JP2016028110A - ポリウレタン及びウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油状成分と接触しても、形成した皮膜が損なわれることなく、優れた特性を維持できるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂とその水性分散液及びその原料となるポリウレタンの提供。【解決手段】ポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンであって、前記ポリエステルポリオールが、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸由来の構成単位を有し、かつ、シリコーンオイルと前記ポリウレタンとの混合溶液(重量比50/50)から、23℃でキャスト成膜が可能であるポリウレタンを用いる。【選択図】なし

Description

この発明は、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂、及びその原料となるポリウレタンに関する。
本発明のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂は、化粧料の原料として、毛髪化粧料、アイメイク用化粧料、メークアップ用化粧料、スキンケア用化粧料、その他の化粧料等に広く適用できる。また、工業用、家庭用の塗料や保護皮膜(コーティング剤)としても好ましく使用可能である。
ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂は、その皮膜形成性を利用して、毛髪の形状維持や皮膚の保護等のための化粧料として用いられたり(特許文献1、2)、あるいは工業用(自動車用)・家庭用の塗料や保護皮膜として用いられている(特許文献3)が、これらを適用した皮膜が油状成分と接触した場合、耐油性が不十分で、皮膜が溶解したり膨潤したりして、その性能を十分発揮できないことがあった。
この耐油性を改良するためには、用いる樹脂の分子量を高くしたり、ハードセグメントの含有量を多くする等の方法があるが、場合によっては皮膜が硬くなって基材への追従性がなくなって、屈曲時に剥離したり、あるいは化粧料とした場合に、ゴワつきや使用時の違和感をもたらしたりすることがあった。
特許第2587801号公報 特許第5281232号公報 特開2011−149011号公報
前記のような耐油性を改良する方法において、多様な用途に前記皮膜形成性を有するウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂を適用した場合、例えば化粧料の中でもヘアワックスに代表されるような、油状成分を多く含む配合では、油状成分が樹脂に対して可塑剤として作用するため、毛髪の固定化や仕上げのサラッと感などが損なわれることがあり、樹脂本来の機能が十分発揮されないという問題があった。
本発明の目的は、油状成分と接触した場合も、その皮膜が損なわれることなく、本来の優れた特性を維持できるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂とその水性分散液を提供すること、及びその原料となる特定のポリウレタンを提供することである。
この発明の要旨は、ポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンであって、前記ポリエステルポリオールが、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸由来の構成単位を有し、かつ、シリコーンオイルと前記ポリウレタンとの混合溶液(重量比50/50)から、23℃でキャスト成膜が可能であるポリウレタン、に存する。
この発明の別の要旨は、前記のポリウレタンと(メタ)アクリル系樹脂とを複合してなるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂であって、シリコーンオイルと50/50の重量比で混合した溶液が、23℃でキャスト成膜が可能であるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂にも存している。
また、この発明のもう一つの要旨は、前記のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂が水性媒体中に乳化分散されてなる複合樹脂水性分散液、及び該ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂を用いてなる化粧料にも存する。
本発明のポリウレタンは、油状成分と混合した状態から成膜することが可能なほど、その膜の耐油性が優れており、この特徴は、このポリウレタンを含有するウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂にも反映されて、その本来の特性である、柔軟性、ソフト感及びセット保持性を有しつつ、耐油性が優れたものとなる。
本発明のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の重量平均分子量を測定した結果を示すグラフの例
以下、この発明について、ポリウレタン、このポリウレタンを用いて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(以下「U/A樹脂」と略記することがある)とに分けて、詳細に説明する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
<1.本発明のポリウレタン>
本発明のポリウレタンは、ポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンである。
このポリウレタンは、シリコーンオイルとこのポリウレタンとの混合溶液(重量比50/50)から、23℃でキャスト成膜が可能であることが特徴である。
本発明のポリウレタンの原料であるポリオール成分は、ポルエステルポリオールを含む。このポリエステルポリオールは、ポリオール成分由来の構成単位(以下、「ポリオール単位」と称する場合がある。)とジカルボン酸成分由来の構成単位(以下、「ジカルボン酸単位」と称する場合がある。)とからなる化合物である。
前記ポリオール単位とは、1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物からなる単位であり、ポリオール単位を構成するポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオール類、又はこれらの少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール、ポリ(メタ)アクリル酸エステルジオール、ジアルキレングリコール、これらのポリオール類にプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
前記ジカルボン酸単位とは、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する有機化合物からなる単位であり、本発明では、ジカルボン酸単位として、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸成分由来の構成単位(以下、まとめて「フタル酸系単位」と称する場合がある。)を用いることが重要である。このようなフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールを用いることにより、得られるポリウレタンやウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂に耐油性を付与することができる。
このようなフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールのうち、イソフタル酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールとしては、例えばクラレポリオールP−1012、2012、530、1030、2030等((株)クラレ製、商品名)、テスラック2474(日本化成ポリマー(株)製、商品名)、OD−X−2560(DIC(株)製、商品名)、HS2F−136P(豊国製油(株)製、商品名)等を挙げることができ、また、テレフタル酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールとしては、例えばクラレポリオールP−1011、2011、2013、520、1020、2020等((株)クラレ製、商品名)を挙げることができる。
このフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールの中でも、イソフタル酸由来の構成単位(以下、「イソフタル酸単位」と称する場合がある。)を有するポリエステルポリオールが好ましい。
得られるポリウレタン中のジカルボン酸単位の含有割合は、0.05重量%以上50重量%以下が好ましい。ジカルボン酸単位が0.05重量%以上存在することにより、耐油性向上効果を得ることができる。一方、ジカルボン酸単位の含有量を50重量%以下とすることで、十分な耐油性を維持しつつ、膜の強度を高くすることが可能となる。この範囲を外れた場合は、耐油性向上効果が不十分となったり、得られる膜が脆くなったりすることがある。ジカルボン酸単位は、0.08重量%以上存在することが好ましく、0.1重量%以上存在することがより好ましい。また、40重量%以下存在することが好ましく、35重量%以下存在することがより好ましい。このジカルボン酸単位には、フタル酸系単位が含まれることが必要で、特にイソフタル酸単位が含まれるのが好ましい。イソフタル酸単位を含むことで、柔軟性を保持しつつ、耐油性が向上するという効果が得られる。
