JP2016022452A - 浮遊物回収装置及び浮遊物回収方法 - Google Patents

浮遊物回収装置及び浮遊物回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
浮遊物を迅速に回収できるようにするだけでなく、小型化が容易で狭い箇所にも好適に設置することができる浮遊物回収装置を提供する。
【解決手段】
水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置10を、水面付近の上層水とその下側にある下層水とを隔てるための上下仕切体11と、低位吸引口11a及び高位吸引口11bを通じて上下仕切体11の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引するための吸引手段とを備えたものとした。低位吸引口11a及び高位吸引口11bは、いずれも上下仕切体11の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられ、高位吸引口11bは、低位吸引口11aよりも高い位置に設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置と浮遊物回収方法とに関する。
水面付近に浮遊する油やゴミ等の浮遊物を回収するものとして、ポンプに接続した吸引管によって前記浮遊物を吸引するようにした浮遊物回収装置が知られている。この種の浮遊物回収装置は、沼湖や河川等の自然水域においてだけでなく、工場や水処理施設における貯水タンクや導水溝、船舶のバラストタンク等、様々な場所で用いられている。浮遊物回収装置は、用途等に応じて種々の形態のものが提案されている。
例えば、吸引管の吸引口を水面下又は水面上における水面付近に配するとともに、水面から吸引口までの距離が一定となるようにフロートを固定した構造の浮遊物回収装置が提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照。)。この種の浮遊物回収装置は、水面付近の浮遊物を水面付近の水とともに吸引口へ吸引するものとなっていたが、水面付近の浮遊物が好適に吸引されうる吸引口の高さの範囲が極めて狭く、浮遊物を吸引するポンプ(吸引手段)として処理能力の大きなものを採用しなければ、浮遊物を迅速に回収できないという欠点があった。
というのも、この種の浮遊物回収装置において、吸引口の水深を深く(又は、水面から吸引口までの高さを低く)しすぎると、水面付近にない水(下層水)が多量に吸引口に吸引されるようになり、吸引口から離れた場所の浮遊物が吸引口に引き寄せられにくくなる一方、吸引口の水深を浅く(又は、水面から吸引口までの高さを高く)しすぎると、水面上の空気ばかりが吸引されやすくなり、浮遊物が吸引されにくくなるからである。このため、この種の浮遊物回収装置を用いて浮遊物を回収する際には、多量の水が吸引されるようになることは承知の上で、吸引口の水深をやや深めに設定(又は、水面から吸引口までの高さをやや低めに設定)するとともに、吸引手段として、処理能力の大きなポンプを採用することが行われており、非経済的であった。
このような実状に鑑みてか、特許文献5には、吸引管の吸引口を水面付近で下向きに配するとともに、水面付近の上層水とその下側にある下層水とを上下仕切体で仕切ることにより、下層水が吸引口に吸引されないようにした浮遊物回収装置が提案されている。同文献には、上下仕切体を傾斜させることで、浮遊物が水面付近の水や空気とともに間欠的に吸引されるようにし、浮遊物を迅速に吸引することができる旨も記載されている(同文献の段落0017)。
しかし、特許文献5の浮遊物回収装置は、上下仕切体の上面にポンプ(浮遊物の吸引手段)を載置する構造であったため、上下仕切体の上面でポンプを安定させるためには、上下仕切体の寸法を大きくする必要があった。このため、同文献の浮遊物回収装置は、側溝や油水分離槽等、狭い箇所に設置しにくいという欠点を有していた。また、吸引手段として使用するポンプが特殊なものであったため、既存のポンプを使用しにくいという欠点もあった。さらに、浮遊物がより効率的に吸引されるようにするためには、上下仕切体を傾斜させることで、浮遊物が水面付近の水や空気とともに間欠的に吸引されるようにする必要があるところ、その調整が必ずしも容易ではなかった。
特開昭52−075861号公報 実開昭56−172389号公報 実開昭49−087268号公報 特開2000−176450号公報 特開2009−254940号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、吸引口から離れた場所にある浮遊物が吸引口に引き寄せられやすくして浮遊物を迅速に回収できるようにするだけでなく、小型化が容易で狭い箇所にも好適に設置することができる浮遊物回収装置を提供するものである。また、特殊なポンプを使用しなくても、浮遊物を効率的に吸引することのできる浮遊物回収装置を提供することも本発明の目的である。さらに、浮遊物が吸引口に効率的に吸引されるようにするための調整が容易な浮遊物回収装置を提供することも本発明の目的である。そして、この浮遊物回収装置を用いて好適に実施することのできる浮遊物回収方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置であって、
