JP2016020952A - ポリビニルアルコール系偏光フィルム、偏光板及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系偏光フィルム、偏光板及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム幅方向端部のカールが抑制された偏光フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】長手方向及び幅方向を有する方形又は長尺のポリビニルアルコール系偏光フィルムであって、幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方に、長手方向に延びる厚膜領域を有し、偏光フィルムの少なくとも1つの幅方向断面において、厚膜領域の厚み最大値が幅方向中央部の厚みの1.5〜5倍である偏光フィルム、及びその製造方法である。厚膜領域は、フィルムが少なくとも二重に折れ込んだ折れ込み部を含むことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系偏光フィルム、偏光板及びそれらの製造方法に関する。
偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系偏光フィルムが多く用いられている。ポリビニルアルコール系偏光フィルムは通常、その片面又は両面に接着剤を用いて保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター及び携帯電話等の液晶表示装置に代表される画像表示装置に用いられている。
一般に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤浴、染色浴、架橋浴のような処理浴に順次浸漬する処理を施すとともに、これら一連の処理の間に延伸処理を施すことによって製造される(例えば、特許文献1)。特許文献1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸時に生じるフィルム端部のカールを抑制して均一な延伸を可能とするために、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを30℃の水中に5分間浸漬したときのカール角度を180°以下にすることを開示する。
特開2001−315140号公報
近年益々、偏光フィルムの薄膜化が要求されているが、これに伴って原料フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムとして厚みが薄いものを用いると、得られる偏光フィルムに、幅方向端部が内側へ丸く折れ曲がるカールを生じるという不具合が起こりやすくなる。
本発明の目的は、フィルム幅方向端部のカールが抑制された偏光フィルム及びその製造方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、当該偏光フィルムを用いた偏光板及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下に示す偏光フィルム及びその製造方法、並びに偏光板及びその製造方法を提供する。
[1] 長手方向及び幅方向を有する方形又は長尺のポリビニルアルコール系偏光フィルムであって、
幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方に、長手方向に延びる厚膜領域を有し、
偏光フィルムの少なくとも1つの幅方向断面において、前記厚膜領域の厚み最大値が、幅方向中央部の厚みの1.5〜5倍である、偏光フィルム。
[2] 前記厚膜領域は、その長手方向全体にわたって厚み最大値が幅方向中央部の厚みの1.5〜5倍である、[1]に記載の偏光フィルム。
[3] 前記厚膜領域は、フィルムが少なくとも二重に折れ込んだ折れ込み部を含む、[1]又は[2]に記載の偏光フィルム。
[4] 前記折れ込み部の幅は、片端部領域あたり、前記偏光フィルムの全幅の0.01〜5%である、[3]に記載の偏光フィルム。
[5] 前記幅方向中央部の厚みが30μm以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光フィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して積層される保護フィルムと、
を含む、偏光板。
[7] 前記偏光板の幅方向における両端部のうち、前記偏光フィルムが前記厚膜領域を有する側の端部において、前記偏光フィルムの端面が前記保護フィルムの端面よりも内側に位置しており、
前記保護フィルムの端面から前記偏光フィルムの端面までの距離が1〜50mmである、[6]に記載の偏光板。
[8] [3]に記載の偏光フィルムを製造するための方法であって、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤浴に浸漬させる膨潤処理工程、染色浴に浸漬させる染色処理工程、及び架橋浴に浸漬させる架橋処理工程を含み、
膨潤処理工程、染色処理工程及び架橋処理工程のいずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中において、前記折れ込み部を形成する、製造方法。
[9] [8]に記載の方法によって偏光フィルムを製造する工程と、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合する工程と、
を含む、偏光板の製造方法。
[10] 保護フィルムを貼合する工程の後に、偏光板の幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方をスリットして、前記折れ込み部を除去する工程をさらに含む、[9]に記載の製造方法。
本発明によれば、フィルム幅方向端部のカールが抑制された偏光フィルムを提供することができる。また本発明によれば、当該偏光フィルムを用いているので、品質や外観の優れた偏光板を提供することができる。
本発明に係る偏光フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る偏光フィルムの例を模式的に示す上面図である。 偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る偏光板の一例を模式的に示す分解断面図である。
<ポリビニルアルコール系偏光フィルム>
本発明に係る偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素や二色性染料)が吸着配向しているポリビニルアルコール系偏光フィルムである。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。そのケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等であることができる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用し得る。
