JP2016018726A - プレスフィット端子および基板用コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】嵌合部およびプレスフィット部の最表面に異なるめっきを施すことなく、嵌合部側における低嵌合力化、プレスフィット部側におけるめっき削れの抑制を図ることが可能なプレスフィット端子、また、これを用いた基板用コネクタを提供する。
【解決手段】プレスフィット端子1は、相手方端子と嵌合することにより電気的接続が取られる嵌合部11と、回路基板3のスルーホール31内に圧入されることによりするホール31の内周に形成された導電部32と電気的接続が取られるプレスフィット部12とを有している。嵌合部11およびプレスフィット部12は、いずれも、Sn−Pd系合金相とSn相との混合相より構成される合金めっき層を最表面に有している。
【選択図】図5

Description

本発明は、プレスフィット端子および基板用コネクタに関する。
従来、回路基板のスルーホール内に圧入され、スルーホール内周に形成された導電部と弾性接触させることにより電気的接続が取られる端子として、プレスフィット端子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記プレスフィット端子を構成するための金属基材として、導電率が高く、延性に富み、適度な強度を有する銅や銅合金が多く使用されている。銅や銅合金は、表面に酸化膜や硫化膜等の絶縁性の被膜が形成される。そのため、銅や銅合金をそのまま用いたプレスフィット端子は、相手方端子との嵌合時に接触抵抗が高くなりやすい。
そこで、従来より、銅や銅合金からなる金属基材の表面には、Snめっきが施されている。Snは、他の金属と比較して硬度が低い。そのため、Snが酸化されて絶縁性の被膜が形成された場合でも、この被膜は、比較的弱い力で破壊される。それ故、金属基材の表面にSnめっきを有するプレスフィット端子は、相手方端子との嵌合時に比較的容易に被膜が破壊されて新生面が露出し、これにより良好な電気的接続を確保することができる。
特開2004−319338号公報
しかしながら、従来技術は、以下の点で問題がある。すなわち、上述したように、Snは、比較的軟らかい金属である。そのため、相手方端子とプレスフィット端子との嵌合時に、相手方端子と嵌合部との間で、Snの凝着や掘り起こしが生じ、嵌合力が過大になりやすいという問題がある。
また、プレスフィット端子を備える基板用コネクタを回路基板に実装する際、回路基板のスルーホール内にプレスフィット端子のプレスフィット部が圧入されると、スルーホールとプレスフィット部との間で、Snの凝着や掘り起こしが生じ、これによりSnの削れが生じる。削れたSnは、回路基板の表面を汚染するため、回路間が短絡するおそれがある。
これらの問題を回避するため、Snめっきに変えてSn−Cu系合金めっきやSn−Ni系合金めっきを用いたり、下地めっきであるNiめっきのみを用いたりする方法等が考えられる。しかしながら、これらの方法では、めっき表層に生成する酸化被膜の影響により、嵌合部側における接触抵抗が低い値で安定し難い。そのため、上記めっき種は、嵌合部に適していない。それ故、嵌合部およびプレスフィット部の最表面に、それぞれ異なるめっきを施さざるを得ないという問題が生じる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、嵌合部およびプレスフィット部の最表面に異なるめっきを施すことなく、嵌合部側における低嵌合力化、プレスフィット部側におけるめっき削れの抑制を図ることが可能なプレスフィット端子、また、これを用いた基板用コネクタを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、相手方端子と嵌合することにより電気的接続が取られる嵌合部と、回路基板のスルーホール内に圧入されることにより上記スルーホール内周に形成された導電部と電気的接続が取られるプレスフィット部とを有するプレスフィット端子であって、
上記嵌合部および上記プレスフィット部は、いずれも、Sn−Pd系合金相とSn相との混合相より構成される合金めっき層を最表面に有していることを特徴とするプレスフィット端子にある。
本発明の他の態様は、上記プレスフィット端子と、該プレスフィット端子を保持するハウジングとを有することを特徴とする基板用コネクタにある。
