図1は、実施形態にかかる薬剤管理システム10の概要構成を示すブロック図である。図1に示すように、薬剤管理システム10は、電子カルテサーバ11と、医師用の情報処理端末装置12と、医事用の情報処理端末装置13と、薬剤監査装置14と、無線基地局15及び公衆通信ネットワーク16を介して通信ネットワーク17に接続された医師用の携帯情報処理端末装置18と、薬剤部サーバ19と、薬剤登録装置20と、を備えている。
電子カルテサーバ11は、電子カルテを管理し、記憶するための装置である。医師用の情報処理端末装置12は、電子カルテサーバ11が管理する電子カルテの記入や参照などを行うための装置である。医事用の情報処理端末装置13は、患者や、患者が加入している保険組合などに医療費などの請求を行うための装置である。薬剤監査装置14は、電子カルテに含まれる指示書情報(例えば、処方箋情報)に基づいて薬剤の取揃え等の支援および監査を行うための装置である。薬剤部サーバ19は、薬剤部に配置され薬剤払出等を管理するための装置である。また、薬剤部サーバ19は、薬剤のコード情報または薬剤の外面情報(薬剤のラベルを表す特徴量、薬剤の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を表す特徴量など)に対応付けて薬剤に係る薬剤情報(名称、量など)を登録している。薬剤登録装置20は、手術室に配置され、看護師によって手術中に使用された薬剤、あるいは救急の場などにおいて看護師や薬剤師等によって緊急的に使用された薬剤の登録支援を行うための装置である。本実施形態においては、薬剤登録装置20は、手術室に配置されるものであって、看護師によって手術中に使用された薬剤の登録支援に用いられることを想定する。
上記構成において、電子カルテサーバ11、情報処理端末装置12、情報処理端末装置13、薬剤監査装置14、薬剤部サーバ19及び薬剤登録装置20は、通信ネットワーク17に接続されている。
図2は、薬剤登録装置20の外観を示す正面図である。図2に示すように、薬剤登録装置20は、大別すると、薬剤登録装置20の制御主体となる装置本体部24と、スキャナ22と、各種情報をプリントアウトするためのプリンタ23とを備えている。
装置本体部24は、オペレータとなる看護師が各種操作を行うとともに、使用された薬剤のリスト等の各種情報を表示可能なタッチパネルディスプレイ21を備えている。
スキャナ22は、カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやカラーCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のイメージセンサとLED(Light Emitting Diode)などの光源とを有している。スキャナ22は、看護師ID(IDentification)のコードシンボル、患者IDのコードシンボル、薬剤のコードシンボル、薬剤の画像などの撮像を行う。スキャナ22が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)は、後述するRAM(Random Access Memory)33(図3参照)に保存される。
なお、スキャナ22は、図2に示すようなテーブル上に載置する形状に限るものではなく、床上に立設させるスタンド形状であってもよい。
また、薬剤登録装置20は、薬剤の重量を測定する秤や、薬剤に付されたRFID(Radio Frequency IDentification)との間でデータの読取り/書込みを行うRFIDリーダライタ等を備えていてもよい。
図3は、薬剤登録装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、薬剤登録装置20は、装置全体を制御するMPU(Micro Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM33と、外部記憶装置34と、通信インタフェース動作を行う通信インタフェース(I/F)38とを装置本体部24に備えている。ROM32は、制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶する。RAM33は、ワークエリアとして機能するとともに、各種データを一時的に記憶する。外部記憶装置34は、データベース等の大容量データや制御プログラムを記憶可能なハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)によって構成されている。
ここで、タッチパネルディスプレイ21、スキャナ22、プリンタ23、通信インタフェース38及びスピーカ37は、入出力I/O39を介してバス40に接続されている。このバス40には、MPU31、ROM32、RAM33及び外部記憶装置34が接続されている。
なお、タッチパネルディスプレイ21は、表示部であるディスプレイ35及びタッチパネル36を主体に構成されている。
また、スピーカ37は、警告音を発する場合などに使用される。
