JP2016014341A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸入空気量の急減時に触媒担体の所定部位間の温度差が拡大することに起因するクラック発生を抑制する。【解決手段】本発明の一の態様によれば、排気通路に設けられた触媒を有する内燃機関の制御装置が提供される。制御装置は、内燃機関の吸入空気量またはその相関値に基づいて、吸入空気量の急減を検出した場合に、排気ガスの温度を低下させるための低下制御を実行するように構成された制御ユニットを備える。【選択図】図7
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の排気通路には排気ガスを浄化するための触媒が設けられている。この触媒に関し、特許文献1は、内燃機関の冷間始動直後の加速時に電気加熱式触媒の担体の側壁面と側壁近傍部との間の温度差が大きくなり、担体にクラックが発生する可能性があるという問題を指摘している。このため特許文献1に記載の装置は、そのような温度差の拡大を抑制するため、冷間始動直後の加速時に、排気空燃比をリッチ側に移行させ、排気の有するエネルギーを低下させるようにしている。
しかしながら、本発明者らは鋭意研究の結果、内燃機関の冷間始動直後の加速時だけでなく、内燃機関の減速時、特に吸入空気量が急激に減少する吸入空気量の急減時にも、担体の所定部位間の温度差が拡大し、担体にクラックが発生する可能性があるという新たな知見を得るに至った。
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであり、その目的は、吸入空気量の急減時に触媒担体の所定部位間の温度差が拡大することに起因するクラック発生を抑制することが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
排気通路に設けられた触媒を有する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の吸入空気量またはその相関値に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出した場合に、排気ガスの温度を低下させるための低下制御を実行するように構成された制御ユニットを備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置が提供される。
排気通路に設けられた触媒を有する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の吸入空気量またはその相関値に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出した場合に、排気ガスの温度を低下させるための低下制御を実行するように構成された制御ユニットを備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置が提供される。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出する。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度が所定の速度しきい値を超えた時から所定の実行時間の間、前記低下制御を実行する。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度の最大値に応じて前記実行時間を変化させる。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値と、当該吸入空気量またはその相関値の平均化処理後の値との差分に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出する。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記差分が所定の差分しきい値より大きいとき、前記低下制御を実行する。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記担体の温度の低下速度が所定値以上であり且つ前記担体の温度が所定の下限温度以上のとき、前記低下制御を実行する。
好ましくは、前記低下制御が、前記内燃機関の燃焼室内における空燃比をリッチ化するリッチ制御を含む。
好ましくは、前記内燃機関が火花点火式内燃機関であり、前記低下制御が、前記内燃機関の点火時期を進角する進角制御を含む。
