JP2016034024A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重希土類元素であるRHをR−T−B系焼結磁石内部に効率的に拡散させる。
【解決手段】R−T−B系焼結磁石の表面にRLM合金(RLはNdおよび/またはPr、MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上)の粉末と、RH酸化物(RHはDyおよび/またはTb)の粉末とを存在させた状態において、R−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理を行う工程を含む。RLM合金はRLを65原子%以上含み、かつ、前記RLM合金の融点は前記熱処理の温度以下である。熱処理は、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とが、RLM合金:RH酸化物=9.6:0.4〜5:5の質量比率でR−T−B系焼結磁石の表面に存在する状態で行われる。
【選択図】なし

Description

本発明は、R214B型化合物を主相として有するR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)の製造方法に関する。
214B型化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、ハイブリッド車搭載用モータ等の各種モータや家電製品等に使用されている。
R−T−B系焼結磁石は、高温で固有保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と表記する)が低下するため、不可逆熱減磁が起こる。不可逆熱減磁を回避するため、モータ用等に使用する場合、高温下でも高いHcJを維持することが要求されている。
R−T−B系焼結磁石は、R214B型化合物相中のRの一部を重希土類元素RH(Dy、Tb)で置換すると、HcJが向上することが知られている。高温で高いHcJを得るためには、R−T−B系焼結磁石中に重希土類元素RHを多く添加することが有効である。しかし、R−T−B系焼結磁石において、Rとして軽希土類元素RL(Nd、Pr)を重希土類元素RHで置換すると、HcJが向上する一方、残留磁束密度Br(以下、単に「Br」と表記する)が低下してしまうという問題がある。また、重希土類元素RHは希少資源であるため、その使用量を削減することが求められている。
そこで、近年、Brを低下させないようにより少ない重希土類元素RHによってR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させることが検討されている。例えば、重希土類元素RHを効果的にR−T−B系焼結磁石に供給し拡散させる方法として、特許文献1〜4にRH酸化物またはRHフッ化物と各種金属MまたはMの合金との混合粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に存在させた状態で熱処理することによって、RHやMを効率よくR−T−B系焼結磁石に吸収させて、R−T−B系焼結磁石のHcJを高める方法が開示されている。
特許文献1には、M(ここでMはAl、Cu、Znから選ばれる1種又は2種以上)を含有する粉末とRHフッ化物の粉末の混合粉末を用いることが開示されている。また、特許文献2には、熱処理温度で液相となるRTMAH(ここでMはAl、Cu、Zn、In、Si、Pなどから選ばれる1種または2種以上、Aはホウ素または炭素、Hは水素)からなる合金の粉末を用いることが開示されており、この合金の粉末とRHフッ化物などの粉末との混合粉末でも良いと開示されている。
特許文献3、特許文献4では、RM合金(ここでRは希土類元素、MはAl、Si、C、P、Tiなどから選ばれる1種または2種以上)の粉末またはM1M2合金(M1およびM2はAl、Si、C、P、Tiなどから選ばれる1種または2種以上)の粉末と、RH酸化物との混合粉末を用いることによって熱処理時にRM合金やM1M2合金によりRH酸化物を部分的に還元し、より多量のRを磁石内に導入することが可能であると開示されている。
特開2007−287874号公報 特開2007−287875号公報 特開2012−248827号公報 特開2012−248828号公報
特許文献1〜4に記載の方法は、より多量のRHを磁石内に拡散させることができるという点で注目に値する。しかしながら、これらの方法によれば、磁石表面に存在させたRHを有効にHcJの向上に結びつけることができず、改良の余地がある。特に特許文献3では、RM合金とRH酸化物の混合粉末を用いているが、その実施例を見る限り、RM合金の拡散によるHcJの向上自体が大きく、RH酸化物を用いた効果はわずかであり、RM合金によるRH酸化物の還元効果はあまり発揮されていないと思われる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、磁石表面に存在させるRHの量を少なくし、かつ効果的に磁石内部に拡散させることによって、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を製造する方法を提供することである。
