JP2016020282A - フロート板ガラス製造装置、フロート板ガラス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも小型の装置により、異物の混入を抑制してガラスとガラス搬送ローラーとの間に緩衝層(疵発生防止剤層)を形成し、搬送するカラスに疵が生じることを防止できるフロート板ガラス製造装置を提供する。【解決手段】ガラス搬送ローラー間14において、搬送するガラス31に対して、安息角が47?より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ部である供給パイプ21および吸引パイプ26を有するフロート板ガラス製造装置を提供する。【選択図】図2
Description
本発明は、フロート板ガラス製造装置、フロート板ガラス製造方法に関する。
フロート法の板ガラスの製造方法においては、溶融金属を収容した浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成する。次いで、ガラスリボンを、溶融金属浴槽出口より引き上げて溶融金属浴槽外へ引出し、目標の厚みに成形される。
浴槽から引き出されたガラスリボンは急激な収縮による割れや平坦度の低下を防止するため、徐冷炉において搬送ローラー上を搬送しながら、徐々に冷却する方法が採られている。係る徐冷炉内でガラスリボンを搬送する工程において、ガラスリボンと搬送ローラー等との接触によりガラス表面に疵を発生する恐れがあることが知られている。
このため従来は、徐冷炉内部に二酸化硫黄(SO2)を導入して、高温のガラス表面においてガラス成分とSO2と反応させることにより例えば硫酸ナトリウム又は亜硫酸ナトリウム等からなる緩衝層をガラス表面に形成する方法が用いられていた。しかし、液晶ディスプレイ用の板ガラスは表面に液晶表示素子の回路を形成する必要性から、回路の形成に悪影響を及ぼすとされるアルカリ金属をほとんど含まない無アルカリガラスが用いられている。無アルカリガラスの場合、アルカリ金属をほとんど含まないため、SO2ガスに接触しても硫酸ナトリウム等からなる緩衝層がほとんど形成されず、搬送ローラーとの接触による疵の発生を防止できないという問題があった。
係る問題を解決するため、特許文献1には、搬送ローラーと接触するガラスリボンの下面に、疵発生防止剤からなる緩衝層を、疵発生防止剤を帯電させて形成する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された緩衝層の形成方法によれば、疵発生防止剤を帯電させることにより、ガラスリボンの下面に緩衝層を形成するため、疵発生防止剤を帯電させるための帯電化装置が大型化するという問題があった。また、帯電化装置周辺にある疵発生防止剤以外の異物等についても帯電し、該帯電した異物もガラスリボンの下面の緩衝層に取り込まれてしまうため、かえってガラスリボンの下面に疵を生じるという問題があった。
本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、従来よりも小型の装置により、異物の混入を抑制してガラスとガラス搬送ローラーとの間に緩衝層を形成し、搬送するガラスに疵が生じることを防止できるフロート板ガラス製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、ガラス搬送ローラー間において、搬送するガラスに対して、安息角が47°より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ部を有するフロート板ガラス製造装置を提供する。
本発明のフロート板ガラス製造装置は、搬送するガラスに対して、疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつけるものであるため、従来よりも小型の装置によりガラスとガラス搬送ローラーとの間に緩衝層(疵発生防止剤層)を形成することができ、搬送するガラスに疵が発生することを防止できる。また、疵発生防止剤を気体に同伴させてガラスに対して吹きつけるため、系外から疵発生防止剤に異物が混入することを抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[第1の実施形態]
本実施形態では本発明のフロート板ガラス製造装置の構成例について説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態では本発明のフロート板ガラス製造装置の構成例について説明する。
本実施形態のフロート板ガラス製造装置は、ガラス搬送ローラー間において、搬送するガラスに対して、安息角が47°より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ部を有することを特徴としている。
以下、本実施形態のフロート板ガラス製造装置について具体的に説明する。
図1は、フロート板ガラス製造装置の、フロートバス及びフロートバスからガラスリボンを引出し、搬送(徐冷)する部分についての断面図を模式的に示したものである。なお、フロート板ガラス製造装置については、図1に示した部分のみに限定されるものではなく、必要に応じてさらにガラス原料を溶融する溶融炉や、製造したガラスを切断する切断装置等を設けることもできる。
図1中、左側から溶融ガラス11が供給され、溶融金属12上でガラスリボン13に成形される。次いで、図中右側のガラス搬送ローラー14により溶融金属浴槽から引き出され徐冷炉内を搬送される。