好ましくは、前記触媒が、電力の供給により発熱する前記担体を備える電気加熱式触媒からなる。
本発明によれば、吸入空気量の急減時に触媒担体の所定部位間の温度差が拡大することに起因するクラック発生を抑制することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関(エンジン)とその制御装置、ならびにこれらが搭載された車両を示す。エンジン10は多気筒(例えば直列4気筒)の火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)として構成されている。車両100は、エンジン10とモータジェネレータとの2つの車両動力源を備えるハイブリッド車両として構成されている。車両100には、車両100およびエンジン10を制御するように構成された制御ユニットとしての電子制御ユニット(以下「ECU」という)20が設けられる。
但し、エンジンの種類、気筒数、シリンダ配置形式(直列、V型、水平対向等)、着火方式、用途等は特に限定されず、例えばエンジンは圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)であってもよい。またエンジンは車両用でなくてもよく、車両に搭載されたものでなくてもよい。同様に、車両の種類、用途等も特に限定されず、例えば車両はエンジンを唯一の動力源とする通常の車両であってもよい。
本実施形態の場合、第1モータジェネレータ(以下「第1モータ」という)21aと第2モータジェネレータ(以下「第2モータ」という)21bとの2つのモータジェネレータが備えられる。第1モータ21aは主にエンジン始動とバッテリ充電のために用いられ、第2モータ21bは主に車両動力用として用いられる。但し、第1モータ21aに車両動力の機能を持たせてもよいし、第2モータ21bにエンジン始動とバッテリ充電の機能を持たせてもよい。
先ず、エンジン10、第1モータ21aおよび第2モータ21bを含むハイブリッドシステムについて説明する。エンジン10のクランクシャフトは出力軸23に連結され、出力軸23は動力分割機構22に連結されている。動力分割機構22は、動力伝達軸24を介して第1モータ21aに連結されるとともに、動力伝達軸25を介して第2モータ21bとも連結されている。ここで、動力分割機構22は、遊星歯車機構によってエンジン10、第1モータ21aおよび第2モータ21bの出力等の伝達を切り替える。また、第2モータ21bに連結される動力伝達軸25には、減速機26が連結され、減速機26には、ドライブシャフト27を介して駆動輪28が連結されている。減速機26は、複数の歯車を組み合わせて構成され、動力伝達軸25の回転を減速して、エンジン10、第1モータ21aおよび第2モータ21bからの出力をドライブシャフト27に伝達する。
第1モータ21aおよび第2モータ21bは、図示しないインバータを含む電力制御ユニット(PCU;Power Control Unit)29と電気的に接続され、PCU29は更にバッテリ30と電気的に接続されている。PCU29は、バッテリ30から取り出した直流電力を交流電力に変換して、第1モータ21aおよび第2モータ21bに供給するとともに、第1モータ21aおよび第2モータ21bによって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ30に供給するように構成されている。詳細には、第1モータ21aおよび第2モータ21bは、交流同期型の電動機で構成され、励磁電流が印加されるとトルクを発生するとともに、外部からトルクが加えられると(例えばエンジン10から動力分割機構22を介して運動エネルギーが入力されると)、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換することによって電力を発生させる。発生した電力は、PCU29を介してバッテリ30へ供給される。また、第2モータ21bは、車両の減速時に発電機として機能することができ、駆動輪28からドライブシャフト27及び減速機26を介して動力伝達軸25に伝達される運動エネルギーを電気エネルギーに変換する、いわゆる回生発電を行うことができ、それによって発生した電力もPCU29を介してバッテリ30へ供給される。また、図1に示すハイブリッド車両100は、いわゆるプラグインハイブリッド車両であり、外部電源32からの電力供給が可能となるように充電プラグ31が設けられている。
