JP2016016585A - 有機ガラス積層用シート及び有機ガラス積層体の製造方法 - Google Patents

有機ガラス積層用シート及び有機ガラス積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び耐候性に優れた有機ガラス基体上に無機酸化皮膜を積層できる長尺状の有機ガラス積層用シートを簡便な手法で製造する方法の提供。
【解決手段】少なくとも、フィルム基材と、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを有する長尺状の有機ガラス積層用シートをロールツーロールで形成することにより、有機ガラス基体上に無機酸化皮膜を積層させることができる長尺状の有機ガラス積層用シートを簡便な手法で製造する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機酸化皮膜で被覆された有機ガラス積層用シートの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、簡便な手法で、有機ガラス上に無機酸化皮膜を積層させる有機ガラス積層用シートを製造する方法に関する。更に、本発明は、当該有機ガラス積層用シートを用いて、優れた耐摩耗性及び耐候性を備える有機ガラス積層体を製造する方法に関する。
従来、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等の樹脂素材は、透明性に優れ、無機ガラスに比べて軽量であることから、有機ガラスとして、様々な分野で無機ガラスの代替品として広く使用されている。特に、これらの有機ガラスの中でも、ポリカーボネートは、耐衝撃性、耐熱性、透明性等に優れており、自動車の窓用の有機ガラスとして検討が進められている。
一方、有機ガラスは、耐候性や耐摩耗性の点で無機ガラスに比べて劣るため、その欠点を補うべく、有機ガラスの表面に硬化樹脂による表面保護層を積層させることが一般的に行われている。しかしながら、有機ガラスの要求性能の向上に対する要望には枚挙に暇がなく、硬化樹脂による表面保護層の積層だけでは、このような要望に追従できなくなっている。とりわけ、自動車分野で使用される有機ガラスには、安全性、視認性等の観点から、耐候性及び耐摩耗性をより一層向上させることが求められている。
そこで、従来、有機ガラスの表面に、硬化性樹脂の硬化層と二酸化ケイ素等の無機酸化皮膜を形成させて有機ガラス積層体にすることにより、有機ガラスの耐摩耗性及び耐候性を向上させることが提案されている。例えば、特許文献1では、樹脂基板上にシリコーンポリマーを用いてハードコート層を形成した後に、当該ハードコート層に真空紫外光線を照射することによって、表面に二酸化ケイ素を主成分とする硬質皮膜を形成させる方法が開示されている。また、特許文献2には、透明又は半透明プラスチック基板の表面に湿式法で硬化膜を形成し、その硬化膜上に、特定の条件でプラズマCVD層を形成させる方法が開示されている。
しかしながら、前述する従来の方法は、いずれも、成形された有機ガラスの上で無機酸化皮膜の製膜が行われているため、有機ガラス積層体の製造をバッチプロセスで行わざるを得ず、その結果、製造プロセスの長期化を招き、量産性に乏しいという欠点がある。また、バッチプロセスでは、成形された有機ガラスの上に無機酸化皮膜を製膜するため、製膜を行う真空装置内での有機ガラスの搬送が困難であることに加え、曲面等を有する三次元形状の有機ガラス場合には膜厚が不均一になり易いという欠点もある。更に、バッチプロセスでは、有機ガラスの成形体の大きさや形状に応じた装置が必要とされるため、有機ガラスの成形体の大きさや形状の変更に対応し難いという欠点もある。
そこで、このようなバッチプロセスの欠点を解消して、簡便な方法によって、無機酸化物で被覆された有機ガラス積層体を製造する技術の開発が求められている。
WO2009/110152 特開2011−16257号公報
本発明は、有機ガラス基体上に無機酸化皮膜を積層させることができる長尺状の有機ガラス積層用シートを簡便な手法で製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該有機ガラス積層用シートを用いて、優れた耐摩耗性及び耐候性を備える有機ガラス積層体を簡便な手法で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、有機ガラス基体の成形体上で無機酸化皮膜を製膜するのではなく、少なくとも、フィルム基材と、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを有する長尺状の有機ガラス積層用シートをロールツーロールで形成することにより、有機ガラス基体上に無機酸化皮膜を積層させることができる長尺状の有機ガラス積層用シートを簡便な手法で製造できることを見出した。更に、当該有機ガラス積層用シートを用いて当該硬化層と当該無機酸化皮膜とをこの順で有機ガラス基体に積層させることによって、簡便な手法で、有機ガラス基体上に均一な膜厚の無機酸化皮膜を積層でき、優れた耐摩耗性及び耐候性を備える有機ガラス積層体を製造できることをも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の有機ガラス積層用シート及び有機ガラス積層体の製造方法を提供する。
項1. フィルム基材上に、少なくとも、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを、ロールツーロール方式で積層させる工程を含む、長尺状の有機ガラス積層用シートの製造方法。
項2. 項1に記載の製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シートを用いて、ロールツーロール方式で有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
項3. 項1に記載の製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シートを切断する工程、及び切断された有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
項4. 無機酸化皮膜で被覆された有機ガラス積層体の製造方法であって、
フィルム基材上に、少なくとも、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを、ロールツーロール方式で積層させる第1工程、及び
前記有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる第2工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
項5. 前記第2工程が、ロールに巻回された長尺状の有機ガラス積層用シートを連続的又は間欠的に繰り出して搬送しつつ行われる、項4に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項6. 前記第1工程において、少なくとも、前記フィルム基材上に、前記硬化層と、前記無機酸化皮膜とをこの順に積層して、長尺状の有機ガラス積層用シートを形成し、
前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートの前記無機酸化皮膜とは反対側の面に、前記有機ガラス基体を積層させる、項4又は5に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項7. 前記第1工程において、前記フィルム基材と前記硬化層の間に、プライマー層を積層させる、項6に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項8. 前記フィルム基材がアクリルフィルムである、項6又は7に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項9. 前記第1工程において、少なくとも、前記フィルム基材と、少なくとも、前記フィルム基材と、前記無機酸化皮膜と、前記硬化層とをこの順に積層して、長尺状の有機ガラス積層用シートを形成し、
前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートの前記フィルム基材とは反対側の面に、前記有機ガラス基体を積層させた後に、前記フィルム基材を剥離する、項4又は5に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項10. 前記第1工程において、前記硬化層の上に、プライマー層と接着層がこの順に積層させる、項9に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項11. 前記フィルム基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである、項9又は10に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項12. 前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートに対して有機ガラス樹脂を射出させて積層させる、項4〜11のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項13. 前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートを、成形された有機ガラス基体に貼付して積層させる、項4〜11のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項14. 前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、項4〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
