JP2016032915A - 塗装物及びコンクリート構造物のひび割れ検査方法 - Google Patents

塗装物及びコンクリート構造物のひび割れ検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート構造物にひび割れが発生した際に塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを容易に検出できる塗装物を提供する。【解決手段】コンクリート構造物と、該コンクリート構造物の表面に配置された第一柔軟性塗膜と、該第一柔軟性塗膜上に配置された第二柔軟性塗膜と、該第二柔軟性塗膜上に配置された硬質塗膜とを備える塗装物であって、前記第二柔軟性塗膜が、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含むことを特徴とする塗装物である。【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート構造物の表面に塗膜を備える塗装物及び該塗装物を構成するコンクリート構造物のひび割れ検査方法に関し、特には、コンクリート構造物にひび割れが発生した際に塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを容易に検出できる塗装物に関するものである。
コンクリート構造物は、塩害や中性化、又は物理的な曲げ応力等によりひび割れが生じ易く、一旦ひび割れが発生すると、そこから水分や腐食性イオン物質等が浸入し、コンクリート構造物の劣化が促進され、時には、それが崩壊につながることがある。
そこで、コンクリート構造物表面にひび割れが発生しても、該ひび割れ箇所からの水分や腐食性イオン物質等の浸入を防ぐため、柔軟性塗膜、即ち伸び率の大きい塗膜をコンクリート構造物表面に形成する方法が知られている。
更に、コンクリート構造物上に配置された塗膜を利用して、コンクリート構造物のひび割れを検出可能な検査方法も提案されている。例えば、特開2005−035827号公報(特許文献1)は、コンクリート構造物の表面に柔軟性塗膜及び硬質塗膜を順次設けた塗装物を記載している。ここで、硬質塗膜は、コンクリート構造物のひび割れと共に破断するように規定されているため、硬質塗膜の破断を確認することで、コンクリート構造物のひび割れを検出することができる。
特開2005−035827号公報
しかしながら、コンクリート構造物には、例えば橋梁、トンネル等が含まれており、検査に際し、遠目で目立ち難い、あるいは暗所で確認し辛いなどの理由で硬質塗膜の破断を容易に確認することが困難な場合もある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、コンクリート構造物にひび割れが発生した際に塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを容易に検出できる塗装物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる塗装物を構成するコンクリート構造物のひび割れを容易に検出できる検査方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、柔軟性塗膜と硬質塗膜の間に、蛍光顔料、蓄光顔料又は光輝顔料を多く含む柔軟性塗膜を設けることによって、硬質塗膜の破断により現れる塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を利用してコンクリート構造物のひび割れを容易に検出できることを見出し、発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の塗装物は、コンクリート構造物と、該コンクリート構造物の表面に配置された第一柔軟性塗膜と、該第一柔軟性塗膜上に配置された第二柔軟性塗膜と、該第二柔軟性塗膜上に配置された硬質塗膜とを備える塗装物であって、前記第二柔軟性塗膜が、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含むことを特徴とする。
本発明の塗装物の好適例においては、前記第一柔軟性塗膜の膜厚が100〜1000μmであり、前記第二柔軟性塗膜の膜厚が5〜50μmである。
本発明の塗装物の他の好適例においては、前記第一柔軟性塗膜の伸び率が30〜600%であり、前記第二柔軟性塗膜の伸び率が60〜800%であり、但し、前記第一柔軟性塗膜の伸び率より前記第二柔軟性塗膜の伸び率の方が大きい。
