JP2016034273A - 改良型β−フルクトフラノシダーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】糖アルコールの製造及びフラクトオリゴ糖高純度液の製造のために、スクロースを特異的に分解できる改良型β−フルクトフラノシダーゼの提供。【解決手段】下記(a)又は(b)のアミノ酸配列からなる良型β−フルクトフラノシダーゼ。(a)野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列(b)アミノ酸配列(a)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。【選択図】なし

Description

本発明は、改良型β−フルクトフラノシダーゼに関し、特に、スクロースを特異的に分解することができる改良型β−フルクトフラノシダーゼ、そのアミノ酸配列を含むポリペプチド、改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNA、当該DNAを含む組換えベクター、当該DNAまたは当該組換えベクターを宿主に導入して得られる形質転換体ならびにそれらを用いた糖アルコールの製造方法およびフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法に関する。
β−フルクトフラノシダーゼは、末端にフルクトース残基を含む糖質のフルクトースを認識して、加水分解する酵素である。β−フルクトフラノシダーゼの中には、加水分解活性に加えて、加水分解によって生じたフルクトースを基質に転移させるフルクトース転移活性を有するものも存在する。従来、係る加水分解活性とフルクトース転移活性とを有するβ−フルクトフラノシダーゼをスクロースに作用させることにより、工業的にフラクトオリゴ糖が製造されている(特許文献1)。
特開2013−252056号公報
スクロースを基質とし、β−フルクトフラノシダーゼを用いてフラクトオリゴ糖を製造する際には、副生成物としてグルコースおよびフルクトースが生成するほか、基質であるスクロースも反応液中に残存する。これらの不純物はクロマトグラフィーによりフラクトオリゴ糖と分離して除去されるが、このうち、スクロースは2糖であるため、単糖であるグルコースやフルクトースと比較して、フラクトオリゴ糖との分離が困難である。
この点、スクロースを特異的に単糖に分解することができれば、クロマトグラフィーによるフラクトオリゴ糖の分離精製の効率を大きく向上させることができるため、フラクトオリゴ糖は分解せずに、専らスクロースを分解する酵素が求められている。本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、フラクトオリゴ糖をほとんど分解せず、スクロースを特異的に分解することができる改良型β−フルクトフラノシダーゼ、そのアミノ酸配列を含むポリペプチド、改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNA、当該DNAを含む組換えベクター、当該DNAまたは当該組換えベクターを宿主に導入して得られる形質転換体ならびにそれらを用いた糖アルコールの製造方法およびフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、Gluconobacter thailandicus NBRC3255の野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成および分解を抑制して、スクロースを特異的に分解できることを見出した。また、Gluconobacter thailandicus NBRC3255の野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異と、N末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異とを導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成および分解を抑制して、スクロースを特異的に分解できることを見出した。そこで、これらの知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼの一態様は、下記(a)または(b)のアミノ酸配列からなる;(a)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列、(b)アミノ酸配列(a)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
(2)本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼのもう一つの態様は、下記(c)または(d)のアミノ酸配列からなる;(c)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、以下のi)およびii)のアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列;i)N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異、ii)N末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異、(d)アミノ酸配列(c)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
(3)本発明に係るポリペプチドは、(1)または(2)に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列を含む。
(4)本発明に係るDNAは、(1)または(2)に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードする。
(5)本発明に係る組換えベクターは、(4)に記載のDNAを含む。
(6)本発明に係る形質転換体は、(4)に記載のDNAまたは(5)に記載の組換えベクターを宿主に導入して得られる、形質転換体である。
(7)本発明に係る糖アルコールの製造方法は、(1)もしくは(2)に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼ、(6)に記載の形質転換体または(6)に記載の形質転換体を培養して得られる培養物とスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程を有する。
(8)本発明に係るフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法は、(1)もしくは(2)に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼ、(6)に記載の形質転換体または(6)に記載の形質転換体を培養して得られる培養物とフラクトオリゴ糖溶液に含有されるスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程を有する。