水面付近の上層水とその下側にある下層水とを隔てるための上下仕切体と、
上下仕切体の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられた低位吸引口、及び、上下仕切体の上面側における水面下となる位置であって低位吸引口よりも高い位置に上向きに設けられた高位吸引口を通じて、上下仕切体の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引するための吸引手段と、
を備えたことを特徴とする浮遊物回収装置
を提供することによって解決される。
このように、上下仕切体によって水面付近の上層水とその下側にある下層水とを隔てることにより、水面上の浮遊物を速やかに安定して吸引することができる。というのも、上層水のみが吸引口(低位吸引口及び高位吸引口のこと。以下同じ。)に吸引されるようにすると、上層水の表面張力によって、浮遊物回収装置の周囲の浮遊物が吸引口付近へ速やかに引っ張られてくるようになるためである。
また、吸引口を下向きではなく、上下仕切体の上面側で上向きに設けたことにより、吸引手段を上下仕切体の上面側に載せる必要がなくなる。このため、上下仕切体の寸法を小さくすることが可能になり、浮遊物回収装置を狭い箇所に設置しやすいものとすることが可能になる。加えて、吸引手段として既存のポンプを使用することも可能になる。
さらに、浮遊物を吸引する吸引口として、高さの異なる低位吸引口及び高位吸引口を設けたことにより、特に難しい調整を行わなくても、浮遊物が吸引口へ速やかに吸引される状態を長く確保し、浮遊物をより効率的に除去することが可能になる。これは、後述するように、高位吸引口を設けたことによって、浮遊物が速やかに吸引されるようにしたことに加えて、低位吸引口を設けたことによって、高位吸引口が浮遊物を速やかに吸引できる時間を長く確保できるようになったためと推測される。具体的には、本発明に係る浮遊物回収装置では、以下のような現象が発生すると推測される。
まず、本発明に係る浮遊物回収装置を使用して浮遊物を回収する際に生じる現象について説明する。本発明に係る浮遊物回収装置を起動すると、以下の過程1〜5が発現し、過程3〜5が繰り返される定常状態が生じる。
[過程1]
吸引口へ上層水が吸引されていき、上下仕切体の上面側にある上層水が徐々に薄く(低位吸引口から水面までの距離が近く)なっていく過程。
この過程1における上層水の吸引は、主に低位吸引口が寄与しているものと推測される。この過程1では、水面上の空気は、吸引口へ殆ど吸引されていないと思われる。
[過程2]
上下仕切体の上面側にある上層水が急激に(短時間で)薄くなり、吸引口付近の水面に渦が発生する過程。渦は、不定形ながらも浅く広く形成される。
過程1から過程2には、過程1において、上下仕切体の上面側にある上層水が一定以上薄くなったことを契機として移行するものと推測される。渦は、低位吸引口によるものと、高位吸引口によるものとが重なり合って形成されたものと思われる。
[過程3]
浮遊物が吸引口へ速やかに吸引されていく過程。過程3では、吸引口から離れた場所の浮遊物が吸引口付近まで速やかに引き寄せられ、吸引口へ吸引されていく様子が観察される。
この過程3では、過程2で発生した渦が、浮遊物吸引のための理想的な状態(上層水のうちごく水面付近の水を浮遊物とともに吸引できる状態)を発現させているものと推測される。過程3における浮遊物の吸引は、主に高位吸引口が寄与しているものと推測される。過程3では、渦によって、水面上の空気も吸引口へ吸引されているように見受けられる。
[過程4]
上下仕切体の上面側にある上層水が徐々に厚く(低位吸引口から水面までの距離が遠く)なっていく過程。
過程4は、過程3において吸引手段(水ポンプ等)へ空気が吸引されたことにより、吸引手段の吸引能力が徐々に低下していったことが原因で発現するものと推測される。
[過程5]
上下仕切体の上面側にある上層水が急激に(短時間で)薄くなり、吸引口付近の水面に渦が発生する過程。渦は、過程2と同様、不定形ながらも浅く広く形成される。
過程4から過程5には、過程4において、吸引手段において吸引手段へ空気が吸引されなくなり、吸引手段の吸引能力が回復したことが原因で移行するものと推測される。
過程5において、渦が発生すると、再度、過程3へ移行する。
このように、本発明に係る浮遊物回収装置では、上記の過程3〜5が繰り返される定常状態のうち、過程3において、浮遊物が高位吸引口から速やかに吸引される状態が発現する。ところが、この定常状態がしばらく繰り返されるうちに、過程5から過程3へ移行せず、過程5から過程1へ移行すること(以下においては、「異常移行」と表記する。)がある。その原因は、不明であるが、過程3において、空気が多量に吸引されすぎて吸引手段の吸引能力が著しく低下したため、過程4において、過程3へ移行できる程度まで吸引手段の吸引能力が回復しきれなかったからと推測される。