また、記憶部である外部記憶装置34は、薬剤マスタDBと、請求薬剤記憶テーブルTと、確認画面表示設定341とを備える。
薬剤マスタDBは、薬剤の代金を請求可能であるか否かを含む薬剤に関する情報を記憶した薬剤データベースである。ここで、図4は、薬剤マスタDBのデータフォーマットの一例を示す説明図である。薬剤マスタDBは、薬剤識別情報と、薬剤名称と、薬剤単位と、製造会社と、請求可否情報と、を関連付けて記憶する。薬剤識別情報は、薬剤を識別するバーコードなどの識別情報である。または、薬剤識別情報は、例えば、バーコードに付されている、各薬剤に割り当てられた固有の文字列や数値等の薬剤を識別可能な識別情報である。または、薬剤識別情報は、例えば、薬剤の外面情報などであってもよい。薬剤名称は、薬剤の名称である。薬剤単位は、薬剤の基準の量を示している。製造会社は、薬剤を製造している企業を示している。
請求可否情報は、薬剤の代金の請求可否について記憶した情報である。さらに詳しくは、請求可否情報は、請求可能、請求不可、又は請求不明との何れかの分類で登録される。請求可能は、該当する薬剤の代金を請求することができることを示す。請求不可は、該当する薬剤の代金を請求することができないことを示す。請求不明は、請求可能又は請求不可の何れもが登録されていないことを示す。すなわち、請求不明は、請求可否情報が“null”などの空状態であることを示す。なお、請求不明は、空状態ではなく、該当する薬剤の代金の請求可否が不明であることを示す情報が登録された形態であってもよい。
請求薬剤記憶テーブルTは、一処置に係る医療行為で使用された薬剤のうち、代金を請求する薬剤が登録された明細情報を記憶する。ここで、図5は、請求薬剤記憶テーブルTのデータ構成を示す説明図である。図5に示すように、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報は、明細識別情報と、患者識別情報と、薬剤識別情報と、使用量と、請求可否情報とを備える。明細識別情報は、明細情報を識別可能な識別情報である。患者識別情報は、代金を請求する患者を識別可能な識別情報である。薬剤識別情報は、一処置で使用された請求対象の薬剤の識別情報である。使用量は、薬剤識別情報の薬剤が、一処置で使用された量である。請求可否情報は、薬剤マスタDBに記憶されている請求可否情報である。
確認画面表示設定341は、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に請求対象の薬剤として登録する際に、確認画面の表示設定を記憶する。確認画面は、請求対象の薬剤として登録するか否かを確認する画面である。確認画面表示設定341は、確認画面を常に表示する設定と、確認画面を請求可否情報が請求不明の場合に表示させる設定と、確認画面を常に表示しない設定とを有する。
確認画面を常に表示する設定は、請求可否情報の分類に係わらず確認画面を表示させる画面である。すなわち、確認画面を常に表示する設定は、請求可能、請求不可又は請求不明の何れであっても確認画面を表示させる設定である。確認画面を請求可否情報が請求不明の場合に表示させる設定は、請求可否情報が請求不明の場合に確認画面を表示させる設定である。確認画面を常に表示しない設定は、請求可否情報の分類に係わらず確認画面を表示させない画面である。すなわち、確認画面を常に表示しない設定は、請求可能、請求不可又は請求不明の何れであっても確認画面を表示させない設定である。
次に、実施形態にかかる薬剤登録装置20が有する特徴的な機能について説明する。図6は、薬剤登録装置20の機能構成を示すブロック図である。MPU31は、ROM32や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、図6に示すように、薬剤情報入力部311と、薬剤情報読取部312と、請求可否判定部313と、請求確認設定部314と、請求確認入力部315と、報知部316と、請求薬剤登録部317と、請求薬剤出力部318と、として機能する。
薬剤情報入力部311は、スキャナ22がスキャンした撮像画像から読み取った薬剤識別情報の入力を受け付ける。具体的には、薬剤情報入力部311は、使用された薬剤に付されたコードシンボルのコード情報または使用される薬剤の全部または一部の外面情報を読み取った、薬剤の識別子の入力を受け付ける。バーコードや二次元コードなどのコードシンボルからコード情報を検出する処理については、従来からある技術なのでここでの説明は省略する。
または、薬剤情報入力部311は、手入力された薬剤識別情報の入力を受け付ける。この場合には、薬剤情報入力部311は、タッチパネルディスプレイ21から文字列や数値等で表現されたコード情報の入力を受け付ける。
薬剤情報読取部312は、外部記憶装置34に記憶された薬剤マスタDBから、薬剤情報入力部311が入力を受け付けた薬剤識別情報を有する薬剤に関する情報を読み取る。
請求可否判定部313は、薬剤情報読取部312が読み取った薬剤に関する情報に含まれる請求可否情報から、薬剤情報入力部311が入力を受け付けた薬剤識別情報を有する薬剤の代金を請求可能であるか否かを判定する。また、請求可否判定部313は、薬剤の代金を請求可能ではないと判定した場合に、請求不可と、請求不明との何れに該当するかを判定する。
