JP2016025694A - 永久磁石式同期モータの制御装置 - Google Patents

永久磁石式同期モータの制御装置 Download PDF

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正憲 須田
高木 桂二
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桂二 高木
裕次 松元
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裕次 松元
善徳 辻村
Yoshinori Tsujimura
善徳 辻村
研二 遠藤
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研二 遠藤
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Abstract

【課題】モータのトルク及び電流を良好な精度でフィードバック制御することが可能な永久磁石式同期モータの制御装置を提供する。【解決手段】本発明の永久磁石式同期モータの制御装置は、トルク指令値Taに基づき生成した電流指令値と電圧指令値を用いてインバータ16を制御するベクトル制御部と、モータ20の回転位置を検出する回転位置検出部21と、モータ20に供給される電流を検出する電流検出部17と、モータ20に供給される電力を検出する電力検出部22と、回転位置、電流検出値、電力値に基づいて推定される実トルク値Tbをトルク指令値Taにフィードバック制御するとともに、実トルク値Tbが所定の値のときにモータ20への印加電流が最小となるように電流指令値の電流進角を制御するフィードバック制御部30を備えて構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、界磁として永久磁石を有する永久磁石式同期モータを駆動するインバータを制御する永久磁石式同期モータの制御装置に関し、特に、永久磁石式同期モータのトルク及び印加電流のフィードバック制御を行う永久磁石式同期モータの制御装置に関するものである。
一般に、インバータによって駆動される永久磁石式同期モータの制御装置においては、回転座標系であるd軸及びq軸の電流値及びインダクタンス値や、永久磁石による鎖交磁束(以下、「磁石磁束」という)の値に応じて制御される出力トルクによってモータが駆動される。しかし、磁石磁束は、永久磁石の温度上昇に伴い減少することが知られており、それがモータの出力トルクの低下要因となる。また、モータに供給される電源電圧が低下した場合も出力トルクの低下を招く。さらに。d軸及びq軸のインダクタンスは電流が増加したときに磁気飽和の影響によって変動するので、それにより出力トルクの低下を招く。このような様々な要因によるモータの出力トルクの低下を防止するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、回転座標系の指令電圧等によりモータの出力電力を求め、電流進角を制御することによって出力電力を目標値に一致させる技術が開示されている。また例えば、特許文献2には、弱め界磁制御を行う際、電流進角を制御周期ごとに変化させたときの各周期の出力トルクを比較することにより、出力トルクを最大化する技術が開示されている。
特開2010−178488号公報 特開2003−348899号公報
上記従来の技術においては、回転座標系の電流及び電力を用いてモータの出力電力や出力トルクを算出している。しかし、実際にインバータによりモータを駆動する際には、インバータのスイッチング損失等が発生するが、このような損失要因は上記従来の技術では考慮されていない。そのため、モータを駆動している際に印加電圧や実トルクを正確に取得することができず、モータの出力トルクを高い精度で制御することが困難になるという問題がある。
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、インバータの出力側に設けた電流検出部及び電力検出部による各検出値に基づいて、モータの出力トルクと電流指令値の電流進角をそれぞれ良好な精度でフィードバック制御することが可能な永久磁石式同期モータの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の永久磁石式同期モータの制御装置は、界磁として永久磁石を有する永久磁石式同期モータの制御装置であって、入力されたトルク指令値に基づいて電流指令値を生成するとともに、当該電流指令値に基づいて電圧指令値を生成し、当該電圧指令値を用いてインバータを制御するベクトル制御部と、前記永久磁石式同期モータの回転子の回転位置を検出する回転位置検出部と、前記インバータから前記永久磁石式同期モータに供給される印加電流を検出する電流検出部と、前記インバータから前記永久磁石式同期モータに供給される電力を検出する電力検出部と、前記回転位置と、前記電流検出部の電流検出値と、前記電力検出部の電力値とに基づいて推定される実トルク値を前記ベクトル制御部における前記トルク指令値にフィードバック制御するとともに、前記実トルク値が所定の値のときに前記永久磁石式同期モータへの印加電流が最小となるように前記電流指令値の電流進角を制御するフィードバック制御部とを備えて構成される。
