JP2016021432A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした波長変換型の封止材シートを備える太陽電池モジュールであって、長期耐候性に優れる波長変換型の太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】太陽電池素子3と、太陽電池素子3の受光面側に配置される受光面側封止材シート1と、太陽電池素子3の裏面側に配置される裏面側封止材シート2と、を備え、受光面側封止材シート1及び裏面側封止材シート2は、密度0.870g/cm以上0.970g/cm以下の低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、受光面側封止材シート1は、中間層11と、その両面に配置される最外層12と、を含んでなる多層シートであって、中間層11に有機系波長変換剤を含有し、裏面側封止材シート2は、有機系の紫外線吸収剤を含有せず、無機系の白色顔料を含有する白色の封止材シートである太陽電池モジュール10とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関する。更に詳しくは、太陽光による発電の効率を向上させる波長変換機能を備える態様電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、ガラス等からなる透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。
太陽電池モジュール用の封止材シートとして、透明性、密着性等に優れるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)をベース樹脂としたものが従来広く用いられてきた。しかし、近年においては、EVA同等の透明性を有し、EVAに比して耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートの開発が進んでいる。
ここで、一般に太陽電池素子は、可視光から近赤外線の波長領域の光に対して高い分光感度を有している。そこで、太陽電池モジュール内に紫外線を可視光に変換させる波長変換剤を含有する波長変換層を太陽電池素子の受光面側に配することにより、太陽電池素子における太陽光の利用効率を高め、発電効率を向上させることを企図した太陽電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。又、波長変換機能の発揮と、封止材シート元来の保護機能等をバランスよく発現させるために、波長変換層の両面に保護層等、その他の機能層を積層してなる多層型の封止材シートも提案されている(特許文献2参照)
ここで、波長変換層を備える封止材シートを受光面側に備える太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子の裏面側においては、波長変換層を備える封止材シートではなく、紫外線吸収剤を含有させた封止材シートを配置することにより、太陽電池モジュールにおいて受光面とは反対側の最外層側に配置される裏面保護シートの劣化を防ぐ層構成とすることが、従来広く行われている。
特開2007−27271号公報 特開2012−15205号公報
上記のように、紫外線吸収剤を含有させた封止材シートを、太陽電池素子の裏面側に配置することにより、裏面保護シートの紫外線劣化を防ぐことはできる。しかしながら、このような層構成の太陽電池モジュールにおいては、例えば、高温多湿の環境下での長期使用後には、紫外線吸収剤の一部が受光面側封止材へ移行して、波長変換機能を低下させる場合があることが、新たな問題として認識されるようになった。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし波長変換機能を有する封止材シート(以下、「波長変換型の封止材シート」とも言う)を太陽電池素子の受光面側に配置した太陽電池モジュール(以下、「波長変換型の太陽電池モジュール」とも言う)において、高温多湿の環境下での長期使用後においても、良好な波長変換機能を保持することができる、即ち、優れた耐候性と耐久性を有する、波長変換型の太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、波長変換型の太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子の裏面側に配置する封止材シートを、特に樹脂層の間を移行し易い有機系の紫外線吸収剤を含有せず、無機白色顔料を含有する白色シートとすることにより、上記紫外線吸収剤の浸出に起因する波長変換機能の劣化を防ぐことができ、これにより、長期耐候性に優れる波長変換型の太陽電池モジュールを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池素子と、前記太陽電池素子の受光面側に配置される受光面側封止材シートと、前記太陽電池素子の裏面側に配置される裏面側封止材シートと、を備え、前記受光面側封止材シート及び前記裏面側封止材シートは、密度0.870g/cm以上0.970g/cm以下の低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、前記受光面側封止材シートは、中間層と、その両面に配置される最外層と、を含んでなる多層シートであって、前記中間層に有機系波長変換剤を含有し、前記裏面側封止材シートは、有機系の紫外線吸収剤を含有せず、無機系の白色顔料を含有する白色の封止材シートである太陽電池モジュール。
(2) 前記白色顔料が酸化チタンである(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3) 前記受光面側封止材シートの中間層に含有される有機系波長変換剤の数平均分子量が100以上1000以下である(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4) 前記受光面側封止材シートの前記最外層中の波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比よりも小さい(1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(5) 前記受光面側封止材シートの前記最外層中の波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比の1/2以下である(1)から(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(6) 前記有機系波長変換剤が、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である(1)から(5)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(7) 前記受光面側封止材シートの前記最外層は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を更に含有する(1)から(6)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした波長変換型の封止材シートを備える太陽電池モジュールであって、長期耐候性に優れる波長変換型の太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の受光面側封止材シートの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の裏面側封止材シートの層構成の一例を示す断面模式図である。
