JP2022132734A - 浮遊物回収装置及び浮遊物回収方法 - Google Patents

浮遊物回収装置及び浮遊物回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水面付近の浮遊物を、回収後に水から分離しやすい状態で、しかも効率的に回収することができる浮遊物回収装置を提供する。【解決手段】水面付近の浮遊物Fを回収するための浮遊物回収装置1を、水面付近に配することにより、その上面に形成された上層水流入部12aに水面付近の上層水を流入させることができる上層水案内部材12と、上層水と共に上層水流入部12aに流入した浮遊物Fを、下向きの吸引口11bで水面の上側から吸引することができる浮遊物吸引体11とを備えたものとし、上層水流入部12aの周囲を仕切壁13で仕切るとともに、仕切壁13における、浮遊物吸引体11から見て一側に、上層水を上層水流入部12aへと取り込むための上層水取込口13aを設けた。【選択図】 図2

Description

本発明は、水面付近の浮遊物を、水面付近の上層水と共に回収する浮遊物回収装置と、この浮遊物回収装置を用いた浮遊物回収方法とに関する。
従来、水面付近に浮かぶ油等の浮遊物を回収するための各種の装置が提案されている。
例えば、特許文献1の図1には、タンク82に貯留された使用済みの水溶性クーラント90の液面に浮かぶ浮上油91を回収する浮上油回収装置1が記載されている。この浮上油回収装置1は、同図に示されるように、浮上油91をクーラント90と共に吸入するスキマ30と、スキマ30から吸引したクーラント90と浮上油91を移送するポンプ81と、ポンプ81で移送されたクーラント90から浮上油91を分離させる油分離槽50とを備えている。スキマ30は、同文献の図2に示されるように、基板31と、基板31の上部に配設される浮体32と、基板31の中央に形成された吸込口38と、吸込口38の下方に接続されたホース61とを備えている。ホース61の端部は、支持部68及び配管経路62を介して、ポンプ81(同文献の図1を参照)につながっている。浮上油91は、ポンプ81の吸引力によって、吸込口38からクーラント90と共に吸引され、油分離槽50へと送られる。これにより、浮上油91を効率良く回収することができるとされている。
特開2017-077535号公報 特開2009-254940号公報
ところが、特許文献1に記載の浮上油回収装置1では、油分離槽50における浮上油91とクーラント90との分離に時間を要するという問題があった。というのも、同装置のように、水面の下側から吸引するタイプの装置では、浮上油91を吸引する際に吸込口38内に渦が生じやすく、これにより浮上油91とクーラント90とが激しく攪拌されて乳化してしまい、分離しにくい状態となるからである。
この点、特許文献2の図1には、水面上の浮遊物71を、水面の上側から吸引するタイプの浮遊物回収装置が記載されている。この浮遊物回収装置は、同図に示されるように、下向きの吸引口11(同文献の図2を参照)を有する浮遊物吸引手段(ポンプ)10と、吸引口11bの下側に配され、水面付近にない水70が吸引口11に吸引されないように水面付近の水70とその下側の水70とを分け隔てるための仕切板20と、仕切板20に作用する浮力を調整するための浮力調整手段30とを備えている。浮遊物71を回収する際には、浮力調整手段30によって仕切板20に作用する浮力を調整することで、浮遊物吸引手段10の吸引口11(同文献の図2を参照)を水面に接触させ、浮遊物71を水面付近の水70と共に上方に向かって吸引する。このように、水面の上側から吸引するタイプの装置では、水面の下側から吸引するタイプの装置に比べて渦が発生しにくいため、浮遊物71と水70との乳化を防ぎやすい。
しかし、特許文献2に記載の浮遊物回収装置は、浮遊物の回収に時間がかかる場合があるという課題を有していた。というのも、同文献に記載の浮遊物回収装置のように、水面の上側から吸引するようにすると、水面の下側から吸引する場合に比べて、浮遊物吸引手段(ポンプ)10にかかる負荷が大きくなり、浮遊物を効率的に回収できない場合があったからである。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、水面付近の浮遊物を、回収後に水から分離しやすい状態(乳化しにくい状態)で、しかも効率的に回収することができる浮遊物回収装置を提供するものである。この浮遊物回収装置を用いた浮遊物回収方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置であって、
水面付近に配することにより、その上面に形成された上層水流入部に水面付近の上層水を流入させることができる上層水案内部材と、
上層水と共に上層水流入部に流入した浮遊物を、下向きの吸引口で水面の上側から吸引することができる浮遊物吸引体と
を備え、
上層水流入部の周囲が仕切壁で仕切られるとともに、仕切壁における、浮遊物吸引体から見て一側に、上層水を上層水流入部へと取り込むための上層水取込口が設けられた
ことを特徴とする浮遊物回収装置
を提供することによって解決される。
上記の浮遊物回収装置は、浮遊物を水面の上側から吸引して回収するものであるため、吸引時に渦を起こしにくい。したがって、浮遊物が油等である場合にも、浮遊物と水との乳化を抑えることができ、回収後に水から分離しやすい状態で浮遊物を回収することができる。しかし、上述したように、水面の上側から吸引するようにすると、吸引力が弱くなりがちである。この点、上記の浮遊物回収装置では、上層水案内部材の上層水流入部に流入した上層水と浮遊物とを浮遊物吸引体で吸引するようにしているため、浮遊物と共に浮遊物吸引体から吸引される水の量を少なくすることができる。これにより、弱い吸引力であっても効率的に浮遊物を回収することができる。加えて、上記の浮遊物回収装置においては、仕切壁と上層水取込口とを設けて上層水の流入箇所を絞っていることにより、上層水取込口から浮遊物吸引体へと向かう上層水の流れを定常的に(連続的に)発生させることができる。これにより、上層水の流れに乗せて、浮遊物を浮遊物吸引体に引き寄せることができ、より効率的に浮遊物を回収することができる。