請求確認設定部314は、外部記憶装置34の確認画面表示設定341を事前に設定する。請求確認設定部314は、タッチパネルディスプレイ21を介した入力に基づき、確認画面表示設定341を設定する。または、請求確認設定部314は、医事用の情報処理端末装置13が通信ネットワーク17を介した入力に基づき、確認画面表示設定341を設定してもよい。
請求確認入力部315は、請求可否判定部313の判定結果と、外部記憶装置34の確認画面表示設定341とに基づき、確認画面を表示して、請求対象の薬剤として請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録するか否かの入力を受け付ける。そして、請求確認入力部315は、確認画面を表示したタッチパネルディスプレイ21を介して入力を受け付ける。
さらに詳しくは、請求確認入力部315は、確認画面表示設定341が、確認画面を常に表示する設定である場合には、請求可否判定部313の判定結果に係わらず、確認画面の表示を許可し、請求対象の薬剤として登録するか否かの入力を受け付ける。これにより、請求可否によらず確認画面が表示されることから、操作者は、手術室などの医療現場で、請求可否情報に誤りが無いことを確認しながら、柔軟な薬剤登録を行うことができる。また、請求確認入力部315は、確認画面を請求可否情報が請求不明の場合に表示させる設定である場合には、請求可否情報が請求不明時に、確認画面の表示を許可し、請求対象の薬剤として登録するか否かの入力を受け付ける。これにより、例えば、請求するか否かは事例ごとに判断したい薬剤を請求不明に登録することで、操作者は、事例ごとに判断しながら薬剤登録を行うことができる。また、請求確認入力部315は、確認画面を常に表示しない設定の場合には、確認画面の表示を禁止し、請求対象の薬剤として登録するか否かの入力を受け付けない。これにより、操作者は、迅速な薬剤登録を行うことができる。
報知部316は、請求可否判定部313が薬剤の代金を請求可能であると判定しなかった場合に報知する。さらに詳しくは、報知部316は、タッチパネルディスプレイ21に代金を請求する対象の薬剤ではないために登録できないことを示す画面を表示して報知する。または、報知部316は、スピーカ37から音声により報知する。
請求薬剤登録部317は、請求可否判定部313が薬剤の代金を請求可能であると判定した場合に、代金を請求する薬剤として請求薬剤記憶テーブルTに薬剤識別情報を登録する。また、請求薬剤登録部317は、代金を請求する薬剤の使用量を登録する。
請求薬剤出力部318は、請求薬剤記憶テーブルTに登録された代金を請求する薬剤が記憶された明細情報を出力する。さらに詳しくは、請求薬剤出力部318は、プリンタ23を介して、請求薬剤記憶テーブルTに登録された明細情報を伝票に印字出力する。または、請求薬剤出力部318は、通信インタフェース38を介して、請求薬剤記憶テーブルTに登録された明細情報を、医事用の情報処理端末装置13に送信する。
次に、上述した実施形態にかかる薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理について説明する。実施形態にかかる薬剤登録装置20は、使用された薬剤のコードシンボルや薬剤の画像などをスキャンし、薬剤登録処理を実行する。
図7は、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理の流れを示すフローチャートである。
薬剤登録装置20のMPU31は、初期状態として、初期登録の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで、初期登録とは、看護師などの操作者の認証や、患者の登録などである。薬剤登録装置20のMPU31は、例えば、看護師のIDカードに付された看護師IDのコードシンボルを、スキャナ22を介して読み取ることで操作者を認証する。また、薬剤登録装置20のMPU31は、例えば、患者のリストバンドに付されている患者IDのコードシンボルを、薬剤登録装置20のMPU31がスキャナ22を介して読み取り、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に患者IDを登録する。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、ディスプレイ35に薬剤登録開始画面(不図示)を表示させる(ステップS2)。薬剤登録開始画面は、スキャナ22を介して薬剤識別情報を入力させる方法を表示して薬剤登録の開始を促す画面である。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31(薬剤情報入力部311)は、スキャナ22又はタッチパネルディスプレイ21を介して、薬剤識別情報が入力されるか否かを判定する(ステップS3)。薬剤識別情報が入力されない場合に(ステップS3;No)、薬剤登録装置20のMPU31(薬剤情報入力部311)は、ステップS13に移行する。