上記の異常移行が発生した場合には、過程1から過程3にリカバリーするまでの間、浮遊物を効率的に吸引できない状態となるが、低位吸引口を設けると、そのリカバリーが速やかに行われるようになり、上記の定常状態へと速やかに復帰するようになることが確認できた。加えて、低位吸引口を設けると、上記の異常移行が発生する頻度が減少することも確認できた。これは、低位吸引口を設けたことにより、上記の過程3でも、低位吸引口からある程度の量の上層水が吸引手段に導かれるようになり、吸引手段に導入される空気の量が相対的に低下し、吸引手段の吸引能力の低下が抑えられたためと推測される。
本発明に係る浮遊物回収装置において、高位吸引口の設け方は特に限定されない。高位吸引口は、浮遊物回収装置を設置したときに、低位吸引口よりも水面に近い位置となる位置に設ければよい。例えば、上下仕切体の上面を水平面に対して傾斜した状態に設けるのであれば、高位吸引口及び低位吸引口を上下仕切体の上面に平行な同一面上に設けたとしても(上下仕切体の上面から高位吸引口までの距離と、上下仕切体の上面から低位吸引口までの距離とを等しくしても)、高位吸引口の方が低位吸引口よりも水面に近い位置となる。
ただし、上記のように、上下仕切体の上面を水平面に対して傾斜させる方法は、その傾斜角度の設定等が必ずしも容易ではない。このため、浮遊物回収装置は、上下仕切体の上面が水平になるように設置すると好ましい。この場合において、高位吸引口が低位吸引口よりも水面に近い位置になるようにするためには、上下仕切体の上面から高位吸引口までの距離を、上下仕切体の上面から低位吸引口までの距離よりも長く確保する必要がある。その方法は、特に限定されず、例えば、上下仕切体を、その上面の一部が盛り上げられた形状とすることによって、上下仕切体の上面の一部に高段部を形成し、その高段部に高位吸引口を設け、高段部以外の場所(低段部)に低位吸引口を設ける方法等が例示される。しかし、この場合には、上下仕切体の形態が複雑になり、上下仕切体の加工や成形が難しくなるおそれがある。このため、上下仕切体の上面に環状凸部を設け、その環状凸部の上端開口を高位吸引口とすることで、高位吸引口を低位吸引口よりも水面に近い位置となるようにすると好ましい。
本発明に係る浮遊物回収装置において、上下仕切体の上面側は、平坦な構造としてもよいが、上下仕切体の外方から吸引口の周辺部に流入する上層水の流れを部分的に遮ることによって前記周辺部に流入する上層水の流れを規制するための水平仕切体を、上下仕切体の上面から水面上に突出するように設けると好ましい。このように、水平仕切体によって吸引口の周辺部に流入する上層水の流れを部分的に遮ることにより、上下仕切体の外方から吸引口の周辺部に流入する上層水の流速を大きくし、吸引口からより遠い場所にある浮遊物が吸引口の周辺部に集まりやすくすることが可能になる。
水平仕切体は、吸引口から所定距離を隔てた箇所において、吸引口を囲むように配置されるのであれば、それを設ける具体的な場所は特に限定されないが、上下仕切体の外周縁に沿って設けると好ましい。このとき、水平仕切体を設ける範囲を狭くしすぎると、水平仕切体を設けたことによる上述した効果が奏されにくくなるおそれがある。このため、上下仕切体の外周長Lに対する水平仕切体が設けられた区間長Lの比L/Lは、0.5以上とすると好ましい。一方、水平仕切体を設ける範囲を広くしすぎると、上下仕切体の外方から吸引口の周辺部へ流入する上層水の流量が少なくなり、浮遊物の回収効率が低下するおそれがある。このため、比L/Lは、0.9以下とすると好ましい。
上下仕切体の上面における低位吸引口及び高位吸引口の周囲は、平坦に形成してもよいが、低位吸引口及び高位吸引口の周囲を囲む環状の低壁部を、上下仕切体の上面に設けると好ましい。この低壁部は、水面よりも上側に突き出ない高さに設けられる。これにより、上下仕切体の上側に位置する上層水でもさらに水面に近い場所の水を選択的に吸引口に吸引させることが可能になり、浮遊物の回収効率をさらに高めることが可能になる。
また、上記課題は、
水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収方法であって、
水面付近の上層水とその下側にある下層水とを上下仕切体によって隔て、
上下仕切体の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられた低位吸引口、及び、上下仕切体の上面側における水面下となる位置であって低位吸引口よりも高い位置に上向きに設けられた高位吸引口を通じて、上下仕切体の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引することを特徴とする浮遊物回収方法
を提供することによっても解決される。
この浮遊物回収方法は、上記の浮遊物回収装置を用いて好適に実施することができるものとなっている。
以上のように、本発明によって、吸引口から離れた場所にある浮遊物が吸引口に引き寄せられやすくして浮遊物を迅速に回収できるようにするだけでなく、小型化が容易で狭い箇所にも好適に設置することができる浮遊物回収装置を提供することが可能になる。また、特殊なポンプを使用しなくても、浮遊物を効率的に吸引することのできる浮遊物回収装置を提供することも可能になる。さらに、浮遊物が吸引口に効率的に吸引されるようにするための調整が容易な浮遊物回収装置を提供することも可能になる。そして、この浮遊物回収装置を用いて好適に実施することのできる浮遊物回収方法を提供することも可能になる。
