JP6665956B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、PID抑制効果に優れる太陽電池モジュール用の封止材シートに関する。又、本発明は、更に詳しくは、近年、開発が進んでいるn型の太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュールに、特に好適に用いることができる封止材シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発されている。一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。
太陽電池モジュール用の封止材シートとしては、従来から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)と、有機過酸化物に代表される架橋剤と、の組み合わせが多く使用されてきた。又、近年、水蒸気遮断性に優れる利点を生かしてEVAに代わりポリエチレン系樹脂の開発が進んでいる。
一方、近年、メガソーラー等発電システムの大規模化により、システムの高電圧化が進んでおり、これに伴い、太陽電池モジュールの発電効率が低下するPID(Potential Induced Degradationの略)の発生が、より深刻な問題として顕在化するようになっている。PIDとは、透明前面基板、太陽電池素子、受光面側封止材シート、及び裏面保護シート等を積層してなる太陽電池モジュールに生じる可逆的・不可逆的な発電効率の低下を指す用語である。特に上記のようなメガソーラーでは、数メガワットの容量を有することが一般的であるため、太陽電池モジュールに不可逆的なPIDが生じた場合、発電量の損失が非常に大きくなるおそれがある。
PIDを抑制する手段の一つとして、例えば、オレフィン系の封止材シートにおけるシートの厚みと絶縁破壊電圧との積を、各太陽電池モジュールの出力に応じた最適値範囲に調整することによって、封止材シートの絶縁破壊を回避して、これによりPID発生の抑制を企図する解決手段が提案されている(特許文献1)。
又、太陽電池素子の受光面側と非受光面側に配置する封止材シートの材料樹脂を、それぞれ特定のオレフィン系樹脂及び、EVA等のエチレン・極性モノマー共重合体に限定することにより、同じく、PID発生の抑制する手段も提案されている(特許文献2)。
特開2014−11270号公報 特開2015−5646号公報
ここで、近年、更なる太陽電池モジュールの発電効率向上のため、従来広く普及していたp型の結晶系太陽電池素子(以下「p型セル」とも言う)よりも理論発電量が大きい、n型の結晶系太陽電池素子(以下単に「n型セル」とも言う)の開発が進んでいる。本明細書におけるn型の太陽電池素子(n型セル)とは、n型半導体を基板とし、その上にp型半導体薄膜層を形成したシリコン結晶系の太陽電池素子のことを言うものとする。
上記各特許文献に記載の封止材シート等、従来における特にPID対策を企図したタイプの封止材シートは、従来広く普及していたp型の太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュールにおけるPIDの抑制には一定の効果を奏し得るものであった。しかしながら、本発明者らの研究により、それら、従来における上記のPID対策用の封止材シートは、近年新たに開発が進みつつあるn型セルを搭載した太陽電池モジュールにおいては、必ずしも十分なPID抑制効果を発現しえないものであることが分かってきた。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、PID抑制効果を有する太陽電池モジュール用の封止材シートであって、とりわけ、n型セルを搭載した太陽電池モジュールにおいても、十分なPID抑制効果を発揮しうる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、太陽電池モジュール用の封止材シートの厚さ、体積抵抗値、融点、及び、それらと同時に封止材シートの透明性を、いずれも、以下に詳細を説明する方法によって、本発明独自の範囲に最適化することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、該封止材シートは、密度0.885g/cm以上0.910g/cm以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする電気抵抗層からなる単層シート又は前記電気抵抗層を含む複数の層からなる多層シートであって、総厚さが210μm以上650μm以下であって、JIS K7136に準拠して測定したヘイズ値が4.5以下であり、前記電気抵抗層は、融点が65℃以上85℃以下であって、JIS C6481に準拠して測定した温度60℃における体積抵抗値が514Ω・cm以上である封止材シート。
(2) 前記電気抵抗層の層厚さが、前記封止材シートの総厚さの27%以上100%以下である(1)に記載の封止材シート。
(3) 前記封止材シートが多層シートであって、前記電気抵抗層の両面に、密度0.870g/cm以上0.890g/cm以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする柔軟層が形成されている(1)又は(2)に記載の封止材シート。
(4) 前記ポリエチレン系樹脂がメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである(1)から(3)のいずれかに記載の封止材シート。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法であって、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形して未架橋のシートを成形するシート化工程と、前記未架橋のシートに電離放射線の照射による架橋処理を行う架橋工程と、を備え、前記封止材組成物中の架橋剤の含有量が、0質量%以上0.5質量%未満である封止材シートの製造方法。