本発明の永久磁石式同期モータの制御装置によれば、ベクトル制御部によって制御されるインバータがモータを駆動する際、電流検出値及び電力値に基づき、フィードバック制御部が実トルク値をトルク指令値にフィードバックするとともにモータへの印加電流を最小化する方向に電流進角を制御する。よって、モータに供給される電力を直接検出することにより高い精度でモータの出力トルクを制御するとともに、一定の出力トルクを保つ際にはモータの印加電流が最小となるように制御することができる。
本発明において、フィードバック制御部は、所定の判別周期で電流検出値の増減を判別し、判別結果に応じて印加電流が最小となる方向に電流進角を増減することができる。また、フィードバック制御部は、前記判別周期で電力値の増減を判別し、判別結果に応じてトルク指令値の補正値をベクトル制御部にフィードバックすることができる。この場合の判別周期は、電流検出部及び電力検出部の各検出周期よりも十分に長い周期に設定することが望ましい。
本発明のフィードバック制御として多様な手法を適用することができる。例えば、前記実トルク値は、永久磁石式同期モータの回転変動が小さい範囲内で前記電力値に基づき推定することができる。すなわち、回転変動が小さいときにトルク変動を電力変動で代替することができる。また例えば、前記電流指令値の制御量は、実トルクの変化量に応じて決定することができる。これにより、トルク変動の速度に追随するように電流指令値を制御することができる。
本発明は、永久磁石式同期モータが三相交流の電力により駆動され、前記ベクトル制御部は、回転座標系の前記電圧指令値を三相の電圧指令値に変換して前記インバータに供給する構成に対して有効に適用することができる。
本発明において、前記フィードバック制御部は、永久磁石式同期モータが力行動作から回生動作に移行する際、電流進角をβと表したときの補角γ=180−βを算出し、電流進角をγに設定するように制御してもよい。このような回生協調制御を行うことにより、力行動作から回生動作への切り替えの際に電流進角の追従遅れを確実に防止することができる。
本発明によれば、高い精度でモータの出力トルクを制御するとともに、一定の出力トルクを保つ際にモータの印加電流を最小化でき、精度の向上と消費電力の低減が可能な永久磁石式同期モータの制御装置を実現することができる。
本発明に係る一実施形態の永久磁石式同期モータの制御装置における概略の全体構成を示すブロック図である。 電流調整部の動作による電流指令値の変化の具体例を説明する図である。 本実施形態の制御装置においてモータをベクトル制御する際のベクトル図の一例を示す図である。 電力検出部における有効電力の検出原理を説明するために、モータ及び電力検出部とその周辺部分を含む範囲の構成例を示す図である。 電流進角調整部の動作による電流進角の変化の具体例を説明する図である。 本実施形態の制御装置において、回生協調制御の概念を模式的に示す図である。 本実施形態の制御装置においてモータを回生協調制御する際のベクトル図の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明の技術思想を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。
図1は、本実施形態に係る永久磁石式同期モータの制御装置における概略の全体構成を示すブロック図である。図1に示す制御装置は、トルク入力部10、電流調整部11、電流変換部12、減算部13、電流電圧変換部14、二相/三相変換部15、三相インバータ16、電流検出部17、三相/二相変換部18、永久磁石式同期モータ20(以下、単に「モータ20」という)、回転位置検出部21、電力検出部22、電力補正部23、フィードバック制御部30を備えて構成される。このうち、フィードバック制御部30には、電力判別部31、電流判別部32、実トルク推定部33、電流進角調整部34が含まれる。図1の制御装置においては、モータ20を駆動する三相インバータ16を制御するためにベクトル制御方式が採用される。以下、図1の制御装置の構成及び動作について具体的に説明する。