薬剤識別情報が入力された場合に(ステップS3;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31(薬剤情報読取部312)は、外部記憶装置34に記憶された薬剤マスタDBから、入力された薬剤識別情報を有する薬剤に関する情報を読み取る(ステップS4)。次いで、薬剤登録装置20のMPU31(請求可否判定部313)は、薬剤に関する情報に含まれる請求可否情報から、入力された薬剤識別情報の薬剤は代金を請求することができる薬剤であるか否かを判定する(ステップS5)。
代金を請求することができない薬剤であると判定した場合に(ステップS5;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、後述する請求不可判定処理を実行する(ステップS6)。
一方、代金を請求することができる薬剤であると判定された場合に(ステップS5;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、外部記憶装置34の確認画面表示設定341が確認画面の表示を許可する設定であるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、代金を請求可能な薬剤であると判定された場合に確認画面の表示を許可する設定とは、確認画面表示設定341が確認画面を常に表示する設定のことである。
確認画面の表示を禁止する設定の場合に(ステップS7;No)、薬剤登録装置20のMPU31(請求薬剤登録部317)は、ステップS11に移行する。
一方、確認画面の表示を許可する設定の場合に(ステップS7;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31(請求確認入力部315)は、請求可能確認画面G1を表示させる(ステップS8)。
ここで、図8は、請求可能確認画面G1の一例を示す説明図である。請求可能確認画面G1は、入力された薬剤識別情報の請求可否情報は請求可能であることを通知すると共に、請求可能薬剤として登録するか否かの確認を求める確認画面である。請求可能確認画面G1は、「この薬剤・医療材料は請求可能に設定されています。登録しますか。」とのメッセージを表示して入力を求める。また、請求可能確認画面G1は、はいボタンB11と、いいえボタンB12とを備える。はいボタンB11は、入力された薬剤識別情報の薬剤を請求可能な薬剤として登録する場合に押下するボタンである。いいえボタンB12は、入力された薬剤識別情報の薬剤を登録しない場合に押下するボタンである。
薬剤登録装置20のMPU31は、請求可能確認画面G1のはいボタンB11の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS9)。はいボタンB11の押下が検出されない場合に(ステップS9;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、いいえボタンB12の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS10)。いいえボタンB12の押下が検出されない場合に(ステップS10;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS9に戻る。
一方、いいえボタンB12の押下が検出された場合に(ステップS10;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録せずにステップS13に移行する。
一方、請求可能確認画面G1のはいボタンB11の押下が検出された場合に(ステップS9;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31(請求確認入力部315)は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録する(ステップS11)。次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報の薬剤を薬剤登録画面G2に表示させる(ステップS12)。
ここで、図9は、薬剤登録画面G2の一例を示す説明図である。薬剤登録画面G2は、請求薬剤記憶テーブルTに登録され、入力された患者識別情報の患者に対して代金を請求する薬剤を表示する画面である。薬剤登録画面G2は、患者表示領域G21と、薬剤表示領域G22と、手入力ボタンB21と、印刷ボタンB22とを備える。患者表示領域G21は、薬剤の代金を請求する患者に関する情報を表示する領域である。患者に関する情報とは、患者識別情報や、年齢や、性別などである。薬剤表示領域G22は、請求薬剤記憶テーブルTに登録された薬剤を表示する領域である。手入力ボタンB21は、薬剤識別情報の手入力を可能にするボタンである。印刷ボタンB22は、薬剤登録を完了して、伝票を印字するボタンである。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録が完了したことを示す印刷ボタンB22の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS13)。印刷ボタンB22の押下が検出されない場合に(ステップS13;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS3に戻る。