また、本発明のコンクリート構造物のひび割れ検査方法は、上記の塗装物を構成するコンクリート構造物のひび割れを検査する方法であって、前記第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察し、前記コンクリート構造物のひび割れを検査することを特徴とする。
本発明の塗装物によれば、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を多く含む第二柔軟性塗膜を第一柔軟性塗膜と硬質塗膜の間に設けることで、コンクリート構造物にひび割れが発生した際に塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを容易に検出できる塗装物を提供することができる。
本発明のコンクリート構造物のひび割れ検査方法によれば、コンクリート構造物にひび割れが発生した際に塗膜中の顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを容易に検出することができる。
以下に、本発明の塗装物を詳細に説明する。本発明の塗装物は、コンクリート構造物と、該コンクリート構造物の表面に配置された第一柔軟性塗膜と、該第一柔軟性塗膜上に配置された第二柔軟性塗膜と、該第二柔軟性塗膜上に配置された硬質塗膜とを備える塗装物であって、前記第二柔軟性塗膜が、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含むことを特徴とする。本発明の塗装物においては、硬質塗膜の伸び率が小さく、コンクリート構造物のひび割れと共に破断を起こすため、コンクリート構造物のひび割れが発生すると、第二柔軟性塗膜が硬質塗膜の破断部分に現れる。このため、第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察することで、コンクリート構造物のひび割れを検出することができる。顔料が発する光又は顔料を反射する光の観察は、硬質塗膜の破断の確認に比べて容易で且つ正確に行うことができる。
本発明の塗装物において、コンクリート構造物は、コンクリートを単体で利用した構造物や鉄筋コンクリートを利用した構造物であり、その具体例としては、橋脚、橋台、桁、床版、高欄、ドルフィン、トンネル、道路、導水路、貯蔵槽、壁、屋根、バルコニー等の各種コンクリート構造物が知られている。
また、コンクリート構造物は、その表面に第一柔軟性塗膜を配置する観点から、予め下地処理を施したものが好ましい。例えば、コンクリート表面にある突起物や付着物を除去するために、ディスクサンダー、ウォータージェット、手工具等を用いてコンクリート素地を調整する手法や、コンクリート表面にある微細孔を埋めると共に、平滑化し、更には第一柔軟性塗膜との密着性をよくするために、プライマー材やパテ材を塗布する手法等が行われる。
本発明の塗装物において、柔軟性塗膜は、コンクリート構造物の表面に配置される第一柔軟性塗膜と、該第一柔軟性塗膜上に配置された第二柔軟性塗膜とからなる。ここで、第二柔軟性塗膜は、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含む点で、第一柔軟性塗膜と異なる。
上記柔軟性塗膜は、コンクリート構造物のひび割れが発生しても破断しないことが重要であり、例えば、特開2005−035827号公報に記載されるように、安全を考慮すると、0.50mm以上のひび割れに対する追従性が要求される場合もある。具体的に、上記柔軟性塗膜は、伸び率が30%以上であることが好ましい。また、ひび割れ追従性能の上限は特に制限ないが、通常10mm程度以下に設定することが適当であり、柔軟性塗膜の伸び率は1000%以下であることが好ましい。
