでいる間において、第2湯面レベルが測定できていて第2湯面レベルを用いて、残りの湯面レベル(残り高さ)が求められる状況であるか否かを判定する。残り高さは、鋳込の終了となる目標湯面レベルから現状の第2湯面レベルを差し引くことによって求めることができる。
ステップ21では、残り高さが算出できる状況下(ステップ20、YES)で、第2湯面レベル(湯面)の変動幅が所定値以下であるか否かを判定する。溶鋼2を鋳込中において溶鋼2が押湯部22に差し掛かったときに溶鋼2の湯面が大きく揺れる場合がある。このような場合は、第2湯面レベルを用いた場合での鋳込の終了を判定することは難しいため、ステップ21にて、湯面の変動幅が所定値以下であるかどうかを判定している。
ステップ21において、湯面の変動幅が所定値以下で揺れが小さい場合(ステップ21、YES)は、ステップ22に進む。
ステップ22では、ステップ20で求めた残り高さが所定範囲内であるか否かの判定を行い、残り高さが所定範囲内であれば(ステップ22、YES)であれば、ステップ23に進み、鋳込を終了する。例えば、ステップ22において、残り高さ≦0mm(所定範囲内)であると、ステップ23に進み、中間鍋4から鋳型6への溶鋼2の注入を停止して、鋳込を終了する。
なお、通常であれば、残り高さが0mmとなった時点(第2湯面レベル=目標湯面レベル)で鋳込の終了とするが、真空度によっては第2湯面レベルが多少上昇してしまう場合もあるため、残り高さがマイナスであっても鋳込の終了とする場合がある。
一方、ステップ22において、残り高さが所定範囲内ではなく、第2湯面レベルが目標湯面レベルから離れている状況下では、再び第2湯面レベルを測定して処理を繰り返す。
さて、ステップ20において、第2湯面レベルを測定できず、残り高さ求められない場合(ステップ20、No)、又は、ステップ21において、湯面の変動幅が所定値を超えていて揺れが大きい場合(ステップ21、No)は、ステップ24に進む。
ステップ24では、鋳込量算出工程にて求めた鋳込量が溶鋼重量(目標重量)に達しているか否かを知るために、目標重量から鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残りの溶鋼重量(残り溶鋼重量という)を求める。ステップ25では、ステップ24で求めた残り溶鋼重量が、所定範囲内であるか否かの判定を行い、残り溶鋼重量が所定範囲内であれば(ステップ25、YES)であれば、ステップ23に進み、鋳込を終了する。例えば、ステップ25において、残り溶鋼重量≦0kg(所定範囲内)であると、ステップ23に進み、中間鍋4から鋳型6への溶鋼2の注入を停止して、鋳込を終了する。
以上、本発明によれば、鋳込量算出工程にて鋳型6への鋳込量を求め、湯面レベル測定工程にて鋳型6内の溶鋼2の第2湯面レベルを測定し、鋳込量と第2湯面レベルの少なくともいずれか一方を用いて鋳込状態を監視しているため、正確に鋳込状態を判定することができる。特に、鋳込みが終盤にかかり、鋳型6内の溶鋼2の湯面が大きく揺れている場合には、溶鋼重量によって鋳込の終了の判定を正確にすることができ、湯面が揺れていない場合には、湯面レベルを用いて鋳込の終了の判定を正確にすることができる。つまり、湯面が揺れている場合や湯面が揺れていない場合などといった様々な状況でも、鋳型6内の鋳込状況を把握でき、正確に鋳込の終了の判定を行うことができる。これにより、オペレータによる鋳込の終了の判定のバラツキも無くなり、品質の良い塊鋼を製造することができる。さらには、鋳込み過ぎによる操業トラブルや歩留の悪化も同時に防止できると共に、溶鋼2不足による品質不良もなくすことができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
また、上述した実施形態において、鋳込量算出工程による鋳込量の算出や湯面レベル測定工程による第2湯面レベルの測定のタイミングは、特に限定されない。例えば、溶鋼2を鋳込む前半〜中盤までの間は、鋳込量だけを求めて鋳込状態を監視することとし、中盤から後半となった時点で第2湯面レベルと鋳込量との両方を求めて鋳込状態を監視してもよい。
1 真空上注ぎ鋳造装置
2 溶鋼
3 第1容器(親鍋)
4 第2容器(中間鍋)
5 真空装置
6 鋳型
7 第1ノズル
8 クレーン
10 ロードセル
11 コンピュータ
12 真空タンク
13 上蓋
14 第2ノズル
15 第1レベル測定器
16 レーザ距離計
17 反射板
18 排気口
19 第2レベル測定器
20 定盤
21 本体部
22 押湯部

Claims (3)

  1. 第1容器内の溶鋼を第1容器の下側に設置した第2容器内に注入し、第2容器に注入した溶鋼を当該第2容器の下側に設置した真空装置内の鋳型に注入することによって溶鋼を鋳込む真空上注ぎ鋳造にて、鋳型への溶鋼の鋳込状態を監視するにあたっては、
    第1容器の重量と第2容器内の湯面レベルとに基づいて鋳型への鋳込量を求める鋳込量算出工程と、
    鋳型内の溶鋼の湯面レベルを測定する湯面レベル測定工程と、
    鋳込量算出工程で求めた鋳込量と湯面レベル測定工程で求めた湯面レベルの少なくともいずれか一方を用いて鋳込状態を監視する鋳込状態監視工程と、
    を有しており、
    前記鋳込状態監視工程は、
    溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定でき、且つ第2湯面レベルの変動幅が所定値以下である際には、測定された第2湯面レベルから前記鋳型の残り高さを求め、求めた残り高さが所定範囲内であれば、前記鋳型への鋳込を終了することとし、
    溶鋼を前記鋳型に鋳込んでいる間において、前記鋳型内の湯面レベルである第2湯面レベルが測定できない、又は第2湯面レベルの変動幅が所定値より大きい際には、前記鋳型における目標溶鋼重量から現在の鋳込量を差し引くことによって、鋳込の終了となるまでの残り溶鋼重量を求め、求めた残り溶鋼重量が所定範囲内であれば、鋳込を終了するものとされている
    ことを特徴とする真空上注ぎ鋳造の終了方法
  2. 鋳込量算出工程では、
    第1容器の重量をロードセルにより測定すると共に、第2容器内の溶鋼の湯面レベルを非接触型の測定器で測定することを特徴とする請求項1に記載の真空上注ぎ鋳造の終了方法
  3. 鋳込量算出工程では、
    第1容器から第2容器へ注入された溶鋼重量と、第2容器内の湯面レベルから算出された第2容器内の溶鋼重量とから、鋳型への鋳込量を求めることを特徴とする請求項2に記
    載の真空上注ぎ鋳造の終了方法
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