(6) (1)から(4)のいずれかに記載の封止材シートと、太陽電池素子と、を備える太陽電池モジュールであって、太陽電池素子の受光面側に前記封止材シートが積層されている太陽電池モジュール。
(7) 前記太陽電池素子がn型の太陽電池素子である(6)に記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、PID抑制効果を有する太陽電池モジュール用の封止材シートであって、n型セルを搭載した太陽電池モジュールにおいても、十分なPID抑制効果を発揮しうる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供することができる。
本発明の封止材シートの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の封止材シートと、それを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。
以下、先ず、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートを製造するための封止材組成物について説明し、以後、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート、及び、本発明の太陽電池モジュールの順に、その詳細を説明する。
<封止材組成物>
本発明の封止材組成物は、特に電気抵抗層を成形するための封止材組成物を、所定の密度及び融点範囲にあるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする組成物とした点に特徴がある。又、必要に応じて別途積層される柔軟層については、電気抵抗層の備えるPID抑制機能と光透過性を阻害しない許容範囲内で、封止材シートの密着性やモールディング特性の向上に寄与することができる封止材組成物、即ち、電気抵抗層用の封止材組成物よりも相対的に低密度低融点であるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする組成物を用いることが好ましい。
本明細書において、多層の封止材シートとは、以下にその材料、形状(厚さ)、及び物性の詳細を説明するポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物からなる電気抵抗層と、当該電気抵抗層よりも相対的に低密度のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物からなる柔軟層とが積層されてなる封止材シートであり、電気抵抗層の厚さが、全体として後述の所定以上の相対的厚さを保持している限り、上記各配置は特定の層構成には限定されない。ここで電気抵抗層の厚さとは、電気抵抗層が複数の層からなる場合には、それら複数の電気抵抗層の厚さの合計値のことを言うものとする。
[電気抵抗層用の封止材組成物]
電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であるLLDPEは、シート加工性を維持しつつ封止材シートに良好な柔軟性を備えさせることができる。
電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.885g/cm以上0.910g/cm以下であり、好ましくは、0.890g/cm以上0.900g/cm以下である。
電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の融点は、65℃以上85℃以下であり、好ましくは、70℃以上80℃以下である。この電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂の融点は、柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂と、同じ融点であるか、或いは、柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂よりも低融点であることが好ましい。
又、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂は、製膜性を良好に保つ観点から、JIS7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRの値(本明細書における「MFR」とは、この値のことを言う。)が、0.5g/10min以上30.0g/10min以下であることが好ましく、1.0g/10min以上15.0g/10min以下であることがより好ましい。
電気抵抗層用の封止材組成物に含まれる上記ベース樹脂の含有量は、同封止材組成物中の全樹脂成分に対して、好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは90質量%以上99質量%以下である。電気抵抗層用の封止材組成物の融点を上記の温度範囲に保持できる限り、上記の組成範囲内において他の樹脂を含んでいてもよい。
後に実施例において示す通り、上記の通りの密度及び融点範囲にある電気抵抗層用の封止材組成物を用いることにより、当該封止材組成物からなる電気抵抗層を有する封止材シートの、JIS C6481に準拠して測定した温度60℃における体積抵抗値を、本願の所定の体積抵抗値範囲である514Ωcm以上とすることができる。尚、本明細書における体積抵抗値とは、全て上記同様、JIS C6481に準拠して測定した体積抵抗値のことを言うものとする
(シラン変性ポリエチレン系樹脂)
電気抵抗層用の封止材組成物には、適宜、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させることもできる。尚、封止材シートが多層シートであり、且つ、柔軟層が最外層として配置される場合には、他部材との密着性を効率よく高めるために、同樹脂を特に柔軟層へより多く添加することが好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなる。これにより、封止材シートの他部材への密着性を向上させることができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