本発明に係る浮遊物回収装置を水面付近に設置した状態を上下仕切体の中心を通る鉛直面で切断した状態を示した断面図である。 図1の浮遊物回収装置を示した斜視図である。 図1の浮遊物回収装置を示した平面図である。
本発明の浮遊物回収装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明に係る浮遊物回収装置10を水面付近に設置した状態を上下仕切体11の中心を通る鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図2は、図1の浮遊物回収装置10を示した斜視図である。図3は、図1の浮遊物回収装置10を示した平面図である。本実施態様の浮遊物回収装置10は、水面付近の浮遊物を回収するためのものとなっており、図1に示すように、その上面側に吸引口11a,11bが上向きに設けられた上下仕切体11と、上下仕切体11から上向きに突出して設けられた水平仕切体12と、上下仕切体11の上面側の水(上層水)を吸引口11a,11bから吸引するための吸引手段(図示省略)と、吸引口11a,11bと吸引手段とを接続する吸引管13と、浮遊物回収装置10を水面付近で浮かんだ状態に保つためのフロート16とを備えたものとなっている。以下、本実施態様の浮遊物回収装置10を構成する各部について順に詳しく説明する。
1.上下仕切体
上下仕切体11は、図1に示すように、水面付近の上層水とその下側にある下層水とを隔てるためのものとなっている。この上下仕切体11によって、水面付近にない下層水(上下仕切体11よりも下側にある水)が吸引口11a,11bに吸引されないようにし、水面付近の浮遊物を吸引口11a,11bから効率的に吸引することが可能となっている。上下仕切体11の上面は、水面に対して傾斜させてもよいが、本実施態様においては、水面と平行になるようにしている。
上下仕切体11は、その上面が概ね平坦に形成されたものであれば、その形態は特に限定されず、その下面側が下側に膨出した立体的な形態であってもよいが、通常、板状とされる。本実施態様においても、上下仕切体11は、板状となっている。また、上下仕切体11の平面視形状(上面の形状)も、特に限定されず、楕円形や多角形等としてもよいが、円形や正多角形等、回転対称性の高い形状とすると好ましい。これにより、上下仕切体11を水面付近で安定しやすくし、浮遊物の回収効率の低下を防ぐことができる。本実施態様においても、上下仕切体11の上面の形状は、円形としている。
上下仕切体11の面積は特に限定されないが、狭くしすぎると、上下仕切体11が水面下で安定しにくくなるおそれがある。このため、上下仕切体11の面積は、1.8×10−2(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が0.15m)以上とすると好ましい。上下仕切体11の面積は、3.1×10−2(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が0.2m)以上とするとより好ましく、4.9×10−2(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が0.25m)以上とするとさらに好ましい。一方、上下仕切体11の面積を広くしすぎると、油水分離槽等の狭い箇所に浮遊物回収装置10を設置しにくくなるおそれがある。このため、上下仕切体11の面積は、1.77m(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が1.5m)以下とすると好ましい。上下仕切体11の面積は、7.9×10−1(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が1m)以下であるとより好ましい。上下仕切体11の上面に吸引手段を載置しない本実施態様の浮遊物回収装置10においては、上下仕切体11の浮力を大きく確保する必要は特になく、上下仕切体11の面積を2.0×10−2(上下仕切体11が円形である場合にはその直径が0.5m)以下とすることも可能である。本実施態様において、上下仕切体11は、直径が0.35mの円形となっており、その面積は約9.6×10−2となっている。
上下仕切体11の厚さ(板厚)は、場所にかかわらず均一としてもよいし、場所によって変化させてもよい。後者の場合には、例えば、上下仕切体11の周縁部を薄く形成して中央部を厚く形成するとともに、上下仕切体の厚さが周縁部から中央部にかけて徐々に厚くなるように形成することで、上下仕切体11の上面を周縁部から中央部にかけて登り傾斜となるようにすることもできる。これにより、上下仕切体11の周辺にある水や浮遊物が吸引口11a,11bへより安定して吸引されやすくすることができる。
上下仕切体11の素材は、上下仕切体11として必要な強度を有するのであれば、特に限定されない。ず、各種の樹脂や木材等を使用することができる。木材等を使用する場合には、その表面に撥水加工等の表面処理を施すこともできる。本実施態様において、上下仕切体11には、塩化ビニール製の板材を使用している。