本発明の太陽電池モジュールは、波長変換機能を有する受光面側封止材シートを太陽電池素子の受光面側に配置し、又、紫外線吸収剤を含有せず、且つ、光反射機能を有する裏面側封止材シートを、太陽電池素子の裏面側に配置した点に主たる特徴がある。本明細書においては、太陽電池素子において主に光を受ける側の面となる一の面を受光面と言い、受光面とは反対側の他の面を裏面というものとする。尚、両面採光型の太陽電池素子においては、任意に選択した一方の受光面の側のことを受光面側と言うものとし、当該受光面側とは反対側の他の面の側を裏面側と言うものとする。先ず、太陽電池モジュールの全体構成及びその製造方法について説明し、後に、太陽電池素子の両面にそれぞれ別途配置する上記の各封止材シートの詳細について説明し、更に、その他の構成部材についても順次説明する。
<太陽電池モジュール>
図1は、波長変換機能を備える受光面側封止材シート1を太陽電池素子3の受光面側に配置した本発明の太陽電池モジュール10について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板4、受光面側封止材シート1、太陽電池素子3、裏面側封止材シート2、及び裏面保護シート5が順に積層されている。
太陽電池モジュール10において、受光面側封止材シート1は、太陽電池素子3の受光面側に配置されることにより、波長変換機能を発揮して太陽電池モジュール10の発電効率を向上させる。又、受光面側封止材シート1は、その最外層の物性に起因する優れたモールディング特性により、太陽電池素子3の電極等の凹凸面とも強固に密着することができる。又、太陽電池モジュール10において、裏面側に配置される裏面側封止材シート2は、ベース樹脂とするポリエチレン系樹脂に、酸化チタン等の無機系の白色顔料を添加してなる白色の封止材シートを用いる。そのような白色の裏面側封止材シート2は、例えば、太陽電池モジュール10内への入射光のうち、太陽電池素子3に入射せずに非受光面側に達した太陽光を、再度、太陽電池素子3の受光面側へと導くことにより、太陽電池モジュール10の発電効率を更に向上させることができる。尚、これらの各封止材シートの詳細については別途後述する。
受光面側封止材シート1と裏面側封止材シート2以外の部材である透明前面基板4、裏面保護シート5については、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。透明前面基板4としてはガラス等、又、裏面保護シート5については、ETFE、耐加水PET等の樹脂シート等を用いることができる。尚、本発明の太陽電池モジュール10は、上記部材以外の部材を含んでもよい。
太陽電池素子3についても特に制限はない。単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製する結晶シリコン太陽電池に限らず、アモルファスシリコンや微結晶シリコン、或いはカルコパイライト系の化合物等を用いてなる薄膜系太陽電池(CIGS)も好ましく用いることができる。又、太陽電池モジュール10は、絶縁性の高いポリエチレン系樹脂からなる裏面側封止材シート2を用いるものであるため、非受光面側に極性が異なる複数の電極が設けられたバックコンタクト型の太陽電池素子についても好ましく用いることができる。
尚、本発明の太陽電池モジュールの層構成は、上記実施形態に限られない。例えば、口述する通り、受光面側封止材シート1は、ガラスと金属の両方に対して密着性を有するため、その特性を生かして、ガラス基材と金属性の太陽電池モジュールを含む様々な構成の太陽電池モジュールに汎用的に使用することができる。
太陽電池モジュール10は、受光面側封止材シート1、裏面側封止材シート2、及び太陽電池素子3等を含む上記のモジュール構成部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
<受光面側封止材シート>
図2に示す通り、受光面側封止材シート1は、中間層11と、中間層の両面に配置される最外層12によって構成される多層の封止材シートである。尚、本明細書において、多層の封止材シートとは、封止材シートの両面に成形される最外層と、最外層以外の層である中間層と、からなる多層構造を有する封止材シートのことを言う。中間層とは、最外層以外の層のことを言い、単層構造であってもよく、或いは、中間層それ自体が複数の層からなる多層構造を有するものであってもよい。以下、単層である中間層の両面に各1層計2層の最外層が積層されてなる3層構造の受光面側封止材シート1について説明する。
受光面側封止材シート1は、中間層11のみに、有機系波長変換剤を添加して製造したものである。この結果、成膜後における最外層12中の波長変換剤の含有量比は、中間層11中の波長変換剤の含有量比よりは小さく、少なくとも、製膜直後においては、中間層11中の波長変換剤の含有量比の1/2以下に抑制されている。より具体的には、成膜後の受光面側封止材シート1における中間層11中の波長変換剤の含有量は、0.05質量%以上0.5質量%以下の範囲にあり、最外層中の波長変換剤の含有量は、0質量%以上0.25質量%以下の範囲にある。
中間層11は、受光面側封止材シート1において、基板層として、主たる部分を構成する層である。更に、中間層11は、波長変換剤を含有することにより受光面側封止材シート1に波長変換機能を付与する波長変換層でもある。尚、中間層11は、架橋助剤の適量添加と電離放射線の照射を組合せた処理等、耐熱性向上を目的とした架橋処理が行われているものであることが好ましい。これにより、太陽電池モジュールの耐候性、耐久性を更に向上させることができる。
最外層12は、受光面側封止材シート1において、封止材シートの最外面に配置され、表面材料として従たる部分を構成する層である。最外層12は、太陽電池モジュールとしての密着性や、一体化工程時におけるモールディング特性を向上させる効果を主として発揮する層である。
最外層12も、低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とするが、上記の通り、中間層11とは異なり、波長変換剤は含有しないか、所定量以下の相対的に少量の波長変換剤を含有する。最外層12中の波長変換剤の含有量は、0%であってもよく、或いは、上記範囲内であれば、中間層から浸出した有機系波長変換剤の一部が含まれていてもよい。上記範囲内の含有量であれば、波長変換剤が最外層中に浸入していたとしても、封止材シートの初期の光学特性や密着性を十分に好ましい範囲に保持することができる。
受光面側封止材シート1は、このようにそれぞれ異なる優位な物性や特段の機能を備える各層用の樹脂シートを、最適な配置で積層して多層シート化したものでもある。高い水蒸気バリア性を有するポリエチレン系樹脂によるものであり、且つ、耐熱性と密着性及びモールディング特性のバランスに優れる波長変換型の封止材シートである。
