JP5522673B2 - 構造物の亀裂検出用被覆層及び構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法 - Google Patents

構造物の亀裂検出用被覆層及び構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造物の亀裂検出用被覆層及び構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法に関する。さらに詳しくは、船舶、橋梁、車輌、鉄道、航空機、工作機械等各種構造物の金属等の表面に発生する疲労亀裂の発生箇所を目視で簡便に検出することができる構造物の亀裂検出用被覆層及び構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法に関する。
船舶、橋梁、車輌、鉄道、航空機、工作機械等の各種構造物は、鉄、アルミニウム等の金属やそれらの合金で構成されているが、静的な破壊応力よりはるかに小さな応力であっても、その応力を金属に繰り返し加えることによって、金属の疲労現象による疲労亀裂が起こることが知られている。また、この疲労亀裂が発生した部分に、応力が繰り返し加わることによって疲労亀裂がさらに進展していくため、このような構造物では定期的ないしは不定期的に亀裂の検査を行うことが必要とされる。ここ数年、進展した亀裂により金属構造物の強度が著しく劣化し、破断、脱落、あるいは破壊して大事故が発生する事例が多く挙がってきていることからも、亀裂の発生を早期に発見して対応することが急務となっている。
亀裂の検査ないし検出方法としては、目視検査が行われることが一般的であり、特別な場合には、超音波探傷法、渦電流探傷法、磁気探傷法、染色探傷法等の各種方法を実施可能な機器を用いて精密な検査が行われている。しかし、これらの精密検査方法は、いずれも測定機器の設置が必須となるためコストや時間がかかり、また、測定機器の取扱いが煩雑であるため熟練を要する等の問題もあった。さらに、これらの精密検査方法は、狭い場所や部材が入り組んだ個所等を検査する場合には、測定機器を使用することが困難であるため適用できないという問題もあった。
このような背景から、より簡便な亀裂の検出手段として、外観は黒色不透明であり、表面は粗面で様々な形状をした立体物を対象に、亀裂にあらかじめアセトンやベンゼン等の揮発性溶媒を浸透させ、表面を乾燥させた試料を密封容器の中に静置して、試料の表面を沿って流れるヘリウムや窒素等のキャリアガスに気化することにより混入した揮発性溶媒の濃度を検出することにより亀裂の存在を検出する方法が提供されていた(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、このような方法では、亀裂が存在することを検出した場合でも、亀裂が存在する場所までは検出することができず、また、密封容器が必要であるので、船や飛行機等の大型な試料については検出が困難であった。よって、試料の亀裂が存在する場所を検出するためには、これまでと同様に、超音波探傷法等の精密検査方法を使用せざるを得なかった。
また、亀裂に水やエチルアルコール等の液体を浸透させ、乾燥させた物体の表面を、温度センサーやアルコールセンサーを用いて走査し、亀裂の内部に残っている液体の蒸気の濃度を検出することにより、亀裂の存在を検出する方法が提供されていた(例えば、特許文献2を参照。)。しかしながら、かかる方法では、センサーが感知することができるのはセンサーに極めて近い範囲の蒸気に限られるため、物体表面に沿って物体全体を走査しなければならず、船や飛行機等の大型な物体に対しては、長い走査時間が必要とされるという問題があった。
このような測定機器を用いた検出方法の問題を解決するため、構造物の表面に可視化液を内包したガラスカプセルを分散させた被覆層を検出層として形成することで、構造物に生じた亀裂に沿ってかかる検出層に亀裂が生じることで検出層中のガラスカプセルの破壊が起こり、可視化液が検出層の表面に流出することにより亀裂箇所を検知する技術が提供されている(例えば、特許文献3を参照。)。また、構造物の表面に、赤色染料からなる可視化液を内包したマイクロカプセルを分散させた第一被覆層を形成し、さらにその上に可視化液とは色の異なる第二被覆層を設け、構造物に亀裂が生じた際に、その亀裂が第一被覆層及び第二被覆層に伝播し、それに伴ってマイクロカプセルが破壊され、破壊されたマイクロカプセルから流出し亀裂を伝わって第二被覆層の表面に達した可視化液を感知することで構造物における亀裂の発生を検知できる技術が提供されている(例えば、特許文献4を参照。)。
さらに、構造物の表面に視認性液を内包したマイクロカプセルを分散させた第一被膜層とマイクロカプセルを含まない第二被膜層を形成しておき、該構造物に亀裂が生じた際にその亀裂が第一被膜層に伝わって、それに伴って該被膜層中のマイクロカプセルが破壊され、該マイクロカプセルから流出した視認性液が被膜層中の亀裂を伝わって被膜層表面に達することで、該構造物亀裂発生を検出している手段が提供されている(例えば、特許文献5を参照。)。そして、疲労亀裂の進展抑制方法及び検出方法として、耐水性や防水性の向上を目的に最外層に破れにくい伸びを有する軟質のコート材を施して、視認性液を内部に滞留させることにより疲労亀裂を検出する技術が提供されている(例えば、特許文献6を参照。)。
特開平8−29410号公報 特開昭56−12552号公報 特開平10−267866号公報 米国特許第5534289号公報 国際公開第2005/001454(A1)号パンフレット 特開2005−28462号公報
前記した特許文献4及び特許文献5に示される可視化液を使用する方法では、構造物に生じた亀裂に沿って被覆層表面に可視化液がしみ出し、これを視認することによって亀裂の有無を確認しており、測定機器を必要としない検出方法という点において非常に有効であるが、被覆層(検出層)の表面にしみ出た可視化液が時間の経過とともに少しずつ退色して次第に視認できなくなるという問題があった。