本発明に係る浮遊物回収装置においては、浮遊物吸引体の外周と仕切壁との間に、上層水取込口から遠ざかるにつれて幅が狭くなる絞り部を形成すると好ましい。絞り部では、それよりも手前の箇所に比べて、上層水の流れが速くなりやすい。これにより、浮遊物をより効果的に浮遊物吸引体へと引き寄せることができる。
本発明に係る浮遊物回収装置においては、上層水取込口から取り込まれる上層水の流れを部分的に遮ることができる切体をさらに備えることも好ましい。これにより、上層水取込口から取り込まれる上層水の流れを速くすることができ、より効果的に浮遊物を浮遊物吸引体へと引き寄せることができる。
本発明に係る浮遊物回収装置においては、上層水流入部の一側が他側よりも低くなるように、上層水案内部材を水面に対して傾斜させる案内部材傾斜手段をさらに備えると好ましい。これにより、上層水が上層水流入部に安定して流入しやすくすることができ、浮遊物をより安定的に回収することができる。
本発明に係る浮遊物回収装置においては、浮遊物吸引体の他側から上層水が吸引されることを抑制するための他側吸引抑制手段他側吸引抑制手段をさらに備えると好ましい。これにより、浮遊物吸引体の吸引力が他側に分散することを防いで(浮遊物吸引体の吸引力が及ぶ範囲を絞って)、上層水取込口から浮遊物吸引体へと向かう上層水の流れをより効率的に生じさせることができる。
ところで、本発明に係る浮遊物回収装置は、地面に直接的又は間接的に固定された状態(例えば、排水トラップの壁部等に固定された状態)で使用するものであってもよい。しかし、浮遊物回収装置を、上層水案内部材を水面付近に浮かべるための浮遊用フロートを備えたものとして、水面付近に浮かべた状態で使用すると、水位の変化等に柔軟に対応することができるため好ましい。この場合には、さらに、上層水案内部材とは独立して水面に追随することができる安定化用フロートを備えることが好ましい。これにより、上層水案内部材を水面に対して安定させやすくすることができる。
以上で説明した浮遊物回収装置は、水面付近の浮遊物を、水面付近の上層水と共に回収する浮遊物回収方法に好適に用いることができる。
以上のように、本発明によって、水面付近の浮遊物を、回収後に水から分離しやすい状態で、しかも効率的に回収することができる浮遊物回収装置を提供することが可能になる。また、この浮遊物回収装置を用いた浮遊物回収方法を提供することも可能になる。
浮遊物回収装置の全体を模式的に示した図である。 浮遊物回収装置における浮遊物回収部周辺の斜視図である。 図2の浮遊物回収部を用いて浮遊物を回収しようとしている様子を、同図のA-A線に相当する箇所で切断して示した図である。 図2の浮遊物回収部から取り外した浮遊物吸引体を裏返して見た斜視図である。 図2の浮遊物回収部の平面図であって、浮遊物回収部の上に調節用錘を載せた状態を示した図である。 浮遊物回収部の他の実施形態を示す平面図である。
本発明の好適な実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。いくつかの図面には、x軸、y軸及びz軸を表示しており、これらの軸は図面間で略一致させている。以下においては、説明の便宜上、x軸方向正側を「右」、x軸方向負側を「左」、y軸方向負側を「前」、y軸方向正側を「後」、z軸方向正側を「上」、z軸方向負側を「下」と呼ぶことがある。ただし、本明細書における「右」という言葉は、x軸方向正側に一致する方向だけを意味するものではなく、より広い範囲の方向を意味するものとする。同様に、「左」はx軸方向負側に一致する方向だけを意味するものではなく、「前」はy軸方向負側に一致する方向だけを意味するものではなく、「後」はy軸方向正側に一致する方向だけを意味するものではなく、「上」はz軸方向正側に一致する方向だけを意味するものではなく、「下」はz軸方向負側に一致する方向だけを意味するものではない。
1.概要
図1は、浮遊物回収装置1の全体を模式的に示した図である。本実施形態の浮遊物回収装置1は、図1に示すように、浮遊物回収部10と、移送管20と、ポンプ30と、貯留タンク40とを備えている。浮遊物回収部10は、移送管20を介してポンプ30に接続されており、ポンプ30が発生させる吸引力によって水面付近に浮かぶ浮遊物F(例えば、油膜状に広がる油状物質等)を、水面付近の上層水と共に吸引して回収する。回収された浮遊物Fは、移送管20を通じて上層水と共に貯留タンク40へと移送され、貯留タンク40内で上層水から分離される。分離された浮遊物Fは、その後適切に処理される。
2.浮遊物回収部
図2は、浮遊物回収装置1における浮遊物回収部10周辺の斜視図である。図3は、図2の浮遊物回収部10を用いて浮遊物Fを回収しようとしている様子を、同図のA-A線に相当する箇所で切断して示した図である。図3においては、図示の都合上、いくつかの部分を省略している。図4は、図2の浮遊物回収部10から取り外した浮遊物吸引体11を裏返して見た斜視図である。図5は、図2の浮遊物回収部10の平面図であって、浮遊物回収部10の上に調節用錘16を載せた状態を示した図である。図5においては、安定化用フロート15を省略している。
本実施形態における浮遊物回収部10は、図2に示すように、浮遊物吸引体11と、上層水案内部材12と、仕切壁13と、浮遊用フロート14と、安定化用フロート15とを備えており、図3に示すように、水に浮かべた状態で使用される。