前記ポリエステルポリオール中のフタル酸系単位(PA単位)(C=式量148)の含有量や、ポリウレタン中のフタル酸系単位の含有量は、次のようにして算出することができる。なお、ポリエステルポリオールを「PEsPO」、フタル酸系単位を「PA」、ジオールを「DOL」(ジオール単位の場合は「DOL単位」と記す)、フタル酸系単位数を「NumberPA」と称する。
ポリエステルポリオールにおいては、(両)末端は常にジオール末端となるので、以下の関係式が成立する。
1)ポリエステルポリオール(PEsPO)中のフタル酸系単位(PA単位)の数
=(PEsPOの分子量−末端DOL分子量)/(PA単位式量+DOL単位式量)
=NumberPA
(なお、上記式において「PA単位式量+DOL単位式量」はPAとDOL単位で形成されるPEsPO中のエステル単位の式量となる。)
2)PEsPO中のPA単位含有割合(wtPA(重量分率))
=(NumberPA×PA単位式量)/PEsPO分子量
3)PEsPO仕込量(F)中のPA単位含有量(重量)
=F×wtPA
4)ポリウレタン中のPA単位含有量(重量%)
=(F×wtPA)×100/総ポリウレタン量(=ウレタン原料の総仕込量)
また、酸成分としてフタル酸系単位以外のジカルボン酸が併用されている場合は、上記計算において、1)の「PA単位式量」に代えて、併用される他のジカルボン酸類の式量(−OC−X―CO−O−、但し「X」はベンゼン核以外の二価の炭化水素基である)とPA単位の式量とを、各成分のモル分率をそれぞれ乗じた上で合計した「ジカルボン酸平均式量」を用いて、上記「NumberPA」に相当する「ジカルボン酸総単位数」を求め、これらを用いて、上記と同様にして「ポリウレタン中のジカルボン酸単位含有率(重量%)を算出し、この量を両者のモル分率と式量とを用いて案分して「ポリウレタン中のPA単位含有量」を求めることができる。
ジオール成分が複数種用いられている場合も同様である。
なお、市販品等、その組成が明らかにされていない場合などは、核磁気共鳴スペクトル分析(NMR)やゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)等の高分子物質を分析できる方法を用いて、組成分析を行って求めることもできる。
本発明のポリウレタンのポリオール成分として、前記のポリオール成分に加えて、ポリオールとモノカルボン酸とを有する成分を用いることも好ましい。
このような成分としてはジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸や、スルホン酸含有ポリオールなどを用いることが好ましく、特にジメチロールアルカン酸が好ましい。この他にもポリオール成分としては、本発明の効果を損なわない限り、前記以外の各種のポリアルキレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も使用できる。
このようなジメチロールアルカン酸は、下記化学式(1)に示される構造を有している。
Figure 2016028110
なお、前記式(1)において、Rは、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、中でも炭素原子数が1〜6であるものが好ましい。特に好ましいのは、Rがメチル基又はエチル基であるものであり、中でもRがメチル基の場合、即ちジメチロールアルカン酸がジメチロールプロピオン酸であることが好ましい。
前記のようなジメチロールアルカン酸を用いることで、良好な共重合性を得ることができ、また得られるポリウレタンにカルボキシル基を導入できて、水分散体として用いる場合に分散安定性が向上すると共に、ポリウレタンに反応性を付与したり、特に化粧料用に使用した場合、極性成分との混和性を改良したり、毛髪や皮膚への密着性を高くすることができる。
前記ジメチロールアルカン酸の使用量は、得られるポリウレタンの酸価、あるいは最終的に生成するウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(U/A樹脂)に求められる性能(水への分散性等)に応じて適宜調整すればよい。
このようなポリオール成分としては、1種類のポリオール成分を用いても、複数種のポリオールの由来する成分を用いてもよい。
前記のポリオール成分の数平均分子量は、300以上がよく、600以上が好ましい。300未満では、柔軟性が低下する傾向となる。一方、上限は、3000がよく、2500が好ましい。3000を超えると、自己乳化力が低下したり、ポリオール成分の種類によっては、過度に柔軟になったりする場合がある。
また、ポリウレタンを製造するために用いる前記の多価イソシアネートとは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物をいい、脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物を用いることができる。
このような多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。これらの内で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートは経時的な黄変が少ない点で好適である。
なお、得られるポリウレタンには、前記のジオール成分、特にポリエステルポリオールやジメチロールアルカン酸等に由来する酸成分が含まれるが、このポリウレタンの酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満では水への分散性が悪くなって、極端な場合は水性分散液が得られないことがある。一方で、その上限は60mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましい。60mgKOH/gを超えると、弾性が不十分となったり、ポリマーが硬くなり過ぎて、毛髪化粧料等に用いる場合、ゴワつきを発生させたり、使用中に白粉化して、化粧料として不十分なものとなることがある。
なお、酸価は、水酸化カリウムを用いる電位差滴定法(JIS−K−0070)に従って測定できる。この時、試料の質量としては「ポリウレタン量」を用いることとする。
また、例えば、ポリウレタンの製造に際して、その中和に水酸化カリウムを用いている場合は、塩交換が起きにくくなるため、上記JIS法による測定が困難になる場合がある。このような時は、下式に従ってポリウレタン1gあたりの「理論酸価」を算出して用いればよい。
理論酸価(mgKOH/g−ポリウレタン)=酸含有原料仕込モル数×56.1(KOH分子量)/ポリウレタン量(g)×1000
本発明のポリウレタンの製造は、無溶媒下でも行うことができるが、反応を均一に行うために、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、その他のイソシアネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶媒を使用してもよい。また、前記以外の溶媒でも、イソシアネート基に対して反応性のない、即ち活性水素基を含まない有機溶媒も使用可能である。
本発明のポリウレタンを製造する際の、前記のポリエステルポリオールと多価イソシアネート化合物との使用割合は、ポリエステルポリオールのヒドロキシル基と多価イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比で、ポリエステルポリオール:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2がよく、1:1.5〜1.9が好ましい。
また、ポリウレタンの生成に続けて、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂を製造する場合は、活性水素を持たない(メタ)アクリル系単量体が、前記ポリウレタンの生成時に共存していてもよい。このポリウレタンを得る反応は、50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度行えばよい。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を有するポリウレタンを得ることができる。
前記ポリウレタンの製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
前記のポリウレタンの重量平均分子量は1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。重量平均分子量が1000未満では、得られる皮膜が硬くなり、化粧料として用いる際に、ごわつき感等の問題が生じる可能性がある。一方、重量平均分子量の上限は、通常150000程度であり、100000が好ましく、70000がより好ましい。150000より大きいと、プレポリマーそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定なエマルジョンが得られなくなったりする場合がある。