吸引口11a,11bは、上下仕切体11の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられている。これらの吸引口11a,11bは、水面付近の浮遊物を上層水とともに吸引するためのものとなっている。吸引口11a,11bの寸法は、上下仕切体11の寸法や吸引手段の能力等によっても異なり、特に限定されない。しかし、吸引口11a,11bの直径が小さすぎると、吸引口11a,11bにゴミ等が詰まりやすくなり、吸引口11a,11bの直径が大きすぎると、吸引手段で吸引すべき水量が多くなり吸引手段として能力が大きいものが要求されるようになる。このため、上下仕切体11の直径が25cm程度で、吸引手段として吸水量200〜300cc/s程度で消費電力480W程度の低水位排水ポンプを使用した場合について言えば、吸引口11a,11bの直径は、通常、2〜8mm程度とされ、好ましくは4〜6mm程度とされる。本実施態様においては、吸引口11aの直径が6mmで、吸引口11bの直径が4mmとなっている。吸引口11aは、上下仕切体11の上面側における低い位置から浮遊物を吸引する低位吸引口となっており、吸引口11bは、上下仕切体11の上面側における低位吸引口11aよりも高い位置から浮遊物を吸引する高位吸引口となっている。このため、既に述べた理由により、特に難しい調整を行わなくても、浮遊物が吸引口11a,11bへ速やかに吸引される状態を長く確保し、浮遊物をより効率的に除去することが可能となっている。
低位吸引口11aと高位吸引口11bとの高低差ΔH(図1)は、上下仕切体11の寸法や吸引手段の能力等によっても異なり、特に限定されない。しかし、高低差ΔHを小さくしすぎると、上述した過程1〜5において異常移行が発生した場合に定常状態にリカバリーしにくくなる等、上記の過程1〜5からなる吸引力保持サイクルが上手く機能しにくくなって浮遊物の吸引効率が低下するおそれがあり、低位吸引口11aと高位吸引口11bとを設けた意義が低下する。このため、上下仕切体11の直径が25cm程度で、吸引手段として吸水量200〜300cc/s程度で消費電力480W程度の低水位排水ポンプを使用した場合について言えば、高低差ΔHは、通常、0.5mm以上とされる。高低差ΔHは、1mm以上とすると好ましい。一方、高低差ΔHを大きくしすぎると、上下仕切体11の上面から水面までの距離も大きく確保しなければならなくなり(高位吸引口11bが水面下となるようにするためには、当該距離をΔH以上とする必要がある。)、上層水の厚さも必然的に厚くなって、低位吸引口11aが水面下深くに沈んだ状態となり、上層水の水面付近の浮遊物を効率的に回収しにくくなるおそれがある。このため、上記の場合について言えば、高低差ΔHは、通常、3mm以下とされる。高低差ΔHは、1.5mm以下であると好ましい。本実施態様において、高低差ΔHは、1〜1.5mmの範囲となっている。
低位吸引口11aと高位吸引口11bとに高低差ΔHを生じさせる方法は、特に限定されず、例えば、上下仕切体11の上面を水平面に対して傾斜した状態に設けると、低位吸引口11aと高位吸引口11bとに高低差ΔHを生じさせることができる。しかし、この場合には、上下仕切体11の傾斜角度の調節に手間を要するおそれがある。このため、本実施態様においては、上下仕切体11を傾斜させずに高低差ΔHを生じさせる方法を採用している。具体的には、図1及び図2に示すように、上下仕切体11の上面に環状凸部14を設け、この環状凸部14に設けられた上端開口14aが高位吸引口11bとなるようにしている。一方、低位吸引口11aは、上下仕切体11の上面と同じ高さとなるように、上下仕切体11の上面に直接設けている。ただし、低位吸引口11aは、高位吸引口11bよりも低い位置となるのであれば、高位吸引口11bと同様、環状凸部(高位吸引口11bを形成する環状凸部13よりも高さの低い環状凸部)の上端開口とすることもできる。
吸引口11a,11bを設ける場所は、特に限定されないが、吸引口11a,11bを上下仕切体11の周縁部に設けると、当該周縁部の近くの下層水が上下仕切体11で遮られることなく吸引口11a,11bに吸引されやすくなるおそれがある。このため、吸引口11a,11bは、上下仕切体11の上面の中央部に設けると好ましい。本実施態様においても、吸引口11a,11bを上下仕切体11の上面の中央部に設けている。上下仕切体11における吸引口11a,11bの下側箇所には、図1に示すように、吸引口11a,11bと吸引管13とを結ぶ吸引孔11c,11dが、上下仕切体11の板厚方向に貫通して設けられている。