図1において、トルク入力部10には、外部から受け取ったトルク指令値Taと、フィードバック制御部30から出力される実トルク値Tbがそれぞれ入力される。例えば、制御装置を電気自動車に搭載する場合、トルク指令値Taは、アクセルペダルの開度に応じて決定されるパラメータである。また、実トルク値Tbは、フィードバック制御部30における後述の演算によって算出されるが、詳細は後述する。なお、トルク入力部10に入力されるトルク指令値Ta及び実トルク値Tbは一致しているとは限らず、両者が異なる場合においてトルク指令値Taの補正を行う点が特徴的であるが、詳しくは後述する。
電流調整部11は、トルク指令値Taに基づいて電流指令値Iaを制御する。すなわち、電流調整部11は、フィードバック制御部30によるフィードバック制御に応じて、所定の周期で電流指令値Iaを電流増分値Δiだけ増加又は減少させることで、実トルク値Tbがトルク指令値Taに近付く方向に電流指令値Iaの大きさを調整する。また、電流調整部11には、フィードバック制御部30により調整された電流進角βが入力される。なお、電流増分値Δiは固定値としてもよいが、フィードバック制御部30により実トルク値Tbの変動量に応じて電流増分値Δiを変化させてもよく、この点については後述する。
図2は、電流調整部11の動作による電流指令値Iaの変化の具体例を説明する図である。図2においては、初期時点でIa=I0(例えば、I0=0)に設定され、実トルク値Tbがトルク指令値Taに一致する場合の電流値Ixに向かって、電流指令値Iaが順次変化していく。すなわち、所定の周期で電流指令値Iaが電流増分値Δiだけ増加していき、最終的にIa=Ixとなるまで調整される。なお、トルク指令値Taが確定してからIa=Ixになるまでの応答遅れは、電流増分値Δiの大きさに依存するので、動作状況に応じて適切に電流増分値Δiを設定することが望ましい。
電流変換部12は、電流調整部11による調整後の電流指令値Iaを、二相の回転座標系であるd軸及びq軸の各電流指令値Id、Iqに変換する。なお、d軸はモータ20の回転界磁の磁束方向であり、q軸はd軸に直交する方向である。
減算部13は、電流変換部12から出力されたd軸及びq軸の各電流指令値Id、Iqから、後述の三相/二相変換部18を介して供給されるモータ20のd軸及びq軸の実電流をそれぞれ減算し、それぞれの減算結果をd軸及びq軸の電流偏差ΔId、ΔIqとして出力する。
電流電圧変換部14は、減算部13から出力された電流偏差ΔId、ΔIqを、d軸及びq軸の電圧指令値Vd、Vqに変換する。電流電圧変換部14では、d軸及びq軸の各インダクタンスを含む周知の電圧方程式に従った演算が行われる。
二相/三相変換部15は、電流電圧変換部14により出力された二相の電圧指令値Vd、Vqを座標変換し、u相、v相、w相により表される三相の電圧指令値Vu、Vv、Vwをそれぞれ出力する。二相/三相変換部15における座標変換に際し、後述の回転位置検出部21で検出されたモータ20の回転位置が用いられる。
三相インバータ16は、二相/三相変換部15から出力される三相の電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づき、モータ20を駆動するための三相交流の印加電圧を生成する。この三相交流の印加電圧は、互いに位相が120°ずれる関係にある。三相インバータ16は、例えば、PWMの制御信号に応じて制御される複数のスイッチング素子から構成され、その出力側がu相、v相、w相からなる三相の各配線を介してモータ20の入力側と電気的に接続されている。
電流検出部17は、三相インバータ16と前述のモータ20の間に流れる三相の電流を検知し、それぞれの電流検出値Iu、Iv、Iwを出力する。電流検出部17の構成は制約されないが、例えば、三相の各配線の近傍に発生する磁界を利用することにより各電流を検出することができる。
三相/二相変換部18は、回転位置検出部21で検出されたモータ20の回転位置を用いて、電流検出部17から出力された電流検出値Iu、Iv、Iwを座標変換し、二相のd軸及びq軸の実電流を前述の減算部13に出力する。
モータ20は、界磁として永久磁石を用いた回転子と、三相インバータ16から供給される三相交流により回転磁界を発生する固定子とを備えた永久磁石式同期モータである。モータ20は、三相交流の周波数に同期して回転する
ここで、図3は、図1の制御装置においてモータ20をベクトル制御する際のベクトル図の一例を示している。図3のベクトル図には、回転座標系のd軸及びq軸の電流Id、Iq、モータ20の端子電圧Vo及び端子電流Io(印加電流)、磁石磁束Ψm、電機子鎖交磁束Ψo、d軸及びq軸のインダクタンスLd、Lq、電流進角βのそれぞれのパラメータがベクトル表示されている。図3に示すように、モータ20の端子電圧Vo及び端子電流Ioは互いに位相角φだけずれている。また、端子電流Ioは、q軸の電流Iqに対し電流進角βだけ位相が進んだベクトルであり、電機子鎖交磁束Ψoと磁石磁束Ψmは互いに位相角φ+βだけずれる関係にある。本実施形態では、図3の電流進角βを後述の手法により制御するが、詳しくは後述する。
