JP2016014347A - レーザ点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ点火装置が汚染しているか否かを的確に判定し、汚染に対する対処を適切なタイミングで実行することが可能なレーザ点火式エンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】レンズ11dによって集光されたレーザ光を出射するレーザ点火装置11を用いて点火するレーザ点火式エンジンの制御装置(ECU50)であって、エンジン1の燃焼状態に関連する燃焼状態関連値を取得する燃焼状態関連値取得部51と、燃焼状態関連値取得部51によって取得された燃焼状態関連値と、レーザ点火装置11が汚染していない状態でのエンジンの燃焼状態に基づいて規定された燃焼状態判定値とを比較して、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する汚染判定部52と、を有する。
【選択図】図11

Description

本発明は、レーザ点火式エンジンの制御装置に係わり、特に、レンズによって集光されたレーザ光を出射するレーザ点火装置を用いて点火するレーザ点火式エンジンの制御装置に関する。
従来から、エンジンの点火装置として、レーザ光源によって発生されたレーザ光をレンズで集光し、この集光したレーザ光によって燃焼室内の混合気を点火するレーザ点火装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開昭63−253111号公報
上記したようなレーザ点火装置では、レーザ光を燃焼室に導く部品(例えばレンズや光学窓や連通路など)にオイルなどが付着して汚染が発生する場合がある。その場合、汚れによりレーザ光の通過が妨げられて、レーザ点火装置から出射されるレーザ光のエネルギーが低下して、燃焼室内の混合気が点火しにくくなる可能性がある。したがって、レーザ点火装置に汚染が発生した場合には、この汚染に対して何らかの対処を行うのが望ましい。例えば、レーザ点火装置に発生した汚染を除去するための制御(汚染除去制御)を行うとよい。汚染除去制御としては、レーザ点火装置のレーザ出力を増加させる制御などが考えられる。ここで、このような汚染除去制御は、エネルギーを余分に消費するため、レーザ点火装置が汚染している場合にのみ行うのが望ましい。そのためには、レーザ点火装置が汚染しているか否かを的確に判定する必要がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、レーザ点火装置が汚染しているか否かを的確に判定し、汚染に対する対処を適切なタイミングで実行することが可能なレーザ点火式エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、レンズによって集光されたレーザ光を出射するレーザ点火装置を用いて点火するレーザ点火式エンジンの制御装置であって、エンジンの燃焼状態に関連する燃焼状態関連値を取得する燃焼状態関連値取得手段と、燃焼状態関連値取得手段によって取得された燃焼状態関連値と、レーザ点火装置が汚染していない状態でのエンジンの燃焼状態に基づいて規定された燃焼状態判定値とを比較して、レーザ点火装置が汚染しているか否かを判定する汚染判定手段と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、レーザ点火装置の汚染時と非汚染時とでエンジンの燃焼状態が変化することを考慮し、エンジンの燃焼状態に関連する燃焼状態関連値に基づいてレーザ点火装置が汚染しているか否かを判定するので、レーザ点火装置の汚染を的確に判断することができる。したがって、本発明によれば、レーザ点火装置の汚染に対する対処を適切なタイミングで実行することができ、無駄なエネルギーの消費を抑制することが可能となる。
本発明において、好ましくは、燃焼状態関連値取得手段は、エンジンに設けられた筒内圧センサによって検出された筒内圧を燃焼状態関連値として取得し、汚染判定手段は、レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られる筒内圧に基づいて規定された筒内圧判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得された筒内圧が筒内圧判定値以下である場合に、レーザ点火装置が汚染していると判定する。
このように構成された本発明においては、レーザ点火装置の汚染時には非汚染時よりも冷却損失が大きくなり燃焼時の筒内圧が低下することを考慮して、燃焼時に取得された筒内圧が筒内圧判定値以下である場合にレーザ点火装置が汚染していると判定するので、レーザ点火装置の汚染を的確に判断することができる。
本発明において、好ましくは、燃焼状態関連値取得手段は、エンジンに設けられたイオン電流センサによって検出されたイオン電流を燃焼状態関連値として取得し、汚染判定手段は、レーザ点火装置が汚染していない状態においてイオン電流が所定値に達するタイミングに基づいて規定されたタイミング判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得手段によって取得されたイオン電流が所定値に達するタイミングがタイミング判定値よりも遅い場合に、レーザ点火装置が汚染していると判定する、或いは、レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られるイオン電流に基づいて規定されたイオン電流判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得されたイオン電流がイオン電流判定値以下である場合に、レーザ点火装置が汚染していると判定する。
このように構成された本発明においては、レーザ点火装置の汚染時には非汚染時よりも着火点がピストン側にずれてイオン電流が検出されるタイミングが遅れることを考慮して、イオン電流が所定値に達するタイミングがタイミング判定値よりも遅い場合にレーザ点火装置が汚染していると判定するので、レーザ点火装置の汚染を的確に判断することができる。或いは、レーザ点火装置の汚染時には非汚染時よりも冷却損失が大きくなりイオン電流が低下することを考慮して、取得されたイオン電流がイオン電流判定値以下である場合にレーザ点火装置が汚染していると判定するので、レーザ点火装置の汚染を的確に判断することができる。
