JP2016029891A - 発泡性飲料の製造方法、発泡性飲料、発泡性飲料用高濃度液の製造方法、発泡性飲料用高濃度液および起泡抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡性飲料の製造方法は、混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/又は原料を添加して調合液を得る添加工程S1と、前記添加工程S1で得た調合液を混合して混合液を得る第1混合工程S2と、前記第1混合工程S2で得た混合液に水および/または炭酸ガス含有水を混合してアルコール濃度を調整した濃度調整済み液を得る第2混合工程S3と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(1) 混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/又は原料を添加して調合液を得る添加工程と、前記添加工程で得た調合液を混合して混合液を得る第1混合工程と、前記第1混合工程で得た混合液に水および/または炭酸ガス含有水を混合してアルコール濃度を調整した濃度調整済み液を得る第2混合工程と、を含むことを特徴とする発泡性飲料の製造方法。
(2) 前記起泡剤が、アルギン酸類、サポニン類、フラボノイド類、大豆タンパク質類のうちの少なくとも1つであることを特徴とする前記(1)に記載の発泡性飲料の製造方法。
(3) 前記第2混合工程において、前記濃度調整済み液のアルコール濃度を、0.00%を超え10%未満とすることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の発泡性飲料の製造方法。
(4) 前記(1)から(3)のうちのいずれか1つに記載の発泡性飲料の製造方法によって製造されたことを特徴とする発泡性飲料。
(5) 混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加して調合液を得る添加工程と、前記添加工程で得た調合液を混合して混合液を得る混合工程と、を含むことを特徴とする発泡性飲料用高濃度液の製造方法。
(6) 前記(5)に記載の発泡性飲料用高濃度液の製造方法によって製造されたことを特徴とする発泡性飲料用高濃度液。
(7) 混合タンク内の調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および原料を添加して混合することを特徴とする起泡抑制方法。
はじめに、図1を参照して本発明に係る発泡性飲料の製造方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る発泡性飲料の製造方法は、添加工程S1と、第1混合工程S2と、第2混合工程S3と、を含んでおり、これらの工程についてはこの順序で行う。
本明細書における「発泡性ノンアルコール飲料」とは、アルコール濃度が0.00%(体積/体積%(v/v%)の意味。アルコールの濃度について以下同じ。)を超え1%未満であり、発泡性を有する飲料である。
また、本明細書における「発泡性アルコール飲料」とは、アルコール濃度が1%以上であり、発泡性を有する飲料である。発泡性アルコール飲料の場合、アルコール濃度の上限は、例えば、10%未満とするのが好ましいがこれに限定されるものではなく、10%以上であってもよい。本発明における発泡性アルコール飲料は、例えば、ビールや発泡酒などのように炭酸ガスを含有し、グラスなどの容器に注いだ際に、液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性と、を有することが好ましい。具体的には、本発明における発泡性アルコール飲料は、EBC(European Brewery Convention:欧州醸造協会)法によるNIBEM値(泡持ち特性を表す単位)が50以上であることが好ましい。
以下、添加工程S1、第1混合工程S2および第2混合工程S3について分説する。
添加工程S1は、混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料、すなわち、起泡剤および原料のうちの少なくとも1つを添加して調合液を得る工程である。なお、調合液のアルコール濃度および原料の濃度は、想定する飲用時の濃度を考慮して適宜設定することができる。
アルギン酸類としては、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられるが、これらの中でもアルギン酸プロピレングリコールエステルが好ましい。
サポニン類としては、例えば、大豆サポニン、キラヤサポニン、白インゲン豆サポニン、ヒヨコ豆サポニン、アルファルファサポニン、ユッカサポニンなどが挙げられるが、これらの中でも大豆サポニン、キラヤサポニンが好ましい。