エンジン1は、燃料噴射を行う燃料噴射弁18と、点火プラグ19とを気筒毎に有する。エンジン1の吸気通路12には、単位時間当たりの吸入空気量(吸気流量)を検出するためのエアフローメータ13が設けられ、その下流側には吸入空気量を調整するための電子制御式スロットルバルブ14が設けられている。また、エンジン1の排気通路2には、排気浄化を行うための触媒、特に電気加熱式触媒(以下「EHC」という)1が設けられている。EHC1は、電力の供給により発熱する担体を備えるが、その具体的な構成については後述する。
なお、本実施形態では触媒としてEHCを用いるが、本発明はEHC以外の触媒にも適用可能である。
ECU20は、前述のPCU29、燃料噴射弁18、点火プラグ19、スロットルバルブ14およびEHC1を制御するように構成されている。またECU20には、前述のエアフローメータ13およびスロットルバルブ14に加え、エンジン10のクランク角を検出するためのクランク角センサ11、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ15、エンジン10の冷却水温度を検出するための水温センサ16が電気的に接続されている。ECU20は、PCU29を介してバッテリ30の蓄電量の監視等も行う。またECU20には、排気通路2におけるEHC1の上流側に設置された排気温センサ6aおよび空燃比センサ6bが電気的に接続されている。
次に、EHC1の構成を図2および図3を参照して説明する。図2は、排気通路2の中心軸Aの方向に沿って切断したEHC1の断面図であり、図2における白抜き矢印は、排気通路2における排気の流れ方向を示している。また図3は、中心軸Aに垂直な方向に沿って切断したEHC1の断面図であり、図2のIII−III断面図である。EHC1は、基材もしくは担体(以下「触媒担体」という)3、ケース4、マット5、及び電極7を備えている。触媒担体3はケース4に収容されている。触媒担体3は、円柱状に形成されており、その中心軸が排気通路2の中心軸Aと同軸となるように設置されている。中心軸Aは、排気通路2、触媒担体3、及びケース4で共通の中心軸である。但しこれらを非同軸の関係で設置もしくは配置することも可能である。触媒担体3には、三元触媒の機能を果たす触媒成分13が担持されている。なお触媒成分13は、三元触媒の機能を果たすものに限られるものではなく、酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒、および選択還元型NOx触媒の何れかの機能を果たすものであってもよく、浄化すべき排ガス成分(CO,HC,NOx等)に適した触媒成分を適宜選択できる。
触媒担体3は、電力の供給により発熱する導電性の発熱体からなり、言い換えれば、通電されると電気抵抗となって発熱する材料によって形成されている。触媒担体3の材料としては、SiCを例示することができる。触媒担体3は、排気の流れる方向(すなわち、中心軸Aの方向)に伸び且つ排気の流れる方向と垂直な断面がハニカム状をなす複数の通路を有している。この通路を排気が流通する。本実施形態の場合、触媒担体3は円柱状であり、中心軸A(これは触媒担体3の中心軸でもある)の方向における所定の長さと、中心軸Aを基点とした所定且つ一定の半径とを有し、中心軸Aに垂直な方向の断面形状が円形である。但しその断面形状は任意であり、例えば楕円形等であっても良い。
触媒担体3の外周面3aには一対の電極7が接続されている。電極7は、表面電極7a及び軸電極7bによって形成されている。表面電極7aは、触媒担体3の外周面3aに沿って周方向及び軸方向に延び、すなわち触媒担体3の外周面3aの一部を覆うように延びている。また、一対の表面電極7aは、触媒担体3を間に挟むよう、触媒担体3の直径方向における互いに反対側の位置に配置されている。軸電極7bの一端は表面電極7aに接続されている。そして軸電極7bの他端は、ケース4内に形成された電極室9を通ってケース4の外側に突出している。このように構成される電極7に対して、バッテリ30から電力が供給され、触媒担体3への通電が行われる。この通電によって触媒担体3が発熱すると、触媒担体3に担持された触媒成分13が加熱され、その活性化が促進される。このようなEHC1への電力供給はECU20により制御される。
