JP2016021344A - プラズマ処理装置、及びそのプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置、及びそのプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理材に対して異常放電を発生させずにプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置を提供する。また、真空チャンバ内の圧力を変更することなく、放電も安定させた状態で当該1台のプラズマ処理装置を用いて複合硬化処理を行い、処理時間の短縮化及び生産コストを抑制するプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】放電電源30の負極側に接続された陰極31と、放電電源30の正極側に接続された中間電極34,35を有し、チャンバ2内に向けてプラズマを生成するプラズマガン3と、陰極31が放出した電子を案内する磁束を形成する収束コイル38と、被処理材100に表面処理を施すための反応ガスをチャンバ2内に供給する反応ガス供給部28と、被処理材100を電気的に絶縁した状態でチャンバ2内に配置し、反応ガスで満たされたチャンバ2内でプラズマを形成して被処理材100に表面処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理物を減圧下でプラズマ処理するプラズマ処理装置、及びそのプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法に関する。
従来、被処理材を減圧下でプラズマ処理するプラズマ処理装置は公知である。プラズマ処理装置の一例として、特許文献1には、被処理材を載置するプラズマ電極を真空チャンバ内に配置し、このプラズマ電極にプラズマ電源の負極ラインを接続すると共に正極ラインを装置本体に接続したプラズマ窒化装置が開示されている。
また、特許文献2には、プラズマ電極にプラズマガンを用い、ビーム状のプラズマを真空チャンバ内に照射するイオン窒化装置が開示されている。
特許文献1に記載のプラズマ窒化装置は、真空チャンバ内に水素ガスと窒素ガスからなる反応ガスを導入し、被処理材に電圧を印加して被処理材にグロー放電(プラズマ)を発生させる。その際、イオン化した窒素が被処理材の表面に衝突、侵入、及び拡散することにより被処理材の表面に連続した窒化層を形成する。また、それと同時にイオン化した水素と被処理材の表面の酸素が反応する還元反応により被処理材の表面に形成された酸化膜を除去する効果を奏する。
他方、DLC(Diamond Like Carbon)膜は、高硬度、低摩擦、低摩耗、化学的に不活性等の他の硬質皮膜にはない優れた特性を有し、自動車のエンジン部品(例えばバルブリフタ)や工具(例えばドリルの刃)等に用いられている。DLC膜は上述の優れた特性を有する反面、硬度が高いため母材表面に馴染みにくく、被膜の剥離が問題となっている。このため、DLCを成膜した部品の信頼性を確保するためには、母材との密着性をいかに高めるかが課題となっている。
DLCを被処理材の表面に成膜する方法としては、イオン蒸着法、プラズマCVD(chemical vapor deposition)法、スパッタリング法等が公知である。成膜の一例として、特許文献3に開示されているように、被処理材に電圧を印加せずに行うこともできる。
上述のプラズマ窒化や成膜においては、特許文献4に開示されているように、真空チャンバ内の圧力が低いほど反応速度は速いが放電の安定性が悪くなり(異常放電)、圧力が高いほど放電は安定するが反応速度が遅くなり、相反する特性を有する(表1参照)。
[表1]
Figure 2016021344
他方、特許文献5、6に開示されているように、金型、機械部品、及び工具等に硬質皮膜であるDLC膜を成膜する製品の下地処理として、イオン窒化、ラジカル窒化、ラジカル浸炭等を施して皮膜の密着強度を向上させる複合硬化処理が公知である。近年、上述したプラズマ窒化を下地処理として行ってからDLC成膜を行うことにより、窒化層が、硬度の低い母材表面と硬度の高いDLC膜の中間的な硬度として作用することで、DLC膜の密着性が向上することが分かってきた。
特開2008−133518号公報 特開2004−292934号公報 特開2009−302297号公報 特開2001−89847号公報 特開2005−068499号公報 特開2004−250746号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のプラズマ窒化装置、及びイオン窒化装置は、被処理材に電圧を印加するため、放電の安定性が被処理材に直接影響し、被処理材に欠陥が生じる虞がある。具体的には以下の問題が発生する。
(1)被処理材にごみや堆積物が付着していると、その部分に放電が集中して温度が非常に高くなる結果、被処理材の一部が溶融するアーキング(Arcing)が発生する。
(2)放電が被処理材の側面と上面の角部に集中し、周辺部分に窒化ムラがリング状に形成されて改質層が不均一になるエッジ効果(Edging effect)が発生する。