そして、本実施形態のフロート板ガラス製造装置においては、フロートバスから引き出されたガラス(ガラスリボン)を搬送するガラス搬送ローラー14間において、ガラスに対して疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける、図1中には図示していない疵発生防止剤吹きつけ部を備えている。
ここでまず、疵発生防止剤吹きつけ部及びその付帯設備の構成について図2を用いて説明する。図2(A)は疵発生防止剤吹きつけ部及びその付帯設備についての斜視図を示しており、図2(B)は、図2(A)における点線Xで囲まれた部分を上面側から見た構成を拡大して示したものである。
図2において、疵発生防止剤吹きつけ部は、中心部から左右に2つ設けられた供給パイプ21から構成されている。その上面には、図2(B)に示すように、複数の孔24が空けられ、供給パイプの一方の端部25は閉塞されている。また、供給パイプ21の他方の端部(図2(A)の22)は開口しており、疵発生防止剤等の供給口となっている。
このため、図2(A)中各供給パイプの(中心部とは反対側の)他方の端部に設けられた供給口22から、疵発生防止剤を気体とともに供給することにより、前記複数の孔(ノズル)24から、気体に同伴(搬送)された疵発生防止剤が噴出し、その上面を通過するガラスに対して供給されることになる。なお、図2(A)において、他方の端部には供給口22以外に掃除口23を設けているが、掃除口23は配管内を清掃するためのガス供給配管や吸引装置等と接続しておくことができ、通常、供給口22から疵発生防止剤と気体の混合物を供給する際にはバルブ等により閉じておくことが好ましい。また、供給口22と掃除口23はその位置を逆にしてもよく、掃除口23を設けない構成としていてもよい。
また、図2(B)では、疵発生防止材をガラスに供給するための孔(ノズル)24として、供給パイプに1列の孔を設けた例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、例えば2列以上の孔を設けてもよい。2列以上に配列する場合、例えばその位置が、隣り合う列の孔の位置と同じになる様に配置することもできるが、互い違いにする等、異なる位置になるように配置することもできる。さらには、孔のサイズも均一である必要はなく、異なるサイズ、形状の孔を含んでいてもよい。ただし、搬送しているガラスに対して疵発生防止剤を均一に供給できるようにその孔の位置、サイズ等を調整することが好ましい。
さらに、搬送するガラスのサイズ(幅)に応じて疵発生防止剤を噴出する範囲を調整できるように、孔の開閉を選択できるように構成していることが好ましい。具体的には、例えば孔にプラグをセットできるように構成したり、孔の開閉機構やバルブを設けたりすることができる。
また、疵発生防止剤吹きつけ部として、中心部から左右に2本の供給パイプ21により構成された例を挙げたが、係る形態に限定されるものではなく、例えば1本の供給パイプにより構成することもでき、更に複数に(3本以上に)分割した供給パイプから構成することもできる。いずれの場合においても、上記のように、供給パイプの孔から疵発生防止剤を噴出させるため、パイプ内を加圧し易いように供給パイプの一方の端部は閉塞し、他方の端部から疵発生防止剤と気体との混合物を供給するように構成することが好ましい。
そして、疵発生防止剤吹きつけ部の付帯設備として、図2(A)に示すように、吸引パイプ26を設けることができる。例えば、図2(A)に示すように、吸引パイプ26は1本のパイプから構成することができる。
上記の様に、疵発生防止剤吹きつけ部においては、疵発生防止剤と気体の混合物を供給している。このため、ガラス搬送ローラー14により挟まれている空間の開口部の大きさに対して、吹き込む気体の量が多い場合に、ガラス搬送ローラー14により挟まれている空間の圧力が高くなる場合がある。このような場合、搬送しているガラスに対して負荷がかかり変形や疵が生じる場合や、疵発生防止剤が周囲に飛散する場合等があるため、ガラス搬送ローラー14により挟まれた空間内のガスや、余剰の疵発生防止剤を吸引するために設けられているものである。
このように吸引パイプ26は、ガラス搬送ローラー14により挟まれている空間内のガスや、余剰の疵発生防止剤を吸引できるように構成されていればよく、その具体的な形態は特に限定されるものではない。
例えば、図2(A)に示すように、吸引パイプ26の周囲に図示しない孔を設け、両端部27を吸引口として、ガラス搬送ローラーにより挟まれている空間内のガス等を吸引するように構成することもできる。また、供給パイプと同様に、吸引パイプを2本のパイプから構成し、中心部側の端部に開口部を設け、他方の端部27を吸引口とすることもできる。なお、図2(A)では1本の吸引パイプを配置した例を示しているが、吸引パイプの数も特に限定されるものではなく、上記の様に2本であってもよくさらに複数本に分割した構成としてもよい。
このように、疵発生防止剤を供給する供給パイプ21と、吸引する吸引パイプ26とを設けた場合、吸引パイプによる吸引量と、供給パイプ21からの吹出し量の(単位時間当たりの)体積比は、吸引量/吹出し量が1.0以上3.0以下であることが好ましく、1.0以上2.5以下であることがより好ましく、1.0以上2.0以下であることが特に好ましい。これは、吸引量が上記範囲よりも少ないと、搬送ローラーで挟まれている空間内の圧力が上昇して搬送しているガラスに疵等が生じたり、疵発生防止剤が周囲に拡散したりする場合があるためである。また、吸引量が吹出し量に対して上記範囲よりも多すぎると搬送しているガラスへの疵発生防止剤の供給を十分に行えなくなる場合があるため好ましくない。