中間層11と最外層12を含む受光面側封止材シート1の総厚さは100μm以上1000μm以下であることが好ましく、200μm以上600μm以下であることがより好ましい。100μm未満であると充分に衝撃を緩和することができず、1000μmを超えてもそれ以上の効果が得られず不経済であるので好ましくない。又、受光面側封止材シート1は、最外層12に柔軟性を、中間層11に耐熱性を持たせる事で、ラミネート工程中の流れ出しや膜厚変化を抑えたものとすることにより、500μm以下程度に薄膜化した場合においても十分に好ましいモールディング性と耐熱性、太陽電池素子の保護性能を備えるものとすることができる。
受光面側封止材シート1における各層の厚さの比率については、最外層12:中間層11:最外層12との厚さ比が、1:2:1〜1:30:1の範囲であることが好ましい。各層の厚さ比をこの範囲とすることによって、受光面側封止材シート1の耐熱性とモールディング特性を良好な範囲に保持することができる。
<受光面側封止材シート用の封止材組成物>
以下、受光面側封止材シート1の製造に用いる受光面側封止材シート用の封止材組成物について説明する。
[中間層用の封止材組成物]
受光面側封止材シート1の中間層11を形成するために用いる中間層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂からなるベース樹脂と、有機系波長変換剤と、を必須の成分として含有する。
(ベース樹脂)
受光面側封止材シートの中間層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「中間層用ベース樹脂」とも言う)として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。
中間層用ベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.870g/cm以上0.970g/cm以下、好ましくは、0.870g/cm以上0.930g/cm以下である。中間層用ベース樹脂の密度は、後に詳述する最外層用ベース樹脂より高密度であることが好ましい。中間層用ベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、モールディング特性や太陽電池素子の保護性能を保持しながら、封止材シートの耐熱性を十分に向上させることができる。
又、中間層用ベース樹脂は、組成物段階で残存する全二重結合数が、相対的に最外層用のベース樹脂の全二重結合数よりも多いポリエチレン系の樹脂であることが好ましい。又、中間層用ベース樹脂の全二重結合数は、0.5個以上4.0個以下であることが好ましく、1.0個以上4.0個以下であることがより好ましい。中間層用の封止材組成物の全二重結合数を、上記範囲とすることにより、電離放射線の照射による架橋を行う場合に、架橋を十分に進行させて封止材シートの耐熱性を十分に向上させることができる。一方、電離放射線の照射による中間層の架橋を十分に進行させたとしても、最外層用の封止材組成物の全二重結合数を中間層用の封止材組成物のそれとは異なる範囲に限定することにより、最外層の架橋進行が中間層とは異なる態様で抑制されることになり、この結果、封止材シート全体として好ましいモールディング特性を保持することができる。尚、中間層用の封止材組成物の全二重結合数が0.5個未満であると、封止材シートの耐熱性が、十分に向上しない。又、4.0個を超えると、過剰な架橋の進行により、モールディング特性や密着性が低下するため好ましくない。
ここで、本明細書における「全二重結合数」とは、シート状態の封止材組成物のシート密度d(g/cm)とシート厚みt(cm)と赤外吸収スペクトルの吸収バンドの吸光度Aとから、下記式により求めた値である。尚、赤外吸収スペクトルの吸収バンドの吸光度Aの測定については、Thermo Scientific製 NICOLET6700によって行った。
末端ビニル基数=0.231/(d×t)×A(910cm−1
ビニリデン基数=0.271/(d×t)×A(888cm−1
トランスビニレン基数=0.328/(d×t)×A(965cm−1
全二重結合数=末端ビニル基数+ビニリデン基数+トランスビニレン基数上記方法による2000炭素当たりの全二重結合数のことを言うものとする。
受光面側封止材シートの中間層用の封止材組成物に含まれる中間層用ベース樹脂の含有量は、上記中間層用の封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上99質量部以下、より好ましくは50質量部以上99質量部以下であり、更に好ましくは90質量部以上99質量部以下である。中間層用の封止材組成物は、上記範囲内において他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。尚、本明細書において全樹脂成分という場合は、上記の他の樹脂を含む。
(有機系波長変換剤)
波長変換剤とは、太陽電池素子において吸収感度の低い波長領域の光を吸収感度の高い波長領域に波長変換して太陽池素子に入射させることによって、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与するもののことを言う。無機系、有機系、或いは、それらのハイブリッド系の各種の波長変換剤が知られている。
これらのうち、本発明の封止材シートの中間層用の封止材組成物には、有機系波長変換剤を好ましく用いることができる。又、この有機系波長変換剤のうちでも、特に、数平均分子量が100以上1000以下のものを特に好ましく用いることができる。ベース樹脂として用いるポリエチレン系樹枝との相溶性に優れる有機系の波長変換剤を、このような、比較的分子量の大きい数平均分子量100以上の有機系の剤のみに限定し、且つ、中間層のみに添加することによって、封止材シートの製造初期の光学特性を極めて好ましいものとすることができる。又、それに加えて、高温多湿の条件下における長期使用期間の経過後においても、有機系波長変換剤の封止材シートの最外層側への浸出を十分に抑制し、波長変換剤のブリードアウトによる封止材シートの光学特性や密着性の劣化を十分に回避することができる。又、波長変換剤の数平均分子量を1000以下とすることで、波長変換剤の封止材組成物中への相溶性が担保され、受光面側封止材シート1の好ましい光学特性や密着性を保持することができる。
有機系波長変換剤は、上記の分子量範囲にあるものであることが好ましいが、それに限らず、従来公知の剤を特に限定なく用いることもできる。具体的には、ピラジン誘導体、ピリジン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン誘導体、ペリレン誘導体、ピレン誘導体、ペンタセン誘導体、フルオレセン誘導体、ローダミン誘導体、アクリジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、フラボン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特に、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物を好ましく用いることができる。