浮遊物吸引体11は、浮遊物Fを上層水と共に吸引するための部分であり、移送管20を介してポンプ30(図1)に接続されている。浮遊物吸引体11の底面11aには、図4に示すように、複数箇所の吸引口11bが設けられている。上層水案内部材12は、図3に示すように、その上面が水面Sに対してやや傾斜した状態で水面付近に配され、その上面に形成された上層水流入部12aに上層水を流入させることで、上層水を浮遊物吸引体11へと案内するための部材である。仕切壁13は、図2に示すように、上層水流入部12aの周囲を仕切る(囲う)ための部分である。仕切壁13における、浮遊物吸引体11から見て一側(浮遊物吸引体11の前方)には、上層水流入部12aに上層水を取り込むための開口部である上層水取込口13aが設けられている。
この浮遊物回収部10を、図3に示すように水に浮かべて、ポンプ30(図1)を作動させると、上層水流入部12aに流入した上層水が、浮遊物吸引体11の底面11aの吸引口11b(図4)から上向きに吸引される。すると、上層水流入部12a内の上層水が減少するため、浮遊物吸引体11の一側(前方)にある上層水取込口13aから新たな上層水が取り込まれる。これにより、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11へと向かう上層水の流れが発生する。水面付近の浮遊物Fは、この流れに乗って浮遊物吸引体11へと引き寄せられ、吸引口11bから吸引される。
このように、本発明に係る浮遊物回収装置1では、浮遊物Fを水面Sの上側から吸引して回収するため、吸引時に渦が起こりにくく、浮遊物Fが油状物質等である場合にも、浮遊物Fと水とが乳化しにくい。したがって、貯留タンク40(図1)において、回収後の浮遊物Fを水から分離しやすくすることができる。しかし、既に述べたように、水面Sの上側から吸引するようにすると、ポンプ30の吸引力が弱くなりがちである。この点、本発明に係る浮遊物回収装置1では、上層水案内部材12を設けたことにより、上層水よりも下側にあり浮遊物Fをほとんど含まない下層水が浮遊物吸引体11に供給されにくくして、浮遊物Fと共に吸引される水の量を少なくすることができる。したがって、弱い吸引力でも浮遊物Fを効率的に回収することができる。さらに、本発明に係る浮遊物回収装置1では、仕切壁13を設けて、上層水流入部12aへの上層水の流入箇所を限定していることにより、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11へと向かう定常的な(連続的な)上層水の流れを生じさせることができる。これにより、浮遊物Fを浮遊物吸引体11へと引き寄せて効率的に回収することができる。
ところで、浮遊物Fの回収効率は、上層水流入部12a内の水深や、水面Sに対する上層水案内部材12の傾斜角度の影響を受ける。上層水流入部12a内の水深と上層水案内部材12の傾斜角度とが共に、浮遊物Fの吸引に適した範囲内にあると(以下、この状態のことを「吸引好適状態」と呼ぶことがある。)、浮遊物Fを、上層水及び少量の空気と共に、大きな音を立てることなく静かに滑らかに吸引することができる。本実施形態においては、後で詳しく説明するように、図5に示す調節用錘16を浮遊物回収部10の上に載せて、浮遊物回収部10にかかる浮力を調節することによって、上層水流入部12a内の水深と、上層水案内部材12の傾斜角度とを調節できるようにしている。
以下、本実施形態の浮遊物回収部10の各部について、より詳しく説明する。
2.1 浮遊物吸引体
本実施形態における浮遊物吸引体11は、既に述べたように、その底面11aに吸引口11b(図4)を有している。吸引口11bの数は特に限定されず、1つだけであってもよいが、複数箇所設けることが好ましい。これにより、浮遊物Fをより安定して連続的に吸引しやすくすることができる。吸引口11bは、5箇所以上設けることが好ましく、10箇所以上設けることがより好ましい。吸引口11bの数に上限はないが、通常、50箇所以下とされる。
浮遊物吸引体11は、図3に示すように、吸引口11bを有する底面11aが上層水案内部材12の上面(上層水流入部12a)と向かい合う状態で、浮遊物回収部10に取り付けられる。浮遊物吸引体11を浮遊物回収部10に取り付ける方法は特に限定されないが、本実施形態における浮遊物吸引体11は、図2に示すように、ネジ状の固定手段11cで上層水案内部材12の上面に固定されている。浮遊物吸引体11の底面11aと上層水案内部材12の上面との間には、図3の拡大図に示すように、隙間10aを設けている。上層水流入部12aに流入した上層水や浮遊物Fは、この隙間10aから浮遊物吸引体11の下側に浸入し、底面11aに設けられた下向きの吸引口11b(図4)から吸引される。浮遊物吸引体11の外周には、図2に示すように、網11dが巻き付けてあり、網11dの目よりも大きな異物が隙間10aに浸入することを防いでいる。
浮遊物吸引体11全体の形状は、特に限定されない。本実施形態における浮遊物吸引体11は、図4に示すように、略円柱形に形成されている。これにより、浮遊物吸引体11の外周と仕切壁13との間には、図5に示すように、上層水取込口13aから遠ざかるにつれて(上層水取込口13aから他側に行くにつれて)幅が狭くなる絞り部10bが形成されている。この絞り部10bを設けると、上層水流入部12aに流入した浮遊物Fが、絞り部10bに引き込まれるようにして浮遊物吸引体11に強く引き寄せられ、主に浮遊物吸引体11の左右から吸引されるようになる。これは、上層水の流れが絞り部10b内で加速されることによるものと推察される。これにより、浮遊物Fをより一層強く浮遊物吸引体11へと引き寄せて吸引することができる。
絞り部10bは、一側から他側に行くにつれてその幅が狭くなるようになっていれば、その具体的な形状を特に限定されない。絞り部10bの幅は、一側から他側に行くにつれて段階的に狭くなるようにしてもよいが、一側から他側に行くにつれて連続的に(滑らかに)狭くなるようにすると好ましい。絞り部10bの幅は、一側から他側にかけて略一定の割合で減少するようにしてもよいが、一側から他側に行くにつれて、幅の減少割合が少なくなるようにすると、より効果的に浮遊物Fを引き寄せることができるため好ましい。これは、例えば、絞り部10bの一対の側壁のうち、少なくとも一方を凸状の略曲面状とすることで実現することができる。より具体的には、例えば、絞り部10bの側壁を、円弧や、楕円弧や、二次関数曲線や、指数関数曲線等に沿った凸状の略曲面状とすることができる。本実施形態においては、絞り部10bの一対の側壁のうち、一方の浮遊物吸引体11の外周壁は円弧に沿う曲面状に形成されており、他方の仕切壁13の内周壁は略平面状に形成されている。