本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼによれば、フラクトオリゴ糖をほとんど分解せず、スクロースを特異的に分解することができる。よって、これを用いて、スクロースを含むフラクトオリゴ糖溶液からの、クロマトグラフィーによるフラクトオリゴ糖の分離精製効率を向上させることができる。すなわち、これを用いて、フラクトオリゴ糖の高純度液を製造することができる。また、これを用いて、スクロースから糖アルコールを効率的に製造することができる。
また、本発明に係るポリペプチドや本発明に係るDNA、本発明に係る組換えベクター、本発明に係る形質転換体によれば、スクロースを特異的に分解することができる改良型β−フルクトフラノシダーゼを得ることができる。
以下、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチド、DNA、組換えベクター、形質転換体ならびにそれらを用いた糖アルコールの製造方法およびフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法について詳細に説明する。
本発明において、「β−フルクトフラノシダーゼ」は、「フルクトシルトランスフェラーゼ」、「サッカラーゼ」、「β−D−フルクトフラノシダーゼ」、「インベルターゼ」、「インバーターゼ」または「インベルチン」と交換可能に用いられる場合がある。また、本発明における「野生型β−フルクトフラノシダーゼ」とは、遺伝子工学の手法を用いてアミノ酸変異を導入していないアミノ酸配列からなるβ−フルクトフラノシダーゼをいい、「改良型β−フルクトフラノシダーゼ」とは、野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、1または2以上のアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列からなるβ−フルクトフラノシダーゼをいう。
本発明において、「改良型β−フルクトフラノシダーゼがスクロースを特異的に分解する」とは、β−フルクトフラノシダーゼが有する「末端にフルクトース残基を含む糖質に対する加水分解活性」および「フルクトース転移活性」のうち、「スクロースに対する加水分解活性」が主となっている状態をいう。すなわち、「スクロースに対する加水分解活性」のみを呈する場合のほか、「スクロースに対する加水分解活性」を主としつつ「スクロース以外の末端にフルクトース残基を含む糖質に対する加水分解活性」や「フルクトース転移活性」をも呈する場合も含まれる。
本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼの一態様は、下記(a)または(b)のアミノ酸配列からなる;
(a)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、N末端(アミノ末端)から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列、
(b)アミノ酸配列(a)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
また、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼのもう一つの態様は、下記(c)または(d)のアミノ酸配列からなる;
(c)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、以下のi)およびii)のアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列;
i)N末端(アミノ末端)から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異、
ii)N末端(アミノ末端)から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異、
(d)アミノ酸配列(c)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
本発明において、「配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列」は、Gluconobacter thailandicus NBRC3255の野生型β−フルクトフラノシダーゼ(以下、「G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼ」と略記する。)のアミノ酸配列を指す。
本発明において、「1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列」とは、例えば、1〜30個、1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、よりさらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を意味する。
本発明において、あるタンパク質がスクロース分解活性を有するか否かは、常法に従い確認することができ、例えば、後述する実施例2(1)に示すように、当該タンパク質をスクロースを含む反応液中でインキュベートし、または当該タンパク質を発現させた形質転換体をスクロースを含む反応液中で振盪した後、その反応液の含有物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより確認する。その結果、グルコースやフルクトースなどのスクロースの加水分解により生じた物質の存在が確認されれば、当該タンパク質はスクロース分解活性を有すると判断することができる。
本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼは常法に従って得ることができ、そのような方法としては、例えば、化学合成する方法や、遺伝子組換え技術による方法を挙げることができる。化学合成する方法としては、例えば、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列情報に基づいて、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などにより合成する方法の他、各種の市販のペプチド合成機を利用して合成する方法を挙げることができる。
また、遺伝子組換え技術による方法としては、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼを好適な発現系にて発現させる方法を挙げることができる。すなわち、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを適当な宿主に導入して形質転換体を得る。あるいは、後述する実施例1に示すように、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを、適当なベクターに挿入して組換えベクターを得た後、その組換えベクターを適当な宿主に導入して形質転換体を得る。そして、得られた形質転換体を培養して改良型β−フルクトフラノシダーゼを発現させることにより、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼを得ることができる。