これらの有機系波長変換剤の中間層用の封止材組成物への添加量は、0.05質量%以上0.5質量%以下、好ましくは、0.1質量%以上0.4質量%以下である。この範囲で、各材料の発光強度や量子収率、又、封止材シートの各層の厚み等に応じて適宜最適な量を添加すればよい。有機系波長変換剤の添加量が0.05質量%より少ないと、十分に波長変換することができないため、太陽電池モジュールの発電効率を十分に増大させることはできない。一方、有機系波長変換剤の添加量が、0.5質量%より多いと、波長変換剤の最外層への浸出とブリードアウトによる封止材シートの光学特性の劣化を十分に回避することができなくなる場合があるため好ましくない。
以上の通り、中間層用の封止材組成物に添加する有機系波長変換剤を、中間層用の組成物のみに、適量範囲で、添加することにより、封止材シートの製膜後における波長変換剤の中間層から最外層側への浸出を、十分に抑制することができる。そして、最外層の流動性の低下による密着性の低下や、波長変換剤のブリードアウトによる光学特性の劣化を防ぎつつ、充分な波長変換機能を発揮することができる波長変換型の封止材シートとすることができる。
(架橋助剤)
中間層用の封止材組成物には、更には、架橋助剤が含有されることが好ましい。架橋助剤として、炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマーを好ましく用いることができる。架橋助剤としてより好ましくは、多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基であるものを用いることができる。このような架橋助剤の添加により、低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、低温柔軟性に優れる封止材シートを得ることができる。
具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。これらは単独でもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
上記のなかでも、ガラス面との密着性向上の効果が特に高く、又、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、耐熱性の向上が期待できるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを特に好ましく使用できる。架橋助剤の含有量としては、外層用の封止材組成物の全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上2.0質量部以下の範囲である。架橋助剤が中間層にのみ含有する多層シート構造とすることにより、封止材シートの密着性及びモールディング特性を好ましい範囲に保持したまま、同時に、封止材シートに十分な耐熱性を付与することができる。
尚、本発明の製造方法においては、最外層用の封止材組成物には、上記架橋助剤は添加しないことが好ましい。最外層用の封止材組成物に架橋助剤を添加した場合には、流動性の低下による密着性の低下や架橋助剤の所謂ブリードアウトのリスクが高くなるからである。
[最外層用の封止材組成物]
受光面側封止材シート1の最外層12を形成するために用いる最外層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、好ましくは、シラン変性ポリエチレン系樹脂等の密着性共重合体樹脂を含有する。
(ベース樹脂)
最外層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「最外層用のベース樹脂」とも言う)として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を適宜好ましく用いることができる。
最外層用のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.870g/cm以上0.970g/cm以下、好ましくは、0.870g/cm以上0.930g/cm以下である。そして、最外層用のベース樹脂の密度は、中間層用の封止材組成物のベース樹脂よりも低密度であることが好ましい。より詳しくは、最外層用ベース樹脂の密度は、中間層用ベース樹脂の密度の93%以上99%以下の大きさであることが好ましい。最外層用のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、太陽電池素子の保護性能を保持しつつ、十分な密着性及びモールディング特性を付与することができる。モールディング特性を付与する観点からは、最外層の密度は低密度であるほどよいが、中間層の密度の93%以上に保持することにより、中間層から最外層への有機系波長変換剤の過剰な浸出を抑制することができる。
最外層用のベース樹脂としては、組成物段階で残存する全二重結合数が、中間層用ベース樹脂の全二重結合数よりも相対的に少ないポリエチレン系の樹脂を用いることが好ましい。又、最外層用のベース樹脂であるポリエチレン系樹脂の全二重結合数は、0個以上1.0個以下であることが好ましく、0個以上0.5個以下であることがより好ましい。
(シラン変性ポリエチレン系樹脂)
最外層用の封止材組成物には、ベース樹脂に加えて、シラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されることが好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる低密度ポリエチレン、好ましくは直鎖低密度ポリエチレンに、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなる樹脂である。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける封止材シートの他の部材への密着性を向上することができる。尚、本明細書におけるシラン変性ポリエチレン系樹脂とは、例えば、下記の製造方法によって製造することができるシラン変性ポリエチレン系樹脂のことを言い、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一部が、エチレン性不飽和シラン化合物とグラフト重合してなる樹脂のことを示す概念である。尚、上記の主鎖となる樹脂は、上記ベース樹脂と同様、密度0.870g/cm以上0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている通り、以下の方法で製造できる。例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマ−の1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500kg/cm以上4000kg/cm以下位、好ましくは、1000kg/cm以上4000kg/cm以下位、温度、100℃以上400℃位下位、好ましくは、150℃以上350℃以下位の条件下で、ラジカル重合開始剤、及び、必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に、或いは、段階的にランダム共重合させ、更には、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、シラン変性ポリエチレン系樹脂を製造することができる。