以上、疵発生防止剤吹きつけ部及びその付帯設備の構成について説明したが、次に、疵発生防止剤吹きつけ部をガラス搬送ローラー間に設けた構成について図3を用いて説明する。
図3(A)は、ガラス搬送ローラー14が複数個並べられた部分、例えば図1の点線Aで囲まれた部分の断面図を拡大して模式的に示したものであり、図3(B)は図3(A)において上面側(搬送しているガラス側)から見た構成を模式的に示したものである。
図3(A)、(B)に示すように疵発生防止剤吹きつけ部を構成する供給パイプ21はガラス搬送ローラー14間に配置される。そして、ガラス搬送ローラー14(14A〜14C)上を搬送されているガラス31のガラス搬送ローラー14と対向する側の面に対して、上述の供給パイプ21に設けられた図2(B)中の複数の孔24から疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつけるように構成されている。なお、この際、搬送しているガラスのみではなく、ガラス搬送ローラーに対しても疵発生防止剤を供給してもよい。ガラス搬送ローラーのローラー表面に疵発生防止剤が付着することにより、より確実にガラスとガラス搬送ローラーとが直接接触することを防ぎ、ガラス表面に疵が発生することを抑制することができる。
なお、供給パイプ21からの吹出し量は特に限定されるものではないが、1組のガラス搬送ローラー間に配置されている供給パイプに付き、30NL/(min×m)以上300NL/(min×m)以下であることが好ましく、30NL/(min×m)以上200NL/(min×m)であることがより好ましく、50NL/(min×m)以上150NL/(min×m)以下であることが特に好ましい。ここで、単位:NL/(min×m)はガラスリボン1m幅当たりに1分間に供給されるガス量を意味する。
また、疵発生防止剤の量は、ガス量に対して、好ましくは0.003g/NL〜0.3g/NL、より好ましくは0.005g/NL〜0.2g/NL、さらに好ましくは0.01g/NL〜0.1g/NLである。
係る範囲にあることにより、ガラスに対して十分な疵発生防止剤を供給することができ、周囲への疵発生防止剤の飛散をより抑制することができる。なお、ここで挙げた供給パイプからの吹き出し量は上記のように1組のガラス搬送ローラー間に配置されている供給パイプについての範囲である。このため、供給パイプがガラス搬送ローラー間に複数本設けられている場合(例えば、図2(A)のように2本の供給パイプから構成されている場合)各供給パイプからの吹き出し量の総和が上記範囲であることが好ましい。
このように構成することにより、供給パイプ21を介して、搬送しているガラスに対して疵発生防止剤を直接供給することができ、供給する疵発生防止剤への異物の混入を防ぐことができる。また、疵発生防止剤を気体に同伴させてガラスに対して吹きつけるため、ガラスに対して均一に疵発生防止剤を供給することが可能になる。
この際、供給パイプ21から供給された疵発生防止剤がフロート板ガラス製造装置内に飛散しないように、ガラス搬送ローラーに挟まれている空間が有する開口部に障壁を設けることが好ましい。
具体的には例えば図3に示すように、ガラス搬送ローラー14A、14Bとフロート板ガラス製造装置の底面32との間に第1壁部33A、33Bを設けることができる。この際、ガラス搬送ローラー14の駆動を阻害しないよう、少なくともガラス搬送ローラー14A、14Bと第1壁部33A、33Bとの間には間隔が生じるように構成することが好ましい。
さらに、図3(B)に示すようにガラス搬送ローラー両端部(フロート板ガラス製造装置の両端部)近傍に第2壁部34A、34Bを設けることもできる。第2壁部を設ける場合には、ガラス搬送ローラーや、搬送しているガラスと接触しないように間隔をあけて設けることが好ましい。
また、例えばフロート板ガラス製造装置の底面32部分に割れたガラス等を除去できるよう開口部等が設けられている場合には、第1壁部である33Aと33Bとの間に(図示しない)底板を設けることもできる。
なお、これらの壁部、底板等により、ガラス搬送ローラー14(14A、14B)で挟まれた空間を完全に密閉する必要はなく、疵発生防止剤が周囲に飛散する程度を低減できる程度に(壁面等で囲まれた空間とそれ以外との空間との間での物質の移動を抑制できる程度に)設けてあればよい。
ここでは、全ての開口部に壁部を設ける構成を示したが、壁部は上記したいずれかの壁部のみでもよく、また、例えば第1壁部として二つ設けた例を示しているが、第1壁部の中でもいずれか一方のみ(33A、33Bのいずれか)であってもよい。
また、壁部、底板の材質としては特に限定されるものではなく、設置する環境に耐えられる耐熱性を有しているものであればよい。
上記の様に障壁等を設けることにより、ガラス搬送ローラー14の上面側は搬送しているガラス31により、側面部は第1壁部(33A、33B)、第2壁部(34A、34B)により、底面部はフロート板ガラス製造装置の底面パネルまたは底板により囲まれた空間とすることができる。これによりガラス搬送ローラー14で挟まれた空間は略密閉された空間、すなわち、他の空間との間での物質の移動を抑制(規制)した空間とすることができる。このため、疵発生防止剤が周囲に飛散する程度を低減することが可能になり好ましい。また、該空間内に疵発生防止剤が滞留している状態を保つことができるため、搬送しているガラスに対して、より確実に疵発生防止剤を付着させることが可能になる。