項15. 前記無機酸化皮膜が、酸化ケイ素皮膜である、項4〜14のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
本発明によれば、長尺状の有機ガラス積層用シートをロールツーロール方式で形成するので、有機ガラス基体上に無機酸化皮膜を積層させ得る原反を簡便な手法で製造できる。また、当該有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体に無機酸化皮膜を積層させることができるので、製造プロセスの簡易化・短縮化、工業的なプロセスにおける量産性の向上等の利点が得られ、効率的に優れた耐摩耗性及び耐候性を備える有機ガラス積層体を製造することが可能になる。また、本発明によれば、有機ガラス基体の成形体上で無機酸化皮膜を製膜するのではなく、無機酸化皮膜を予め有機ガラス積層用シート上に無機酸化皮膜を形成させるので、有機ガラス基体の三次元形状に影響を受けることなく、均一な膜厚の無機酸化皮膜を積層させることもできる。更に、本発明では、有機ガラス基体の大きさや形状に合わせて、長尺状の有機ガラス積層用シートをカットして使用できるので、有機ガラスの成形体の大きさや形状の変更に対応し易いという利点もある。
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シートの積層構造の一例を示す図である。 ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シートの積層構造の一例を示す図である。 転写法に使用される有機ガラス積層用シートの積層構造の一例を示す図である。 転写法に使用される有機ガラス積層用シートの積層構造の一例を示す図である。 図1に示す有機ガラス積層用シートを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 図2に示す有機ガラス積層用シートを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 図3に示す有機ガラス積層用シートを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。 図4に示す有機ガラス積層用シートを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造を示す図である。
1.長尺状の有機ガラス積層用シートの製造方法
本発明の製造方法は、フィルム基材11上に、少なくとも、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層12と、無機酸化皮膜13とを、ロールツーロール方式で積層させる工程を含み、長尺状の有機ガラス積層用シート1を得ることを特徴とする。以下、本発明の製造方法について詳述する。
[有機ガラス積層用シート1の層構成]
本発明の製造方法では、少なくとも、フィルム基材11と、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層12と、無機酸化皮膜13とを有する長尺状の有機ガラス積層用シート1を形成する。
有機ガラス積層用シート1において、前記フィルム基材11と、前記硬化層12と、前記無機酸化皮膜13の配置は、有機ガラス積層体の製造における有機ガラス積層用シート1の使用態様に応じて適宜設定される。
具体的には、有機ガラス積層体の製造において、有機ガラス積層用シート1自体を有機ガラスにラミネートして、有機ガラス基体2上に、フィルム基材11と硬化層12と無機酸化皮膜13とをこの順に積層させる場合(以下、当該態様を「ラミネート法」と表記することもある)、フィルム基材11a上に、硬化層12aと無機酸化皮膜13aとがこの順に積層された層構造を有する有機ガラス積層用シート1aであればよい。
また、有機ガラス積層体の製造において、有機ガラス積層用シート1に設けた硬化層12と無機酸化皮膜13を有機ガラス基体2に転写し、フィルム基材11自体は剥離させることにより、有機ガラス基体2上に、硬化層12と無機酸化皮膜13とをこの順に積層させる場合(以下、当該態様を「転写法」と表記することもある)、フィルム基材11b上に、無機酸化皮膜13bと硬化層12bとがこの順に積層された層構造を有する有機ガラス積層用シート1bであればよい。
以下、有機ガラス積層用シート1の層構成について、ラミネート法(有機ガラス積層用シート1a)と転写法(有機ガラス積層用シート1b)の使用態様に分けて説明する。
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1a
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aは、少なくとも、フィルム基材11aと、硬化層12aと、無機酸化皮膜13aとがこの順に積層された層構造を有する。
当該有機ガラス積層用シート1aにおいて、フィルム基材11aと硬化層12aの間には、これらの密着性を向上させるために、必要に応じて、プライマー層14aが設けられていてもよい。
また、当該有機ガラス積層用シート1aにおいて、硬化層12aとは反対側のフィルム基材11aの面には、ガラス基体との接着性を向上させるために、必要に応じて、プライマー層15a及び/又は接着層16aが設けられていてもよい。更に、当該有機ガラス積層用シート1aにおいて、プライマー層15a及び接着層16aの双方を設ける場合には、フィルム基材11aと接着層16aの間に、プライマー層15aを配置すればよい。
図1に、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの一態様として、フィルム基材11a上に、硬化層12aと無機酸化皮膜13aとがこの順に積層されている場合の断面構造の模式図を示す。また、図2に、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの一態様として、フィルム基材11a上に、プライマー層14aと、硬化層12aと、無機酸化皮膜13aとがこの順に積層されている場合の断面構造の模式図を示す。
以下、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおける各層の組成等について説明する。
(基材フィルム11a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、基材フィルム11aの構成樹脂としては、支持基材として使用可能で透明性を備えていることを限度として特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂;塩化ビニル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、透明性、耐熱性、及び加工性の観点から、好ましくはアクリル樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの共重合体はランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれであってもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、他の類似するものも同様の意である。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、スチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン、ビニルカプロラクタム、シトラコン酸無水物、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アクリル樹脂としては、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
本発明で使用されるアクリル樹脂は、1種のアクリル樹脂を単独で用いて形成してもよく、また2種以上のアクリル樹脂を組み合わせて形成してもよい。
また、基材フィルム11aには、前述する樹脂に加えて、必要に応じて、各種添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、安定剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
更に、基材フィルム11aは、必要に応じて、コロナ放電、グロー放電、UV照射等の表面処理に供されたものであってもよい。
基材フィルム11aの形状については、ロールツーロール方式での製造においてロールに巻きとり可能な長尺状であればよく、第2工程において積層させる有機ガラス基体2の大きさや形状に応じて適宜設定すればよい。
基材フィルム11aの厚さとしては、通常30〜300μm、好ましくは40〜200μm、更に好ましくは50〜150μmが挙げられる。
(硬化層12a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、硬化層12aは、前記基材フィルム11a上、又は後述するプライマー層14aを設ける場合にはプライマー層14a上に、設けられる。硬化層12aは、硬化性樹脂を硬化させることによって形成される。このような硬化層12aを設けることによって、有機ガラス積層体に無機酸化皮膜13aを安定に保持させ、更には優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせることが可能になる。