(3)被処理材が管材等の場合、孔の大きさが小さすぎると放電が中に入らず、また、孔の大きさによっては放電がその部分に集中し、不均一な窒化層が形成されるホローカソード効果(Hollow cathode effect)が発生する。
これらの異常放電を回避するためには、表1に示したように真空チャンバ内の圧力を高く(例えば、約100Pa)する必要があるが、反応速度が遅くなるという別の問題が発生する。
DLC成膜は、大凡0.05〜10Paの圧力で行われる。そのため、特許文献5、6のように、プラズマ窒化とDLC成膜を続けて行おうとすると、上述のように処理時の圧力が異なる(プラズマ窒化:100Pa、DLC成膜:0.05〜10Pa)ため、DLC膜の成膜には下地処理とは別のPVD装置やCVD装置で行う必要がある。若しくは、同一の装置で連続処理を行う場合でも、処理内容に応じて圧力を設定変更することに加え、上述した放電を安定させる操作が必要となる。いずれにせよ、処理プロセスに長時間を要する結果、生産コストが高くなるという問題が生じる。
そこで、本発明は、被処理材に対して異常放電を発生させずにプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、真空チャンバ内の圧力を変更することなく、放電も安定させた状態で被処理材を表面改質(例えば、プラズマ窒化)する処理から成膜処理(例えば、DLC成膜)までの複合硬化処理を1台の装置で連続処理することにより、処理プロセスの短縮化、及び生産コストを抑制できる上述のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法を提供することである。
本発明のプラズマ処理装置は、被処理材を減圧下でプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、内部に処理空間を形成する真空チャンバと、放電電源の負極側に接続された陰極と、当該放電電源の正極側に接続された中間電極を有し、前記真空チャンバ内に向けてプラズマを生成する圧力勾配型プラズマガンと、前記陰極が放出した電子を案内する磁束を形成する収束コイルと、前記被処理材に表面処理を施すための反応ガスを前記真空チャンバ内に供給する反応ガス供給部と、前記被処理材を電気的に絶縁した状態で前記真空チャンバ内に配置し、前記反応ガスで満たされた前記真空チャンバ内でプラズマを形成して前記被処理材に表面処理を施す。
この構成によれば、被処理材を電気的に絶縁(浮遊)した状態で真空チャンバ内に配置するので、プラズマ内の電子は被処理材の内部に入射しようとしても、その進行が阻止される。即ち、被処理材はプラズマに単にさらされた状態となり、プラズマ内の電子は被処理材の表面にのみ作用する。このため、従来技術の課題であったアーキング、エッジ効果、あるいはホローカソード効果等の問題が発生せずにプラズマ処理を行うことができる。また、被処理材に電圧を印加しない構成であるので、これに要する電気配線、電気部品、及び回路設計等が不要になる。また、真空チャンバ内の圧力を下げて反応速度を速める場合でも、被処理材が絶縁されているので、上述の異常放電を回避できる。
前記反応ガスは、前記被処理材の表面層を除去するためのガス、前記被処理材を表面改質するためのガス、及び前記被処理材に薄膜を成膜するためのガスの少なくとも1つであり、前記被処理材は、ホルダーに支持されると共に、前記圧力勾配型プラズマガンと異なる位置に配置され、前記プラズマを引き込むための引き込み磁石が、前記ホルダーの下方に配置されていることが好ましい。
この構成によると、被処理材を電気的に絶縁していても、拡散したプラズマ内の電子をこの引き込み磁石の磁力で被処理材に向かって引き込ませ、多量のプラズマを被処理材に照射できる。その結果、被処理材の表面処理に要する時間を短縮化できる。また、例えば、引き込み磁石の少なくとも一部を被処理材に対してオフセットして配置し、被処理材を局所的に表面処理することもできる。さらに、ホルダーに支持される被処理材の数量に応じて引き込み磁石を複数配置することもできる。
前記圧力勾配型プラズマガンから前記真空チャンバ内に引き出される前記プラズマの進行方向に対して交差する方向に一対の磁石の同極同士を対向させて配置し、前記一対の磁石の反発磁場により前記プラズマをシート状に形成するシート化磁石をさらに備えていてもよい。前記引き込み磁石と前記シート化磁石のうち少なくとも一方は、前記被処理材に対して水平方向に進退移動可能に構成することも可能である。また、前記引き込み磁石と前記シート化磁石のうち少なくとも一方は、前記被処理材に対して回転可能に構成されていることが好ましい。さらに、前記シート化磁石は、当該シート化磁石を構成する前記一対の磁石間の距離を変更可能に構成してもよい。
これらの構成によれば、プラズマガンから引き出されたプラズマをシート状に変形できる。また、シート状に変形したプラズマを広範囲に照射できる結果、長尺の被処理材や大型の被処理材のほか、複数の被処理材を均一に表面処理できる。
前記被処理材、又は前記引き込み磁石は、前記被処理材に照射される前記プラズマの照射量を制御するための機構をさらに有していてもよい。