図1に戻って、モータ20に付随する回転位置検出部21は、モータ20の回転子の回転位置を検出する。回転位置検出部21は、例えば、磁気結合を用いて回転位置を示すアナログ信号を生成するレゾルバと、回転位置を示すアナログ信号をディジタル信号に変換するRD変換器(レゾルバデジタルコンバータ)とにより構成することができる。
電力検出部22は、電流検出部17から出力された電流検出値Iu、Iv、Iwと、三相インバータ16からモータ20に供給される三相交流の各線間を介して取得された電圧値とに基づいて、モータ20の有効電力Pを検出する。電力検出部22は、例えば、二電力計法に基づいて有効電力Pの演算処理を実行するDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)により構成される。よって、電力検出部22の入力部には、上述の電流検出値Iu、Iv、Iw及び各線間の電圧値をディジタル信号に変換するAD変換器(不図示)を設ける必要がある。
ここで、図4は、電力検出部22における有効電力Pの検出原理を説明するために、モータ20及び電力検出部22とその周辺部分を含む範囲の構成例を示している。図4において、電力検出部22は、2個の乗算器40、41と、加算器42と、フィルタ43を備えている。また、u相、v相、w相の3本の配線がモータ20(図4では、3つのインピーダンスZを用いて表記)に接続されている。一方の乗算器40は、電流検出部17から受け取ったu相の電流検出値Iuと、u相及びv相の各配線を介して得られる線間の電圧Vuvとを乗算する。他方の乗算器41は、電流検出部17から受け取ったw相の電流検出値Iwと、w相及びv相の各配線を介して得られる線間の電圧Vwvとを乗算する。加算器42は、2個の乗算器40、41のそれぞれの乗算結果を加算する。その結果、加算器42における加算結果として、Iu・Vuv+Iw・Vwvが得られる。フィルタ43は、加算器42の加算結果から不要な高周波成分を除去した信号を、有効電力Pとして出力する。
三相交流の電力検出には、いわゆる二電力計法が適用可能であるため、乗算器40、41を2個の単相電力計として機能させ、それぞれの出力の和によって三相交流の有効電力Pを求めることができる。なお、二電力計法を適用する場合の電流、電圧の組合せは、図4の例には限られず、例えば、加算器42の加算結果として、Iv・Vuv+Iw・Vwu、又は、Iu・Vuw+Iv・Vvwを得る構成を採用してもよい。なお、いずれの場合も、フィルタ43は、PWM制御におけるキャリア周波数成分(例えば、5〜10kHz以上)を除去する特性を有することが望ましい。
電力補正部23は、電力検出部22により検出された有効電力Pに対し、モータ20における損失を推定し、その損失推定分を有効電力Pから減算して補正する。例えば、モータ20で発生する損失としては、銅損、鉄損、機械損などを挙げることができる。
フィードバック制御部30は、電力検出部22と同様、例えば、後述の演算処理を実行するDSPにより構成される。まず、フィードバック制御部30の電力判別部31は、電力補正部23を介して電力検出部22から受け取った有効電力Pの時間的な増減を判別する。すなわち、電力判別部31では、電力検出部22の検出周期で順次更新される有効電力Pの値に基づいて、所定の判別周期ごとに有効電力Pが前回の値に比べて増加したか減少したかを判別する。電力判別部31は、更新された有効電力Pの各値をフィードバック制御部30のメモリ手段(不図示)に記憶し、必要に応じて読み出す。
具体例としては、電力判別部31において、有効電力Pが検出周期1μsで順次入力され、所定の判別周期10msで有効電力Pの増減を判別する時間条件を想定すると、判別周期である10ms内における有効電力Pの複数の値(10ms/1μs=10000個)のうちの最初の値及び最大値をそれぞれ前回の周期内の最初の値及び最大値と比較することができる。この場合、判別周期である10ms内における有効電力Pの平均値を前回の周期内の平均値と比較してもよく、前述の時間条件によれば、毎回の判別周期内で有効電力Pの10000個の値の平均値を算出することになる。
一方、フィードバック制御部30の実トルク推定部33は、電力判別部31による判別結果を反映して前述の実トルク値Tbを推定する。すなわち、n回目の判別周期における実トルク値Tb(n)及び有効電力P(n)は、それに先立つn−1回目の判別周期における実トルク値Tb(n−1)及び有効電力P(n−1)とは、次の(1)式の関係で表すことができる。
Figure 2016025694
ただし、ω(n)及びω(n−1)は、前述の回転位置検出部21で検出される回転位置に基づき得られるモータ20の回転数である。(1)式は、モータ20の有効電力Pと回転数ωとにより実トルク値Tbが求められることを意味する。