硬化層12aの形成に使用される硬化性樹脂については、架橋により硬化する樹脂であることを限度として特に制限されないが、例えば、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、2液反応硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。
硬化層12aに使用される硬化性樹脂の内、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、又は2液反応硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の硬化反応の態様としては特に制限されないが、例えば、以下のような態様がある。エポキシ樹脂は、アミン、酸触媒、カルボン酸、酸無水物、水酸基、ジシアンジアミド又はケチミンとの反応;フェノール樹脂は、塩基触媒と過剰なアルデヒドとの反応;ユリア樹脂はアルカリ性又は酸性下での重縮合反応;不熱硬化型ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸とジオールとの共縮合反応;メラミン樹脂はメチロールメラミンの加熱重縮合反応;アルキド樹脂は、側鎖等に導入された不飽和基同士の空気酸化による反応;ポリイミド樹脂は、酸又は弱アルカリ触媒の存在下での反応、又はイソシアネート化合物との反応(2液型の場合);シリコーン樹脂は、シラノール基の酸触媒の存在下での縮合反応;熱硬化型アクリル樹脂は、水酸基官能性アクリル樹脂の場合であれば、水酸基と自身が持つアミノ樹脂との反応(1液型の場合)、又はカルボキシル官能性アクリル樹脂の場合であれば、アクリル酸又はメタクリル酸等のカルボン酸とエポキシ化合物による反応;ウレタン樹脂は、水酸基を含有するポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂とイソシアネート化合物又はその変性物との反応等が挙げられる。熱硬化性樹脂には、必要に応じて、上記硬化反応を進行させるために、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等が使用される。これらの硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化層12aに使用される硬化性樹脂の内、電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線が用いられる。電離放射線硬化性樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの硬化性樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前述する硬化性樹脂の中でも、有機ガラス積層用シート1aの成形性の向上、有機ガラス積層体の耐候性及び耐摩耗性の向上等の観点から、好ましくは2液反応硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、更に好ましくは電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
硬化層12aの形成に2液反応硬化性樹脂を使用する場合、好適な一態様として、2液反応硬化型ウレタン樹脂が挙げられる。2液反応硬化型ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。これらの2液反応硬化型ウレタン樹脂の中でも、有機ガラスに付与する破砕性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;更に好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
また、硬化層12aの形成に電離放射線硬化性樹脂を使用する場合、好適な態様として、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーと多官能(メタ)アクリレートモノマーを組み合わせた混合樹脂;少なくともポリカーボネートメタアクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂;及び電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を組み合わせた混合樹脂が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーと多官能(メタ)アクリレートモノマーを組み合わせて硬化層の形成を行う場合、これらの組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、2〜10官能の(メタ)アクリレートオリゴマーと2〜6官能の(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせ、好ましくは3〜8)官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと2〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせ、更に好ましくは3〜4官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと2官能の(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせが挙げられる。また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーと多官能(メタ)アクリレートモノマーを組み合わせる場合、これらの比率としては、例えば、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー:多官能(メタ)アクリレートモノマーの質量比が、90:10〜10:90、好ましくは60:40〜10:90が挙げられる。
ポリカーボネートメタアクリレートを硬化層の形成に使用する場合、電離放射線硬化性樹脂としてポリカーボネートメタアクリレートを単独で使用してもよく、またポリカーボネートメタアクリレートと他の電離放射線硬化性樹脂を組み合わせ含むものであってもよい。有機ガラスに付与する破砕性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、ポリカーボネートメタアクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせが挙げられる。また、ポリカーボネートメタアクリレートと併用される多官能(メタ)アクリレートとしては、前述する多官能(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーのいずれか一方でも、またこれらの双方でもよいが、好ましくは多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。とりわけ、好ましくは多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、更に好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、特に好ましくは6官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
また、ポリカーボネートメタアクリレートと多官能(メタ)アクリレートを組み合わせる場合、これらの比率としては、例えば、ポリカーボネートメタアクリレート:多官能(メタ)アクリレートの質量比が、98:2〜50:50、好ましくは95:5〜60:40が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を組み合わせて使用する場合、これらの組み合わせ態様としては、特に制限されないが、例えば、多官能性(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂の組み合わせ、好ましくは、多官能性(メタ)アクリレートモノマーとアクリル樹脂の組み合わせ、更に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸エステルを構成単位して含むアクリル樹脂の組み合わせが挙げられる。また、電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を組み合わせて使用する場合、これらの混合比については、特に制限されないが、例えば、電離放射線硬化性樹脂:熱可塑性樹脂の質量比が、10:90〜75:25、好ましくは25:75〜75:25が挙げられる。
硬化層12aには、備えさせるべき所望の物性に応じて、前述する硬化性樹脂に加えて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
硬化層12aの厚さについては、特に制限されないが、例えば、1〜100μm、好ましくは1.5〜50μm、更に好ましくは2〜20μmが挙げられる。
硬化層12aの形成は、使用する硬化性樹脂の種類に応じた方法を採用すればよい。例えば、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、又は2液反応硬化性樹脂を使用する場合であれば、これらの樹脂と必要に応じて各種添加剤を混合した硬化層用の樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で基材フィルム11aに塗工し、必要に応じて加熱を行うことにより、当該樹脂組成物を硬化させればよい。