この構成によると、ホルダーを所定角度旋回させて被処理材をプラズマの照射範囲から遠ざける、又は、引き込み磁石をホルダーに対して離間する方向に移動させことで、被処理材にかかる磁力の強弱を制御できる。その結果、プラズマの照射量が多くなることで発生する表面欠陥や、プラズマの照射量が少なくなることで発生する反応速度(成膜速度)が遅くなるという不具合を回避できる。
また、本発明のプラズマ処理方法は、上述のいずれかのプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、真空チャンバ内を排気するステップと、前記反応ガス供給部から窒化用ガス、浸炭用ガス、及び浸炭窒化用ガスのうち、少なくとも1つの第1反応ガスを前記真空チャンバ内に供給し、前記真空チャンバ内の圧力が所定の圧力範囲内に保持されるように当該真空チャンバ内にプラズマを発生させて前記被処理材を表面改質するステップと、前記被処理材の表面改質がなされた後、前記真空チャンバの圧力を前記所定の圧力範囲内に保持したまま、前記第1反応ガスの供給を停止する一方、前記反応ガス供給部から供給される反応ガスを、珪素を含有するガス、炭化水素系ガス、及び炭化水素系ガスと水素ガスとの混合ガスのうち、少なくとも1つの第2反応ガスに変更し、当該真空チャンバ内にプラズマを発生させて前記被処理材の表面に薄膜を成膜するステップとを含む。
この構成によれば、真空度の条件設定を変更することなく(真空チャンバ内の圧力を所定の圧力範囲内に保持したまま)、1台の装置で被処理材を表面改質処理から成膜処理まで連続処理することができ、処理時間の短縮化、及び生産コストの抑制に寄与する。[背景技術]で述べたように、成膜処理のうち、特にDLC膜は母材との密着性が課題となる。しかし、本発明のプラズマ処理方法は、表面改質層とDLC膜との間に例えば、珪素系や窒化クロム系の中間層を介在させる処理を施し、DLC膜の密着性向上を図ることもできる。
本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理材に電圧を印加しないため、被処理材に対して異常放電を発生させずにプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法によれば、真空チャンバ内の圧力を変更することなく、放電も安定させた状態で被処理材を表面改質(例えば、プラズマ窒化)する処理から成膜処理(例えば、DLC成膜)までの複合硬化処理を1台の装置で連続処理することにより、処理プロセスの短縮化、及び生産コストを抑制できる上述のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法を提供できる。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の概略図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の概略図である。 本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置の概略図である。 引き込み磁石を水平移動させる機構の一例を示す図である。 引き込み磁石とシート化磁石を同期させて回転させる例を示す概略図である。 本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置の概略図である。 本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置の変形例1である。 (a)は本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置の変形例2の概略図であり、(b)は回転機構を示す概略図であり、(c)は(a)におけるA方向から見た回転機構の側面図である。
以下、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置について、添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、方向や位置を表す用語(例えば、「上部」、「下部」等)を便宜上用いるが、これらは発明の理解を容易にするためであり、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本発明の一形態の例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。なお、図に示すプラズマ処理装置の隣接する各構成部品は、便宜上、間隔を設けて記載しているが、実際の装置の各構成部品には真空に耐え得るシールが施されている。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置1を示す。このプラズマ処理装置1は、内部に処理空間20を形成するチャンバ2(真空チャンバ)と、チャンバ2の上部に形成された開口22から処理空間20に臨むように設けられた圧力勾配型プラズマガン3(以下、単に「プラズマガン3」と記す。)とを有する。
処理空間20には、被処理材100が電気的に絶縁(浮遊)された状態で配設されている。具体的に、被処理材100は例えば、石英又はアルミナ等の電気絶縁性のセラミックス材料からなるホルダー5の上面に支持されている。なお、ホルダー5は導電性であってもよいが、その場合は電気絶縁性の部材でホルダー5の下面側を支持して被処理材100を電気的に絶縁する。