(架橋剤)
電気抵抗層用の封止材組成物には、適宜、架橋剤を含有させることができる。架橋剤は公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
例えば、特開2013−115212号公報に記載されている方法、即ち、封止材シート成形後に電離放射線による架橋処理を行うことにより、封止材シートの体積抵抗値を更に好ましい範囲へと増加させることができる。この製造方法によって封止材シートを製造する場合には、架橋剤の添加は必須ではない。この場合において、電気抵抗層用の封止材組成物中の架橋剤の含有量は、電気抵抗層用封止材組成物の全樹脂成分に対する含有量が0質量%以上0.5質量%未満であり、好ましくは、0質量%以上0.3質量%以下の範囲である。尚、0.02質量%以上の架橋剤を添加することにより、封止材シートを構成するポリエチレン系樹脂により好ましい耐熱性を付与し、同時に体積抵抗値をより好ましい所望の範囲に増加させることもできる。
一方、例えば、国際公開公報(WO2011/152314 A1)に記載の方法、即ち、成形中に、押出し装置に過度な負担を及ぼさない程度のごく弱い架橋反応(弱架橋)を進行させることによって耐熱性を付与する製造方法によって封止材シートを製造する場合には、封止材組成物の全樹脂成分に対して、0.02質量%以上0.5質量%未満の架橋剤を添加することにより、本発明の封止材シートに用いるポリエチレン系樹脂に好ましい耐熱性を付与し、同時に体積抵抗値を所望の範囲に調整することができる。一方、この場合において架橋剤の添加量が0.5質量%を超えると、成形中にゲルが発生する等して製膜性が低下し、透明性も低下するため好ましくない。
(架橋助剤)
電気抵抗層用の封止材組成物には、架橋助剤として、炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマーを用いることができる。架橋助剤としてより好ましくは、多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基であるものが用いられる。このような架橋助剤の添加により、低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、低温柔軟性に優れる架橋済みの封止材シートを得ることができる。
架橋助剤を用いる場合、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。これらは単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
上記のなかでも、ガラス面との密着性向上の効果が特に高く、又、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、耐熱性の向上が期待できるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを特に好ましく使用できる。架橋助剤の含有量としては、封止材組成物の全樹脂成分に対して、0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
(密着性向上剤)
電気抵抗層用の封止材組成物には、適宜、密着性向上剤を添加することにより、更に、他部材との密着耐久性を高めることができる。尚、封止材シートが多層シートである場合には、他部材との密着性を効率よく高めるためには、他部材との密着面となる最外層に柔軟層を配置して、当該最外層へ重点的に密着性向上剤を添加することがより好ましい。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤等を好ましく用いることができる。尚、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
密着性向上剤として、シランカップリング剤を添加する場合、その含有量は、封止材組成物の全樹脂成分に対して0.1質量%以上10.0質量%以下であり、上限は好ましくは5.0質量%以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲にあり、且つ、封止材組成物を構成するポリオレフィン系の樹脂に適量のエチレン性不飽和シラン化合物の含量されているときには、密着性を最適化することができる。
(ラジカル吸収剤)
電気抵抗層用の各封止材組成物において、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を更に微細に調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化等が例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、封止材組成物の全樹脂成分に対して0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
(その他の成分)
電気抵抗層用の封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれの封止材組成物の全樹脂成分に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シートに対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明にベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂でもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。尚、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[柔軟層用の封止材組成物]