ところで、図1〜3において、低位吸引口11aと高位吸引口11bは、1つずつのみ描いているが、これに限定されない。例えば、低位吸引口11aと高位吸引口11bのうち、いずれか一方又は双方を複数個設けてもよい。本実施態様においても、低位吸引口11aと高位吸引口11bは、複数個ずつ設けている。この他、低位吸引口11a又は高位吸引口11bのいずれとも異なる1個又は複数個の吸引口を別途設けることもできる。ここで、隣り合う吸引口11a,11bの間隔の具体的な値は、上下仕切体11の寸法や吸引手段の能力等によっても異なり、特に限定されない。しかし、隣り合う吸引口11a,11bの間隔を狭くしすぎると、吸引口11a,11bに空気が吸引されやすくなり、上記の過程1〜5からなる吸引力保持サイクルが上手く機能しにくくなって浮遊物の吸引効率が低下するおそれがある。このため、上下仕切体11の直径が25cm程度で、吸引手段として吸水量200〜300cc/s程度で消費電力480W程度の低水位排水ポンプを使用した場合について言えば、隣り合う吸引口11aと吸引口11a、吸引口11aと吸引口11b、及び、吸引口11bと吸引口11bにおける端から端までの距離(最短距離)は、通常、2mm以上、好ましくは5mm以上とされる。一方、隣り合う吸引口11a,11bの間隔が広くなり過ぎると、吸引口11a,11bが相互に補完的に作用しにくくなり(吸引口11a,11bのそれぞれに発生した渦が重なり合いにくなり)、やはり、上記の過程1〜5からなる吸引力保持サイクルが上手く機能しにくくなって浮遊物の吸引効率が低下するおそれがある。このため、上記の場合について言えば、隣り合う吸引口11aと吸引口11a、吸引口11aと吸引口11b、及び、吸引口11bと吸引口11bにおける端から端までの最短距離は、通常、15mm以下、好ましくは10mm以下とされる。本実施態様において、隣り合う吸引口11a,11bの端から端までの最短距離は、4.5〜6mmの範囲となっている。
上下仕切体11の設置深さは、上下仕切体11の寸法や吸引手段の能力等によっても異なり、特に限定されない。しかし、上下仕切体11の設置深さを浅くしすぎて高位吸引口11bが水面よりも完全に高い位置となると、高位吸引口11を設けた意味がなくなってしまう。このため、上下仕切体11の設置深さは、通常、高位吸引口11が水面下となる範囲で設定される。一方、上下仕切体11の設置深さを深くしすぎると、高位吸引口11aに水面付近の浮遊物が吸引されにくくなり、高位吸引口11を設けた意義が低下する。このため、上下仕切体11の設置深さは、高位吸引口11が水面下の深い位置となりすぎない範囲で設定される。具体的に、上下仕切体11の直径が25cm程度で、吸引手段として吸水量200〜300cc/s程度で消費電力480W程度の低水位排水ポンプを使用した場合について言えば、上下仕切体11は、水面(静水状態)から高位吸引口11bまでの深さが0.5〜3mm程度、水面(盛衰状態)から低位吸引口11aまでの深さが1〜4mm程度となる深さに設置すると好ましい。
ところで、上下仕切体11の上面における吸引口11a,11bの周囲(吸引口11a,11bと水平仕切体12との間の部分)は、平坦に形成してもよいが、本実施態様においては、図1〜3に示すように、環状の低壁部15を、上下仕切体11の上面における吸引口11a,11bの周囲を囲む部分に設けている。この低壁部15は、図1に示すように、その全体が水面下に沈んだ状態となるように設けられる。低壁部15の高さは、水面下に沈んだ状態となるのであれば、特に限定されないが、通常、高位吸引口11bと同様の高さに設けられる。この低壁部15によって、上下仕切体11の上側に位置する上層水でもさらに水面に近い場所の水を選択的に吸引口11a,11bに吸引させることが可能になり、浮遊物の回収効率をさらに高めることが可能になる。低壁部15の断面形状は、特に限定されず、例えば矩形状としてもよいが、このように角を有する形状とすると、低壁部15の外方から内方へと上層水が滑らかに導入されにくくなる。このため、低壁部15の断面形状は、角の無い滑らかな形状とすると好ましい。本実施態様において、低壁部15の断面形状は、図1に示すように、その両肩部がアール状に形成された蒲鉾形状としている。
2.水平仕切体
水平仕切体12は、図1に示すように、上下仕切体11の上面から水面上に突出するように設けられており、上下仕切体11の外方から上下仕切体11の上面側を通じて吸引口11a,11bの周辺部に流入する上層水(流入上層水)の流れを部分的に遮るためのものとなっている。この水平仕切体12で流入上層水の流れを部分的に遮ることにより、流入上層水の流速を大きくすることが可能となり、吸引口11a,11bからより遠く離れた場所にある浮遊物が吸引口11a,11bの周辺部に集まりやすくすることができるようになっている。また、本実施態様において、水平仕切体12は、フロート16と同様、浮材(フロート)の機能も発揮するようになっており、上下仕切体11の水深が一定となるように維持する効果や、上下仕切体11が水平となるように維持する効果を奏することができるものとなっている。
水平仕切体12は、1つの部材のみで構成してもよいが、複数の部材で構成することも好ましい。本実施態様においては、図2及び図3に示すように、1つの第一水平仕切体12aと、第一水平仕切体12よりも短い2つの第二水平仕切体12bとで構成している。2つの第二水平仕切体12bは、図3における左右に対称な配置となっている。それぞれの水平仕切体12は、上下仕切体11の外周縁に沿って設けられており、隣り合う水平仕切体12の隙間を通じて、上下仕切体11の外方の水が上下仕切体11の上面側へ流入できるようになっている。
