本発明は、物品を搬送する搬送装置に関する。より好ましくは、蛇行防止装置を備えた搬送装置に関する。
従来、例えば下記の特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
この従来の搬送装置は、駆動ユニットと頭尾部プーリとの間におけるコンベヤフレームの下部または側部の対向する位置に少なくとも2組のブラケットを設け、各ブラケットにベルトの幅方向端部側を大径にし小径側を所定の間隔をおいて向かい合わせた截頭円錐形ローラを片持ちしてなるリターンローラを取り付けて、帰り側ベルトを押上げ支持する蛇行防止装置を備えている。
しかしながら、上記従来の搬送装置では、蛇行防止装置によるベルト蛇行防止の効果が不十分で、搬送ベルトの蛇行が生じるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の搬送装置は、物品を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて支持され、前記搬送ベルトと接触するテーパローラ体とを有し、前記搬送ベルトが正方向に回転する正転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、前記搬送ベルトが逆方向に回転する逆転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して前記第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となるものである。
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、蛇行防止装置は、正転運転時にテーパローラ体を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体と、逆転運転時に前記テーパローラ体が第2作用状態に設定するための第2ストッパ体とを有するものである。
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、ローラ支持体は、回動中心軸線を中心として回動可能なローラ支持回動体であり、前記ローラ支持回動体とテーパローラ体とにて構成されたローラユニット部の重心が、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線上に位置するものである。
請求項4記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、ローラユニット部は、テーパローラ体と搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、ローラ支持回動体の回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項5記載の搬送装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置において、蛇行防止装置は、コンベヤフレームに取り付けるための長孔部が形成された取付体を有するものである。
本発明によれば、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる。
本発明の第1の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図5の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
(a)ないし(c)は本発明の第2の実施の形態に係る搬送装置を示す図である。
本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図10の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
本発明の第4の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
本発明の第5の実施の形態に係る搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
本発明の第6の実施の形態に係る搬送装置の概略平面図である。
本発明の第7の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置の正面図である。
同上蛇行防止装置の平面図である。
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
図中の1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば正転運転と逆転運転とに選択的に切り換え可能な水平型のベルトコンベヤである。
搬送装置1は、物品Wを搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルト2を備えている。搬送ベルト2は、平面視で所定幅を有する搬送方向長手状のものである。そして、この搬送ベルト2は、上面が水平な平面状の搬送面2aとなっている上側のキャリア部(往路面部)3と、このキャリア部3の下方に位置してこのキャリア部3とは反対の方向に移動する下側のリターン部(復路面部)4とを有している。
また、搬送ベルト2は、互いに離間対向する長手状の1対のコンベヤフレーム6の長手方向両端部間にそれぞれ架設されたエンドプーリ7に巻き掛けられている。つまり、搬送ベルト2の長手方向一端側が一方のエンドプーリ7に巻き掛けられ、搬送ベルト2の長手方向他端側が他方のエンドプーリ7に巻き掛けられている。
各エンドプーリ7の近傍には、リターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)に接触するスナブプーリ8が前後に微調整可能に配設されている。リターン部4の下面(搬送ベルト2の表面)は複数のリターンローラ9にて支持され、キャリア部3の下面(搬送ベルト2の裏面)は複数のキャリアローラ10にて支持されている。
また、搬送装置1は、リターン部4の長手方向中央側(長手方向中間部)に動力を付与して搬送ベルト2を正逆方向に回転(回行)させる駆動部であるベルト駆動手段11を備えている。ベルト駆動手段11は、正逆転可能な駆動源である電動モータ12と、この電動モータ12からの動力で回転する駆動プーリ13とを有し、この駆動プーリ13にリターン部4の長手方向中央側が巻き掛けられている。
なお、図1および図2に記載された2種類の大きさの矢印のうち、大きい矢印はキャリア部3の進行方向(移動方向)を意味し、小さい矢印はリターン部4の進行方向(移動方向)を意味する。
そして、図1に示す搬送ベルト2の進行方向を正方向とすると、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図1では、左方向)に搬送する(図1参照)。また、搬送装置1の逆転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図2では、右方向)に搬送する(図2参照)。
さらに、搬送装置1は、搬送ベルト2の幅方向両端側に配設され、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても搬送ベルト2の蛇行を防止する対をなす蛇行防止手段である蛇行防止装置(調心ユニット)20を備えている。
この例では、搬送装置1は、複数対、すなわち例えば4対(合計8個)の蛇行防止装置20を備え、これら4対の蛇行防止装置20は、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも一方側における幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも他方側における幅方向両端側とにそれぞれ配設されている。
そして、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の下方に配設され、そのリターン部4の下面を下方から押し上げて支持している(図3ないし図6参照)。一方、ベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の上方(キャリア部3とリターン部4との間)に配設され、そのリターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)を上方から押し下げて支持している(図7ないし図9参照)。
なお、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20とベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20とは、上下対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。また、搬送ベルト2のリターン部4の幅方向両端側に互いに離間対向するように位置して対をなす蛇行防止装置20は、搬送方向に対して左右対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。
ここで、蛇行防止装置20は、図6等からも明らかなように、回動軸の中心を軸方向上下に延在する上下方向の回動中心軸線(回動支点)Yを中心として回動可能なローラ支持体であるローラ支持回動体21と、搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、ローラ支持回動体21にて支持され、搬送ベルト2のリターン部4と接触するテーパローラ体22とを有している。
ローラ支持回動体21は、回動支軸23およびベアリング24を介して、搬送装置1の両コンベヤフレーム6間で左右方向に延設された左右方向長手状の連結体25に回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。なお、回動中心軸線Yは、縦軸である回動支軸23の軸芯を通る線であり、例えば軸心を通る軸方向直線であり、図6では上下方向に沿った線である。
また、ローラ支持回動体21は、回動支軸23が固着された左右方向長手状の回動板部31と、この回動板部31の長手方向両端部に立設された支持板部32とにて構成されている。