封止材シートが多層シートである場合における柔軟層用の封止材組成物としては、電気抵抗層用の組成物と同様にポリエチレン系樹脂をベース樹脂としたものを用いる。柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂としては、電気抵抗層用の封止材組成物と同様の各ポリエチレン系樹脂を用いることができる。中でも、M−LLDPEは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一であるため、分子量分布が狭く、超低密度にすることが容易であり、封止材シートの柔軟層に対して好ましい柔軟性とそれに起因する優れた密着性やモールディング特性を付与することができる。
柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.870g/cm以上0.890g/cm以下であることが好ましい。この柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂の密度は、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂と、同じであるか、或いは、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂よりも低密度であることが好ましい。
柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の融点は、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂と同じ融点であるか、或いは、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂よりも低融点であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。これにより、柔軟層と、電気抵抗層、更には、透明前面基板や太陽電池素子との間における密着性が向上する。
又、柔軟層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂は、電気抵抗層用の封止材組成物のベース樹脂と同様に、製膜性を良好に保つ観点から、JIS7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgにおけるMFRの値が、0.5g/10min以上30.0g/10min以下の範囲であることが好ましく、1.0g/10min以上15.0g/10min以下であることがより好ましい。
柔軟層用の封止材組成物に含まれる上記ベース樹脂の含有量は、上述の電気抵抗層用の封止材組成物の場合と同一量比である。そして、上記組成範囲内において、同様に他の樹脂を含んでいてもよい。
その他、柔軟層用の封止材組成物には、必要に応じて、シラン変性ポリエチレン系樹脂、架橋剤、架橋助剤、密着性向上剤等、電気抵抗層用の封止材組成物と同様の機能性の樹脂や添加剤を適量含有するものとすることができる。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、単一の電気抵抗層からなる単層シートであるか、或いは、当該電気抵抗層の少なくともいずれか一方の面に配置される柔軟層と、を含む複数の層によって構成される多層シートである。そして、本発明の封止材シートは、上記において説明した所定の密度及び融点範囲にある各層用の封止材組成物をそれぞれ選択して、且つ、封止材シートの総厚さと、当該総厚さに対する電気抵抗層の厚さ比が本発明の所定範囲内、即ち、電気抵抗層の厚さが、封止材シートの総厚さの27%以上100%以下となるように、封止材シートを成形することにより得ることができる。以下、本発明の好ましい一実施形態として、図1に示す封止材シート、即ち、封止材シートが単層である電気抵抗層11の上下に各1層計2層の単層の柔軟層12を含む3層構造の封止材シートについて説明する。
封止材シートが多層シートである場合、単層の電気抵抗層11の両面に、それぞれ単層の柔軟層12が配置されている3層構造であることが好ましい。但し本発明の封止材シートはこれに限られるものではない。例えば、電気抵抗層の片面のみに柔軟層が配置されている2層構造の封止材シートや、或いは、複数の電気抵抗層の間に柔軟層を挟んでなる多層構造の封止材シート、或いは、他材料からなる水蒸気バリア層等、本発明の機能を阻害しない範囲でその他の機能層が適宜配置されている封止材シートであっても、本発明の構成要件を備える電気抵抗層を備え、且つ、総厚さに対する電気抵抗層の厚さ比を含め、本発明の構成要件を備える封止材シートである限り本発明の範囲内である。
電気抵抗層11は、封止材シートに、PID抑制効果を付与することを主目的として配置される層である。電気抵抗層11は、封止材組成物の材料選択と、必要に応じて行う架橋処理の架橋条件、即ちその結果としての架橋度の調整により、60℃における体積抵抗値を514Ω・cm以上とすることができる。そして、更に、そのような体積抵抗値を有する電気抵抗層11を、上記の所定の厚さ範囲で成形することにより、封止材シートの全体としての絶縁性能を十分に向上させることができる。そして、このような封止材シートを少なくとも太陽電池素子の受光面側に配置することによって、太陽電池モジュールにおけるPIDの発生、とりわけ、n型セルを搭載した太陽電池モジュールにおけるPIDの発生を、十分に抑制することができる。
柔軟層は、封止材シートが多層シートである場合において、多層構造中のいずれかの層に必要に応じて配置される層である。柔軟層は主として封止材シートに十分な柔軟性を付与するために積層される層であり、これにより、太陽電池モジュールとしての一体化工程時におけるモールディング特性や密着性を向上させることができる。
電気抵抗層11と柔軟層12とを含む封止材シートの総厚さは210μm以上650μmであり、300μm以上550μm以下であることが好ましい。210μm未満であると、太陽電池素子に対する衝撃を十分に緩和することが難しい。一方、650μmを超えても衝撃緩和の効果向上は得られないため経済性の面で好ましくない。