前記ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上、250℃以下であることが好ましい。また、ポリウレタンのソフトセグメント(ポリオール単位由来)のガラス転移温度と、ハードセグメント(イソシアネート単位由来)のガラス転移温度とで複数のガラス転移温度が発現する場合がある。このときの低温側(ソフトセグメント側)ガラス転移温度は、−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上がより好ましい。−60℃より低いと、得られる皮膜が過度に柔軟になる場合がある。一方で、低温側ガラス転移温度は0℃以下であるのが好ましく、−5℃以下であるのがより好ましい。0℃を超えると、皮膜の柔軟性が不足する傾向となる。また、高温側(ハードセグメント側)ガラス転移温度は、低温側ほど塗膜物性への影響は大きくないものの、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。30℃未満では、皮膜の強靱性が劣ることがある。一方で上限は、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。250℃を超えると、皮膜が硬くなって質感に劣ることがある。
なお、ガラス転移温度は、JIS K7244−4の方法で測定することができる。
前記ポリウレタンが含有するカルボキシル基は、その少なくとも一部が、一種又は二種以上の塩基性化合物により中和されていることが好ましい。これにより、ポリウレタンの水性媒体中での分散性を向上させることができる。この塩基性化合物としては、有機アミン化合物やアルカリ金属水酸化物が挙げられる。この中和反応は、ポリウレタンを製造した後であれば、任意の時期に行うことができ、1工程で実施しても、2工程以上に分割して行ってもよい。また、この中和反応に用いる塩基性化合物も工程毎に異なる種類のものを用いても構わない。
中でも、中和工程を2工程に分割し、第1中和工程をポリウレタンの製造後に、そして第2中和工程を第1工程で中和されたポリウレタンを水性媒体中に分散させた後に行うことが好ましい。
前記の有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン化合物が好ましく用いられる。また、前記のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
これらの塩基性化合物の総使用量は、(第1中和工程及び第2中和工程の合計使用量として、)ポリウレタンが有するカルボキシル基の量に対して、1当量以上であることが好ましい。すなわち、前記ポリウレタン中のカルボキシル基が、塩基性化合物により100%以上中和されていることが好ましい。1当量未満では、水性媒体中で良好な分散状態が得られないことがある。一方その上限は、2.0当量が好ましく、1.5当量がより好ましい。2.0当量を超えると塩基性化合物がエマルジョン中に残るため、化粧料用として用いる際に問題を生じるおそれがある。
前記ポリウレタンを分散させる水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水がより好ましい。
前記のポリウレタンは、必要に応じて鎖伸長反応を行って、前記の重量平均分子量の範囲内に調整することができる。このとき使用される鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物や水(前記水性媒体としての水を含む。)等が挙げられる。
前記イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物としては、炭素数1〜8のポリオール、ポリアミン化合物等が挙げられる。前記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。また、ポリアミン化合物の例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類を挙げることができる。
このポリウレタンは、シリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から、23℃でキャスト成膜が可能である。なお、「キャスト成膜可能である」とはキャスト後、23℃×6時間静置してから、その膜の一部をピンセット等でつまみ上げた時に、膜が破損することなく一体となって引き上げられることを言う。ここで使用できるシリコーンオイルとしては、シクロペンタシロキサン(例えば、KF−995(信越化学工業(株)製:揮発性環状シリコーン))等があげられる。
このシリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から23℃でキャスト成膜が可能であるという特徴は、例えばマスカラ、口紅、リップクリーム、ヘアワックス等の油性成分を多く含む化粧料(化粧製剤)に用いた場合、優れた膜形成性を示すこととなり、化粧料として使用した際に、被膜によるメイクの持続性(持ち)の向上やハリ感の付与等の効果を得ることができる。
<2.前記ポリウレタンを用いて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂>
(1)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(U/A樹脂)の製造方法
前記のポリウレタンの存在下で(メタ)アクリル系単量体を重合することによって、ポリウレタンと(メタ)アクリル系樹脂を複合してなるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(U/A樹脂)を得ることができる。
このようなU/A樹脂を製造するためには、例えば前記のポリウレタンと(メタ)アクリル系単量体とを水性媒体中で乳化分散して形成されたエマルジョン中で、前記(メタ)アクリル系単量体を乳化重合する方法を用いることができ、この時、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(U/A樹脂)は水性分散液として得られる。
(メタ)アクリル系単量体の重合と並行して、前記エマルジョン中の水によって、ポリウレタンの鎖伸長反応が生じることがある。
また前記エマルジョン中に前記鎖伸長剤を添加して鎖伸長反応を行うこともできる。なお、鎖伸長反応は(メタ)アクリル系単量体を重合させる前に行っても、重合後に行ってもよい。
前記の重合反応は、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物系開始剤のラジカル重合開始剤を特に制限なく用いることができる。
また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤として用いてもよい。ラジカル重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系単量体に対して、0.1〜5重量%程度、好ましくは0.5〜2重量%程度とすればよい。
また重合温度は通常10〜80℃であり、30〜60℃で行うことが好ましい。発熱終了後、40〜90℃で30分〜3時間程度維持することによって、重合がほぼ完了する。これにより、U/A樹脂の水性エマルジョンが得られる。
(2)U/A樹脂のウレタン成分
本発明のU/A樹脂のウレタン成分は、前記のフタル酸系単位を有するポリエステルポリオール由来の構成成分を有するポリウレタンを含むものであり、U/A樹脂中に含まれるウレタン成分中における該ポリウレタンの含有割合は50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、その全量が前記ポリウレタンであることがもっとも好ましい。
なお、前記のフタル酸系単位を有するポリエステルポリオール由来の構成成分を有するポリウレタン以外のウレタン成分は、本発明の目的・効果を損なわない限り、特に限定されない。
更に、本発明においては、U/A樹脂の構成成分のうちのポリウレタン中に含まれるジカルボン酸由来の構成単位(ジカルボン酸単位)の含有量は前述の通り、0.05重量%以上50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.08重量%以上40重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上35重量%以下である。ジカルボン酸単位の含有量を前記範囲とすることで、本発明のU/A樹脂の優れた柔軟性、強度及び耐油性を特に良好なものとすることができる。
なお、前記したポリウレタンにおけるポリオール成分に含まれるジカルボン酸由来の構成単位(ジカルボン酸単位)の含有量も、同様の範囲が同様の理由で好ましい。
これは、U/A樹脂において、耐油性を左右する成分がポリウレタン由来の成分であるため、ポリウレタンの耐油性を高くすることが、U/A樹脂全体の耐油性を改良することとなるからである。
また、このジカルボン酸単位は、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、特にイソフタル酸単位であることが、耐油性の点から好ましい。
なお、このジカルボン酸単位の含有量は、上記したポリエステルポリオール中のフタル酸系構成成分の含有量の算出方法に準じ、U/A樹脂の組成とウレタン中の当該単位の含有量から計算することができる。
(3)U/A樹脂の(メタ)アクリル成分
前記U/A樹脂に用いられる(メタ)アクリル系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、アルキル基の炭素数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にアルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましい。