そして、互いに離間対向する両支持板部32にて、テーパローラ体22が水平方向に対して傾斜した傾斜状態、つまり縮径側の端部が拡径側の端部よりも上方に位置する傾斜状態に支持されている。
テーパローラ体22は、ローラ支持回動体21の両支持板部32間に架設されたローラ軸部36と、このローラ軸部36にて回動中心軸線Yと交差する回転中心軸線Xを中心として回転可能に軸支され、外周面が搬送ベルト2の幅方向中央側から搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって徐々に縮径するテーパ形状に形成され、その外周面が搬送ベルト2のリターン部4と接触する筒状のローラ本体部37とにて構成されている。
そして、左右対をなす両テーパローラ体22は、正転運転時には搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第1作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止し、逆転運転時にはその第1作用状態とは向きが逆で、同様に搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第2作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止する。
換言すると、搬送ベルト2が正方向に回転する正転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、また一方、搬送ベルト2が逆方向に回転する逆転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる。
また、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部(回動部)40の重心Pが、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支点)Y上に位置している(図6参照)。なお、テーパローラ体22の拡径側の端部の外径d1が縮径側の端部の外径d2よりも大きい。
そして、搬送装置1の正逆運転の切換時には、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とからなるローラユニット部40は、テーパローラ体22と搬送ベルト2との摩擦力に基づき、テーパローラ体22の縮径側が搬送ベルト2の回転方向前方(例えばリターン部4の移動方向前方)へ前進しかつテーパローラ体22の拡径側が搬送ベルト2の回転方向後方(例えばリターン部4の移動方向後方)へ後退するように、ローラ支持回動体21の回動中心軸線Yを中心として回動する。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する板状の第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する板状の第2ストッパ体42とを有している。つまり、各蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態に設定するための第2ストッパ体42とを有している。
さらに、これら互いに離間対向するストッパ体41,42は、連結体25の長手方向端部に取り付けられた取付体43における鉛直状の取付板部45の両端部に支持板部32の側端面と対向するように一体に突設されている。この取付体43は、コンベヤフレーム6に取り付けるための長孔部46を有しており、コンベヤフレーム6と長孔部46が取付具44を介して取り付けられることにより、蛇行防止装置20はコンベヤフレーム6に対して長孔部46の形状に沿った上下調整および取付具44を回動支点とする角度調整が可能である。
そして、図3に示すように、各テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4から受ける力、つまりリターン部4との摩擦により、テーパローラ体22に形成された周径差が作用することで、取付体43に対してローラ支持回動体21とともに回動支軸(回動中心軸線)23を中心として第1作用状態および第2作用状態間でそれぞれ個別に回動可能(回動自在)となっている。
なお、各テーパローラ体22は、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす両テーパローラ体22で平面視ハ字状(平面視略ハ字状を含む)となるように、縮径側の端部が拡径側の端部よりもリターン部4の移動方向前方に位置する傾斜状態(第1作用状態または第2作用状態)となる。
次に、搬送装置1の作用等を説明する。
図1を正転時とすると、図1(a)および(b)に示すように、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
このとき、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図1では、右方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第1作用状態となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくコンベヤ中央に向かわせる方向にリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
そして、この正転状態から、ベルト駆動手段11の電動モータ12の回転方向を逆にして、搬送装置1を正転運転から逆転運転に切り換えると、図2(a)および(b)に示すように、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
また、この運転の切り換えにより、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、その外周面が接触したリターン部4との摩擦によって、ローラ支持回動体21とともに回動中心軸線Yを中心として回動角度αだけ回動する。
つまり、首振り式の両テーパローラ体22は、外周面の周径差に基づき、正転および逆転にかかわらず、外部動力無しで、搬送ベルト2側から受ける力、つまり搬送ベルト2との間の摩擦力によって回動中心軸線Yを中心として所定角度回動する。
すると、これら両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図2では、左方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第2作用状態(第1作用状態とは向きが逆の状態)となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
なお、搬送装置1を逆転運転から正転運転に戻すと、両テーパローラ体22は、リターン部4から受ける力によって元の第1作用状態となり、搬送ベルト2の蛇行防止機能(調心機能)を発揮する。
そして、上記搬送装置1によれば、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22によって搬送ベルト2の蛇行を効果的に防止でき、よって、物品Wを適切に搬送できる。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第2ストッパ体42とを有するため、第1ストッパ体41にてテーパローラ体22を第1作用状態に適切に位置決めでき、かつ、第2ストッパ体42にてテーパローラ体22を第2作用状態に適切に位置決めできる。
さらに、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置するため、運転の切り換えの際に、ローラユニット部40を搬送ベルト2側から受ける力で回動中心軸線Yを中心としてスムーズに回動させることができ、また例えば回動支軸23がテーパローラ体22の長手方向端部側に位置した構成等に比べて省スペース化を図ることができる。
また、例えば図10に示す第2の実施の形態のように、搬送装置1を傾斜型のベルトコンベヤとして使用する場合であっても、ローラユニット部40の重心Pが回動中心軸線Y上に位置するため、傾斜した搬送ベルト2に対応させるためにローラユニット部40を傾いた状態で用いたとしても、ローラユニット部40が自重により回動することを防ぐことができるので、正逆の搬送方向に対応してテーパローラ体22が回動し、第1の実施の形態と同様に作用効果を奏することができる。
また、図11ないし図13には、第3の実施の形態に係る搬送装置1の蛇行防止装置20が示されている。
この蛇行防止装置20では、図6に示すものとは異なり、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支軸23)Yは、上下方向に対して少し傾斜している。
また、この蛇行防止装置20の取付体43は、取付板部45の下端部からコンベヤフレーム6側とは反対側に向かって徐々に下り傾斜する傾斜板部51を有し、この傾斜板部51にローラ支持回動体21が回動支軸23およびベアリング24を介して回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。さらに、この傾斜板部51の先端部に水平板部52が連設され、この水平板部52が連結体25の長手方向端部に取り付けられている。そして、この搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、搬送装置1にはエンドプーリ7直近かつ搬送ベルト2のリターン部4でその搬送ベルトの裏面と接触するスナブプーリ8を設けても良く、このスナブプーリ8で予備的に蛇行調整を行い、蛇行防止装置20と併用することで搬送ベルト2の蛇行安定性を向上させることができる。
また、搬送装置1は、図14および図15示す第4の実施の形態のように、スナブプーリ8を有しない構成でもよく、また、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の上方に配設された構成でもよい。なお、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の下方に配設された構成でもよい。