図1及び図2を参照して、本発明に係る偏光フィルムについて詳細に説明する。図1は本発明に係る偏光フィルムの一例を模式的に示す断面図であり、図2は本発明に係る偏光フィルムのいくつかの例を模式的に示す上面図である。図1及び図2に示されるように、本発明に係る偏光フィルム10は、幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方に、厚みの大きい厚膜領域15を有している。この厚膜領域15は、図1及び図2に示される例のように、好ましくは幅方向における両端部領域に設けられる。また、膜厚領域15は、本願発明の効果を好適に発現するため、偏光フィルム10の幅方向中央部よりも厚みが大きい方が好ましい。
偏光フィルム10は、図2のように長手方向及び幅方向を有する方形形状のフィルムであってもよいし、長尺のフィルムであってもよい。このような偏光フィルム10において厚膜領域15は、ある長さをもって偏光フィルム10の長手方向に延びる、例えば帯状の領域である。厚膜領域15の厚みは、その全域において幅方向中央部の厚みよりも大きいことが好ましい。すなわち、厚膜領域15を通る偏光フィルム10のあらゆる幅方向断面において、厚膜領域15の厚みは、あらゆる幅方向位置における厚みについて、その幅方向断面における幅方向中央部の厚みよりも大きいことが好ましい。
偏光フィルム10の幅方向における端部領域に厚膜領域15を設けることにより、当該端部領域におけるカールを抑制することができる。また、カールの抑制された本発明に係る偏光フィルム10を用いれば、品質及び外観の優れた偏光板を安定して製造することができる。すなわち、偏光フィルムにカールが生じていると、偏光板作製工程におけるフィルム搬送中にフィルムが裂けたり破断したりすることがある。また、偏光フィルム10の両面に保護フィルムを貼合して偏光板を作製する場合においては、両面の保護フィルムが材質、厚さ等の面で互いに異なっていると、偏光板自体の端部もカールが発生しやすく、それに伴って偏光板が折れたり破断したりすることがある。偏光フィルム10に厚膜領域15を設けることにより、これらの不具合を抑制して、偏光板作製工程を安定して実施することができるようになる。
さらに、偏光板作製工程においては通常、偏光フィルム10と保護フィルムとを接着剤を介して貼合するが、厚膜領域15を設けることにより、偏光フィルム10と保護フィルムとの間に介在させた接着剤が偏光フィルム10と保護フィルムとを貼合したときに幅方向端部からはみ出して、得られる偏光板の端面に付着してこれを汚染したり、製造ラインを汚染したりする不具合をも抑制し、品質や外観の優れた偏光板を提供することができる。製造ラインの汚染に関し、例えば偏光フィルム10と保護フィルムとの積層体からはみ出した接着剤がフィルム搬送用のガイドロール等に付着すると、そこに搬送されてくるフィルムの表面等に、ガイドロール等に付着した接着剤が転写して偏光板を汚染することがある。
本発明に係る偏光フィルム10は、幅方向端部領域の厚みをより大きくすることによって厚膜領域15を設けたものであってもよいが、製造容易性の観点から、フィルム端部を内側へ折れ込ませることによって折れ込み部を形成したものであることが好ましい。後者の場合、厚膜領域15はこの折れ込み部を含む(図1参照)。図1の例において折れ込み部は、二重に折れ込んだ構造を有しているが、これに制限されず、三重又はそれ以上に折れ込んでいてもよい。図1を参照して、折れ込み部とは、フィルム幅方向に関していえば、フィルムが折れ込む前のフィルム端部から、その端部領域が折れ込んだ後のフィルム端部までの領域を指す。
図1を参照して、厚膜領域15を通る偏光フィルム10の少なくとも1つの幅方向断面において、厚膜領域15の厚み最大値D1は、その幅方向断面における幅方向中央部の厚みD0の1.5倍であり、好ましくは2倍以上である。D1/D0を1.5以上とすることによって上述の効果を有意に得ることができる。また同様の理由で、好ましくは、厚膜領域15は、その長手方向全体にわたって(すなわち、厚膜領域15を通る偏光フィルム10のあらゆる幅方向断面において)、厚み最大値D1が上記範囲にある。一方、D1/D0は5以下であり、好ましくは4.5以下である。D1/D0があまりに大きいと、偏光板作製工程において偏光フィルム10の搬送中に、フィルムに変形が生じたりシワが生じたりする不具合を起こしやすくなる。また、偏光板ロールとしたときの外観(ロール巻き状態の見た目)も悪化する。
偏光フィルム10の上記少なくとも1つの幅方向断面における幅方向中央部の厚みD0は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。厚みD0は通常、5μm以上である。より好ましくは、偏光フィルム10のあらゆる幅方向断面における幅方向中央部の厚みが上記範囲内である。
なお、偏光フィルム10の厚みの測定方法に関し、特定位置における厚みを測定する場合には、例えば接触式厚み計を用いることができる。また、ある長さ方向にわたって連続的に厚みを測定する場合には、例えば分光干渉式膜厚計(キーエンス社製 非接触式膜厚計 SI−T80等)や赤外線膜厚計を用いることができる。具体的には、長尺の偏光フィルム製造時に、分光干渉式膜厚計又は赤外線膜厚計を幅方向中央部上及び厚膜領域15上に設置することにより、幅方向中央部D0及び厚膜領域15の厚み最大値D1を長さ方向全体にわたって連続的に測定することができる。
本発明に係る偏光フィルム10の幅(全幅)は特に制限されず、例えば400〜6000mm程度であることができる。上述の効果を有意に得るために、厚膜領域15の幅は通常、片端部領域あたり、上記全幅の0.01〜5%程度であり、具体的には0.5〜10mm程度であることができる。厚膜領域15が上記折れ込み部を含むものである場合、同様の理由で、当該折れ込み部の幅W1(図1参照)は通常、片端部領域あたり、上記全幅(折れ込んだ状態での全幅)の0.01〜5%程度であり、具体的には0.5〜10mm程度であることができる。厚膜領域15の幅又は折れ込み部の幅W1があまりに小さいと、カール抑制効果や接着剤のはみ出し抑制効果を十分に得ることができないことがある。従って、これらの効果を有意に得るために、厚膜領域15の幅又は折れ込み部の幅W1は、1mm以上であることが好ましい。また、厚膜領域15の幅又は折れ込み部の幅W1があまりに大きいと、偏光フィルム10の原料として用いるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅に対して十分に幅の広い偏光フィルム10が得られないばかりか、偏光フィルム製造時にフィルム破断等の不具合が発生し、安定生産を妨げる恐れがある。また、偏光フィルム製造時に十分な膨潤、染色、架橋、延伸処理を実施できないことから、十分な偏光性能を付与することができないことがある。このことから、厚膜領域15の幅又は折れ込み部の幅W1は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
なお、厚膜領域15の幅及び折れ込み部の幅W1は、その長手方向に関して一定であってもよいし一定でなくてもよい。折れ込み部の幅W1は通常、厚膜領域15の幅と同じか、又はそれよりも小さい。
上述の効果を有意に得るためには、図2(a)に示されるように、厚膜領域15は、方形形状又は長尺の偏光フィルム10において、長手方向に沿って連続的に設けられていることが好ましいが、図2(b)に示されるように、幅方向片端部領域又は両端部領域に厚膜領域15を有しておらず、厚膜領域15が断続的に設けられる部分があってもよく、この場合であっても十分に満足し得る程度に上述の効果を得ることが可能である。また上述の効果を有意に得るために、厚膜領域15は、偏光フィルム10の幅方向両端部領域に設けられることが好ましい。
<偏光フィルムの製造方法>