チャンバ2は、不図示の真空ポンプに接続され、内部を真空排気可能に構成されている。チャンバ2の側壁26には、当該チャンバ2内に反応ガスを供給するための反応ガス供給孔28(反応ガス供給部)が形成されている。
実施の形態において反応ガスとは、被処理材100の表面層を除去するためのガス(以下、「エッチング用ガス」と称する。)、被処理材100を表面改質するためのガス(以下、「表面改質用ガス」と称する。)、及び被処理材100に薄膜を成膜するためのガス(以下、「成膜用ガス」と称する。)を示す。
エッチング用ガスとしては、例えば、不活性のアルゴン(Ar)が用いられる。また、表面改質用ガスとしては、例えば、窒化用ガス(アンモニア又は窒素を含むガス)、浸炭用ガス(二酸化炭素、水素、メタン、水蒸気等を主成分とするガス)、及び浸炭窒化用ガス(上述の浸炭用ガスに数%のアンモニアを添加したガス)のうちの少なくとも1つが用いられる。さらに、成膜用ガスとしては、例えば、炭化水素系ガス(例えば、アセチレンやメタン)、上述の炭化水素系ガスと水素ガスとの混合ガス、及び上述の炭化水素系ガスに珪素を含有するガスうちの少なくとも1つが用いられる。
反応ガス供給孔28には、図示しないガス配管が接続されている。ガス配管には例えば、マスフローコントローラ(図示せず)等の流量調節手段が設けられている。この流量調節手段により、所定量に調節されたエッチング用ガス、表面改質用ガス、及び成膜用ガスのそれぞれが反応ガス供給孔28からチャンバ2内に供給されるようにしてある。
プラズマガン3は、放電電源30の負極側に接続された電子を放出する環状の陰極31と、放電電源30の正極側に抵抗32,33を介して接続され、電位勾配及び圧力勾配を付与するための第1、第2中間電極34,35と、放電電源30の正極側に接続されプラズマガン3の出口部よりも高い電位とする帰還電極36とを有している。
陰極31にはプラズマガン3内に放電用ガスとしてのアルゴンガスを供給する放電ガス供給孔37が形成されている。第1、第2中間電極34,35、及び帰還電極36は、いずれも中央部に所定の径の貫通孔が形成されており、この貫通孔によってプラズマガン3本体の圧力をチャンバ2よりも正圧(陽圧)に維持し、圧力勾配を形成する。
なお、図1では中間電極を2つ設ける構成を例示しているが、中間電極の数は3つ以上であってもよい。装置コストを考慮するならば、中間電極は1つであってもよい。
第2中間電極35の下流側(即ち、プラズマの進行方向下流側)であって、帰還電極36を取り巻く位置には、陰極31が放出した電子を案内する磁束を形成する収束コイル38が配置されている。
収束コイル38の下流側であって開口22の近傍には、同極を対向させた一対の永久磁石39a,39bでプラズマをシート状にするためのシート化磁石39が配置されている。なお、図1では、シート化磁石39をチャンバ2の外側に配置しているが、チャンバ2の内部に配置してもよい。
このように、第1実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、被処理材100を電気的に絶縁(浮遊)した状態でチャンバ2内に配置するので、プラズマ内の電子は被処理材100の内部に入射しようとしても、その進行が阻止される。即ち、被処理材100はプラズマに単にさらされた状態となり、プラズマ内の電子は被処理材100の表面にのみ作用する。このため、従来技術の課題であったアーキング、エッジ効果、あるいはホローカソード効果等の問題が発生せずにプラズマ処理を行うことができる。また、被処理材100に電圧を印加しない構成であるので、これに要する電気配線、電気部品、及び回路設計等が不要になる。また、チャンバ2内の圧力を下げて反応速度を速める場合でも、被処理材100が絶縁されているので、前述した異常放電を回避できる。
次に、本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。図2は、チャンバ2の底壁24の外側にプラズマを引き込むための引き込み磁石4を配置した第2実施形態に係るプラズマ処理装置1を示す。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置1の基本構造は、図1で説明した第1実施形態に係るプラズマ処理装置1と同じであるので、同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
引き込み磁石4は永久磁石、又は電磁石で構成され、プラズマガン3とは異なる位置に配置される。図2は、プラズマガン3とは異なる位置の一例として、引き込み磁石4がホルダー5の下方であって底壁24の外側(図ではプラズマガン3と対向する位置)に配置された例を示す。
上記「ホルダー5の下方」とは、文字どおりホルダー5の直下に引き込み磁石4を配置することのほか、ホルダー5に対して引き込み磁石4の少なくとも一部をオフセットさせて配置することも含む。また、ホルダー5の下方近傍に複数の引き込み磁石4を配置することも含む。