さらに、例えばベルト駆動手段11の前後に蛇行防止装置20を設けずに、前後のエンドプーリ7付近のみに蛇行防止装置20が配設された構成でもよい。換言すると、少なくとも2対(合計4個)の蛇行防止装置20が、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側および搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側に配設された構成でもよい。
なお、1対の蛇行防止装置20のみを搬送ベルト2の幅方向両端側に配設した構成としてもよく、また、例えば5対以上の蛇行防止装置20を備える構成等でもよい。
また、搬送装置1は、搬送ベルト2の搬送面2aが平面状である構成には限定されず、例えば図16ないし図21に示す第5の実施の形態のようなトラフコンベヤでもよい。
この搬送装置1の搬送ベルト2のキャリア部3は、幅方向中央側の水平部分3aと、この水平部分3aに向かって下り傾斜する幅方向両端側の傾斜部分3bとにて構成されている。そして、これら水平部分3aの下面および傾斜部分3bの下面が、それぞれ短筒状のキャリアローラ10にて下方から支持されている。
また、このキャリア部3の傾斜部分3bの下面は、蛇行防止装置20のテーパローラ体22にて下方から押し上げられて支持されている。なおこの場合、上記実施の形態とは異なり、テーパローラ体22の接触する部分がキャリア部3であり、このキャリア部3の移動方向がリターン部4の移動方向とは逆であるため、これに対応してストッパ体41,42が前後逆となっている。そして、このトラフコンベヤである搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、搬送装置1は、対をなす蛇行防止装置20が左右方向(搬送ベルト2の幅方向)に並んで位置する構成には限定されず、例えば図22に示す第6の実施の形態のように、対をなす蛇行防止装置20のうちの一方の蛇行防止装置20が他方の蛇行防止装置20に対して前後いずれかにずれた構成でもよい。
また、搬送装置1は、例えば図23および図24に示す第7の実施の形態のように、テーパローラ体22の軸方向中間部をローラ支持回動体21のロッド部56によって支持する構成でもよい。
このローラ支持回動体21は、取付具44によってコンベヤフレーム6に取り付けられた取付体43の傾斜板部43aに、回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。つまり、このローラ支持回動体21は、取付体43の傾斜板部43aに回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられた回動軸部であるロッド部56と、このロッド部56に突設された2つの板状の突起部57とにて構成されている。
また、テーパローラ体22は、ロッド部56の上部が貫通して固定されたローラ軸部36を有し、このローラ軸部36の外周側に筒状のローラ本体部37が回転中心軸線Xを中心として回転可能に設けられている。このローラ本体部37は、軸方向一方側のテーパローラ部材37aと軸方向他方側のテーパローラ部材37bとにて構成されている。
さらに、取付体43の傾斜板部43aの幅方向一端部には、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の一方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する第1ストッパ体41が上方に向かって突設されている。また、取付体43の傾斜板部43aの幅方向他端部には、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の他方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する第2ストッパ体42が上方に向かって突設されている。
そして、このような蛇行防止装置20でも、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置しており、上記第1の実施の形態等と同様の作用効果を奏する。
また、例えば図示しないが、ロッド部56がローラ支持体として取付体43の傾斜板部43aに固設され、この固設されたロッド部56にてテーパローラ体22が回動中心軸線Yを中心として回動可能に支持された構成等でもよい。
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
1 搬送装置
2 搬送ベルト
6 コンベヤフレーム
20 蛇行防止装置
21 ローラ支持体であるローラ支持回動体
22 テーパローラ体
40 ローラユニット部
41 第1ストッパ体
42 第2ストッパ体
43 取付体
46 長孔部
W 物品
P 重心
X 回転中心軸線
Y 回動中心軸線
本発明は、物品を搬送する搬送装置に関する。より好ましくは、蛇行防止装置を備えた搬送装置に関する。
従来、例えば下記の特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
この従来の搬送装置は、駆動ユニットと頭尾部プーリとの間におけるコンベヤフレームの下部または側部の対向する位置に少なくとも2組のブラケットを設け、各ブラケットにベルトの幅方向端部側を大径にし小径側を所定の間隔をおいて向かい合わせた截頭円錐形ローラを片持ちしてなるリターンローラを取り付けて、帰り側ベルトを押上げ支持する蛇行防止装置を備えている。
しかしながら、上記従来の搬送装置では、蛇行防止装置によるベルト蛇行防止の効果が不十分で、搬送ベルトの蛇行が生じるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる搬送装置およびこの搬送装置に使用される蛇行防止装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の蛇行防止装置は、搬送ベルトを備えた搬送装置に使用される蛇行防止装置であって、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて支持されたテーパローラ体とを有し、前記ローラ支持体は、回動中心軸線を中心として回動可能なローラ支持回動体であり、前記ローラ支持回動体と前記テーパローラ体とにて構成されたローラユニット部の重心が、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線上に位置し、前記ローラユニット部は、前記テーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項2記載の蛇行防止装置は、搬送ベルトを備えた搬送装置に使用される蛇行防止装置であって、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて回動中心軸線を中心として回動可能に支持されたテーパローラ体とを有し、前記ローラ支持体は、前記テーパローラ体の重心が前記回動中心軸線上に位置するように、前記テーパローラ体を前記回動中心軸線を中心として回動可能に支持し、前記テーパローラ体は、このテーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項3記載の蛇行防止装置は、請求項1または2記載の蛇行防止装置において、搬送装置は搬送ベルトを正逆に運転可能であって、正転運転時にテーパローラ体の回動を規制する第1ストッパ体と、逆転運転時に前記テーパローラ体の回動を規制する第2ストッパ体とを有するものである。
請求項4記載の蛇行防止装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の蛇行防止装置において、テーパローラ体の外周面と搬送ベルトとの摩擦力は、前記テーパローラ体が前記搬送ベルトの表面または裏面と接触することによって生じるものである。
請求項5記載の蛇行防止装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の蛇行防止装置において、テーパローラ体は、水平方向に対して縮径側の端部が拡径側の端部よりも上方に位置する傾斜状態に支持されたものである。
請求項6記載の蛇行防止装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の蛇行防止装置において、コンベヤフレームに取り付けるための長孔部が形成された取付体を有するものである。
請求項7記載の搬送装置は、搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす請求項1ないし6のいずれか一記載の蛇行防止装置とを備えたものである。
請求項8記載の搬送装置は、請求項7記載の搬送装置において、搬送ベルトが傾斜した傾斜型のコンベヤであるものである。
請求項9記載の搬送装置は、物品を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて支持され、前記搬送ベルトと接触するテーパローラ体とを有し、前記搬送ベルトが正方向に回転する正転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、前記搬送ベルトが逆方向に回転する逆転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して前記第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる搬送装置であって、前記ローラ支持体は、回動中心軸線を中心として回動可能なローラ支持回動体であり、前記ローラ支持回動体と前記テーパローラ体とにて構成されたローラユニット部の重心が、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線上に位置し、前記ローラユニット部は、前記テーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項10記載の搬送装置は、物品を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて回動中心軸線を中心として回動可能に支持され、前記搬送ベルトと接触するテーパローラ体とを有し、前記搬送ベルトが正方向に回転する正転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、前記搬送ベルトが逆方向に回転する逆転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して前記第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる搬送装置であって、前記ローラ支持体は、前記テーパローラ体の重心が前記回動中心軸線上に位置するように、前記テーパローラ体を前記回動中心軸線を中心として回動可能に支持し、前記テーパローラ体は、このテーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項11記載の搬送装置は、請求項9または10記載の搬送装置において、蛇行防止装置は、正転運転時にテーパローラ体を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体と、逆転運転時に前記テーパローラ体を第2作用状態に設定するための第2ストッパ体とを有するものである。