幅方向端部領域に厚膜領域15を有する本発明に係る偏光フィルム10は、次の工程:
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤浴に浸漬させる膨潤処理工程、
膨潤処理工程後のフィルムを染色浴に浸漬させる染色処理工程、
染色処理工程後のフィルムを架橋浴に浸漬させる架橋処理工程、
フィルムに一軸延伸処理を施す延伸処理工程、及び
フィルムに上記折れ込み部を形成する厚膜化処理工程
を含む方法によって好適に製造することができる。
より具体的には、偏光フィルム10は、例えば長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を出発材料として、これを偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路に沿って連続的に搬送させて所定の処理工程を実施することにより長尺の偏光フィルムとして連続製造することができる。方形形状の偏光フィルム10は、例えばこの長尺品を裁断することによって得てもよい。
上記所定の処理工程は、原反フィルムを膨潤浴に浸漬させる膨潤処理工程、膨潤処理工程後のフィルムを染色浴に浸漬させる染色処理工程、及び染色処理工程後のフィルムを架橋浴に浸漬させる架橋処理工程を含むことができる。また、これらの一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理を施すとともに、これらの一連の処理工程の間に上記折れ込み部を形成する厚膜化処理工程を実施する。必要に応じて、他の処理工程を付加してもよい。
以下、図3を参照しながら、本発明に係る偏光フィルムの製造方法についてより詳細に説明する。図3は、本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。図3に示される偏光フィルム製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反(未延伸)フィルム20を、原反ロール11より連続的に巻出しながらフィルム搬送経路に沿って搬送させることにより、フィルム搬送経路上に設けられる膨潤浴13、染色浴14、架橋浴17、及び洗浄浴19を順次通過させ、最後に乾燥炉21を通過させるように構成されている。得られた偏光フィルム10は、例えば、そのまま次の偏光板作製工程(偏光フィルム10の片面又は両面に保護フィルムを貼合する工程)に搬送することができる。図3における矢印は、フィルムを搬送方向を示している。
なお図3は、膨潤浴13、染色浴14、架橋浴17及び洗浄浴19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じて、いずれか1以上の処理浴(膨潤浴13、染色浴14、架橋浴17及び洗浄浴19のような、フィルム搬送経路上に設けられるポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して処理を施す処理液を収容する浴を総称して「処理浴」ともいう。)を2槽以上設けてもよい。
偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路は、上記処理浴の他、搬送されるフィルムを支持する、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるガイドロール30〜41や、搬送されるフィルムを押圧・挟持し、その回転による駆動力をフィルムに与えることができる、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるニップロール50〜55を適宜の位置に配置することによって構築することができる。ガイドロールやニップロールは、各処理浴の前後や処理浴中に配置することができ、これにより処理浴へのフィルムの導入・浸漬及び処理浴からの引き出しを行うことができる〔図3参照〕。例えば、各処理浴中に1以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理浴にフィルムを浸漬させることができる。
図3に示される偏光フィルム製造装置は、各処理浴の前後にニップロールが配置されており(ニップロール50〜54)、これにより、いずれか1以上の処理浴中で、その前後に配置されるニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸を実施することが可能になっている。以下、各処理工程について説明する。
(膨潤処理)
膨潤処理は、原反フィルム20表面の異物除去、原反フィルム20中の可塑剤除去、易染色性の付与、原反フィルム20の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム20の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
原反フィルム20は、厚みが65μm以下、好ましくは約10〜50μm、より好ましくは約10〜35μmの未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルムであることができる。原反フィルム20は通常、長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(巻回品)として用意される。ただし、原反フィルム20は、膨潤処理工程前に予め気体中で一軸延伸処理を施した延伸フィルムであってもよい。
図3を参照して、膨潤処理は、原反フィルム20を原反ロール11より連続的に巻出しながら、ガイドロール30〜32及びニップロール50によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、原反フィルム20を膨潤浴13(膨潤槽に収容された処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。ニップロール50とニップロール51との周速差を利用して膨潤浴13中で一軸延伸処理を施すこともできる。
膨潤浴13には、純水のほか、ホウ酸(特開平10−153709号公報)、塩化物(特開平06−281816号公報)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類等を約0.01〜10重量%の範囲で添加した水溶液を使用することも可能である。
原反フィルム20が未延伸フィルムである場合、膨潤浴13の温度は、例えば10〜50℃程度、好ましくは10〜40℃程度、より好ましくは15〜30℃程度である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは10〜300秒程度、より好ましくは20〜200秒程度である。また、予め気体中で延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させる場合、膨潤浴13の温度は、例えば20〜70℃程度、好ましくは30〜60℃程度である。フィルムの浸漬時間は、好ましくは30〜300秒程度、より好ましくは60〜240秒程度である。
膨潤処理では、原反フィルム20が幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るといった問題が生じやすい。このシワを取りつつフィルムを搬送するための1つの手段として、ガイドロール30,31及び/又は32にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることが挙げられる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は延伸処理を施すことである。