このように、第2実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、被処理材100を電気的に絶縁していても、拡散したプラズマ内の電子をこの引き込み磁石4の磁力で被処理材100に向かって引き込ませ、多量のプラズマを被処理材100に照射できる。その結果、被処理材100の表面処理に要する時間を短縮化できる。
次に、本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。図3は、複数(図では3個)の被処理材101〜103を支持したホルダー5を処理空間20内に配置した第3実施形態に係るプラズマ処理装置1を示す。
このプラズマ処理装置1は、引き込み磁石4を被処理材101〜103に対して水平方向に進退移動させる構成を有する。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置1の基本構造は、図1、2で説明した第1、2実施形態に係るプラズマ処理装置1と同じであるので、同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図4は、引き込み磁石4を被処理材101〜103に対して進退するX−X’方向へ移動させる駆動装置6を示す。この駆動装置6は、引き込み磁石4を保持する凹状の保持部60と、保持部60の下端側面に取り付けられたスライドガイド61と、スライドガイド61をX−X’方向に移動させるリニアスライド機構62と、保持部60とスライドガイド61が載置されるスライド台63からなる。スライド台63は両端から伸びる一対の板部材64a,64bを介してチャンバ2の底壁24に接続されている。
図示するように、保持部60の凹所に引き込み磁石4が保持されている。スライドガイド61には、リニアスライド機構62のネジ軸65の一端部が螺合されている。また、ネジ軸65の他端部は、ナット66を介して板部材64bの外側に設けられたモータ67に接続されている。
モータ67は図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置から出力される駆動信号に基づいてネジ軸65を正回転又は逆回転させることにより、X−X’方向に関して引き込み磁石4を所定位置に移動させることができる。
また、モータ67に出力される駆動信号をオフすることにより、引き込み磁石4を所望の位置で位置決めできる。なお、駆動装置6は、図4で示した機構に限らず、例えばリンケージ装置等の公知の機構を採用することができる。
実際の操業においては、図3に示すように、引き込み磁石4を被処理材101〜103に対して進退するX−X’方向へ連続的に移動させて、3個の被処理材101〜103に対してプラズマを均等に照射する。
このように、第3実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、プラズマを広範囲に照射でき、複数の被処理材のほか、長尺の被処理材や大型の被処理材にも均一な表面処理を施すことができる。
本実施の形態では、引き込み磁石4を被処理材101〜103に対して水平方向に進退移動させる構成を例示したが、プラズマを広範囲に照射する手法はこれに限定されない。例えば、引き込み磁石4を固定したまま、シート化磁石39をX−X’方向へ移動させてもよいし、引き込み磁石4の進退移動とシート化磁石39の進退移動を相互に同期させてX−X’方向へ移動させてもよい。さらに、シート化磁石39を構成する一対の永久磁石39a,39bの対向面間の距離を変更することにより、プラズマを広範囲に照射することもできる。
また、例えば、図5に示すように、シート化磁石39と引き込み磁石4のそれぞれに回転機構390、400を設け、シート化磁石39の回転と引き込み磁石4の回転を相互に同期させながら、所望の回転数で回転させてもよい。その他、シート化磁石39と引き込み磁石4のうち、少なくとも一方を被処理材に対して回転させる構成であってもよい。
次に、本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置について、図6を参照して説明する。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置1の基本構造は、図1、2、3で説明した第1、2、3実施形態に係るプラズマ処理装置1と同じであるので、同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
被処理材に成膜処理を施す場合、プラズマの照射範囲が固定されると、被処理材の表面が部分的に不均一になる欠陥が生じる。一方、引き込み磁石4の磁力が強すぎたり弱すぎたりする場合、表面欠陥の発生や、反応速度が低下する不具合が生じる。この課題を解決するため、第4実施形態に係るプラズマ処理装置は、被処理材に照射されるプラズマの照射量を制御するための機構を有している。
具体的に、本実施の形態のプラズマ処理装置1は、図6に示すように、引き込み磁石4をチャンバ2の底壁24に対してY’方向に離間する方向に移動させる構成を有する。この構成によると、プラズマを引き込む磁力が低下する結果、被処理材に照射されるプラズマの照射量を低下させる制御が可能となる。また、引き込み磁石4を電磁石で構成し、磁石に供給する電流を調節してプラズマの照射量を制御してもよい。