主鎖のポリエチレン系樹脂としては、エチレン−αオレフィン共重合体である直鎖低密度ポリエチレンを用いることが好ましく、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンを用いることがより好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材シートに対して柔軟性を付与できる。封止材シートに柔軟性が付与される結果、封止材シートとガラス等の透明前面基板との密着性を高めることができる。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材シートに良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材シートとガラス等の透明前面基板との密着性が更に高まる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂におけるエチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、シラン変性ポリエチレン系樹脂のベース樹脂中の含有量で0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
最外層用の封止材組成物に用いるシラン変性ポリエチレン系樹脂の最外層用の封止材組成物における含有量は、8質量%以上45質量%以下であることが好ましい。本発明において、シラン変性ポリエチレン系樹脂の上記含有量が8質量%以上であれば、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含有量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
以上説明したシラン変性ポリエチレン系樹脂を太陽電池モジュール用の封止材組成物のうち特に最外層用の封止材組成物の成分として使用することにより、密着性、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れる封止材シートとすることができる。シラン変性ポリエチレン系樹脂を用いることによって、このように様々な効用を得ることができるが、とりわけ、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく、封止材シートに極めて優れた熱融着性、即ち、太陽電池モジュールを構成するガラス基材等との優れた密着性を付与しうる点を一般的な利点としてあげることができる。
又、シラン変性ポリエチレン系樹脂を本発明の封止材シートの最外層に添加することによれば、上記の一般的な利点のみならず、波長変換剤の(ブリードアウト)を、更に抑制するという本発明特有の効果も発現する。このブリードアウトの抑制は、シラン変性ポリエチレン系樹脂が、最外層の内部に留まるのではなく、透明前面基板を構成するガラスや太陽電池素子との界面で凝集して、Si−O−Si結合することにより、波長変換剤が、封止材シートの表面に移行するのが遅延されることによる効果であると推測される。このような本発明特有の効果に係る観点からも、シラン変性ポリエチレン系樹脂の最外層への添加は好ましいものである。
[その他の添加物]
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、必要に応じて、適宜、以下の添加物を含有させることができる。
(架橋剤)
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、必要最小限度の架橋剤を含有させてもよいが、架橋剤はいずれの層にも添加しないことがより好ましい。上記の中間層への架橋助剤の添加によって、十分に適切な架橋を進行させることができる一方で、有機過酸化物等の架橋剤を別途添加したには、太陽電池モジュールとの一体化のための熱ラミネート処理時に、デガスによる発泡等の問題が生じるリスクが高まるからである。架橋剤を添加する場合、公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
架橋剤を添加する場合、その含有量としては、中間層用及び最外層用の封止材組成物に0質量%以上0.5質量%以下の含有量であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以上0.5質量%以下の範囲である。架橋剤の添加量が0.5質量%を超えると、架橋工程における架橋の進行が過剰となり、モールディング特性が不十分となり好ましくない。
(密着性向上剤)
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、密着性向上剤を添加することにより、更に、他基材との密着耐久性を高めることができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤等を好ましく用いることができる。尚、これらは単独で又は二種以上を混合して使用することもできる。
密着性向上剤として、シランカップリング剤を添加する場合、その含有量は、封止材組成物に0.1質量%以上10.0質量%以下であり、上限は好ましくは5.0質量%以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲にあり、且つ、封止材組成物を構成するポリオレフィン系の樹脂に適量のエチレン性不飽和シラン化合物の含量されているときには、密着性がより好ましい範囲へと向上する。尚、この範囲を超えると、製膜性が低下したり、又、シランカップリング剤がブリードアウトする場合があり好ましくない。
(その他の成分)
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物の組合せセットを用いて製造された封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれの封止材組成物に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シートに対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明にベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂でもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
<裏面側封止材シート>
裏面側封止材シートは、単層の白色封止材シートであってもよいが、図3に示す通り、白色中間層21と、白色中間層のいずれか一方、好ましくは両方の最外層に配置される透明最外層22と、を含む複数の層によって構成される多層の封止材シートであることが好ましい。以下、単層の白色中間層21の両面に各1層計2層の透明最外層22が積層されてなる3層構造の白色封止材シートである裏面側封止材シート2について説明する。但し、本発明はこの実施形態に限られるものではない。