膨潤処理では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、フィルムに積極的な延伸を行わない場合は、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば、膨潤浴13の前後に配置するニップロール50,51の速度をコントロールする等の手段を講ずることが好ましい。また、膨潤浴13中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴13中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
図3に示される例において、膨潤浴13から引き出されたフィルムは、ガイドロール32、ニップロール51を順に通過して染色浴14へ導入される。
(染色処理)
染色処理は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図3を参照して、染色処理は、ガイドロール33〜35及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴14(染色槽に収容された処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色処理工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色浴14には、例えば、濃度が重量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003〜0.3/約0.1〜10/100である水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理と区別され、水溶液が水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば、染色浴14とみなすことができる。フィルムを浸漬するときの染色浴14の温度は、通常10〜45℃程度、好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは20〜35℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒である。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、染色浴14には、例えば、濃度が重量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100である水溶液を用いることができる。この染色浴14には、染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上の二色性染料を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色浴14の温度は、例えば20〜80℃程度、好ましくは30〜70℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。
上述のように染色処理工程では、染色浴14でフィルムの一軸延伸を行うことができる。フィルムの一軸延伸は、染色浴14の前後に配置したニップロール51とニップロール52との間に周速差をつけるなどの方法によって行うことができる。
染色処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール33,34及び/又は35にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図3に示される例において、染色浴14から引き出されたフィルムは、ガイドロール35、ニップロール52を順に通過して架橋浴17へ導入される。
(架橋処理)
架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整(フィルムが青味がかるのを防止する等)などの目的で行う処理である。図3を参照して、架橋処理は、ガイドロール36〜38及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された処理液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
架橋浴17は、水100重量部に対してホウ酸を例えば約1〜10重量部含有する水溶液であることができる。架橋浴17は、染色処理で使用した二色性色素がヨウ素の場合、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましく、その量は、水100重量部に対して、例えば1〜30重量部とすることができる。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。
架橋処理においては、その目的によって、架橋剤(ホウ酸等)及びヨウ化物の濃度、並びに架橋浴の温度を適宜変更することができる。例えば、架橋処理の目的が架橋による耐水化であり、未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対し、膨潤処理、染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴の架橋剤含有液は、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=3〜10/1〜20/100の水溶液であることができる。必要に応じ、ホウ酸に代えてグリオキザール又はグルタルアルデヒド等の他の架橋剤を用いてもよく、ホウ酸と他の架橋剤を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常50〜70℃程度、好ましくは53〜65℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜200秒である。一方、予め延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴の温度は、通常50〜85℃程度、好ましくは55〜80℃である。
色相調整を目的とする架橋処理においては、例えば、二色性色素としてヨウ素を用いた場合、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=1〜5/3〜30/100の架橋浴を使用することができる。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常1〜300秒程度、好ましくは2〜100秒である。
架橋処理は複数回行ってもよく、通常2〜5回行われる。この場合、使用する各架橋浴の組成及び温度は、上記の範囲内であれば同じであってもよく、異なっていてもよい。架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整のための架橋処理は、それぞれ複数の工程で行ってもよい。ただし、色相調整を目的とする架橋処理は任意の処理であり、省略されてもよい。
ニップロール52とニップロール53との周速差を利用して架橋浴17中で一軸延伸処理を施すこともできる。