絞り部10bは、1箇所だけ設けてもよいが、本実施形態においては、浮遊物吸引体11の両側に1箇所ずつ、合計2箇所の絞り部10bを設けている。絞り部10bにおける最も狭い箇所の幅(浮遊物吸引体11と仕切壁13との距離)Wも特に限定されない。幅Wは、5cm以下とすると好ましく、3cm以下とするとより好ましく、2cm以下とするとさらに好ましい。幅Wの下限は、特になく、0cmとしてもよい。本実施形態においては、幅Wを0.5~1.5cm程度としている。
ところで、絞り部10bを設けると、浮遊物吸引体11の外周における絞り部10bに近い部分(例えば、左右)から、浮遊物Fのほとんどが吸引されるようになり、浮遊物吸引体11の外周における絞り部10bから遠い部分(例えば、前方)からは、ほとんど水だけが吸引されるようになることがある。この場合には、浮遊物吸引体11の外周における絞り部10bから遠い部分(例えば、一側(前側)中央部分)に、水の吸引を妨げるための吸引防止体を設けてもよい。これにより、浮遊物Fと共に吸引される水の量をさらに減らすこともできる。
浮遊物吸引体11は、その底面11a(図3の拡大図)が上層水案内部材12の上面に対して略水平となるようにしてもよい。本実施形態においては、浮遊物吸引体11の一側端(前端)と上層水案内部材12の上面との距離が、浮遊物吸引体11の他側端(後端)と上層水案内部材12の上面との距離よりも大きくなるように、浮遊物吸引体11を上層水案内部材12の上面に対して傾斜させている。これにより、浮遊物吸引体11の底面11aと上層水案内部材12との隙間10aが一側(前方)に向かって広がるようにして、浮遊物吸引体11の一側にある上層水を吸引しやすくすることができる。したがって、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11へと向かう上層水の流れをより効率的に生じさせることができる。
加えて、吸引口11bを複数箇所設けた場合においては、浮遊物吸引体11を傾斜させることによって、浮遊物Fをより安定して吸引することができるようになる。というのも、浮遊物Fを吸引するうえでは、上層水の水面Sを吸引口11bに接触させた状態とすることが好適であるところ、浮遊物吸引体11を傾斜させると、上層水流入部12a内の水深や上層水案内部材12の傾斜角度が多少変動したとしても、複数の吸引口11bのいずれかに上層水の水面Sを接触させやすくなるからである。これにより、波や風で浮遊物回収部10が多少揺らいだとしても、浮遊物Fを連続的に安定して吸引することができる。
上層水案内部材12の上面に対する、浮遊物吸引体11の底面11aの傾斜角度θ(図3の拡大図)は、特に限定されない。ただし、傾斜角度θを小さくしすぎると、上記の効果を得にくくなるおそれがある。このため、傾斜角度θは、0.5°以上とすると好ましく、0.7°以上とするとより好ましく、1.0°以上とするとさらに好ましい。一方、傾斜角度θを大きくしすぎると、水面付近に配される吸引口11bの数が少なくなり、却って浮遊物Fの回収効率を高めにくくなるおそれがある。このため、傾斜角度θは、10°以下とすると好ましく、7°以下とするとより好ましく、5°以下とするとさらに好ましい。本実施形態においては、傾斜角度θを、1.5~3°程度としている。
浮遊物吸引体11の底面11aの傾斜角度θ(図3の拡大図)は、調節できるようにしておくことが好ましい。傾斜角度θを調節する方法は、特に限定されない。本実施形態においては、図4に示すように、浮遊物吸引体11の底部に、3箇所のスペーサー11eを設けており、各スペーサー11eの突出量(z軸方向負側への突出量)を変化させることによって、傾斜角度θを調節することができるようにしている。なお、図3においては、図示の都合上、このスペーサー11eを省略している。
浮遊物吸引体11の底面11aと上層水案内部材12の上面との間の隙間10a(図3の拡大図)は、浮遊物吸引体11の底面11aの周縁部全体にわたって設けてもよい。この場合には、浮遊物吸引体11の周縁部全体から上層水を吸引することができる。ただし、浮遊物吸引体11の他側における上層水の吸引は、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11へと向かう上層水の流れを生じさせることに対する寄与が相対的に小さいと考えられる。
このため、本実施形態においては、浮遊物吸引体11の他側から上層水が吸引されることを抑制するための他側吸引抑制手段を設けている。具体的には、図4に示すように、浮遊物吸引体11の底面11aの周縁部他側に帯状の凸部11fを設け、この凸部11fを、図3の拡大図に示すように、上層水案内部材12の上面に接触させて、浮遊物吸引体11の他側と上層水案内部材12の上面との間を塞いでいる。これにより、浮遊物吸引体11の吸引力が他側に分散することを防いで(吸引力が及ぶ範囲を絞って)、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11へと向かう上層水の流れをより効率的に生じさせることができる。本実施形態においては、凸部11fを、ゴム弾性を有する素材(例えば、合成ゴムや、天然ゴムや、ゴム状樹脂等)で形成している。これにより、凸部11fを上層水案内部材12の上面に密着させやすくなり、浮遊物吸引体11の吸引力が分散することをよりしっかりと防ぐことができる。