また、特許文献5では赤色染料をマイクロカプセル化してこれを可視化液として主に使用し、このマイクロカプセルを分散させた被覆層を構造物表面に塗布形成するようにしている。しかしながら、この可視化液を使用した場合、構造物の亀裂に伴って発生した赤色の可視化液が雨水などの影響により少しずつ除去されて次第に視認できなくなるという問題があった。ここで、耐水性等を向上させるために、前記した特許文献6に開示されるように、破れにくい伸びを有する軟質のコート剤を最外層に形成する等の措置が施されていたが、これらの措置も十分なものではなかった。
加えて、視認性液を内包したマイクロカプセルを分散させた検出層を構造物に形成する場合にあっては、あらかじめ防錆層等の塗装層が施された構造物の表面に検出層を形成することが多かったが、検出層を形成することにより既存の防錆層が膨潤してしまう等、既存の塗装層に悪影響を与える場合があった。このため、検出層を形成するために既存の塗装層を剥離せざるを得ない場合もあったが、既存の塗装層を剥がすことは、構造物の防錆・防蝕機能を低下させることになるばかりか、作業自体が非常に面倒であるため好ましくなかった。よって、既存の塗装層を剥がすことなく、かかる塗装層に悪影響を与えない検出層の形成手段が求められていた。
本発明は前記のような問題を解決するためになされたものであり、構造物の表面に視認性液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂に分散させた検出層を形成し、構造物に発生した亀裂に対応してマイクロカプセルから染み出した視認性液を確認することにより簡単に亀裂を検出できる方法を提供するに際して、視認性液の発色性、耐水性、防水性が良好であり、長期にわたる視認安定性を確保することができるとともに、構造物にあらかじめ防錆層等の塗装層が施されていた場合であっても、かかる塗装層に悪影響を与えない構造物の亀裂検出用被覆層及び構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、構造物の表面に形成される、視認性液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂に分散させた検出層を含む構造物の亀裂検出用被覆層において、前記視認性液がジケトピロロピロール系顔料を含み、前記検出層の上にSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂からなる最外層が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、前記した構成において、前記視認性液がさらに油溶性赤色染料及び蛍光染料を含むことを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、前記した構成において、前記視認性液における前記ジケトピロロピロール系顔料と、前記油溶性赤色染料の配合比が、質量比で顔料/染料=90/20〜30/80であることを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、前記した構成において、前記検出層と前記最外層の間に他の層が形成されていないことを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、前記した構成において、前記バインダー樹脂がエポキシ系樹脂であることを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法は、構造物の表面に、ジケトピロロピロール系顔料を含む視認性液を封入したマイクロカプセルを分散させた、弱溶剤を含むバインダー樹脂を塗布し、硬化させることにより検出層を形成する工程と、前記検出層の上に、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂を塗布、硬化させて最外層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法は、前記した構成において、前記構造物の表面にあらかじめ塗装層が形成されており、当該塗装層の上に前記検出層が形成され、当該形成された検出層における前記マイクロカプセルが、前記構造物に発生する亀裂の長さが3cm以下で破壊され、発色することを特徴とする。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、マイクロカプセルに内包される視認性液の構成材料として、耐久性に優れたジケトピロロピロール系顔料を含み、かつ、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂からなる最外層を形成することにより、視認性液の発色性もよく、また、染み出した視認性液のほとんどがSEBS系樹脂からなる最外層に吸着されるため、発色を長時間保持することができ、長期にわたり視認性を持続させることが可能となり、視認性液の発色性と耐水性・防水性、耐候性に優れた亀裂検出用被覆層となる。
また、本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法にあっては、検出層を形成する際に使用する溶剤として弱溶剤を採用しているので、得られた亀裂検出用被覆層が前記した効果を奏することに加えて、仮に構造物に防錆層等の塗装層が形成されていた場合であっても、塗装層にも刺激が少ないため、既存の防錆層等の塗装層が膨潤等してしまうこともなく、塗装層に悪影響を与えることを効率よく防止することができる。そして、このようにして得られた検出層は、塗装層に悪影響を与えることもないため、亀裂の長さが短い状態でマイクロカプセルが破壊されて発色するため、実際の亀裂の発生時期とタイムラグが少なく、亀裂の発生を観測者等に効率よく伝達することができる。
試験例3で使用した試験サンプルを示した正面図である。 試験例3で使用した試験サンプルを示した平面図である。 試験例3において、荷重により試験片に発生する応力の設定値とその履歴を示した図である。 試験例3において、実際の亀裂の長さ及び試験サンプルの亀裂指示長さと荷重載荷回数の関係を示した図である。