これらの(メタ)アクリル系単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、複数種類を混合して用いてもよい。
本発明のU/A樹脂においては、この(メタ)アクリル系単量体に加えて、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、(メタ)アクリル系単量体以外の、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等を併用してもよい。前記エステル基含有ビニル単量体の例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等が例示される。
また、前記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。さらに、前記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
前記の(メタ)アクリル系単量体を主成分とする単独重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上であることが好ましく、−40℃以上がより好ましい。Tgが−50℃よりも低くなると、得られる化粧料の手触り感にべたつきが現れることがあり、触感が悪化する恐れがある。
一方、このガラス転移温度(Tg)は120℃以下であるのが好ましく、110℃以下がより好ましい。120℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。ガラス転移温度をこの範囲とすることで、化粧料としての性能を大きく悪化させることなく、油分配合量の多い配合においても、油分による重合体の可塑化を抑制することができる。
前記ガラス転移温度(Tg)は、前述のJIS法で測定することもでき、また、共重合体の場合は、下記式(1)(FOX式)により算出することもできる。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+… (1)
但し、Tgは共重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各構成単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各構成単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率である。
なお、Tgを「℃」で表記したい場合は上記式で得られたTgの数値から「273」を減じればよい。
なお、複数種の(メタ)アクリル系単量体を用いる場合は、単独重合体のTgが高い単量体と、単独重合体のTgが低い単量体とを併用することにより皮膜の柔軟性の調整が可能である。
この場合、一方の単量体の単独重合体のTgは、95℃以上、150℃以下がよく、100℃以上、140℃以下が好ましく、他方の単量体の単独重合体のTgは、−70℃以上、30℃以下がよく、−60℃以上、10℃以下が好ましい。
高Tg側の単量体のTgが高すぎると皮膜が硬くなり過ぎ、低Tg側の単量体のTgが低すぎるとべたつくことがある。
(4)U/A樹脂の特徴
次に、本発明のU/A樹脂について説明する。
本発明のU/A樹脂は、ウレタン成分中のポリオール成分として、ポリエステルポリオールを含み、かつ、このポリエステルポリオールが、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸由来の構成単位を有する成分、すなわち、フタル酸系ポリエステル成分、特にイソフタル酸系ポリエステル成分由来の構成成分を有することで、耐油性が良好であるという性質を示す。
U/A樹脂中のポリウレタン成分と(メタ)アクリル成分との組成比は、重量比でポリウレタン成分/(メタ)アクリル成分として、80/20〜30/70がよく、70/30〜35/65が好ましい。なお、ポリウレタン成分及び(メタ)アクリル成分の両者の合計量を100とする。
ポリウレタン成分が80/20より多くなると、整髪料として使用した際の熱戻り性(セット性を含む)が悪くなることがある。一方、30/70より少ないと、U/A樹脂の製造時の乳化安定性が不足したり、生成する水性エマルジョンが不均一になったりすることがある。
前記U/A樹脂を水性エマルジョンとして用いる場合、その濃度は、特に限定されるものではないが、不揮発成分量が20重量%以上となるようにすることが好ましく、30重量%以上となるようにするのがより好ましい。20重量%未満では、乾燥に時間を要する場合がある。一方で、その上限は70重量%以下とすることが好ましく、60重量%以下がより好ましい。70重量%を超えると、エマルジョンが不安定になることがある。
また、前記U/A樹脂の最低造膜温度は10℃以下がよく、5℃以下であるのが好ましい。10℃を超えると、皮膜の柔軟性が不足することがある。一方、最低造膜温度は−20℃以上がよく、−10℃以上が好ましい。−20℃未満では得られる皮膜の熱戻り性(セット性を含む)が悪化することがある。
前記U/A樹脂の最低造膜温度を、前記の好適範囲とするためには、種々の方法が用いられるが、例えば最低造膜温度を低くする方法としては、以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。なお、最低造膜温度を高くするためには、一般に、この方法と逆の手法を用いればよい。
(a)ポリオール単位として、分子量が例えば1000を超えるような、比較的高分子量のポリオール類を使用する、あるいはその使用量を多くする。
(b)ポリウレタン中のポリオール単位と多価イソシアネート化合物との当量比を1:1に近づける。
(c)(メタ)アクリル系単量体成分として、ガラス転移温度(Tg)の低いものを用いる。
なお、(メタ)アクリル系単量体を重合した直後のU/A樹脂の水性エマルジョン中には、通常未反応の(メタ)アクリル系単量体成分が残留しており、これが臭気の原因となることがある。そのため、残留単量体濃度は、100重量ppm以下、好ましくは70重量ppm以下とするのがよい。残留単量体濃度は0に近いほど好ましい。
残留単量体濃度を低減させる方法としては、例えば、水性エマルジョンを60〜100℃程度に加熱することで残留単量体を揮発させる方法や、エマルジョンの気相部に空気等の気体を流通させる方法、エマルジョンに水蒸気を吹き込む方法、(メタ)アクリル単量体成分を減圧留去する方法等が挙げられ、これらを必要に応じて組み合わせて行ってもよい。
このようにして、(メタ)アクリル単量体成分の残留量を100重量ppm以下としたU/A樹脂の水性分散液は、整髪料等の化粧料用に用いた場合、臭気がほとんど無いので、原材料として好ましく使用できる。
このU/A樹脂は、前述の通り、シクロペンタシロキサン等のシリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から、23℃でキャスト成膜が可能である。
前記U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100000以上がよく、150000以上が好ましい。また、重量平均分子量の上限は、2000000がよく、1000000が好ましく、800000がより好ましい。この範囲を満たすことにより、機械安定性や、顔料を添加する場合の顔料安定性に優れたものとなる。
一方、重量平均分子量が100000より小さいと、顔料分散性に劣る場合がある。また、重量平均分子量が2000000より大きいと、皮膜が硬く脆くなりやすく、風合いが悪くなるおそれがある。このような重量平均分子量(Mw)の範囲とすることで、特に良好な耐油性(キャスト成膜性)を得ることができる。
またU/A樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5以上、2.5以下であり、1.7以上、2以下であることが好ましい。
分子量分布をこの範囲とすることで、得られる製品の、低分子量成分によるベタつきや高分子量成分によるゴワつきを低減することができ、特に皮膚用化粧品に用いた時の使用感を改良することができる。
さらに、このU/A複合樹脂に含まれるウレタン成分の重量平均分子量(Mw)のうちの最頻度の分子量、すなわち、図1に示すような、U/A複合樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によってMwを測定した際に得られるチャート(クロマトグラム)のうち、ウレタン成分の重合体に相当するピークの位置(図1の(A)で示した部分)の分子量(以下、ウレタン成分の重合体のこの分子量をウレタン成分の重合体の最頻分子量(Mwp)といい、「ウレタン成分のMwp」と称する場合がある。)は、30000以上が好ましく、40000以上がより好ましい。ウレタン成分のMwpが30000より小さいと、U/A樹脂の長期安定性が不足して、例えば、夏期、30℃を超えるような環境下では、劣化が速くなる懸念がある。一方、ウレタン成分のMwpの上限は、200000が好ましく、150000がより好ましい。ウレタン成分のMwpが200000より大きいと、硬くなって風合いを損ねたり、合成工程で系の粘度が上がりすぎて生産性が悪化したりする場合がある。
また、このU/A複合樹脂に含まれるアクリル成分の重合体の最頻分子量(Mwp)(図1の(B)で示した部分をいい、以下、「アクリル成分のMwp」と称する場合がある。)は、200000以上が好ましく、300000以上がより好ましい。アクリル成分のMwpが200000より小さいと、耐1,3BG性や顔料分散性が悪くなる場合がある。一方、アクリル成分のMwpの上限は、2000000が好ましく、1000000がより好ましい。アクリル成分のMwpが2000000より大きいと、皮膜が硬く脆くなりやすく、風合いが悪くなる場合がある。