本発明において、好ましくは、燃焼状態関連値取得手段は、エンジンに設けられたクランクアングルセンサからのクランクアングル信号を燃焼状態関連値として取得し、汚染判定手段は、レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られるクランクアングル信号のパルス幅に基づいて規定されたパルス幅判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得されたクランクアングル信号のパルス幅がパルス幅判定値以上である場合に、レーザ点火装置が汚染していると判定する。
このように構成された本発明においては、レーザ点火装置の汚染時には非汚染時よりも冷却損失が大きくなり燃焼時のクランクアングル信号のパルス幅が大きくなることを考慮して、燃焼時に取得されたクランクアングル信号のパルス幅がパルス幅判定値以上である場合にレーザ点火装置が汚染していると判定するので、レーザ点火装置の汚染を的確に判断することができる。
本発明のレーザ点火式エンジンの制御装置によれば、レーザ点火装置が汚染しているか否かを的確に判定し、汚染に対する対処を適切なタイミングで実行することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの概略構成図である。 図2(A)は、本発明の実施形態によるエンジンを上方から見た斜視図であり、図2(B)は、このエンジンの部分断面図である。 本発明の実施形態によるレーザ点火装置を概略的に示した平面図である。 本発明の実施形態によるレーザ点火装置が汚染した場合にエンジンの燃焼状態が変化する理由の説明図であって、レーザ点火装置及びピストンの一部分の拡大図である。 本発明の実施形態によるレーザ点火装置の汚染時及び非汚染時に得られた筒内圧の具体例を示す図である。 本発明の実施形態による汚染判定方法の第1の例の説明図である。 本発明の実施形態による汚染判定方法の第2の例の説明図である。 本発明の実施形態による汚染判定方法の第2の例における他の例の説明図である。 本発明の実施形態による汚染判定方法の第3の例の説明図である。 圧縮自己着火式ガソリンエンジンにおいて圧縮自己着火燃焼及び点火燃焼のそれぞれが行われる運転領域の説明図である。 本発明の実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるレーザ点火式エンジンの制御装置について説明する。
1.装置構成
まず、図1、図2(A)及び(B)を参照して、本発明の実施形態によるレーザ点火式エンジンの制御装置が適用されたエンジンの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの概略構成図であり、図2(A)は、このエンジンを上方から見た斜視図であり(一部を透視して示している)、図2(B)は、このエンジンの部分断面図である。
なお、図1では、左に吸気側を示し、右に排気側を示しているが、図2(A)及び(B)では、図1とは逆に、右に吸気側を示し、左に排気側を示している。また、図2(A)及び(B)では、説明の便宜上、エンジンの構成要素の図示を適宜省略している。
図1に示すように、エンジン1は、吸気通路3から吸気(空気)が供給され、この吸気と燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生し、この燃焼により発生した排気ガスを排気通路21から排出する内燃機関である。例えば、エンジン1は、ガソリンエンジンである。
具体的には、エンジン1は、主に、吸気通路3から供給された吸気を燃焼室5内に導入するための吸気バルブ7と(図2(B)参照、図2(A)では不図示)、燃焼室5に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁9と(図2(A)及び(B)参照)、レーザ光を出射することにより、燃焼室5内に供給された吸気と燃料との混合気に点火するレーザ点火装置11と(図2(A)及び(B)参照)、燃焼室5内での混合気の燃焼により往復運動するピストン13と、このピストン13に一端が接続されたコンロッド15と、このコンロッド15の他端が接続され、ピストン13の往復運動により回転されるクランクシャフト17と、燃焼室5内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路21へ排出するための排気バルブ19と(図2(B)参照、図2(A)では不図示)、を有する。
また、エンジン1には、筒内の圧力である筒内圧を検出し、この筒内圧に応じた検出信号S31を出力する筒内圧センサ31と、筒内に発生したイオン電流(燃焼時に発生するものである)を検出し、このイオン電流に応じた検出信号S33を出力するイオン電流センサ33と、クランクシャフト17の回転角度に相当するクランクアングルを検出し、このクランクアングルに応じた検出信号S35を出力するクランクアングルセンサ35と、が設けられている。詳しくは、クランクアングルセンサ35は、クランクアングルに応じたパルス状の信号(以下では適宜「クランクアングル信号」と呼ぶ。)を、検出信号S35として出力する。
また、エンジン1は、ECU(Electronic Control Unit)50によって種々の制御が行われる。ECU50は、機能的には、燃焼状態関連値取得部51、汚染判定部52、及びレーザ出力制御部53を有する。
ECU50の燃焼状態関連値取得部51は、筒内圧センサ31が検出した筒内圧(検出信号S31に対応する)、イオン電流センサ33が検出したイオン電流(検出信号S33に対応する)、及び、クランクアングルセンサ35が検出したクランクアングル(クランクアングル信号としての検出信号S35に対応する)のうちの少なくとも1以上を、エンジン1の燃焼状態を指し示す燃焼状態関連値として取得する。
ECU50の汚染判定部52は、このように燃焼状態関連値取得部51によって取得された燃焼状態関連値に基づいて、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。ECU50のレーザ出力制御部53は、汚染判定部52による判定結果に応じて、レーザ点火装置11のレーザ出力を制御する。この場合、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11に対して制御信号S11を供給することで、レーザ出力を制御する。