本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層(以下、単に「亀裂検出用被覆層」とする場合がある。)は、視認性液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂に分散させた検出層における視認性液がジケトピロロピロール系顔料を含み、検出層の上にSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂からなる最外層が形成されていることを基本構成として含むものである。
なお、本発明における「構造物」とは、例えば、金属疲労により亀裂を生じやすい金属製の構造物、例えば船舶、橋梁、車輌、鉄道、航空機、工作機械等の金属製構造物が挙げられる。また、例えば、特許第3329029号に記載されるように、視認性液を内包したマイクロカプセルの平均粒径を適宜選択することにより、亀裂の発生が予想されるコンクリート構造物に応用することも可能であり、同様にして、各種の強化プラスチック製構造物への応用も可能である。
本発明に係る亀裂検出用被覆層は、バインダー樹脂に視認性液を内包したマイクロカプセルを分散させてなるが、マイクロカプセルに内包された視認性液はジケトピロロピロール系顔料を含むものである。この顔料は発色性も良好であるとともに、耐久性に優れるため、視認性液の発色性、防水性・耐水性が向上する。視認性液を構成するジケトピロロピロール系顔料は、例えば、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0005522673
(式(I)中、R及びRは、独立して水溶性を付与しない置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基であり、R及びRは独立して水素原子または水溶性を付与しない置換基、を示す。)
前記したジケトピロロピロール系顔料としては、R及びRはそれぞれ独立して、未置換フェニル基、クロロフェニル基、ブロムフェニル基及びシアノフェニル基からなる群から選ばれるフェニル基であり、R及びRが水素原子とした赤色顔料(ジケトピロロピロール)が特に好ましい。
また、視認性液には、前記したジケトピロロピロール系顔料とともに、油溶性赤色染料を使用することが好ましい。油溶性赤色染料を使用することにより、マイクロカプセルに内包された視認性液が化学的に安定になり、発色可能な時間を長く保つことができるため、使用できる時間が長くなる。油溶性赤色染料としては、例えば、アゾ系染料(油溶性赤色アゾ染料)、アントラキノン系染料(油溶性アントラキノン染料)等が挙げられる。これらの油溶性赤色アゾ染料と油溶性赤色アントラキノン染料は、それぞれを単独で使用してもよく、これらを組み合わせて使用するようにしてもよい。油溶性赤色アゾ染料としては、例えば、赤色501号、赤色505号、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7等が挙げられ、また、油溶性赤色アントラキノン染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ディスパースレッド60、PLAST Red 8350、PLAST Red 8340、PLAST Red 8320等が挙げられる。
かかる油溶性赤色染料を使用する場合にあっては、ジケトピロロピロール顔料と油溶性赤色染料の混合割合は、質量比で、ジケトピロロピロール系顔料/油溶性赤色染料=90/20〜30/80とすることが好ましい。かかる範囲より油溶性赤色染料が多い場合にあっては、耐光性や耐候性が乏しくなり退色しやすくなる傾向になる。一方、油溶性赤色染料が少ない場合にあっては、初期の発色性が乏しくなる傾向になる。ジケトピロロピロール系顔料と油溶性赤色染料の混合割合は、質量比で、ジケトピロロピロール系顔料/油溶性赤色染料=90/20〜50/60とすることがさらに好ましく、90/20〜70/40とすることが特に好ましい。
ジケトピロロピロール顔料を単独で用いる場合、あるいは油溶性赤色染料と組み合わせた混合物として用いる場合には、例えば、スピンドル油、鉱油、オレイン酸、リノール酸、石油留分又は残油の水素化精製又は分解により得られる潤滑油基油や、水素処理軽パラフィン油等の石油系炭化水素等といった溶媒に溶解ないし分散された状態でマイクロカプセル化されることが好ましい。ジケトピロロピロール系顔料、あるいは当該ジケトピロロピロール系顔料と油溶性赤色染料との混合物と前記した溶媒の混合比については特に制限はないが、視認性液の色の濃さや、顔料等の溶解度の観点から、混合比を、質量比で、ジケトピロロピロール系顔料(あるいは混合物)/溶媒=0.5/9.5〜2.5/7.5程度とすること好ましい。
また、視認性液には、蛍光染料を添加することが好ましい。視認性液に蛍光染料を添加して前記のジケトピロロピロール系顔料等と併用することにより、例えば、構造物が船舶内等の暗い環境に構築されている場合には、ブラックライトを照射することによって、亀裂により被覆層から流出した蛍光染料を鮮やかに浮き上がらせることができ、亀裂の確認をより簡便に行うことができる。蛍光染料としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アントラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、ジアミノスチルベン系蛍光染料等を使用することができる。
ジケトピロロピロール系顔料等に対する蛍光染料の添加量は、前記のジケトピロロピロール系顔料単独、あるいはジケトピロロピロール系顔料と油溶性赤色染料の混合物110質量部に対して、2.0〜30.0質量部添加することが好ましく、5.0〜15.0質量部添加することが特に好ましい。
前記した成分を含む視認性液を内包したマイクロカプセルの製造手段としては、例えば、in−situ重合法、界面重合法等の化学的方法、液中硬化法(液中乾燥法)、コアセルベーション法等の物理化学的方法、噴霧乾燥法、乾式混合法等の機械的方法等の従来公知の方法を用いることができる。これらの方法中でも、検出層の形成対象である構造物の表面に形成する際のマイクロカプセル膜の安定性を考慮すると、マイクロカプセル膜(マイクロカプセル壁)を構成する物質としてゼラチンを用いたコアセルベーション法を用いることが好ましい。