本発明によれば、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる。
本発明の第1の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図5の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
(a)ないし(c)は本発明の第2の実施の形態に係る搬送装置を示す図である。
本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図10の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
本発明の第4の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
本発明の第5の実施の形態に係る搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
本発明の第6の実施の形態に係る搬送装置の概略平面図である。
本発明の第7の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置の正面図である。
同上蛇行防止装置の平面図である。
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
図中の1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば正転運転と逆転運転とに選択的に切り換え可能な水平型のベルトコンベヤである。
搬送装置1は、物品Wを搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルト2を備えている。搬送ベルト2は、平面視で所定幅を有する搬送方向長手状のものである。そして、この搬送ベルト2は、上面が水平な平面状の搬送面2aとなっている上側のキャリア部(往路面部)3と、このキャリア部3の下方に位置してこのキャリア部3とは反対の方向に移動する下側のリターン部(復路面部)4とを有している。
また、搬送ベルト2は、互いに離間対向する長手状の1対のコンベヤフレーム6の長手方向両端部間にそれぞれ架設されたエンドプーリ7に巻き掛けられている。つまり、搬送ベルト2の長手方向一端側が一方のエンドプーリ7に巻き掛けられ、搬送ベルト2の長手方向他端側が他方のエンドプーリ7に巻き掛けられている。
各エンドプーリ7の近傍には、リターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)に接触するスナブプーリ8が前後に微調整可能に配設されている。リターン部4の下面(搬送ベルト2の表面)は複数のリターンローラ9にて支持され、キャリア部3の下面(搬送ベルト2の裏面)は複数のキャリアローラ10にて支持されている。
また、搬送装置1は、リターン部4の長手方向中央側(長手方向中間部)に動力を付与して搬送ベルト2を正逆方向に回転(回行)させる駆動部であるベルト駆動手段11を備えている。ベルト駆動手段11は、正逆転可能な駆動源である電動モータ12と、この電動モータ12からの動力で回転する駆動プーリ13とを有し、この駆動プーリ13にリターン部4の長手方向中央側が巻き掛けられている。
なお、図1および図2に記載された2種類の大きさの矢印のうち、大きい矢印はキャリア部3の進行方向(移動方向)を意味し、小さい矢印はリターン部4の進行方向(移動方向)を意味する。
そして、図1に示す搬送ベルト2の進行方向を正方向とすると、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図1では、左方向)に搬送する(図1参照)。また、搬送装置1の逆転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図2では、右方向)に搬送する(図2参照)。
さらに、搬送装置1は、搬送ベルト2の幅方向両端側に配設され、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても搬送ベルト2の蛇行を防止する対をなす蛇行防止手段である蛇行防止装置(調心ユニット)20を備えている。
この例では、搬送装置1は、複数対、すなわち例えば4対(合計8個)の蛇行防止装置20を備え、これら4対の蛇行防止装置20は、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも一方側における幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも他方側における幅方向両端側とにそれぞれ配設されている。
そして、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の下方に配設され、そのリターン部4の下面を下方から押し上げて支持している(図3ないし図6参照)。一方、ベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の上方(キャリア部3とリターン部4との間)に配設され、そのリターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)を上方から押し下げて支持している(図7ないし図9参照)。
なお、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20とベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20とは、上下対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。また、搬送ベルト2のリターン部4の幅方向両端側に互いに離間対向するように位置して対をなす蛇行防止装置20は、搬送方向に対して左右対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。
ここで、蛇行防止装置20は、図6等からも明らかなように、回動軸の中心を軸方向上下に延在する上下方向の回動中心軸線(回動支点)Yを中心として回動可能なローラ支持体であるローラ支持回動体21と、搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、ローラ支持回動体21にて支持され、搬送ベルト2のリターン部4と接触するテーパローラ体22とを有している。
ローラ支持回動体21は、回動支軸23およびベアリング24を介して、搬送装置1の両コンベヤフレーム6間で左右方向に延設された左右方向長手状の連結体25に回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。なお、回動中心軸線Yは、縦軸である回動支軸23の軸芯を通る線であり、例えば軸心を通る軸方向直線であり、図6では上下方向に沿った線である。
また、ローラ支持回動体21は、回動支軸23が固着された左右方向長手状の回動板部31と、この回動板部31の長手方向両端部に立設された支持板部32とにて構成されている。
そして、互いに離間対向する両支持板部32にて、テーパローラ体22が水平方向に対して傾斜した傾斜状態、つまり縮径側の端部が拡径側の端部よりも上方に位置する傾斜状態に支持されている。
テーパローラ体22は、ローラ支持回動体21の両支持板部32間に架設されたローラ軸部36と、このローラ軸部36にて回動中心軸線Yと交差する回転中心軸線Xを中心として回転可能に軸支され、外周面が搬送ベルト2の幅方向中央側から搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって徐々に縮径するテーパ形状に形成され、その外周面が搬送ベルト2のリターン部4と接触する筒状のローラ本体部37とにて構成されている。
そして、左右対をなす両テーパローラ体22は、正転運転時には搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第1作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止し、逆転運転時にはその第1作用状態とは向きが逆で、同様に搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第2作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止する。
換言すると、搬送ベルト2が正方向に回転する正転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、また一方、搬送ベルト2が逆方向に回転する逆転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる。
また、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部(回動部)40の重心Pが、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支点)Y上に位置している(図6参照)。なお、テーパローラ体22の拡径側の端部の外径d1が縮径側の端部の外径d2よりも大きい。
