JP6716859B2 - 太陽電池モジュール用の有色封止材シート - Google Patents
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Description
本発明の有色封止材シートは、その外観において所望の色彩を発現させる着色材料を含有してなる有色中間層と、有色中間層上に積層され、着色材料を含有しない透明最外層を含んでなる多層の封止材シートである。そして、本発明の有色封止材シートは、有色中間層を形成するための着色材料を含有してなる有色中間層用の封止材組成物と、透明最外層を形成するための着色材料を含有しない透明最外層用の封止材組成物から、それぞれの層が形成されたものであり、且つ、それらの各層の動的粘弾性(Tanδ)の値が本願特有の特異的な範囲に調整されたものである。上記の各層用の各封止材組成物は、いずれも低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とする。但し、それらのベース樹脂は、各層毎に、密度を特定の範囲に限定した低密度ポリエチレン樹脂が適切に選択される。そして、更に、そのように選択された各層用の封止材組成物からなる単層シートを積層してなる多層シートに、電離放射線の照射による架橋処理が行われることにより、本発明の有色封止材シートを得ることができる。
有色中間層用の封止材組成物は、本発明の多層の有色封止材シートにおける有色中間層成形するために用いられる封止材組成物である。有色中間層用の封止材組成物は、所定の密度範囲にある低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とし、酸化チタン等の着色材料を含有する。
有色中間層用ベース樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。
末端ビニル基数=0.231/(d×t)×A(910cm−1)
ビニリデン基数=0.271/(d×t)×A(888cm−1)
トランスビニレン基数=0.328/(d×t)×A(965cm−1)
全二重結合数=末端ビニル基数+ビニリデン基数+トランスビニレン基数上記方法による2000炭素当たりの全二重結合数のことを言うものとする。
有色中間層用の封止材組成物は、有色封止材シートとしての好ましい外観や光反射性能を発現させるための着色材料を含有する。そのような着色材料としては、無機化合物からなる白色着色剤を好ましく用いることができる。そのような白色着色剤を含有させることにより、本発明の有色封止材シートは、太陽電池モジュールにおける非受光面側の封止材層として配置された場合に、太陽電池モジュール内への入射光を反射し、太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができる。
透明最外層用の封止材組成物は、本発明の多層の有色封止材シートの少なくとも一方の最外面、好ましくは両方の最外面に成形される透明最外層を成形するために用いる封止材組成物である。透明最外層用の封止材組成物は、有色中間層用の封止材組成物に用いるものよりも、相対的に更に低い所定の低密度範囲にあるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、又、シラン変性ポリエチレン系樹脂等からなる密着性共重合体樹脂を含有することがより好ましい。
透明最外層用ベース樹脂としては、有色中間層用の封止材組成物のベース樹脂と同様、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を適宜好ましく用いることができ
透明最外層用の封止材組成物には、透明最外層用ベース樹脂に加えて、更にシラン変性ポリエチレン系樹脂に代表される密着性共重合体樹脂が含有されていることがより好ましい。本発明における密着性共重合体樹脂は、密着性向上成分が予め重合している樹脂であれば、必ずしもシラン変性ポリエチレン系樹脂に限定されるものではない。その他のエポキシ変性、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン系樹脂等であってもよい。不飽和カルボン酸の例としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸が挙げられ、その誘導体の例としては、例えば、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸等のエステル及び無水物が挙げられる。但し、ベース樹脂との相溶性や、ガラス基板等の他の太陽電池モジュール構成部材との密着性等の観点から、シラン変性ポリエチレン系樹脂を特に好ましく用いることができる。以下、密着性共重合体樹脂がシラン変性ポリエチレン系樹脂である場合について、その詳細を説明する。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる低密度ポリエチレン、好ましくは直鎖低密度ポリエチレンに、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなる樹脂である。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける有色封止材シートの他の部材への密着性を向上することができる。尚、本明細書におけるシラン変性ポリエチレン系樹脂とは、例えば、下記の製造方法によって製造することができるシラン変性ポリエチレン系樹脂のことを言い、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一部が、エチレン性不飽和シラン化合物とグラフト重合してなる樹脂のことを示す概念である。尚、上記の主鎖となる樹脂は、上記ベース樹脂と同様、密度0.870g/cm3以上0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、以下の添加物を含有させることができる。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、架橋剤を含有させることができる。架橋剤は公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、架橋助剤を含有させることができる。架橋助剤として、炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマーを好ましく用いることができる。架橋助剤としてより好ましくは、多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基であるものが用いられる。このような架橋助剤の添加により、低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、低温柔軟性に優れる架橋済みの有色封止材シートを得ることができる。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、密着性向上剤を添加することにより、更に、他基材との密着耐久性を高めることができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤等を好ましく用いることができる。尚、これらは単独で又は二種以上を混合して使用することもできる。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物において、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を更に微細に調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化等が例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、封止材組成物の全樹脂成分の合計100質量部に対して0.01質量部以上3質量部以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上〜2.0質量部以下の範囲である。
