JP5193151B2 - 固液分離装置及び水処理装置 - Google Patents
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この固液分離装置100は、円筒状をした水槽本体111と、この水槽本体111に連設し、漏斗形状をするとともに、下端に固体粒子排出口を備えた水槽下端部112とを有する固液分離槽110と、一端が固液分離槽110外に突出し固体粒子を含む汚濁水入口121となり、他端が水槽本体111内に開放された水槽流入口122となり、汚濁水の入口から流入した汚濁水が水槽流入口122から水槽本体の内壁面の接線方向に沿いながら固液分離槽110内に流入するように設けられた汚濁水流入筒部120と、下端側が水槽本体外に突出し、上端側が水槽本体の中心軸に沿って設けられ、水槽本体の上部で上端が開口する垂直管部131を有する上澄み水排水管130と、外径が水槽本体111の内径より小径で、垂直管部131を囲むように鍔状に張り出し、水槽本体中央部分を流れる上昇流による固体粒子の上昇を抑止する取水盤140と倒円錐型整流体141、水平多孔盤150を備える固液分離装置が提案された(例えば、特許文献1)。
すなわち、上記の固液分離装置100の場合、図9に示すように、水槽流入口122から上方で水槽本体111の全高さHに対し、下方から(1/2±1/8)Hの位置に、リング状に多孔盤150が設けられ、水槽流入口122から水槽本体111内に流入した汚濁水は、一部がこの多孔板150の小孔を通り水槽本体111の上方に上昇していくが、大部分は多孔板150の中央に形成された開口151を通り上昇していく。
そこで、固液分離装置100では、上昇流の変化が大きくなるため、一旦中央付近に集まった粒子のうち、沈降速度の遅い粒子は、この速い上昇流によって、上方に巻き上げられてしまい、この巻き上げられた粒子が十分に沈降しない状態で、取水盤140を越えて、上澄み水排水管から外部に流れ出てしまう。
なお、上昇速度は、略一定であれば、特に限定されないが、固液分離を促進できることから、固体粒子の沈降速度とおよそ同じ或いはそれ以下の速度が好ましい。
すなわち、上昇流抑止板の外径が大きくなることにより、中央に集まった細かい粒子を含む上昇流の多くが上昇流抑止板にあたり中央付近で下降流に変化する流れの中で沈降分離ができる。
下式(2)で求まる水槽本体内の水の平均上昇流速V0と、
が、W>V0を満足することが好ましい。
すなわち、上記のように、W>V0を満足すれば、汚濁水が流入直後から上昇流抑止板まで上昇する間、固体粒子の沈降速度Wの方が、上昇流速V0より速いため、固体粒子が沈降しやすくなり、平均粒径以上の固体粒子は殆ど沈降する。したがって、より固液分離を確実に行えるようになる。
すなわち、水槽本体上部の内壁面付近は上昇流が強いが、上記のように上昇流抑止板が略傘状をしていると、一部上昇流抑止板裏側に当たった流れは中央部で下降流を生じさせるために中央部の上昇流れは遅くなる。そのため固形物の沈降を確実に行える。
また、上昇流抑止板の上の流れが水平な場合に比べて略傘状では、中央に向かって加速する流れが、内壁面付近で大きくないので、上昇流抑止板に乗った固形物が中央に運ばれにくくなり、排水口から流出する量が減少する。また上昇流抑止板にたまった固形物が水の流量が減少したとき、または止まったときに外周側に落ち 自己洗浄能力を有する。
なお、本発明において、四角形とは、コーナー部が少しアール形状に面取りされているものを含む、できるだけ長方形に近いものが好ましい。
すなわち、汚濁水の入口から水槽流入口に向かって縦断面積が徐々に小さくなるように形成すれば、水槽流入口から流入する水の速度をさらに上げることができる。
すなわち、汚濁水中の固体粒子は、汚濁水流入筒部中においても徐々に沈降していくものがあるので、下側壁面を、上記のように汚濁水の入口側から水槽流入口側に向かって下り勾配にすることで、より水槽の下方への沈降を促進することができるようになる。
なお、上記下り勾配の勾配%は、特に限定されないが、1〜5%とすることが好ましい。
すなわち、上澄み水排水管は、水槽本体の中間部で折れ曲がり、水槽本体の側壁面を貫通して外部に突出させることも可能であるが、折れ曲がった部分によって水槽本体内の水平回転せん断流れの生成を妨げ、固体粒子の沈降を阻害するおそれがある。