本発明に係る亀裂検出用被覆層は、視認性液を内包したマイクロカプセルを分散したバインダー樹脂により検出層を形成するが、この検出層を形成するバインダー樹脂としては、塗料やコーティング剤等に使用される各種の硬化性あるいは固化性の流体状樹脂材料を好ましく使用できる。これら流体状樹脂材料としては、例えば、塗料、コーティング剤、被覆剤等で使用されているような、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、シリコーン系樹脂、変成シリコーン系樹脂等の樹脂材料を使用することができる。これらの樹脂材料の中でも、硬質であり伸びが小さく、反応系で耐久性がよく、また、汎用樹脂であり、取り扱いも容易なエポキシ系樹脂を使用することが好ましい。
なお、これらの樹脂材料は、加熱、湿気、光照射、2液混合等の様々な手段で硬化する反応性の樹脂材料を主成分としてもよいし、前記した種々の樹脂材料を溶剤に溶解した形態で被着体に塗布し溶剤の蒸散により硬化させても、あるいはその両方の手段を併用してもよい。
ここで、バインダー樹脂に適用される溶剤としては、本発明に係る亀裂検出用被覆層を製造する場合にあっては、弱溶剤を使用することができる。溶剤として弱溶剤を使用することにより、仮に構造物に防錆層等の塗装層が形成されていた場合であっても、検出層と塗装層との付着性能が良好となり、また、塗装層にも刺激が少ないため、防錆層等の塗装層が膨潤等してしまうこともなく、かかる塗装層に悪影響を与えることを効率よく防止することができる。ここで、構造物にあらかじめ形成されていることが予想される塗装層としては、例えば、防錆層のほか、フタル酸系塗料、シリコーン系塗料、フッ素系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料等からなる構造物の保護や装飾等を目的とする層が挙げられる。
また、溶剤として弱溶剤を使用して検出層を形成した場合には、構造物にあらかじめ塗装層が塗布された状態であっても、塗装層に悪影響を与えることもないため、亀裂の長さが短い状態(概ね3cm以下。通常1〜3cm程度。)でマイクロカプセルが破壊されて発色するため、実際の亀裂の発生時期とタイムラグが少なく、亀裂の発生を観測者に効率よく伝達することができる。
ここで、本発明において使用することができる「弱溶剤」とは、労働安全衛生法の第3種有機溶剤及び第3種有機溶剤に相当する溶剤が挙げられ、具体的には、非水系で芳香族炭化水素の含有量が50質量%以下の有機溶剤が挙げられる。例えば、Aソルベント(日本石油(株)製)、エクソンナフサNo.6(エクソン化学(株)製)、LAWS(シェル化学(株)製)、HAWS(シェル化学(株)製)、エクソンナフサNo.5、エクソンナフサNo.3(エクソン化学(株)製)、アイソパーE、アイソパーG(日本石油(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028(出光石油(株)製)、エクソールD40、エクソールD80(エクソン化学(株)製)、SWA#310(丸善石油(株)製)、ペガソールAN45(エクソン化学(株)製)、等が挙げられる。
また、弱溶剤としては、特に、脂肪族炭化水素系溶剤及び高沸点芳香族炭化水素系溶剤等の弱溶剤が好ましく、例えば、脂肪族炭化水素類の弱溶剤であるミネラルスピリット(ミネラルスピリッツ)、ソント灯油、芳香族ナフサ、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(「ソルベッソ」はエッソ石油社の登録商標である。)、スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500(「スワゾール」はコスモ石油(株)の登録商標である。)、n−ヘキサン、n−デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
検出層を形成するバインダー樹脂は、視認性液を内包したマイクロカプセルや検出層の形成対象となる構造物の表面の色を隠蔽し、かつ、視認性液の流出による視認性を確保するため、非透明性であることが好ましく、白色、乳白色などの白色系に着色されていることが特に好ましい。また、このような着色には、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の白色系顔料や白色系充填剤をバインダー樹脂に添加するようにしてもよい。
検出層の厚さは、特には限定されず、マイクロカプセルの平均粒径等によって適宜決定することができるが、一般的には40〜500μm程度とすればよく、100〜350μmとすることが好ましい。検出層の厚さが40μmより薄いと、これより平均粒径の小さいマイクロカプセルを使用しなければならず、この場合、マイクロカプセルに内包された視認性液の絶対量が不足したり、マイクロカプセルが破壊されにくくなるため、視認性液の発色性が劣る場合がある。一方、検出層の厚さが500μmを超えると、構造物に生じた亀裂が検出層に伝播されにくくなる場合がある。
検出層を形成するマイクロカプセルの平均粒径の大きさも特に制限されないが、30〜500μmとすることが好ましい。マイクロカプセルの平均粒径が30μmより小さいと、マイクロカプセルに内包される視認性液の絶対量が不足したり、カプセルが破壊されにくくなり、発色性が劣ることになる場合がある。一方、マイクロカプセルの平均粒径が500μmを超えると、構造物に生じた亀裂が検出層に伝播しにくくなる場合がある。マイクロカプセルの平均粒径は、50〜300μmとすることが特に好ましい。平均粒径の大きさは、例えば、適当数(例えば100個程度)のマイクロカプセルを、走査型電子顕微鏡(SEM)や、透過型電子顕微鏡(TEM)による測定に基づいて算出された値を採用すればよい。
検出層を形成するバインダー樹脂と視認性液を内包したマイクロカプセルの配合比は、マイクロカプセルに内包される視認性液の量やマイクロカプセルの平均粒径の大きさ等で適宜決定することができるが、概ね、質量比でバインダー樹脂/マイクロカプセル=100/10〜100/40の範囲、あるいは容量比でバインダー樹脂/マイクロカプセル=100/25〜100/100の範囲にあることが好ましい。かかる範囲よりマイクロカプセルの比率が小さくなるにしたがって亀裂発生時の発色が十分でなくなる場合があり、一方、マイクロカプセルの比率が高くなるにつれて検出層の塗布形成時にマイクロカプセルの破壊が起こったり、粘度が高くなり塗布が困難になる場合がある。