そして、搬送装置1の正逆運転の切換時には、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とからなるローラユニット部40は、テーパローラ体22と搬送ベルト2との摩擦力に基づき、テーパローラ体22の縮径側が搬送ベルト2の回転方向前方(例えばリターン部4の移動方向前方)へ前進しかつテーパローラ体22の拡径側が搬送ベルト2の回転方向後方(例えばリターン部4の移動方向後方)へ後退するように、ローラ支持回動体21の回動中心軸線Yを中心として回動する。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する板状の第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する板状の第2ストッパ体42とを有している。つまり、各蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態に設定するための第2ストッパ体42とを有している。
さらに、これら互いに離間対向するストッパ体41,42は、連結体25の長手方向端部に取り付けられた取付体43における鉛直状の取付板部45の両端部に支持板部32の側端面と対向するように一体に突設されている。この取付体43は、コンベヤフレーム6に取り付けるための長孔部46を有しており、コンベヤフレーム6と長孔部46が取付具44を介して取り付けられることにより、蛇行防止装置20はコンベヤフレーム6に対して長孔部46の形状に沿った上下調整および取付具44を回動支点とする角度調整が可能である。
そして、図3に示すように、各テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4から受ける力、つまりリターン部4との摩擦により、テーパローラ体22に形成された周径差が作用することで、取付体43に対してローラ支持回動体21とともに回動支軸(回動中心軸線)23を中心として第1作用状態および第2作用状態間でそれぞれ個別に回動可能(回動自在)となっている。
なお、各テーパローラ体22は、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす両テーパローラ体22で平面視ハ字状(平面視略ハ字状を含む)となるように、縮径側の端部が拡径側の端部よりもリターン部4の移動方向前方に位置する傾斜状態(第1作用状態または第2作用状態)となる。
次に、搬送装置1の作用等を説明する。
図1を正転時とすると、図1(a)および(b)に示すように、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
このとき、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図1では、右方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第1作用状態となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくコンベヤ中央に向かわせる方向にリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
そして、この正転状態から、ベルト駆動手段11の電動モータ12の回転方向を逆にして、搬送装置1を正転運転から逆転運転に切り換えると、図2(a)および(b)に示すように、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
また、この運転の切り換えにより、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、その外周面が接触したリターン部4との摩擦によって、ローラ支持回動体21とともに回動中心軸線Yを中心として回動角度αだけ回動する。
つまり、首振り式の両テーパローラ体22は、外周面の周径差に基づき、正転および逆転にかかわらず、外部動力無しで、搬送ベルト2側から受ける力、つまり搬送ベルト2との間の摩擦力によって回動中心軸線Yを中心として所定角度回動する。
すると、これら両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図2では、左方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第2作用状態(第1作用状態とは向きが逆の状態)となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
なお、搬送装置1を逆転運転から正転運転に戻すと、両テーパローラ体22は、リターン部4から受ける力によって元の第1作用状態となり、搬送ベルト2の蛇行防止機能(調心機能)を発揮する。
そして、上記搬送装置1によれば、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22によって搬送ベルト2の蛇行を効果的に防止でき、よって、物品Wを適切に搬送できる。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第2ストッパ体42とを有するため、第1ストッパ体41にてテーパローラ体22を第1作用状態に適切に位置決めでき、かつ、第2ストッパ体42にてテーパローラ体22を第2作用状態に適切に位置決めできる。
さらに、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置するため、運転の切り換えの際に、ローラユニット部40を搬送ベルト2側から受ける力で回動中心軸線Yを中心としてスムーズに回動させることができ、また例えば回動支軸23がテーパローラ体22の長手方向端部側に位置した構成等に比べて省スペース化を図ることができる。
また、例えば図10に示す第2の実施の形態のように、搬送装置1を傾斜型のベルトコンベヤとして使用する場合であっても、ローラユニット部40の重心Pが回動中心軸線Y上に位置するため、傾斜した搬送ベルト2に対応させるためにローラユニット部40を傾いた状態で用いたとしても、ローラユニット部40が自重により回動することを防ぐことができるので、正逆の搬送方向に対応してテーパローラ体22が回動し、第1の実施の形態と同様に作用効果を奏することができる。
また、図11ないし図13には、第3の実施の形態に係る搬送装置1の蛇行防止装置20が示されている。
この蛇行防止装置20では、図6に示すものとは異なり、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支軸23)Yは、上下方向に対して少し傾斜している。
また、この蛇行防止装置20の取付体43は、取付板部45の下端部からコンベヤフレーム6側とは反対側に向かって徐々に下り傾斜する傾斜板部51を有し、この傾斜板部51にローラ支持回動体21が回動支軸23およびベアリング24を介して回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。さらに、この傾斜板部51の先端部に水平板部52が連設され、この水平板部52が連結体25の長手方向端部に取り付けられている。そして、この搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、搬送装置1にはエンドプーリ7直近かつ搬送ベルト2のリターン部4でその搬送ベルトの裏面と接触するスナブプーリ8を設けても良く、このスナブプーリ8で予備的に蛇行調整を行い、蛇行防止装置20と併用することで搬送ベルト2の蛇行安定性を向上させることができる。
また、搬送装置1は、図14および図15示す第4の実施の形態のように、スナブプーリ8を有しない構成でもよく、また、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の上方に配設された構成でもよい。なお、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の下方に配設された構成でもよい。
さらに、例えばベルト駆動手段11の前後に蛇行防止装置20を設けずに、前後のエンドプーリ7付近のみに蛇行防止装置20が配設された構成でもよい。換言すると、少なくとも2対(合計4個)の蛇行防止装置20が、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側および搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側に配設された構成でもよい。
なお、1対の蛇行防止装置20のみを搬送ベルト2の幅方向両端側に配設した構成としてもよく、また、例えば5対以上の蛇行防止装置20を備える構成等でもよい。
また、搬送装置1は、搬送ベルト2の搬送面2aが平面状である構成には限定されず、例えば図16ないし図21に示す第5の実施の形態のようなトラフコンベヤでもよい。
この搬送装置1の搬送ベルト2のキャリア部3は、幅方向中央側の水平部分3aと、この水平部分3aに向かって下り傾斜する幅方向両端側の傾斜部分3bとにて構成されている。そして、これら水平部分3aの下面および傾斜部分3bの下面が、それぞれ短筒状のキャリアローラ10にて下方から支持されている。
また、このキャリア部3の傾斜部分3bの下面は、蛇行防止装置20のテーパローラ体22にて下方から押し上げられて支持されている。なおこの場合、上記実施の形態とは異なり、テーパローラ体22の接触する部分がキャリア部3であり、このキャリア部3の移動方向がリターン部4の移動方向とは逆であるため、これに対応してストッパ体41,42が前後逆となっている。そして、このトラフコンベヤである搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、搬送装置1は、対をなす蛇行防止装置20が左右方向(搬送ベルト2の幅方向)に並んで位置する構成には限定されず、例えば図22に示す第6の実施の形態のように、対をなす蛇行防止装置20のうちの一方の蛇行防止装置20が他方の蛇行防止装置20に対して前後いずれかにずれた構成でもよい。
また、搬送装置1は、例えば図23および図24に示す第7の実施の形態のように、テーパローラ体22の軸方向中間部をローラ支持回動体21のロッド部56によって支持する構成でもよい。