底面11aの周縁部のうち、どの程度の範囲に凸部11f(図4)を設けるかは、特に限定されない。ただし、凸部11fを設ける範囲を狭くしすぎると、上記の効果が得られにくくなるおそれがある。このため、凸部11fを設ける範囲は、底面11aの周縁部の1割以上とすると好ましく、2割以上とするとより好ましい。一方、凸部11fを設ける範囲を広くしすぎると(すなわち、隙間10aを設ける範囲を狭くしすぎると)、吸引口11bに供給される上層水が少なくなりすぎるおそれがある。このため、凸部11fを設ける範囲は、底面11aの周縁部の5割以下とすることが好ましく、4割以下とすることがより好ましい。本実施形態においては、凸部11fを設ける範囲を、底面11aの周縁部の3割程度としている。凸部11fの高さH(図4)も特に限定されない。高さHは、通常、0.5~10mm程度とされ、好ましくは1~5mm程度とされる。
2.2 上層水案内部材
本実施形態における上層水案内部材12は、図2に示すように、平板状を為しており、その上面が滑らかな平面状の上層水流入部12aとなっている。上層水案内部材12の一側端には、一側に傾斜したテーパー面12bが設けられている。これにより、上層水流入部12aへと上層水を滑らかに取り込むことができる。上層水案内部材12の素材は、特に限定されない。上層水案内部材12は、例えば、樹脂や、ゴムや、木や、金属等で形成することができる。本実施形態においては、上層水案内部材12を樹脂で形成している。これにより、上層水案内部材12を腐食されにくくすることができるとともに、上層水案内部材12の成形を容易にすることもできる。
本実施形態においては、図2に示すように、上層水流入部12aの一側端における左右方向中央部分(上層水取込口13aの中間部分)に、仕切体17を設けている。この仕切体17により、上層水取込口13aから取り込まれる上層水の流れを部分的に遮ることができ(すなわち、上層水が通過できる領域の幅を狭めることができ)、上層水の流れを加速させて浮遊物Fをより強く引き込むことができる。なお、図3においては、図示の都合上、この仕切体17を省略している。
仕切体17は、その形状を特に限定されない。仕切体17は、円柱状、楕円柱状、多角柱状(例えば、平面視略ひし形の四角柱状等)等とすることができる。発明者らが行った実験では、仕切体17を円柱状とすると、平面視略ひし形の四角柱状とした場合に比べて、浮遊物Fをより強く引き込むことができた。このため、本実施形態においては、仕切体17を円柱状としている。
仕切体17の大きさも、特に限定されない。しかし、仕切体17を小さくしすぎると、上記の効果が得られにくくなるおそれがある。このため、仕切体17の左右幅W(図5)は、2cm以上とすることが好ましく、3cm以上とすることがより好ましく、3.5cm以上とすることがさらに好ましい。また、仕切体17の左右幅Wの、上層水取込口13aの左右幅W(図5)に対する比W/Wは、0.05以上とすることが好ましく、0.1以上とすることがより好ましい。一方、仕切体17を大きくしすぎると、上層水取込口13aから取り込まれる上層水の量が少なくなりすぎるおそれがある。このため、仕切体17の左右幅Wは、10cm以下とすることが好ましく、7cm以下とすることがより好ましい。また、比W/Wは、0.3以下とすることが好ましく、0.2以下とすることがより好ましい。本実施形態においては、仕切体17の左右幅Wを4~4.5cm程度としており、比W/Wを0.15程度としている。
浮遊物Fの回収を行う際には、浮遊物回収部10を水に浮かべて、上層水流入部12a内に上層水を流入させるが、このときの上層水流入部12a内の水深は、特に限定されない。ただし、上層水流入部12a内の水深が浅すぎると、浮遊物吸引体11に充分な量の上層水が供給されず、浮遊物吸引体11が空気を多く吸引するようになってしまい、浮遊物Fの回収効率を高めにくくなるおそれがある。一方、上層水流入部12a内の水深が深すぎると、浮遊物吸引体11が上層水だけでなく下層水も吸引するようになってしまい、やはり浮遊物Fの回収効率を高めにくくなるおそれがある。
このため、上層水流入部12a内の水深は、最も浅いところで、0~2cm程度とすることが好ましく、0~1.5cm程度とすることがより好ましく、0~1cm程度とすることがさらに好ましい。また、最も深いところで、0.5~5cm程度となるようにすることが好ましく、0.7~4cm程度となるようにすることがより好ましく、1~3cm程度となるようにすることがさらに好ましい。
浮遊物回収部10を水に浮かべる際(上層水案内部材12を水面付近に配する際)には、上層水流入部12aが水面S(水平方向)に対して略平行となるようにしてもよい。しかし、図3に示すように、上層水流入部12aの一側(上層水取込口13aが設けられた箇所)が他側(浮遊物吸引体11が設けられた箇所)よりも低くなるように、上層水案内部材12を水面Sに対して傾斜させると好ましい。これにより、上層水流入部12aに上層水及び浮遊物Fが安定して流入するようにしながらも、浮遊物吸引体11に供給される上層水の量を絞ることができ、浮遊物Fを効率的に回収することができる。
また、このときには、上層水案内部材12の一側(上層水取込口13aがある側)を、水面Sに形成される波の来る方向に向けるようにすると好ましい。これにより、浮遊物回収部10の長手方向(すなわち、本実施形態においては前後方向)に沿って波が進むようになるため、波の波頭(ピーク)が上層水案内部材12の下に2つ以上ある状態を維持しやすくなり、上層水案内部材12を前後方向に揺れにくくすることができる。したがって、上層水流入部12aに大量の水が流入したり、逆に水が流入しなくなったりすることを抑えることができる。
上層水案内部材12の上面の水面S(水平方向)に対する傾斜角度θ(図3)は、特に限定されない。ただし、傾斜角度θを小さくしすぎると、上記の効果を得にくくなるおそれがある。このため、傾斜角度θは、0.3°以上とすると好ましく、0.5°以上とするとより好ましく、0.7°以上とするとさらに好ましい。一方、傾斜角度θを大きくしすぎると、下層水が上層水流入部12aに流入しやすくなるおそれがある。このため、傾斜角度θは、5°以下とすると好ましく、4°以下とするとより好ましく、3°以下とするとさらに好ましい。本実施形態においては、傾斜角度θを1~2°程度としている。