本発明に係る亀裂検出用被覆層にあっては、検出層の上側(構造物に接する側と反対側のこと。以下同じ。)に、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂からなる最外層を形成するようにする。かかる最外層の構成材料としてSEBS系樹脂を用いることにより、SEBS系樹脂が視認性液との相性が良いため、視認性が向上する。この原理は明確ではないが、マイクロカプセルが破壊されることにより溶出した視認性液が検出層とSEBS系樹脂からなる最外層の層間(後記する保護層が形成されている場合にあっては、保護層と最外層の層間。)に達し、視認性液のほとんどがSEBS系樹脂からなる最外層に吸着されることが考えられる。このため、吸着された視認性液が環境変化や経時経過に影響されにくくなり、発色した状態を長時間保持することができ、長期にわたり視認性を持続させることが可能となり、視認性液の発色性と耐候性を良好なものとすることができる。
最外層を形成するSEBS系樹脂は、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンのブロック共重合体(コポリマー)である。最外層を形成するSEBS系樹脂としては、その重量平均分子量が10000〜500000程度のものを使用することが好ましい。
また、SEBS系樹脂におけるスチレンとエチレン/ブチレンとの比は、(スチレン)/(エチレン/ブチレン)=10/90〜70/30であることが好ましい。さらに、SEBS系樹脂は、その製造について特に制限されず、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(SBS)を水素添加する方法等によって簡便に得ることができる。
SEBS系樹脂の工業製品例としては、例えば、クレイトン(クレイトンポリマージャパン(株)製)、タフテック(旭化成(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、アクティマー(理研化学工業(株)製)等が挙げられる。SEBS系樹脂は有機溶剤に希釈して使用される。有機溶剤としては特に限定されず、汎用のものが使用可能であるが、前記した弱溶剤を使用することが好ましい。なお、有機溶剤に希釈された製品としてシールピール#8501(日飛興産(株)製)が挙げられる。
SEBS系樹脂からなる最外層の厚さは、特には限定されず、求められる特性等によって適宜決定することができるが、一般的には30〜400μm程度とすればよく、80〜180μmとすることが好ましい。最外層の厚さが30μmより薄いと、吸着する赤色の量が少なくなり視認性が乏しくなる場合がある。一方、最外層の厚さが400μmを超えると、発色が判りにくくなる場合がある。なお、最外層の厚さの調整は、溶剤による希釈の度合いや塗布方法、塗布回数等によって実施すればよい。
なお、視認性液を内包したマイクロカプセルを分散させた検出層と、SEBS系樹脂からなる最外層との間には、他の層を形成しないようにすれば、発色した視認性液が最外層に効率よく吸着され、視認性液の視認性を高い状態で維持することができるが、かかるSEBS系樹脂層からなる最外層との間には、保護層を形成するようにしてもよい。保護層を形成することにより、保護層を形成しない場合と比較して、視認性等が本発明の効果を維持した状態で若干劣る場合もあるが、検出層が確実に保護されるというメリットがある。
保護層を形成するための樹脂材料としては、例えば、前記した検出層を構成するバインダー樹脂を構成する流体状樹脂組成物を使用することができ、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、シリコーン系樹脂、変成シリコーン系樹脂等が挙げられる。なお、保護層は、単層でもよく、また、同じ樹脂あるいは異なる樹脂による複数層とするようにしてもよい。保護層の厚さは、特には限定されず、一般的には20〜200μm程度とすればよい。
前記した最外層及び保護層で使用される樹脂材料については、前記したバインダー樹脂と同様、加熱、湿気、光照射、2液混合等の様々な手段で硬化する反応性の樹脂組成物を主成分としてもよいし、前記した種々の樹脂を溶剤に溶解した形態で被着対象に塗布し溶剤の蒸散により硬化させても、あるいはその両方の手段を併用してもよい。また、溶剤を使用する場合にあっては、従来公知の溶剤を使用することができるが、前記したバインダー樹脂の場合と同様、弱溶剤を使用するようにしてもよい。
本発明に係る亀裂検出用被覆層の厚さは、特に制限はないが、概ね、100〜1000μmの範囲とすることが好ましく、200〜400μmの範囲とすることが特に好ましい。なお、本発明に係る亀裂検出用被覆層における検出層及び必要により形成される保護層を構成するバインダー樹脂には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、必要に応じて従来公知の添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、例えば、構造物が鉄などの錆びやすい材料で構成される場合は、防錆剤等が挙げられる。
亀裂検出用被覆層を構造物に形成するには、まず、前記した成分の弱溶剤からなる溶剤を含むバインダー樹脂に視認性液を内包したマイクロカプセルを混合、分散させて、検出層原液を調製する。次に、亀裂の検出を必要とする構造物の表面に調製された検出層原液を刷毛などにより塗布、硬化させて検出層を形成する。なお、検出層原液の構造物への塗布は、配合されたマイクロカプセルが破壊されないような塗布方法であれば、特に限定されない。
さらに、必要により溶剤を含有したSEBS系樹脂を、検出層の上に重ねて塗布、硬化させることにより最外層を形成するようにする。なお、検出層と最外層との間に保護層を設ける場合には、保護層を構成する樹脂材料を、検出層の上に重ねて塗布し、かかる保護層の上に、SEBS系樹脂を重ねて塗布して最外層を形成するようにする。最外層、保護層の被覆層の塗布方法は、刷毛塗り、ロール塗布、スプレー塗布等の従来公知の方法を用いることができる。また、保護層を複数層とする場合は、前記した方法を用いて、繰り返し積層塗布すればよい。