ケース4は金属によって形成されており、その材料としてはステンレス鋼材を例示することができる。ケース4の内壁面と触媒担体3の外周面3aとの間には比較的柔軟なマット5が挟み込まれている。つまり、触媒担体3はマット5を介してケース4により支持されている。このマット5は、電気絶縁材によって形成されている。マット5を形成する材料としては、アルミナを主成分とするセラミックファイバーを例示することができる。このように、マット5が触媒担体3とケース4との間に挟み込まれていることで、触媒担体3に通電したときに、ケース4へ電気が漏れ出ることが抑制される。また本実施形態のマット5は、上流側部分5aと下流側部分5bとに分割されており、上流側部分5aと下流側部分5bとの間には空間が形成されており、この空間は、電極7の軸電極7bを通すための電極室9を画定する。なお、マット5を上流側部分5aと下流側部分5bとに分割することなく、マット5の電極7が通る部分にのみ貫通孔を空けることで、電極室となる空間を画定してもよい。
また、軸電極7bを通すためにケース4に開けられている貫通孔には、軸電極7bを支持する電極支持部材8が設けられている。この電極支持部材8は電気絶縁材によって形成されており、ケース4と軸電極7bとの間を電気的に絶縁する。
さて、前述したように、本発明者らは鋭意研究の結果、エンジンの減速時、特に吸入空気量が急激に減少する吸入空気量の急減時に、触媒担体の所定部位間の温度差が拡大し、触媒担体にクラックが発生する可能性があるという新たな知見を得るに至った。このことについて説明する。
図4は、中心軸Aに垂直な方向のEHC1の断面図(但し図3とは異なる軸方向位置)を示す。触媒担体3の所定の部位(もしくは位置)として、触媒担体3の外周面3a上に位置する第1部位P1と、第1部位P1に対し担体半径方向内側且つ近傍に位置する第2部位P2との2つの部位を定める。第1部位P1と第2部位P2の間の間隔は例えば5mm程度である。これら第1部位P1と第2部位P2の間の温度差をΔTとする。なお触媒担体3の中心軸A上の部位を中心部位もしくは第3部位P3とする。
EHC1において、触媒担体3の外周面3aはマット5を介してケース4に接続されており、少なくとも触媒担体3のうちで最もケース4の近くに位置されている。またケース4は外気に晒されている。このため、外気がケース4の熱を奪い、ケース4が触媒担体3の熱をその外周面3aから奪う。よって、第1部位P1と第2部位P2の間には温度差ΔTが生じる。第1部位P1の温度をT1、第2部位P2の温度をT2とすると、T2>T1であり、ΔT=T2−T1である。
図5および図6は、触媒担体3、第1部位P1および第2部位P2を示す概略図である。図5は、エンジンが定常運転もしくは高負荷運転しているときの状態を示し、このとき触媒担体3は、その断面において、比較的高くかつほぼ均一な温度を有する。このため温度差ΔTは比較的小さい。
しかし、この状態からエンジンが減速運転され、特に吸入空気量が急激に減少されると、排気ガスから触媒担体3に供給されるエネルギー、具体的には熱量が減少し、もしくは実質的に停止する。このため、排気ガスから触媒担体3に供給される熱量が、触媒担体3の外周面3aから放散される熱量を大きく下回るようになる。すると図6に示すように、触媒担体3の外周面3aから半径方向内側に向かって徐々に触媒担体3の温度が低下していくという現象が生じる。この現象は、減速が急であるほど顕著である。そのため、第1部位P1の温度T1が第2部位P2の温度T2と比べて相対的に大きく低下し、図示されるように温度差ΔTが大きくなる。この温度差ΔTの拡大に起因して、触媒担体3に対する熱応力が増大し、熱応力が担体強度を上回ることで、触媒担体3にクラックが発生する虞がある。触媒担体3にクラックを発生させないような、許容される温度差の上限値ΔTlimは例えば120℃であり、温度差ΔTがこの上限値ΔTlimを超えると、触媒担体3にクラックが発生する虞がある。
特に、本実施形態のようなEHC1の触媒担体3は、通常の電気加熱式でない触媒の担体に比べ、担体強度が弱く、クラックが発生し易い傾向にある。またEHC1においては、触媒担体3にクラックが生じてしまうと、クラック部分の電気抵抗値がその他の部分よりも高くなる。そのため、EHC1に通電した際に、触媒担体3における通電量の分布が不均一となり、触媒担体3においてより大きな温度差が生じ、クラックの更なる増大・増加を招く虞がある。このため、微小のクラックでもその発生は避けなければならず、また減速時の温度差拡大には入念に対策する必要がある。
そこで本実施形態においては、エンジンの吸入空気量またはその相関値に基づいて、吸入空気量の急減を検出した場合に、排気ガスの温度を低下させるための低下制御を実行する。この低下制御は具体的にはECU20によって実行される。