本発明の封止材シートは、総厚さが210μm以上650μm以下である。そしてこの封止材シートの総厚さに対する電気抵抗層11の厚さ比は、当該封止材シートの総厚さに対して27%以上100%以下であり、好ましくは、65%以上95%以下である。この比率が100%である場合が、即ち、封止材シートが単層シートである場合である。既述の通り、このような封止材シートも、本発明の封止材シートの好ましい実施形態の一例である。上記の好ましい総厚さと厚さ比の範囲からの帰結として、電気抵抗層11の厚さは、絶対値としては、総厚さで95μm以上であればよい。
尚、柔軟層が、最外層に積層される場合の各単独の柔軟層の厚さの前記総厚さに対する厚さ比は、30%以下であればよく、好ましくは同厚さ比が、5%以上20%以下である。
本発明の封止材シートは、JIS K7136に準拠して測定したヘイズ値が4.5以下である。本発明の封止材シートの主たる解決課題は、PIDの抑制であり、このためには、封止材シートに高い電気抵抗を備えさせる必要がある。そのため封止材シートの体積抵抗を高める必要があるが、本発明の封止材シートは、特に太陽電池モジュールにおいて、少なくとも、太陽電池素子の受光面側に配置することによって、PID抑制効果を顕著に発揮しうるものであるため、太陽光の透過率が高いもの、つまり高い透明性をも備えるものであることが求められる。一般に樹脂シートの体積抵抗値は密度と正の相関関係にあり、そしてポリエチレン系樹脂等からなる樹脂シートにおいては、樹脂材料の密度が高くなると、透明性は低下する傾向にある。本発明の封止材シートは、単に体積抵抗値を向上させたのみならず、高い透明性を保持することによって、太陽電池モジュールの高い発電効率の維持に大きく寄与することができる点に特徴がある。
上記のような透明性を保持するための手段の一例として、封止材シートを構成する各層を一軸延伸フィルムとすることが挙げられる。これにより高密度であり高い体積抵抗値を有しながら、好ましい透明性をも保持した封止材シートを製造することが可能である。成形時に封止材組成物を一軸延伸成形することにより、同一密度の樹脂を通常の成形方法によって成形する場合よりも透明性を向上させることができる。
本発明の封止材シートは、以上の通り、低密度ポリエチレン系樹脂シートの透明性を保持しつつ、体積抵抗値を、所定範囲にまで向上させたものである。そのための手段としては、封止材組成物の選択から溶融押出し時の延伸処理までの間における調整手段の他、シート成形後の架橋処理段階での調整手段によって更に好ましい範囲への封止材シートの物性の最適化を実現することができる。架橋処理段階での好ましい調整手段の具体例としては、特開2013−115212号公報に記載されている方法、即ち、封止材シート成形後に電離放射線による架橋処理によって架橋処理を行い、これにより封止材シートの体積抵抗値を所望の範囲に最終調整する方法を挙げることができる。
<封止材シートの製造方法>
封止材シートの製造方法の好ましい実施態様の一例を説明する。この製造方法は、上述の封止材組成物を用いて溶融形成した溶融形成後の封止材シート材料に、更に、電離放射線の照射による架橋処理を行い、適度に架橋を進行させることによって、封止材シートの透明性を保持したまま、その体積抵抗値を最適化する方法である。
[シート化工程]
封止材シートの各層用の各封止材組成物の溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。多層シートとしての成形方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。又、上述の通り溶融成形は一軸延伸成形であることがより好ましい。
成形時の成形温度の下限は封止材組成物の融点を超える温度であればよい。成形温度の上限は、架橋剤を使用する場合には、当該架橋剤の1分間半減期温度に応じて、製膜中に架橋が開始しない温度、即ち、封止材組成物のゲル分率を0%に維持できる温度であればよい。
ここで、この封止材シートの製造方法においては、封止材組成物中において架橋剤は必須ではなく、又、架橋剤を添加する場合であってもその含有量は0.5質量%未満とする。このため、通常の低密度ポリエチレン樹脂の成形温度、例えば、120℃程度の加熱条件下では、ゲル分率の変化は現れず、樹脂の物性に実質的な影響を与えるような架橋は進行しない。製膜中の封止材組成物のゲル分率を0%に維持する本発明の製造方法によれば、製膜時に押出機等にかかる負荷を低減し、封止材シートの生産性を高めることが可能である。
[架橋工程]
上記のシート化工程後の未架橋の封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材シートを他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行う。この架橋処理によってゲル分率が2%以上80%以下となる封止材シートとする。架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。
電離放射線の照射による架橋処理については、個別の架橋条件は特に限定されない。本発明の封止材シートの製造方法は、従来方法とは異なり、基本的に、照射条件の微調整にはよらずに、組成物の側の物性の限定により架橋の進行度を最適化する方法であるためである。大凡の具体的な照射量の目安としては、架橋処理後の電気抵抗層のゲル分率が、10%程度以上の範囲となるように適宜設定すればよい。具体的には、電子線(EB)、α線、β線、γ線、中性子線等の電離放射線によって行うことができるが、なかでも電子線を用いることが好ましい。電子線照射における加速電圧は、被照射体であるシート厚みによって決まり、厚いシートほど大きな加速電圧を必要とする。例えば、0.5mm厚みのシートでは100kV以上、好ましくは200kV以上で照射する。加速電圧がこれより低いと、電気抵抗層11の架橋が十分に進行しない。照射線量は5kGy〜500kGy、好ましくは5〜200kGyの範囲である。照射線量が5kGyより小さいと電気抵抗層の架橋が十分に進行せず、又、500kGyを超えると、発生する熱による封止材シートの変形や着色等が懸念されるようになる。尚、電離放射線の照射は、電気抵抗層の架橋を上述の程度に十分に進行させうる条件であれば、片面側から或いは両面側からの照射いずれであってもよい。又、照射は大気雰囲気下でもよく窒素雰囲気下であってもよい。