ここで、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAは、その塩基酸配列情報に基づいて、市販されている種々のDNA合成機を用いて合成することができるほか、野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAや改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)を行うことにより得ることができる。
例えば、改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを得る場合は、後述する実施例1に示すように、まず、導入するアミノ酸変異をコードするDNAプライマーを設計し、そのDNAプライマーを用いて、野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを鋳型としたPCRを行うことにより得ることができる。
上記(b)または(d)の、「アミノ酸配列(a)または(c)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列」からなる改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAもまた、PCRにより得ることができる。すなわち、まず、アミノ酸配列(a)または(c)において、アミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加された箇所に相当するアミノ酸配列をコードするDNAプライマーを設計し、次に、そのDNAプライマーを用いて、アミノ酸配列(a)または(c)をコードするDNAを鋳型としたPCRを行うことにより得ることができる。
次に、本発明は、改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。なお、本発明に係るポリペプチドにおいて、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼと同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
本発明に係るポリペプチドは、改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列を含む限り、その配列長は特に限定されず、改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列のみからなるものでもよく、改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列のN末端および/またはC末端(カルボキシル末端)に、1もしくは複数個のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなるものでもよい。また、本発明に係るポリペプチドは、上述した改良型β−フルクトフラノシダーゼを得る方法と同様の方法により得ることができる。
次に、本発明は、改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを提供する。本発明に係るDNAにおいて、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびポリペプチドと同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
また、本発明は、改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを含む組換えベクターを提供する。なお、本発明に係る組換えベクターにおいて、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチドおよびDNAと同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
本発明に係る組換えベクターは、例えば、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAをベクターに挿入することにより得ることができる。DNAのベクターへの挿入は、常法に従って行うことができ、例えば、DNAと線状化したベクターのDNA断片とをライゲーションすることにより行うことができる。ここで、ベクターとしては、例えば、ファージベクターやプラスミドベクター、コスミド、ファージミドなどを挙げることができ、宿主や操作性などに応じて適宜選択することができる。また、本発明に係る組換えベクターは、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAのほかに、薬剤耐性マーカー遺伝子や栄養要求マーカー遺伝子などの形質転換体の選択マーカー遺伝子、改良型β−フルクトフラノシダーゼの発現に必要なプロモーター、転写開始信号、リボゾーム結合部位、翻訳停止シグナル、転写終結信号などの転写調節信号や翻訳調節信号などを含むものであってもよい。
また、本発明は、形質転換体も提供する。なお、本発明に係る形質転換体において、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチド、DNAおよび組換えベクターと同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
本発明に係る形質転換体は、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAまたは当該DNAを含む組換えベクターを宿主に導入して得られる。ここで、宿主としては、例えば、大腸菌や枯草菌などの細菌、酵母、カビ、糸状菌などを挙げることができ、組換えベクターの種類や操作性などに応じて適宜選択することができる。DNAや組換えベクターの宿主への導入(形質転換)は常法に従って行うことができ、例えば、プラスミドを用いた組換えベクターを大腸菌に導入する場合であれば、大腸菌のコンピテントセルに組換えベクターを加えて氷上で30分間静置し、続いて42℃のウォーターバスに入れて45秒間静置した後、氷上で2分間静置し、その後、培地を加えて、37℃で1時間振とうすることにより行うことができる。また、宿主の染色体に直接目的のDNAを導入する場合は、相同組換え法などを用いることができる。
次に、本発明は、糖アルコールの製造方法を提供する。本発明に係る糖アルコールの製造方法は、
(ア)本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、本発明に係る形質転換体または本発明に係る形質転換体を培養して得られる培養物とスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程
を有する。なお、本発明に係る糖アルコールの製造方法において、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチド、DNA、組換えベクターおよび形質転換体と同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
ここで、「糖アルコール」とは、アルドースやケトースのカルボニル基が還元されて生成する糖質である。よって、スクロースを原料として糖アルコールを製造する場合は、スクロースを単糖(フルクトースおよびグルコース)に分解した後、これらの単糖に水素を付加することにより、マンニトール(単糖がフルクトースである場合)やソルビトール(単糖がフルクトースまたはグルコースである場合)といった糖アルコールを製造することができる。