架橋処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール36,37及び/又は38にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図3に示される例において、架橋浴17から引き出されたフィルムは、ガイドロール38、ニップロール53を順に通過して洗浄浴19へ導入される。
(洗浄処理)
架橋処理工程後の洗浄処理工程を含むことができる。洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。洗浄処理は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19(水)に浸漬、又は該フィルムに対して水をシャワーとして噴霧、若しくはこれらを併用することによって行うことができる。
図3には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬して洗浄処理を行う場合の例を示している。洗浄処理における洗浄浴19の温度は、通常2〜40℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。
なお、洗浄処理においても、シワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送する目的で、ガイドロール39,40及び/又は41にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。また、洗浄処理において、シワの発生を抑制するために延伸処理を施してもよい。
(延伸処理)
上述のように原反フィルム20は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸処理工程は、原反フィルム20から偏光フィルム10を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
原反フィルム20(未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルム)を基準とする、偏光フィルム10の最終的な累積延伸倍率は通常、4.5〜7倍程度であり、好ましくは5〜6.5倍である。
(乾燥処理)
洗浄処理の後、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図3に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥温度は、例えば30〜100℃程度であり、乾燥時間は、例えば30〜600秒程度である。
(厚膜化処理工程)
本発明では、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、フィルムの端部領域に上記折れ込み部を形成する厚膜化処理工程を実施する。厚膜化処理工程を実施するタイミングは特に制限されないが、通常は膨潤処理工程、染色処理工程及び架橋処理工程のいずれか1以上の処理工程の前後及び/又は当該いずれか1以上の処理工程中であり、延伸倍率が高い場合は、延伸時のフィルム破断を抑制する観点から、好ましくは、少なくとも架橋処理工程の2段目以降のフィルムに対して厚膜化処理工程を行うことが好ましい。厚膜化処理工程は、上記一連の処理工程の間、複数回実施してもよい。
折れ込み部を形成する厚膜化処理は、例えば次の方法又はそれらの組み合わせであることができる。
a)フィルム搬送経路において、折れ込み部を有しないフィルムの幅方向端部よりも内側の位置に棒状物(バー)等を立てておき、その棒状物を通過させることによって搬送中のフィルムの幅方向端部を意図的かつ物理的に内側へ曲げ、その後、その状態でニップロール等を通過させることにより、端部領域を折れ込ませる方法。この方法によれば、フィルムが二重に折れ込んだ構造の図1に示されるような厚膜領域15を形成することができる。三重以上の折れ込み構造を形成する場合には、フィルム搬送経路上に2か所以上棒状物を立てておけばよい。厚膜領域15の幅及び折れ込み部の幅は、棒状物(バー)を立てる位置の調整によって制御することができる。
棒状物は、例えば、ある処理浴から引き出されてから、次の処理浴に浸漬するまでの間のフィルム搬送経路上に設置することができる。図3を参照して、例えば膨潤処理工程後であって染色処理工程前のフィルムに対して厚膜化処理工程を実施する場合、上記棒状物は、ガイドロール32とニップロール51との間、フィルムが膨潤浴13から引き出されてからガイドロール32に到達するまでの間、又はこれらの双方に設置することができる。処理浴中ではなく、処理浴から出たとことに棒状物を設置することにより、その位置の調整がより容易となる。
b)処理浴から引き出されたフィルムの片面に対してガスを吹き付けることにより、当該片面における少なくとも幅方向端部領域に付着した液の量を低減させ、表裏の液付着量の差を利用して搬送中のフィルムの幅方向端部に意図的にカールを生じさせ、その後、その状態でニップロール等を通過させることにより、端部領域を折れ込ませる方法。この方法によっても、フィルムが二重に折れ込んだ構造の図1に示されるような厚膜領域15を形成することができる。三重以上の折れ込み構造を形成する場合には、フィルム搬送経路上の2か所以上で、ガス吹き付け処理(液付着量低減処理)を行えばよい。厚膜領域15の幅及び折れ込み部の幅は、液付着量を低減させる端部領域の幅の調整によって制御することができる。
ガス吹き付け処理は、ガスが噴射される1又は複数の噴射穴を有するパイプ(配管)又はホースや、エアーナイフのようなガス吹き付け装置を用いて行うことができる。ガス吹き付け処理に用いるガスの種類は特に制限されないが、通常は空気、窒素、アルゴン等のフィルムに対して不活性なガスであり、好ましくは空気である。ガスの噴射圧も特に制限されず、付着した液を吹き飛ばせる程度であればよい。
幅方向端部領域に意図的にカールを生じさせるためには、フィルム片面における幅方向端部領域にのみにガス吹き付け処理を行えば十分であるが、幅方向端部領域に加えて、他のフィルム表面領域にもガス吹き付け処理を併せて実施することもできる。例えば、フィルム片面の全体にガス吹き付け処理を行ってもよい。
図3を参照して、例えば膨潤処理工程後であって染色処理工程前のフィルムに対して厚膜化処理工程を実施する場合、ガス吹き付け装置は、ガイドロール32とニップロール51との間、フィルムが膨潤浴13から引き出されてからガイドロール32に到達するまでの間、又はこれらの双方の位置に設置することができる。
c)処理浴から引き出されたフィルムの片面の端部領域にロール又は棒状物(バー)等を接触させる(押し当てる)ことにより、当該片面における少なくとも幅方向端部領域に付着した液をこのロール又はバーで落として液付着量を低減させ、表裏の液付着量の差を利用して搬送中のフィルムの幅方向端部に意図的にカールを生じさせ、その後、その状態でニップロール等を通過させることにより、端部領域を折れ込ませる方法。この方法によっても、フィルムが二重に折れ込んだ構造の図1に示されるような厚膜領域15を形成することができる。三重以上の折れ込み構造を形成する場合には、フィルム搬送経路上の2か所以上で、ロール又は棒状物等を接触させる処理を行えばよい。厚膜領域15の幅及び折れ込み部の幅は、ロール又は棒状物を接触させる端部領域の幅の調整によって制御することができる。