一方、(1)式において、短時間における回転変動が小さいことを前提とすると、n−1回目とn回目の各判別周期における回転数ω(n−1)、ω(n)は、(2)式で表すことができる。
Figure 2016025694
よって、実トルク推定部33では、上記(1)式及び(2)式に応じて、有効電力Pの変化割合に連動させて実トルク値Tbを簡単に推定することができる。すなわち、実トルク値Tbの推定に際しては、前述したように回転数ω及び有効電力Pの両方を用いて算出する場合に加え、(2)式を考慮して、有効電力Pのみを用いた簡易な算出も可能となる。以上のように、実トルク推定部33から、有効電力Pの変化を反映した実トルク値Tbがトルク入力部10に供給される。
また、フィードバック制御部30の電流判別部32は、電流検出部17により検出される三相の電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、モータ20の印加電流としての電流値を演算により取得し、その電流値の時間的な増減を判別する。すなわち、電流判別部32では、周期的に順次更新される電流値に基づいて、所定の判別周期ごとに電流値が前回の値に比べて増加したか減少したかを判別する。電流判別部32は、更新された各電力値をフィードバック制御部30のメモリ手段(不図示)に記憶し、必要に応じて読み出す。
具体例としては、電流判別部32において、前述の電流値が検出周期1μsで順次入力され、所定の判別周期10msで電流値の増減を判別する時間条件を想定すると、判別周期である10ms内における複数の電流値(10ms/1μs=10000個)のうちの最初の値及び最大値をそれぞれ前回の周期内の最初の値及び最大値と比較することができる。この場合、判別周期である10ms内における電流値の平均値を前回の周期内の平均値と比較してもよく、前述の時間条件によれば、毎回の判別周期内での10000個の電流値の平均値を算出することになる。
フィードバック制御部30の電流進角調整部34は、電流判別部32による判別結果に基づいて前述の電流進角βを調整する。例えば、電流進角調整部34は、電流判別部32により電流値が増加した旨の判別結果が得られると、その判別結果に応じて三相インバータ16からモータ20への印加電流が減少する方向に電流進角βを所定の角度Δβだけ進める。
図5は、電流進角調整部34の動作による電流進角βの変化の具体例を説明する図である。図5においては、初期時点で電流進角βが起動値β0を有し、前述の判別周期毎の電流判別部32の判別結果に応じて電流進角βが順次変化していく。すなわち、電流判別部32は、第n周期における電流値Inと、次の第n+1周期における電流値In+1とを比較し、In+1<Inが成り立つ場合、すなわち、電流値が減少している場合には、電流進角調整部34が電流進角βを所定の角度Δβだけ進める。このとき、電流進角βの変化の方向は、上述したように、三相インバータ16からモータ20への印加電流が減少する方向に合致する。
図5の例では、それ以降も所定の判別周期ごとに同様の動作を繰り返し、電流進角βは、モータ20への印加電流が最小となるときの値βxを上回る。ここで、電流判別部32の判別結果が反転するので、電流進角βは値βxを挟んで角度Δβだけ交互に増減されることになる。つまり、判別周期ごとに、電流進角βは、β=βx±Δβの範囲内に制御される。従って、それ以降、電流進角調整部34により電流進角βが制御される間、モータ20への印加電流を最小値に保つことが可能となる。本実施形態では、電流進角調整部34による電流進角βの制御に加えて、上述のように実トルク推定部33により推定された実トルク値Tbをトルク入力部10にフィードバックしているので、より最適にモータ20への印加電流を制御することができる。
図5において、電流進角βの起動値β0は、例えば、モータ20の設計時の磁石磁束を用いて、解析又は実験で求めた値を設定することができる。あるいは、電流進角βの起動値β0として、次の(3)式に基づいて求めた値を設定してもよい。
Figure 2016025694
上記(3)式に含まれるパラメータは、図3に基づいて説明した通りである。以上の説明では、電流進角調整部34が電流進角βを制御する場合を前提としているが、実トルク値Tbの大小に連動して電流進角βの制御を行ってもよい。すなわち、実トルク値Tbが所定値を超えたときにのみ、図5に示すような電流進角βの制御を行い、実トルク値Tbが所定値に満たないときは、電流進角βを上記(3)式の起動値β0に固定してもよい。