本発明に係る亀裂検出用被覆層は、構造物の疲労亀裂発生の危険性がある箇所の表面に、視認性液を内包したマイクロカプセルを分散させた検出層、最外層(及び必要により検出層と最外層の間に保護層)を、前記した方法により形成しておく。構造物に所定の大きさの亀裂が発生すると、亀裂が検出層に伝播して検出層にも亀裂が発生し、それに伴い、マイクロカプセルが破壊され、内包されている赤色の視認性液が染み出すことになる。染み出した視認性液は、検出層の亀裂を伝わって、そのほとんどがSEBS系樹脂からなる最外層に吸着されることになる。そして、検査時に、観測者が、亀裂検出用被覆層が形成された構造物の表面を目視することによって、視認性液の発色を感知することとなり、容易に構造物の亀裂発生が検出される。これにより、観測者は適切な対応処置をとることができる。
以上説明した本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層は、検出層に分散されるマイクロカプセルが破損し、内包した視認性液が染み出して発色することにより、構造物における亀裂の発生を目視により簡便に検出されることに加え、マイクロカプセルに内包される視認性液の構成材料として、耐久性に優れたジケトピロロピロール系顔料を含み、SEBS系樹脂からなる最外層を形成することにより、染み出した視認性液のほとんどがSEBS系樹脂からなる最外層に吸着されるため、発色を長時間保持することができ、長期にわたり視認性を持続させることが可能となる亀裂検出用被覆層となる。このような、視認性液の発色性、耐候性、耐水性等に優れた本発明に係る亀裂検出用被覆層は、日光や雨水がかかる屋外構造物の亀裂進展の長期モニタリングが可能であり、また、亀裂検査時の亀裂の見落としも少なくなる。
また、本発明に係る構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法にあっては、検出層を形成する際に使用する溶剤として弱溶剤を採用しているので、得られた亀裂検出用被覆層が前記した効果を奏することに加えて、仮に構造物に防錆層等の塗装層が形成されていた場合であっても、塗装層に刺激が少なく、膨潤等してしまうこともなく、かかる塗装層に悪影響を与えることを防止することができる。そして、このようにして得られた検出層は、塗装層に悪影響を与えることもないため、亀裂の長さが短い状態でマイクロカプセルが破壊されて発色するため、実際の亀裂の発生時期との時間差(タイムラグ)が少なく、亀裂の発生を観測者等に効率よく伝達することができる。
以下、実施例等に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等に何ら限定されるものではない。
[検出層原液の調製]
(1)視認性液の調製:
スピンドル油(cas.64742−55−8)を溶媒成分として分散させたジケトピロロピロール系顔料(SMP−8−0059:オリエント化学工業(株)製)(ジケトピロロピロール系顔料の含有量は溶媒成分を含んだ当該顔料組成物全体の10質量%)及び石油系炭化水素(cas.64742−53−6)(水素処理軽パラフィン油)を溶媒成分として分散させた油溶性赤色アゾ染料(LSP240:オリエント化学工業(株)製)(油溶性赤色アゾ染料の含有量は溶媒成分を含んだ当該染料組成物全体の10質量%)を、表1の製造例1〜製造例13にあるような配合比として混合攪拌することにより、視認性液を調製した。なお、製造例3及び4については、蛍光染料(Lumogen Red 305/BASF社製)を、溶媒成分を含んだ110質量部のジケトピロロピロール系顔料/油溶性赤色アゾ染料混合物に対してさらに1質量部添加した。
前記したように、溶媒成分を含んだ組成物全体のうち10質量%が、ジケトピロロピロール系顔料(表1では「DPP顔料」と表記)及び油溶性赤色アゾ染料(表1では「アゾ染料」と表記)となる、表1(及び後記する表2)において、例えば製造例7では、溶媒成分を含んだジケトピロロピロール系顔料組成物90質量部(ジケトピロロピロール系顔料は9質量部)と、溶媒成分を含んだ油溶性赤色アゾ染料組成物20質量部(油溶性赤色アゾ染料は2質量部)を混合して、溶媒成分を含めて110質量部の視認性液となる(成分比も質量比となる。)。他の製造例も同様に溶媒成分を含めて110質量部の視認性液となり、また、製造例3及び4については、蛍光染料を、溶媒成分を含んで110質量部のジケトピロロピロール系顔料/油溶性赤色アゾ染料混合物に対してさらに1質量部添加している。
(視認性液の組成)
Figure 0005522673
(2)コアセルベーション法によるマイクロカプセルの調製:
18質量部のゼラチン(ブルーム強度320:新田ゼラチン(株)製)を145質量部の水に投入、42℃で攪拌溶解して混合溶液とした。この混合溶液を攪拌しながら、(1)で調製した、溶媒成分を含んで110質量部(蛍光染料を含有する場合には111質量部)の視認性液を投入、混合溶液中に視認性液を分散させた。次に、517質量部の水と、メタリン酸ナトリウム2質量部を19.5質量部の水に溶解させたものを添加し42℃で撹拌した。その後、10%塩酸を滴下しながらpHを4.5に調整し、10℃まで冷却した後、50%グルタルアルデヒド溶液(和光純薬工業(株)製)5.7重量部を加え、室温で約8時間攪拌し、マイクロカプセルスラリーを得た。かかるマイクロスラリーを濾過乾燥することによりマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルの平均粒径は約220μmであった。
(3)検出層原液の調製:
(2)で得られたマイクロカプセル100質量部に対し、バインダー樹脂として、本剤と硬化剤を溶剤として弱溶剤であるミネラルスピリットを用いて混合済みの2液性エポキシ樹脂(エピコン中塗りMS 白色塗料/中国塗料(株)製)400重量部を混合して、検出層原液を調製した。なお、本剤と硬化剤は360重量部と40重量部ずつ加え、弱溶剤であるミネラルスピリットは、2液性エポキシ樹脂にあらかじめ混合されている。
[試験例1]