以上説明したように、ECU50は、本発明における「レーザ点火式エンジンの制御装置」に相当する。
なお、ECU50は、CPU、CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるレーザ点火装置11について具体的に説明する。図3は、本発明の実施形態によるレーザ点火装置11を概略的に示した平面図である。
図3に示すように、レーザ点火装置11は、主に、レーザ光を発振する、半導体レーザなどのレーザ光源11aと、このレーザ光源11aから発振されたレーザ光を外部に出射するレーザ出射部11cと、を有する。具体的には、レーザ出射部11cは、その先端部付近に集光レンズとしてのレンズ11dが設けられており、レーザ光源11aから発振された平行光としてのレーザ光を、レンズ11dによって集光させたレーザ光を外部に出射する。このレンズ11dは、レーザ点火装置11の外部の位置にレーザ光を集光する、つまりレーザ点火装置11の外部に焦点を形成するように構成されている。
2.汚染判定方法
次に、本発明の実施形態においてECU50の汚染判定部52が行う、レーザ点火装置11の汚染を判定する方法(汚染判定方法)について説明する。
前述したように、レーザ点火装置11では、燃焼室5内に配置された部分(例えばレンズ11dなど)にオイルなどの汚れが付着する汚染が発生する場合がある。このようにレーザ点火装置11が汚染した場合(例えばレンズ11dが汚れた場合)、汚れによりレーザ光の通過が妨げられることで、レーザ点火装置11が汚染していない場合と比べて、エンジン1の燃焼状態が変化する傾向にある。
図4を参照して、レーザ点火装置11が汚染した場合にエンジン1の燃焼状態が変化する理由について具体的に説明する。図4は、本発明の実施形態によるエンジン1の一部分、具体的にはレーザ点火装置11及びピストン13の一部分の拡大図である。
図4に示すように、レーザ点火装置11が汚染していない場合には、レーザ点火装置11から出射されたレーザ光によって、位置P11において着火する、つまり位置P11が着火点となる。一方で、レーザ点火装置11が汚染している場合には、レンズ11dなどに付着したオイルなどの汚れによりレーザ光の通過が妨げられて、レーザ点火装置11から出射されるレーザ光のエネルギーが低下するため、図4中の矢印A1に示すように、レーザ点火装置11が汚染していない場合の着火点P11からピストン13側(言い換えるとレンズ11dの焦点側)に近付いた位置P12において着火することとなる。なお、レーザ点火装置11の汚染の度合いが大きい場合には、着火しない場合もある、つまり失火する場合もある。
このようなことから、レーザ点火装置11が汚染している場合には、レーザ点火装置11が汚染していない場合と比べて、エンジン1の燃焼状態が変化するのである。したがって、本実施形態では、エンジン1の燃焼状態に基づいて、レーザ点火装置11の汚染を判定する。具体的には、ECU50の燃焼状態関連値取得部51が、エンジン1の燃焼状態を指し示す燃焼状態関連値を取得して、ECU50の汚染判定部52が、この燃焼状態関連値に基づいて、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。この場合、レーザ点火装置11が汚染していない状態でのエンジン1の燃焼状態に基づいて、燃焼状態関連値を判定するための燃焼状態判定値を事前に規定しておき、汚染判定部52は、燃焼状態関連値取得部51によって取得された燃焼状態関連値がこの燃焼状態判定値から乖離している場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。
以下では、本発明の実施形態による汚染判定方法の具体例について説明する。
2−1.汚染判定方法の第1の例
まず、本実施形態による汚染判定方法の第1の例について説明する。その概要を述べると、第1の例では、ECU50の燃焼状態関連値取得部51は、筒内圧センサ31によって検出された筒内圧を燃焼状態関連値として取得し、ECU50の汚染判定部52は、レーザ点火装置11が汚染していない状態において燃焼時に得られる筒内圧に基づいて規定された筒内圧判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得部51によって燃焼時に取得された筒内圧とこの筒内圧判定値とを比較して、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。
ここで、図5(A)〜(D)を参照して、レーザ点火装置11の汚染時及び非汚染時に実際に得られた筒内圧の具体例を示して、レーザ点火装置11の汚染時と非汚染時における筒内圧の違いについて説明する。
図5(A)は、レーザ点火装置11の非汚染時における、クランクアングルに対する筒内圧の変化を60サイクル分重ねて示しており、図5(B)は、レーザ点火装置11の非汚染時における、60サイクルの各々の図示トルクを示している。他方で、図5(C)は、レーザ点火装置11の汚染時における、クランクアングルに対する筒内圧の変化を60サイクル分重ねて示しており、図5(D)は、レーザ点火装置11の汚染時における、60サイクルの各々の図示トルクを示している。
なお、図5(A)〜(D)は、エンジン回転数及びエンジン負荷を一定とした場合に得られた結果の例を示している。また、図5(C)及び(D)は、レーザ点火装置11の汚染の度合いが比較的大きい場合に得られた結果の例を示している。また、図5(A)及び(C)中の符号CA1で示すクランクアングルの範囲において、エンジン1において燃焼が発生したものとする。
図5(A)及び(B)に示す結果と、図5(C)及び(D)に示す結果とを比較すると、レーザ点火装置11の非汚染時と汚染時とで燃焼時における筒内圧が異なっていることがわかる。具体的には、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりも燃焼時における筒内圧が低いサイクルが発生していることがわかる。特に図5(D)に示すように(破線領域参照)、レーザ点火装置11の汚染時には、失火が発生しているサイクルが存在していることがわかる。