このローラ支持回動体21は、取付具44によってコンベヤフレーム6に取り付けられた取付体43の傾斜板部43aに、回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。つまり、このローラ支持回動体21は、取付体43の傾斜板部43aに回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられた回動軸部であるロッド部56と、このロッド部56に突設された2つの板状の突起部57とにて構成されている。
また、テーパローラ体22は、ロッド部56の上部が貫通して固定されたローラ軸部36を有し、このローラ軸部36の外周側に筒状のローラ本体部37が回転中心軸線Xを中心として回転可能に設けられている。このローラ本体部37は、軸方向一方側のテーパローラ部材37aと軸方向他方側のテーパローラ部材37bとにて構成されている。
さらに、取付体43の傾斜板部43aの幅方向一端部には、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の一方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する第1ストッパ体41が上方に向かって突設されている。また、取付体43の傾斜板部43aの幅方向他端部には、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の他方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する第2ストッパ体42が上方に向かって突設されている。
そして、このような蛇行防止装置20でも、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置しており、上記第1の実施の形態等と同様の作用効果を奏する。
また、例えば図示しないが、ロッド部56がローラ支持体として取付体43の傾斜板部43aに固設され、この固設されたロッド部56にてテーパローラ体22が回動中心軸線Yを中心として回動可能に支持された構成等でもよい。
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
1 搬送装置
2 搬送ベルト
6 コンベヤフレーム
20 蛇行防止装置
21 ローラ支持体であるローラ支持回動体
22 テーパローラ体
40 ローラユニット部
41 第1ストッパ体
42 第2ストッパ体
43 取付体
46 長孔部
W 物品
P 重心
X 回転中心軸線
Y 回動中心軸線
本発明は、物品を搬送する搬送装置に関する。より好ましくは、蛇行防止装置を備えた搬送装置に関する。
従来、例えば下記の特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
この従来の搬送装置は、駆動ユニットと頭尾部プーリとの間におけるコンベヤフレームの下部または側部の対向する位置に少なくとも2組のブラケットを設け、各ブラケットにベルトの幅方向端部側を大径にし小径側を所定の間隔をおいて向かい合わせた截頭円錐形ローラを片持ちしてなるリターンローラを取り付けて、帰り側ベルトを押上げ支持する蛇行防止装置を備えている。
しかしながら、上記従来の搬送装置では、蛇行防止装置によるベルト蛇行防止の効果が不十分で、搬送ベルトの蛇行が生じるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の搬送装置は、搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて支持されたテーパローラ体とを有し、前記ローラ支持体は、回動中心軸線を中心として回動可能なローラ支持回動体であり、前記ローラ支持回動体と前記テーパローラ体とにて構成されたローラユニット部の重心が、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線上に位置し、前記両蛇行防止装置の前記各ローラユニット部は、前記テーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、いずれも互いに異なる方向に向かって前記ローラ支持回動体の回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項2記載の搬送装置は、搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて回動中心軸線を中心として回動可能に支持されたテーパローラ体とを有し、前記ローラ支持体は、前記テーパローラ体の重心が前記回動中心軸線上に位置するように、前記テーパローラ体を前記回動中心軸線を中心として回動可能に支持し、前記両蛇行防止装置の前記各テーパローラ体は、このテーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、いずれも互いに異なる方向に向かって前記回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、搬送ベルトが傾斜した傾斜型のコンベヤであるものである。
請求項4記載の搬送装置は、物品を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて支持され、前記搬送ベルトと接触するテーパローラ体とを有し、前記搬送ベルトが正方向に回転する正転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、前記搬送ベルトが逆方向に回転する逆転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して前記第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる搬送装置であって、前記ローラ支持体は、回動中心軸線を中心として回動可能なローラ支持回動体であり、前記ローラ支持回動体と前記テーパローラ体とにて構成されたローラユニット部の重心が、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線上に位置し、前記ローラユニット部は、前記テーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記ローラ支持回動体の回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項5記載の搬送装置は、物品を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの幅方向両端側に配設され、前記搬送ベルトの蛇行を防止する対をなす蛇行防止装置とを備え、前記蛇行防止装置は、ローラ支持体と、前記搬送ベルトの幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、前記ローラ支持体にて回動中心軸線を中心として回動可能に支持され、前記搬送ベルトと接触するテーパローラ体とを有し、前記搬送ベルトが正方向に回転する正転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、前記搬送ベルトが逆方向に回転する逆転運転時には、前記両蛇行防止装置の各テーパローラ体は、いずれも前記搬送ベルトをその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線が前記搬送ベルトの幅方向に対して前記第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる搬送装置であって、前記ローラ支持体は、前記テーパローラ体の重心が前記回動中心軸線上に位置するように、前記テーパローラ体を前記回動中心軸線を中心として回動可能に支持し、前記テーパローラ体は、このテーパローラ体と前記搬送ベルトとの摩擦力に基づき、前記テーパローラ体の縮径側が前記搬送ベルトの回転方向前方へ前進しかつ前記テーパローラ体の拡径側が前記搬送ベルトの回転方向後方へ後退するように、前記回動中心軸線を中心として回動するものである。
請求項6記載の搬送装置は、請求項4または5記載の搬送装置において、蛇行防止装置は、正転運転時にテーパローラ体を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体と、逆転運転時に前記テーパローラ体を第2作用状態に設定するための第2ストッパ体とを有するものである。
本発明によれば、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、物品を適切に搬送できる。
本発明の第1の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図5の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の平面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の側面図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
(a)ないし(c)は本発明の第2の実施の形態に係る搬送装置を示す図である。
本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置(下側配置)の正面図である。
図10の部分拡大図である。
同上蛇行防止装置(上側配置)の正面図である。
本発明の第4の実施の形態に係る搬送装置の正転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
同上搬送装置の逆転運転時の図で、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
本発明の第5の実施の形態に係る搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(正転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の平面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の側面図である。
同上搬送装置(逆転運転時)の蛇行防止装置の正面図である。
本発明の第6の実施の形態に係る搬送装置の概略平面図である。
本発明の第7の実施の形態に係る搬送装置の蛇行防止装置の正面図である。
同上蛇行防止装置の平面図である。
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