また、電離放射線硬化性樹脂を使用する場合又は電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を組み合わせて使用する場合であれば、電離放射線硬化性樹脂と、必要に応じて熱可塑性樹脂と、必要に応じて各種添加剤とを混合した樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で基材フィルム11aに塗工し、当該樹脂組成物に電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化させればよい。
電離放射線硬化性樹脂の硬化に電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる電離放射線硬化性樹脂の種類や硬化層12aの厚み等に応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜100kGy(1〜10Mrad)の範囲で選定される。更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
かくして形成された硬化層12aには、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
(無機酸化皮膜13a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、無機酸化皮膜13aは、前記硬化層12aの上に設けられる。このように前記硬化層12a上に無機酸化皮膜13aを設けることによって、有機ガラス積層体に優れた耐候性及び耐摩耗性を備えさせることが可能になる。
無機酸化皮膜13aの形成に使用される無機酸化物としては、特に制限されないが、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化クロム、酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化マグネシウム、酸窒化亜鉛、酸窒化スズ、酸窒化チタン、酸窒化ガリウム、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、コスト、耐摩耗性の付与、皮膜形成の容易性等の観点から、好ましくは酸化ケイ素、酸窒化ケイ素が挙げられる。
無機酸化皮膜13aは、単層として設けられていてもよく、また2層以上の複層として設けられていてもよい。
無機酸化皮膜13aを前記硬化層12a上に形成する方法については、特に制限されず、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等のいずれいずれの方法であってもよいが、無機酸化皮膜13の形成容易性等の観点から、好ましくは蒸着法が挙げられる。
蒸着法としては、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)等のいずれの方法であってもよいが、好ましくはCVDが挙げられる。CVDとしては、プラズマCVD、熱CVD、光CVD等のいずれであってもよいが、無機酸化無機酸化皮膜の形成容易性等の観点から、好ましくはプラズマCVDが挙げられる。
無機酸化皮膜13aの形成に使用される材料は、無機酸化皮膜13aを構成する無機酸化物の種類、製膜条件に応じて、適宜選定すればよい。
例えば、プラズマCVDによって酸化ケイ素皮膜を形成させる場合、そのモノマー材料については、常温で適当な蒸気圧を持ち、プラズマCVDを実施できることを限度として特に制限されないが、一例として、メチル基及び/又はエチル基を含み、且つSiを主鎖とする有機ケイ素化合物が挙げられる。このような有機ケイ素化合物としては、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ドデカメチルペンタシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン(MTMOS)、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの有機ケイ素化合物の中でも、無機酸化皮膜13aの前記硬化層12aへの密着性等の観点から、好ましくはHMDSO、TEOSが挙げられる。
また、プラズマCVDによって無機酸化皮膜13aを形成させる場合、使用する蒸着用ガス組成物は、モノマー材料(蒸着用モノマーガス)と、酸素供給ガスと、キャリアガスとを含有していればよい。蒸着用ガス組成物に使用される酸素供給ガスとしては、例えば、酸素ガス、オゾンガス、笑気ガス(N2O)等が挙げられ、好ましくは酸素ガスが挙げられる。また、蒸着用ガス組成物に使用されるキャリアガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスや窒素ガスが挙げられる。無機酸化皮膜13aに窒素を含ませる場合(窒化膜を形成させる場合)、使用するガスとして窒素供給ガスが含有されていてもよい。窒素供給ガスとしては、窒素ガス、アンモニア、笑気ガス等が挙げられる。
また、蒸着用ガス組成物における各ガス成分の混合比は、使用するモノマー材料の種類、成膜室内に残留する酸素ガス及び水、プラズマのエネルギー等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、モノマー材料が1〜40vol%、酸素供給ガス、不活性ガス及び窒素供給ガスの総量が60〜99vol%となる範囲が挙げられる。
また、有機ガラス積層用シート1aにおいて、無機酸化皮膜13aは、単層であってもよく、また同一又は異なる無機酸化物によって2層以上設けられていてもよい。
無機酸化皮膜13aの厚さについては、特に制限されないが、例えば、10〜5000nm、好ましくは20〜3000nm、更に好ましくは50〜2000nmが挙げられる。
(プライマー層14a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、プライマー層14aは、前記フィルム基材11aと前記硬化層12aの密着性を向上させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
プライマー層14aは、バインダー樹脂を用いて形成される。バインダー樹脂としては、特に制限されないが、例えば硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル/ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、好ましくはウレタン樹脂が挙げられる。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、架橋後の硬化層12との密着性の向上、硬化層を積層後の相互作用の低減、成形性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;更に好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
プライマー層14aの厚さについては、特に制限されないが、例えば0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmが挙げられる。
プライマー層14aは、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により、バインダー樹脂を含むプライマー層形成用の樹脂組成物をフィルム基材11上に塗工することにより形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材とは別のシート)に転写すべき層の塗膜を形成し、その後にフィルム基材11a表面に被覆する方法である。
(プライマー層15a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、プライマー層15aは、有機ガラス基体2との接着性を向上させるために、硬化層12aとは反対側のフィルム基材11aの面(即ち、フィルム基材11aにおいて、有機ガラス基体が配置される側の面)に、必要に応じて設けられる層である。
プライマー層15aにおいて、使用する成分の種類や厚さ等については、前記プライマー層14aの場合と同様である。
(接着層16a)
ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aにおいて、接着層16aは、有機ガラス基体との接着性を向上させるために、硬化層12aとは反対側のフィルム基材11aの面(即ち、有機ガラス基体2が配置される側のフィルム基材11aの面)に、必要に応じて設けられる層である。また、前記プライマー層15aを設ける場合には、プライマー層15aは、接着層16aとフィルム基材11aの間に配置すればよい。
接着層16aは、感熱接着剤や加圧接着剤等の接着性樹脂で構成された接着層であればよいが、好ましくは加熱によって溶着作用を発現するヒートシール層が挙げられる。接着層16aを構成する接着性樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの接着性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層16aの厚さとしては、通常0.1〜10μm、好ましくは0.5〜6μm、更に好ましくは1〜4μmが挙げられる。
接着層16aの形成は、接着性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、前記フィルム基材11aの上、又は前記プライマー層15aを設ける場合にはプライマー層15aの上に塗工することによって行われる。
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1b
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bは、少なくとも、フィルム基材上11bと、無機酸化皮膜13bと、硬化層12bとがこの順に積層された層構造を有する。