フロート板ガラス製造装置において、上記疵発生防止剤吹きつけ部を設置できる場所としては、特に限定されるものではなく、上述のように、ガラス搬送ローラー間であればいずれの場所であっても設置することができる。
ただし、搬送するガラスの温度が高い場合に特にガラスの表面に疵を生じる恐れが高くなる。また、疵発生防止の観点からガラスとガラス搬送ローラーとが直接接触する機会を少なくすることが好ましい。このため、フロート板ガラス製造装置に設けられたガラス搬送ローラーのうち上流側に配置することが好ましい。具体的には、例えば、徐冷炉内のガラス搬送ローラー間に設けることがより好ましい。また、徐冷炉内のガラス搬送ローラー間のうち、上流側、すなわちフロートバス出口側のガラス搬送ローラー間に設けることがさらに好ましい。疵発生防止剤をガラスに対して吹きつけてもフロートバスに悪影響を与えない(フロートバスへの疵発生防止剤の飛散量が問題にならない)ガラス搬送ローラー間であって、フロートバスに最も近いガラス搬送ローラー間に設けることが特に好ましい。
なお、ここまで、フロート板ガラス製造装置において、1つの疵発生防止剤吹きつけ部を設けた構成を例に説明してきたが、係る形態に限定されるものではなく、複数箇所に設けることもできる。例えば、図1において、14Aと14Bのガラス搬送ローラー間に1つ、14Bと14Cのガラス搬送ローラー間に1つ、疵発生防止剤吹きつけ部をそれぞれ設置することもできる。また、例えばフロート板ガラス製造装置のラインが長く、搬送途中に疵発生防止剤が離脱する可能性がある場合には、フロート板ガラス製造装置のラインのうち、上流側及び下流側に1箇所ずつ、または、さらに複数箇所設けることもできる。
特に、疵発生防止剤吹きつけ部が設置される箇所は、少なくとも、ガラスリボン温度が歪点〜歪点+100℃の範囲の箇所に設けられることが好ましい。さらにガラスリボン温度が歪点未満の箇所にも疵発生防止剤吹きつけ部を設けることもできる。
次に、これまで説明したフロート板ガラス製造装置において用いる疵発生防止剤、および、疵発生防止剤を同伴する気体について説明する。
まず、疵発生防止剤としては安息角が47°より小さいものが用いられる。これは、疵発生防止剤の安息角が47°以上の場合、上記のように疵発生防止剤が気体に同伴される際、すなわち、気体により搬送(圧送)される際に、供給パイプ21内で閉塞を起こす場合や、供給パイプに設けられた複数の孔24から、均一に噴出できない場合があるためである。
これに対して、疵発生防止剤の安息角が上記のように47°よりも小さい場合、気体により容易に搬送することが可能になる。また、供給パイプ内で閉塞の発生を抑制し、供給パイプに設けられた複数の孔24から、搬送しているガラスに対して均一に疵発生防止剤を供給することができる。より流動性を高め、供給パイプ内で閉塞する可能性を低減するため、疵発生防止剤の安息角としては、45°より小さいことがより好ましく、43°より小さいことが特に好ましい。
疵発生防止剤の材質としては特に限定されるものではなく、搬送するガラスと、ガラス搬送ローラーとの間に配置された場合に、ガラスに疵が発生することを防止できるものであれば用いることができる。具体的には例えば、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、及び金属硫化物からなる群から選択される1種以上の粉体を好ましく用いることができる。
また、疵発生防止剤はガラスに対して疵を与えないために搬送するガラスの下面に配置するものであるから、搬送するガラスよりもモース硬度が低いものであることが好ましい。例えば、モース硬度が6以下の物質からなることがより好ましく、モース硬度が4以下の物質からなることが好ましく、モース硬度が2以下の物質からなることが特に好ましい。
疵発生防止剤の粒径は特に限定されるものではないが、例えば平均粒径(D50)が、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上70μm以下であることがより好ましく、1μm以上50μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味している。これは、疵発生防止剤の平均粒径が上記範囲にあることにより、搬送するガラスの表面に疵発生防止剤が均一に付着し易くなり、特に疵の発生を抑制できるためである。
さらに、疵発生防止剤に異物が混入しているとガラスに対して吹きつけた際または、付着させた後ガラスを搬送している際にガラスに疵を生じさせる可能性がある。このため、目的とする成分(疵発生防止剤)以外の異物の含有量は1000ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、10ppm未満であることが特に好ましい。
また、疵発生防止剤は、異物として粒径50μmを超えるものを含有していないことが好ましく、粒径が20μmを超えるものを含有していないことがより好ましく、粒径が10μmを超えるものを含有していないことが特に好ましい。これは、仮に異物が混入している場合であっても、粒径が小さい物であれば、ガラスに対して疵を発生させる可能性を低減することができるためである。
以上のような疵発生防止剤として使用できる物質について、所望の安息角とするために調整が必要な場合に、上述したような物質に流動性促進剤、すなわち、安息角を変化させることが可能な物質である、安息角調整剤を添加したものを疵発生防止剤として用いることができる。