本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、例示的な一態様において、用意したR−T−B系焼結磁石の表面にRLM合金(RLはNdおよび/またはPr、MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上)の粉末と、RH酸化物(RHはDyおよび/またはTb)の粉末を存在させた状態でR−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理する工程を含む。RLM合金はRLを65原子%以上含み、その融点が前記熱処理の温度以下であり、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末を、RLM合金:RH酸化物=9.6:0.4〜5:5の質量比率でR−T−B系焼結磁石の表面に存在させて熱処理を行う。
好ましい実施形態において、R−T−B系焼結磁石の表面に存在させる粉末中のRH元素の量が磁石表面1mm2あたり0.03〜0.35mgである。
ある実施形態において、前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RLM合金の粉末と前記RH酸化物の粉末とは混合された状態にある。
ある好ましい実施形態では、前記RLM合金におけるRLの含有量は85原子%を超える。
実施形態において、熱処理を行う工程は、前記RLM合金を溶融させる工程、および、溶融した前記RLM合金によって前記RH酸化物を還元して前記RH酸化物中のRHを前記R−T−B系焼結磁石の内部に拡散させる工程とを含む。
本発明の実施形態によれば、RLM合金がRH酸化物を従来より高い効率で還元してRHをR−T−B系焼結磁石内部に拡散させることができるので、従来技術よりも少ないRH量で従来技術と同等以上にHcJを向上させることができる。
本発明の実施形態におけるR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo、Bはボロン)の製造方法は、R−T−B系焼結磁石の表面にRLM合金(RLはNdおよび/またはPr、MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上)の粉末と、RH酸化物(RHはDyおよび/またはTb)の粉末を存在させた状態でR−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理する工程を含む。RLM合金はRLを65原子%以上含み、その融点が前記熱処理の温度以下である。上記の熱処理は、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末を、RLM合金:RH酸化物=9.6:0.4〜5:5の質量比率でR−T−B系焼結磁石の表面に存在させて行う。
本発明者は、より少ないRHを有効に利用してHcJを向上させる方法として、R−T−B系焼結磁石表面にRH酸化物を、熱処理中にRH酸化物を還元する拡散助剤とともに存在させて熱処理する方法が有効であると考えた。本発明者の検討の結果、特定のRLとMの組み合わせの合金(RLM合金)であって、RLを65原子%以上含み、その融点が熱処理温度以下であるRLM合金が、磁石表面に存在させたRH酸化物の還元能力に優れていることを見出した。なお、本明細書において、RHを含有する物質を「拡散剤」、拡散剤のRHを還元して拡散し得る状態にする物質を「拡散助剤」と称する。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[R−T−B系焼結磁石母材]
まず、本発明では、重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石母材を準備する。なお、本明細書では、わかりやすさのため、重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石をR−T−B系焼結磁石母材と厳密に称することがあるが、「R−T−B系焼結磁石」の用語はそのような「R−T−B系焼結磁石母材」を含むものとする。このR−T−B系焼結磁石母材は公知のものが使用でき、例えば以下の組成を有する。
希土類元素R:12〜17原子%
B(B(ボロン)の一部はC(カーボン)で置換されていてもよい):5〜8原子%
添加元素M´(Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種):0〜2原子%
T(Feを主とする遷移金属元素であって、Coを含んでもよい)および不可避不純物:残部
ここで、希土類元素Rは、主として軽希土類元素RL(Ndおよび/又はPr)であるが、重希土類元素を含有していてもよい。なお、重希土類元素を含有する場合は、重希土類元素RHであるDyおよびTbの少なくとも一方を含むことが好ましい。
上記組成のR−T−B系焼結磁石母材は、任意の製造方法によって製造される。
[拡散助剤]
拡散助剤としては、RLM合金の粉末を用いる。RLとしてはRH酸化物を還元する効果の高い軽希土類元素が適している。また、RLもMも磁石中に拡散してHcJを向上させる効果を持つ場合があるが、主相結晶粒内部にまで拡散しやすくBrを低下させやすい元素は避けるべきである。このRH酸化物を還元する効果が高く、主相結晶粒内部に拡散しにくいという観点から、RLはNdおよび/またはPr、MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上とする。中でもNd−Cu合金やNd−Fe合金を用いると、NdによるRH酸化物の還元能力が効果的に発揮されるので好ましい。また、RLM合金はRLを65原子%以上含み、かつ、その融点が熱処理温度以下の合金を用いる。RLM合金はRLを85原子%超含むことが好ましい。RLの含有割合がこのように大きいRLM合金は、RLがRH酸化物を還元する能力が高く、かつ、融点が熱処理温度以下である。このため、RLの含有割合がこのように大きいRLM合金を用いると、熱処理時に溶融してRH酸化物を効率よく還元する。その結果、より高い割合で還元されたRHがR−T−B系焼結磁石中に拡散して少量でも効率よくR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させることができる。RLM合金の粉末の粒度は500μm以下が好ましい。