上記プレスフィット端子は、嵌合部およびプレスフィット部が、いずれも、Sn−Pd系合金相とSn相との混合相より構成される合金めっき層を最表面に有している。上記合金めっき層において、Sn−Pd系合金相は、Sn相に比べ、比較的硬い。そのため、上記合金めっき層は、従来のSnめっき層に比べ、表面の摩擦係数が小さくなる。それ故、上記プレスフィット端子は、相手方端子との嵌合時における嵌合力が低減される。また、上記合金めっき層は、従来のSnめっき層に見られるSnの凝着や掘り起こしに起因する摩耗が低減される。それ故、上記プレスフィット端子は、回路基板のスルーホール内へプレスフィット部が圧入された場合でも、余剰なSnの凝着や掘り起こしが生じ難く、Snの削れが生じ難い。このように、上記プレスフィット端子は、嵌合部およびプレスフィット部の最表面に異なるめっきを施すことなく、最表面に1種類の上記合金めっき層を有することにより、嵌合部側において低嵌合力化が図られるとともに、プレスフィット部側においてめっき削れが抑制される。
上記基板用コネクタは、上記プレスフィット端子を用いている。そのため、相手方端子を有する相手方基板用コネクタとの嵌合力を低減することができる。また、回路基板への実装時にプレスフィット部からのめっき削れが生じ難いため、回路基板の接続信頼性を向上させることができる。
実施例1のプレスフィット端子の側面を模式的に示した説明図である。 実施例1の基板用コネクタのハウジングに圧入する前の状態であって、圧入後の曲げ加工が施されていない実施例1のプレスフィット端子を模式的に示した説明図である。 実施例1のプレスフィット端子における嵌合部、プレスフィット部および連結部における層構造を模式的に示した説明図である。 実施例1の基板用コネクタを嵌合側から見て模式的に示した説明図である。 実施例1の基板用コネクタの断面を模式的に示した説明図である。 実験例において、試料1Cおよび試料2Cの基板用コネクタを、相手方基板用コネクタと嵌合させたときの、嵌合距離と嵌合力との関係を示した図である。
上記プレスフィット端子は、基板用コネクタのハウジングに保持された状態で回路基板に接続されるものであってもよいし、回路基板に直接接続されるものであってもよい。前者の場合、ハウジングに複数のプレスフィット端子が保持されることが多い。そのため、前者の場合には、相手方基板用コネクタが有する相手方端子との嵌合時に、端子数の増加に伴う嵌合力の増加が抑制されやすく、上記低嵌合力化の効果を十分に発揮させることができる。
上記プレスフィット端子において、嵌合部およびプレスフィット部は、いずれも、最表面の全てが合金めっき層により覆われていてもよいし、最表面の一部に合金めっき層により覆われていない部分があってもよい。後者の例としては、例えば、板状の端子材料を打ち抜き、プレス加工することにより、プレスフィット端子を形成した際における、打ち抜き破面などを例示することができる。
上記プレスフィット端子は、具体的には、嵌合部とプレスフィット部との間を連結する連結部を有する構成とすることができる。そして、連結部は、最表面に上記合金めっき層を有する構成とすることができる。
この場合には、プレスフィット端子における最表面のほぼ全てが同じ合金めっき層を有する。そのため、プレスフィット端子における最表面に1種類のめっきを施すことにより上述した作用効果を奏するプレスフィット端子を製造することができる。したがって、この場合には、製造性の高いプレスフィット端子が得られる。
上記プレスフィット端子において、端子形状を形づくるベースとなる金属基材としては、例えば、CuまたはCu合金、AlまたはAl合金などを用いることができる。金属基材としては、導電率が高く、加工性に富み、適度な強度を有する観点から、CuまたはCu合金を好適に用いることができる。
上記プレスフィット端子において、合金めっき層は、具体的には、金属基材の表面に直接積層されていてもよいし、金属基材の表面に他の金属層を1または2以上介して積層されていてもよい。他の金属層としては、例えば、Ni層、Ni合金層等を例示することができる。他の金属層として、Ni層またはNi合金層を有する場合には、金属基材がCuまたはCu合金からなる場合に、合金めっき層へのCu成分の拡散を抑制しやすくなる。そのため、この場合には、合金めっき層へ拡散したCu成分の酸化物が合金めっき層の外表面に形成され難く、プレスフィット端子の低接触抵抗化に寄与することができる。
上記プレスフィット端子において、合金めっき層の外表面に占めるSn−Pd系合金相の面積率は、10〜80%の範囲内とすることができる。