本実施形態による汚染判定方法の第1の例では、図5(A)〜(D)に示したような、レーザ点火装置11の汚染時と非汚染時における燃焼時の筒内圧の違いを考慮して、筒内圧に基づいてレーザ点火装置11の汚染を判定する。
次に、図6を参照して、本実施形態による汚染判定方法の第1の例について具体的に説明する。
図6において、実線で表したグラフG11は、レーザ点火装置11の非汚染時における、クランクアングルに対する筒内圧の変化の一例を示しており、破線で表したグラフG12は、レーザ点火装置11の汚染時における、クランクアングルに対する筒内圧の変化の一例を示している。このグラフG12は、レーザ点火装置11の汚染の度合いが比較的小さい場合(具体的には図5(C)及び(D)に示した場合よりも汚染の度合いが小さい場合)に得られた筒内圧を示している。
図6中の矢印A11に示すように、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりも、燃焼時(クランクアングルCA11付近)における筒内圧が低くなる傾向にある。こうなるのは、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりもピストン13側に近付いた位置で着火するため(図4参照)、着火による火炎がピストン13に接触するタイミングが早くなり冷却損失が大きくなることで、筒内圧が低下するからである。
したがって、本実施形態による汚染判定方法の第1の例では、レーザ点火装置11の非汚染時において燃焼時に得られる筒内圧に基づいて筒内圧判定値を設定しておき、筒内圧センサ31によって燃焼時に実際に検出された筒内圧がこの筒内圧判定値以下である場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。具体的には、図6に示すように、レーザ点火装置11の非汚染時において燃焼時に対応するクランクアングルCA11で得られる筒内圧CP11に基づき、この筒内圧CP11よりも所定値だけ小さい筒内圧CP12を筒内圧判定値として設定しておく。そして、ECU50の汚染判定部52は、燃焼時に対応するクランクアングルCA11においてECU50の燃焼状態関連値取得部51によって取得された筒内圧(つまり筒内圧センサ31によって検出された筒内圧)が、筒内圧判定値CP12以下である場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。
なお、筒内圧判定値CP12は、エンジン1の運転状態も考慮して設定される。例えば、エンジン1の負荷や、排気系から吸気系に還流させた排気ガスの流量(EGR量)などを考慮して、筒内圧判定値CP12が設定される。こうするのは、エンジン1の運転状態に応じて筒内圧の大きさが変動するため、異なる運転状態において同じ値の筒内圧判定値CP12を用いると、レーザ点火装置11の汚染を誤判定してしまう場合があるからである。1つの例では、エンジン1の運転状態ごとに筒内圧判定値CP12を規定したマップを作成しておき、汚染判定部52は、このマップを参照して、現在のエンジン1の運転状態に応じた筒内圧判定値CP12を採用する。
なお、上記した第1の例では、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定していたが、これだけでなく、レーザ点火装置11が汚染している度合いを更に判定してもよい。例えば、燃焼状態関連値取得部51によって取得された筒内圧が筒内圧判定値CP12から乖離している量に基づいて、レーザ点火装置11が汚染している度合いを判定するとよい。
2−2.汚染判定方法の第2の例
次に、本実施形態による汚染判定方法の第2の例について説明する。その概要を述べると、第2の例では、ECU50の燃焼状態関連値取得部51は、イオン電流センサ33によって検出されたイオン電流を燃焼状態関連値として取得し、ECU50の汚染判定部52は、レーザ点火装置11が汚染していない状態においてイオン電流が所定値に達するタイミングに基づいて規定されたタイミング判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得部51によって実際に取得されたイオン電流が当該所定値に達するタイミングとタイミング判定値とを比較して、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。
図7を参照して、このような本実施形態による汚染判定方法の第2の例について具体的に説明する。図7において、実線で表したグラフG21は、レーザ点火装置11の非汚染時におけるイオン電流の時間変化の一例を示しており、破線で表したグラフG22は、レーザ点火装置11の汚染時におけるイオン電流の時間変化の一例を示している。このグラフG22は、レーザ点火装置11の汚染の度合いが比較的小さい場合に得られたイオン電流を示している。
図7に示すように、レーザ点火装置11の非汚染時には、タイミングT21において、イオン電流が所定値IC2(例えば燃焼によりイオン電流がある程度上昇した際の値)に達するのに対して、レーザ点火装置11の汚染時には、タイミングT21よりも後のタイミングT22において、イオン電流が所定値IC2に達する(なお、タイミングT21、T22は、例えばクランクアングルが圧縮トップとなっているタイミングなどを基準として規定される。後述するT23も同様である。)。つまり、図7中の矢印A21に示すように、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりも、イオン電流が所定値IC2に達するタイミングが遅れる傾向にある。こうなるのは、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりもピストン13側に近付いた位置で着火するため(図4参照)、着火による火炎がイオン電流センサ33に到達するまでに時間がかかるからである。