上層水案内部材12を水面Sに対して傾斜させる手段(案内部材傾斜手段)は、その具体的な態様を特に限定されない。案内部材傾斜手段としては、例えば、浮遊物回収部10に一体的に取り付けた錘等を採用してもよいが、本実施形態においては、図5に示すように、浮遊物回収部10とは別体の調節用錘16を採用している。この調節用錘16は、重さの異なる複数種類のものを用意してあり、仕切壁13における浮遊物吸引体11よりも一側(前側)又は他側(後側)に載せて使用する。このように、調節用錘16を浮遊物回収部10に載せるだけにしておくと、調節用錘16の重さや位置を変えるだけで、上層水案内部材12の傾斜角度を手軽に調節することができる。より具体的には、例えば、調節用錘16に糸(錘保持具)の一端を取り付け、その他端を浮遊物回収部10よりも上方で保持するようにすると、浮遊物回収部10に載せる調節用錘16の重さや位置を、離れた箇所からでも手軽に調整することができる。調節用錘16は、浮遊物吸引体11の一側と他側の両方に載せてもよいし、一方だけに載せてもよい。
ただし、調節用錘16を浮遊物回収部10に載せただけの状態では、風や波等で浮遊物回収部10が揺れた際に、調節用錘16が滑り落ちるおそれがある。この点、本実施形態においては、図2に示すように、浮遊物回収部10における浮遊物吸引体11の一側及び他側のそれぞれに、落下防止用棒10c(落下防止用被係合部)を設けている。図5に示すように、この落下防止用棒10cに、調節用錘16に設けた落下防止用穴16a(落下防止用係合部)を通す(係合させる)ことによって、調節用錘16が滑り落ちにくくすることができる。
調節用錘16は、所望の重量を有していれば、その形状を特に限定されない。本実施形態における調節用錘16は、上層水流入部12aの左右幅よりも長い棒状に形成している。これにより、図5に示すように、上層水流入部12aの上に(上層水流入部12aの左右の仕切壁13の上に)調節用錘16を橋渡しすることができ、調節用錘16が上層水流入部12a内の上層水に干渉しにくくすることができる。調節用錘16の素材も特に限定されず、金属や、木や、樹脂や、ゴム等とすることができる。
なお、浮遊物回収部10に載せる調節用錘16の総重量を変えると、浮遊物回収部10にかかる浮力の強さを変えることができる。これにより、上層水流入部12a内の水深を調節することができる。すなわち、本実施形態においては、調節用錘16(案内部材傾斜手段)が、上層水流入部12a内の水深を調節する水深調節手段としても機能している。
上層水案内部材12の傾斜角度や、上層水流入部12a内の水深は、浮遊物回収部10を水に浮かべ、ポンプ30(図1)を稼働させた状態で(浮遊物吸引体11が上層水を吸引している状態で)調節することが好ましい。というのも、ポンプ30で水を吸い上げる前と後では浮遊物回収部10にかかる重さひいては喫水が変わるので、ポンプ30による吸い上げ開始後に調節することで、より正確な調節を行うことが可能になるからである。
2.3 仕切壁
仕切壁13は、上層水流入部12aの周囲を仕切って、上層水流入部12a内に流入した水と、外部の水とを隔てるためのものである。仕切壁13は、その形状を特に限定されない。本実施形態における仕切壁13は、図2に示すように、上層水流入部12aの左端縁を仕切る左側壁部13bと、上層水流入部12aの右端縁を仕切る右側壁部13cと、上層水流入部12aの後端縁を仕切る後側壁部13dとを備えており、左側壁部13b、右側壁部13c及び後側壁部13dのいずれもが、略平面状の内周壁を有している。これにより、上層水流入部12aは、略矩形状を為している。仕切壁13の高さは特に限定されないが、通常、3cm~10cm程度とされ、本実施形態においては、5~6cm程度としている。
左側壁部13bと右側壁部13cは、前述した絞り部10bの側壁を構成しているため、共に浮遊物吸引体11に近接して設けている。加えて、本実施形態においては、図5に示すように、後側壁部13dも浮遊物吸引体11に近接して設けている。これにより、浮遊物回収部10を水に浮かべた際に、浮遊物回収部10を吸引好適状態に維持しやすくすることができる。というのも、仮に、後側壁部13dと浮遊物吸引体11との間を広くした場合(上層水流入部12aにおける浮遊物吸引体11よりも他側の部分を広くした場合)には、浮遊物吸引体11の他側に流入した上層水の重さによって浮遊物回収部10の前後方向のバランスが崩れやすくなり、吸引好適状態を維持しにくくなるおそれがあるところ、後側壁部13dを浮遊物吸引体11に近接して設けることによって、浮遊物吸引体11の他側に流入する上層水を少なくすることができ、浮遊物回収部10の前後方向のバランスを崩れにくくすることができるからである。後側壁部13dと浮遊物吸引体11との距離W(図5)は、特に限定されないが、5cm以下とすると好ましく、3cm以下とするとより好ましい。距離Wの下限は特になく、0cm(後側壁部13dを浮遊物吸引体11に接触させた状態)としてもよい。
ところで、浮遊物回収部10の前後方向のバランスは、浮遊物吸引体11の他側に流入した上層水の重さだけでなく、浮遊物吸引体11の一側に流入した上層水の重さによっても崩れる可能性がある。この点、本実施形態においては、図2に示すように、上層水案内部材12及び仕切壁13における浮遊物吸引体11よりも他側の部分を前後方向に長く確保することによって、上層水流入部12aとのバランスを取るためのバランス部10dを形成している。これにより、浮遊物回収部10の前後方向のバランスを崩れにくくすることができる。バランス部10dの長さ(前後方向における長さ)は、特に限定されないが、通常、上層水流入部12aのうち浮遊物吸引体11の一側に配される部分の前後方向の長さと同程度とされる。