流動性促進剤としては、疵発生防止剤の安息角を変化、調整できる物質であればよく、具体的には、例えばカーボン微粒子やステアリン酸等が挙げられる。
流動性促進剤の添加量としては特に限定されるものではなく、所望の安息角になるようその添加量を選択、調整することができる。
例えば、流動性促進剤としてカーボン微粒子を用いる場合には、上記した疵発生防止剤として使用できる物質(被添加材料)に対して、質量で2%以上30%以下になるように添加することが好ましく、5%以上30%以下になるように添加することがより好ましく、5%以上20%以下になる様に添加することが特に好ましい。
例えばステアリン酸を用いる場合には、上記した疵発生防止剤として使用できる物質(被添加材料)に対して、質量で0.2%以上10%以下になるように添加することが好ましく、0.5%以上3%以下になるように添加することがより好ましく、0.7%以上2%以下になる様に添加することが特に好ましい。
なお、流動性促進剤を添加する方法としては特に限定されるものではない。例えば上記疵発生防止剤として使用できる物質(被添加物質)と、流動性促進剤とを撹拌、混合する方法により行うことができる。また、流動性促進剤を溶媒(分散媒)に溶解(分散)させた溶液を、上記疵発生防止剤として使用できる物質に対してスプレー等で噴射して添加する方法により行うこともできる。
そして、疵発生防止剤を同伴する、即ち、疵発生防止剤を搬送(圧送)する気体としては特に限定されるものではなく、各種気体を用いることができるが、フロート板ガラス製造装置内に供給することになるため、フロート板ガラス製造装置内のプロセスに影響を与えない気体であることが好ましい。具体的には、例えば、空気、酸素や各種不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスとしてはコストの観点から窒素を用いることが好ましい。
また、疵発生防止剤をフロートバスの近く(例えばガラスリボン温度が歪点〜歪点+100℃の範囲の箇所)に設置する場合、すなわち、例えば図1の14A〜14Cのようにフロートバスの近傍に設けられたガラス搬送ローラーの間に設置する場合は、上記気体としては窒素を用いることが好ましい。これは、一般的にフロートバス内は、溶融金属が酸化しないように窒素雰囲気に保たれているため、その近傍で異なるガスを供給した場合に、フロートバス内に該ガスが侵入して、フロートバス内の雰囲気に悪影響を及ぼす恐れがあるためであり、これを防止するためである。
本実施形態のフロート板ガラス製造装置においては、更に疵の発生を低減するため、搬送しているガラスに対して、SO2ガスを供給して、その表面に硫酸塩による緩衝層を設ける構成とすることもできる。これは、例えば、フロートバスから引き出されたガラス(ガラスリボン)に対して、ガラス搬送ローラー側からSO2ガスを供給することにより、例えばアルカリガラスの場合であればガラス中に含まれるNa、Ba、Ca、Mg、K等との硫酸塩を生成するものである。通常SO2ガスを吹きつけてから緩衝層が形成されるまで時間を要することから、本実施形態で説明した、疵発生防止剤を吹きつける構成と併せて用いることにより、搬送するガラスに疵が発生することをより低減することが可能になる。
また、後述の様に疵発生防止剤除去部を設ける構成の場合、それ以降についてはガラス表面から疵発生防止剤が除去された状態となるため、疵の発生をより低減するため上述のように、併せてSO2ガスとの接触により形成される緩衝層を設けていることが好ましい。
なお、SO2ガスとの接触により形成される緩衝層は、ナノメートルオーダーの非常に薄い層であるため、ガラス表面の疵を検出する後述の疵検査装置に影響を与えることはない。また、SO2ガスとの接触により形成される緩衝層は、疵発生防止剤除去部においてガラス表面を洗浄した後もガラス表面に残留しやすく、ガラス表面に疵が発生することをより抑制できる。
SO2ガスを供給する部分は特に限定されるものではないが、上記の様にガラス中の成分とSO2ガスとが反応して緩衝層を形成するまでには時間がかかることから、フロート板ガラス製造装置の上流側において、行うことが好ましい。例えば、徐冷炉内で行うことが好ましく、徐冷炉内のフロートバス出口側またはその近傍において行うことがより好ましい。また、本実施形態の疵発生防止剤吹きつけ部において疵発生防止剤を吹きつける際や、その前後において、SO2ガスを供給する構成としてもよい。
また、本実施形態では、上述のように搬送しているガラスに対して疵発生防止剤を吹きつけ、付着させることにより、ガラスがガラス搬送ローラーと接触していても、その表面に疵が生じないようにするものであるが、疵発生防止剤を付着させたままであると、ガラス表面の疵を検出する疵検査装置により疵の検出を行えない場合がある。このため、製造装置の下流部で該検査装置にガラスを供給する前に、より好ましくは直前に、疵発生防止剤除去部を設けることが好ましい。
疵発生防止剤除去部の構成としては特に限定されるものではなく、例えば各種洗浄装置により構成することができるが、以下に説明するドライアイスによる洗浄装置により構成されることが好ましい。
図4にドライアイス洗浄装置の概略図を示す。図4に示すように、ドライアイスブラスト装置41から噴霧ノズル42を介してガラス表面にドライアイス粉末を気体に同伴させて吹きつけることによりガラス搬送ローラー上を搬送されているガラスを洗浄することができる。