すなわち、本発明に係る糖アルコールの製造方法は、上記(ア)のスクロースを単糖に分解する工程の後に、(イ)単糖に水素を付加する工程を有していてもよい。
(ア)の本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼとスクロースとを接触させる方法としては、例えば、改良型β−フルクトフラノシダーゼをスクロースを含む溶液に添加し、37℃〜50℃で20時間程度静置する方法を挙げることができる。また、(ア)の本発明に係る形質転換体とスクロースとを接触させる方法としては、例えば、宿主が大腸菌の場合は、本発明に係る形質転換体をスクロースを含む溶液に添加し、50℃で数日間振盪する方法を挙げることができる。
また、(ア)の本発明に係る形質転換体を培養して得られる培養物とスクロースとを接触させる方法としては、例えば、本発明に係る形質転換体を培養して得られる培養物をスクロースを含む溶液に添加し、30℃〜50℃で20時間程度静置あるいは振盪する方法を挙げることができる。ここで、培養物は、破砕、磨砕、緩衝液への懸濁、凍結融解、超音波処理、遠心分離、熱処理、塩沈澱、溶媒沈澱、透析、限外ろ過、ゲルろ過、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等電点電気泳動などの何らかの処理に供したものでもよく、処理に供していないものでもよい。
(イ)の単糖に水素を付加する方法としては、例えば、高温高圧の水素雰囲気下にて、ニッケル等の金属触媒を用いて還元する方法(接触還元法)のほか、室温常圧の窒素雰囲気下にて、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化アルミニウムリチウム等の還元剤を用いて還元する方法を挙げることができる。接触還元法の場合、より具体的には、単糖(グルコースまたはフルクトース)、適量の水およびニッケル等の金属触媒をオートクレーブに加えて懸濁し、そこに水素を加え、所定の反応温度および反応圧力で一定時間加熱撹拌する方法を挙げることができる。
最後に、本発明は、フラクトオリゴ糖高純度液の製造方法を提供する。本発明に係るフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法は、
(カ)本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、本発明に係る形質転換体または本発明に係る形質転換体を培養して得られる培養物とフラクトオリゴ糖溶液に含有されるスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程
を有する。なお、本発明に係るフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法において、上述した本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチド、DNA、組換えベクター、形質転換体および糖アルコールの製造方法と同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
ここで、「フラクトオリゴ糖」とは、スクロースのフルクトース残基にフルクトースが1〜十数個結合してなる糖類をいう。また、本発明において、「フラクトオリゴ糖高純度液」とは、フラクトオリゴ糖の含有割合が、フラクトオリゴ糖以外の糖類の含有割合と比較して大きい糖類溶液をいう。
(カ)の本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、本発明に係る形質転換体または本発明に係る形質転換体を培養して得られる培養物とフラクトオリゴ糖溶液に含有されるスクロースとを接触させる方法は、上述の「糖アルコールの製造方法」の(ア)の工程におけるものと同様の方法を挙げることができる。
ここで、(カ)のスクロースを含有する「フラクトオリゴ糖溶液」は、例えば、加水分解活性とフルクトース転移活性とを有するβ−フルクトフラノシダーゼをスクロースを含む溶液に添加し、37℃〜50℃で20時間程度反応させることにより得ることができる。
本発明に係るフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法は、(カ)のスクロースを単糖に分解する工程の後に、(キ)前記フラクトオリゴ糖溶液から単糖を除去する工程を有していてもよい。
(キ)のフラクトオリゴ糖溶液から単糖を除去する方法としては、例えば、液体クロマトグラフィー法や膜分離法を挙げることができる。液体クロマトグラフィー法の場合は、単糖を含有するフラクトオリゴ糖溶液を原料液とし、イオン交換水を溶離液として、カラムに陽イオン交換樹脂を充填し、50℃に加温して各液を供給し、液体クロマトグラフィーを行ってフラクトオリゴ糖と単糖とを分離して、フラクトオリゴ糖を高純度に含むフラクションを分取する方法を挙げることができる。また、膜分離法の場合は、単糖を含有するフラクトオリゴ糖溶液をナノろ過膜(NF膜;分画分子量2500)に供して、単糖を高純度に含む透過液とフラクトオリゴ糖を高純度に含む保持液とに分離し、この保持液を回収する方法を挙げることができる。
本発明に係る糖アルコールの製造方法またはフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法には、本発明に係る製造方法の特徴を損なわない限り、他の工程を有してもよく、例えば、結晶化工程、乾燥工程、洗浄工程、濾過工程、殺菌工程、食品添加物を添加する工程などを有してもよい。
以下、本発明に係る改良型β−フルクトフラノシダーゼ、ポリペプチド、DNA、組換えベクター、形質転換体、糖アルコールの製造方法およびフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1> G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼの作成
Gluconobacter thailandicus NBRC3255(以下、「G.thai」と略記する。)の野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(NCBI WP_007281774;配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異(以下、「N105D」と略記する。)を導入したアミノ酸配列からなる変異体のβ−フルクトフラノシダーゼを作成し、これをG.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼとした。具体的な手順を以下に示す。
(1)G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAの取得
まず、G.thaiのゲノムDNAを常法に従って抽出した。続いて、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAの全長の塩基配列(GI:459018877)(配列番号1)を基に、下記の配列番号3および配列番号4のプライマーを設計し、下記の条件でPCRを行うことにより、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを増幅し、これをDNA断片1とした。