白色中間層21は、裏面側封止材シート2において、基板層として主たる部分を構成する層である。又、この層内に裏面側封止材シート2の外観において、白色の外観を発現させるための白色顔料が含有されている。裏面側封止材シート2は、この白色中間層21において、上記の通り、太陽光を反射させることにより、太陽電池モジュール10の発電効率を更に向上させることができる。
又、白色中間層21に含まれる無機系の白色顔料は、可視光域における光反射性能に優れるのみならず、紫外線を吸収する作用も奏するものであるため、裏面封止材シート内に有機系の紫外線吸収剤を含有させなくとも、紫外線を遮断して裏面保護シートの紫外線劣化を防ぐことができる。又、有機系の紫外線吸収剤のような受光面側封止材への移行もほとんどおこらないため、波長変換機能を低下させることもない。
尚、白色中間層21は、架橋助剤の適量添加と電離放射線の照射を組合せた処理等、耐熱性向上を目的とした架橋処理が行われているものであることが好ましい。これにより、太陽電池モジュールの耐候性、耐久性を更に向上させることができる。
透明最外層22は、受光面側封止材シート1において、封止材シートの最外面に配置され、表面材料として従たる部分を構成する層である。透明最外層22は、太陽電池モジュールとしての密着性や、一体化工程時におけるモールディング特性を向上させる効果を主として発揮する層である。尚、紫外線のカットや光反射に寄与するのは主として白色中間層21であるが、裏面側封止材シート2は、太陽電池素子3や裏面保護シート5との高度な密着性が要求されるため、上述の通り、密着性やモールディング特性の向上効果を発揮する透明最外層22を白色中間層21とは別途の層として設けることは、極めて必要度の高い構成要件となる。
裏面側封止材シート2は、このようにそれぞれ異なる優位な物性や特段の機能を備える各層用の樹脂シートを、最適な配置で積層して多層シート化したものでもある。高い水蒸気バリア性を有するポリエチレン系樹脂によるものであり、且つ、耐熱性と密着性及びモールディング特性のバランスに優れる波長変換型の封止材シートである。
白色中間層21と透明最外層22とを含む裏面側封止材シート2の総厚さは100μm以上1000μm以下であることが好ましく、200μm以上600μm以下であることがより好ましい。100μm未満であると充分に衝撃を緩和することができず、1000μmを超えてもそれ以上の効果が得られず不経済であるので好ましくない。又、裏面側封止材シート2は、透明最外層22に柔軟性を、白色中間層21に耐熱性を持たせる事で、ラミネート工程中の流れ出しや膜厚変化を抑えたものとすることにより、500μm以下程度に薄膜化した場合においても十分に好ましいモールディング性と耐熱性、太陽電池素子の保護性能を備えるものとすることができる。
裏面側封止材シート2における各層の厚さの比率については、透明最外層22:白色中間層21:透明最外層22との厚さ比が、1:2:1〜1:30:1の範囲であることが好ましい。各層の厚さ比をこの範囲とすることによって、裏面側封止材シート2の耐熱性とモールディング特性を良好な範囲に保持することができる。
<裏面側封止材シート用の封止材組成物>
以下、裏面側封止材シート2の製造に用いる裏面側封止材シート用の封止材組成物について説明する。
[白色中間層用の封止材組成物]
裏面側封止材シート2の白色中間層21を形成するために用いる白色中間層用の封止材組成物は、所定の密度範囲にある低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とし、酸化チタン等の無機系の白色顔料と、を必須の成分として含有する。
(ベース樹脂)
白色中間層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「白色中間層用ベース樹脂」とも言う)としては、受光面側封止材シートの中間層用の封止材組成物(中間層用ベース樹脂)と同様の低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)等、を好ましく用いることができる。材料樹脂の二重結合数等についても中間層用ベース樹脂と同様のものを好ましく用いることができる。
(白色顔料)
白色中間層用の封止材組成物は、白色封止材シートとしての好ましい外観や光反射性能を発現させるための着色材料を含有する。そのような着色材料としては、無機化合物からなる無機系の白色顔料を用いることができる。そのような白色顔料を含有させることにより、本発明の白色封止材シートは、太陽電池モジュールにおける非受光面側に配置された場合に、太陽電池モジュール内への入射光を反射し、太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができる。
上記の無機系の白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛及び酸化チタン等を好ましく用いることができる。それらの中でも汎用性の観点から酸化チタンを特に好ましく用いることができる。
上記白色顔料は、粒径が0.2μm以上1.5μm以下であることが好ましい。白色顔料の粒径が上記範囲にあれば、それからなる白色層は可視光線の領域に加えて近赤外線をも効率よく反射するため、太陽電池モジュールの発電効率向上に更に大きく寄与することができる粒径が0.3μm以上1.5μm以下の白色顔料の代表例は酸化チタンであり、太陽光線の反射性能を高めるためにも、白色顔料として、酸化チタンを用いることが好ましい。この無機系の白色顔料は、白色中間層21にのみ含有されていて、白色中間層21における含有量が5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。又、白色封止材シートは、白色中間層21のみに白色顔料が含有される構成とすることにより、透明最外層22の密着性が、白色顔料の影響によって低下することを抑止できる。
[透明最外層用の封止材組成物]
透明最外層用の封止材組成物は、白色中間層用の封止材組成物に用いるものよりも、相対的に更に低い所定の低密度範囲にあるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、又、シラン変性ポリエチレン系樹脂等からなる密着性共重合体樹脂を含有することがより好ましい。
(ベース樹脂)
透明最外層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「透明最外層用ベース樹脂」とも言う)としては、受光面側封止材シートの最外層用の封止材組成物(最外層用ベース樹脂)と同様の低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)等、を好ましく用いることができる。材料樹脂の二重結合数等についても最外層用ベース樹脂と同様のものを好ましく用いることができる。
(シラン変性ポリエチレン系樹脂)
透明最外層用の封止材組成物には、最外層用の封止材組成物と同様のシラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されていることが好ましい。