上記ロール及びバーにおけるフィルムと接触する表面は、例えばステンレス等の金属で構成されていてもよく、ゴム、スポンジ等で構成されていてもよい。ロール及びバーの形状は、フィルムに接触する面が曲面状となっていればよいが、好ましくは円筒形である。円筒状のロール又はバーを用いる場合、その径は5〜100mm程度、好ましくは10〜50mmである。径がこの範囲であれば滑らかにフィルムを搬送することが可能となる。
幅方向端部領域に意図的にカールを生じさせるためには、フィルム片面における幅方向端部領域にのみにロール又はバーを接触させる処理を行えば十分であるが、幅方向端部領域に加えて、他のフィルム表面領域にも当該接触処理を併せて実施することもできる。例えば、フィルム片面の全体に当該接触処理を行ってもよい。ロール及びバーの設置角度は特に制限されず、ロール及びバーの長手方向はフィルム幅方向と平行であってもよいし、フィルム幅方向に対して傾斜していてもよい。
図3を参照して、例えば膨潤処理工程後であって染色処理工程前のフィルムに対して厚膜化処理工程を実施する場合、ロール又はバーを接触させる処理は、ガイドロール32とニップロール51との間、フィルムが膨潤浴13から引き出されてからガイドロール32に到達するまでの間、又はこれらの双方の位置で実施することができる。
(その他の処理工程)
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、架橋処理の後に行われる、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理(補色処理)、ホウ酸を含まず塩化亜鉛等を含有する水溶液への浸漬処理(亜鉛処理)を含む。
以上、フィルムを折れ込ませることによって厚膜領域15を有する偏光フィルム10を作製する方法について説明したが、他の方法によって本発明に係る偏光フィルム10を作製することも可能である。他の方法としては、偏光フィルムの作製において必須となる延伸処理を利用する方法が挙げられる。この場合、厚膜領域15を効果的かつ効率的に形成するために、架橋処理工程を3段以上設け、その3段目以降に1.5倍以上の高倍率で一軸延伸処理を実施することが好ましい。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、上記本発明に係る偏光フィルム10と、その片面又は両面(好ましくは両面)に接着剤層を介して積層される保護フィルムとを備えるものである。図4は、本発明に係る偏光板の一例を模式的に示す分解断面図である。図4は、偏光フィルム10における幅方向両端部領域に厚膜領域15が設けられており、両面に保護フィルム(第1保護フィルム60及び第2保護フィルム70)が積層されている例を示している。本発明に係る偏光板は、偏光フィルム10と同様、方形形状であってもよいし、長尺のフィルムであってもよい。方形形状の偏光板は、例えば長尺の偏光板の裁断により得てもよい。本発明に係る長尺の偏光板は、偏光板ロール(巻回品)であってもよい。
本発明に係る偏光板は、例えば上述の方法によって偏光フィルム10を得た後、その片面又は両面に接着剤を介して保護フィルムを貼合することによって製造することができる。貼合後、必要に応じて接着剤層を乾燥させる工程又は硬化させる工程が設けられる。
第1保護フィルム60及び第2保護フィルム70としては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。第1保護フィルム60と第2保護フィルム70とは、同種の樹脂からなるフィルムであってもよいし、異種の樹脂からなるフィルムであってもよい。
偏光板の幅方向における両端部のうち、偏光フィルム10が厚膜領域15を有する側の端部において、偏光フィルム10の端面は、保護フィルムの端面よりも内側に位置しており、保護フィルムの端面から偏光フィルム10の端面までの距離(図4に示されるW2)が1〜50mmであることが好ましい。当該距離は、より好ましくは5〜40mmである。図4に示される例のように偏光フィルム10の両面に保護フィルム(第1保護フィルム60及び第2保護フィルム70)が貼合される場合には、双方の保護フィルムについて上記の特徴を満たすことが好ましい。
上述のように本発明に係る偏光フィルム10を用いる場合には、偏光フィルムと保護フィルムとの間に介在させた接着剤が偏光フィルムと保護フィルムとを貼合したときに幅方向端部からはみ出すことを抑制できるが、万一、接着剤のはみ出しが生じても、上記特徴を具備する構成によれば、保護フィルムの貼合工程(偏光板作製工程)において、はみ出した接着剤を吸引機を用いて容易に吸引することができるため、偏光板の端面に接着剤が付着してこれを汚染したり、製造ラインを汚染したりする不具合をより効果的に抑制することができる。
偏光フィルム10と保護フィルム60,70との接着性を向上させるために、貼合に先たち、偏光フィルム10及び/又は保護フィルム60,70の貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理等の表面処理を施してもよい。
偏光フィルム10と保護フィルム60,70との貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液、又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤のような水系接着剤を挙げることができる。紫外線硬化型接着剤は、アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、エポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性のアクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
水系接着剤を用いる場合には、フィルム貼合後、接着剤層の乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥後に、室温又はそれよりやや高い温度、例えば、20〜45℃程度の温度で養生してもよい。また、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合には、フィルム貼合後、例えば紫外線のような活性エネルギー線を照射して接着剤層を硬化させる。紫外線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有するものが好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
以上の工程を経て作製される偏光板は、その幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方が、偏光フィルム10の厚膜領域15に起因して厚膜となったものであるが、本発明に係る偏光板は、その厚膜部分を除去したものであってもよい。例えば、保護フィルムの貼合後に引き続いて、又は一旦ロール状に巻取った偏光板ロールから偏光板を巻出しながら、厚膜領域15(又は折れ込み部)を有する側の偏光板端部領域を長手方向に沿ってスリットし、当該厚膜領域15(又は折れ込み部)を保護フィルムごと除去することによって、端部領域の厚膜部分が除去された偏光板を得ることができる。スリットする偏光板端部領域の幅は、例えば少なくとも偏光フィルム10の厚膜領域15(又は折れ込み部)全体を含む幅であることができる。