フラボノイド類としては、例えば、フラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノノール、カテキン、オーロン、アントシアニジン、カルコン、ジヒドロカルコンなどが挙げられる。フラボノイド類は大豆由来のものであるのが好ましい。
大豆タンパク質類は、大豆から得られたタンパク質であればよく、例えば、酵素処理等によって分解された分解物であってもよい。
また、起泡剤としては、例えば、卵白タンパク質、血清アルブミン、カゼインタンパク質、ホエータンパク質などの起泡性動物性タンパク質や、キサンタンガム、プルラン、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、タマリンド種子多糖類、寒天、タラガム、ジェランガムなどの増粘剤を用いることができる。
起泡剤は、以上に説明したものの中から1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。
ここで、麦は、発芽させたもの(麦芽)、発芽させていないもの及びこれらのエキスなどを用いることができる。麦はこれらを単独で用いることもできるし、複数併用することもできる。用いることのできる麦の種類としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などが挙げられる。
麦芽を用いる場合は、これを適宜の大きさに粉砕等した状態で用いることができる。
発芽させていない麦を用いる場合、麦は、脱穀して用いてもよいし、穀粒をそのままの状態又は適宜の大きさに粉砕等した状態で用いることができる。
麦又は麦芽のエキスとは、麦又は麦芽を水及び/又は有機溶剤等を用いて所定の成分を抽出等し、これを濃縮させたものをいう。
前記したそれぞれの麦は、消費者のニーズに応じ、焙煎して使用することができる。麦の焙煎は麦の焙燥条件を適宜に調節することによって任意に行うことができる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸などを用いることができる。
糖類としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、ショ糖、オリゴ糖、多糖類などを用いることができる。
高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、ステビアなどを用いることができる。
食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナンなどを用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。
水は、メンブランフィルターなどを用いて製造した水や、炭酸ガスを含有させた炭酸ガス含有水などを用いることができる。
また、必要に応じて前記した以外の果物や野菜の搾汁および/またはエキスなどを添加することもできる。以上に述べた全ての原料は一般に市販されているものを用いることができる。
第1混合工程S2は、添加工程S1で得た調合液を混合して混合液を得る工程である。調合液の混合は、混合タンクに備えられた攪拌翼や気体によるバブリングなどの混合手段によって調合液を混合することにより行うことができる。混合は、調合液が均一になるまで十分行うのが好ましい。ここで、本実施形態においては、添加工程S1において調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加しているので、起泡剤を添加していないときと同様に激しく混合した場合であっても調合液が泡立つのを抑えることができる。そのため、混合時間を短くすることができるだけでなく、用いる設備や混合タンクを小さくすることができる。また、製造コストの低減化を図ることもできる。
第2混合工程S3は、具体的には、第1混合工程S1で得た混合液に水および/または炭酸ガス含有水を混合してアルコール濃度を調整した濃度調整済み液、具体的には、アルコール濃度を下げた濃度調整済み液を得る工程である。つまり、第1混合工程S2を終えて製造された混合液は、前記したようにアルコール濃度および原料の濃度が飲用時よりも高い状態である。従って、RTD(Ready To Drink)の形態で消費者に提供する場合は、この第2混合工程S3でアルコール濃度および原料の濃度が所定の目標濃度となるように水および/または炭酸ガス含有水を添加し、第1混合工程S2と同様に混合する。なお、この水および/または炭酸ガス含有水には、必要に応じて前記した穀類、果汁、苦味料、着色料、酸味料、糖類、高甘味度甘味料、食物繊維、酸化防止剤などが添加されていてもよい。この第2混合工程S3により、アルコール濃度および原料の濃度を任意の値としたRTDを具現することができる。なお、水および/または炭酸ガス含有水の添加量の目安としては、濃度調整済み液のアルコール濃度が0.00%を超え10%未満となるようにするのが好ましく、例えば、2〜8%などとするのがより好ましい。なお、濃度調整済み液のアルコール濃度はこの範囲に限定されるものではなく、10%以上とすることも可能である。この工程で得られた濃度調整済み液は、アルコール濃度が下がっているので起泡剤の効果が優勢となり、グラスなどの容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性と、を発現することができる。