また、このU/A複合樹脂に含まれるアクリル成分の最頻分子量(Mwp)とウレタン成分の最頻分子量(Mwp)との((アクリル成分のMwp)−(ウレタン成分のMwp))差は、適度に離れているのがよく、200000以上が好ましく、250000以上がより好ましい。この差が200000より小さいと、、機械安定性が不十分となるおそれがある。一方、この差の上限は、2000000が好ましく、1000000がより好ましい。この差が2000000より大きいと、高分子量側が影響して皮膜が硬く脆くなりやすく、風合いが悪くなるおそれがある。
なお、「耐1,3BG性」とは、一般的には、水性分散液に1,3BG(1,3−ブタンジオール)を添加し混合してもその試料液に変化が起きないということをいい、配合安定性試験の一種である。特に、化粧料用途においては、後記するC.R.試験において、1,3BGの有無で結果に変化が起きないこと、すなわち、測定対象樹脂が1,3BGの影響を受けないという状態を指す。
なお、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体を水性媒体中で乳化重合する場合、重合途中で水性媒体中の重合開始剤、乳化剤等や生成した他の重合体等への連鎖移動反応が生じやすく、得られる重合体の分子量が低くなることがある。
一方、本願においては、(A)成分(イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタン)と、(B)成分((メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体)とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョンを用いて、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(U/A樹脂水性分散液)を製造するので、エマルジョン液滴において、(A)成分の内側に(B)成分が配された状態で、ラジカル重合が起きることとなる。このとき、(B)成分は、(A)成分によって保護されることとなり、(B)成分の重合中の連鎖移動反応が生じにくいだけでなく、重合の停止反応が起きにくい状態で重合が進むため、(B)成分の分子量が大きくなる傾向となる。そして、ウレタン樹脂がシェル部を構成し、(メタ)アクリル樹脂がコア部を構成する、コア−シェル構造の複合樹脂となる。このとき、(B)成分の分子量は、(A)成分が存在しない状態での乳化重合に比べて大きくなりやすく、得られる複合樹脂の分子量分布は、図1に示すように、2つのピークを示すこととなる。なお、図1の横軸(RTmin)は、保持時間(分)を意味し、RTが短いほど分子量が大きいことを示す。
この分子量分布の例は、図1に示すとおりで、それぞれのピーク位置、即ちアクリル成分のMwpとウレタン成分のMwpとの関係は、上記に記した通りとなる。
ところで、前記のU/A複合樹脂に含まれるウレタン成分の最頻分子量(Mwp)とアクリル成分の最頻分子量(Mwp)が明確に判別できない場合、すなわち、図1に示すような、U/A複合樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)のチャート(クロマトグラム)において、明瞭に2つのピークが表れない場合は、ウレタン成分とアクリル成分とを対応する条件で個別に重合して水性分散液を得、それぞれについてゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によってMwを測定し、そのピーク位置をウレタン成分の最頻分子量(Mwp)又はアクリル成分の最頻分子量(Mwp)としてもよい。但し、この場合、特にアクリル成分((B)成分)のMwpは、前記のような分子量増大効果がないため、通常、実際よりは低めの値となる。
前記U/A樹脂は、THF(テトラヒドロフラン)に溶解しない成分(ゲル分)を含有することが好ましい。好ましいゲル分は10重量%以上が好ましく、30重量%以上が好ましい。り、ゲル分率が小さすぎると、配合安定性や耐油性に劣るおそれがある。
ゲル分の上限は特に限定されず、100重量%でもよいが、99重量%以下が好ましい。このようなゲル分とすることで、前述の耐油性(キャスト成膜性)がより向上する。この特性はU/A樹脂の重量平均分子量(Mw)を前記のような範囲とすることで、特に効果的に得ることができる。
<3.U/A樹脂の主な用途>
本発明のU/A樹脂は、フタル酸単位、特にイソフタル酸単位を含むため、前記のように優れた耐油性を示すとともに、自己乳化性のポリウレタンから構成されているためか、機械的安定性(エマルジョンの安定性)や顔料分散性も優れたものとなり、以下のような用途に好適に使用できる。
(1)化粧料
本発明のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(U/A樹脂)及びその水性分散液(U/A樹脂水性分散液)は、毛髪化粧品用や皮膚用化粧品用等、化粧料用の樹脂として好適に使用することができる。以下、その用法について簡単に説明する。
[毛髪化粧品]
毛髪化粧品用樹脂として使用する場合は、シャンプー、リンス、トリートメント、セット剤、パーマネントウエーブ液等の毛髪化粧料中に、本願のU/A樹脂の水性分散液を添加使用する。この時、従来使用されているポリマー等を併用してもよい。
このような毛髪化粧料の形態は、液体、クリーム、エマルジョン、スプレー、ゲル、ムース(泡沫状態で噴出可能)等、その用途・用法に応じて調整すればよく、特に限定されない。
このU/A樹脂の添加量は、毛髪化粧料の形態や目的、或いは併用するポリマーの種類や量によって異なるが、毛髪化粧料に対し、U/A樹脂を0.05〜10重量%の割合で添加することが好ましく、0.1〜8重量%の割合で添加することがより好ましい。
また、前記U/A樹脂は、単独で又は慣用のアニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性のセット用ポリマーと併用して使用することができる。併用されるセット用ポリマーとしては、混和安定性の面からアニオン性、ノニオン性のセット用ポリマーがより好ましい。
セット用ポリマーとして用いられるアニオン性ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体(商品名:ダイヤホールド(三菱化学(株)製)、商品名:プラスサイズL−53シリーズ等(互応化学工業(株)製))、マレイン酸モノアルキルエステルとメチルビニルエーテル共重合体(商品名:GANTREZ AN−119(アイエスピージャパン(株)製))等が挙げられる。
セット用ポリマーとして用いられるノニオン性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン重合体(商品名:PVPシリーズ(アイエスピージャパン(株)製))、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(商品名:LUVISKOL VAシリーズ(BASFジャパン(株)製))等が挙げられる。両性ポリマーでは、例えば、メタクリル酸エステル共重合体(商品名:ユカフォーマ−シリーズ(三菱化学(株)製))等が挙げられる。
セット用ポリマーとして用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えばヒドロキシセルロースとグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドとのエーテル(商品名:レオガードG(ライオン(株)製)、商品名:ポリマーJR−30M−125及び同−400(ユニオンカーバイド製))、ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体の4級化物(商品名:GAFQUAT 734及び755(アイエスピージャパン(株)製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体(商品名:MERQUAT 100(Lubrizol社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドアクリルアマイド共重合体(商品名:MERQUAT550(Lubrizol社製))等が挙げられる。
前記U/A樹脂とセット用ポリマーとが使用されるセット用化粧料には、エアゾールヘアスプレー、ポンプ式ヘアスプレー、フォーム状ヘアスプレー、ヘアミスト、セットローション、ヘアクリーム、ヘアーオイル等の、水及び/又はエタノール、イソプロパノール等のアルコール類を含有する各種の整髪料が含まれる。
前記整髪料として、泡状態で噴出可能な毛髪化粧料(ムース)とする場合、例えば、前記U/A樹脂を0.01〜10重量%、セット用ポリマー0〜15重量%、ノニオン性界面活性剤0.1〜5重量%、液化ガス3〜25重量%及び水を主体とする水性溶媒60重量%以上のような組成が用いられる。
前記において用いられるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
またゲル(ジェル)状の整髪料とする場合は、一般にU/A樹脂0.01〜10重量%、セット用ポリマー0〜15重量%、ジェルベース0.1〜3重量%、水72重量%〜残余分等の組成が用いられる。