なお、本発明の塗装物においては、第一柔軟性塗膜の伸び率と第二柔軟性塗膜の伸び率が同じでもよいが、最終的に第二柔軟性塗膜が破断しなければ、コンクリート構造物のひび割れの有無を検査することができる。このため、第二柔軟性塗膜の破断をより確実に防ぐため、第二柔軟性塗膜の伸び率を第一柔軟性塗膜の伸び率より高く設定してもよい。本発明の塗装物においては、第一柔軟性塗膜の伸び率が30〜600%であり、第二柔軟性塗膜の伸び率が60〜800%であり、但し、第一柔軟性塗膜の伸び率より第二柔軟性塗膜の伸び率の方が大きいことが好ましい。更に、柔軟性塗膜に用いる塗料がブタジエン樹脂系又はウレタン変性エポキシ樹脂系である場合、第一柔軟性塗膜の伸び率が100〜600%であり、第二柔軟性塗膜の伸び率が150〜800%であり、但し、第一柔軟性塗膜の伸び率より第二柔軟性塗膜の伸び率の方が大きいことが好ましい。柔軟性塗膜に用いる塗料がブタジエン樹脂系である場合、第一柔軟性塗膜の伸び率が300〜450%であり、第二柔軟性塗膜の伸び率が500〜600%であることが特に好ましい。、柔軟性塗膜に用いる塗料がウレタン変性エポキシ樹脂系である場合、第一柔軟性塗膜の伸び率が100〜250%であり、第二柔軟性塗膜の伸び率が300〜450%であることが特に好ましい。例えば、コンクリート構造物のひび割れが起こり易い環境では、柔軟性塗膜の伸び率を大きく設定する必要があるものの、柔軟性塗膜の伸び率が大き過ぎると、防食性能や遮断性能が低下するような不具合も考えられる。この場合、第一柔軟性塗膜と第二柔軟性塗膜の伸び率を変えることが非常に有効である。
本発明において、塗膜の伸び率は、(社)日本道路協会『道路橋の塩害対策指針(案)・同解説 付録1 コンクリート塗装材料の品質試験方法(案)(6)ひびわれ追従性試験方法』昭和59年2月発刊によって測定できる。
上記柔軟性塗膜は、コンクリート構造物の使用環境等により、塗膜の耐久性等を考慮して、任意に膜厚を決定すればよいが、例えば、第一柔軟性塗膜の膜厚と第二柔軟性塗膜の膜厚の合計は30〜1100μmである。また、コンクリート構造物のひび割れと共に柔軟性塗膜を破断させないためには、塗膜の伸び率に加えて、膜厚を大きく設定することが好ましい。このため、本発明の塗装物においては、第一柔軟性塗膜の膜厚が100〜1000μmであり、第二柔軟性塗膜の膜厚が5〜50μmであることが好ましい。
上述のように、柔軟性塗膜には、ある程度の厚みが求められるが、蛍光顔料、蓄光顔料や光輝顔料を多く配合させることも必要である。しかしながら、蛍光顔料、蓄光顔料や光輝顔料は、高価であるため、これら顔料を柔軟性塗膜全体に多量に配合させることは、コストの面から望ましくない。このため、本発明の塗装物のように、柔軟性塗膜を、蛍光顔料、蓄光顔料や光輝顔料を含まない第一柔軟性塗膜と、これら顔料を多く含む第二柔軟性塗膜に分けることは、非常に有効である。また、柔軟性塗膜全体に占める第二柔軟性塗膜の割合を小さくすることが好ましい。よって、本発明の塗装物においては、第一柔軟性塗膜の膜厚が100〜1000μmであり、第二柔軟性塗膜の膜厚が5〜50μmであることが好ましい。特に、柔軟性塗膜に用いる塗料がブタジエン樹脂系又はウレタン変性エポキシ樹脂系である場合、第一柔軟性塗膜の膜厚が200〜800μmであり、第二柔軟性塗膜の膜厚が10〜50μmであることが好ましい。
本発明において、上記第一柔軟性塗膜は、第一中塗り塗料をコンクリート構造物の表面に塗布し、その後、乾燥等により成膜させることによって製造できる。上記第一中塗り塗料には、従来から公知の各種塗料が利用可能であるが、特に、柔軟性の高い樹脂系塗料が好ましい。例えば、ビニル樹脂系や、アクリル樹脂系、ウレア樹脂系、ウレタン樹脂系、ブタジエン樹脂系、その他ゴム系樹脂、シリコーン樹脂系、ふっ素樹脂系、ビニルエステル樹脂系、ポリマーセメント系、ウレタン変性エポキシ樹脂のような変性樹脂系等の塗料が代表的なものとして挙げられる。これら塗料は、水系や、有機溶剤系、無溶剤系等の各種塗料形態が利用可能である。なお、上記塗料を塗布する方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法、例えば、ハケ塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が挙げられる。
本発明において、上記第二柔軟性塗膜は、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含むことを要し、5〜50質量%含むことが好ましく、15〜50質量%含むことが更に好ましい。蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料から選択される顔料の総含有量が3質量%以上であれば、塗膜中に高い濃度で顔料が分散しており、優れた検出効果を達成することができる。一方、70質量%を超えると、塗装作業性能の低下や塗膜の脆弱化等による柔軟性の低下の不具合が起きる可能性がある。