有色中間層用及び透明最外層用の各封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、有色封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれの封止材組成物の全樹脂成分の合計100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、有色封止材シートに対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
本発明の有色封止材シートは、有色中間層と、有色中間層のいずれか一方、好ましくは両側であって封止材シートの各最外層に配置される透明最外層と、を含む複数の層によって構成される多層の封止材シートである。以下、本発明の好ましい一実施形態として、図1を参照しながら、単層である有色中間層の上下に各1層計2層の透明最外層を含む3層構造の有色封止材シート1について説明する。但し、本発明はこの実施形態に限られるものではない。
本発明の有色封止材シートは、例えば、上記の各層用の封止材組成物を溶融形成によって多層シート化し、溶融形成後の当該多層シートに電離放射線の照射による架橋処理を行う製造方法によって得ることができる。
有色中間層用及び透明最外層用の各組成物の溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。多層シートとしての成形方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
上記のシート化工程後の未架橋の有色封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、シート化工程の終了後、且つ、有色封止材シートを他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行う。
次に、本発明の太陽電池モジュールの好ましい一実施形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態である太陽電池モジュール10について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板4、太陽電池素子3の受光面側に積層される透明封止材シート2、太陽電池素子3、太陽電池素子3の非受光面側に積層される有色封止材シート1、及び、裏面保護シート5が順に積層されている。
以下に説明する封止材組成物の原材料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の有色封止材シートの有色中間層用組成物及び透明最外層用組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/分で有色中間層用及び透明最外層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、有色中間層と両透明最外層を備える実施例及び比較例の有色封止材シートとするための3層構造の未架橋の多層シートを製造した。実施例、比較例の各有色封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ600μmとした。実施例及び比較例の3層構造を形成する各単独層の厚さの比については、いずれの封止材シートについても透明最外層:有色中間層:透明最外層の厚さ比が、1:4:1となるようにした。
但し、比較例5の有色封止材シートについては、下記のEVA樹脂(E)からなる総厚さ600μmの単層シートとした。
有色中間層用ベース樹脂(表中にて「PE1」と表記、以下同様):密度0.880g/cm3、融点60℃であり、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
透明最外層用ベース樹脂(「PE2」):密度0.885g/cm3、融点66℃であり、190℃でのMFRが18g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
EVAベース樹脂(「E」):エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂。VA=28%
シラン変性ポリエチレン系樹脂(「S」):密度0.880g/cm3、MFRが20g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.880g/cm3、MFR13.0g/10分。融点60℃。
耐候剤マスターバッチ1(「MB1」):有色中間層用ベース樹脂100質量部。KEMISTAB62(HALS)0.6質量部。KEMISORB12(UV吸収剤)3.5質量部。KEMISORB79(UA吸収剤)0.6質量部。CHIMASORB202(UV吸収剤)0.07質量部。トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(架橋助剤)2.14質量部。
耐候剤マスターバッチ2(「MB2」):有色中間層用ベース樹脂100重量部。トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(架橋助剤)2.04質量部。
耐候剤マスターバッチ3(「MB3」):透明最外層用ベース樹脂100質量部。KEMISTAB62(HALS)0.6質量部。KEMISORB12(UV吸収剤)3.5質量部。KEMISORB79(UV吸収剤)0.6質量部。CHIMASORB202(UV吸収剤):0.07質量部。
白色着色剤(「W」):酸化チタン。粒径0.3mmφのものを、中間層用封止材組成物100質量部中の含有量が8.1質量部となるように、マスターバッチ化して添加した。
但し、比較例2及び3については、透明最外層用組成物にも上記割合で白色着色剤を添加した。
又、比較例5については、EVAベース樹脂100質量部中の白色着色剤の含有量が8.1質量部となるように添加した。
実施例と比較例1の有色封止材シートの各層の融点+20℃における動的粘弾性(Tanδ)を測定した。結果は、表2に示す通りである。尚、参考例として下記のそれぞれの一般的なポリエチレン系樹脂(架橋処理なし)の融点+20℃における動的粘弾性(Tanδ)についても、実施例と同一条件で測定した。動的粘弾性(Tanδ)の測定は、測定装置として、(株)ユービーエム社製の、Rheogel E4000を用い、静荷重100gにて10Hz、昇温速度3℃/minの測定条件にて、幅5mm長さ20mmにカットした封止材シートサンプルに対して行なった。又、各層の固有のTanδを、それぞれ別途に把握するため、実施例の有色封止材シートの3層構造を形成する各単層シートについて、個別に上記規定による動的粘弾性の測定を行い、各層毎の固有のTanδの値とした。実施例1と比較例3については、架橋処理後に剥離可能に積層した状態で同条件の電離放射線の照射を行い、その後、各層毎に剥離し、それぞれの動的粘弾性を同様に測定した。