ここで、ドライアイス粉末を同伴(搬送)する気体としては特に限定されるものではないが、例えば空気や酸素、各種不活性ガス等が挙げられる。この際、乾燥した気体を用いることが好ましい。これは、水分を含む気体を用いると、ガラスがドライアイスにより冷却されてガラス表面で結露を生じる場合があるためである。さらに、気体としては、特にコストや安全性の観点から空気を用いることがより好ましく、上記の理由から乾燥空気であることが特に好ましい。
用いるドライアイス粉末のサイズとしては、その粒径(粒径分布)が1μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、その粒径が10μm以上300μm以下であることがより好ましい。これは、ドライアイス粉末のサイズが上記範囲よりも大きくなりすぎると、洗浄力を高めることができるが、非洗浄物質であるガラスに対するドライアイスの接触面積が小さくなるため洗浄効率が低下するためである。また、粒径が上記範囲よりも小さくなると、洗浄力が低下するためである。
ドライアイス粉末の吹きつけ速度は特に限定されるものではないが、10m/sec以上500m/sec以下であることが好ましく、20m/sec以上300m/sec以下であることがより好ましく、30m/sec以上200m/sec以下であることが特に好ましい。
これは、ドライアイスの吹きつけ速度が遅いと洗浄効率が低下し、速度が速すぎるとガラスに対してドライアイスが高速で接触することとなり、ガラスが割れる恐れがあるためである。ドライアイスの吹きつけ速度は同伴する気体の流速を調整することにより選択することができる。
なお、図4においては、搬送しているガラスの両面について洗浄を行っているが、両面行う必要はなく、例えば、疵発生防止剤が特に付着しているガラス搬送ローラーと対向する面のみ洗浄を行う構成としてもよい。ただし、図4に示すように両面から同じ位置についてドライアイス粉末を吹きつけることにより、搬送しているガラスを両面から抑えることができるため、ガラスに対して強い力が加わることや、振動が発生してガラスが破損することを抑制することができる。
図4では、ガラスの搬送方向に沿って、ガラスの幅方向(ガラス搬送ローラーと平行な方向)の一部のみを洗浄している例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、噴霧ノズル42の幅や数を変更してガラスの幅方向全てを一度に洗浄するように構成することもできる。
また、ここでは、ドライアイス粉末を吹きつけることにより洗浄する方法を説明したが、ドライアイス粉末ではなく、液化炭酸ガスをガラスに対して噴出して、ガラス表面近傍で冷却してドライアイス粉末を生成する構成とすることもできる。
疵発生防止剤除去部としてドライアイス洗浄装置を用いた例を示したが、係る装置によればドライアイス粉末と気体を吹きつけるだけであるため、新たに供給される物質は二酸化炭素とドライアイスを同伴した気体のみであり、装置内の環境を汚染することなくガラス表面を洗浄することが可能であるため好ましい。
以上に説明してきた本実施形態のフロート板ガラス製造装置によれば、従来よりも小型の装置によりガラスとガラス搬送ローラーとの間に緩衝層(疵発生防止剤層)を形成し、搬送するガラスに疵が発生することを防止できる。また、疵発生防止剤を気体に同伴させてガラスに対して吹きつけるため、系外から疵発生防止剤に異物が混入することを抑制することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態では本発明のガラスフロート板ガラス製造方法の実施形態例について説明する。
[第2の実施形態]
本実施形態では本発明のガラスフロート板ガラス製造方法の実施形態例について説明する。
本実施形態のフロート板ガラス製造方法は、ガラス搬送ローラー間において、搬送するガラスに対して、安息角が47°より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ工程を有することを特徴としている。
フロート板ガラスは、例えば、以下の工程を有する製造方法により製造することができる。
ガラス原料を溶融し、溶融ガラスとする溶融工程と、
溶融ガラスをフロートバス中の溶融金属上に供給、成形してガラスリボンとする成形工程と、
徐冷炉内において、前記ガラスリボンをガラス搬送ローラーにより搬送する徐冷工程と、
徐冷工程後、ガラスリボンを切断する切断工程までガラス搬送ローラーにより搬送する搬送工程と、
ガラスリボンを切断する切断工程。
溶融ガラスをフロートバス中の溶融金属上に供給、成形してガラスリボンとする成形工程と、
徐冷炉内において、前記ガラスリボンをガラス搬送ローラーにより搬送する徐冷工程と、
徐冷工程後、ガラスリボンを切断する切断工程までガラス搬送ローラーにより搬送する搬送工程と、
ガラスリボンを切断する切断工程。
また、必要に応じて各種工程を付加することができ、例えば溶融工程の後に脱泡工程を付加したり、切断工程後、端面や主平面を研磨する工程等を付加したりすることもできる。
そして、本実施形態のフロート板ガラスの製造方法においては、上記のように疵発生防止剤吹きつけ工程を有している。疵発生防止剤吹きつけ工程は、例えば上記徐冷工程および/または搬送工程において行うことが好ましく、徐冷工程において行うことがより好ましい。また、第1の実施形態でも既述のように、成形工程直後またはその近傍の徐冷工程において行うことがさらに好ましく、徐冷工程のうち成形工程に影響を与えない上流側(成形工程側)で行うことが特に好ましい。
また、疵発生防止剤吹きつけ工程は1回のみではなく複数回行うこともできる。具体的には例えば徐冷工程、搬送工程でそれぞれ行うこともできるし、徐冷工程において複数回行うこともできる。疵発生防止剤の離脱のし易さや、疵発生の程度に応じて選択することができる。