以上述べたように、本実施形態の制御装置により、モータ20を駆動する三相インバータ16の制御に必要となるトルク指令値Ta及び電流指令値Iaの電流進角βの両方に対し、適切なフィードバック制御を行うことができる。この場合、三相インバータ16からモータ20に供給される電力を直接検出する電力検出部22を用いて実トルク値Tbを推定し、それをトルク指令値Taにフィードバックすることで、モータ20の出力トルクの精度向上を図ることができる。この際、モータ20においてコギングトルクやトルクリップル等によるトルク変動の影響を抑制する効果も得られる。また、所与のトルク指令値Taに対し、実トルクTbを一定に制御しつつ、電流検出部17に基づいて得られる電流値が最小となるように電流進角βを制御しているので、モータ20への印加電流の最小化を図ることができる。さらに、フィードバック制御部30では、所定の判別周期で実トルク値Tbや電流値などの各パラメータの増減を判別し、その制御量を少しずつ調整するようにしているので、モータ20の出力トルクや供給電流に急激な変化を生じさせることなく、迅速かつ円滑な制御を実現することができる。
次に、本実施形態の制御装置において回生協調制御を行う場合の動作について補足的に説明する。例えば、本実施形態の制御装置を搭載した電気自動車を制動する際には、駆動中のモータ20の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生ブレーキが作動する。このとき、通常の油圧による制動力と回生による制動力を協調させて必要な制動力を得るために、制御装置により回生協調制御が実行される。
図6は、制御装置における回生協調制御の概念を模式的に示す図である。具体的には、モータ20の制動を開始した後にモータ20が停止するまでの各時点のトータルの制動力のうち、油圧による制動力とモータ20の回生による制動力のそれぞれの割合の変化が示される。図6からわかるように、モータ20の制動開始と同時に回生による制動力が作用し、若干遅れて油圧による制動力が支配的となるが、それ以降は徐々に油圧による制動力が減少する一方、回生による制動力が増加していく。本実施形態では、モータ20の通常の動作時(力行動作)から回生による制動力を作用させる状態(回生動作)に切り替えるときの制御が重要となる。
図7は、図1の制御装置においてモータ20を回生協調制御する際のベクトル図の一例を示している。なお、図7における各パラメータの意味は、図3で説明した通りである。図7のベクトル図においては、モータ20の力行動作を行う力行領域と、モータ20の回生動作を行う回生領域がそれぞれ示される。すなわち、力行領域においては、図3と同様の制御が行われるが、この状態で回生に切り替えると電流進角βが追従できない恐れがあるため、回生領域では、電流進角βを、その補角となるγ=180−β(°)となるように制御を行うものである。このように、モータ20を回生協調制御することにより、力行動作時のモータ20を回生動作に切り替えるときに電流進角βの追従遅れを防止することが可能となる。なお、回生動作時の電流の大きさは、アクセルぺダルのストロークや車速などにより求めたトルク値に基づき、温度等の環境条件も考慮して適切に決定される。また、回生動作時の挙動の安定化を図るために、回生動作時に実トルク値Tbのフィードバック制御を行わず、上述の回生協調制御による制御を優先的に実行してもよい。
以上、本発明に係る永久磁石式同期モータの制御装置の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、変形して適用することが可能である。特に、トルク指令値Taの変動量の判別と、電流指令値Iaの調整に関しては、以下に述べるような複数の変形例がある。なお、いずれの変形例においても、永久磁石式同期モータの制御装置としての基本的な作用効果については、上述の実施形態と同様である。
図1の構成例においては、実トルク推定部33で推定される実トルク値Tbの変化量に応じて、電流調整部11で用いる前述の電流増分値Δiを可変することが可能である。つまり、電力判別部31の所定の判別周期に連動して推定される実トルク値Tbが、前回の値に比べて増加したか減少したかを判別し、判別結果に応じた電流増分値Δiを選択的に設定することができる。具体的には、n回目の判別周期における実トルク値Tb(n)と、その直前のn−1回目の周期における実トルク値Tb(n−1)との関係に応じて、次の(4)〜(6)式に示すように電流増分値Δiを決定することができる。なお、(4)〜(6)式においては、所望の閾値Thと、電流増分値Δiのうちの大きい値I(large)及び小さい値I(small)とがそれぞれ予め設定される。
Figure 2016025694
また、(4)〜(6)式の演算を行うのに代わって、トルク入力部10に入力されるトルク指令値Taに対する増減判定に用いる微分器を設けることができる。具体的には、例えば、n回目の周期におけるトルク指令値Ta(n)と、その直前のn−1回目の周期におけるトルク指令値Ta(n−1)との関係に応じて、Ta(n−1)/Ta(n)の微分演算を行い、演算結果の大小に応じて電流指令値Iaに対する前述の電流増分値Δiを演算してもよい。このようにすれば、閾値Th及び電流増分値Δiの複数の値を予め設定する必要はなく、かつ、電流増分値Δiの値を無段階で可変することができる。これにより、より簡素な構成で、電流調整部11における電流指令値Iaの増減演算を行うことができる。