したがって、本実施形態による汚染判定方法の第2の例では、レーザ点火装置11の非汚染時においてイオン電流が所定値IC2に達するタイミングT21に基づき、このタイミングT21から所定時間だけ遅らせたタイミングT23をタイミング判定値として設定しておく。そして、ECU50の汚染判定部52は、ECU50の燃焼状態関連値取得部51によって取得されたイオン電流(つまりイオン電流センサ33によって検出されたイオン電流)が所定値IC2に達するタイミングが、タイミング判定値T23よりも遅い場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。
なお、レーザ点火装置11の汚染の度合いが大きい場合にはイオン電流が所定値IC2にそもそも達しない可能性があるが(この場合にはイオン電流が所定値IC2に達するタイミングが得られない)、そのようにイオン電流が所定値IC2に達しない場合には、レーザ点火装置11が汚染していると判定するのがよい。
ここで、本実施形態による汚染判定方法の第2の例における他の例について説明する。第2の例における他の例では、上記したタイミング判定値T23の代わりに、レーザ点火装置11の非汚染時に得られるイオン電流に基づいて規定されたイオン電流判定値を、燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得部51によって取得されたイオン電流とこのイオン電流判定値とを比較して、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。
図8を参照して、上記した本実施形態による汚染判定方法の第2の例における他の例について具体的に説明する。図8において、実線で表したグラフG31は、レーザ点火装置11の非汚染時におけるイオン電流の時間変化の一例を示しており、破線で表したグラフG32は、レーザ点火装置11の汚染時におけるイオン電流の時間変化の一例を示している。このグラフG32は、レーザ点火装置11の汚染の度合いがかなり大きい場合(具体的には図7に示した場合よりも汚染の度合いがかなり大きい場合)に得られたイオン電流を示している。
図8に示すように、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりもイオン電流が低くなる。より詳しくは、この場合には、レーザ点火装置11の汚染の度合いがかなり大きいため、エンジン1において失火が発生しており、イオン電流センサ33によってイオン電流がほとんど検出されない。
本実施形態による汚染判定方法の第2の例における他の例では、図8に示すように、レーザ点火装置11の非汚染時において燃焼時に得られるイオン電流よりも所定値だけ小さい値をイオン電流判定値IC3として設定しておき、ECU50の汚染判定部52は、ECU50の燃焼状態関連値取得部51によって燃焼時に取得されたイオン電流(つまりイオン電流センサ33によって検出されたイオン電流)がこのイオン電流判定値IC3以下である場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。例えば、イオン電流判定値IC3は、レーザ点火装置11の非汚染時において燃焼時の所定のタイミングで得られるイオン電流よりも所定値だけ小さい値に設定され、汚染判定部52は、燃焼状態関連値取得部51によってこの所定のタイミングで取得されたイオン電流がイオン電流判定値IC3以下である場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。
なお、第2の例で用いるタイミング判定値T23及びイオン電流判定値IC3は、エンジン1の運転状態も考慮して設定される。例えば、エンジン1の負荷や、排気系から吸気系に還流させた排気ガスの流量(EGR量)などを考慮して、タイミング判定値T23及びイオン電流判定値IC3が設定される。こうするのは、エンジン1の運転状態に応じてイオン電流の大きさが変動するため、異なる運転状態において同じ値のタイミング判定値T23及びイオン電流判定値IC3を用いると、レーザ点火装置11の汚染を誤判定してしまう場合があるからである。1つの例では、エンジン1の運転状態ごとにタイミング判定値T23及びイオン電流判定値IC3を規定したマップを作成しておき、汚染判定部52は、このマップを参照して、現在のエンジン1の運転状態に応じたタイミング判定値T23及びイオン電流判定値IC3を採用する。
また、上記した第2の例では、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定していたが、これだけでなく、レーザ点火装置11が汚染している度合いを更に判定してもよい。例えば、燃焼状態関連値取得部51によって取得されたイオン電流が所定値IC2に達するタイミングがタイミング判定値T23から乖離している量、或いは、燃焼状態関連値取得部51によって取得されたイオン電流がイオン電流判定値IC3から乖離している量に基づいて、レーザ点火装置11が汚染している度合いを判定するとよい。
2−3.汚染判定方法の第3の例
次に、本実施形態による汚染判定方法の第3の例について説明する。その概要を述べると、第3の例では、ECU50の燃焼状態関連値取得部51は、クランクアングルセンサ35からのクランクアングル信号を燃焼状態関連値として取得し、ECU50の汚染判定部52は、レーザ点火装置11が汚染していない状態において燃焼時に得られるクランクアングル信号のパルス幅に基づいて規定されたパルス幅判定値を燃焼状態判定値として用い、燃焼状態関連値取得部51によって燃焼時に取得されたクランクアングル信号のパルス幅とこのパルス幅判定値とを比較して、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。
図9を参照して、このような本実施形態による汚染判定方法の第3の例について具体的に説明する。図9において、実線で表したグラフG41は、レーザ点火装置11の非汚染時における燃焼時のクランクアングル信号の一例を示しており、破線で表したグラフG42は、レーザ点火装置11の汚染時における燃焼時のクランクアングル信号の一例を示している。