このような低下制御を行うと、低下制御を行わない場合に比べ、排気ガスから触媒担体3に供給される熱量をより大きく低下させることができる。すると吸入空気量の急減を検出した場合に、第2部位P2の温度T2をより早く低下させ、第1部位P1の温度T1により早く近づけることができる。従って、触媒担体3における温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超えて拡大するのを抑制し、温度差拡大に起因する触媒担体3でのクラック発生を抑制することが可能である。
以下、本実施形態における制御の内容を具体的に説明する。
図7は、本実施形態の制御の第1実施例を説明するためのタイムチャートである。担体温度とは触媒担体3の温度であり、T1は第1部位P1の温度、T2は第2部位P2の温度、T3は中心部位もしくは第3部位P3の温度を示す(図4参照)。吸入空気量に関し、Gaはエアフローメータ13により検出された検出値、Gamaはその検出値に対し平均化処理を施した後の値である処理後検出値を示す。
図示例において、時刻t1でエンジンの減速が開始され、これに伴い担体温度および吸入空気量が低下している。降温フラグは、担体温度の低下速度が所定値以上であり、且つ担体温度が所定の下限温度TL以上のときオンとなり、それ以外のときにはオフとなるフラグである。ここで担体温度としては、触媒担体3の中心部位の温度T3が使用され、この値はECU20により、例えば排気温センサ6aの検出値に基づき推定される。なお担体温度の推定方法については公知方法を含め様々な方法が可能である。代替的に担体温度を温度センサで直接検出してもよく、これら推定及び検出を含めて取得という。このように本実施形態では担体温度を取得するための担体温度取得ユニットが設けられる。
本実施例では、降温フラグがオンのときに限って低下制御を実行するようにしている。その理由は、不必要に低下制御を実行しないためである。すなわち、担体温度の低下速度が所定値未満のときには、そもそも温度差ΔTの拡大が生じ難い。また、担体温度が下限温度TL未満のときには、担体温度が元々低く、温度差ΔTが許容上限値ΔTlim(例えば120℃)を超えないか、または超える可能性が著しく低い。分かり易い例で説明すると、外気温が25℃、担体温度が100℃という条件下では、減速が発生したとしても、温度差ΔTは理論上75℃までしか拡大しない。こうした条件下で低下制御を行う必要はないので、低下制御を停止する。これにより、明らかに不必要な低下制御を実行することを回避でき、制御の好適化が図れる。もっとも、こうした条件を付加するのは任意であり、この条件を省略した実施例も可能である。
担体温度の低下速度の所定値および担体温度の下限温度TLは、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。図示例では、時刻t2で降温フラグがオンされ、時刻t5で降温フラグがオフされている。なお担体温度の低下速度は例えば担体温度の微分値を算出することにより得ることができる。
吸入空気量は、本実施形態の場合エアフローメータ13とECU20により検出するが、ECU20により推定してもよい。このように本実施形態では吸入空気量を取得するための吸入空気量取得ユニットが設けられる。
吸入空気量の処理後検出値Gamaは、吸入空気量の検出値Gaに対し平均化処理(いわゆるなまし処理)を施した後の値(いわゆるなまし値)である。本実施形態では平均化処理として移動平均値算出処理を採用し、処理後検出値Gamaを検出値Gaの移動平均値とする。しかしながら、他の平均化処理を採用することも可能である。いずれにしても、処理後検出値Gamaが検出値Gaよりも遅れて且つ緩慢に変化するように、検出値Gaが平均化処理される。
具体的には、ECU20は、今回(n)の演算時期から(N−1)回前の演算時期までの検出値Gaのデータに基づき、次式により、今回の演算時期における処理後検出値Gamanを算出する。Nは予め定められたサンプル数である。
この処理後検出値Gamanを演算周期毎に毎回更新することで、各演算時期において現在から過去のNサンプルのデータに基づく最新の処理後検出値Gamaを算出することができる。
図示するように、エンジンの減速開始後、吸入空気量の検出値Gaが急激に且つ大きく減少し、これに追従するように吸入空気量の処理後検出値Gamaも遅れて且つ緩慢に減少する。