[拡散剤]
拡散剤としては、RH酸化物(RHはDyおよび/又はTb)の粉末を用いる。本発明者の検討によれば、RH酸化物の粉末の粒度は100μm以下が好ましい。
[拡散熱処理]
RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる方法はどのようなものであってもよい。例えば、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とを純水や有機溶剤などの溶媒に分散させ、これにR−T−B系焼結磁石を浸漬して引き上げる方法や、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とをバインダーや溶媒と混合してスラリーを作製し、このスラリーをR−T−B系焼結磁石の表面に塗布する方法、等が挙げられる。バインダーや溶媒は、その後の熱処理(拡散熱処理)の昇温過程において、拡散助剤の融点以下の温度で熱分解や蒸発などでR−T−B系焼結磁石の表面から除去されるものであればよく、特に限定されるものではない。バインダーの例としては、ポリビニルアルコールやエチルセルロースなどがあげられる。またRLM合金の粉末とRH酸化物の粉末は、それらが混合した状態でR−T−B系焼結磁石の表面に存在させてもよいし、別々に存在させてもよい。これらの粉末を別々に存在させる場合は、まずRLM合金の粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に存在させてから、その上面にRH酸化物の粉末を存在させることが好ましい。なお、本発明の方法においては、RLM合金はその融点が熱処理温度以下であるため熱処理の際に溶融し、それにより高い効率で還元されたRHがR−T−B系焼結磁石内部に拡散しやすい状態になる。したがって、RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる前にR−T−B系焼結磁石の表面に対して酸洗などの特段の清浄化処理を行う必要はない。もちろん、そのような清浄化処理を行うことを排除するものではない。また、RLM合金粉末粒子の表面が多少酸化されていてもRH酸化物を還元する効果にほとんど影響はない。
粉末状態にあるRLM合金およびRH酸化物のR−T−B系焼結磁石の表面における存在比率(熱処理前)は、質量比率でRLM合金:RH酸化物=9.6:0.4〜5:5とする。存在比率はRLM合金:RH酸化物=9.5:0.5〜6:4であることがより好ましい。本発明は、RLM合金およびRH酸化物の粉末以外の粉末(第三の粉末)がR−T−B系焼結磁石の表面に存在することを必ずしも排除しないが、第三の粉末がRH酸化物中のRHをR−T−B系焼結磁石の内部に拡散することを阻害しないように留意する必要がある。R−T−B系焼結磁石の表面に存在する粉末の全体に占める「RLM合金およびRH酸化物」の粉末の質量比率は、70%以上であることが望ましい。
本発明によれば、少ない量のRHで、効率的にR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させることが可能である。R−T−B系焼結磁石の表面に存在させる粉末中のRH元素の量は、磁石表面1mm2あたり0.03〜0.35mgであることが好ましく、0.05〜0.25mgであることが更に好ましい。
RLM合金の粉末とRH酸化物の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させた状態で熱処理を行う。なお、熱処理の開始後、RLM合金の粉末は溶融するため、RLM合金が熱処理中に常に「粉末」の状態を維持する必要は無い。熱処理の雰囲気は真空または不活性ガス雰囲気が好ましい。熱処理温度はR−T−B系焼結磁石の焼結温度以下(具体的には例えば1000℃以下)であり、かつ、RLM合金の融点よりも高い温度である。熱処理時間は例えば10分〜72時間である。また前記熱処理の後必要に応じてさらに400〜700℃で10分〜72時間の磁気特性向上のための熱処理を行ってもよい。
[実験例1]
まず、公知の方法で、組成比Nd=13.4、B=5.8、Al=0.5、Cu=0.1、Co=1.1、残部=Fe(原子%)のR−T−B系焼結磁石を作製した(焼結温度は1050℃、焼結後の熱処理温度は500℃)。これを機械加工することにより、6.9mm×7.4mm×7.4mmのR−T−B系焼結磁石母材を得た。得られたR−T−B系焼結磁石母材の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定したところ、HcJは1035kA/m、Brは1.45Tであった。なお、後述の通り、熱処理後のR−T−B系焼結磁石の磁気特性は、R−T−B系焼結磁石の表面を機械加工にて除去してから測定するので、R−T−B系焼結磁石母材もそれに合わせて、表面をさらにそれぞれ0.2mmずつ機械加工にて除去し、大きさ6.5mm×7.0mm×7.0mmとしてから測定した。なお、別途R−T−B系焼結磁石母材の不純物量をガス分析装置によって測定したところ、酸素が760質量ppm、窒素が490質量ppm、炭素が905質量ppmであった。