また、トルク入力部10に入力される複数のトルク指令値Taと複数の電流指令値Iaの対応関係を保持するマップを設ける構成を採用してもよい。例えば、制御装置を電気自動車に搭載する場合、スロットル開度などから得られるトルク値をマップのデータとして設定することができる。そして、外部からトルク指令値Taが入力されたとき、対応する電流指令値Iaをマップから読み出し、それを用いて以降の演算を行うことができる。このような構成により、前述のようなトルク指令値Taの増減判定が不要となり、演算の簡素化が可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る永久磁石式同期モータの制御装置は、多様な用途に利用することができる。例えば、電気自動車、電動バイク、電車などの移動体、ブロワ、FA装置、加工装置等の産業用途、昇降機、空調装置等の利用分野において、本実施形態の構成を備えた永久磁石式同期モータの制御装置に対して本発明を適用することができる。
10…トルク入力部
11…電流調整部
12…電流変換部
13…減算部
14…電流電圧変換部
15…二相/三相変換部
16…三相インバータ
17…電流検出部
18…三相/二相変換部
20…永久磁石式同期モータ
21…回転位置検出部
22…電力検出部
23…電力補正部
30…フィードバック制御部
31…電力判別部
32…電流判別部
33…実トルク推定部
34…電流進角調整部
40、41…乗算器
42…加算器
43…フィルタ

Claims (7)

  1. 界磁として永久磁石を有する永久磁石式同期モータの制御装置であって、
    入力されたトルク指令値に基づいて電流指令値を生成するとともに、当該電流指令値に基づいて電圧指令値を生成し、当該電圧指令値を用いてインバータを制御するベクトル制御部と、
    前記永久磁石式同期モータの回転子の回転位置を検出する回転位置検出部と、
    前記インバータから前記永久磁石式同期モータに供給される電流を検出する電流検出部と、
    前記インバータから前記永久磁石式同期モータに供給される電力を検出する電力検出部と、
    前記回転位置と、前記電流検出部の電流検出値と、前記電力検出部の電力値とに基づいて推定される実トルク値を前記ベクトル制御部における前記トルク指令値にフィードバック制御するとともに、前記実トルク値が所定の値のときに前記永久磁石式同期モータへの印加電流が最小となるように前記電流指令値の電流進角を制御するフィードバック制御部と、
    を備えることを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。
  2. 前記フィードバック制御部は、所定の判別周期で前記電流検出値の増減を判別し、判別結果に応じて前記印加電流が最小となる方向に前記電流進角を増減することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
  3. 前記フィードバック制御部は、前記判別周期で前記電力値の増減を判別し、判別結果に応じて前記トルク指令値の補正値を前記ベクトル制御部にフィードバックすることを特徴とする請求項2に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
  4. 前記実トルク値は、前記永久磁石式同期モータの回転変動が小さい範囲内で、前記電力値に基づき推定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
  5. 前記電流指令値の制御量は、前記実トルクの変化量に応じて決定されることを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
  6. 前記永久磁石式同期モータは三相交流の電力により駆動され、前記ベクトル制御部は、回転座標系の前記電圧指令値を三相の電圧指令値に変換して前記インバータに供給することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
  7. 前記フィードバック制御部は、前記永久磁石式同期モータが力行動作から回生動作に移行する際、前記電流進角をβと表したときの補角γ=180−βを算出し、前記電流進角をγに設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータの制御装置。
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