本実施例では、吸入空気量とその平均化処理後の値との差分に基づいて、吸入空気量の急減が検出される。具体的には、検出値Gaと処理後検出値Gamaとの差分ΔGaが所定の差分しきい値ΔGasより大きくなったとき、吸入空気量の急減が検出される。そして差分ΔGaが差分しきい値ΔGasより大きいとき、その間、低下制御を実行するようにしている。ここでエンジンが減速されたときには図示するように処理後検出値Gamaが検出値Gaよりも大きくなる。よって便宜上、差分をΔGa=Gama−Gaと定義する。但し他の定義方法も可能である。
エンジンの減速が急であるほど、温度差ΔTは大きくなり、差分ΔGaも大きくなる傾向がある。よって差分ΔGaが差分しきい値ΔGasより大きいとき、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるとして、その間、低下制御を実行する。差分しきい値ΔGasは、許容上限値ΔTlimを考慮し、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。本実施形態の制御は特に温度差ΔTが大きくなり易いエンジンの急減速の際に有効である。
図示例では、時刻t3で差分ΔGaが差分しきい値ΔGasより大きくなり、時刻t4で差分ΔGaが差分しきい値ΔGas以下となっている。t3〜t4の期間は、降温フラグがオンとなっている期間t2〜t5内に含まれる。
よって、t3〜t4の期間で低下制御がオン(実行)され、これにより温度差ΔTの拡大、ひいては触媒担体3でのクラック発生を抑制できる。特に吸入空気量が急減された場合、検出値Gaが処理後検出値Gamaから乖離する期間が長くなるので、低下制御を実行する期間も長くすることができ、温度差ΔTの拡大期間の長期化に合わせて効果的に低下制御を実行できる。
本実施例では、吸入空気量に基づいて吸入空気量の急減を検出するが、吸入空気量の相関値に基づいて吸入空気量の急減を検出することもできる。かかる相関値としては例えばアクセル開度、スロットル開度、排気流量等を挙げることができる。なおアクセル開度はアクセル開度センサ15により、スロットル開度はスロットルバルブ14に組み込まれたスロットル開度センサにより、排気流量は付加的に設けられた排気流量センサにより、それぞれ検出可能である。
本実施形態の低下制御は、エンジンの冷間時にも温間時にも実行可能である。いずれのときにも吸入空気量の急減時に温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるからである。
ここで、低下制御の具体的内容について説明する。本実施形態の低下制御は、エンジンの燃焼室内における空燃比をリッチ化するリッチ制御と、エンジンの点火時期を進角する進角制御との少なくとも一方を含む。
まずリッチ制御について説明する。本実施形態のエンジンでは、通常、エミッション抑制の観点から、排気空燃比が理論空燃比すなわちストイキ近傍の空燃比になるように、空燃比がECU20により制御されている。すなわち、空燃比センサ6bによって検出された実際の排気空燃比が所定の目標空燃比であるストイキに一致するよう、燃料噴射量がフィードバック制御されている。この制御をストイキ制御と称する。
リッチ制御は、空燃比をストイキよりもリッチな値にする制御である。このリッチ制御を行うと、ストイキ制御が行われているときよりも、排気の有するエネルギーすなわち熱量を低下させ、排気ガスの温度を低下させることができる。
リッチ制御時、燃料噴射量が、ストイキ制御時の燃料噴射量よりも増量される。例えば、リッチ制御時の燃料噴射量Qrは次式により算出される。
Qfbはストイキ制御時の燃料噴射量、Krは所定のリッチ補正係数(Kr>1)、Qbはエンジンの回転数Ne(rpm)および負荷KLに基づきマップ等から算出される基本噴射量、Kfbは実際の排気空燃比と目標空燃比との差に基づく空燃比フィードバック補正係数である。なお回転数Neはクランク角センサ16の出力から、負荷KLは吸入空気量Ga等から、それぞれECU20により算出される。ここでは燃料噴射量の増量により空燃比をリッチ化したが、吸入空気量の減量により空燃比をリッチ化してもよい。他にも、リッチ制御の方法は公知方法を含め様々な方法が可能である。
次に進角制御について説明する。本実施形態のエンジンでは、通常、点火時期が、回転数Neおよび負荷KLに基づきマップ等から算出される基本点火時期になるよう、ECU20により制御されている。進角制御は、点火時期を基本点火時期よりも進角された値にする制御である。この進角制御を行うと、通常の点火時期制御が行われているときよりも、燃焼室内での点火タイミングを早め、排気ガスが燃焼室からEHC1に到達するまでの排気エネルギーすなわち熱量の損失を大きくし、EHC1に供給される排気ガスの温度を低下させることができる。