次に表1に示す組成の拡散助剤を用意した。拡散助剤の粉末粒度は、超急冷法によって作製した合金薄帯をコーヒーミルで粉砕することによって150μm以下に調整した。得られた拡散助剤の粉末と拡散剤である粒度20μm以下のTb47粉末またはDy23粉末とポリビニルアルコールおよび純水を拡散助剤と拡散剤が表1に示す混合比となるように混合してスラリーを得た。このスラリーを、R−T−B系焼結磁石母材の7.4mm×7.4mmの2面に、R−T−B系焼結磁石表面(拡散面)1mm2あたりのRH量が表1の値となるように塗布した。なお、以下、本実施例における拡散助剤の融点は、RLMの二元系状態図で示される値である。このスラリーを塗布したR−T−B系焼結磁石母材をMo板上に配置し、処理容器に収容して蓋をした。(この蓋は容器内外のガスの出入りを妨げるものではない。)これを熱処理炉に収容し、100PaのAr雰囲気中、900℃で4時間の熱処理を行った。熱処理は、室温から真空排気しながら昇温し、雰囲気圧力および温度が上記条件に達してから上記条件で行った。その後いったん室温まで降温してからMo板を取り出してR−T−B系焼結磁石を回収した。回収したR−T−B系焼結磁石を処理容器に戻して再び熱処理炉に収容し、10Pa以下の真空中、500℃で2時間の磁気特性向上のための熱処理を行った。この熱処理も室温から真空排気しながら昇温し、雰囲気圧力および温度が上記条件に達してから上記条件で行った。その後いったん室温まで降温してからR−T−B系焼結磁石を回収した。
得られたR−T−B系焼結磁石の表面をそれぞれ0.2mmずつ機械加工にて除去し、6.5mm×7.0mm×7.0mmのサンプル1〜11、30および31を得た。得られたサンプル1〜11、30および31の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2016034024
Figure 2016034024
表2からわかるように、本発明の製造方法によるR−T−B系焼結磁石はBrが低下することなくHcJが大きく向上しているが、RLM合金の融点が熱処理温度の900℃を超えるサンプル1、RLM合金のRLの含有割合が本発明で規定するよりも少ないサンプル6のHcJの向上は、同じ拡散剤を使用した本発明の実施例(サンプル2〜5、サンプル8〜11、サンプル30および31)に及ばないことがわかった。
このことから、本発明の製造方法によるR−T−B系焼結磁石のHcJが大きく向上しているのは、拡散助剤であるRLの含有割合が本発明の範囲内であるRLM合金が熱処理温度で溶融してRH酸化物を還元し、還元されたRHが磁石内部に粒界を通じて拡散し、効率よくHcJの向上に寄与していることによると考えられる。
[実験例2]
組成がNd87Cu13およびTb74Cu26(原子%)の拡散助剤とTb47粉末(拡散剤)を表3に示す混合比となるように混合してスラリーを作製したこと以外は、実験例1と同様にしてサンプル12〜20を得た。なお、拡散助剤としてTb74Cu26を用いたサンプル20は拡散助剤と拡散剤の混合質量比が同じであるサンプル3と同じ塗布量のスラリーを塗布した。得られたサンプル12〜20の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表4に示す。なお、それぞれの表には比較対象の実施例としてそれぞれサンプル3の条件および測定結果を示している。
Figure 2016034024
Figure 2016034024
表4からわかるように、本発明の製造方法によるR−T−B系焼結磁石(サンプル3、14〜16)はBrが低下することなくHcJが大きく向上しているが、本発明で規定する混合質量比率よりもRH酸化物が多く拡散面1mm2あたりのRH量がサンプル3、14、16と同じサンプル12は、HcJの向上は本発明に及ばないことがわかった。また、サンプル13は拡散面1mm2あたりのRH量がサンプル3、14〜16よりも多いにもかかわらず、本発明で規定する混合質量比率よりもRH酸化物が多いため、HcJの向上は本発明に及ばなかった。また、本発明で規定する混合質量比率よりもRH酸化物が少ない(RH酸化物を混合していない)サンプル17、およびRH酸化物のみのサンプル18、RH酸化物のみで拡散面1mm2あたりのRH量が本発明の実施例より多いサンプル19もHcJの向上が本発明に及ばないことがわかった。また、拡散助剤としてRHM合金を用いたサンプル20は本発明の実施例と同程度にHcJが向上するものの、拡散助剤にRHを含むため拡散面1mm2あたりのRH量は本発明の実施例よりも格段に大きく、少量のRHでHcJを向上させるという効果が得られていない。すなわち、本発明で規定するRLM合金とRH酸化物を本発明で規定する混合質量比率で混合して使用した場合に限り、RLM合金がRH酸化物を効率よく還元し、十分に還元されたRHがR−T−B系焼結磁石母材中に拡散することにより、少ないRH量でHcJを大きく向上させることができたことがわかった。
[実験例3]
組成がNd87Cu13(原子%)の拡散助剤とTb47粉末(拡散剤)を、拡散助剤:拡散剤が8:2となるように混合してスラリーを作製し、表5に示す条件で熱処理を行ったこと以外は、実験例1と同様にしてサンプル21〜23を得た。得られたサンプル21〜23の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表6に示す。
Figure 2016034024