図7は、本実施の形態の変形例1を示す。この変形例は、引き込み磁石4をホルダー5に対して離間する方向に水平移動(X−X’方向)させることにより、プラズマガン3の中心軸から引き込み磁石4に向かって照射されるプラズマの照射方向を変化させ、プラズマの照射範囲が固定されることにより生じる被処理材の表面欠陥を回避する構成である。引き込み磁石4を水平移動させる機構は、図4で示した駆動装置6で代用できる。
図8は、本実施の形態の変形例2を示す。この変形例は、ホルダー5を所定角度旋回させて被処理材100をプラズマの照射範囲から遠ざけるための回転機構50を有する。
図8(b)、図8(c)に示すように、回転機構50は、ホルダー5の一端側に固定された垂直方向に延びる板状のブラケット51と、チャンバ2の側壁26を貫通する回転軸52と、側壁26の外側に設けられたロータリーアクチュエータ53からなる。回転軸52は、一端部がブラケット51の上端部に接続され、他端部がロータリーアクチュエータ53に接続されている。また、側壁26の外側における回転軸52の挿通部520には、回転真空シール54が設けられている。
ロータリーアクチュエータ53は図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置から出力される駆動信号に基づいて回転軸52を正回転又は逆回転させることにより、Z−Z’方向に関してホルダー5を所定角度旋回できる。また、ロータリーアクチュエータ53に出力される駆動信号をオフすることにより、ホルダー5を所望の角度で停止させることができる。
被処理材100に照射されるプラズマの照射量の制御は、成膜処理中に作業者が成膜の状態を目視で確認しながら行ってもよいし、成膜処理のプロセスの中に組み込んで自動的に行うことも可能である。
次に、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法の第1例について説明する。第1例は、図1のプラズマ処理装置1を用いて被処理材100の表面の酸化物層を除去するエッチング処理について説明する。
先ず、被処理材100として、例えばSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼(40mm×40mm×2mm)を用意し、これを超音波により脱脂洗浄してホルダー5に支持する。続いて、不図示の真空ポンプによってチャンバ2内を真空排気し、チャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paに保持する。
次に、放電ガスとしてのアルゴンガスを放電ガス供給孔37からプラズマガン3に供給する。この状態で、放電電源30をオンすることによりプラズマガン3に直流電力が印加される。プラズマガン3に直流電力が印加されると、陰極31から電子が放出され、この電子が収束コイル38に引き出されると共に、プラズマガン3に供給されたアルゴンガスの分子に衝突し、その衝撃によりアルゴンガスの分子は電離する。即ち、処理空間20内にプラズマ領域が形成される。
次に、不図示の真空ポンプによってチャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paに維持したまま、反応ガス供給孔28からエッチング用ガスとしての所定量のアルゴンガスをチャンバ2内に供給すると、被処理材100の周囲にアルゴンガス(エッチング用ガス)のプラズマが形成される。このプラズマにより、被処理材100の表面の酸化物層が除去される。
一般的に、ステンレス鋼の表面はクロムの酸化物を主体とした酸化物層が形成されている。通常、この酸化物層を除去する方法として、例えば活性水素ガスによって酸化物層を還元除去する方法や、濃硝酸で酸洗いすることにより酸化物層を除去する方法が用いられる。しかし、これらの方法は取り扱いが危険であり、廃液の後処理も必要となる。これに対して第1例では、圧力勾配型プラズマガン3を用いたエッチング処理であるため、取り扱いが安全で廃液の後処理も不要なエッチング方法で被処理材100の表面の酸化物層を除去できる。
なお、図2で示したように、引き込み磁石4を設置してもよい。そうすると、拡散したプラズマ領域が被処理材100に向かって広がり、被処理材100全体を覆う。これにより、反応効率が向上する。
次に、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法の第2例について説明する。第2例は、図1のプラズマ処理装置1を用いて被処理材100の表面に窒化層を形成する表面改質処理について説明する。
先ず、上述の第1例と同様の方法で、オーステナイト系ステンレス鋼製の被処理材100に対して超音波により脱脂洗浄を行った後、被処理材100の表面の酸化物層をエッチング処理にて除去する。
続いて、不図示の真空ポンプによってチャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paに維持したまま、反応ガス供給孔28から窒化用ガスとしての所定量のアンモニア又は窒素を含むガスをチャンバ2内に供給すると、被処理材100の周囲に窒化用ガスのプラズマが形成される。このプラズマにより、被処理材100の表面が徐々に窒化される。第2例では、被処理材100の表面の酸化物層は上述のエッチング処理により予め除去されているため、被処理材100の表面に良好な窒化層を形成できる。