水平仕切体12は、上下仕切体11の外方から上下仕切体11の上面側を通じて吸引口11a,11bの周辺部に流入する流入上層水の流れを部分的に遮ることができるのであれば、その配置は特に限定されないが、上下仕切体11の外周縁に沿って設けると好ましい。というのも、水平仕切体12で流入上層水の流れを部分的に遮るといっても、流入上層水の流路断面積を狭くしすぎると、吸引口11a,11bの周辺部に流入する上層水の絶対的な流量が少なくなり過ぎて、浮遊物を効率的に回収しにくくなるおそれがあるところ、水平仕切体12を上下仕切体11の外周縁に設けると、吸引口11a,11bから水平仕切体12までの距離を確保して、水平仕切体12で流入上層水の流れを部分的に遮っても、流入上層水の流路断面積を確保しやすくなるからである。また、上述したように、水平仕切体12を浮材として機能させる場合には、上下仕切体11を水平に維持した状態で安定させやすくすることもできる。
このとき、上下仕切体11の外周縁におけるどの程度の範囲に水平仕切体12を設けるかは特に限定されない。しかし、既に述べた通り、水平仕切体12を設ける範囲を狭くしすぎると、水平仕切体12を設けたことによる上述した効果が奏されにくくなるおそれがある。このため、上下仕切体11の外周長L(本実施態様においては、図3における点Pを中心とし線分Pを半径とする円周の長さに一致。)に対する水平仕切体12が設けられた区間長L(水平仕切体12が複数の部材で構成されている場合にはその合計の長さ。本実施態様においては、図3における円弧Pの弧長と、円弧Pの弧長と、円弧Pの弧長の合計に一致。)の比L/Lは、0.5以上とすると好ましい。比L/Lは、0.55以上とするとより好ましく、0.6以上とするとさらに好ましい。
一方、水平仕切体12を設ける範囲を広くしすぎると、上下仕切体11の外方から吸引口11a,11bの周辺部へ流入する流入上層水の絶対的な流量が少なくなり、浮遊物の回収効率が低下するおそれがある。このため、比L/Lは、0.9以下とすると好ましい。比L/Lは、0.85以下とするとより好ましく、0.8以下とするとさらに好ましい。本実施態様において、第一水平仕切体12aの区間長(円弧Pの弧長)は、上下仕切体11の外周長Lの1/2とし、第二水平仕切体12bの区間長(円弧Pと円弧Pのそれぞれの弧長)は、上下仕切体11の外周長Lの1/10としているため、比L/Lは、0.7となっている。
水平仕切体12の高さ(上下仕切体11の上面から水平仕切体12の上端までの高さ)は、上下仕切体11の設置深さや、高位吸引口11bの高さ(上下仕切体11の上面から水平仕切体12の上端までの高さ)等によっても異なり、特に限定されないが、通常、高位吸引口11bよりも高くされ、さらには、水面から上下仕切体11までの設置深さよりも大きくなるように設定される。本実施態様において、水平仕切体12の高さは、50mm程度となっている。
水平仕切体12の素材は、特に限定されない。しかし、浮遊物回収装置10を軽量で取り扱いしやすいものとすることや、上述したように水平仕切体12を浮材として利用できるようにすること等を考慮すると、軽い素材を用いると好ましく、水に浮く素材(水に対する見掛け密度が1未満の素材)を用いるとより好ましい。具体的には、発泡スチロール等の発泡樹脂体や、中空な樹脂素材や、木材等が例示される。本実施態様において、水平仕切体12は、発泡スチロールで形成している。水平仕切体12の幅は、水平仕切体12により発現する浮力と、上下仕切体11の設置深さとの兼ね合い等に応じて適宜決定される。
3.吸引手段
吸引手段は、吸引管13の他端(吸引管13の両側の端部のうち吸引口11a,11bに接続されるのとは反対側の端部)に接続される。吸引手段は、吸引口11a,11bを通じて上下仕切体11の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引するためのものとなっている。吸引手段は、水中に設置してもよいが、その場合には、吸引手段に水密構造が要求されるようになり、吸引手段が高価なものとなるおそれがある。このため、吸引管の前記他端を水面上(地上)に取り回し、吸引手段を水面上に配すると好ましい。吸引手段は、各種の水ポンプを使用することができる。本実施態様の浮遊物回収装置10では、吸引手段の設置自由度が高いため、市販されている一般的な排水ポンプを吸引手段として使用することができる。
吸引手段の吸引能力は、浮遊物回収装置10の用途等によっても異なり、特に限定されないが、本発明の浮遊物回収装置10では、浮遊物を効率的に回収することができるため、吸引能力がそれ程高くない吸引手段であっても使用することができる。本実施態様においては、吸引手段の消費電力が480Wとなっており、その吸水量は200〜300cc/秒となっている。
4.吸引管
吸引管13は、吸引手段の吸引圧力に耐え得るものであれば、特に限定されず、各種の管を用いることができる。吸引管13としては、軟質樹脂やゴム等の軟質材料からなる管材のほか、硬質プラスチックや金属等の硬質材料からなる管材を使用することもできる。また、その形態は、単純な円筒状に限定されず、コルゲート管等を使用することもできる。水平仕切体11が所定以上浮き上がらないようにするため、あるいは吸引管13自体が浮かないようにするために、吸引管13に錘を取り付けたり、吸引管13を紐材等の連結材で固定構造物や重量物に連結したりすることもできる。
5.フロート