以上説明したシラン変性ポリエチレン系樹脂を太陽電池モジュール用の封止材組成物のうち特に外層用の封止材組成物の成分として使用することにより、密着性、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れる白色封止材シートとすることができる。シラン変性ポリエチレン系樹脂を用いることによってこのように様々な効用を得ることができるが、とりわけ、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく、白色封止材シートに極めて優れた熱融着性、即ち、太陽電池モジュールを構成するガラス基材等との優れた密着性を付与しうる点を最大の利点としてあげることができる。
[その他の添加物]
白色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、受光面側封止材シート組成物への添加物と同様の、架橋剤、架橋助剤、密着性向上剤、その他の添加物を必要に応じて、添加することができる。
[紫外線吸収剤]
尚、本発明の太陽電池モジュール10に用いる裏面側封止材シート2は、いずれの層にも有機系の紫外線吸収剤を含有しないことを特徴とする。
ここで紫外線吸収剤とは、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、太陽電池モジュール用充填材に用いられる充填材用樹脂の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。そして有機系の紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、等の紫外線吸収剤が挙げられる。
<封止材シートの製造方法>
[シート化工程]
上記においてそれぞれその詳細を説明した受光面側及び裏面側各封止材シートは、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。多層シートとしての成形方法としては、一例として、二種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
成形時の成形温度の下限は各封止材組成物の融点を超える温度であればよい。成形温度の上限は、架橋剤を使用する場合には、使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、製膜中に架橋が開始しない温度、即ち、封止材組成物のゲル分率を0%に維持できる温度であればよい。ここで、本発明の封止材シートの製造方法においては、封止材組成物中において架橋剤が必須ではなく、架橋剤を添加する場合であってもその含有量は0.5質量%未満に限定されている。このため、通常の低密度ポリエチレン樹脂の成形温度、例えば、120℃程度の加熱条件下では、ゲル分率の変化は現れず、樹脂の物性に実質的な影響を与えるような架橋は進行しない。又、電離放射線の照射によって架橋処理を行う場合には、モジュール化工程での加熱条件の制約から解放されて、従来よりも1分間半減期温度の高い架橋剤を使用することもできる。この場合、成形温度を従来よりも高温に設定しても、封止材組成物のゲル分率を0%に維持することができる。製膜中の封止材組成物のゲル分率を0%に維持する製造方法によれば、製膜時に押出機等にかかる負荷を低減し、封止材シートの生産性を高めることが可能である。
[架橋工程]
上記のシート化工程後の未架橋の封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材シートを他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行うことが好ましい。この架橋処理によってゲル分率が2%以上80%以下となる封止材シートとする。
電離放射線の照射による架橋処理については、個別の架橋条件は特に限定されない。大凡の具体的な照射量の目安としては、架橋処理後の中間層のゲル分率が、10%程度以上の範囲となるように適宜設定すればよい。具体的には、電子線(EB)、α線、β線、γ線、中性子線等の電離放射線によって行うことができるが、なかでも電子線を用いることが好ましい。又、電離放射線の照射は、尚、電離放射線の照射は、片面側から或いは両面側からの照射いずれであってもよい。生産性向上の観点から、一方の最外層面側からのみの照射である片面照射が好ましい。
電離放射線の照射を上記片面照射によって行う場合、加速電圧は、被照射体であるシート厚みによって決まり、厚いシートほど大きな加速電圧を必要とする。例えば、0.6mm厚みのシートでは、200kV以上1000kV以下、好ましくは250kV以上1000kV以下で照射する。加速電圧が200kV未満であると、非照射面側の最外層まで電子が透過せず、受光面側封止材シート1の耐熱性が不十分となる。一方、加速電圧が1000kVを超えると、多層シートの全層に均一に電子が透過し、本発明の特有の構造である貯蔵弾性率の傾斜構造を形成することができなくなってしまう。尚、照射線量は5kGy以上800kGy以下、好ましくは100kGy以上500kGy以下の範囲である。又、照射は大気雰囲気下でもよく窒素雰囲気下であってもよい。
ここで、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い、残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。
尚、この架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。又、架橋処理が一般的な加熱処理である場合は、一般的に、架橋剤の含有量として封止材シートの全成分100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下が必要とされているが、本願発明の封止材シートにおいては、架橋剤の含有量が0であってもよく、含有する場合であっても0.5質量部未満であることが好ましい。これにより、封止材組成物のシート化工程における封止材組成物のゲル化による生産性低下のリスクが低減できる。
以上、実施形態を示して本発明を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物の原料を、封止材組成物中の含有量が、それぞれ下記表1の割合になるように混合し、それぞれ実施例、比較例、参考例の封止材シートの内層用及び外層用封止材シートを作成するための封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで内層用及び外層用封止材シートを作製し、これらの内層用及び外層用封止材シートを積層して、1層又は3層の太陽電池モジュール用封止材シート(実施例、比較例及び参考例)とした。これらの封止材シートは、いずれも、厚さ600μm、外層:内層:外層の厚さの比を1:5:1とした。尚、封止材組成物の原料としては、以下の原料を使用した。
[ポリエチレン系樹脂]
メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂として用いた(表1中「PE」と記載)。