図中の1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば正転運転と逆転運転とに選択的に切り換え可能な水平型のベルトコンベヤである。
搬送装置1は、物品Wを搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルト2を備えている。搬送ベルト2は、平面視で所定幅を有する搬送方向長手状のものである。そして、この搬送ベルト2は、上面が水平な平面状の搬送面2aとなっている上側のキャリア部(往路面部)3と、このキャリア部3の下方に位置してこのキャリア部3とは反対の方向に移動する下側のリターン部(復路面部)4とを有している。
また、搬送ベルト2は、互いに離間対向する長手状の1対のコンベヤフレーム6の長手方向両端部間にそれぞれ架設されたエンドプーリ7に巻き掛けられている。つまり、搬送ベルト2の長手方向一端側が一方のエンドプーリ7に巻き掛けられ、搬送ベルト2の長手方向他端側が他方のエンドプーリ7に巻き掛けられている。
各エンドプーリ7の近傍には、リターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)に接触するスナブプーリ8が前後に微調整可能に配設されている。リターン部4の下面(搬送ベルト2の表面)は複数のリターンローラ9にて支持され、キャリア部3の下面(搬送ベルト2の裏面)は複数のキャリアローラ10にて支持されている。
また、搬送装置1は、リターン部4の長手方向中央側(長手方向中間部)に動力を付与して搬送ベルト2を正逆方向に回転(回行)させる駆動部であるベルト駆動手段11を備えている。ベルト駆動手段11は、正逆転可能な駆動源である電動モータ12と、この電動モータ12からの動力で回転する駆動プーリ13とを有し、この駆動プーリ13にリターン部4の長手方向中央側が巻き掛けられている。
なお、図1および図2に記載された2種類の大きさの矢印のうち、大きい矢印はキャリア部3の進行方向(移動方向)を意味し、小さい矢印はリターン部4の進行方向(移動方向)を意味する。
そして、図1に示す搬送ベルト2の進行方向を正方向とすると、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図1では、左方向)に搬送する(図1参照)。また、搬送装置1の逆転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向(図2では、右方向)に搬送する(図2参照)。
さらに、搬送装置1は、搬送ベルト2の幅方向両端側に配設され、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても搬送ベルト2の蛇行を防止する対をなす蛇行防止手段である蛇行防止装置(調心ユニット)20を備えている。
この例では、搬送装置1は、複数対、すなわち例えば4対(合計8個)の蛇行防止装置20を備え、これら4対の蛇行防止装置20は、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも一方側における幅方向両端側と、搬送ベルト2の長手方向中央側のうちベルト駆動手段11よりも他方側における幅方向両端側とにそれぞれ配設されている。
そして、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の下方に配設され、そのリターン部4の下面を下方から押し上げて支持している(図3ないし図6参照)。一方、ベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20は、リターン部4の上方(キャリア部3とリターン部4との間)に配設され、そのリターン部4の上面(搬送ベルト2の裏面)を上方から押し下げて支持している(図7ないし図9参照)。
なお、エンドプーリ7付近の蛇行防止装置20とベルト駆動手段11付近の蛇行防止装置20とは、上下対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。また、搬送ベルト2のリターン部4の幅方向両端側に互いに離間対向するように位置して対をなす蛇行防止装置20は、搬送方向に対して左右対称に配置されている点のみで異なり、その構成は基本的に同じである。
ここで、蛇行防止装置20は、図6等からも明らかなように、回動軸の中心を軸方向上下に延在する上下方向の回動中心軸線(回動支点)Yを中心として回動可能なローラ支持体であるローラ支持回動体21と、搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって縮径するテーパ形状に形成され、ローラ支持回動体21にて支持され、搬送ベルト2のリターン部4と接触するテーパローラ体22とを有している。
ローラ支持回動体21は、回動支軸23およびベアリング24を介して、搬送装置1の両コンベヤフレーム6間で左右方向に延設された左右方向長手状の連結体25に回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。なお、回動中心軸線Yは、縦軸である回動支軸23の軸芯を通る線であり、例えば軸心を通る軸方向直線であり、図6では上下方向に沿った線である。
また、ローラ支持回動体21は、回動支軸23が固着された左右方向長手状の回動板部31と、この回動板部31の長手方向両端部に立設された支持板部32とにて構成されている。
そして、互いに離間対向する両支持板部32にて、テーパローラ体22が水平方向に対して傾斜した傾斜状態、つまり縮径側の端部が拡径側の端部よりも上方に位置する傾斜状態に支持されている。
テーパローラ体22は、ローラ支持回動体21の両支持板部32間に架設されたローラ軸部36と、このローラ軸部36にて回動中心軸線Yと交差する回転中心軸線Xを中心として回転可能に軸支され、外周面が搬送ベルト2の幅方向中央側から搬送ベルト2の幅方向端部側に向かって徐々に縮径するテーパ形状に形成され、その外周面が搬送ベルト2のリターン部4と接触する筒状のローラ本体部37とにて構成されている。
そして、左右対をなす両テーパローラ体22は、正転運転時には搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第1作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止し、逆転運転時にはその第1作用状態とは向きが逆で、同様に搬送ベルト2のリターン部4に対して幅方向中央側に向かう成分を有する付勢力を与える平面視ハ字状をなす第2作用状態となって搬送ベルト2の蛇行を防止する。
換言すると、搬送ベルト2が正方向に回転する正転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して傾斜した第1作用状態となり、また一方、搬送ベルト2が逆方向に回転する逆転運転時には、左右対をなす両蛇行防止装置20の各テーパローラ体22は、いずれも搬送ベルト2をその幅方向中央側に向けて付勢するように平面視で回転中心軸線Xが搬送ベルト2の幅方向に対して第1作用状態とは反対の側に傾斜した第2作用状態となる。
また、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部(回動部)40の重心Pが、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支点)Y上に位置している(図6参照)。なお、テーパローラ体22の拡径側の端部の外径d1が縮径側の端部の外径d2よりも大きい。
そして、搬送装置1の正逆運転の切換時には、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とからなるローラユニット部40は、テーパローラ体22と搬送ベルト2との摩擦力に基づき、テーパローラ体22の縮径側が搬送ベルト2の回転方向前方(例えばリターン部4の移動方向前方)へ前進しかつテーパローラ体22の拡径側が搬送ベルト2の回転方向後方(例えばリターン部4の移動方向後方)へ後退するように、ローラ支持回動体21の回動中心軸線Yを中心として回動する。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する板状の第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の支持板部32との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する板状の第2ストッパ体42とを有している。つまり、各蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22を第1作用状態に設定するための第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態に設定するための第2ストッパ体42とを有している。
さらに、これら互いに離間対向するストッパ体41,42は、連結体25の長手方向端部に取り付けられた取付体43における鉛直状の取付板部45の両端部に支持板部32の側端面と対向するように一体に突設されている。この取付体43は、コンベヤフレーム6に取り付けるための長孔部46を有しており、コンベヤフレーム6と長孔部46が取付具44を介して取り付けられることにより、蛇行防止装置20はコンベヤフレーム6に対して長孔部46の形状に沿った上下調整および取付具44を回動支点とする角度調整が可能である。
そして、図3に示すように、各テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4から受ける力、つまりリターン部4との摩擦により、テーパローラ体22に形成された周径差が作用することで、取付体43に対してローラ支持回動体21とともに回動支軸(回動中心軸線)23を中心として第1作用状態および第2作用状態間でそれぞれ個別に回動可能(回動自在)となっている。
なお、各テーパローラ体22は、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす両テーパローラ体22で平面視ハ字状(平面視略ハ字状を含む)となるように、縮径側の端部が拡径側の端部よりもリターン部4の移動方向前方に位置する傾斜状態(第1作用状態または第2作用状態)となる。