当該有機ガラス積層用シート1bにおいて、硬化層12bの上(無機酸化皮膜13bとは接面していない側の硬化層12bの面)には、有機ガラス基体2に対する接着性を向上させるために、必要に応じて、プライマー層15b及び/又は接着層16bが設けられていてもよい。当該有機ガラス積層用シート1bにおいて、プライマー層15b及び接着層16bの双方を設ける場合には、硬化層12bと接着層16bの間に、プライマー層15bを配置すればよい。
更に、当該有機ガラス積層用シート1bにおいて、フィルム基材11bから無機酸化皮膜13bが剥離し易くするために、必要に応じて、これらの間に離型層17bが設けられていてもよい。
図3に、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bの一態様として、フィルム基材11b上に、無機酸化皮膜13bと硬化層12bとがこの順に積層されている場合の断面構造の模式図を示す。また、図4に、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bの一態様として、フィルム基材11b上に、無機酸化皮膜13bと、硬化層12bと、プライマー層15bと、接着層16bとがこの順に積層されている場合の断面構造の模式図を示す。
(基材フィルム11b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、基材フィルム11bの構成樹脂としては、支持基材として使用可能で、無機酸化被膜を剥離可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミド樹脂;アクリル樹脂;等が挙げられる。これらの中でも、射出成形時の耐熱性及び寸法安定性の観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。
更に、基材フィルム11bは、必要に応じて、コロナ放電、グロー放電、UV照射等の表面処理に供されたものであってもよい。
基材フィルム11bの形状については、ロールツーロール方式での製造においてロールに巻きとり可能な長尺状であればよく、有機ガラス積層体の製造において積層させる有機ガラス基体2の大きさや形状に応じて適宜設定すればよい。
基材フィルム11bの厚さとしては、通常20〜200μm、好ましくは25〜150μm、更に好ましくは30〜100μmが挙げられる。
(無機酸化皮膜13b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、無機酸化皮膜13bは、前記基材フィルム11b上、又は後述する離型層17bを設ける場合には離型層17b上に、設けられる。
無機酸化皮膜13bにおいて、使用する無機酸化物の種類、厚み等は、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの無機酸化皮膜13aの場合と同様である。
また、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおける無機酸化皮膜13bは、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの無機酸化皮膜13aの場合と同様の形成方法で、前記基材フィルム11b上、又は後述する離型層17bを設ける場合には離型層17b上に形成すればよい。
(硬化層12b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、硬化層12bは、硬化性樹脂を硬化させることによって形成される層であり、前記無機酸化皮膜13bの上(基材フィルム11b又は離型層17bとは接面していない側の無機酸化皮膜13bの面)に設けられる。
硬化層12bにおいて、使用する硬化性樹脂の種類、硬化層に必要に応じて添加される添加剤の種類、厚み等は、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの硬化層12aの場合と同様である。
また、硬化層12bは、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの硬化層12aの場合と同様の形成方法で、前記無機酸化皮膜13b上に形成すればよい。
(プライマー層15b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、プライマー層15bは、有機ガラスに対する接着性を向上させるために、前記硬化層12bの上(無機酸化皮膜13bとは接面していない側の硬化層12bの面)の上、又は後述する接着層16bを設ける場合には前記硬化層12bと接着層16bの間に、必要に応じて設けられる層である。
プライマー層15bにおいて、バインダー樹脂の種類、厚み等は、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aのプライマー層15aの場合と同様である。
また、プライマー層15bは、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aに設けられるプライマー層15aの場合と同様の形成方法で、前記硬化層12b上に形成すればよい。
(接着層16b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、接着層16bは、有機ガラス基体2に対する接着性を向上させるために、必要に応じて、前記硬化層12bの上(無機酸化皮膜13bとは接面していない側の硬化層12bの面)、又は前記プライマー層15bを設ける場合にはプライマー層15bの上(硬化層12bとは接面していない側のプライマー層15bの面)に設けられる層である。
接着層16bにおいて、接着性樹脂の種類、厚み等は、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの接着層16bの場合と同様である。
また、接着層16bは、前記ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aに設けられる接着層16aの場合と同様の形成方法で、前記硬化層12b又は前記プライマー層15b上に形成すればよい。
(離型層17b)
転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bにおいて、離型層17bは、有機ガラス基体2に機ガラス積層用シート1bを積層させた後に、フィルム基材11を剥離し易くするために、フィルム基材11bと無機酸化被膜13bの間に必要に応じて設けられる層である。
離型層17bは、無機酸化被膜13bに対して剥離性を高め得る熱可塑性樹脂によって形成される。具体的には、離型層17bを形成する熱可塑性樹脂として、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、アクリル−メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。
離型層17bの厚さとしては、通常0.2〜20μm、好ましくは0.5〜15μm、更に好ましくは1〜10μmが挙げられる。
離型層17bの形成は、熱可塑性樹脂を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で、前記フィルム基材11bの上に塗工することによって行われる。
[有機ガラス積層用シートの形成]
本発明の製造方法では、前記長尺状の有機ガラス積層用シートをロールツーロール方式で形成する。本明細書において、「ロールツーロール方式」とは、ロールに巻回された長尺状の材料を連続的又は間欠的に繰り出して搬送しながら、必要な処理を行いつつ、処理後の長尺状の材料を再びロールに巻き取る処理方式である。即ち、本発明の製造方法では、長尺状のフィルム基材を用いてロールツーロール方式で所定の各層を積層させることにより、有機ガラス積層用シートを形成する。
本発明の製造方法におけるロールツーロール方式による有機ガラス積層用シートの形成は、ロールからの繰り出しから巻き取りまでの間に1つの層を積層させる工程を繰り返すことによって行うことができるが、ロールからの繰り出しから巻き取りまでの間に、2つ以上の層を積層させる工程を含んでいてもよい。
ロールツーロール方式によって積層させる各層の形成方法については、前述する通りである。
2.有機ガラス積層体の製造方法
本発明の製造方法では、前記製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シート1を用いて、有機ガラス基体2上に前記硬化層12と前記無機酸化皮膜13とをこの順で積層させることにより、有機ガラス積層体を製造する。
[有機ガラス基体2]
本発明の製造方法で使用される有機ガラス基体2について、有機ガラスの種類は、ガラスとしての機能を備え得るものである限り、特に制限されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等が挙げられる。これらの有機ガラスの中でも、ポリカーボネートは耐衝撃性や透明性に優れているため、好適に使用される。
有機ガラス基体2としてポリカーボネートを使用する場合、そのメルトボリュームレート(MVR)については、特に制限されないが、6〜25cm3/10分程度、好ましくは6〜12cm3/10分程度が挙げられる。メルトボリュームレートが低い程、優れた耐衝撃性を発揮するため、製造される有機ガラス積層体の用途に応じて、適切なメルトボリュームレートを備えるポリカーボネート樹脂を選定すればよい。なお、当該メルトボリュームレートは、JIS K 7210−1999に準拠し、温度300℃、荷重1.2kgfの条件にて測定される値である。
また、有機ガラス基体2は、1種の有機ガラスからなる単層であってもよく、また同一又は異なる種類の有機ガラスからなる複層であってもよい。