耐候性試験(1):
下記の方法を用いて、金属構造物を想定した試験サンプル(アルミニウム製平板)の表面に亀裂検出用被覆層を形成し、初期発色性を確認するとともに、キセノンアークランプ式促進耐候性試験装置(ウエザーオメーター)(ATLAS Ci4000:(株)東洋精機製作所製)を用いて、耐候性試験(暴露試験)を行った場合における視認性を確認し、比較・評価した。
サイズ25mm×100mm×2mmtのブラスト処理済アルミニウム製平板を準備して、試験サンプルとした。なお、かかる試験サンプルのほぼ真ん中には、あらかじめ、折り曲げるための25mm幅の溝を形成した。この試験サンプルに、前記(3)のようにして調製された検出層原液を、刷毛を用いて塗布し、硬化させて検出層を形成した。厚さは40〜300μmであった。
この検出層に、マイクロカプセルを分散させない以外は検出層原液を構成するバインダー樹脂と同様の2液性エポキシ樹脂(エピコン中塗りMS 白色塗料/中国塗料(株)製)を、刷毛を用いて上塗り塗布し、硬化させて保護層とした。保護層の厚さは20〜40μmであった。
さらに、製造例2、4、6、8、10については、SEBS系樹脂と溶剤(シールピール8501/日飛興産(株)製)からなる最外層を、刷毛を用いて塗布し、乾燥硬化させて、亀裂検出用被覆層とした。一方、SEBS系樹脂からなる最外層の代わりに、製造例11については、アクリル系樹脂(ボディーペンクリアー/(株)ソフト99コーポレーション製)を、製造例12については、溶剤型アクリル系樹脂(TB6501/(株)スリーボンド製)を、製造例13については、ウレタン系樹脂(レタンPGSK/関西ペイント(株)製)を、それぞれ刷毛を用いて塗布し、乾燥硬化させて最外層として、亀裂検出用被覆層とした。なお、製造例1、3、5、7、9については、最外層を形成しないようにして、保護層が表に現れる亀裂検出用被覆層とした。最外層の厚さは90〜170μmの範囲であり、硬化後の亀裂検出用被覆層の厚さは190〜400μmであった。
(I)初期発色性:
ウエザーオメーターにかける前の試験サンプルを折り曲げて発色させ、下記の評価基準を用いて、初期発色性を比較・評価した。
(評価基準)
評 価 内 容
◎ : 目視で明確に赤色が確認できる
○ : 目視で赤色が確認できる
△ : 赤色が確認できるが薄い
× : 赤色が確認できない
(II)1000時間経過後の視認性:
折り曲げて発色した状態の試験サンプルをウエザーオメーターに投入し、120分照射中に18分間水の噴射させる状態を1000時間継続させる暴露条件を用いて暴露試験を実施した。そして、暴露試験後の、試験サンプルの退色度合いを、(I)と同様な評価基準を用いて、視認性として比較・評価した。
また、総合評価として、「初期発色性」及び「視認性」が両方とも◎か○のものを合格とし、それ以外のものを不合格とした。結果を表2に示す。
なお、試験サンプルは、前記したように折り曲げのための溝が1つしか形成されていないため、初期発色性及び視認性の確認に際して、同じ試験サンプルを使用する等の場合には、カッターで亀裂検出用被覆層の上から傷を付け、発色性を確認するようにした。
(結果)
Figure 0005522673
表2の結果からわかるように、視認性液にジケトピロロピロール系顔料を含み、SEBS系樹脂からなる最外層を構成とする製造例2、4、8、10からなる亀裂検出用被覆層は、初期発色性及び1000時間後の視認性が良好であった。特に、視認性液に蛍光染料を含む製造例4からなる亀裂検出用被覆層は、初期発色性及び1000時間後の視認性においても、目視で明確に赤色が確認できるものであった。
[試験例2]
耐候性試験(2):
試験例1で得られた結果より、ジケトピロロピロール系顔料/油溶性赤色アゾ染料=9/2(溶媒成分を含めると、ジケトピロロピロール系顔料組成物90質量部(ジケトピロロピロール系顔料は9質量部)/油溶性赤色アゾ染料組成物20質量部(油溶性赤色アゾ染料は2質量部)の、溶媒成分を含めて110質量部の視認性液)の構成の視認性液を採用し、保護層の有無、最外層の有無及び種類(SEBS系樹脂からなるか否か)について、製造例14〜23の10種類の亀裂検出用被覆層について、試験例1と同様な試験サンプル及び試験方法を用いて「初期発色性」及び「視認性」を比較・評価した(なお、「視認性」は、試験例1における暴露条件を1000時間のところを1500時間として行った。)。なお、試験例1と同様、製造例14〜製造例18には、溶媒成分を含めて110質量部の視認性液に対して1質量部の蛍光染料を加えて評価した。視認性液の組成を表3、結果を表4に示す。
(視認性液の組成)
Figure 0005522673
なお、保護層としては、試験例1と同様に、マイクロカプセルを分散させない以外は検出層原液を構成するバインダー樹脂と同じ2液性エポキシ樹脂(エピコン中塗りMS 白色塗料/中国塗料(株)製)を用いた。また、最外層としては、試験例1と同様なSEBS系樹脂と溶剤(シールピール8501/日飛興産(株)製)、あるいはシリコーン系樹脂としてセラスター(セラスター(株)製)を用いた。
(結果)
Figure 0005522673
表4の結果からわかるように、SEBS系樹脂からなる最外層を構成とする製造例14、16、19、21からなる亀裂検出用被覆層は、初期発色性及び1500時間後の視認性が良好であり、試験例1と同様に、視認性液として蛍光染料を含む製造例16からなる亀裂検出用被覆層は、蛍光染料を含まないものと比較して、1500時間後の視認性においても、目視で明確に赤色が確認できるものであった。
[試験例3]
疲労試験:
本発明の製造方法で得られた検出層が、構造物に塗装層が塗布された状態であっても、
亀裂検出用被覆層の発色(マイクロカプセルの破壊)が実際の亀裂の発生時期と比較して時間差(タイムラグ)がほとんどなく、また、塗装層に悪影響を与えないことを、下記の方法により確認した。