本発明の偏光板は、視感度補正透過率が通常42.0%以上であり、好ましくは42.5%以上、より好ましくは43.0%以上である。また、視感度補正偏光度は通常99.8%以上であり、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.95%以上である。視感度補正透過率及び視感度補正偏光度は例えば、分光光度計等を用いて測定することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお以下の例において、偏光フィルムが有する長手方向に延びる厚膜領域の厚み最大値D1、幅方向中央部の厚みD0、厚膜領域の幅及び折れ込み部の幅W1は、次の方法によって測定した。
〔厚膜領域の厚み最大値D1、幅方向中央部の厚みD0、厚膜領域の幅及び折れ込み部の幅W1の測定〕
作製した折れ込み部を有する長尺の偏光フィルムから、全幅を含むようにシート状サンプルを切り出し、1つの幅方向断面について、幅方向中央部の厚みD0及び厚膜領域(折れ込み部)の厚み最大値D1を、接触式厚み計((株)ニコン社製の「デジマイクロMF−501」)を用いて測定した。また、厚膜領域の幅及び折れ込み部の幅W1は、得られた長尺の偏光フィルムから、金尺を用いて測定した。厚膜領域の幅及び折れ込み部の幅が2mmを超える場合、幅方向に2mm間隔で厚み測定を行い、最大値をW1とした。厚膜領域の幅及び折れ込み部の幅が2mm以下の場合、1点について厚み測定を行い、これをW1とした。なお、いずれの実施例及び比較例においても厚膜領域の幅と折れ込み部の幅W1はおよそ同じ値であった。また、これらの幅は、長尺の偏光フィルムの複数の箇所で測定したが、いずれもおよそ同じ値であった。
<実施例1>
3つの架橋浴17(以下では、1つ目の架橋浴を17aといい、2つ目の架橋浴を17bといい、3つ目の架橋浴を17cという。)を用いたこと以外は図3に示される偏光フィルム製造装置と同様の装置を用いて偏光フィルムを製造し、得られた偏光フィルムを用いて、引き続き偏光フィルム10の両面に保護フィルムが貼合された偏光板を作製した。図3におけるガイドロール30〜41にはすべてフラットロールを使用した。
(1)膨潤処理工程
厚み30μm、幅450mmのポリビニルアルコールフィルム(原反フィルム20)〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#3000」、重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕を原反ロール11より連続的に巻出しながら搬送し、20℃の純水が入った膨潤浴13に30秒間浸漬した。この膨潤処理では、膨潤浴13から引き出された直後のフィルム幅が膨潤浴13浸漬前のフィルム幅以下になるように、ニップロール50,51間に周速差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。原反フィルム10を基準とする延伸倍率は2.5倍とした。
膨潤浴13から引き出されたフィルムに対して厚膜化処理を施した。具体的には、フィルムが膨潤浴13から引き出されてからガイドロール32に到達するまでの間の搬送経路上にフィルムの幅方向端部よりも内側の位置に金属製のバーを2本(片端部あたり1本)立てておき、搬送中のフィルムの幅方向両端部を当該バーにより内側へ曲げ、その後、その状態でニップロール51を通過させることにより、両端部領域を折れ込ませた。この厚膜化処理により形成された折れ込み部は、図1に示されるような二重の折れ込み構造を有しており、折れ込み構造がフィルムの長さ方向全体にわたって形成されていることが目視にて確認された。この厚膜化処理直後の厚膜領域の幅(及び折れ込み部の幅)は、その長さ方向全体にわたって、片端部領域あたり約2mmであった。
(2)染色処理工程
次に、ニップロール51を通過したフィルムを、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)が0.05/2/100である30℃の染色浴14に120秒間浸漬した。この染色処理においても、染色浴14から引き出された直後のフィルム幅が染色浴14浸漬前のフィルム幅以下になるように、ニップロール51,52間に周速差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。原反フィルム10を基準とする膨潤処理及び染色処理における累積延伸倍率は2.7倍とした。
(3)架橋処理工程
次に、耐水化を目的とする第1の架橋処理を施すため、ニップロール52を通過したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が12/4.4/100である55℃の第1架橋浴17aに30秒間浸漬した。この第1の架橋処理においても、第1架橋浴17aから引き出された直後のフィルム幅が第1架橋浴17a浸漬前のフィルム幅以下になるように、ニップロール52と、第1架橋浴17aと第2架橋浴17bとの間に設置されたニップロール53との間に周速差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。原反フィルム10を基準とする膨潤処理、染色処理及び第1の架橋処理における累積延伸倍率は5.0倍とした。
次いで、第1の架橋処理後のフィルムを、第1架橋浴17aと同一組成である59℃の第2架橋浴17bに30秒間浸漬した後(第2の架橋処理)、色相調整を目的とする架橋処理を施すため、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が9/2.9/100である40℃の第3架橋浴17cに15秒間浸漬した(第3の架橋処理)。
その後、第3の架橋処理後のフィルムを5℃の純水が入った洗浄浴19に浸漬し、次いで乾燥炉21を通過させることにより70℃で3分間乾燥させて、偏光フィルム10を作製した。
得られた偏光フィルム10は、図2(a)に示されるように、その両端部領域において長手方向に連続する厚膜領域15を有する長尺の偏光フィルムであった。両端部領域について厚膜領域15の厚み最大値D1は28μmであり、幅方向中央部の厚みD0は13μmであった。これにより、D1/D0は2.2程度であると算出される。また、偏光フィルム10における厚膜領域の幅(及び折れ込み部の幅)は、その長さ方向全体にわたって、片端部領域あたり約1mmであった。得られた偏光フィルム10の全幅(折れ込んだ状態での全幅)は202mmであった。得られた偏光フィルム10は、両端部領域にカールがなく、フラットな状態であった。
(4)偏光板作製工程
上で得られた長尺の偏光フィルム10を引き続き搬送しながら、接着剤を介して厚み40μmの保護フィルム〔トリアセチルセルロースフィルム〕を、貼合ロールを用いて偏光フィルム10の両面に貼合し、次いで乾燥炉を通過させることにより乾燥させて、偏光板を作製した。得られた偏光板は連続的に巻取り、偏光板ロールとした。接着剤には、ポリビニルアルコールを5重量%含有する水系接着剤を使用した。
保護フィルム貼合の際、偏光フィルム10の両端面がそれぞれ、両面の保護フィルムの端面よりも内側に位置し、かつ、保護フィルムの端面から偏光フィルム10の端面までの距離(図4に示されるW2)が、両面の保護フィルム及び偏光板の両端部について約21mmとなるようにした。