一方、印刷ボタンB22の押下が検出された場合に(ステップS13;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31(請求薬剤出力部318)は、請求薬剤記憶テーブルTに記憶された明細情報が印字された使用品伝票Dを出力する(ステップS14)。
ここで、図10は、使用品伝票Dの一例を示す説明図である。使用品伝票Dは、代金を請求する薬剤が印字された伝票である。なお、図10に示す使用品伝票Dは、後述する請求不可判定処理において、請求不可又は請求不明と判定されたが、請求対象の薬剤として登録された薬剤を含む明細情報を印字したものである。使用品伝票Dは、ヘッダ領域D1と、基本情報領域D2と、請求薬剤領域D3と、承認欄領域D4と、とを備える。ヘッダ領域D1は、伝票名称が印字される。基本情報領域D2は、出力日時と、処置日時と、発行場所と、操作者と、患者IDとが印字される領域である。
請求薬剤領域D3は、代金を請求する対象の薬剤情報が印字される領域である。請求薬剤領域D3は、各薬剤の請求可否情報の分類を識別可能な態様で印字される。これにより、請求不可又は請求不明であったことがわかるため注意喚起することができる。請求薬剤領域D3は、薬剤ごとに、通し番号と、薬剤名称と、薬剤コードと、薬剤を数える単位と、使用された本数と、発行場所に常備されている薬剤の定数が印字される。図10に示す請求薬剤領域D3は、請求可否情報の分類で、グループ分けして印字している。請求可能グループとして、AAAA薬とBBBB薬とが印字されている。請求不可グループとして、CCCC薬が印字されている。請求不明グループとして、DDDD薬が印字されている。承認欄領域D4は、承認欄が印字された領域である。なお、請求薬剤領域D3において、薬剤は請求可否情報の設定に応じてグループ分けして印字したが、薬剤は請求可否情報の設定に応じた別々の伝票に印字する形態であってもよい。または、請求可否情報の分類を識別可能なマークなどの識別子を付加して分類分けする態様であってもよい。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31(請求薬剤出力部318)は、通信インタフェース38を介して、請求薬剤記憶テーブルTに記憶された明細情報を医事用の情報処理端末装置13へ送信する(ステップS15)。
以上により、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録処理を実行する。
次に、上述した実施形態にかかる薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する請求不可判定処理について説明する。請求不可判定処理とは、薬剤の代金を請求可能であると判定されなかった場合の使用薬剤登録処理である。
図11は、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する請求不可判定処理の流れを示すフローチャートである。
まず、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤マスタDBを読み取り、入力された薬剤識別情報の請求可否情報が請求不可であるか否かを判定する(ステップS21)。
請求可否情報が請求不可である場合に(ステップS21;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、外部記憶装置34に記憶された確認画面表示設定341が確認画面の表示を許可する設定となっているか否かを判定する(ステップS22)。ここで、代金を請求不可な薬剤であると判定された場合に確認画面の表示を許可する設定とは、確認画面表示設定341が確認画面を常に表示する設定のことである。
確認画面の表示を禁止する設定の場合に(ステップS22;No)、薬剤登録装置20のMPU31(報知部316)は、報知画面G3を表示する(ステップS23)。