Figure 2016034024
表6からわかるように、表5で示した様々な熱処理条件で熱処理を行った場合も、本発明の製造方法によるR−T−B系焼結磁石ではBrが低下することなくHcJが大きく向上することがわかった。
[実験例4]
R−T−B系焼結磁石母材を表7のサンプル24〜27に示す組成、焼結温度、不純物量、および磁気特性のものとしたこと以外はサンプル3と同様にしてサンプル24〜27を得た。得られたサンプル24〜27の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表8に示す。
Figure 2016034024
Figure 2016034024
表8からわかるように、表7で示した様々なR−T−B系焼結磁石母材を使用した場合も、本発明の製造方法によるR−T−B系焼結磁石はBrが低下することなくHcJが大きく向上することがわかった。
[実験例5]
表9に示す拡散助剤とTb47粉末(拡散剤)を表9に示す混合比となるように混合してスラリーを作製したこと以外は実験例1と同様にしてサンプル28、29を得た。得られたサンプル28、29の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表10に示す。なお、それぞれの表には比較対象の実施例としてサンプル3の条件および測定結果を示している。
Figure 2016034024
Figure 2016034024
表10からわかるようにサンプル28、29のいずれもHcJの向上は本発明に及ばないことがわかった。拡散助剤としてCuは融点が熱処理温度より高くRH酸化物を還元する能力もそれ自体が拡散してHcJを向上させる能力もないので、HcJはほとんど向上しなかった。また、AlもRH酸化物を還元する効果はほとんどなく、サンプル29のHcJの向上はAl自体がR−T−B系焼結磁石内に拡散したことによるものであると考えられる。すなわち、主相結晶粒と反応しやすいAlが主相結晶粒の内部にまで拡散したことによってBrが低下しているのではないかと考えられる。
[実験例6]
拡散助剤を常温大気中に50日間放置することにより、表面を酸化させた拡散助剤を用意した。この点以外はサンプル5と同様にしてサンプル32を作製した。なお、50日間の放置後の拡散助剤は、放置前に1800ppmであった酸素含有量が6600ppmに上昇した。
R−T−B系焼結磁石母材を、相対湿度90%、温度60℃の雰囲気に100時間放置し、その表面に多数の赤錆を発生させた。そのようなR−T−B系焼結磁石母材を用いたこと以外は、サンプル5と同様にしてサンプル33を作製した。得られたサンプル32、33の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJとBrの変化量を求めた。結果を表11に示す。表11には比較としてサンプル5の結果も示している。
Figure 2016034024
表11から、拡散助剤およびR−T−B系焼結磁石母材の表面が酸化されていても、HcJの向上にはほとんど影響しないことがわかった。
本発明によるR−T−B系焼結磁石の製造方法は、より少ない重希土類元素RHによってHcJを向上させたR−T−B系焼結磁石が提供し得る。

Claims (5)

  1. R−T−B系焼結磁石を用意する工程と、
    前記R−T−B系焼結磁石の表面にRLM合金(RLはNdおよび/またはPr、MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上)の粉末と、RH酸化物(RHはDyおよび/またはTb)の粉末とを存在させた状態において、前記R−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理を行う工程と、
    を含み、
    前記RLM合金はRLを65原子%以上含み、かつ、前記RLM合金の融点は前記熱処理の温度以下であり、
    前記熱処理は、前記RLM合金の粉末と前記RH酸化物の粉末とが、RLM合金:RH酸化物=9.6:0.4〜5:5の質量比率で前記R−T−B系焼結磁石の表面に存在する状態で行われる、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RH酸化物の粉末に含まれるRH元素の質量は、前記表面の1mm2あたりで0.03〜0.35mgである請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RLM合金の粉末と前記RH酸化物の粉末とは混合された状態にある、請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記RLM合金におけるRLの含有量は85原子%を超える、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  5. 前記熱処理を行う工程は、前記RLM合金を溶融させる工程、および、溶融した前記RLM合金によって前記RH酸化物を還元して前記RH酸化物中のRHを前記R−T−B系焼結磁石の内部に拡散させる工程とを含む、請求項1から4のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
JP2015147328A 2014-07-29 2015-07-27 R−t−b系焼結磁石の製造方法 Active JP6503960B2 (ja)

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