有機ガラス基体2の形状については、特に制限されず、製造される有機ガラス積層体の用途に応じて適宜設定すればよいが、厚みとして、通常0.5〜50mm、好ましくは1〜20mm、更に好ましくは1.5〜5mmが挙げられる。
[積層方法]
本発明の製造方法では、前記製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シート1を用いて、有機ガラス基体2上に前記硬化層12と前記無機酸化皮膜13とをこの順で積層させる。
長尺状の有機ガラス積層用シート1を用いて、有機ガラス基体2上に前記硬化層12と前記無機酸化皮膜13とをこの順で積層させる積層工程は、有機ガラス積層用シート1を有機ガラスの成形体の大きさや形状に応じて切断した後に行うバッチ方式であってもよく、また、ロールに巻回された長尺状の有機ガラス積層用シート1を連続的又は間欠的に繰り出して搬送しつつ行うフィルムロール供給方式であってよい。製造プロセスの簡易化・短縮化、工業的なプロセスにおける量産性の向上等の観点から、フィルムロール供給方式で積層工程を行うことが好ましい。
前記バッチ形式の場合であれば、長尺状の有機ガラス積層用シート1を、有機ガラスの成形体の大きさや形状に応じて切断した後に、有機ガラス積層用シート1に含まれる硬化層12と無機酸化皮膜13とをこの順で有機ガラス基体2に積層させればよい。
前記フィルムロール供給方式の場合であれば、ロールに巻回された長尺状の有機ガラス積層用シート1を連続的又は間欠的に繰り出して搬送しつつ、有機ガラス積層用シート1に含まれる硬化層12と無機酸化皮膜13とをこの順で有機ガラス基体2に積層させればよい。
より具体的には、フィルムロール供給方式によって有機ガラス積層用シート1に対して有機ガラス基体2を構成する有機ガラスを射出させて積層させる場合であれば、有機ガラス積層用シート1を、連続的又は間欠的に繰り出して射出成型用の雌雄一対の金型の間に搬送して有機ガラスを射出さればよい。かかる態様において、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aを用いる場合であれば、有機ガラス基体2と積層させなかった残部の有機ガラス積層用シート11aをロールに巻き取って回収することにより、ロールツーロール方式で積層工程を行うことができる。また、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いる場合であれば、転写後に残存するフィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bをロールに巻き取って回収することにより、ロールツーロール方式で積層工程を行うことができる。
また、フィルムロール供給方式によって、成形された有機ガラス基体2に有機ガラス積層用シート1を積層させる場合であれば、搬送されている有機ガラス基体2(成型体)に対して、有機ガラス積層用シート1を搬送しつつ接着させればよい。かかる態様において、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いるのであれば、有機ガラス積層用シート1bを有機ガラス基体2に接着させた後に、有機ガラス積層用シート1bに含まれるフィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bをロールに巻き取って回収することにより、ロールツーロール方式で積層工程を行うことができる。
また、有機ガラス基体2に積層させる有機ガラス積層用シート1の面は、有機ガラス積層用シート1のタイプに応じて適宜設定される。例えば、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aの場合であれば、無機酸化皮膜13aとは反対側の面に、有機ガラス基体2を積層させればよい。また、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bの場合であれば、フィルム基材11bとは反対側の面に、有機ガラス基体2を積層させればよい。また、有機ガラス積層用シート1bを使用する場合には、有機ガラス基体2との積層後に、フィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bを剥離し、無機酸化皮膜13bを最表面に露出させればよい。
前記硬化層12と前記無機酸化皮膜13とを前記有機ガラス基体2に積層させるには、有機ガラス基体2を射出成形する際に有機ガラス積層用シート1と一体化させて積層する方法(以下、「射出成形一体化法」と表記することもある);予め成形された有機ガラス基体2に有機ガラス積層用シート1を貼付する方法(以下、「貼付法」と表記することもある)等によって行うことができる。
以下、射出成形一体化法及び貼付法に分けて、本発明の製造方法について説明する。
[射出成形一体化法]
射出成形一体化法によって有機ガラス積層体を製造する方法としては、例えば、インサート成形法、サーモジェクト成形法(加熱真空成形工程と射出成形工程とを一つにした射出成形同時積層法)、インモールド成形法等の射出成形法において、有機ガラス積層用シート1に対して有機ガラス樹脂を射出成形する方法が挙げられる。
射出成形一体化法において、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aを用いる場合には、有機ガラス積層用シート1aのフィルム基材11a側(無機酸化皮膜13aとは反対側)に対して、有機ガラス樹脂を射出すればよい。
また、射出成形一体化法において、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いる場合には、有機ガラス積層用シート1bのフィルム基材11bとは反対側に対して、有機ガラス樹脂を射出すればよい。また、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いる場合には、有機ガラス樹脂を射出成形した後に、フィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bを剥離して除去すればよい。
より具体的には、インサート成形法を用いて本発明の有機ガラス積層体を製造する場合であれば、下記第I〜IV工程を実施すればよい。
第I工程:有機ガラス積層用シートを真空成形型により予め立体形状に成形する。
第II工程:真空成形された有機ガラス積層用シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る。
第III工程:第II工程で成形された有機ガラス積層用シート1を射出成形型に挿入(有機ガラス積層用シート1aの場合は無機酸化皮膜13aが射出される有機ガラス樹脂とは反対側;有機ガラス積層用シート1bの場合はフィルム基材11bが射出される有機ガラス樹脂とは反対側)し、射出成形型を閉じ、流動状態の有機ガラス樹脂を型内に射出して有機ガラス基体2と有機ガラス積層用シート1を一体化する。
第IV工程:有機ガラス積層用シート1bを使用した場合は、フィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bを剥離して除去する。
また、サーモジェクト成形法を用いて本発明の有機ガラス積層体を製造する場合であれば、下記第1〜5工程を実施すればよい。
第1工程:型開き状態の雌雄一対の金型の間に、有機ガラス積層用シート1を所定の方向で供給(有機ガラス積層用シート1aの場合は無機酸化皮膜13aがキャビティ側に向くように供給;有機ガラス積層用シート1bの場合はフィルム基材11bがキャビティ側に向くように供給)して、固定する。更に、当該有機ガラス積層用シート1のキャビティ側とは反対側の層(有機ガラス積層用シート1aの場合は無機酸化皮膜13aとは反対側の層;有機ガラス積層用シート1bの場合はフィルム基材11bとは反対側の層)を加熱、軟化させると共に、キャビティを形成させている金型側から真空吸引して、軟化した有機ガラス積層用シート1を当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、有機ガラス積層用シート1を予備成形する。
第2工程:両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の有機ガラス樹脂を射出、充填して固化させることにより、形成された有機ガラス基体2と有機ガラス積層用シート1を積層一体化させる。
第3工程:可動金型を固定金型から離間させて、有機ガラス基体2と有機ガラス積層用シート1が一体化された有機ガラス積層体を取り出す。
第4工程:有機ガラス積層体の余分な部分をトリミングして所望の形状に調整する。
第5工程:有機ガラス積層用シート1bを使用した場合は、フィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bを剥離して除去する。なお、本第5工程は、前記第4工程の前に行ってもよい。
[貼付法]
貼付法によって有機ガラス積層体を製造する方法としては、例えば、押出し成形等により有機ガラス基体2を成形し、その直後又は冷却後に、ロール等を用いて有機ガラス積層用シート1の所定面を、当該有機ガラス基体2に圧着して積層する方法が挙げられる。
貼付法において、ラミネート法に使用される有機ガラス積層用シート1aを用いる場合には、有機ガラス積層用シート1aのフィルム基材11a側(無機酸化皮膜13aとは反対側)に、成形された有機ガラス基体2を積層させればよい。
また、貼付法において、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いる場合には、有機ガラス積層用シート1bのフィルム基材11bとは反対側に、成形された有機ガラス基体2を積層させればよい。また、転写法に使用される有機ガラス積層用シート1bを用いる場合には、成形された有機ガラス基体2に積層させた後に、フィルム基材11b、又は離型層17bが設けられている場合にはフィルム基材11bと離型層17bを剥離して除去すればよい。