本発明において、蛍光顔料は、紫外線、赤外線又は可視光線等の光により発光する顔料であるが、本発明において、蓄光性を持つ顔料は、蛍光顔料から除かれる。例えば、
赤色の蛍光顔料として、YS:Eu、Y:Eu、YSiO:Eu、YAlO12:Eu、Zn(PO:Mn、YBO:Eu、(Y、Gd)BO:Eu、GdBO:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu等があり、
青色の蛍光顔料として、BaMgAl1627:Eu、YSiO:Ce、CaWO:Pb、BaMgAl1423:Eu等があり、
緑色の蛍光顔料として、BaMgAl1627:(Eu,Mn)、(Ba,Mg)Al1627:(Eu,Mn)、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO:Tb、BaMgAl1423:Mn、LuBO:Tb、GdBO:Tb、ScBO:Tb、SrSi14:Eu等がある。これら蛍光顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、蓄光顔料は、紫外線、赤外線又は可視光線等の光により発光する顔料のうち蓄光性を持つ顔料であり、硫化物系蓄光顔料、酸素酸塩系蓄光顔料、アルミナ酸化物系蓄光顔料等が挙げられる。硫化物系蓄光顔料としては、例えば、硫化カルシウム:ビスマス系(CaS:Bi)、硫化カルシウム・ストロンチウム:ビスマス系(CaSrS:Bi)、硫化亜鉛:銅系(ZnS:Cu)、硫化亜鉛・カドミウム:銅系(ZnCdS:Cu)等が挙げられる。酸素酸塩系蓄光顔料としては、例えば、Zn2SiO4:Mn、(Zn,Be)2SiO4:Mn、Ca3(PO42:Ce、Ca3(PO42:(Ce、Mn)等が挙げられる。アルミナ酸化物系蓄光顔料としては、酸化アルミニウム・カルシウム:ユーロピウム系(CaAl:Eu)、酸化アルミニウム・ストロンチウム:ユーロピウム系(SrAl:Eu)、酸化アルミニウム・バリウム:ユーロピウム系(BaAl:Eu)等が挙げられる。これら蓄光顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、光輝顔料は、光輝性を持つ顔料であり、メタリック顔料やパール調顔料等が挙げられる。メタリック顔料としては、例えば、アルミフレーク等が挙げられ、パール調顔料としては、パールマイカやガラス等が挙げられる。これら光輝顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記第二柔軟性塗膜は、本発明の目的を害しない範囲で、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料以外の顔料、例えば着色顔料及び体質顔料等を含んでもよい。
本発明において、上記第二柔軟性塗膜は、第二中塗り塗料を第一柔軟性塗膜の表面に塗布し、その後、乾燥等により成膜させることによって製造できる。上記第二中塗り塗料は、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料から選択される顔料の含有量が第二柔軟性塗膜中3〜70質量%になるように該顔料が配合される限り特に限定されるものではなく、従来から公知の各種塗料が利用可能であり、特に、柔軟性の高い樹脂系塗料が好ましい。例えば、第一中塗り塗料の説明において記載したような樹脂を含む塗料が挙げられ、ビニル樹脂系や、アクリル樹脂系、ウレア樹脂系、ウレタン樹脂系、ブタジエン樹脂系、その他ゴム系樹脂、シリコーン樹脂系、ふっ素樹脂系、ビニルエステル樹脂系、ポリマーセメント系、ウレタン変性エポキシ樹脂のような変性樹脂系等の塗料が代表的なものとして挙げられる。これら塗料は、水系や、有機溶剤系、無溶剤系等の各種塗料形態が利用可能である。なお、上記塗料を塗布する方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法、例えば、ハケ塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が挙げられる。
本発明の塗装物において、硬質塗膜は、上記第二柔軟性塗膜上に配置されており、コンクリート構造物のひび割れと共に破断を起こすことが重要である。例えば、特開2005−035827号公報に記載される許容ひび割れ幅(0.20mm程度)がコンクリート構造物に発生した場合であっても、硬質塗膜の破断を起こすことが好ましい。具体的に、上記硬質塗膜は、伸び率が20%以下であることが好ましい。また、上記硬質塗膜は、防食性能、遮断性能及び耐汚染性の観点から、伸び率が1%以上であることが好ましい。