この場合には、嵌合部側の低嵌合力化、プレスフィット部側のめっき削れの抑制、および、プレスフィット端子における接触抵抗の低減のバランスに優れたプレスフィット端子が得られる。合金めっき層におけるSn−Pd系合金相は、摩擦係数の低減に高い効果を有する。合金めっき層の外表面における摩擦係数が低減され、嵌合部側の低嵌合力化を図りやすくなる観点から、上記面積率は、好ましくは、10%以上、より好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、30%以上とすることができる。また、合金めっき層におけるSn相は、接触抵抗の低減に高い効果を有する。しかし、Sn相の量が過剰になると、Sn相の削れ抑制効果が小さくなる。Sn相の削れ抑制効果を確実なものにする観点から、上記面積率は、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下、さらに好ましくは、60%以下とすることができる。
上記プレスフィット端子において、Pd含有量は、20原子%未満とすることができる。なお、Pd含有量は、合金めっき層中に含まれるSnとPdとの合計に対するPdの原子%を意味する。
Pd含有量は、接触抵抗の安定性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、20原子%未満、より好ましくは、15原子%以下、さらに好ましくは、10原子%以下、さらにより好ましくは、7原子%以下とすることができる。なお、Pd含有量は、摩擦係数の低減に寄与するPdSn等の金属間化合物の安定な生成を促進させるなどの観点から、好ましくは、1原子%以上、より好ましくは、2原子%以上、さらに好ましくは、3原子%以上、さらにより好ましくは、4原子%以上とすることができる。
上記プレスフィット端子において、合金めっき層の厚みは、耐摩耗性、耐熱性などの観点から、0.8μm以上、好ましくは、0.8〜2μm程度とすることができる。
上記プレスフィット端子は、例えば、最表面に上記合金めっき層を有する板状の端子材料を、端子展開形状に打ち抜いた後、プレス加工によりプレスフィット部を形成し、必要に応じて曲げ加工を施すことなどによって形成することが可能である。なお、上記端子材料は、例えば、CuまたはCu合金などよりなる板状の金属基材表面に、電気めっき法を用いて、厚み0.5〜2μm程度のNiめっき層を必要に応じて形成した後、厚み20〜40nm程度のPdめっき層、厚み0.8〜2μm程度のSnめっき層を順次形成し、Snの融点以上の温度で熱処理することなどによって形成することができる。
上記基板用コネクタは、上記プレスフィット端子と、上記プレスフィット端子を保持するハウジングとを有している。上記基板用コネクタにおいて、上記プレスフィット端子は、例えば、合成樹脂製のハウジングの背面壁に圧入されることによってハウジングに保持される構成とすることができる。上記基板用コネクタにおいて、上記プレスフィット端子は、具体的には、嵌合部とプレスフィット部との間を連結する連結部が「L」字状等の形状に形成されているとよい。
上記基板用コネクタは、具体的には、複数の上記プレスフィット端子がハウジングに保持されている構成とすることができる。この場合には、各プレスフィット端子が低嵌合力化されているので、端子数の増加に伴い増加する嵌合力を効果的に低減することが可能となる。そのため、この場合には、低い嵌合力にて相手方基板用コネクタと嵌合させることができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例のプレスフィット端子、基板用コネクタについて、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1のプレスフィット端子、基板用コネクタについて、図1〜図5を用いて説明する。図1〜図5に示すように、本例のプレスフィット端子1は、相手方端子(不図示)と嵌合することにより電気的接続が取られる嵌合部11と、回路基板3のスルーホール31内に圧入されることによりスルーホール31内周に形成された導電部32と電気的接続が取られるプレスフィット部12とを有している。嵌合部11およびプレスフィット部12は、いずれも、Sn−Pd系合金相141とSn相142との混合相より構成される合金めっき層14を最表面に有している。以下、これを詳説する。
本例において、プレスフィット端子1は、自動車に搭載される基板用コネクタ2に適用されるものである。プレスフィット端子1は、具体的には、嵌合部11とプレスフィット部12との間を連結する連結部13を有している。プレスフィット端子1は、板状の端子材料が端子展開形状に打ち抜かれた後、プレス加工によりプレスフィット部12が形成され、基板用コネクタ2のハウジング21が備える端子圧入孔211に嵌合部11側から圧入された後に「L」字状に折り曲げられることによって形成されたものである。