参考例1:密度0.918g/cm3、融点105℃の低密度ポリエチレン(LLDPE)。
参考例2:密度0.963g/cm3、融点135℃の高密度ポリエチレン(HDPE)。
ガラス基板上(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)に、15mm幅にカットした実施例及び比較例1〜4の有色封止材シートを積層し、150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、それぞれの有色封止材シートを用いてなる太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件において、それぞれ、耐熱性、モールディング特性、回り込み抑制効果を測定して評価した。結果を表3に示す。
7.5×5.0cmにカットした実施例、比較例の有色封止材シートを、ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 150mm×150mm×3.2mm)上に2枚重ね置き、その上からガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)を重ね置き、下記の熱ラミネート条件(a)〜(d)により、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件における耐熱クリープ試験を行い、耐熱性を評価した。
測定は、上記の太陽電池モジュール評価用サンプルを垂直に置き、120℃で12時間放置し、放置後のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)の移動距離を計測することにより行い、測定結果を、以下の評価基準A〜Cにより評価した。
(熱ラミネート条件) (a)真空引き:4.0分
(b)加圧(0kPa〜60kPa):10秒
(c)圧力保持(60kPa):6.0分
(d)温度150℃
(評価基準) A:0.5mm以下
B:0.5mm超え1.0mm未満
C:1.0mm以上
上記耐熱クリープ試験に用いたものと同様のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 984mm×1635mm×3.2mm)上に、下記の透明封止材シート、下記の太陽電池素子60枚、下記の各種配線、実施例、比較例の各有色封止材シート、及び下記の裏面保護シート、を順に配置し、積層したものを、上記試験と同じ熱ラミネート条件(a)〜(d)により、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例についての太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、目視観察により、下記の評価基準により、モールディング特性を評価した。
太陽電池素子:6インチp型単結晶、厚み200μm、配置6×10
各種配線:セルを相互連結するためのタブ配線(幅2mm×厚み190μm)及び接続箱へ繋ぐ接続配線(幅6mm×厚み270μm)
透明封止材シート:EVA(酢酸ビニル含量28%、三井デュポンポリケミカル製、商品名EVAFLEX/EV250グレード)の100質量部に対して、架橋剤(Luperox101 アルケマ吉富)1.0質量部、架橋助剤(TAIC 日本化成)1.0重量部、UV吸収剤:チバ・ジャパン株式会社製、商品名CHIMASSORB81を0.3重量部、耐候安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、商品名Tinuvin770)を0.3重量部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名KBM1003)を0.5重量部加えた透明な封止材シート。
裏面保護シート:東レ PET 型番S10 188μmを用いた。尚、回り込みの確認の都合上、透明シートとした。
(評価基準) A:有色封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従。
C:有色封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、ラミネート不良部分が発生。
上記モールディング特性試験に用いたものと同じ太陽電池モジュール評価用サンプルについて、目視観察により、下記の評価基準により、回り込み抑制効果試験を評価した。
(評価基準) A:有色封止材がセル及び配線に回り込んでいない。
C:有色封止材がセル及び配線に回り込んでいる。
11 有色中間層
12 透明最外層
2 透明封止材シート
3 太陽電池素子
4 透明前面基板
5 裏面保護シート
10 太陽電池モジュール
Claims (8)
- 太陽電池モジュール用の有色封止材シートであって、
前記有色封止材シートは、着色材料を含有する有色中間層上に、着色材料を含有しない透明最外層が積層されてなる多層シートであって、
前記有色中間層は、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、
前記透明最外層は、密度0.870g/cm3以上0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、
前記透明最外層の融点+20℃の温度における該透明最外層の動的粘弾性(Tanδ)の値をAとし、
前記有色中間層の該有色中間層の融点+20℃の温度における該有色中間層の動的粘弾性(Tanδ)の値をBとしたとき、
前記Aと前記Bとの比(A/B)が、102以上106以下である有色封止材シート。 - 前記有色中間層は、該有色中間層の融点+20℃の温度における動的粘弾性(Tanδ)が、0.1以上1.0以下であって、前記透明最外層は、該透明最外層の融点+20℃の温度での動的粘弾性(Tanδ)が、102以上105以下である請求項1に記載の有色封止材シート。
- 前記透明最外層は、該透明最外層の融点+20℃の温度での動的粘弾性(Tanδ)が、102以上103以下である請求項1又は2に記載の有色封止材シート。
- 前記Aと前記Bとの比(A/B)が、10 3 以上である請求項1から3のいずれかに記載の有色封止材シート。
- 前記着色材料が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より選ばれる白色着色剤である請求項1から4のいずれかに記載の有色封止材シート。
- 前記透明最外層には、シラン変性ポリエチレン系樹脂からなる密着性共重合体樹脂が含まれている請求項1から5のいずれかに記載の有色封止材シート。
- 請求項1から6のいずれかに記載の有色封止材シートと、太陽電池素子と、を備える太陽電池モジュールであって、
前記有色封止材シートが、前記太陽電池素子の非受光面側のみに配置されている太陽電池モジュール。 - 請求項1から7のいずれかに記載の有色封止材シートの製造方法であって、
前記多層シートには、電離放射線の照射による架橋処理が行われている有色封止材シートの製造方法。
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