このとき、被処理材100は、電気的に絶縁した状態で処理空間内に配置されているので、プラズマ内の電子は被処理材100の内部に入射せず、被処理材100の表面にのみ作用して窒化等の表面改質処理が実行される。電子が被処理材100の内部に入射しないため、従来技術の課題であった異常放電を抑制でき、チャンバ2内の圧力を下げて反応速度を速くできる。発明者らの実験においては、表2に示すように、後述のプラズマ窒化時の圧力を、従来では約100Paで実施していたものが、真空成膜時と同等0.5〜10Paの圧力まで下げることが可能であることが確認された。
[表2]
Figure 2016021344
なお、表面改質処理の他の例として被処理材100の表面を浸炭処理する場合は、浸炭用ガスとしての所定量の二酸化炭素、水素、メタン、水蒸気等を主成分とするガスをチャンバ2内に供給し、被処理材100の周囲に浸炭用ガスのプラズマを形成すればよい。
また、表面改質処理のさらに他の例として被処理材100の表面を浸炭窒化処理する場合は、浸炭窒化用ガスとしての所定量の浸炭用ガスに数%のアンモニアを添加したガスをチャンバ2内に供給し、被処理材100の周囲に浸炭窒化用ガスのプラズマを形成すればよい。
次に、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法の第3例について説明する。第3例は、図8のプラズマ処理装置1を用いて被処理材100の表面にDLC膜を形成する処理について説明する。
先ず、上述の第1、2例と同様の方法で、オーステナイト系ステンレス鋼製の被処理材100に対して超音波により脱脂洗浄を行った後、被処理材100の表面の酸化物層をエッチング処理にて除去する。
続いて、不図示の真空ポンプによってチャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paに維持したまま、反応ガス供給孔28から炭化水素系ガスからなる処理ガス例えば、所定量のアセチレンガスをチャンバ2内に供給すると、当該アセチレンガスはラジカル及びイオンとなる。それらは、互いに反応しながら、被処理材100の表面に約1μmのDLC膜が形成される。
DLC膜に限らず、本装置で被処理材100に成膜処理を施す場合、引き込み磁石4の磁力の強弱に起因する表面欠陥や反応速度の低下の不具合が生じる虞がある。このため、第3例では被処理材100に達するプラズマの照射量を制御する。具体的に、回転機構50を制御して、Z−Z’方向に関してホルダー5を所定角度旋回させて被処理材100をプラズマの照射範囲から遠ざける[図8(a)参照]。
なお、第3例は図6、図7に示したプラズマ処理装置1を用いても実施できる。また、被処理材100の表面に珪素を含有するDLC膜を成膜する場合は、アセチレンやトルエン等の炭化水素系ガスに珪素を含有するガスをチャンバ2内に供給し、被処理材100の周囲に当該ガスのプラズマを形成すればよい。
次に、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法の第4例について説明する。第4例は、図1のプラズマ処理装置1を用いて被処理材100の表面に窒化層を形成し、この窒化層上にDLC膜を形成する複合硬化処理について説明する。
先ず、上述の第1、2、3例と同様の方法で、オーステナイト系ステンレス鋼製の被処理材100に対して超音波により脱脂洗浄を行った後、被処理材100の表面の酸化物層をエッチング処理にて除去する。続いて、第2例と同様の方法で、被処理材100の表面に窒化層を形成する。
被処理材100の表面に窒化層を形成する処理が完了すると、チャンバ2内に導入していたアンモニア又は窒素を含むガスの供給を停止する。次に、不図示の真空ポンプによってチャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paに維持したまま、炭化水素系ガスからなる処理ガス例えば、所定量のアセチレンガスをチャンバ2内に供給する。
そして、第3例と同様の成膜条件で、窒化層上にDLC膜を形成することにより、被処理材100の複合硬化処理が完了する。なお、窒化層とDLC膜との間に例えば、珪素系や窒化クロム系の中間層を介在させる処理を施し、DLC膜の密着性向上を図ることもできる。上述した第4例は図2〜図8のプラズマ処理装置1を用いても実施できる。なお、第1例〜第4例で説明したプラズマ処理装置1を用いたプラズマ処理方法(エッチング処理、表面改質処理、及び成膜処理)は、上述した真空度(チャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paの範囲に維持する)の条件設定で実施できることが発明者らの実験、及び実験データの解析で確認されている。
[背景技術]でも述べたように、表面改質処理(例えば、窒化、浸炭、及び浸炭窒化等)と成膜処理(例えば、DLC成膜等)の真空度の条件設定が大きく異なるため、上述した複合硬化処理は、一の処理装置に被処理材をセットして表面改質処理を行った後、他の処理装置に被処理材を移し替えて成膜処理を行ったり、同一の装置でチャンバ2内の圧力を処理内容に応じて変更し、上述の複合硬化処理を行ったりしていた。しかし、これらの従来技術は、前者はそれぞれの処理装置における処理プロセスに時間がかかることに加え、放電を安定させる操作に時間がかかり、後者は真空度の設定変更、及び放電を安定させる操作に時間がかかるという問題を有していた。