例えば、進角制御時の点火時期θaは次式により算出される。
θbは基本点火時期、θhは所定の進角補正量(θh>0)である。点火時期はマイナス側が進角側である。他にも、進角制御の方法は公知方法を含め様々な方法が可能である。
なお、リッチ制御に際して、特許文献1に記載されているように、回転数Ne、担体温度T3および車速の少なくとも一つに応じてリッチ化度合い(具体的にはリッチ補正係数Krおよび/または進角補正量θhの大きさ)を変化させてもよい。また低下制御を行うに当たり、リッチ制御と進角制御のいずれか一方を行ってもよいし、両方を行ってもよい。
また、低下制御は、エンジンの減速時であって且つ燃料噴射が停止されていない(すなわちフューエルカットが実行されてない)ときに実行される。燃料噴射が停止されていると、低下制御としてのリッチ制御および/または進角制御が意味をなさなくなってしまうからである。従って低下制御は、エンジンの減速時であって、且つ燃料噴射停止条件(例えばアクセル開度がゼロで且つ回転数Neが所定回転数以上)が非成立のときに実行される。
次に、本実施例の制御ルーチンを図8を参照して説明する。当該ルーチンは、ECU20により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、エンジン10が運転中であるか否かが判断される。運転中でない(停止中である)場合はルーチンが終了され、運転中である場合はステップS102に進む。
ステップS102では、降温フラグがオンであるか否かが判断される。オンである場合、ステップS103に進んで、差分ΔGaが差分しきい値ΔGasより大きいか否かが判断される。差分ΔGaが差分しきい値ΔGasより大きい場合、ステップS104に進んで低下制御が実行(オン)される。
他方、ステップS102で降温フラグがオンでない(オフである)場合、およびステップS103で差分ΔGaが差分しきい値ΔGas以下である場合には、いずれも、ステップS105に進んで低下制御が停止(オフ)される。
次に、本実施形態の制御の第2実施例を説明する。図9は第2実施例に係るタイムチャートであり、図9の担体温度、降温フラグおよび低下制御については図7のそれらと同じである。吸入空気量についてはその検出値Gaのみを示し、その変化の仕方は図7と同じである。
図9は、吸入空気量の検出値Gaの微分値Gadを示す。微分値Gadは次式からECU20により逐次的に算出される。
Gadnは今回(n)の演算時期における微分値、Ganは今回の演算時期における吸入空気量検出値、Gan-1は前回(n−1)の演算時期における吸入空気量検出値である。特に、負の値を有する微分値Gadは吸入空気量の減少速度を表し、微分値Gadがマイナス方向に大きいほど、吸入空気量の減少速度は速くなる。
本実施例では、吸入空気量の減少速度に基づいて、吸入空気量の急減が検出される。特に、吸入空気量の減少速度が所定の速度しきい値を超えたときに吸入空気量の急減が検出される。そして吸入空気量の減少速度が所定の速度しきい値を超えた時から所定の実行時間Δtsの間、前記低下制御を実行するようにしている。ここで、吸入空気量の急減が発生すると、図示するように、微分値Gadが、負の値を有する所定の微分しきい値Gadsよりも小さくなる。よって本実施例では、微分値Gadが微分しきい値Gadsより小さくなったとき、吸入空気量の減少速度が所定の速度しきい値を超えたとして、低下制御を実行する。微分しきい値Gadsは速度しきい値に対応する値である。但し、他の値により吸入空気量の減少速度および速度しきい値を表すことも可能である。
エンジンの減速が急であるほど、温度差ΔTは大きくなり、また小さな微分値Gadが現れる傾向にある。温度差ΔTと微分値Gadの関係を模式的に図10に示す。よって微分値Gadが微分しきい値Gadsより小さくなったとき、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるとして、実行時間Δtsの間、低下制御を実行する。微分しきい値Gadsは、図10に示すように、温度差ΔTの許容上限値ΔTlimを考慮し、または許容上限値ΔTlimに対応するように、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。また低下制御の実行時間Δtsも同様に、温度差ΔTの許容上限値ΔTlimを考慮し、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。