ここで、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い、残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。
本発明の製造方法によれば、上記の通り電気抵抗層の架橋の進行度を最適化する照射条件を設定することにより、当該照射条件の下で、柔軟層の架橋の進行度の適切な抑制も同時に実現できる。このため架橋条件の管理が容易であり、複雑且つ煩雑な架橋条件の管理からの解放による生産性の向上が可能である。又、照射条件の設定については、必ずしも上記ゲル分率によるものに限られない。例えば、サンプル封止材シートの架橋後の熱収縮率を初期段階で測定して、結果を初期照射条件にフィードバックし、その後は、同一の条件で照射を継続する等の方法であってもよい。
尚、架橋処理が一般的な加熱処理である場合は、一般的に、架橋剤の含有量として封止材シートの全成分100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下が必要とされているが、本製造方法による場合においては、架橋剤の含有量が0であってもよく、含有する場合であっても0.5質量部未満であることが好ましい。これにより、封止材組成物のシート化工程における封止材組成物のゲル化による生産性低下のリスクが低減できる。
<太陽電池モジュール>
次に、本発明の太陽電池モジュールの好ましい一実施形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態であるn型の太陽電池素子を備える太陽電池モジュール10について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明ガラス基板4、受光面側用の封止材シート1、太陽電池素子3、非受光面側用の封止材シート2、及び裏面保護シート5が順に積層されている。
上記構成を備える太陽電池モジュール10は、少なくとも太陽電池の受光面側に配置する受光面側用の封止材シート1として本発明の封止材シートを用いる。これにより、発電効率に寄与する高い透明性を維持しつつ、太陽電池モジュールにおけるPIDの発生を大幅に抑制することができる。
太陽電池素子の非受光面側に配置する非受光面側用の封止材シート2については、受光面側と同じく本発明の封止材シートを用いてもよいが、必須ではない。例えば、本発明の封止材シートと同様の体積抵抗値を有する非透明な光反射性の封止材シートを用いる等、太陽電池モジュールの全体構成に鑑み、適宜最適な封止材シートを選択することができる。
太陽電池モジュール10は、本発明の封止材シートを含む上記の各構成部材を、例えば図2に示す態様で順次積層してから、真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール10において、受光面側用の封止材シート1以外の部材である透明ガラス基板4、太陽電池素子3及び裏面保護シート5は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール10は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材シートは、n型の太陽電池素子を搭載する太陽で電池モジュールに特に好ましく用いることが出来るものであるが、バックコンタクト型の太陽電池素子や、薄膜系の素子を含め、あらゆるタイプの素子を搭載した太陽電池モジュールにも適用することができる。
以上、実施形態を示して本発明を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用の封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートの電気抵抗層用の封止材組成物及び柔軟層用の封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで電気抵抗層用及び柔軟層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、電気抵抗層からなる単層シート、或いは電気抵抗層の両面に柔軟層を配置した3層構造の多層シート(実施例1、2と比較例1)である、実施例及び比較例の各封止材シートを製造した。実施例、比較例の各封止材の総厚さと各層の厚さ、及び総厚さに対する電気抵抗層の厚さ比(%)は、それぞれ下記表2に記載の通りとした。
封止材用の各樹脂シートを成形するための封止材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
ベース樹脂1(表1にて「P1」と表記、以下同様):密度0.890g/cm、融点75℃であり、190℃でのMFRが4g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
ベース樹脂2(「P2」):密度0.880g/cm、融点60℃であり、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
ベース樹脂3(「P3」):密度0.885g/cm、融点65℃であり、190℃でのMFRが7g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
ベース樹脂4(「P4」):密度0.905g/cm、融点97℃であり、190℃でのMFRが3.6g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
ベース樹脂5(「P5」):密度0.920g/cm、融点123℃であり、190℃でのMFRが2.1g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