《PCRの条件》
鋳型;G.thaiのゲノムDNA
フォワードプライマー;5’−AAATCTAAAAGATCCATGAATGCTATTTCCAGCCG−3’(配列番号3)
リバースプライマー;5’−TTTACCAGACTCGAGTCAGGTGCGAACGTCATAG−3’(配列番号4)
PCR用酵素;KOD−Plus−Neo(東洋紡社)
(2)G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAが挿入された組換えベクターの作成
下記の条件でPCRを行うことにより、Bacillus subtilis(IAM1026、ATCC9466)のPgsAタンパク質(GenBank:AB016245.1)をコードするDNAを増幅した。得られたPCR産物を常法に従って制限酵素NdeIおよびXhoIで消化し、これをDNA断片2とした。また、DNA断片2について、常法に従ってシークエンスを行い、PgsAタンパク質をコードするDNAの塩基配列を確認した。確認したPgsAタンパク質をコードするDNAの塩基配列を配列番号5に、それにコードされるPgsAタンパク質のアミノ酸配列を配列番号6にそれぞれ示す。
《PCRの条件》
鋳型;Bacillus subtilis(IAM1026、ATCC9466)のゲノムDNA
フォワードプライマー(下線はNdeIサイトを示す)5’−AAACATATGAAAAAAGAACTGAGCTTTCATG−3’(配列番号7)
リバースプライマー(下線はXhoIサイトを示す);5’−AAACTCGAGTTTAGATTTTAGTTTGTCACTATG−3’(配列番号8)
PCR用酵素;KOD−Plus−(東洋紡社)
続いて、NdeIおよびXhoIで制限酵素処理を行ったpCDFDuet−1プラスミド(Merck社)に、DNA Ligation Kit Ver.2.1(タカラバイオ社)を用いて添付の使用書に従いDNA断片2を挿入し、これをpCDF−pgsA組換えベクターとした。その後、下記の条件でPCRを行うことによりpCDF−pgsA組換えベクターのDNAを増幅し、これをDNA断片3とした。
《PCRの条件》
鋳型;pCDF−pgsA組換えベクター
フォワードプライマー;5’−CTCGAGTCTGGTAAAGAAACCGCTGCTGCGAAA−3’(配列番号9)
リバースプライマー;5’− GGATCTTTTAGATTTTAGTTTGTCACTATGATCAA−3‘(配列番号10)
PCR用酵素;KOD−plus−Neo(東洋紡社)
次に、In−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社)を用いてDNA断片1およびDNA断片3を連結することにより、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAが挿入された組換えベクターを作成し、これをthai組換えベクターとした。
(3)改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAが挿入された組換えベクターの作成
本実施例1(2)のthai組換えベクターを鋳型として、下記の条件でPCRを行うことにより、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを増幅した。
《PCRの条件》
フォワードプライマー;5’−GATGACCGCGCCTATATCGGCTATTGGTACA−3’(配列番号11)
リバースプライマー;5’−GCGGGAATGCCATTCATCATAAATCTTGGCA−3’(配列番号12)
PCR用酵素;KOD−Plus−NEO
得られたPCR産物に制限酵素DpnIを加えて37℃で1時間消化した後、アガロースゲル電気泳動に供してゲルを切り出して、DNA断片を精製した。これに、Ligation highver.2(東洋紡社)およびT4 Polynucleotide Kinase(東洋紡社)を加えて16℃で1時間静置することによりDNA断片のセルフ ライゲーションを行って、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAが挿入された組換えベクターを得た。得られた組換えベクターを、thai(N105D)組換えベクターとした。
(4)形質転換および形質転換体の培養と回収
本実施例1(2)のthai組換えベクターおよび本実施例1(3)のthai(N105D)組換えベクターを、E.coli JM109コンピテントセルに導入して、組換え大腸菌を回収した。続いて、組換え大腸菌から組換えベクターを回収し、これを、E.coli BL21(DE3)コンピテントセル(コスモバイオ社)に導入して、形質転換体として組換え大腸菌を得た。これを30℃で一晩プレート培養した後、組換え大腸菌のクローンをピックアップしてM9 SEED培地0.5mLに植菌し、30℃、220rpmで20時間振盪培養した。続いて、培養物のうち5μLをM9 Main培地5mLに植え継ぎ、25℃、200rpmで24時間振盪培養した。その後、培養物を12000rpmで10分間遠心分離することにより組換え大腸菌を集菌した。M9 SEED培地およびM9 Main培地の組成を以下に示す。
M9 SEED培地(計100mL);水 72mL、5×M9塩 20mL、20% カザミノ酸 5mL、20% D−グルコース 2mL、2mg/mL チミン 1mL、50mM CaCl 0.2mL、2.5M MgCl 40μL、100mg/mL FeSO 28μL、抗生物質(終濃度50μg/mL ストレプトマイシン)。
M9 Main培地(計100mL);水 67mL、5×M9塩 20mL、20% カザミノ酸 5mL、2mg/mL チミン 1mL、50mM CaCl 0.2mL、100mg/mL FeSO 28μL、Overnight Express Autoinduction System 1(O.N.E.;Merck社)Sol.1 2mL、O.N.E.Sol.2 5mL、O.N.E.Sol.3 100μL、抗生物質(終濃度50μg/mL ストレプトマイシン)。
<実施例2>G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼの評価
(1)β−フルクトフラノシダーゼの酵素反応
実施例1(4)の組換え大腸菌の培養液0.5mLの集菌体、および、市販の酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来インベルターゼ各450U(日本バイオコン社;1.62mg、三菱フードケミカル社;72mg)のそれぞれに、60(w/w)%のスクロース水溶液およびケストース水溶液各350μLならびにフラクトオリゴ糖水溶液500μLを加えて懸濁した。これらを30℃(組換え大腸菌の場合)または60℃(市販の酵母由来インベルターゼの場合)にて、200rpmで3〜24時間振盪することにより、スクロース、ケストースおよびフラクトオリゴ糖のそれぞれを基質としたβ−フルクトフラノシダーゼの酵素反応を行い、反応液を得た。すなわち、thai組換えベクターを導入した組換え大腸菌の反応液においては、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼにより、thai(N105D)組換えベクターを導入した組換え大腸菌の反応液においては、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼにより、酵素反応を行った。