これに対して第4例では、被処理材100を電気的に絶縁した状態で処理空間内に配置したことにより窒化処理時の圧力を下げることが可能となったので、真空度の条件設定を変更することなく(チャンバ2内の圧力を0.05Pa〜10Paの範囲に維持したまま)、1台の装置で被処理材を表面改質処理から成膜処理まで連続処理することができ、処理時間の短縮化、及び生産コストの抑制に寄与する。
本発明に係るプラズマ処理装置、及びそのプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法は、ステンレス系金属からなる被処理材のほか、鉄系やアルミニウム系からなる被処理材に表面処理を施すことができる。
1 プラズマ処理装置、2 チャンバ、3 (圧力勾配型)プラズマガン、4 引き込み磁石、5 ホルダー、6 駆動装置、20 処理空間、28 反応ガス供給孔、30 放電電源、31 陰極、34,35 第1、第2中間電極、36 帰還電極、38 収束コイル、39 シート化磁石、50 回転機構、100,101,102,103 被処理材

Claims (8)

  1. 被処理材を減圧下でプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
    内部に処理空間を形成する真空チャンバと、
    放電電源の負極側に接続された陰極と、当該放電電源の正極側に接続された中間電極を有し、前記真空チャンバ内に向けてプラズマを生成する圧力勾配型プラズマガンと、
    前記陰極が放出した電子を案内する磁束を形成する収束コイルと、
    前記被処理材に表面処理を施すための反応ガスを前記真空チャンバ内に供給する反応ガス供給部と、
    前記被処理材を電気的に絶縁した状態で前記真空チャンバ内に配置し、
    前記反応ガスで満たされた前記真空チャンバ内でプラズマを形成して前記被処理材に表面処理を施すことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記反応ガスは、前記被処理材の表面層を除去するためのガス、前記被処理材を表面改質するためのガス、及び前記被処理材に薄膜を成膜するためのガスの少なくとも1つであり、
    前記被処理材は、ホルダーに支持されると共に、前記圧力勾配型プラズマガンと異なる位置に配置され、
    前記プラズマを引き込むための引き込み磁石が、前記ホルダーの下方に配置されている請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記圧力勾配型プラズマガンから前記真空チャンバ内に引き出される前記プラズマの進行方向に対して交差する方向に一対の磁石の同極同士を対向させて配置し、前記一対の磁石の反発磁場により前記プラズマをシート状に形成するシート化磁石をさらに備える請求項1又は請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記引き込み磁石と前記シート化磁石のうち少なくとも一方は、前記被処理材に対して水平方向に進退移動可能に構成されている請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記引き込み磁石と前記シート化磁石のうち少なくとも一方は、前記被処理材に対して回転可能に構成されている請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記シート化磁石は、当該シート化磁石を構成する前記一対の磁石間の距離を変更可能に構成されている請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記被処理材、又は前記引き込み磁石は、前記被処理材に照射される前記プラズマの照射量を制御するための機構をさらに有する請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
    真空チャンバ内を排気するステップと、
    前記反応ガス供給部から窒化用ガス、浸炭用ガス、及び浸炭窒化用ガスのうち、少なくとも1つの第1反応ガスを前記真空チャンバ内に供給し、前記真空チャンバ内の圧力が所定の圧力範囲内に保持されるように当該真空チャンバ内にプラズマを発生させて前記被処理材を表面改質するステップと、
    前記被処理材の表面改質がなされた後、前記真空チャンバの圧力を前記所定の圧力範囲内に保持したまま、前記第1反応ガスの供給を停止する一方、前記反応ガス供給部から供給される反応ガスを、珪素を含有するガス、炭化水素系ガス、及び炭化水素系ガスと水素ガスとの混合ガスのうち、少なくとも1つの第2反応ガスに変更し、当該真空チャンバ内にプラズマを発生させて前記被処理材の表面に薄膜を成膜するステップとを含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
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