本実施形態に係る発泡性飲料は、前記した発泡性飲料の製造方法によって製造されたものである。つまり、本実施形態に係る発泡性飲料は、混合タンク内の調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加し、混合されているので、製造時の泡立ちが抑えられている。そして、第2混合工程3を終えて得られた本実施形態に係る発泡性飲料は、水および/または炭酸ガス含有水が混合されてアルコール濃度が下がっているので、起泡剤の効果が優勢となり、グラスなどの容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性と、を発現することができる。
図2に示すように、本発明に係る発泡性飲料用高濃度液の製造方法は、添加工程S11と、混合工程S12と、を含んでおり、これらの工程についてはこの順序で行う。
なお、本発明に係る発泡性飲料用高濃度液の製造方法の添加工程S11および混合工程S12は、前述した本発明に係る発泡性飲料の製造方法の添加工程S1および第1混合工程S2とそれぞれ同一である。
すなわち、本発明に係る発泡性飲料用高濃度液の製造方法は、混合工程S12(発泡性飲料の製造方法の第1混合工程S2)を終えて得られたアルコール濃度が10%以上であり、かつ原料の濃度の高い混合液を製品として製造するものである。
本製造方法で得られた発泡性飲料用高濃度液は、プレート殺菌などにより殺菌処理を行い(殺菌工程)、さらにクリーンルームにて任意の容器に充填するのが好ましい(充填工程)。
本実施形態に係る発泡性飲料用高濃度液は、前記した発泡性飲料用高濃度液の製造方法によって製造されたものである。この発泡性飲料用高濃度液は、高濃度の状態で、例えば、居酒屋やレストランなどの飲食店、または小売店に卸される。発泡性飲料用高濃度液の状態で飲食店や小売店に提供すると、予め希釈してある状態のものを運搬する場合と比較して容量を減らすことができるため運搬等が容易となり、また、店内での保管スペースを節約することができる。
本実施形態に係る発泡性飲料用高濃度液のアルコール濃度は10%以上であるため泡立ちが抑えられているが、飲食店でスタッフまたは消費者が炭酸ガス含有水を用いて希釈したり、小売店で購入した消費者が飲用時に炭酸ガス含有水を用いて希釈したりすることにより、アルコール濃度を10%未満とすると起泡剤の効果が優勢となり、泡が立つようになるという特徴的な効果を奏することができる。
本実施形態に係る起泡抑制方法は、混合タンク内の調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加して混合するというものである。
この起泡抑制方法によれば、混合タンク内の調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加しているので、起泡剤および/または原料による泡立ちを抑制することができる。従って、泡が製造設備から吹きこぼれたり、必要な成分の一部が失われたりするのを防止することができる。その結果、本実施形態に係る起泡抑制方法は、製品の品質を均一に保つことができる。また、本実施形態に係る起泡抑制方法は、起泡剤および/または原料を添加した発泡性飲料を製造する際に適用すると、当該発泡性飲料を製造するにあたって、従来行われていたように、混合時の攪拌操作を弱くして長時間かけて均一化したり、混合タンクの容量を大きくしたり、発生する泡の量を考慮して原料等の添加量を調整したりする必要がなくなる。よって、本実施形態に係る起泡抑制方法によれば、低コスト化を図ることが可能となる。
起泡剤としてアルギン酸類であるアルギン酸プロピレングリコールエステル(株式会社キミカ製キミロイド)を用意し、アルコールとして試薬用エタノール(純度99.5%)を用意した。
はじめに、用意した起泡剤を50℃の湯に溶解して起泡剤液を調製した。
また、アルコールと蒸留水を用い、表1および表2のNo.1〜12に示すアルコール濃度となるアルコール溶液を100mL調製し、これにNo.1〜12に示す濃度となるように前記した起泡剤液を添加して、No.1〜12に係る調合液のサンプルを調製した。
調製した各調合液のサンプルをマグネチックスターラー(ADVANTEC製SRS266PA)にて、20℃、10分という条件で攪拌した。なお、攪拌子はすべて同じサイズのものを用いた。