(2)酵素反応生成物の確認
本実施例2(1)の反応液50μLに水950μLを加えることにより希釈し、100℃で10分間加熱した。これを4℃、15000×gで10分間遠心分離に供して上清を回収した後、0.45μm孔フィルターで濾過して、得られた濾液をHPLCサンプルとした。HPLCサンプルを下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して、反応液に含まれる単糖(フルクトース、グルコース)、スクロース(2糖)およびフラクトオリゴ糖(3糖;ケストース、4糖;ニストース、5糖:フラクトシルニストース)の割合を確認した。各糖の割合は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として、面積百分率で算出した。スクロースを基質とした反応液の結果を表1に、ケストースを基質とした反応液の結果を表2に、フラクトオリゴ糖を基質とした反応液の結果を表3に、それぞれ示す。
《HPLCの条件》
カラム;SHODEX KS 802(8.0φ×300mm) 2本
移動相;水
流速 ;1.0mL/分
注入量;20μL
温度 ;50℃
検出 ;示差屈折率検出器(RID;昭和電工社)(ピーク面積を用いた面積百分率)
表1に示すように、スクロースを基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が24.0%、スクロースが59.3%、単糖が15.9%であった。これに対して、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が9.4%、スクロースが13.4%、単糖が73.6%であった。また、市販の酵母由来インベルターゼ(日本バイオコン社)では、フラクトオリゴ糖が0.1%、スクロースが0.7%、単糖が98.9%であった。市販の酵母由来インベルターゼ(三菱フードケミカル社)では、フラクトオリゴ糖が0.8%、スクロースが1.2%、単糖が97.6%であった。
すなわち、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、フラクトオリゴ糖およびスクロースの割合が小さく、単糖の割合が顕著に大きかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成を抑制して、スクロースの分解を促進できることが明らかになった。また、市販の酵母由来インベルターゼでは、フラクトオリゴ糖のおよびスクロースの割合が顕著に小さく、単糖の割合が顕著に大きかった。この結果から、市販の酵母由来インベルターゼは、フラクトオリゴ糖をほとんど生成せず、専らスクロースを分解することが明らかになった。
また、表2に示すように、ケストースを基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が10.5%、ケストースが66.9%、スクロースが11.2%、単糖が11.4%であった。これに対して、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が2.4%、ケストースが84.5%、スクロースが1.1%、単糖が11.8%であった。また、市販の酵母由来インベルターゼ(日本バイオコン社)では、4糖以上のフラクトオリゴ糖が0.0%、ケストースが0.0%、スクロースが0.8%、単糖が98.6%であった。市販の酵母由来インベルターゼ(三菱フードケミカル社)では、4糖以上のフラクトオリゴ糖が3.1%、ケストースが7.3%、スクロースが4.2%、単糖が84.3%であった。
すなわち、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、ケストースの割合が顕著に大きく、4糖以上のフラクトオリゴ糖、スクロースおよび単糖の割合が小さかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成およびケストースの分解を抑制できることが明らかになった。また、市販の酵母由来インベルターゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖、ケストースおよびスクロースの割合が顕著に小さく、単糖の割合が顕著に大きかった。この結果から、市販の酵母由来インベルターゼは、ケストースを分解する活性が大きいことが明らかになった。
また、表3に示すように、フラクトオリゴ糖を基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が49.5%、スクロースが9.9%、単糖が40.6%であった。これに対して、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が58.7%、スクロースが2.5%、単糖が39.0%であった。また、市販の酵母由来インベルターゼ(日本バイオコン社)では、フラクトオリゴ糖が18.9%、スクロースが4.2%、単糖が76.9%であった。市販の酵母由来インベルターゼ(三菱フードケミカル社)では、フラクトオリゴ糖が0.0%、スクロースが0.4%、単糖が99.5%であった。なお、反応時間0時間のフラクトオリゴ糖水溶液に、スクロースが11.9%、単糖が31.1%含まれるのは、基質として用いた「フラクトオリゴ糖」に混入していたことによると考えられた。
すなわち、G.thai由来(N105D)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、フラクトオリゴ糖の割合が大きく、スクロースおよび単糖の割合が小さかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の分解を抑制できることが明らかになった。また、市販の酵母由来インベルターゼでは、フラクトオリゴ糖の割合が顕著に小さく、スクロースの割合が小さく、単糖の割合が顕著に大きかった。この結果から、市販の酵母由来インベルターゼは、フラクトオリゴ糖を分解する活性が大きいことが明らかになった。
以上の表1〜3の結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成および分解を抑制して、スクロースを特異的に分解できることが明らかになった。また、市販の酵母由来インベルターゼはフラクトオリゴ糖をほとんど生成しないが、スクロースのみならずフラクトオリゴ糖も分解する点で、加水分解の基質特異性が小さいことが明らかになった。
<実施例3> 二重変異体の改良型β−フルクトフラノシダーゼの評価
G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末から105番目のアスパラギン(N)を、アスパラギン酸(D)、セリン(S)またはヒスチジン(H)に置換するアミノ酸変異(以下、「N105D」、「N105S」、「N105H」と略記する。)と、N末から321番目のヒスチジン(H)を、アルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異(以下、「H321R」、「H321K」と略記する。)とを導入したアミノ酸配列からなる二重変異体のβ−フルクトフラノシダーゼを作成し、その酵素活性を評価した。具体的な手順を以下に示す。