ここで、図12は、報知画面G3の一例を示す説明図である。報知画面G3は、「この薬剤・医療材料は請求対象ではないため、登録できません。」とのメッセージを表示して報知する画面である。報知画面G3は、報知画面G3に表示されたことを承知し、報知画面G3を消去するOKボタンB31を備える。また、報知画面G3を表示する際に、薬剤登録装置20のMPU31は、スピーカ37を介して、警告音などを発生させて報知する。ここで、警告音とは、ブザー音などであってもよいし、「この薬剤・医療材料は請求対象ではないため、登録できません。」などのメッセージを伝える音声であってもよい。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、OKボタンB31の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS24)。OKボタンB31の押下が検出されない場合に(ステップS24;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、待機する。一方、OKボタンB31の押下が検出された場合に(ステップS24;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、報知画面G3を消去して一連の処理を終了する。
一方、確認画面の表示を許可する設定の場合に(ステップS22;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、請求不可確認画面G4を表示させる(ステップS25)。
ここで、図13は、請求不可確認画面G4の一例を示す説明図である。請求不可確認画面G4は、入力された薬剤識別情報の請求可否情報は請求不可であることを通知すると共に、請求可能薬剤として登録するか否かの確認を求める確認画面である。請求不可確認画面G4は、「この薬剤・医療材料は請求不可に設定されています。登録しますか。」とのメッセージを表示して入力を求める。また、請求不可確認画面G4は、はいボタンB41と、いいえボタンB42とを備える。はいボタンB41は、入力された薬剤識別情報の薬剤を請求可能な薬剤として登録する場合に押下するボタンである。いいえボタンB42は、入力された薬剤識別情報の薬剤を登録しない場合に押下するボタンである。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、請求不可確認画面G4のはいボタンB41の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS26)。はいボタンB41の押下が検出されない場合に(ステップS26;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、いいえボタンB42の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS27)。いいえボタンB42の押下が検出されない場合に(ステップS27;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS26に戻る。
一方、いいえボタンB42の押下が検出された場合に(ステップS27;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録せずに一連の処理を終了する。
一方、請求不可確認画面G4のはいボタンB41の押下が検出された場合に(ステップS26;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録する(ステップS28)。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録画面G2に入力された薬剤識別情報の薬剤に請求不可マークG23を付加して、請求可否情報の分類を識別可能な態様で表示して(ステップS29)、一連の処理を終了させる。
ここで、図14は、請求不可マークG23が表示された薬剤登録画面G2の一例を示す説明図である。図14に示す薬剤登録画面G2は、DDDD薬に請求不可マークG23が付加されている。請求可否情報が請求不可の薬剤を請求可能の薬剤として登録した場合に、請求不可マークG23を付加して、請求可否情報の分類毎に異なる表示形式にすることで注意喚起することができる。なお、異なる表示形式は、請求可否情報の分類毎に異なる欄に表示する表示形式や、請求可否情報の分類毎に異なる色で表示する表示形式であってもよい。
一方、請求可否情報が請求不可ではない場合に(ステップS21;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、外部記憶装置34に記憶された確認画面表示設定341が確認画面の表示を許可する設定となっているか否かを判定する(ステップS30)。ここで、請求可否情報が請求不可ではない場合とは、請求可否情報が請求不明の場合である。よって、代金を請求不明な薬剤であると判定された場合に確認画面の表示を許可する設定とは、確認画面表示設定341が確認画面を常に表示する設定、又は確認画面を請求可否情報が請求不明の場合に表示させる設定である。
確認画面表示設定341が確認画面の表示を禁止する設定の場合に(ステップS30;No)、薬剤登録装置20のMPU31(報知部316)は、ステップS23に移行して、報知画面G3を表示させる。
一方、確認画面表示設定341が確認画面の表示を許可する設定の場合に(ステップS30;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、請求不明確認画面G5を表示させる(ステップS31)。