貼付法の場合は、加工性、製造効率等の観点から、転写法によって有機ガラス積層用シート1bをガラス基体3に積層させることが好ましい。転写法は、長尺状の有機ガラス積層用シートを使用して、成形させた有機ガラス基体2に対する圧着と、離型用フィルム層7の剥離を連続的に行うことができるため、工業的生産に適応させ易いという利点がある。
斯して、有機ガラス基体2上に、前記硬化層12と前記無機酸化皮膜13とが順に積層され、前記無機酸化皮膜13が最表層に配置されている有機ガラス積層体が得られる。本発明の製造方法で得られる有機ガラス積層体の断面構造の模式図を図5〜8に示す。図5は、図1に示す有機ガラス積層用シート1aを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造である。図6は、図2に示す有機ガラス積層用シート1aを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造である。図7は、図3に示す有機ガラス積層用シート1bを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造である。図8は、図4に示す有機ガラス積層用シート1aを使用することによって得られる有機ガラス積層体の断面構造である。
本発明の製造方法で得られた有機ガラス積層体は、更に、必要に応じて、更なる成形加工、ブラックアウト加飾、枠体形成等の加工に供してもよい。
本発明の製造方法で得られた有機ガラス積層体は、無機ガラスの代替品として、例えば、自動車、鉄道等の車両用の窓として使用することができ、更にはカーポート、テラス等の屋根等として使用することもできる。本発明の製造方法で得られた有機ガラス積層体は、優れた耐傷性、耐摩耗性、及び透明性を備えており、前記用途に要求される性能を十分に満足させることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
フィルム基材と、プライマー層と、硬化層と、無機酸化皮膜とがこの順に積層された有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を作製し、当該有機ガラス積層用シートを射出成形一体法にて一体化させて、有機ガラス積層体を製造した。具体的な製造方法は以下の通りである。
1.有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)の製造
アクリルフィルムからなるフィルム基材(厚さ125μm)の上に、下記組成のプライマー層形成用樹脂組成物1をグラビアリバース法によって塗工して厚さ1.5μmのプライマー層を形成した。次いで、当該プライマー層上に、下記組成の架橋硬化性樹脂組成物1を3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させることにより、フィルム基材、プライマー層、及び硬化層が順に積層された積層体を得た。
(プライマー層形成用樹脂組成物1)
・アクリルポリマーポリオール80質量部
・ウレタン樹脂20質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート10質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「Tinuvin479」)3.0質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤1.8質量部
(架橋硬化性樹脂組成物1)
・6官能の電離放射線硬化性樹脂(6官能のウレタンアクリレート(分子量約1,000)60質量部
・2官能のカプロラクトン系ウレタンアクリレート(分子量数千程度)40質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「Tinuvin479」)0.7質量部
次いで、上記で得られた積層体の硬化層上に二酸化ケイ素皮膜を形成するために、作製した積層体を、巻き取り式プラズマCVD装置に装着し、その硬化層面側に、下記条件1にて、厚さ100nmの二酸化ケイ素蒸着層を形成することにより、上記で得られた積層体の硬化層の上面に二酸化ケイ素皮膜が形成された有機ガラス積層用シートを得た。
(条件1)
供給ガス:HMDSO:酸素=1:10(単位:slm)のガス組成物
成膜室の真空度:3.0Pa
供給電力:22kW
フィルム搬送速度:10m/min
2.射出成形
上記で得られた有機ガラス積層用シート及びポリカーボネート樹脂(帝人社製 パンライトL-1250Z、MVR8cm3/10min)を用いて、ロールツーロール方式で、下記条件でサーモジェクト成形することによって、有機ガラス積層用シートのフィルム基材層面に厚さ3mmの平板状ポリカーボネート基体を積層させた。
(サーモジェクト成形の条件)
金型上部に設置されたフィルム巻出供給装置に前記有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を巻回したフィルムロールをセットした。型開き状態の雌雄一対の金型(可動金型と固定金型)の間に、前記有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を、フィルム巻出供給装置を用いて無機酸化皮膜面がキャビティ側に向くように供給して、固定した。その後、前記有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)のフィルム基材を100℃に加熱して軟化させると共に、無機酸化皮膜側と対面している金型側から真空吸引して、軟化した有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、有機ガラス積層用シートを予備成形した。次いで、両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の前記ポリカーボネート樹脂を射出、充填して固化させることにより、形成されたポリカーボネート基体と有機ガラス積層用シートを積層一体化させた。
その後、可動金型を固定金型から離間させて、ポリカーボネート基体と無機酸化皮膜が一体化された有機ガラス積層体を取り出すことによって、有機ガラス基体(ポリカーボネート基体)、フィルム基材(アクリルフィルム)、プライマー層、硬化層、無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が順に積層している有機ガラス積層体を得た。なお、ポリカーボネート基体に積層させなかった有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)の残部は、フィルム巻取装置にてロールに巻き取った。
得られた有機ガラス積層体の表面に無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が形成されていることについては、X線光電子分光分析装置(島津製作所製 製品名「ESCA−3400」)を用いて、励起X源;AlKα(15kV、120W)、検出角度:90°、測定面積:6.0mmΦの条件下で珪素原子スペクトルを測定することによって確認した。
実施例2
フィルム基材と、無機酸化皮膜と、硬化層と、プライマー層と、接着層とがこの順に積層された有機ガラス積層用シート(転写法用)を作製し、当該有機ガラス積層用シートを射出成形一体法にて一体化させて、有機ガラス積層体を製造した。具体的な製造方法は以下の通りである。
1.有機ガラス積層用シート(転写法用)の製造
コロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートからなフィルム基材(厚さ75μm)のコロナ放電処理面に、前記実施例1と同条件でCVD処理を行い、無機酸化皮膜を形成した。
次いで、前記実施例1で使用した架橋硬化性樹脂組成物1を3μmとなるように塗工し、電子線照射10Mradにて硬化させて硬化層を形成した。その後、当該硬化層の上に、下記組成のプライマー層形成用樹脂組成物2をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層を形成し、更に当該プライマー層上に、熱融着樹脂(アクリル樹脂)をグラビアリバース法によって塗工して厚さ4μmの接着層を形成した。斯して、フィルム基材と、無機酸化皮膜と、硬化層と、プライマー層と、接着層とがこの順に積層された有機ガラス積層用シート(転写法用)を得た。
(プライマー層形成用樹脂組成物2)
・ ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体*1:100質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*2:17質量部
・ ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤*3:13質量部
・ ヒンダードアミン系光安定剤*4:8質量部
・ ブロッキング防止剤*5:9質量部
・ 硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート):25質量部
*1:ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体におけるウレタン成分とアクリル成分の質量比は70/30である。
*2:チヌビン400(商品名)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*3:チヌビン479(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFジャパン株式会社製