特に、疵発生防止剤吹きつけ工程は、少なくとも、ガラスリボン温度が歪点〜歪点+100℃の範囲で行うことが好ましい。さらにガラスリボン温度が歪点未満の範囲においても疵発生防止剤吹きつけ工程を行うこともできる。
疵発生防止剤吹きつけ工程を行うための好ましい装置構成については第1の実施形態で説明したとおりであるため、ここでは省略する。
疵発生防止剤吹きつけ工程において用いる疵発生防止剤、および、疵発生防止剤を同伴する気体について説明する。
まず、疵発生防止剤としては安息角が47°より小さいものが用いられる。これは、疵発生防止剤の安息角が47°以上の場合、上記のように疵発生防止剤が気体に同伴される際、すなわち、気体により搬送(圧送)される際に、供給パイプ21内で閉塞を起こしたり、供給パイプに設けられた複数の孔24から、均一に吹きだせなかったりという問題が生じる場合があるためである。また、疵発生防止剤の安息角が上記のように47°よりも小さい場合、気体により容易に搬送することが可能になり、供給パイプ内で閉塞の発生を抑制し、供給パイプに設けられた複数の孔24から、搬送しているガラスに対して均一に疵発生防止剤を供給することができる。疵発生防止剤の安息角としては、45°より小さいことがより好ましく、43°より小さいことが特に好ましい。
疵発生防止剤の材質としては特に限定されるものではなく、搬送するガラスと、ガラス搬送ローラーとの間に配置された場合に、ガラスに疵が発生することを防止できるものであれば用いることができる。具体的には例えば、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、及び金属硫化物からなる群から選択される1種以上の粉体を好ましく用いることができる。
また、疵発生防止剤はガラスに対して疵を与えないために搬送するガラスの下面に配置するものであるから、搬送するガラスよりもモース硬度が低いものであることが好ましい。例えば、モース硬度が6以下の物質からなることがより好ましく、モース硬度が4以下の物質からなることが好ましく、モース硬度が2以下の物質からなることが特に好ましい。
疵発生防止剤としては、その粒径は特に限定されるものではないが、例えば平均粒径(D50)が、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上70μm以下であることがより好ましく、1μm以上50μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味している。
これは、疵発生防止剤が上記範囲にあることにより、搬送するガラスの表面に均一に付着し易くなるため、特に疵の発生を抑制できるためである。
さらに、疵発生防止剤に異物が混入しているとガラスに対して吹きつけた際または、付着させた後ガラスを搬送している際にガラスに疵を生じさせる可能性がある。このため、目的とする成分以外の異物の含有量は1000ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、10ppm未満であることが特に好ましい。
また、疵発生防止剤は、異物として粒径50μmを超えるものを含有していないことが好ましく、粒径が20μmを超えるものを含有していないことがより好ましく、粒径が10μmを超えるものを含有していないことが特に好ましい。これは、仮に異物が混入している場合であっても、粒径が小さい物であれば、ガラスに対して疵を発生させる可能性を低減することができるためである。
以上のような疵発生防止剤として使用できる物質について、所望の安息角とするために、安息角の調整が必要な場合に、上記の物質に流動性促進剤を添加したものを疵発生防止剤として用いることができる。
流動性促進剤としては、安息角を上記所望の範囲に調整できる物質であればよく、具体的には、例えばカーボン微粒子やステアリン酸等が挙げられる。
流動性促進剤の添加量としては特に限定されるものではなく、各流動性促進剤により所望の安息角になるよう選択することができる。
例えば、カーボン微粒子を用いる場合には、上記した疵発生防止剤として使用できる物質(被添加材料)に対して、質量で2%以上30%以下になるように添加することが好ましく、5%以上30%以下になるように添加することがより好ましく、5%以上20%以下になる様に添加することが特に好ましい。
例えばステアリン酸を用いる場合には、上記した疵発生防止剤として使用できる物質(被添加材料)に対して、質量で0.2%以上10%以下になるように添加することが好ましく、0.5%以上3%以下になるように添加することがより好ましく、0.7%以上2%以下になる様に添加することが特に好ましい。
なお、流動性促進剤を添加する方法としては特に限定されるものではない。例えば上記疵発生防止剤として使用できる物質と、流動性促進剤とを撹拌、混合する方法により行うことができる。また、流動性促進剤を溶媒(分散媒)に溶解(分散)させた溶液を、上記疵発生防止剤として使用できる物質に対してスプレー等で噴射して添加する方法により行うこともできる。
そして、疵発生防止剤を同伴する、即ち、疵発生防止剤を搬送(圧送)する気体としては特に限定されるものではなく、各種気体を用いることができるが、他のフロート板ガラス製造工程に影響を与えないものであることが好ましい。具体的には、例えば、空気、酸素や各種不活性ガスを好ましく用いることができる。不活性ガスとしてはコストの観点から窒素を用いることが好ましい。