図9に示すように、レーザ点火装置11の非汚染時には、燃焼時のクランクアングル信号はパルス幅W41を有しているのに対して、レーザ点火装置11の汚染時には、燃焼時のクランクアングル信号は、パルス幅W41よりも大きいパルス幅W42となっている。つまり、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりもクランクアングル信号のパルス幅が大きくなる。こうなるのは、レーザ点火装置11の汚染時には、レーザ点火装置11の非汚染時よりもピストン13側に近付いた位置で着火するため(図4参照)、着火による火炎がピストン13に接触するタイミングが早くなり冷却損失が大きくなることで、クランクシャフト17の回転速度が遅くなったからである。
したがって、本実施形態による汚染判定方法の第3の例では、図9に示すように、レーザ点火装置11が汚染していない状態において燃焼時に得られるクランクアングル信号のパルス幅W41に基づき、このパルス幅W41よりも所定値だけ大きいパルス幅W43をパルス幅判定値として設定しておく。そして、ECU50の汚染判定部52は、ECU50の燃焼状態関連値取得部51によって取得されたクランクアングル信号(つまりクランクアングルセンサ35からのクランクアングル信号)のパルス幅がこのパルス幅判定値W43以上である場合に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。なお、レーザ点火装置11の汚染の度合いが大きい場合には失火する可能性があるが、この場合には、取得されるクランクアングル信号のパルス幅が大きくなるため、上記したパルス幅判定値W43を用いて、このレーザ点火装置11の汚染を的確に判定することができる。
なお、パルス幅判定値W43は、エンジン1の運転状態も考慮して設定される。例えば、エンジン1の負荷や、排気系から吸気系に還流させた排気ガスの流量(EGR量)などを考慮して、パルス幅判定値W43が設定される。こうするのは、エンジン1の運転状態に応じてクランクアングル信号のパルス幅の大きさが変動するため、異なる運転状態において同じ値のパルス幅判定値W43を用いると、レーザ点火装置11の汚染を誤判定してしまう場合があるからである。1つの例では、エンジン1の運転状態ごとにパルス幅判定値W43を規定したマップを作成しておき、汚染判定部52は、このマップを参照して、現在のエンジン1の運転状態に応じたパルス幅判定値W43を採用する。
なお、上記した第3の例では、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定していたが、これだけでなく、レーザ点火装置11が汚染している度合いを更に判定してもよい。例えば、燃焼状態関連値取得部51によって取得されたクランクアングル信号のパルス幅がパルス幅判定値W43から乖離している量に基づいて、レーザ点火装置11が汚染している度合いを判定するとよい。
2−4.汚染判定方法の第4の例
次に、本実施形態による汚染判定方法の第4の例について説明する。上述した本実施形態による汚染判定方法の第1〜第3の例では、レーザ点火装置11の汚染時と非汚染時とでエンジン1の燃焼状態が変化することを考慮して、エンジン1の燃焼状態に関連する燃焼状態関連値を筒内圧センサ31やイオン電流センサ33やクランクアングルセンサ35から取得して、この燃焼状態関連値に基づいてレーザ点火装置11の汚染を判定していた。
これに対して、本実施形態による汚染判定方法の第4の例では、エンジン1の運転履歴に基づいてレーザ点火装置11の汚染を判定する。つまり、本実施形態による汚染判定方法の第4の例では、センシングによってレーザ点火装置11の汚染を判定するのではなく、レーザ点火装置11の汚染を生じさせる要因となったエンジン1の運転履歴に基づいて、レーザ点火装置11の汚染を判定する。具体的には、本実施形態による汚染判定方法の第4の例は、圧縮した混合気の自着火(HCCI:Homogeneous-Charge Compression Ignition)による燃焼である圧縮自己着火燃焼と、点火(SI:Spark Inginition)による強制燃焼である点火燃焼とを実施する圧縮自己着火式ガソリンエンジンとしてのエンジン1に適用され、この圧縮自己着火式ガソリンエンジンの運転履歴に基づいてレーザ点火装置11の汚染を判定する。
図10を参照して、圧縮自己着火式ガソリンエンジンにおいて圧縮自己着火燃焼及び点火燃焼のそれぞれが行われる運転領域について説明する。図10は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸にエンジン負荷を示している。図10において、領域R11は、圧縮自己着火燃焼(HCCI燃焼)が行われる運転領域(第1運転領域に相当する)を示しており、領域R12は、点火燃焼(SI燃焼)が行われる運転領域(第2運転領域に相当する)を示している。ここで、圧縮自己着火燃焼を行う場合、エンジン1の圧縮比を高めるが、圧縮比が高いと、絶縁破壊を利用する火花点火プラグでは点火させにくい。そのため、圧縮自己着火燃焼を行う場合には、図1に示したエンジン1のように、レーザ光を用いて点火させるレーザ点火装置11を用いるのが好適である。
上記のような圧縮自己着火燃焼を行った場合、燃焼温度が低いため、レーザ点火装置11が汚染しやすい。したがって、本実施形態による汚染判定方法の第4の例では、ECU50の汚染判定部52は、圧縮自己着火燃焼を実施した履歴に基づいて、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。具体的には、汚染判定部52は、エンジン1において圧縮自己着火燃焼が所定時間以上継続して実施された場合に、一義的に、レーザ点火装置11が汚染していると判定する。1つの例では、汚染判定部52は、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて圧縮自己着火燃焼の実施を判断して、この圧縮自己着火燃焼が所定時間以上継続して実施されたか否かを判定する。他の例では、汚染判定部52は、レーザ点火装置11を駆動させずに行われた燃焼を圧縮自己着火燃焼と判断して、この圧縮自己着火燃焼が所定時間以上継続して実施されたか否かを判定する。
3.レーザ出力制御方法
次に、本発明の実施形態においてECU50のレーザ出力制御部53が行う、レーザ点火装置11のレーザ出力を制御する方法(レーザ出力制御方法)について説明する。本実施形態では、レーザ出力制御部53は、汚染判定部52が上記した汚染判定方法(第1〜第4の例のいずれか)によってレーザ点火装置11が汚染していると判定した場合に、レーザ点火装置11のレーザ出力を、レーザ点火装置11が汚染していない場合に設定する基準レーザ出力よりも増加させる。