(1)二重変異体の改良型β−フルクトフラノシダーゼの作成
まず、実施例1(2)のthai組換えベクターを鋳型として、下記の条件でPCRを行うことにより、「H321R」および「H321K」をそれぞれ導入したアミノ酸配列からなる変異体のβ−フルクトフラノシダーゼ(G.thai由来(H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびG.thai由来(H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼ)をコードするDNAを増幅した。
《PCRの条件》
「H321R」
フォワードプライマー;5’−CGTCATTCCACCTATACGGGCAAGAGCAC−3’(配列番号13)
リバースプライマー;5’−GCTGATGGTGAACAGATAGGTCAGAC−3’(配列番号14)
PCR用酵素;KOD−Plus−NEO
「H321K」
フォワードプライマー;5’−AAACATTCCACCTATACGGGCAAGAGCAC−3’(配列番号15)
リバースプライマー;5’−GCTGATGGTGAACAGATAGGTCAGAC−3’(配列番号14)
PCR用酵素;KAPA HiFi Hotstart ready Mix
得られたPCR産物に制限酵素DpnIを加えて37℃で1時間消化した後、アガロースゲル電気泳動に供してゲルを切り出して、DNA断片を精製した。これに、Ligation highver.2(東洋紡社)およびT4 Polynucleotide Kinase(東洋紡社)を加えて16℃で1時間静置することによりDNA断片のセルフ ライゲーションを行って組換えベクターを作成し、それぞれthai(H321R)組換えベクターおよびthai(H321K)組換えベクターとした。
続いて、下記の鋳型およびフォワードプライマーを用いてPCRを行うことにより、二重変異体のβ−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAを含んだプラスミドベクターを増幅した。このPCRにおいて、リバースプライマーは、5’−GCGGGAATGCCATTCATCATAAATCTTGGCA−3’(配列番号16)を、PCR用酵素はKOD−Plus−NEOを用いた。以下、「N105D」および「H321R」、「N105S」および「H321R」、「N105H」および「H321K」ならびに「N105S」および「H321K」のアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列からなる二重変異体のβ−フルクトフラノシダーゼを、それぞれ、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼ、G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼG.thai由来((N105H/H321K))改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびG.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼと表記する。
《PCRの条件》
「N105D/H321R」
鋳型;thai(H321R)組換えベクター
フォワードプライマー;5’−GATGACCGCGCCTATATCGGCTATTGGTACA−3’(配列番号11)
「N105S/H321R」
鋳型;thai(H321R)組換えベクター
フォワードプライマー;5’−TCTGACCGCGCCTATATCGGCTATTGGTACA−3’(配列番号17)
「N105H/H321K」
鋳型;thai(H321K)組換えベクター
フォワードプライマー;5’−CATGACCGCGCCTATATCGGCTATTGGTACA−3’(配列番号18)
「N105S/H321K」
鋳型;thai(H321K)組換えベクター
フォワードプライマー;5’−TCTGACCGCGCCTATATCGGCTATTGGTACA−3’(配列番号17)
得られたPCR産物に制限酵素DpnIを加えて37℃で1時間消化した後、アガロースゲル電気泳動に供してゲルを切り出して、DNA断片を精製した。これに、Ligation high(東洋紡社)およびT4 Polynucleotide Kinase(東洋紡社)を加えて16℃で1時間静置することによりDNA断片のセルフライゲーションを行い、二重変異体のβ−フルクトフラノシダーゼをコードするDNAが挿入された組換えベクターを作成した。これらの組換えベクターを実施例1(4)に記載の方法により大腸菌に導入し、組換え大腸菌の培養と回収を行った。
(2)評価
本実施例3(1)の組換え大腸菌の集菌体について、実施例2に記載の方法により酵素反応を行った後、反応液に含まれる各糖の割合を確認した。スクロースを基質とした反応液の結果を表4に、ケストースを基質とした反応液の結果を表5に、フラクトオリゴ糖を基質とした反応液の結果を表6に、それぞれ示す。
表4に示すように、スクロースを基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が24.0%、スクロースが59.3%、単糖が15.9%であった。これに対して、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が2.6%、スクロースが10.2%、単糖が80.3%であった。G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が17.1%、スクロースが11.9%、単糖が69.4%であった。G.thai由来(N105H/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が30.6%、スクロースが11.5%、単糖が56.7%であった。G.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が21.3%、スクロースが25.4%、単糖が53.3%であった。
すなわち、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼ、G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびG.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、フラクトオリゴ糖およびスクロースの割合が小さく、単糖の割合が大きかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異およびN末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成を抑制して、スクロースの分解を促進できることが明らかになった。