次に、搬送装置1の作用等を説明する。
図1を正転時とすると、図1(a)および(b)に示すように、搬送装置1の正転運転時には、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて正方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
このとき、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図1では、右方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第1作用状態となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくコンベヤ中央に向かわせる方向にリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
そして、この正転状態から、ベルト駆動手段11の電動モータ12の回転方向を逆にして、搬送装置1を正転運転から逆転運転に切り換えると、図2(a)および(b)に示すように、搬送ベルト2は、ベルト駆動手段11からの動力に基づいて逆方向に回転しながら、物品Wをキャリア部3の搬送面2aに載せて搬送方向に搬送する。
また、この運転の切り換えにより、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22は、その外周面が接触したリターン部4との摩擦によって、ローラ支持回動体21とともに回動中心軸線Yを中心として回動角度αだけ回動する。
つまり、首振り式の両テーパローラ体22は、外周面の周径差に基づき、正転および逆転にかかわらず、外部動力無しで、搬送ベルト2側から受ける力、つまり搬送ベルト2との間の摩擦力によって回動中心軸線Yを中心として所定角度回動する。
すると、これら両テーパローラ体22は、搬送ベルト2のリターン部4の移動方向前方(図2では、左方向)に向かって開いた平面視ハ字状をなす第2作用状態(第1作用状態とは向きが逆の状態)となって、搬送ベルト2の蛇行を修正すべくリターン部4をその幅方向中央側に向けて付勢して案内し、その結果、搬送ベルト2の蛇行が防止される。
なお、搬送装置1を逆転運転から正転運転に戻すと、両テーパローラ体22は、リターン部4から受ける力によって元の第1作用状態となり、搬送ベルト2の蛇行防止機能(調心機能)を発揮する。
そして、上記搬送装置1によれば、正転運転時および逆転運転時のいずれにおいても、対をなす蛇行防止装置20の両テーパローラ体22によって搬送ベルト2の蛇行を効果的に防止でき、よって、物品Wを適切に搬送できる。
また、蛇行防止装置20は、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第1ストッパ体41と、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の回動を規制する第2ストッパ体42とを有するため、第1ストッパ体41にてテーパローラ体22を第1作用状態に適切に位置決めでき、かつ、第2ストッパ体42にてテーパローラ体22を第2作用状態に適切に位置決めできる。
さらに、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置するため、運転の切り換えの際に、ローラユニット部40を搬送ベルト2側から受ける力で回動中心軸線Yを中心としてスムーズに回動させることができ、また例えば回動支軸23がテーパローラ体22の長手方向端部側に位置した構成等に比べて省スペース化を図ることができる。
また、例えば図10に示す第2の実施の形態のように、搬送装置1を傾斜型のベルトコンベヤとして使用する場合であっても、ローラユニット部40の重心Pが回動中心軸線Y上に位置するため、傾斜した搬送ベルト2に対応させるためにローラユニット部40を傾いた状態で用いたとしても、ローラユニット部40が自重により回動することを防ぐことができるので、正逆の搬送方向に対応してテーパローラ体22が回動し、第1の実施の形態と同様に作用効果を奏することができる。
また、図11ないし図13には、第3の実施の形態に係る搬送装置1の蛇行防止装置20が示されている。
この蛇行防止装置20では、図6に示すものとは異なり、ローラ支持回動体21の回動中心軸線(回動支軸23)Yは、上下方向に対して少し傾斜している。
また、この蛇行防止装置20の取付体43は、取付板部45の下端部からコンベヤフレーム6側とは反対側に向かって徐々に下り傾斜する傾斜板部51を有し、この傾斜板部51にローラ支持回動体21が回動支軸23およびベアリング24を介して回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。さらに、この傾斜板部51の先端部に水平板部52が連設され、この水平板部52が連結体25の長手方向端部に取り付けられている。そして、この搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、搬送装置1にはエンドプーリ7直近かつ搬送ベルト2のリターン部4でその搬送ベルトの裏面と接触するスナブプーリ8を設けても良く、このスナブプーリ8で予備的に蛇行調整を行い、蛇行防止装置20と併用することで搬送ベルト2の蛇行安定性を向上させることができる。
また、搬送装置1は、図14および図15示す第4の実施の形態のように、スナブプーリ8を有しない構成でもよく、また、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の上方に配設された構成でもよい。なお、複数の蛇行防止装置20のすべてがリターン部4の下方に配設された構成でもよい。
さらに、例えばベルト駆動手段11の前後に蛇行防止装置20を設けずに、前後のエンドプーリ7付近のみに蛇行防止装置20が配設された構成でもよい。換言すると、少なくとも2対(合計4個)の蛇行防止装置20が、搬送ベルト2の長手方向一端側の幅方向両端側および搬送ベルト2の長手方向他端側の幅方向両端側に配設された構成でもよい。
なお、1対の蛇行防止装置20のみを搬送ベルト2の幅方向両端側に配設した構成としてもよく、また、例えば5対以上の蛇行防止装置20を備える構成等でもよい。
また、搬送装置1は、搬送ベルト2の搬送面2aが平面状である構成には限定されず、例えば図16ないし図21に示す第5の実施の形態のようなトラフコンベヤでもよい。
この搬送装置1の搬送ベルト2のキャリア部3は、幅方向中央側の水平部分3aと、この水平部分3aに向かって下り傾斜する幅方向両端側の傾斜部分3bとにて構成されている。そして、これら水平部分3aの下面および傾斜部分3bの下面が、それぞれ短筒状のキャリアローラ10にて下方から支持されている。
また、このキャリア部3の傾斜部分3bの下面は、蛇行防止装置20のテーパローラ体22にて下方から押し上げられて支持されている。なおこの場合、上記実施の形態とは異なり、テーパローラ体22の接触する部分がキャリア部3であり、このキャリア部3の移動方向がリターン部4の移動方向とは逆であるため、これに対応してストッパ体41,42が前後逆となっている。そして、このトラフコンベヤである搬送装置1であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、搬送装置1は、対をなす蛇行防止装置20が左右方向(搬送ベルト2の幅方向)に並んで位置する構成には限定されず、例えば図22に示す第6の実施の形態のように、対をなす蛇行防止装置20のうちの一方の蛇行防止装置20が他方の蛇行防止装置20に対して前後いずれかにずれた構成でもよい。
また、搬送装置1は、例えば図23および図24に示す第7の実施の形態のように、テーパローラ体22の軸方向中間部をローラ支持回動体21のロッド部56によって支持する構成でもよい。
このローラ支持回動体21は、取付具44によってコンベヤフレーム6に取り付けられた取付体43の傾斜板部43aに、回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられている。つまり、このローラ支持回動体21は、取付体43の傾斜板部43aに回動中心軸線Yを中心として回動可能に取り付けられた回動軸部であるロッド部56と、このロッド部56に突設された2つの板状の突起部57とにて構成されている。
また、テーパローラ体22は、ロッド部56の上部が貫通して固定されたローラ軸部36を有し、このローラ軸部36の外周側に筒状のローラ本体部37が回転中心軸線Xを中心として回転可能に設けられている。このローラ本体部37は、軸方向一方側のテーパローラ部材37aと軸方向他方側のテーパローラ部材37bとにて構成されている。
さらに、取付体43の傾斜板部43aの幅方向一端部には、正転運転時にテーパローラ体22が第1作用状態となるようにローラ支持回動体21の一方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の一方向への回動を規制する第1ストッパ体41が上方に向かって突設されている。また、取付体43の傾斜板部43aの幅方向他端部には、逆転運転時にテーパローラ体22が第2作用状態となるようにローラ支持回動体21の他方の突起部57との当接によりこのローラ支持回動体21の他方向への回動を規制する第2ストッパ体42が上方に向かって突設されている。
そして、このような蛇行防止装置20でも、ローラ支持回動体21とテーパローラ体22とにて構成されたローラユニット部40の重心Pがローラ支持回動体21の回動中心軸線Y上に位置しており、上記第1の実施の形態等と同様の作用効果を奏する。
また、例えば図示しないが、ロッド部56がローラ支持体として取付体43の傾斜板部43aに固設され、この固設されたロッド部56にてテーパローラ体22が回動中心軸線Yを中心として回動可能に支持された構成等でもよい。
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
1 搬送装置
2 搬送ベルト
6 コンベヤフレーム
20 蛇行防止装置
21 ローラ支持体であるローラ支持回動体
22 テーパローラ体
40 ローラユニット部
41 第1ストッパ体
42 第2ストッパ体
43 取付体
46 長孔部
W 物品
P 重心
X 回転中心軸線
Y 回動中心軸線