攪拌終了後、10分経過したときの泡の高さ(mm)を測定した。その結果をNo.1〜12に係る調合液のサンプルの組成とともに表1および表2に示す。
次に、起泡の核となる物質を添加したときの挙動を確認した。起泡の核となる物質としては、原料として添加することのできるエンドウタンパク(オルガノフードテック株式会社製)を用いた。起泡剤(起泡剤液)およびアルコールは〔実施例1〕と同じものを用いた。
はじめに、アルコールと蒸留水を用い、表3に示すアルコール濃度のアルコール溶液を調製した。
当該アルコール溶液100mLに対し、起泡剤の濃度が2%となるように起泡剤液を添加し、エンドウタンパクを1000ppm添加したサンプル(No.13、14、15に係る調合液のサンプル)と、エンドウタンパクを添加しないサンプル(No.16に係る調合液のサンプル)と、を調製した。
調製した各調合液のサンプルを〔実施例1〕と同様の条件で攪拌し、攪拌終了後、10分経過したときの泡の高さ(mm)を測定した。その結果をNo.13〜16に係る調合液のサンプルの組成とともに表3に示す。なお、No.16に係る調合液のサンプルは、前記したNo.4に係る調合液のサンプルと同一の条件である。
また、No.14に係る調合液のサンプルは、アルコール濃度を10%としていたので、アルコール濃度が0%であるNo.15に係る調合液のサンプルと比較すると、泡立ちを半分以下に抑えることができた。
No.13、14に係る調合液のサンプルに炭酸ガス含有水を混合し、アルコール濃度が10%未満となるように調整して濃度調整済み液(発泡性飲料)を製造したところ、炭酸ガスによって当該濃度調整済み液を泡立たせることができた。
次に、起泡剤の種類を変えた場合の挙動を確認した。起泡剤は、サポニン類であるソイヘルス2SA(不二製油株式会社)、大豆タンパク質類であるハイニュートDC6(不二製油株式会社)、サポニン類であるキラヤサポニン(丸善製薬株式会社)、フラボノイド類であるソヤフラボンRS(不二製油株式会社)を用いた。アルコールは〔実施例1〕と同様のものを用いた。
はじめに、アルコールと蒸留水を用い、アルコール濃度が0%である水溶液と、アルコール濃度が10%または15%であるアルコール溶液と、を調製した。
調製した水溶液またはアルコール溶液100mLに対し、それぞれ前記した起泡剤の濃度が1%となるように添加し、表4および表5のNo.17〜25に係る調合液のサンプルを調製した。
調製した各サンプルを〔実施例1〕と同様の条件で攪拌し、攪拌終了後、10分経過したときの泡の高さ(mm)を測定した。その結果をNo.17〜25に係る調合液のサンプルの組成とともに表4および表5に示す。
一方、No.17、19、21、23に係る調合液のサンプルはアルコール濃度が0%であったので、泡立ちを抑制することができなかった。
S2 第1混合工程
S3 第2混合工程
S11 添加工程
S12 混合工程
Claims (7)
- 混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加して調合液を得る添加工程と、
前記添加工程で得た調合液を混合して混合液を得る第1混合工程と、
前記第1混合工程で得た混合液に水および/または炭酸ガス含有水を混合してアルコール濃度を調整した濃度調整済み液を得る第2混合工程と、
を含むことを特徴とする発泡性飲料の製造方法。 - 前記起泡剤が、アルギン酸類、サポニン類、フラボノイド類、大豆タンパク質類のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の発泡性飲料の製造方法。
- 前記第2混合工程において、前記濃度調整済み液のアルコール濃度を、0.00%を超え10%未満とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡性飲料の製造方法。
- 請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の発泡性飲料の製造方法によって製造されたことを特徴とする発泡性飲料。
- 混合タンク内におけるアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加して調合液を得る添加工程と、
前記添加工程で得た調合液を混合して混合液を得る混合工程と、
を含むことを特徴とする発泡性飲料用高濃度液の製造方法。 - 請求項5に記載の発泡性飲料用高濃度液の製造方法によって製造されたことを特徴とする発泡性飲料用高濃度液。
- 混合タンク内の調合液のアルコール濃度が10%以上となるようにアルコールを添加するとともに、起泡剤および/または原料を添加して混合することを特徴とする起泡抑制方法。
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