1つの例では、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11のレーザ出力を、汚染しているレーザ点火装置11でも混合気を確実に点火させることが可能なレーザ出力(以下では「第1レーザ出力」と呼ぶ。)にまで増加させる。この場合、レーザ出力制御部53は、エンジン1の運転状況(エンジン負荷など)や、上記したように汚染判定部52によって判定されたレーザ点火装置11の汚染度合いなどに基づいて、混合気を確実に点火させるのに必要なレーザ出力を求めて、この求めたレーザ出力を第1レーザ出力として用いる。
他の例では、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11のレーザ出力を、レーザ点火装置11の汚染を除去可能な高いレーザ出力(以下では「第2レーザ出力」と呼ぶ。)にまで増加させる。このような高出力の第2レーザ出力にてレーザ点火装置11からレーザ光を出射させると、レーザ点火装置11において燃焼室5内に配置された部分(レンズ11dなど)に付着した汚れが、光を吸収して燃焼することにより除去される。この場合、基本的には第2レーザ出力は第1レーザ出力よりも高いので、上記した第1レーザ出力を用いた場合と同様に、混合気は確実に点火されることとなる。
具体的には、レーザ出力制御部53は、エンジン1の運転状況(エンジン負荷など)や、上記したように汚染判定部52によって判定されたレーザ点火装置11の汚染度合いなどに基づいて、レーザ点火装置11の汚染を除去するのに必要なレーザ出力を求めて、この求めたレーザ出力を第2レーザ出力として用いる。また、このような第2レーザ出力にてレーザ点火装置11からレーザ光を出射させている間に、汚染判定部52にレーザ点火装置11の汚染を常時判定させ、レーザ出力制御部53は、汚染判定部52によってレーザ点火装置11が汚染していないと判定された際に、レーザ点火装置11のレーザ出力を第2レーザ出力から基準レーザ出力へと戻す。つまり、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11の汚染が除去されるまで、レーザ点火装置11のレーザ出力を第2レーザ出力に設定し続け、レーザ点火装置11の汚染が除去されると、レーザ点火装置11のレーザ出力を基準レーザ出力に戻す。
なお、圧縮自己着火式ガソリンエンジンにおいて、圧縮自己着火燃焼から点火燃焼に切り替える前に、上記した第2レーザ出力を用いてレーザ点火装置11により予備点火するとよい。これにより、圧縮自己着火燃焼を実施している間にレーザ点火装置11において発生した汚染を適切に除去することができる。
なお、エンジン1の運転状況によっては、レーザ点火装置11のレーザ出力を第2レーザ出力に設定しなくても、レーザ点火装置11の汚染が自然に除去される場合がある。例えば、筒内温度が高くなるような運転状況では、レーザ点火装置11の汚染が自然に除去される場合がある。よって、第2レーザ出力よりも低い第1レーザ出力を用いた場合にも、レーザ点火装置11の汚染が除去される場合がある。そのため、レーザ点火装置11のレーザ出力を第1レーザ出力に設定している場合にも、汚染判定部52にレーザ点火装置11の汚染を常時判定させることとし、汚染判定部52によってレーザ点火装置11が汚染していないと判定された際に、レーザ点火装置11のレーザ出力を第1レーザ出力から基準レーザ出力へと戻すのがよい。
4.制御フロー
次に、図11を参照して、本発明の実施形態においてECU50が行う制御フローについて説明する。図11は、本発明の実施形態による制御フローを示すフローチャートである。このフローは、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS1では、ECU50の燃焼状態関連値取得部51が、エンジン1の燃焼状態に関連する燃焼状態関連値として、筒内圧、イオン電流及びクランクアングル信号のうちの少なくともいずれかを取得する。この場合、燃焼状態関連値取得部51は、筒内圧センサ31から筒内圧(検出信号S31に対応する)を取得し、イオン電流センサ33からイオン電流(検出信号S33に対応する)を取得し、クランクアングルセンサ35からクランクアングル信号(検出信号S35に対応する)を取得する。そして、処理はステップS2に進む。
ステップS2では、ECU50の汚染判定部52が、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する。この場合、汚染判定部52は、前述した第1〜第4の例による汚染判定方法のいずれかを行って、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定する(「2.汚染判定方法」のセクション参照)。その結果、レーザ点火装置11が汚染していると判定した場合(ステップS2:Yes)、処理はステップS3に進む。これに対して、レーザ点火装置11が汚染していないと判定した場合(ステップS2:No)、処理は終了する。
ステップS3では、ECU50のレーザ出力制御部53が、レーザ点火装置11のレーザ出力を、レーザ点火装置11が汚染していない場合に設定する基準レーザ出力から増加させる。1つの例では、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11のレーザ出力を、汚染しているレーザ点火装置11でも混合気を確実に点火させることが可能な第1レーザ出力にまで増加させる。他の例では、レーザ出力制御部53は、レーザ点火装置11のレーザ出力を、レーザ点火装置11の汚染を除去可能な第2レーザ出力にまで増加させる。そして、処理はステップS4に進む。
ステップS4では、ECU50の汚染判定部52が、上記したステップS2と同様にして、レーザ点火装置11が汚染していないか否かを再度判定する。その結果、レーザ点火装置11が汚染していないと判定した場合(ステップS4:Yes)、処理はステップS5に進む。この場合、ECU50のレーザ出力制御部53が、レーザ点火装置11のレーザ出力を基準レーザ出力に戻す(ステップS5)。そして、処理は終了する。