偏光板作製工程中、偏光フィルム10が裂けたり破断したりする不具合はなく、また偏光フィルム10のカールも認められず、安定して偏光板を連続製造することができた。また、偏光フィルムと保護フィルムとの間に介在させた接着剤が偏光フィルムと保護フィルムとの積層体の端部からはみ出したり、このはみ出しによって偏光板の端面に接着剤が付着したり、製造ラインを汚染したりする不具合も認められなかった。
得られた偏光板の視感度補正透過率は43.3%、視感度補正偏光度は99.97%であった。視感度補正透過率及び視感度補正偏光度は、分光光度計(日本分光(株)製の「V7100」)を用い、JIS Z 8729に準拠して測定した(以下、同様)。
<実施例2>
第3架橋浴17cから引き出されたフィルムに対してさらに厚膜化処理を施したこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム10を作製し、これを用いて偏光板を作製した。ただし、保護フィルム貼合の際、偏光フィルム10の両端面がそれぞれ、両面の保護フィルムの端面よりも内側に位置し、かつ、保護フィルムの端面から偏光フィルム10の端面までの距離(図4に示されるW2)が、両面の保護フィルム及び偏光板の両端部について約22mmとなるようにした。上記のさらなる厚膜化処理により形成された折れ込み部は、三重の折れ込み構造(2回折れ込んだ状態の折れ込み構造)を有しており、折れ込み構造がフィルムの長さ方向全体にわたって形成されていることが目視にて確認された。この厚膜化処理直後の厚膜領域の幅(及び折れ込み部の幅)は、その長さ方向全体にわたって、片端部領域あたり約2mmであった。
得られた偏光フィルム10は、図2(a)に示されるように、その両端部領域において長手方向に連続する厚膜領域15を有する長尺の偏光フィルムであった。両端部領域について厚膜領域15の厚み最大値D1は41μmであり、幅方向中央部の厚みD0は13μmであった。これにより、D1/D0は3.2程度であると算出される。また、偏光フィルム10における厚膜領域の幅(及び折れ込み部の幅)は、その長さ方向全体にわたって、片端部領域あたり約2mmであった。得られた偏光フィルム10の全幅(折れ込んだ状態での全幅)は200mmであった。得られた偏光フィルム10は、両端部領域にカールがなく、フラットな状態であった。
偏光板作製工程中、偏光フィルム10が裂けたり破断したりする不具合はなく、また偏光フィルム10のカールも認められず、安定して偏光板を連続製造することができた。また、偏光フィルムと保護フィルムとの間に介在させた接着剤が偏光フィルムと保護フィルムとの積層体の端部からはみ出したり、このはみ出しによって偏光板の端面に接着剤が付着したり、製造ラインを汚染したりする不具合も認められなかった。
得られた偏光板の視感度補正透過率は43.4%、視感度補正偏光度は99.96%であった。
<比較例1>
膨潤浴13から引き出されたフィルムに対する厚膜化処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、偏光フィルム10を作製し、これを用いて偏光板を作製した。ただし、保護フィルム貼合の際、偏光フィルム10の両端面がそれぞれ、両面の保護フィルムの端面よりも内側に位置し、かつ、保護フィルムの端面から偏光フィルム10の端面までの距離(図4に示されるW2)が、両面の保護フィルム及び偏光板の両端部について約20mmとなるようにした。
得られた偏光フィルム10は、その両端部領域に、実施例1及び2のような長手方向に延びる厚膜領域15を有するものではないが、ある1つの幅方向断面において厚みを測定したところ、その最大値は14μm、幅方向中央部の厚みは13μmであった(厚み最大値/幅方向中央部の厚み=約1.1)。
偏光板作製工程中、偏光フィルム10が裂けたり破断したりする不具合は認められなかったが、偏光フィルムと保護フィルムとの間に介在させた接着剤が偏光フィルムと保護フィルムとの積層体の端部からはみ出し、偏光板の端面に接着剤が付着する不具合が発生した。かかる偏光板端面への接着剤の付着は偏光板の収率を低下させる。
得られた偏光板の視感度補正透過率は43.3%、視感度補正偏光度は99.97%であった。
10 偏光フィルム、11 原反ロール、13 膨潤浴、14 染色浴、15 厚膜領域、17 架橋浴、19 洗浄浴、20 ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルム、21 乾燥炉、30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41 ガイドロール、50,51,52,53,54,55 ニップロール、60 第1保護フィルム、70 第2保護フィルム。

Claims (10)

  1. 長手方向及び幅方向を有する方形又は長尺のポリビニルアルコール系偏光フィルムであって、
    幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方に、長手方向に延びる厚膜領域を有し、
    偏光フィルムの少なくとも1つの幅方向断面において、前記厚膜領域の厚み最大値が、幅方向中央部の厚みの1.5〜5倍である、偏光フィルム。
  2. 前記厚膜領域は、その長手方向全体にわたって厚み最大値が幅方向中央部の厚みの1.5〜5倍である、請求項1に記載の偏光フィルム。
  3. 前記厚膜領域は、フィルムが少なくとも二重に折れ込んだ折れ込み部を含む、請求項1又は2に記載の偏光フィルム。
  4. 前記折れ込み部の幅は、片端部領域あたり、前記偏光フィルムの全幅の0.01〜5%である、請求項3に記載の偏光フィルム。
  5. 前記幅方向中央部の厚みが30μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光フィルムと、
    前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して積層される保護フィルムと、
    を含む、偏光板。
  7. 前記偏光板の幅方向における両端部のうち、前記偏光フィルムが前記厚膜領域を有する側の端部において、前記偏光フィルムの端面が前記保護フィルムの端面よりも内側に位置しており、
    前記保護フィルムの端面から前記偏光フィルムの端面までの距離が1〜50mmである、請求項6に記載の偏光板。
  8. 請求項3に記載の偏光フィルムを製造するための方法であって、
    ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤浴に浸漬させる膨潤処理工程、染色浴に浸漬させる染色処理工程、及び架橋浴に浸漬させる架橋処理工程を含み、
    膨潤処理工程、染色処理工程及び架橋処理工程のいずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中において、前記折れ込み部を形成する、製造方法。
  9. 請求項8に記載の方法によって偏光フィルムを製造する工程と、
    前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合する工程と、
    を含む、偏光板の製造方法。
  10. 保護フィルムを貼合する工程の後に、偏光板の幅方向における両端部領域のうち少なくとも一方をスリットして、前記折れ込み部を除去する工程をさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
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