*4:チヌビン123(商品名)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)、BASFジャパン株式会社製
*5:シリカ粒子、平均粒径:3μm
2.射出成形
上記で得られた有機ガラス積層用シート(転写法用)及びポリカーボネート樹脂(帝人社製 パンライトL-1250Z、MVR8cm3/10min)を用いて、ロールツーロール方式で下記条件で射出成型を行うことにより、厚さ3mmの平板状ポリカーボネート基体に、有機ガラス積層用シート(転写法用)の接着層、プライマー層、硬化層、及び無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)を転写した。
(射出成形の条件)
金型上部に設置されたフィルム巻出供給装置に、前記有機ガラス積層用シート(転写法用)をセットした状態で、有機ガラス積層用シート(転写法用)を巻きだし、金型下部に設置されたフィルム巻取装置に有機ガラス積層用シート(転写法用)の端部をセットした。型開き状態の雌雄一対の金型(可動金型と固定金型)の間に、前記有機ガラス積層用シート(転写法用)を、フィルム巻出供給装置より無機酸化皮膜面がキャビティ側に向くように供給して、固定した。その後、前記有機ガラス積層用シート(転写法用)のフィルム基材を100℃に加熱して軟化させると共に、無機酸化皮膜側と対面している金型側から真空吸引して、軟化した有機ガラス積層用シートを当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、有機ガラス積層用シート(転写法用)を予備成形した。次いで、両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の前記ポリカーボネート樹脂を射出、充填して固化させることにより、ポリカーボネート基体と有機ガラス積層用シート(転写法用)を積層一体化させた。
その後、雌雄の両金型を型開き状態にして、一体化されたポリカーボネート基体と有機ガラス積層用シート(転写法用)を雌型金型内に残したまま、フィルム巻取装置で有機ガラス積層用シート(転写法用)のフィルム基材の巻き取りを行うことにより、有機ガラス基体(ポリカーボネート基体)、接着層、プライマー層、硬化層、無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が順に積層している有機ガラス積層体を得た。
得られた有機ガラス積層体の表面に無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が形成されていることについては、X線光電子分光分析装置(島津製作所製 製品名「ESCA−3400」)を用いて、励起X源;AlKα(15kV、120W)、検出角度:90°、測定面積:6.0mmΦの条件下で珪素原子スペクトルを測定することによって確認した。
実施例3
実施例1で製造した有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を金型サイズに合わせてカットし、型開き状態の雌雄一対の金型(可動金型と固定金型)の可動金型側にテープで貼り付けて固定した。その後、前記有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)のフィルム基材層を100℃に加熱して軟化させると共に、無機酸化皮膜側と対面している金型側から真空吸引して、軟化した有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を当該可動金型の形状に沿って密着させることにより、有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を予備成形した。次いで、両金型を型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の前記ポリカーボネート樹脂を射出、充填して固化させることにより、ポリカーボネート基体と有機ガラス積層用シート(ラミネート法用)を積層一体化させた。
その後、可動金型を固定金型から離間させて、ポリカーボネート基体と無機酸化皮膜が一体化された有機ガラス積層体を取り出すことによって、有機ガラス基体(ポリカーボネート基体)、フィルム基材(アクリルフィルム)、プライマー層、硬化層、無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が順に積層している有機ガラス積層体を得た。
得られた有機ガラス積層体の表面に無機酸化皮膜(二酸化ケイ素皮膜)が形成されていることについては、X線光電子分光分析装置(島津製作所製 製品名「ESCA−3400」)を用いて、励起X源;AlKα(15kV、120W)、検出角度:90°、測定面積:6.0mmΦの条件下で珪素原子スペクトルを測定することによって確認した。
1a、1b 有機ガラス積層用シート
2 有機ガラス基体
11a、11b フィルム基材
12a、12b 硬化層
13a、13b 無機酸化皮膜
15a、15b プライマー層
16b 接着層

Claims (15)

  1. フィルム基材上に、少なくとも、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを、ロールツーロール方式で積層させる工程を含む、長尺状の有機ガラス積層用シートの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シートを用いて、ロールツーロール方式で有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の製造方法で得られた長尺状の有機ガラス積層用シートを切断する工程、及び切断された有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
  4. 無機酸化皮膜で被覆された有機ガラス積層体の製造方法であって、
    フィルム基材上に、少なくとも、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化層と、無機酸化皮膜とを、ロールツーロール方式で積層させる第1工程、及び
    前記有機ガラス積層用シートを用いて、有機ガラス基体上に前記硬化層と前記無機酸化皮膜とをこの順で積層させる第2工程を含む、有機ガラス積層体の製造方法。
  5. 前記第2工程が、ロールに巻回された長尺状の有機ガラス積層用シートを連続的又は間欠的に繰り出して搬送しつつ行われる、請求項4に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  6. 前記第1工程において、少なくとも、前記フィルム基材上に、前記硬化層と、前記無機酸化皮膜とをこの順に積層して、長尺状の有機ガラス積層用シートを形成し、
    前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートの前記無機酸化皮膜とは反対側の面に、前記有機ガラス基体を積層させる、請求項4又は5に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  7. 前記第1工程において、前記フィルム基材と前記硬化層の間に、プライマー層を積層させる、請求項6に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  8. 前記フィルム基材がアクリルフィルムである、請求項6又は7に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  9. 前記第1工程において、少なくとも、前記フィルム基材と、少なくとも、前記フィルム基材と、前記無機酸化皮膜と、前記硬化層とをこの順に積層して、長尺状の有機ガラス積層用シートを形成し、
    前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートの前記フィルム基材とは反対側の面に、前記有機ガラス基体を積層させた後に、前記フィルム基材を剥離する、請求項4又は5に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  10. 前記第1工程において、前記硬化層の上に、プライマー層と接着層がこの順に積層させる、請求項9に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  11. 前記フィルム基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項9又は10に記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  12. 前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートに対して有機ガラス樹脂を射出させて積層させる、請求項4〜11のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  13. 前記第2工程において、前記有機ガラス積層用シートを、成形された有機ガラス基体に貼付して積層させる、請求項4〜11のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  14. 前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である、請求項4〜13のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
  15. 前記無機酸化皮膜が、酸化ケイ素皮膜である、請求項4〜14のいずれかに記載の有機ガラス積層体の製造方法。
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