上記硬質塗膜は、コンクリート構造物の使用環境等により、塗膜の耐久性等を考慮して、任意に膜厚を決定すればよいが、例えば、その膜厚は5〜100μmである。
上記硬質塗膜は、不透明な膜であることが好ましい。上記硬質塗膜が不透明であれば、第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光が、硬質塗膜を透過するのを防ぐことができ、コンクリート構造物のひび割れの検出精度を向上させることができる。このため、上記硬質塗膜は、隠蔽率が40〜100%であることが好ましい。隠蔽率の測定はJIS K5600−4−1による。
上記硬質塗膜は、着色顔料を含むことが好ましい。上記着色顔料としては、公知のものが使用でき、例えば、酸化チタン及びカーボンブラック等の無機顔料やフタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。
なお、上記硬質塗膜は、体質顔料等を含んでもよいが、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料を含有しない。
本発明において、上記硬質塗膜は、上塗り塗料を第二柔軟性塗膜の表面に塗布し、その後、乾燥等により成膜させることによって製造できる。上記上塗り塗料には、従来から公知の各種塗料が利用可能であるが、特に、耐候性のよい塗料が好ましい。例えば、中塗り塗料の説明において記載したような樹脂を含む塗料が挙げられ、アクリル樹脂系や、ウレタン樹脂系、ブタジエン樹脂系、その他ゴム系樹脂、シリコーン樹脂系、ふっ素樹脂系、ビニルエステル樹脂系、ポリマーセメント系、ウレタン変性エポキシ樹脂のような変性樹脂系等の塗料が代表的なものとして挙げられる。これら塗料は、水系や、有機溶剤系、無溶剤系等の各種塗料形態が利用可能である。なお、上記塗料を塗布する方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法、例えば、ハケ塗装、ローラー塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が挙げられる。
なお、本発明の塗装物において、柔軟性塗膜と硬質塗膜の形成に利用される塗料は、同系統の樹脂系塗料を利用することも可能であるが、特に硬質塗膜は耐候性を意識しつつ層間密着性の良い異種の樹脂系塗料を組み合わせることも可能である。また、伸び率を調整することで、柔軟性塗膜や硬質塗膜を作製することができるが、伸び率を調整する手段としては、例えば、形成される塗膜のガラス転移温度の違いや、架橋密度の違い、樹脂骨格の違い、顔料の種類の違い、顔料含有量の違い等を利用する手段が知られており、当業者であれば、所望の伸び率を有する塗膜を容易に作製することができる。具体的に、柔軟性塗膜のガラス転移温度は、10℃以下が好ましく、−20〜8℃が更に好ましい。一方、硬質性塗膜のガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、50〜80℃が更に好ましい。本発明において、塗膜のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して測定できる。
次に、本発明のコンクリート構造物のひび割れ検査方法(以下、単に本発明の検査方法ともいう)を詳細に説明する。本発明の検査方法は、上述の本発明の塗装物を構成するコンクリート構造物のひび割れを検査する方法であって、前記第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察し、前記コンクリート構造物のひび割れを検査することを特徴とする。コンクリート構造物のひび割れが発生すると、硬質塗膜の破断により、第二柔軟性塗膜が現れるため、第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光を確認することができる。つまり、顔料が発する光又は顔料を反射する光が見えると、コンクリート構造物のひび割れが発生している可能性が高い。また、ひび割れ検査を暗所で行う場合もあるが、例えばブラックライトや懐中電灯等の光を本発明の塗装物に当てることにより、ひび割れ検査を容易で且つ正確に行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例の塗装工程に使用する大日本塗料(株)製のプライマー、第一中塗り塗料及び上塗り塗料の一般名称、商品名、塗膜の伸び率及びガラス転移温度(Tg)を表1に、第二中塗り塗料A〜Dの塗料配合、塗膜の伸び率及びガラス転移温度(Tg)を表2に示す。