仕切壁13の一側端に設けられた上層水取込口13aは、上層水を取り込むことができるようになっていれば、その形状を特に限定されない。本実施形態においては、図5に示すように、上層水取込口13aの左右幅が一側に行くにつれて広く(一側から他側に行くにつれて狭く)なるようにしている。これにより、前述した絞り部10bと同様に、上層水取込口13aから取り込まれる上層水の流れを加速させて、浮遊物Fを強く引き寄せることができる。
仕切壁13の素材は、所望の強度とある程度の遮水性を有するものであれば、特に限定されない。仕切壁13の素材としては、樹脂やゴム等を採用すると、仕切壁13を容易に成形することができるため好ましい。中でも、樹脂やゴム等を発泡させた発泡体で仕切壁13を形成すると、仕切壁13を軽くすることができるため好ましい。このような発泡体としては、例えば、ポリスチレン発泡体(発泡スチロール)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が挙げられる。仕切壁13を発泡体で形成する場合には、仕切壁13の表面を樹脂やゴム等で被覆すると、仕切壁13の強度と防水性を高めることができるため好ましい。本実施形態においては、仕切壁13を発泡スチロールで形成しており、その表面をウレタン樹脂で被覆している。
2.4 浮遊用フロート及び安定化用フロート
浮遊用フロート14は、上層水案内部材12を水面付近に浮かべる浮力を生じさせるための部分である。浮遊用フロート14を設ける箇所は特に限定しない。本実施形態においては、6つのブロックに分けた浮遊用フロート14を、上層水案内部材12の底部に取り付けている。安定化用フロート15は、水に浮かべた浮遊物回収部10を、水面に対して安定させるための部分である。安定化用フロート15は、図2に示すように、紐15a(可撓性接続部材)で浮遊物回収部10の左右に取り付けられている。本実施形態においては、紐15aの長さを短めに調節することによって、浮遊物回収部10と安定化用フロート15とが連動するようにしている。これにより、安定化用フロート15が、浮遊物回収部10とは独立して水面に追随しつつ、浮遊物回収部10の動きを緩く拘束して、浮遊物回収部10が大きく傾いたりバタついたりしにくくすることができる。加えて、本実施形態においては、上層水案内部材12の底部における略中央部分に、安定化用錘を取り付けてある。これにより、浮遊物回収部10をさらに安定させることができる。
浮遊用フロート14や安定化用フロート15は、所望の浮力を生じさせることができれば、その素材を特に限定されない。浮遊用フロート14や安定化用フロート15の素材としては、仕切壁13の素材として例示した素材と同様のものを採用することができる。本実施形態における浮遊用フロート14は、発泡スチロールで形成しており、その表面をウレタン樹脂で被覆している。また、本実施形態における安定化用フロート15は、弾力のあるEVA発泡体で形成している。これにより、安定化用フロート15がクッション材としても機能するようになり、障害物にぶつかった際等に浮遊物回収部10が破損することを防ぐことができる。
2.5 浮遊物回収部の寸法
浮遊物回収部10は、その寸法を特に限定されない。ただし、浮遊物回収部10の前後幅W(図5)を小さくしすぎると、水に浮かべた際に浮遊物回収部10が前後にバタつきやすくなり、吸引好適状態を維持しにくくなるおそれがある。このため、前後幅Wは、40cm以上とすると好ましく、50cm以上とするとより好ましい。一方、前後幅Wを大きくしすぎると、浮遊物回収部10が嵩張るおそれがある。このため、前後幅Wは、100cm以下とすると好ましく、80cm以下とするとより好ましい。
浮遊物回収部10の左右幅W(図5)も特に限定されない。ただし、左右幅Wを小さくしすぎると、上層水流入部12aに取り込むことができる上層水の量が少なくなりすぎて、浮遊物Fの回収効率を高めにくくなるおそれがある。このため、左右幅Wは、15cm以上とすると好ましく、20cm以上とするとより好ましい。一方、左右幅Wを大きくしすぎると、浮遊物回収部10を持ち込める場所が限られるおそれがある。このため、左右幅Wは、50cm以下とすると好ましく、40cm以下とするとより好ましい。
本実施形態においては、浮遊物回収部10の前後幅Wを60cm程度としており、左右幅Wを27cm程度としており、高さH(図3)を10~20cm程度としている。このように、本実施形態の浮遊物回収部10は、特に左右方向にコンパクトであるため、例えば、マンホールの内部等にも持ち込むことができ、幅広い場所において使用することができる。
2.6 小括
以上のように、本実施形態の浮遊物回収部10には、種々の工夫が凝らされている。これらの工夫点により、水面付近の浮遊物Fを、水と乳化しにくい状態で、しかも効率的に回収することができる。加えて、本実施形態の浮遊物回収部10は、小型であるため、使用場所が限定されにくい。
3.ポンプ
ポンプ30(図1)は、浮遊物Fを吸引する吸引力を浮遊物吸引体11に発生させることができれば、その設置箇所を特に限定されない。ポンプ30は、例えば、浮遊物回収部10(浮遊物吸引体11)に直接搭載することもできる。本実施形態においては、図1に示すように、浮遊物回収部10とは別の場所に設置したポンプ30を、移送管20で浮遊物回収部10に接続している。これにより、浮遊物回収部10をコンパクトかつ軽量にすることができ、浮遊物回収部10を狭い場所(例えば、マンホールの内部等)にも持ち込みやすくすることができる。また、海水用途等として一般に流通しているポンプには、押し上げ型のポンプが少なく、吸い上げ型ポンプが多いところ、図1に示すような構成を採用すると、吸い上げ型ポンプを用いることができるため、例えば手元にあるポンプを流用できる場合も増える。