ベース樹脂6(「P6」):密度0.880g/cm、融点60℃であり、190℃でのMFRが30g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)。
シラン変性ポリエチレン系樹脂(「S」):密度0.880g/cm、MFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.880g/cm、MFR3.5g/10分。融点58℃。
架橋剤(架橋):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックス101)。
次に、実施例1及び3と比較例1の成形後の封止材シートに対して電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、製品名EC250/15/180L)を用い、加速電圧200kV、照射強度については表1に記載の各強度で両面からそれぞれ照射して、架橋済の封止材シートとした。
そして、実施例2及び比較例2〜4の成形後の封止材シートについて、上記の電子線照射による架橋処理を行わずに、そのまま各実施例、比較例の封止材シートとした。
Figure 0006665956
上記の通り、作成した実施例及び比較例の各封止材シートにおいて、それぞれ電気抵抗層を構成する樹脂シートについて、JIS C6481に準拠して体積抵抗値を測定した。測定機器としては、超絶縁計(日置電機株式会社製:型番SM−8215)を用いて測定した。結果を表2に示す。
又、上記の各封止材シートについて、HAZE(JIS K7136、株式会社村上色彩研究所、ヘイズ・透過率系HM150により測定)の値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006665956
<太陽電池モジュールの製造>
上記の実施例及び比較例の各封止材シートと、n型の太陽電池素子を用いて、実施例及び比較例の評価用の各太陽電池モジュールを製造した。白板半強化ガラス(JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)、太陽電池素子(n型単結晶シリコンセル(PVGS製))、及び実施例、比較例の各封止材シート、及び裏面保護シート(ポリエチレンテレフタレート部材:厚さ188μm、商品名「ルミラーS10」、東レ社製)を、図2に示す太陽電池モジュールの一般的な層構成に沿って積層し、下記のラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い一体化した後、側面にアルミフレーム枠を装着して、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度165℃
上記の各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件において、PID試験を行い、各太陽電池モジュールにおけるPID抑制効果を評価した。結果を表3に示す。測定は、下記の条件で行った。
(PID試験方法)
実施例及び比較例の各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、ダンプヒート試験による保存試験前後の太陽電池モジュールの発電出力を測定比較することにより、各太陽電池モジュールにおける本発明の封止材シートによるPID抑制効果を評価した。保存試験条件は、JIS C8917に準拠し、試験槽内において温度60℃、湿度85%の条件下で、96時間の保存試験とした。同試験後の各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、Pm値をそれぞれ測定した。Pm値とは、太陽電池の出力が最高となる動作点での最高出力値であり、JIS−C8935−1995に基づき、印加電圧:−1000Vで、保存試験前後のモジュールの発電出力を測定した。又、保存試験前後の同値の維持率を算出して、同維持率が90%以上であることをもって好ましいPID抑制効果が発現されているものと評価した。
Figure 0006665956
表1〜表3より、本発明の封止材シートは、n型セルを搭載した太陽電池モジュールにおいても、優れたPID抑制効果を発揮しうる封止材シートでることが分かる。
1 受光面側用の封止材シート
11 電気抵抗層
12 柔軟層
2 非受光面側用の封止材シート
3 太陽電池素子
4 透明前面基板
5 裏面保護シート
10 太陽電池モジュール

Claims (1)

  1. 太陽電池素子と、該太陽電池素子の受光面側に積層されている封止材シートと、を備える太陽電池モジュールであって、
    前記太陽電池素子がn型の太陽電池素子であって、
    前記封止材シートは、
    密度0.885g/cm以上0.910g/cm以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする電気抵抗層の両面に、密度0.870g/cm 以上0.890g/cm 以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし前記電気抵抗層のベース樹脂よりも融点の低い樹脂をベース樹脂とする柔軟層が形成されている多層シートであって、
    総厚さが210μm以上650μm以下であって、
    JIS K7136に準拠して測定したヘイズ値が4.5以下であり、
    前記電気抵抗層は、融点が65℃以上85℃以下の樹脂をベース樹脂とし、JIS C6481に準拠して測定した温度60℃における体積抵抗値が5×1014Ω・cm以上であり、層厚さが、前記封止材シートの総厚さの65%以上95%以下であって、シラン変性ポリエチレン系樹脂は含有されておらず、
    前記柔軟層には、シラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されている、太陽電池モジュール。
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