上記ガイド板は、少なくとも水槽流入口直上部に設けられていれば、一部に設けられていても水槽本体内壁面全周にわったて設けられていても構わないが、水槽本体の内周面を1/2〜3/4周するように設けられることが好ましい。
また、ガイド板は、一部に設けられる場合、汚濁水の水槽本体への流入方向下流側にかけて徐々に下流側に向かって水槽本体内壁面側に収束するように形成されていてもよい。
ガイド板の出幅は、特に限定されないが、前記水槽流入口部の水平方向の寸法L2と同等、或いは最大出幅を水槽流入口が設けられた水槽本体の内径の1/6以下とすることが好ましい。
固体粒子排出口の径は、特に限定されないが、固体粒子の排出を妨げない限り、できるだけ小径化することが好ましい。
すなわち、従来のものは、水槽流入口から上方に少しはなれた部分に、有効断面積が狭くなる多孔板をリング状に設けたので、上昇流の速度がこの多孔板の開口部を通る際に速くなる。
したがって、流入量が多くなると、速度の上昇が急激に起こり、水槽本体の中央付近に集まった粒子を舞い上げてしまう。
しかし、上記のように、前記水槽流入口から水槽本体内に流入した水が前記上昇流抑止板と水槽本体との隙間を通過する直前まで略一定速度でゆっくりと上昇し、有効断面積が狭くなった上昇流抑止板付近で緩やかに加速する流れとなるようにすれば、殆どの粒子の沈降速度が上昇流の上昇速度より勝るので、中央部を上昇する中で大部分の粒子が分離される。そして、さらに中央に集まっていた細かい粒子を含む上昇流の多くが上昇流抑止板にあたり中央付近で下降流に変化する流れの中で沈降分離ができる。
図1〜図3は、本発明の固液分離装置の第1の実施の形態をあらわしている。
固液分離水槽1は、水槽本体11と、水槽下端部12と、天板13とを備えている。
水槽本体11は、内径d1の円筒形状している。
水槽下端部12は、水槽本体11の下端に連設して設けられ、下方に向かって徐々に小径になる漏斗形状をしていて、その下端が固体粒子排出口14となっている。
天板13は、後述する上澄み水排水管3の上端からずれた位置に空気抜き孔131が穿設されている。
また、汚濁水流入筒部2は、2つの立面壁2a,2bと、2つの立面壁2a,2bの上端間に跨るように設けられる上部壁2cと、2つの立面壁2a,2bの下端間に跨るように設けられる下側壁面を構成する下部壁2dとの4つの壁で囲まれた四角筒状をしていて、汚濁水入口21及び水槽流入口22は、いずれも長方形をしているが、水槽流入口22の断面積が、汚濁水入口21の断面積の1/5〜1/2倍となっている。
さらに、汚濁水流入筒部2は、汚濁水流入筒部2を水槽本体11の内壁面の接線に垂直な面に沿って切断し、切断面の、汚濁水流入筒部11の内壁面の高さ方向寸法をL1,水平方向の寸法をL2としたとき、汚濁水流入筒部11をいずれの位置で切断してもL1/L2>3を満足するとともに、水槽流入口22の横幅が水槽本体11の内径d1の1/10〜1/5倍となっている。
他方の立面壁2bは、その壁面が汚濁水入口21側から水槽流入口22に向かって一方の立面壁2aに近づくように設けられているとともに、上端縁が一方の立面壁2aの上端縁と同一水平面内に設けられ、下端縁が一方の立面壁2aの下端縁に沿う傾斜角αで汚濁水入口21側から水槽流入口22に向かって傾斜する仮想面上に載るように設けられている。
したがって、下部壁2dは、汚濁水入口21側から水槽流入口22に向かって勾配%が1〜5%で下降する傾斜面になっている。
上昇流抑止板4は、図4に示すように、中央に、上澄み水排水管3の外径と略同じ内径をした孔41を有し、中央から外側に向かって徐々に傾斜するテーパ面42を有する略傘形をしている。
また、上昇流抑止板4の外径d0は、上記式(1)で示すように、d1>d0≧2/3を満足するようになっている。
また、ガイド板5は、図2に示すように、水槽本体11の内壁面からの最大幅50が前記水槽流入口部の水平方向の寸法L2と同等、或いは水槽本体11の内径d1の1/6以下になっている。
また、この固液分離水槽1は、水槽本体11の内部が上記のようになっており、予想流入量をQとしたとき、上記式(2)で求まる水槽本体内の水の平均上昇流速V0と、上記式(3)求まる汚濁水中の固体粒子の沈降速度Wとしたとき、W>V0を満足するようになっている。
まず、汚濁水が落差による自然圧によって汚濁水流入筒部2の汚濁水入口21から水槽流入口22を介して水槽本体11内に流れ込む(矢印a)。