ポンプ30は、液体を移送可能なものであればその具体的な種類を特に限定されない。本発明に係る浮遊物回収装置1は、既に述べたように、弱い吸引力でも浮遊物Fを効率よく回収することができるため、ポンプ30に対する制約が少ない。ポンプ30としては、連続的な送液が可能な(送液量が脈動しにくい)種類のポンプを採用すると、浮遊物Fを滑らかに吸引して効率よく回収することができるため好ましい。このようなポンプとしては、例えば、遠心ポンプ(例えば、渦巻きポンプやタービンポンプ等)や、モノフレックス(登録商標)ポンプ(ゴムインペラポンプ)等が挙げられる。中でも、モノフレックス(登録商標)ポンプを用いると、浮遊物Fと水とがより乳化しにくくすることができる。
4.他の実施形態
図6は、浮遊物回収部10の他の実施形態を示す平面図である。図6に示す実施形態においては、仕切壁13が、一側に向かって開くラッパ状に形成されており、上層水流入部12aの幅が、上層水取込口13aから遠ざかるにつれて(一側から他側に行くにつれて)狭くなるようになっている。加えて、上層水流入部12aの一側端には、仕切体17が2つ設けられている。これらの構成により、上層水取込口13aから浮遊物吸引体11に至る上層水の流れをより一層加速させることができ、浮遊物Fを強く引き寄せて回収することができる。
先に説明した実施形態においては、浮遊物吸引体11の他側から上層水が吸引されることを抑制する他側吸引抑制手段として、浮遊物吸引体11の底面11aに設けた凸部11f(図4)を採用していた。一方、図6に示す実施形態においては、仕切壁13が他側吸引抑制手段としても機能するようにしている。すなわち、浮遊物吸引体11の他側に仕切壁13(後側壁部13d)を接触させることで、浮遊物吸引体11の他側に上層水が流入しないようにし、浮遊物吸引体11の他側から上層水が吸引されることを抑制している。
また、先に説明した実施形態においては、浮遊物吸引体11の一側(前側)及び他側(後側)に落下防止用棒10cを1本ずつ設けていたが、図6に示す実施形態においては、浮遊物吸引体11の一側及び他側に落下防止用棒10cを一対ずつ(2本ずつ)設けている。一対の落下防止用棒10cは、所定の距離を空けて前後方向に並んで配されている。そして、この一対の落下防止用棒10cを、調節用錘16に形成された長孔状の落下防止用穴16aに挿通することで、調節用錘16を前後方向にスライド可能としている。そして、例えば、調節用錘16につないだ糸の他端を上方で保持するようにすれば、上層水案内部材12の傾斜角度θを離れた箇所からでも容易に調節することができる。この場合の調節用錘16は、金属製とすることが好ましい。加えて、図6において網掛けハッチングで示した箇所には、上層水流入部12aの上部を覆う透明な樹脂板(カバー部材)18を設けている。この樹脂板18の上に調節用錘16を載せることにより、調節用錘16が上層水流入部12a内の上層水に干渉しにくくすることができる。以上で説明した構成以外の構成については、先に説明した実施形態と同様のものを採用することができる。
5.用途
本発明に係る浮遊物回収装置1は、その用途を特に限定されない。浮遊物回収装置1は、例えば、工場から排出される工場排水や、家庭から排出される家庭排水や、海水や、湖水や、池水や、川水等に浮遊する浮遊物Fを回収するために用いることができる。浮遊物Fは、水面付近に浮遊するものであれば、その種類を特に限定されない。本発明に係る浮遊物回収装置1は、スカムや浮遊スラッジ等の回収に用いることもできるが、油状物質の回収に特に適している。このような油状物質としては、例えば、機械油(例えば、潤滑油、切削油、作動油、防錆油、グリース等)や、燃料油(例えば、重油、灯油、軽油等)や、食用油(例えば、植物油や動物油等)等が挙げられる。
1 浮遊物回収装置
10 浮遊物回収部
10a 隙間
10b 絞り部
10c 落下防止用棒(落下防止用被係合部)
10d バランス部
11 浮遊物吸引体
11a 底面
11b 吸引口
11c 固定手段
11d 網
11e スペーサー
11f 凸部(他側吸引抑制手段)
12 上層水案内部材
12a 上層水流入部
12b テーパー面
13 仕切壁
13a 上層水取込口
13b 左側壁部
13c 右側壁部
13d 後側壁部
14 浮遊用フロート
15 安定化用フロート
15a 紐(可撓性接続部材)
16 調節用錘(傾斜角度調節手段)
16a 落下防止用穴
17 仕切体
18 樹脂板(カバー部材)
20 移送管
30 ポンプ
40 貯留タンク
F 浮遊物
S 水面

Claims (7)

  1. 水面付近の浮遊物を回収するための浮遊物回収装置であって、
    水面付近に配することにより、その上面に形成された上層水流入部に水面付近の上層水を流入させることができる上層水案内部材と、
    上層水と共に上層水流入部に流入した浮遊物を、下向きの吸引口で水面の上側から吸引することができる浮遊物吸引体と
    を備え、
    上層水流入部の周囲が仕切壁で仕切られるとともに、仕切壁における浮遊物吸引体から見て一側に、上層水を上層水流入部へと取り込むための上層水取込口が設けられた
    ことを特徴とする浮遊物回収装置。
  2. 浮遊物吸引体の外周と仕切壁との間に、上層水取込口から遠ざかるにつれて幅が狭くなる絞り部が形成された請求項1記載の浮遊物回収装置。
  3. 上層水取込口から取り込まれる上層水の流れを部分的に遮ることができる仕切体をさらに備えた請求項1又は2記載の浮遊物回収装置。
  4. 上層水流入部の一側が他側よりも低くなるように、上層水案内部材を水面に対して傾斜させる案内部材傾斜手段をさらに備えた請求項1~3いずれか記載の浮遊物回収装置。
  5. 浮遊物吸引体の他側から上層水が吸引されることを抑制するための他側吸引抑制手段をさらに備えた請求項1~4いずれか記載の浮遊物回収装置。
  6. 上層水案内部材を水面付近に浮かべるための浮遊用フロートと、
    上層水案内部材とは独立して水面に追随することができる安定化用フロートと
    をさらに備えた請求項1~5いずれか記載の浮遊物回収装置。
  7. 請求項1~6いずれか記載の浮遊物回収装置を用いた浮遊物回収方法。
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