図1は試験例3で使用した試験サンプルを示した正面図であり、図2は当該試験サンプルを示した平面図である。図1及び図2に示すように、面外ガセットを想定した鋼材2a(サイズ 90mm×600mm×9mmt)と鋼材2b(サイズ 50mm×150mm×9mmt)を、溶接部5を形成して溶接して、鋼材2aの両面に、鋼橋でよく用いられる塗装(タッチアップ(鉛・クロムフリー錆止めペイント)、下塗(鉛・クロムフリーさび止めペイント)、中塗(長油性フタル酸樹脂塗料)、上塗(長油性フタル酸樹脂塗料))を、鋼材2aの表面から見てこの順で塗付して、塗装層3を形成した(平均厚さ 132μm)。この塗装層3の上に、前記した製造例4の構成の、溶剤として弱溶剤(ミネラルスピリット)を用いた検出層を含む亀裂検出用被覆層4を塗布形成した。また、亀裂の発生時期を正確に把握するため、亀裂発生が予測される位置(図1及び図2の黒三角(▲)の位置)に、応力を測定できるようにひずみゲージを貼付して、試験サンプル1とした。
このようにして作成された試験サンプル1を、市販の油圧制御式の疲労試験機に設置し、載荷速度を15Hzとして引張荷重を繰り返し与えるようにして、疲労試験を実施した。今回の試験で用いた荷重により試験サンプル1に発生する応力の設定値とその履歴を表5および図3に示すが、本試験例における疲労試験では、亀裂長さと載荷回数を把握するため、10万回ごとに試験サンプル1に発生する下限応力を上げるように荷重を与え、亀裂模様(ビーチマーク)がでるように設定した(表5のステップ1)。また、亀裂発生が予測される回数(200万回)に到達しても発生しない場合は、上限応力を大きくするよう荷重を上げて、亀裂を誘発させるようにした(表5のステップ2)。なお、試験サンプル1に貼り付けたひずみゲージで、亀裂の発生していない状態に対して試験サンプル1に発生している応力の振幅差(応力範囲)が、亀裂の発生により低減するので、10%減少したときを実際の亀裂の発生時期として測定した。
(試験条件)
Figure 0005522673
なお、実際の亀裂長さと載荷回数の関係は、亀裂の進展により試験サンプル1が破断した後に、破断面のビーチマークから測定するようにした。また、亀裂が発生した試験サンプル1の亀裂指示長さ(にじみ長さ)はビデオカメラで撮影し、時間記録により、指示長さと載荷回数を把握するようにした。実際の亀裂の長さ及び試験サンプル1の亀裂指示長さと荷重載荷回数の関係を図4に示す
図4の結果からわかるように、試験開始から約1200千回で実際の亀裂が発生し、また、試験サンプル1も、約1225千回で視認性液の発色が認められた。以上より、本発明の製造方法により形成された検出層を含む亀裂検出用被覆層4を適用した場合における亀裂による発色と実際の亀裂の発生時期の時間差が少なく、両者のタイムラグがほとんどないことが確認できた(回数にして約25千回)。また、試験サンプル1の視認性液発色時における実際の亀裂の長さは約12mmであり、亀裂の長さが短い状態(概ね3cm以下)で検出層のマイクロカプセルが破壊され、発色が生じることが確認できた。そして、図4の結果から、実際の亀裂発生後も、試験サンプル1の亀裂指示長さが実際の亀裂長さに追随していることが確認できた。
また、本試験にあっては、検出層を塗布した後はもちろん、疲労試験が終了した後であっても、構造物(面外ガセットを想定した試験サンプル1)にあらかじめ塗布されていた塗装層3が膨潤することはなく、検出層を形成したことによる塗装層3の変化は見られなかった。このように、本発明の製造方法で得られた、溶剤として弱溶剤を用いて得られた検出層を含む亀裂検出用被覆層4は、あらかじめ塗布された塗装層3に悪影響を与えることはなく、前記したタイムラグがほとんどないことと併せて、塗装層3が塗布された構造物に対しても、問題なく使用できるものであることが確認できた。
本発明は、例えば、船舶、橋梁、車輌、鉄道、航空機、工作機械等といった金属疲労により亀裂を生じやすい金属製構造物の亀裂を簡便に検出する手段として有利に利用することができる。
1 …… 試験サンプル
2a…… 鋼材
2b…… 鋼材
3 …… 塗装層
4 …… 亀裂検出用被覆層
5 …… 溶接部

Claims (7)

  1. 構造物の表面に形成される、視認性液を内包したマイクロカプセルをバインダー樹脂に分散させた検出層を含む構造物の亀裂検出用被覆層において、
    前記視認性液がジケトピロロピロール系顔料を含み、
    前記検出層の上にSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂からなる最外層が形成されていることを特徴とする構造物の亀裂検出用被覆層。
  2. 前記視認性液がさらに油溶性赤色染料及び蛍光染料を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造物の亀裂検出用被覆層。
  3. 前記視認性液における前記ジケトピロロピロール系顔料と、前記油溶性赤色染料の配合比が、質量比で顔料/染料=90/20〜30/80であることを特徴とする請求項2に記載の構造物の亀裂検出用被覆層。
  4. 前記検出層と前記最外層の間に他の層が形成されていないことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の構造物の亀裂検出用被覆層。
  5. 前記バインダー樹脂がエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の構造物の亀裂検出用被覆層。
  6. 構造物の表面に、ジケトピロロピロール系顔料を含む視認性液を封入したマイクロカプセルを分散させた、弱溶剤を含むバインダー樹脂を塗布し、硬化させることにより検出層を形成する工程と、
    前記検出層の上に、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)系樹脂を塗布、硬化させて最外層を形成する工程と、を含むことを特徴とする構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法。
  7. 前記構造物の表面にあらかじめ塗装層が形成されており、
    当該塗装層の上に前記検出層が形成され、
    当該形成された検出層における前記マイクロカプセルが、前記構造物に発生する亀裂の長さが3cm以下で破壊され、発色することを特徴とする請求項に記載の構造物の亀裂検出用被覆層の製造方法。
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