本例では、具体的には、Cu合金からなる板状の金属基材15と、金属基材15に接するNi層16と、Ni層16に接するNi−Sn層17と、Ni−Sn層17に接し、Sn−Pd系合金相141とSn相142との混合相より構成される合金めっき層14とを有する端子材料を用いている。したがって、本例のプレスフィット端子1は、図3に示されるように、嵌合部11およびプレスフィット部12が、いずれも、Sn−Pd系合金相141とSn相142との混合相より構成される合金めっき層14を最表面に有している。さらに、本例では、連結部13も、最表面に合金めっき層14を有している。Ni層16の厚みは、1μm程度、合金めっき層14の厚みは、1〜1.5μm程度である。
本例において、嵌合部11は、具体的には、タブ状に形成されており、相手方端子が有する筒状の相手方嵌合部内に挿入される。連結部13は、具体的には、「L」字状に形成されており、嵌合部11側の端部に一対の抜止部131と一対の位置決め部132とが幅方向に貼り出した状態で形成されている。抜止部131は、その先端寄りの縁がテーパ状とされており、プレスフィット端子1を嵌合部11側から端子圧入孔211に圧入可能とされるとともに、反対側の縁が切り立って抜け止めされる。また、位置決め部132は、その先端寄りの縁が切り立って、圧入された際に端子圧入孔211の縁部に係止され、プレスフィット端子1が位置決めされる。
プレスフィット部12は、略円弧状に膨出形成され、かつ、その外側面がスルーホール31の導電部32と接触する一対の接触片121と、接触片121との間に設けられ、弾性または塑性変形可能な薄肉部122とを有しており、その先端は先細り形状とされている。プレスフィット部12の最大径寸法は、スルーホール31における導電部32の内径よりも所定量大きくされている。プレスフィット部12は、薄肉部122が圧縮変形されつつ径方向に押し縮められることにより、スルーホール31に圧入されて導電部32と電気的に接続されるようになっている。なお、プレスフィット部12の基端側には、プレスフィット部12をスルーホール31に圧入する際に圧入治具(不図示)を当接させるための一対の治具当て部123が幅方向に張り出した状態で形成されている。
本例の基板用コネクタ2は、プレスフィット端子1と、プレスフィット端子1を保持するハウジング21とを有している。
本例では、基板用コネクタ2は、ハウジング21に複数のプレスフィット端子1が組み付けられている。
ハウジング21は合成樹脂製であり、その前方側には嵌合時に相手方基板用コネクタ(不図示)を収容するフード部213が形成され、そのフード部213の奥に背面壁212が一体に形成されている。プレスフィット端子1は、ハウジング21の背面壁212に形成された端子圧入孔211に嵌合部11側から圧入されることによりハウジング21に保持されている。
次に、本例のプレスフィット端子、基板用コネクタの作用効果について説明する。
本例のプレスフィット端子1は、嵌合部11およびプレスフィット部12が、いずれも、Sn−Pd系合金相141とSn相142との混合相より構成される合金めっき層14を最表面に有している。合金めっき層14において、Sn−Pd系合金相141は、Sn相142に比べ、比較的硬い。そのため、合金めっき層14は、従来のSnめっき層に比べ、表面の摩擦係数が小さくなる。それ故、プレスフィット端子1は、相手方端子との嵌合時における嵌合力が低減される。また、合金めっき層14は、従来のSnめっき層に見られるSnの凝着や掘り起こしに起因する摩耗が低減される。それ故、プレスフィット端子1は、回路基板3のスルーホール31内へプレスフィット部1が圧入された場合でも、余剰なSnの凝着や掘り起こしが生じ難く、Snの削れが生じ難い。このように、プレスフィット端子1は、嵌合部11およびプレスフィット部12の最表面に異なるめっきを施すことなく、最表面に1種類の合金めっき層14を有することにより、嵌合部11側において低嵌合力化が図られるとともに、プレスフィット部12側においてめっき削れが抑制される。
本例の基板用コネクタ2は、本例のプレスフィット端子1を用いている。そのため、相手方端子を有する相手方基板用コネクタとの嵌合力を低減することができる。また、回路基板3への実装時にプレスフィット部12からのめっき削れが生じ難いため、回路基板3の接続信頼性を向上させることができる。
<実験例>
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
Cu合金からなる板状の金属基材(厚み0.64μm)の表面に、電気めっき法を用いて、厚み1μmのNiめっき層、厚み20nmのPdめっき層、厚み1μmのSnめっき層を順次形成し、大気中、Snの融点以上温度で熱処理することにより端子材料を得た。
次いで、得られた端子材料を、プレス加工により図1、図2に示される端子形状とすることが可能な端子展開形状に打ち抜いた後、プレス加工によりプレスフィット部を形成した。