[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
シラン架橋性樹脂:密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とからなるシラン架橋性樹脂をベース樹脂に混合するシラン変性ポリエチレン樹脂として用いた。この樹脂の密度は0.884g/cm、190℃でのMFRが1.8g/10分である(表1中「S−PE」と記載)。
[光安定剤]
光安定剤として、密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定化剤(ケミプロ化成株式会社製:KEMISTAB62)2.28質量部を混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を作成した(表1中「HALS」と記載)。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤として、密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ケミプロ化成株式会社製:KEMISORB12)3.32質量部とベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ケミプロ化成株式会社製:KEMISORB79)0.6質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を作成した(表1中「UVA」と記載)。
[有機系波長変換剤]
有機系波長変換剤として、密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、トリアゾール誘導体(数平均分子量:323)1質量部を混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を作成した。
[白色顔料]
白色顔料として、密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、酸化チタン(デュポン株式会社製:R105 粒径0.3μm)60質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を作成した。
Figure 2016021432
<評価例1>
封止材1(試験例1)及び封止材2(試験例2)について、保存安定試験(温度40℃、湿度90%RH、3月間)を行い、保存安定試験前後の光学特性(HAZE)(JIS K7136、株式会社村上色彩研究所、ヘーズ・透過率系HM150により測定)及びガラス密着性を評価した。光学特性は、ヘーズが5.0%以下を“○”とし、ヘーズが5.0%超を“×”とした。ガラス密着性は、剥離試験装置(「株式会社エー・アンド・デイ」社製、商品名「TENSILON RTA−1150−H」)を用いて、180度ピールにて剥離条件50mm/minで23℃にて測定を行い、剥離で、20N/15mm以上を“○”とし、20N/15mm未満を“×”とした。その結果を表2に示す。
Figure 2016021432
<評価例2>
封止材シートA〜D(表1参照)を用いて実施例及び比較例の太陽電池モジュールを作成し、ダンプヒート試験前後のPV特性を評価した。具体的には、T−SEC製単結晶セル(TSS63TN)のセル部以外をアルミシールして光の回り込みを防止した状態でセル上に上記封止材を積層し、太陽電池モジュールを作成し、JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で評価用サンプルモジュールの耐久性試験を1000時間行った。ソーラーシュミレータ(英弘精機株式会社製EWXS−300S−50)を用いて、セル裏面温度25℃、照度100mW/cmの条件で行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2016021432
表3から、又、裏面側封止材シートに白色顔料も有機系波長変換剤も含有しない比較例2の太陽電池モジュールよりもIsc値(短絡電流、単位A)が高いことが確認できる。又、実施例の太陽電池モジュールは、裏面側封止材に紫外線吸収剤を含有する比較例1の太陽電池モジュールよりも、ダンプヒート試験後の発電効率の劣化が明らかに少ないことも分る。評価例1及び2の結果より、本発明の太陽電池モジュールは、高温多湿の環境下での長期使用後においても、良好な発電効率を維持することができる太陽電池モジュールであることが分かる。
1 受光面側封止材シート
11 中間層
12 最外層
2 裏面側封止材シート
21 白色中間層
22 透明最外層
3 太陽電池素子
4 透明前面基板
5 裏面保護シート
10 太陽電池モジュール

Claims (7)

  1. 太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子の受光面側に配置される受光面側封止材シートと、
    前記太陽電池素子の裏面側に配置される裏面側封止材シートと、を備え、
    前記受光面側封止材シート及び前記裏面側封止材シートは、密度0.870g/cm以上0.970g/cm以下の低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、
    前記受光面側封止材シートは、中間層と、その両面に配置される最外層と、を含んでなる多層シートであって、前記中間層に有機系波長変換剤を含有し、
    前記裏面側封止材シートは、有機系の紫外線吸収剤を含有せず、無機系の白色顔料を含有する白色の封止材シートである太陽電池モジュール。
  2. 前記白色顔料が酸化チタンである請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記受光面側封止材シートの中間層に含有される有機系波長変換剤の数平均分子量が100以上1000以下である請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記受光面側封止材シートの前記最外層中の波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比よりも小さい請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記受光面側封止材シートの前記最外層中の波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比の1/2以下である請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記有機系波長変換剤が、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記受光面側封止材シートの前記最外層は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を更に含有する請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
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