また、疵発生防止剤吹きつけ工程を成形工程直後(例えばガラスリボン温度が歪点〜歪点+100℃の範囲にある時)に行う場合、すなわち、疵発生防止剤吹きつけ部をフロートバスの近くに設置する場合、(例えば図1の14A〜14Cのようにフロートバスの近傍に設けられたガラス搬送ローラーの間に設置する場合)は、上記気体としては窒素を用いることが好ましい。これは、一般的にフロートバス内は、溶融金属が酸化しないように窒素雰囲気に保たれているため、その近傍で異なるガスを供給した場合に、フロートバス内に該ガスが混入して、フロートバス内の雰囲気に悪影響を及ぼす恐れがあるためであり、これを防止するためである。
本実施形態のフロート板ガラス製造方法においては、更に疵の発生を低減するため、搬送しているガラスに対して、SO2ガスを供給して、その表面に硫酸塩による緩衝層を設けるSO2ガス供給工程を設けることもできる。これは、例えば、フロートバスから引き出されたガラス(ガラスリボン)に対して、ガラス搬送ローラー側からSO2ガスを供給することにより、例えばアルカリガラスの場合であればガラス中に含まれるNa、Ba、Ca、Mg、K等との硫酸塩を生成するものである。本実施形態で説明した、疵発生防止剤吹きつけ工程と併せて行うことにより、搬送するガラスに疵が発生することをより低減することが可能になる。
また、後述の様に疵発生防止剤除去工程を設ける場合、それ以降についてはガラス表面から疵発生防止剤が除去された状態となるため、疵の発生をより低減するため上述のように、併せてSO2ガス供給工程を行い、SO2ガスとの接触による緩衝層を設けていることが好ましい。なお、SO2ガスとの接触により形成される緩衝層は、ナノメートルオーダーの非常に薄い層であるため、ガラス表面の疵を検出する疵検査装置に影響を与えることはない。また、ガラス表面に形成される層であるため、後述の疵発生防止剤除去工程により除去されない。
SO2ガス供給工程を行うタイミングは特に限定されるものではないが、上記の様にガラス中の成分とSO2ガスとが反応して緩衝層を形成するまでには時間がかかることから、成形工程後、早い段階において行うことが好ましい。具体的には、徐冷工程において行うことが好ましく、徐冷工程のより初期の段階で行うことが好ましい。例えば、本実施形態の疵発生防止剤吹きつけ工程において、疵発生防止剤を吹きつける際またはその前後にSO2ガス供給工程を行う構成としてもよい。
また、本実施形態では、上述のように搬送しているガラスに対して疵発生防止剤を吹きつけ、付着させることにより、ガラスがガラス搬送ローラーと接触していても、その表面に疵が生じないようにするものである。ところで、一般的にフロート板ガラスの製造方法においては、製品の品質保証のため、搬送工程後に、製造したガラス表面の疵の有無を検出する疵検査工程が設けられている。しかし、疵発生防止剤を付着させたままであると、ガラス表面の疵を検出する疵検査装置により疵の検出を行えない場合がある。このため、製造工程の後段でガラス表面の疵の検査を行う疵検査工程前に、より好ましくは直前に、疵発生防止剤除去工程を設けることが好ましい。
疵発生防止剤除去工程の構成としては特に限定されるものではなく、例えば各種洗浄装置により構成することができるが、第1の実施形態で説明したドライアイス洗浄装置によりガラス表面を洗浄する工程であることが好ましい。ドライアイス洗浄装置については第1の実施形態で説明したので、ここでは省略する。
このように疵発生防止剤除去工程として、ドライアイス洗浄装置による洗浄方法を用いた場合、ドライアイス粉末と気体を吹きつけるだけであるため、新たに供給される物質は二酸化炭素とドライアイスを同伴した気体のみであり、周辺の工程の環境を汚染することなくガラス表面を洗浄することが可能であるため好ましい。
以上に説明してきた本実施形態のフロート板ガラス製造方法によれば、従来よりも小型の装置によりガラスとのガラス搬送ローラーとの間に緩衝層(疵発生防止剤層)を形成し、搬送するガラスに疵が発生することを防止できる。また、気体により同伴された疵発生防止剤をガラスに対して吹きつけるため、系外から疵発生防止剤に異物が混入することを抑制することができる。
14 ガラス搬送ローラー
Claims (4)
- ガラス搬送ローラー間において、搬送するガラスに対して、安息角が47°より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ部を有するフロート板ガラス製造装置。
- 前記疵発生防止剤が、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、及び金属硫化物からなる群から選択される1種以上の粉体に、流動性促進剤を添加したものである請求項1に記載のフロート板ガラス製造装置。
- ガラス搬送ローラー間において、搬送するガラスに対して、安息角が47°より小さい疵発生防止剤を気体に同伴させて吹きつける疵発生防止剤吹きつけ工程を有するフロート板ガラス製造方法。
- 前記疵発生防止剤が、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あるいはMgもしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、及び金属硫化物からなる群から選択される1種以上の粉体に、流動性促進剤を添加したものである請求項3に記載のフロート板ガラス製造方法。
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