次いで、プレスフィット部を形成した打ち抜き片を、PBT樹脂製のハウジングの端子圧入孔に圧入した後、「L」字状に折り曲げて屈曲部を形成することにより、試料1のプレスフィット端子、および、試料1Cの基板用コネクタを得た。なお、本例のプレスフィット端子は、0.64型である。また、基板用コネクタは、図4、図5に示されるように、複数のプレスフィット端子が配置された多極型のコネクタである。
得られたプレスフィット端子の断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、嵌合部、プレスフィット部、および、連結部は、いずれも、Cu合金からなる板状の金属基材と、金属基材に接するNi層(厚み1μm)と、Ni層に接するNi−Sn層と、Ni−Sn層に接し、Sn−Pd系合金相とSn相との混合相より構成される合金めっき層(厚み1μm)とを有していることが確認された。
また、本実験例において、合金めっき層の外表面に占めるSn−Pd系合金相の面積率は、45%であった。なお、上記面積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)など、金属元素に関しコントラストで区別できる表面観察等を実施することにより求めた。また、熱処理する前のSnめっき層、Pdめっき層の厚み、元素の密度、原子量等を用いて算出される合金めっき層中のPd含有率は、4原子%であった。
なお、金属基材の表面に厚み1μmのSnめっき層が形成された端子材料を用いた以外は同様にして、比較としての試料2のプレスフィット端子、試料2Cの基板用コネクタを得た。
図6に、試料1Cおよび試料2Cの基板用コネクタを、相手方基板用コネクタと嵌合させたときの、嵌合距離と嵌合力との関係を示す。図6に示されるように、試料1Cの基板用コネクタは、試料2Cの基板用コネクタに比べ、嵌合力が低減していることがわかる。これは、嵌合部の最表面に上記合金めっき層を有することにより、嵌合部表面の摩擦係数が低減したためである。
次に、試料1Cおよび試料2Cの基板用コネクタを、プリント回路基板に実装した。具体的には、圧入治具を用いて、各基板用コネクタにおけるプレスフィット端子のプレスフィット部をプリント回路基板のスルーホール内に圧入した。その結果、試料2Cの基板用コネクタでは、スルーホールとプレスフィット部との間で、Snの凝着や掘り起こしが生じ、これによりSnの削れが生じた。これに対し、試料1Cの基板用コネクタでは、スルーホールとプレスフィット部との間で、Snの凝着や掘り起こしが生じず、Snの削れが生じなかった。
以上によれば、嵌合部およびプレスフィット部の最表面に異なるめっきを施すことなく、嵌合部側における低嵌合力化、プレスフィット部側におけるめっき削れの抑制を図ることが可能なプレスフィット端子、また、これを用いた基板用コネクタが得られることが確認できた。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、プレスフィット端子は、基板用コネクタのハウジングに保持されることなく、直接、回路基板に実装されるものであってもよい。
1 プレスフィット端子
11 嵌合部
12 プレスフィット部
14 合金めっき層
141 Sn−Pd系合金相
142 Sn相
2 基板用コネクタ
21 ハウジング
3 回路基板
31 スルーホール
32 導電部

Claims (5)

  1. 相手方端子と嵌合することにより電気的接続が取られる嵌合部と、回路基板のスルーホール内に圧入されることにより上記スルーホール内周に形成された導電部と電気的接続が取られるプレスフィット部とを有するプレスフィット端子であって、
    上記嵌合部および上記プレスフィット部は、いずれも、Sn−Pd系合金相とSn相との混合相より構成される合金めっき層を最表面に有していることを特徴とするプレスフィット端子。
  2. 上記嵌合部と上記プレスフィット部との間を連結する連結部を有しており、該連結部の最表面に上記合金めっき層を有していることを特徴とする請求項1に記載のプレスフィット端子。
  3. 上記合金めっき層の外表面に占める上記Sn−Pd系合金相の面積率は、10〜80%の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスフィット端子。
  4. 上記合金めっき層は、Pd含有量が20原子%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレスフィット端子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレスフィット端子と、該プレスフィット端子を保持するハウジングとを有することを特徴とする基板用コネクタ。
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