ヘアスプレーとする場合は、U/A樹脂0.01〜10重量%、セット用ポリマー0〜15重量%、有機溶媒30〜80重量%、噴射剤10〜70重量%等の組成等が用いられる。
前記のスプレーやムースに使用できる噴射剤としては、エタノール、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハロゲン化炭化水素等の液化ガスや空気、二酸化炭素、窒素ガス等の圧縮ガス等が挙げられる。
本発明のU/A樹脂は、シャンプー、コンディショナー(リンス)、パーマネント液等のコンディショニング化粧料に使用することができる。このような毛髪化粧品には、例えば、溶媒として水及び/又はエタノール、イソプロパノール等のアルコール類や、これに加えて沸点50℃〜300℃の炭化水素類が配合されることが多い。こうしたコンディショニング化粧料は、前述のセット用化粧料と同様に、U/A樹脂単独で又は慣用のアニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性のコンディショニング用ポリマーと併せて用いられる。併用するコンディショニング用ポリマーとしては混和安定性の面からアニオン性又はノニオン性のセット用ポリマーがより好ましい。
また、シャンプー用に使用する場合、アニオン性、両性又はノニオン性の界面活性剤に、前記U/A樹脂を添加して使用できる。ここで使用される界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤としては、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等が挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド等が例示できる。
ノニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、等が挙げられる。
また、リンス用に使用する場合、カチオン性界面活性剤に本発明のU/A樹脂を添加して使用することができる。このようなカチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
さらに、パーマネント液として用いる場合は、臭素酸塩類、過ホウ素酸類等の酸化剤、及びチオグリコール酸及びその塩、システイン等の還元剤に、U/A樹脂を添加して使用する。
前記以外に、例えば、ヘアートリートメントとして使用する場合には、カチオン性界面活性剤、及び/又はカチオン性ポリペプタイド、カチオン性セルロース、カチオン性ポリシロキサン等のカチオン化ポリマーと併用又は代替して、本発明のU/A樹脂を使用することができる。このようなカチオン性界面活性剤としては、例えばリンス用に例示したものが、特に問題なく使用できる。
前記のセット用化粧料及びコンディショニング化粧料のいずれの場合も、前述した各種成分の他に、必要に応じて、本発明の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合してもよい。このような任意成分としては、炭化水素類、直鎖アルコール、分岐アルコール類、高級脂肪酸類及びその誘導体、植物系高分子、微生物系高分子、天然水溶性高分子、セルロース系高分子、半合成水溶性高分子、ビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、合成水溶性高分子、無機の水溶性高分子、シリコーン類、N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、N−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、N−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、前記した界面活性剤以外の界面活性剤、乳化剤、保湿剤、抗菌剤、血管拡張剤、清涼感付与剤、刺激感付与剤、ビタミン類、殺菌防腐剤、キレート化剤、pH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤等が挙げられる。さらに、これらの化粧料が、エアゾール形態の製品の場合には、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤が併用され、その他用途・目的に応じて、金属イオン捕捉剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等を用いてもよい。
炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。前記直鎖アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
分岐アルコール類としては、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
前記植物系高分子としては、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等が挙げられる。
前記微生物系高分子としては、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等が挙げられる。前記天然水溶性高分子としては、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。前記セルロース系高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース粉末等が挙げられる。
前記半合成水溶性高分子としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。前記ビニル系高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系高分子としては、ポリエチレングリコール20,000、4,0,000、60,000等が挙げられる。前記合成水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。前記無機の水溶性高分子としては、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
シリコーン類としては、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン等が挙げられ、また、前記N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩としては、N−ラウリル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸モノトリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム等が挙げられる。
N−脂肪酸−N−メチルタウリン塩としては、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。前記N−脂肪酸サルコシン縮合物の塩としては、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。
他の界面活性剤としては、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
乳化剤としては、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
保湿剤としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン等が挙げられる。
抗菌剤としては、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等が挙げられる。血管拡張剤としては塩化カルプロニウム等が挙げられる。清涼感付与剤としては、メントール類等が挙げられる。刺激感付与剤としては、ニコチン酸ベンジル等が挙げられる。また、ビタミン類としては、ビタミンA、B、C、D、E等が挙げられる。
殺菌・防腐剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。キレート化剤としては、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)等が挙げられる。pH調整剤としては、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。
[皮膚用化粧品]
本発明のU/A樹脂を皮膚用化粧品用の樹脂として使用する場合は、通常、スキンクリーム、化粧水、乳液等の皮膚用化粧料品中に添加して使用する。
[メークアップ用化粧品]
メークアップ用化粧品としては、例えば、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、口紅、リップグロス、ファンデーション、及びメークアップルージュ等が例示でき、これらのメークアップ用化粧品は、本発明のU/A樹脂等の水性分散液に、固形油剤、油脂、ワックス、シリコーンオイル等の油剤、顔料や樹脂粉末等の粉体成分、あるいは水、液状アルコール等の溶媒などの化粧料に通常用いられる材料をその用途・目的に応じて添加・混合することによって得られる。
その他、本発明のU/A樹脂は、得られる皮膜が柔軟であるため、皮膚用化粧料としても好ましく使用でき、例えばリキッドファンデーション、スキンクリーム、UVケアクリーム、及びスキンローション等にも用いることができる。
更に、耐油性が優れているという特徴から、油性成分が多く含まれる化粧料においても良好なフィルム形成能力を示すので、マスカラ、アイライナー等の用途にも適している。