しかも、汚濁水入口21側から水槽流入口22に向かって断面積が小さくなっているので、加速されながら水槽本体11内に流れ込む。
この水平回転せん断流れは、汚濁水中の固体粒子に求心運動を生じさせる。すなわち、汚濁水中の固体粒子7が水槽本体11の中央部に集まっていく。
しかし、ガイド板5を備えているので、水槽本体11の内壁面に沿って上昇しようとする汚濁水の速い流れを抑えることができる。
そして、水槽本体11は、ガイド板5と上昇流抑止板4との間に、従来の多孔盤150のような突出部がないため、ガイド板5をすぎると、汚濁水は、略均一な速度の上昇流となって、水槽本体11の上部に向かって上昇していく。
このとき、設定流入量Qにおいては、上昇流の平均上昇流速V0が汚濁水中の固体粒子の沈降速度Wより小さいので、所定の比重以上の固体粒子は、水槽本体11の中央に集まりつつ固体粒子排出口14に向かって沈降していく。
また、汚濁水流入筒部2の下部壁2dが、汚濁水入口21側から水槽流入口22に向かって角度αで下降する傾斜面になっているので、汚濁水中の固体粒子は、この傾斜面の勾配にそって斜め下向きに沈降しながら、水槽本体11内に入り込む。
しかし、上昇流抑止板4を備えているので、水槽本体11に中央部を上昇流に載って上昇してきた細かい固体粒子7は、上昇流の多くが上昇流抑止板4にあたり中央付近で下降流に変化する流れの中で沈降分離していく。
しかも、従来と異なる形状の上昇流抑止板4が設けられ、水槽本体11に中央部を上昇流に載って上昇してきた固体粒子7は、上昇流抑止板4によって水と共に上昇が抑えられ、上昇流抑止板4の下面のテーパによって水槽本体11の中央方向に向かい沈降していくようになっているので、より固液分離能力が高いものとなる。したがって、小型化を図ることができる。
図6に示すように、この水処理装置9は、沈降槽としての道路側溝に流れ込んだ雨水を受けるように設けられた集合枡91と、集合枡91への雨水流入口に設けられたストレーナ92と、上記固液分離装置Aと、地下浸透槽(例えば、積水化学工業社の商品名レインステーションの外壁面を浸透性膜で覆った状態で地中に埋設したもの)93とを備えている。
固液分離装置Aは、集合枡91の中間位置に汚濁水流入筒部2が位置するように固液分離水槽1が集合枡91の内壁面に固定されている。
また、固液分離装置Aは、集合枡91の側壁面を貫通し、道路に沿って設けられた地下浸透槽93に接続された地下浸透水供給管94に上澄み水排水管3の下端が接続されている。
そして、このストレーナ92によって大型の汚濁成分が略取り除かれた雨水のみが、集合枡91内に流れ込む。
通常の量の雨であれば、集合枡91内に入り込んだ雨水は、集合枡91から排水経路をとおり、河川に放流される。
また、地下浸透槽93に一次的に溜められた上澄み水は、徐々に浸透膜を介して地中に浸透していき、潅漑を図ることができる。
図7に示すように、この固液分離装置Bは、以下に説明する構成以外は、上記固液分離装置Aと同様になっている。
また、この固液分離装置Bは、上澄み水排水管3が、その下端部を受槽16の底を貫通して外部に臨ませ、図では示していないが、受槽16の貫通部において、受槽16に溶接あるいはネジ固定されている。
また、バルブ付きドレン管16aを備えているので、バルブを電動バルブや電磁バルブにすることによって、定期的に受槽16内を清掃できるような構成とすることもできる。
図8に示すように、この固液分離装置Cは、以下に説明する構成以外は、上記固液分離装置Aと同様になっている。
また、この固液分離装置Cは、固液分離水槽1に下部に固液分離水槽1を下方から支える円筒状をした支持脚17を備えるとともに、排出口14にバルブ付きのドレン管18が接続されている。
上記構成の固液分離装置Cは、固液分離水槽1の下部に支持脚17を備えているので、設置が容易となるという利点をさらに備えている。
例えば、上記の実施の形態では、汚濁水流入筒部が1つであったが、水槽本体の周面に沿って放射状に複数設けるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、固液分離装置で分離された固体粒子を直接、沈降槽としての集合枡の底に沈降させるようにしていたが、上記第2及び第3の実施の形態のような固液分離装置として、一旦、固液分離装置内に分離した固体粒子を溜めるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、固液分離装置が全て熱可塑性樹脂で形成されていたが、金属で、繊維強化樹脂等の複合材料で形成されていても構わないし、いろいろな材料で形成された部材を組み合わせるようにしても構わない。