Figure 2016032915
Figure 2016032915
※1)(社)日本道路協会『道路橋の塩害対策指針(案)・同解説 付録1 コンクリート塗装材料の品質試験方法(案)(6)ひびわれ追従性試験方法』昭和59年2月発刊
※2)ルミナス社製、商品名UVG-1
※3)ルミナス社製、商品名301G
※4)旭化成ケミカルズ社製、商品名4FS
※5)EVONIK社製、商品名POLYVEST HT
※6)三井化学社製、商品名810ST
※7)DIC社製、商品名BURNOCK DN-902S
※8)T&K TOKA社製、商品名トーマイド235-A
JSCE−K532−2010「表面被覆材のひび割れ追従性試験方法」に基づく試験片に、表3の乾燥膜厚になるようプライマー、第一中塗り塗料、第二中塗り塗料、上塗り塗料を刷毛塗りした。各工程の塗装間隔は、1日1工程とした。全ての塗装工程を終えた後、標準状態で定められた温度、湿度環境下で、28日間養生を行った。得られた複層を形成した試験片につき、1kNのロードセルを装備した(株)島津製作所社製引張試験機「AG−1」により、速度0.3mm/分の速度で上塗り塗料からなる塗膜のみが破断するまで引っ張りその距離を記録し、その状態を暗室で確認し、確認状況を記録した。その後、塗膜が全て破断するまで引っ張りその距離を記録した。
Figure 2016032915
※9)暗室にて試験片に光を照射した後、試験片から10m離れた場所から目視にて第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光を確認し、コンクリート構造物のひび割れを検出することができた場合を「○」と評価し、顔料が発する光を確認できず、コンクリート構造物のひび割れを検出できなかった場合を「×」と評価した。
実施例1、2及び6にて得られた試験片に対して、暗室にてブラックライトを照射後、試験片から10m離れた場所から目視にて第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光を確認し、コンクリート構造物のひび割れを検出することができた。実施例3及び4にて得られた試験片に対して蛍光灯にて光を照射後、暗室において試験片から10m離れた場所から目視にて第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光を確認し、コンクリート構造物のひび割れを検出することができた。実施例5及び7にて得られた試験片に対して、暗室において懐中電灯にて光を照射後、試験片から10m離れた場所から目視にて第二柔軟性塗膜中における光輝顔料が反射する光を確認し、コンクリート構造物のひび割れを検出することができた。比較例1及び2にて得られた試験片については、試験片から10m離れた場所から目視にてコンクリート構造物のひび割れを検出することができなかった。

Claims (4)

  1. コンクリート構造物と、該コンクリート構造物の表面に配置された第一柔軟性塗膜と、該第一柔軟性塗膜上に配置された第二柔軟性塗膜と、該第二柔軟性塗膜上に配置された硬質塗膜とを備える塗装物であって、前記第二柔軟性塗膜が、蛍光顔料、蓄光顔料及び光輝顔料よりなる群から選択される少なくとも1種の顔料を3〜70質量%含むことを特徴とする塗装物。
  2. 前記第一柔軟性塗膜の膜厚が100〜1000μmであり、前記第二柔軟性塗膜の膜厚が5〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の塗装物。
  3. 前記第一柔軟性塗膜の伸び率が30〜600%であり、前記第二柔軟性塗膜の伸び率が60〜800%であり、但し、前記第一柔軟性塗膜の伸び率より前記第二柔軟性塗膜の伸び率の方が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装物を構成するコンクリート構造物のひび割れ検査方法であって、前記第二柔軟性塗膜中における顔料が発する光又は顔料を反射する光を観察し、前記コンクリート構造物のひび割れを検査することを特徴とする方法。
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