また、表5に示すように、ケストースを基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が10.5%、ケストースが66.9%、スクロースが11.2%、単糖が11.4%であった。これに対して、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が1.1%、ケストースが95.9%、スクロースが1.0%、単糖が2.0%であった。G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が2.7%、ケストースが90.2%、スクロースが1.1%、単糖が6.0%であった。G.thai由来(N105H/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が4.8%、ケストースが75.8%、スクロースが2.9%、単糖が16.1%であった。G.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、4糖以上のフラクトオリゴ糖が2.4%、ケストースが89.3%、スクロースが1.7%、単糖が6.7%であった。
すなわち、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼ、G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびG.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、4糖以上のフラクトオリゴ糖の割合が顕著に小さく、ケストースの割合が顕著に大きく、スクロースおよび単糖の割合が小さかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異とN末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異とを導入することにより、ケストースの分解を抑制できることが明らかになった。
また、表6に示すように、フラクトオリゴ糖を基質とした場合、反応時間が24時間において、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が49.5%、スクロースが9.9%、単糖が40.6%であった。これに対して、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が61.2%、スクロースが1.5%、単糖が36.9%であった。G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が57.4%、スクロースが2.2%、単糖が40.5%であった。G.thai由来(N105H/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が53.0%、スクロースが3.9%、単糖が43.1%であった。G.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、フラクトオリゴ糖が55.3%、スクロースが2.4%、単糖が42.3%であった。
すなわち、G.thai由来(N105D/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼ、G.thai由来(N105S/H321R)改良型β−フルクトフラノシダーゼおよびG.thai由来(N105S/H321K)改良型β−フルクトフラノシダーゼでは、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼと比較して、フラクトオリゴ糖の割合が顕著に大きく、スクロースの割合が小さかった。この結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異およびN末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の分解を抑制できることが明らかになった。
以上の表4〜6の結果から、G.thai由来野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列(配列番号2)に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異およびN末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異を導入することにより、フラクトオリゴ糖の生成および分解を抑制して、スクロースを特異的に分解できることが明らかになった。

Claims (8)

  1. 下記(a)または(b)のアミノ酸配列からなる改良型β−フルクトフラノシダーゼ;
    (a)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換するアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列、
    (b)アミノ酸配列(a)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
  2. 下記(c)または(d)のアミノ酸配列からなる改良型β−フルクトフラノシダーゼ;
    (c)配列番号2に示す野生型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列に対して、以下のi)およびii)のアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列;
    i)N末端から105番目のアスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)またはセリン(S)に置換するアミノ酸変異、
    ii)N末端から321番目のヒスチジン(H)をアルギニン(R)またはリシン(K)に置換するアミノ酸変異、
    (d)アミノ酸配列(c)において、アミノ酸変異が導入されたアミノ酸を除く1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつスクロース分解活性を有するアミノ酸配列。
  3. 請求項1または請求項2に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼのアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  4. 請求項1または請求項2に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼをコードするDNA。
  5. 請求項4に記載のDNAを含む組換えベクター。
  6. 請求項4に記載のDNAまたは請求項5に記載の組換えベクターを宿主に導入して得られる、形質転換体。
  7. 請求項1もしくは請求項2に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼ、請求項6に記載の形質転換体または請求項6に記載の形質転換体を培養して得られる培養物とスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程を有する糖アルコールの製造方法。
  8. 請求項1もしくは請求項2に記載の改良型β−フルクトフラノシダーゼ、請求項6に記載の形質転換体または請求項6に記載の形質転換体を培養して得られる培養物とフラクトオリゴ糖溶液に含有されるスクロースとを接触させて、前記スクロースを単糖に分解する工程を有するフラクトオリゴ糖高純度液の製造方法。
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