なお本発明のU/A樹脂は、前記以外の化粧料にも使用することができ、その場合は、それぞれの目的・用途に応じて、化粧料用のフッ素化合物、各種の樹脂、界面活性剤、粘性付与剤、防腐剤、香料、有機系/無機系の紫外線吸収剤、生理活性成分、塩類、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤などの成分を、本発明の目的・効果を損なわない限り、適宜配合することができる。
(2)その他の用途
本発明のU/A樹脂は、その耐油性、柔軟性、密着性、基材追従性、耐摩耗性等の特長を活かして、工業用塗料(特に自動車用塗料)、家庭用の塗料等の塗料やコーティング剤、保護皮膜形成剤、等に用いることができる。
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
<<1.原材料>>
<ポリオール単位>
・N4073…日本ポリウレタン工業(株)製:商品名 ニッポラン4073、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とのポリエステルポリオール(1,6HD−AA)、数平均分子量(Mn)=2000。
・P−2012…クラレ(株)製:商品名 クラレポリオールP−2012、メチルペンタンジオールとアジピン酸/イソフタル酸の混合ポリエステルポリオール(MPD−AA−IP)(アジピン酸/イソフタル酸のモル比=1/1)、数平均分子量(Mn)=2000。
・P−1030…クラレ(株)製:商品名 クラレポリオールP−1030、メチルペンタンジオールとイソフタル酸のポリエステルポリオール(MPD−IP)、数平均分子量(Mn)=1000。
・P−2030…クラレ(株)製:商品名 クラレポリオールP−2030、メチルペンタンジオールとイソフタル酸のポリエステルポリオール、数平均分子量(Mn)=2000。
<多価イソシアネート化合物>
・IPDI…デグサ・ジャパン(株)製:商品名 VESTANAT IPDI(イソホロンジイソシアネート)
<カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物>
・DMPA…パーストープ(株)製:ジメチロールプロピオン酸(カルボン酸含有ポリオ
ール)。
<重合禁止剤>
・MEHQ…和光純薬工業(株)製:2−メトキシヒドロキノン
<重合性単量体>
・MMA…三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート
・BA…三菱化学(株)製、n−ブチルアクリレート
<ラジカル重合開始剤>
・tBPO…化薬アクゾ(株)製:ジ−tert−ブチルパーオキサイド
<還元剤>
・AsA…和光純薬工業(株)製:L−アスコルビン酸(試薬特級)
<塩基性化合物>
・KOH:水酸化カリウム…和光純薬工業(株)製(試薬)
・TEA:トリエタノールアミン…シェルケミカルズジャパン(株)製:TEA99
<<2.評価方法>>
(1)耐油性
シリコーンオイル(信越化学(株)製KF−995)とポリウレタン又はU/A樹脂とを50/50の重量比率で混合した溶液から、23℃でポリプロピレン樹脂製のプレート上へキャストする。6時間静置後に、その一部をピンセットで引き上げて、膜の形成状態を観察する。
◎:ピンセットで安定して薄膜を引き上げることができる
○:途中で破断することなくピンセットで薄膜を引き上げることができる
△:樹脂シート上に膜が形成されているが、ピンセットで引き上げようとすると、途中で破断する。
×:膜が形成されない
(2)機械安定性
RED DEVIL社製ペイントシェーカー(5400−H3型)を用いて、顔料(ピグメント・ブルー15(商品名)、東京化成工業(株)製)15重量部、ポリマー(本発明のポリウレタン又はU/A樹脂水性分散液)20重量部(固形分換算)、イソプロパノール(試薬1級、和光純薬工業(株)製)及びイオン交換水を、全配合液量が100重量部になるように添加し、この混合液を1時間撹拌・混合した後、100メッシュのナイロンネットで濾過して、ネット上に残る残渣分を目視観察した。
◎:残渣がないか、ほとんどない
○:ナイロンメッシュが薄く着色したように残渣が残るが、濾過性に問題はない
△:ナイロンメッシュ上にべったりと残渣が残り、濾過性が悪い
×:全体がゲル化し、濾過できない
(3)顔料分散性
前記機械安定性評価用に作成したU/A樹脂を含む配合液を、バー(No.4)を用いてガラス板上に塗布し、室温で30分乾燥した後の塗布面を観察し、以下の基準で評価を行った。
◎:光沢があり均一な色相になっている
○:◎には劣るが光沢はあり、均一な色相になっている
△:塗布面は均一だが、色むらがある
×:塗布面が不均一になっている、及び/又は色むらが著しい
<<3.ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の評価>>
(試験方法)
以下、それぞれの試験方法について説明する。
<ガラス転移温度(Tg)>
[(A)成分]
JIS K 7244−4に従って測定した。
[(B)成分]
下記式(1)(FOX式)に従い、使用する重合性単量体の各々の単独重合体のTg及び重量分率から重合体のTgを算出した。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+… (1)
但し、Tgは(共)重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各構成単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各構成単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
なお、前述の通り、Tgを「℃」で表記したい場合は、上記式で得られたTgの数値から「273」を減じればよい。
<重量平均分子量及び分子量分布>
下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)を用いて重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
また、U/A樹脂においては、上記GPCチャートから、(A)成分の最頻分子量(Mwp)及び(B)成分の最頻分子量(Mwp)を測定した。
・測定装置:LC−20AD ((株)島津製作所製)
・検出器:RI(屈折率)
・カラム:PLgel Mixed B(アジレント・テクノロジー(株)製)
・展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・展開溶媒流量:1ml/min
・測定試料注入量:100μL
・測定試料:得られたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂分散液から下記の乾燥条件で乾燥試料を作成し、THFを用いて0.2重量%溶液を作成する。この溶液を下記のフィルターでろ過して、得られたろ液を測定試料とした。
・乾燥条件:40℃×12時間乾燥後、室温×6時間真空乾燥
・測定試料作製用フィルター:GLクロマトディスク(ポアサイズ0.45μm)(ジーエルサイエンス(株)製)
・検量線:PMMA(ポリメチルメタクリレート)換算
<ゲル分>
前記で得られた乾燥試料40mgをTHF20mLに溶解し、ゲル分用フィルター(ADVANTEC社製、PF−100:ポアサイズ100μm)にてろ過する。
ろ過後のゲル分用フィルターを105℃×3時間乾燥し、同様にして乾燥した未使用フィルターの重量とから、残留固形分を求め、下記式によりゲル分を算出する。
ゲル分(重量%)=(乾燥後のフィルター重量(mg)−使用前のフィルター重量(mg))/40(mg)×100
[Stress−Strain(S−S)](最大強度、最大伸度)
(1)試験片の作成
ポリプロピレン製の板上に、乾燥皮膜の厚さが200μmになるように試料(水分散液)を塗布し、室温で一夜放置して造膜する。得られた皮膜を剥離し、真空乾燥機で6時間乾燥する。
(2)試験方法
前記で得られた乾燥皮膜を0.5cm幅の短冊状に切り出し、オートコムC型万能試験機((株)キーエスイー製)を用い、23℃、50%RHの恒温恒湿室中で、チャック間隔2cm、引張速度200mm/分の条件で、最大強度、最大伸度を測定した。
<液物性>
[配合安定性]
得られた水分散液を固形分5重量%、エタノール10重量%、1,3−ブタンジオール5重量%となるように(残部は水)混合し、室温で静置保存し、一週間後の液の状態を目視で評価した。
◎:変化なし。
○:配合後しばらくの間に多少粘度は変化するが、その後安定する。
△:濃度勾配、沈降、凝集物発生、粘度変化等が多少見られる。
×:濃度勾配、沈降、凝集物発生が明らかに確認できる。
<応用物性>
[C.R.:カールリテンション]
・樹脂単独のC.R.
毛髪サンプルに試料を塗布し、カールさせた状態で乾燥させ、下記の所定温度・湿度条件下で3時間経過後の、形態保持状態を観察する。
試料液として、得られた水溶液を固形分含量30重量%となるように水で希釈し、これを長さ23cm×重量2gの毛束に塗布量0.7gとなるように塗布した。この毛束を直径1cmのコールドロッドに巻き付け、50℃×2時間乾燥し、得られたカールした毛束をロッドから外して、30℃×90%RHの環境中に吊り下げて、3時間後のカール毛束の長さを測定し、下式よりカール保持率を算出した。
カール保持率(%)=(23−3時間後の長さ)×100/(23−初期長さ)
但し、「長さ」とは、カールした状態での長さをいう。
・1,3BG(1,3−ブタンジオール)を配合したときのC.R.