ここで、図15は、請求不明確認画面G5の一例を示す説明図である。請求不明確認画面G5は、入力された薬剤識別情報の請求可否情報は請求不明であることを通知すると共に、請求可能薬剤として登録するか否かの確認を求める確認画面である。請求不明確認画面G5は、「この薬剤・医療材料は請求不明です。登録しますか。」とのメッセージを表示して入力を求める。また、請求不明確認画面G5は、はいボタンB51と、いいえボタンB52とを備える。はいボタンB51は、入力された薬剤識別情報の薬剤を請求可能な薬剤として登録する場合に押下するボタンである。いいえボタンB52は、入力された薬剤識別情報の薬剤を登録しない場合に押下するボタンである。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、請求不明確認画面G5のはいボタンB51の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS32)。はいボタンB51の押下が検出されない場合に(ステップS32;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、いいえボタンB52の押下が検出されるか否かを判定する(ステップS33)。いいえボタンB52の押下が検出されない場合に(ステップS33;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS32に戻る。
一方、いいえボタンB52の押下が検出された場合に(ステップS33;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録せずに一連の処理を終了する。
一方、請求不明確認画面G5のはいボタンB51の押下が検出された場合に(ステップS32;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、入力された薬剤識別情報を、請求薬剤記憶テーブルTの明細情報に登録する(ステップS34)。
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録画面G2に入力された薬剤識別情報の薬剤に請求不明マークG24を付加して、請求可否情報の分類を識別可能な態様で表示して(ステップS35)、一連の処理を終了させる。
ここで、図16は、請求不明マークG24が表示された薬剤登録画面G2の一例を示す説明図である。図16に示す薬剤登録画面G2は、EEEE薬に請求不明マークG24が付加されている。請求可否情報が請求不明の薬剤を請求可能の薬剤として登録した場合に、請求不明マークG24を付加して、請求可否情報の分類毎に異なる表示形式にすることで注意喚起することができる。なお、異なる表示形式は、請求可否情報の分類毎に異なる欄に表示する表示形式や、請求可否情報の分類毎に異なる色で表示する表示形式であってもよい。
以上により、薬剤登録装置20のMPU31は、請求不可判定処理を実行する。
以上のように、本実施形態の薬剤登録装置20によれば、薬剤情報入力部311は、薬剤を識別可能な識別情報の入力を受け付ける。薬剤情報読取部312は、外部記憶装置34に記憶された薬剤マスタDBから、入力された識別情報に該当する請求可否情報を含む薬剤に関する情報を読み取る。請求薬剤登録部317は、読み取った請求可否情報を含む薬剤に関する情報を明細情報として請求薬剤記憶テーブルTに登録する。そして、請求薬剤出力部318は、請求薬剤記憶テーブルTに明細情報として登録された請求可否情報を含む薬剤に関する情報を出力する。よって、薬剤の代金の請求可否を識別可能な態様で出力することができる。従って、医事会計部門の負担が軽減される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、上述の実施形態において、薬剤マスタDBは、薬剤登録装置20の外部記憶装置34に記憶されていると説明している。しかし、薬剤マスタDBは、他の記憶装置に記憶されていてもよい。例えば、薬剤マスタDBは、電子カルテサーバ11や、薬剤部サーバ19に記憶されていてもよい。
なお、上述の実施形態において、薬剤登録装置20は薬剤を登録すると説明している。薬剤登録装置20は、一処置に係る医療行為で使用されるものであれば、薬剤以外のものを登録してもよい。一処置に係る医療行為で使用されるものとは、例えば、医療機器や、医療材料や、衛生用品などである。この場合には、薬剤マスタDBに、一処置に係る医療行為で使用されるものの請求可否情報を記憶しておけばよい。
なお、上述の実施形態において、使用品伝票Dは、代金を請求する薬剤が印字された伝票であると説明している。しかしながら、使用品伝票Dには、代金を請求しない薬剤が印字されていてもよい。この場合には、薬剤の代金を請求する担当者は、使用品伝票Dに印字された請求可否情報の分類のグループに応じて薬剤の代金を請求する。
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。