フロート16は、浮遊物回収装置10を水面付近に浮かんだ状態に維持するためのものとなっている。フロート16の配置や形態は、特に限定されないが、本実施態様においては、図1〜3に示すように、上下仕切体11の下面における周縁に沿った箇所に環状に設けている。このように、フロート16を環状に配することにより、上下仕切体11を水平に維持することが容易となる。フロート16の素材は、特に限定されないが、通常、水に浮く素材(水に対する見掛け密度が1未満の素材)が用いられる。具体的には、発泡スチロール等の発泡樹脂体や、中空な樹脂素材や、木材等が例示される。本実施態様において、フロート16は、発泡スチロールで形成している。
6.その他
以上においては、水平仕切体12を浮材として機能させる例について説明したが、水平仕切体12以外の浮材を別途設けてもよい。また、吸引管13のほか、水平仕切体11等の他の部材に錘を取り付けたり、当該他の部材を紐材等の連結材で固定構造物や重量物に連結したりしてもよい。さらに、吸引口11a,11bの周辺部や、上下仕切体11の周囲には、ゴミ取り用のフィルター等を設けてもよい。これにより、吸引口11a,11bがゴミで詰まったり、ゴミが原因で吸引手段が故障したりするのを防止することが可能になる。
さらにまた、吸引手段の後段には、吸引手段で吸引された水(上層水)から浮遊物を分離するための浮遊物分離手段を設けることも好ましい。これにより、吸引手段が吸引した水を綺麗な状態として水域に排出することが可能になる。浮遊物分離手段の構造は、浮遊物の種類等によっても異なり、特に限定されない。例えば、回収対象の浮遊物が油である場合には、谷口商会株式会社製の吸着剤「スミレイ(登録商標)」等の油吸着材を利用した濾過装置を浮遊物分離手段として好適に使用することができる。
6.用途
本発明の浮遊物回収装置10は、その用途を限定されるものではなく、水面上の浮遊物を回収する必要のある幅広い用途に用いることができる。なかでも、油やベンゼンやトルエン等、水よりも軽く疎水性を有する液体を回収するものとして好適である。また、その設置箇所は、沼湖や河川等の自然水域だけでなく、工場や水処理施設における油水分離槽等の各種処理槽のほか、導水溝や貯水槽、船舶のバラストタンク等、人工水域や各種設備においても用いることができる。
本発明の浮遊物回収装置10を河川等の流速の速い水域に設置する場合には、堰(水面付近の上層水の流れのみを堰き止めて、その下側の下層水は通過させる浮遊堰であってもよい。)を設置する等して、水面付近の上層水が滞留する場所を作り、その上層水の滞留する箇所に浮遊物回収装置を設置することも好ましい。本発明の浮遊物回収装置10は、静止水域(水の流速が実質的に0m/s)において、最もその性能を発揮することができる。
10 浮遊物回収装置
11 上下仕切体
11a 低位吸引口(吸引口)
11b 高位吸引口(吸引口)
11c 吸引孔
11d 吸引孔
12 水平仕切体
12a 第一水平仕切体
12b 第二水平仕切体
13 吸引管
14 環状凸部
14a 上端開口
15 低壁部
16 フロート
ΔH 低位吸引口と高位吸引口との高低差

Claims (6)

  1. 水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置であって、
    水面付近の上層水とその下側にある下層水とを隔てるための上下仕切体と、
    上下仕切体の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられた低位吸引口、及び、上下仕切体の上面側における水面下となる位置であって低位吸引口よりも高い位置に上向きに設けられた高位吸引口を通じて、上下仕切体の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引するための吸引手段と、
    を備えたことを特徴とする浮遊物回収装置。
  2. 高位吸引口が、上下仕切体の上面に設けられた環状凸部の上端開口とされた請求項1記載の浮遊物回収装置。
  3. 上下仕切体の外方から低位吸引口及び高位吸引口の周辺部に流入する上層水の流れを部分的に遮ることによって前記周辺部に流入する上層水の流れを規制するための水平仕切体が、上下仕切体の上面から水面上に突出するように設けられた請求項1又は2記載の浮遊物回収装置。
  4. 水平仕切体が、上下仕切体の外周縁に沿って設けられ、
    上下仕切体の外周長Lに対する水平仕切体が設けられた区間長Lの比L/Lが、0.5〜0.9とされた請求項3記載の浮遊物回収装置。
  5. 低位吸引口及び高位吸引口の周囲を囲む環状の低壁部が、上下仕切体の上面に設けられた請求項1〜4いずれか記載の浮遊物回収装置。
  6. 水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収方法であって、
    水面付近の上層水とその下側にある下層水とを上下仕切体によって隔て、
    上下仕切体の上面側における水面下となる位置に上向きに設けられた低位吸引口、及び、上下仕切体の上面側における水面下となる位置であって低位吸引口よりも高い位置に上向きに設けられた高位吸引口を通じて、上下仕切体の上側にある上層水を浮遊物とともに下方へ吸引することを特徴とする浮遊物回収方法。
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