(1)水処理設備の沈砂回収
(2) 雨水マスから雨水浸透施設へ混入する異物除去
(3) 浄化槽からのスラッジ除去
(4) 砂礫が混入する水源から連続的に水を田畑等へ供給する給水設備の異物除去
1 固液分離水槽
11 水槽本体
12 水槽下端部
13 天板
14 固体粒子排出口
2 汚濁水流入筒部
21 汚濁水入口(汚濁水の入口)
22 水槽流入口
2d 下部壁(下側壁面)
3 上澄み水排水管
31 垂直管部
4 上昇流抑止板
5 ガイド板
7 固体粒子
9 水処理装置
91 集水枡(沈降槽)
92 ストレーナ
S 隙間
T 仮想筒状部
Claims (9)
- 横断面が円形をした水槽本体と、この水槽本体に連設し、漏斗形状をするとともに、下端に固体粒子排出口を備えた水槽下端部とを有する固液分離水槽と、
一端が固液分離水槽外に突出し固体粒子を含む汚濁水の入口となり、他端が前記水槽本体内に開放された水槽流入口となり、前記汚濁水の入口から流入した汚濁水が水槽流入口から水槽本体の内壁面の接線方向に沿いながら固液分離水槽内に流入するように設けられた汚濁水流入筒部と、
下端側が水槽本体外に突出し、前記水槽本体の中心軸に沿うように設けられ、水槽本体の上部で上端が開口する垂直管部を上端側に有する上澄み水排水管と、
外径が水槽本体の内径より小径で、前記水槽流入口より上方で前記垂直管部を囲むように鍔状に張り出し、水槽本体中央部分を流れる上昇流による固体粒子の上昇を抑止する上昇流抑止板と、を備える固液分離装置であって、
前記水槽本体の内部には、水槽本体の内壁面に沿って上昇しようとする汚濁水の流れを抑える庇状をしたガイド板が、少なくとも水槽流入口直上部を含み、汚濁水の水槽本体への流入方向下流側にかけて水槽本体内壁面から突出し、かつ、汚濁水の水槽本体への流入方向下流側に向かって水槽本体内壁面側に徐々に収束するように設けられているとともに、前記ガイド板と前記上昇流抑止板との間には上昇流を大きく変化させる突出部が設けられておらず、前記上昇流抑止板が、外縁部と中央部が水平な円盤状かあるいは外縁部が中央に比べ固液分離水槽の底側に位置する略傘状に形成されていることを特徴とする固液分離装置。 - 汚濁水流入筒部が、高さ方向が長い四角形をした縦断面形状をしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固液分離装置。
- 汚濁水流入筒部が、汚濁水の入口から水槽流入口に向かって縦断面積が徐々に小さくなるように形成されている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の固液分離装置。
- 汚濁水流入筒部の下側壁面が、汚濁水の入口側から水槽流入口側に向かって下り勾配に形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の固液分離装置。
- 上昇流抑止板が、外縁部が中央に比べ固液分離水槽の底側に位置する略傘状に形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の固液分離装置。
- 上澄み水排水管が、直管であって、下端部が固体粒子排出口の中央を通り固液分離水槽外に突出している請求項1〜請求項6のいずれかに記載の固液分離装置。
- 水槽本体が上部を塞ぐ天板を有し、上昇流抑止板の外縁から立ち上がり、上端が天板の下面に達する仮想筒状部の外周表面積が、前記上昇流抑止板と水槽本体との隙間部分の水平断面積より大きい請求項1〜請求項7のいずれかに記載の固液分離装置。
- 入口側に汚濁水中の大型汚濁成分を除去するストレーナを有し、流入した汚濁水を貯めて、この汚濁水中の固形分を沈降させる沈降槽内に、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の固液分離装置を、上澄み水排水管の出口側を沈降槽外に臨ませた状態で前記沈降槽内に配置したことを特徴とする水処理装置。
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