試料液として、固形分含量5重量%、1,3−ブタンジオール5重量%、残分が水となるように希釈して用いたこと以外は、前記「樹脂単独のC.R.」と同様にして評価した。
<<4.実施例、比較例>>
(実施例1、2、比較例2:ウレタンの製造)
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示すウレタン原料と、反応溶媒を所定量ずつ加え、内温を50℃にして混合した後、90℃に昇温し、この温度で5時間反応を行い、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
続いて、液温を50℃に保って表1に記載の中和剤(塩基性化合物)を所定量添加し、前記カルボキシル基含有ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基の全部又は一部を中和した。
次に、転相水(純水:DW)を表1に示す量で、内温を50℃に保ちながら、15分間かけて滴下して、エマルジョンの転相を行い、乳白色で透明性のある分散液を得た。
この分散液を80℃に昇温し、ウレタンプレポリマーの製造時に使用した反応溶媒(メチルエチルケトン(MEK)、エタノール(EtOH))を回収し、ポリウレタン分散液(ディスパージョン)を得た。
上記実施例1における、イソフタル酸単位の含有量は、前記記載に従って計算すると以下のようになる。
ここで、「P−1030」は、酸成分はイソフタル酸単独、ジオール成分はメチルペンタンジオール単独で、分子量(PEsPO)が1000である。
これより、PA単位の式量は148、DOL単位の式量は100、そして末端ジオールの分子量は101となるので、ポリウレタン中のPA単位含有量は、以下のように算出できる。
1)PA単位数
PA単位数(NumberPA)=(1000-101)/(100+148)=4 (小数点以下四捨五入)
2)PEsPO中のイソフタル酸単位含有量(wtPA)は、上記1)より、
wtPA =(NumberPA)×PA単位式量/(PA単位式量+DOL単位式量)
=4×148/1000=0.59
3)仕込み中のPA単位含有量は、上記結果と表1の「ポリオール仕込量」(0.23)より、以下の通り計算できる。
仕込み中のPA単位含有量=0.23×0.59=0.14
4)ポリウレタン中のイソフタル酸単位含有%は、上記結果と表1中のウレタン原料となる各成分の仕込量より、以下のように計算できる。
PA単位含有量(wt%)=(0.23×059)/(60.8+0.2+7.8+31.2)×100=0.1重量%
この値が、表1における「ポリウレタン中のイソフタル酸(IP)含有量(wt%)となる。
ジオール成分としてP−1030を使用した実施例2〜6、8、9及び比較例1も同様にして、ポリウレタン中のPA単位含有量が計算できる。
(実施例3〜8、比較例3:U/A樹脂の製造)
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に記載のウレタン原料、アクリル原料、及び重合禁止剤を所定量ずつ加え、内温を50℃にして混合した後、90℃に昇温し、この温度で5時間反応させて、(メタ)アクリル系重合性単量体中に分散した、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
続いて液温を50℃に保って表1に記載の中和剤(塩基性化合物)を所定量加えて、前記カルボキシル基含有ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基の全部又は一部を中和した。
次に、転相水(純水:DW)を表1に示す量で、内温を50℃に保ちながら、15分間かけて滴下して、エマルジョンを転相し、乳白色で透明性のある分散液を得た。
この分散液を50℃に保って、表1に記載の、アクリル重合触媒(重合開始剤及び還元剤)を所定量添加して、(メタ)アクリル系重合性単量体の重合を開始した。重合による発熱が終了した後、更に70℃に昇温して3時間維持して、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂と未反応の重合性単量体とを含むウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を得た。
上記実施例7では、ウレタン原料のポリオールとして、アジピン酸とイソフタル酸の混合ポリエステルポリオールであるP−2012を使用している(ジオール成分は、メチルペンタンジオール単独)。この場合の「ポリウレタン中のPA単位含有量」は次のように計算できる。
1)用いたジカルボン酸類の式量に、それぞれの使用比率(モル分率)を乗じた上で合計して、「ジカルボン酸の平均式量」を用いて、ジカルボン酸が単独の場合の「NumberPA」に相当する「ジカルボン酸単位数」を計算する。
P−2012及びその原料の分子量及びモル分率等は以下の通りである。
P−2012:PEsPO分子量=2000、末端DOL分子量=101
メチルペンタンジオール:DOL単位式量=100
アジピン酸:アジピン酸単位式量=128、モル分率=0.5
イソフタル酸:PA単位式量=148、モル分率=0.5
以上より、
ジカルボン酸平均式量=(128×0.5)+(148×0.5)=138
ジカルボン酸単位数=(2000-101)/(100+138)=8 (小数点以下四捨五入)
2)上記結果より、PEsPO中のジカルボン酸単位含有量は、次のようになる。
PEsPO中のジカルボン酸単位含有量=7.98×138/2000=0.55
3)仕込み中のジカルボン酸単位の含有量は、PEsPOの仕込量=54.52(表1)より、
仕込み中のジカルボン酸単位含有量(%)=54.52×0.55=29.99
4)ポリウレタン中のジカルボン酸単位含有量は、表1の原料仕込量より、次のように計算できる。
ジカルボン酸単位含有量(wt%)=29.99/(54.52+9.14+36.34)×100=29.99wt%
5)上記結果より、ポリウレタン中のPA単位含有量を、PA単位の式量とPAのモル分率より算出する。
PA単位含有量(wt%)=29.99×(148/138)×0.5=16.08wt%
この値が、表1中の「ポリウレタン中のIP含有量(wt%)」として示される。
(実施例9:第1、第2中和工程を行った例)
表1に記載の原料等を用いたこと以外は、上記実施例3〜8と同様にしてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを合成した後、引き続き液温を50℃に維持した状態で、表1に記載の中和剤の内、TEA(トリエタノールアミン)を用いて、上記カルボキシル基含有ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基の一部を中和した(第一中和工程)。
その後、上記実施例1と同様にして転相水(純水:DW)を用いて転相を行い、乳白色透明の分散液を得た。
この分散液を、表1に示す種類・量のアクリル原料(単量体)、及び重合触媒(開始剤及び還元剤)等を添加し、上記実施例3〜8と同様にして重合及び熟成(重合発熱終了後の昇温・保持)を行い、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂と未反応の重合性単量体を含むウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を得た。
得られた水性分散液を30℃まで冷却した後、表1に示す量の水酸化カリウムを用いて第2中和工程を行い、上記ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂中のカルボキシル基の一部を中和してU/A樹脂水性分散液を作成した。
(比較例1)
表1に示すウレタン原料を所定量用いたことと、反応溶媒としてMEKを表1に示す量を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
続いて、表1の反応溶媒欄に記載のエタノール(EtOH)を所定量、50℃で15分間かけて滴下して、透明溶液を得た。
得られた水性エマルジョン(比較例1ではMEK/エタノール溶液)について前記の測定・評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
Figure 2016028110
実施例1〜9は、ポリウレタン又はU/A樹脂中に所定量のジカルボン酸単位(特にフタル酸系単位)を含んでいるため、耐油性(シリコーンオイルからの膜形成性)が良好である。
一方、比較例では、ジカルボン酸単位を含まないか、含んでいても所定量に満たないため、耐油性が劣っている。

Claims (14)

  1. ポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンであって、
    前記ポリエステルポリオールが、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸由来の構成単位を有し、かつ、
    シリコーンオイルと前記ポリウレタンとの混合溶液(重量比50/50)から、23℃でキャスト成膜が可能であるポリウレタン。
  2. 前記ジカルボン酸由来の構成単位がイソフタル酸由来の構成単位である請求項1に記載のポリウレタン。
  3. 前記のポリオール成分がジメチロールアルカン酸を含有する請求項1又は2に記載のポリウレタン。
  4. 前記ジメチロールアルカン酸のアルカン部分の炭素原子数が1〜6の範囲にある請求項3に記載のポリウレタン。
  5. 前記ジメチロールアルカン酸がジメチロールプロピオン酸であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタン。
  6. 前記ジカルボン酸由来の構成単位の含有割合が0.05重量%以上、50重量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリウレタンと(メタ)アクリル系樹脂を複合してなるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂。
  8. シリコーンオイルと50/50の重量比で混合した溶液が、23℃でキャスト成膜が可能である請求項7に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂。
  9. 前記複合樹脂組成物中のポリウレタン成分と(メタ)アクリル成分の含有比率が80/20以上、30/70以下(重量比、但し両者の合計を100とする)の範囲内である請求項7又は8に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂。
  10. ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の構成成分であるポリウレタン中のジカルボン酸由来の構成単位の含有割合が0.05重量%以上50重量%以下である請求項7〜9のいずれか1項に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂。
  11. 前記ウレタン−(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が10万以上200万以下で、かつゲル分が20%以上である請求項7〜10のいずれか1項に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂が水性媒体中に乳化分散されてなる複合樹脂水性分散液。
  13. 請求項7〜11のいずれか1項に記載のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂を含有することを特徴とする化粧料。
  14. 請求項1〜6にいずれか1項に記載のポリウレタンの存在下で、(メタ)アクリル系単量体を乳化重合することを特徴とするウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の製造方法。
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