これに対して、レーザ点火装置11が汚染していると判定した場合(ステップS4:No)、処理はステップS3に戻る。この場合には、レーザ出力制御部53は、上記したステップS3で設定した、基準レーザ出力よりも高いレーザ出力を維持する。レーザ出力制御部53は、ステップS4でレーザ点火装置11が汚染していないと判定されるまで、つまりレーザ点火装置11の汚染が除去されるまで、基準レーザ出力よりも高いレーザ出力を維持する。
5.作用効果
次に、本発明の実施形態によるレーザ点火式エンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、レーザ点火装置11の汚染時と非汚染時とでエンジン1の燃焼状態が変化することを考慮し、筒内圧やイオン電流やクランクアングル信号などのエンジン1の燃焼状態に関連する燃焼状態関連値に基づいて、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定するので、レーザ点火装置11の汚染を的確に判断することができる。また、本実施形態によれば、圧縮自己着火式ガソリンエンジンにおいて、圧縮自己着火燃焼を実施した場合にはレーザ点火装置11が汚染しやすいことを考慮し、圧縮自己着火燃焼が実施された履歴に基づいて、レーザ点火装置11が汚染しているか否かを判定するので、これによっても、レーザ点火装置11の汚染を的確に判断することができる。
したがって、本実施形態によれば、レーザ点火装置11の汚染に対する対処を適切なタイミングで実行することができ、無駄なエネルギーの消費を抑制することが可能となる。具体的には、レーザ点火装置11のレーザ出力を基準レーザ出力よりも増加させる制御を、レーザ点火装置11が汚染している場合にのみ実行することができ、レーザ出力を増加させることによるエネルギーの消費を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、レーザ点火装置11が汚染していると判定された場合に、レーザ点火装置11のレーザ出力を第1レーザ出力にまで増加させることにより、汚染しているレーザ点火装置11によっても混合気を確実に点火させることができる。加えて、本実施形態によれば、レーザ点火装置11が汚染していると判定された場合に、レーザ点火装置11のレーザ出力を第2レーザ出力にまで増加させることにより、レーザ点火装置11の汚染を適切に除去することができる。
また、本実施形態によれば、第2レーザ出力にてレーザ点火装置11からレーザ光を出射させている間にレーザ点火装置11の汚染を常に判定して、レーザ点火装置11が汚染していないと判定された際にレーザ出力を第2レーザ出力から基準レーザ出力へと戻すので、第2レーザ出力を継続して用いることによるエネルギーの消費を抑制することができる。
1 エンジン
3 吸気通路
5 燃焼室
9 燃料噴射弁
11 レーザ点火装置
11d レンズ
13 ピストン
17 クランクシャフト
21 排気通路
31 筒内圧センサ
33 イオン電流センサ
35 クランクアングルセンサ
50 ECU
51 燃焼状態関連値取得部
52 汚染判定部
53 レーザ出力制御部

Claims (4)

  1. レンズによって集光されたレーザ光を出射するレーザ点火装置を用いて点火するレーザ点火式エンジンの制御装置であって、
    エンジンの燃焼状態に関連する燃焼状態関連値を取得する燃焼状態関連値取得手段と、
    上記燃焼状態関連値取得手段によって取得された燃焼状態関連値と、上記レーザ点火装置が汚染していない状態でのエンジンの燃焼状態に基づいて規定された燃焼状態判定値とを比較して、上記レーザ点火装置が汚染しているか否かを判定する汚染判定手段と、
    を有することを特徴とするレーザ点火式エンジンの制御装置。
  2. 上記燃焼状態関連値取得手段は、上記エンジンに設けられた筒内圧センサによって検出された筒内圧を上記燃焼状態関連値として取得し、
    上記汚染判定手段は、上記レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られる筒内圧に基づいて規定された筒内圧判定値を上記燃焼状態判定値として用い、上記燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得された筒内圧が上記筒内圧判定値以下である場合に、上記レーザ点火装置が汚染していると判定する、請求項1に記載のレーザ点火式エンジンの制御装置。
  3. 上記燃焼状態関連値取得手段は、上記エンジンに設けられたイオン電流センサによって検出されたイオン電流を上記燃焼状態関連値として取得し、
    上記汚染判定手段は、上記レーザ点火装置が汚染していない状態においてイオン電流が所定値に達するタイミングに基づいて規定されたタイミング判定値を上記燃焼状態判定値として用い、上記燃焼状態関連値取得手段によって取得されたイオン電流が上記所定値に達するタイミングが上記タイミング判定値よりも遅い場合に、上記レーザ点火装置が汚染していると判定する、或いは、上記レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られるイオン電流に基づいて規定されたイオン電流判定値を上記燃焼状態判定値として用い、上記燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得されたイオン電流が上記イオン電流判定値以下である場合に、上記レーザ点火装置が汚染していると判定する、請求項1に記載のレーザ点火式エンジンの制御装置。
  4. 上記燃焼状態関連値取得手段は、上記エンジンに設けられたクランクアングルセンサからのクランクアングル信号を上記燃焼状態関連値として取得し、
    上記汚染判定手段は、上記レーザ点火装置が汚染していない状態において燃焼時に得られるクランクアングル信号のパルス幅に基づいて規定されたパルス幅判定値を上記燃焼状態判定値として用い、上記燃焼状態関連値取得手段によって燃焼時に取得されたクランクアングル信号のパルス幅が上記パルス幅判定値以上である場合に、上記レーザ点火装置が汚染していると判定する、請求項1に記載のレーザ点火式エンジンの制御装置。
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