図9に示す例では、時刻t3で微分値Gadが微分しきい値Gadsよりも小さくなり、この時刻t3から所定の実行時間Δtsを経過した時刻t4まで、低下制御がオン(実行)されている。これらt3〜t4の期間は、降温フラグがオンとなっている期間t2〜t5内に含まれる。こうした低下制御を実行することによっても、温度差ΔTの拡大ひいては触媒担体3でのクラック発生を抑制することができる。
本実施例においては、吸入空気量に基づいて吸入空気量の急減を検出するが、吸入空気量の相関値に基づいて吸入空気量の急減を検出してもよいことは前記同様である。
本実施例の制御ルーチンを図11を参照して説明する。当該ルーチンも、ECU20により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
ステップS201,S202,S207,S209は前記ステップS101,S102,S104,S105と同様である。ステップS202で降温フラグがオンである場合、ステップS203に進んで低下制御フラグがオンであるか否かが判断される。低下制御フラグの初期状態はオフである。オンでない(オフである)場合、ステップS204に進んで、微分値Gadが微分しきい値Gadsより小さいか否かが判断される。イエスの場合、ステップS205に進んで低下制御フラグがオンされる。
次いでステップS206で、微分値Gadが微分しきい値Gadsを最初に下回った時点からの経過時間Δtが、所定の実行時間Δts以下であるか否かが判断される。イエスの場合、ステップS207に進んで低下制御が実行される。
他方、ステップS203で低下制御フラグがオンと判断された場合、ステップS204,S205をスキップしてステップS206に進む。ステップS206で経過時間Δtが実行時間Δtsを超えたと判断された場合、ステップS208に進んで低下制御フラグがオフされ、ステップS209で低下制御が停止される。ステップS202の判定がノーの場合も、ステップS209で低下制御が停止される。
このルーチンによれば、ステップS201,S202がイエスと仮定して、最初に微分値Gadが微分しきい値Gadsを下回ったとき(S204:イエス)、低下制御フラグがオンされ(S205)、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えてないので(S206:イエス)、低下制御が実行される(S207)。その後、低下制御フラグがオンなので、ステップS203からステップS206に直接進み、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えるまでは(S206:イエス)、低下制御が実行される(S207)。その後、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えると(S206:ノー)、低下制御フラグがオフされ(S208)、低下制御が停止される(S209)。
ここで、本実施例の変形例について述べる。低下制御の実行時間Δtsは、一定であってもよいが、可変でもよい。特に、吸入空気量(またはその相関値)の減少速度の最大値に応じて実行時間Δtsを変化させるのが好ましい。
図9に示すように、負の微分値Gadは、吸入空気量の検出値Gaの減少速度を表す。そして負の微分値Gadは、微分しきい値Gadsを下回った後、最小値(極小値)Gadpに達し、その後徐々に増加する。この最小値Gadpが吸入空気量の減少速度の最大値を表す。最小値Gadpが小さいほど、吸入空気量の減少速度の最大値は大きい。
この好ましい例では、最小値Gadpの値に応じて実行時間Δtsが変化させられる。具体的には、例えば図12に示すような所定のマップに従い、最小値Gadp(負の値を有する)が小さいほど、すなわち吸入空気量の減少速度の最大値が大きいほど、実行時間Δtsが長くされる。
吸入空気量の減少速度の最大値が大きいほど、吸入空気量の減少は急であり、温度差ΔTは大きくなると考えられる。よって、吸入空気量の減少速度の最大値が大きいほど実行時間Δtsを長くすることで、温度差ΔTの拡大を効果的に抑制することができる。
この変形例を図11のルーチンに適用した場合、ステップS206において、最小値Gadpの取得と、取得した最小値Gadpに対応した実行時間Δtsの算出および設定とが併せて実行される。なお最小値Gadpの取得前は所定の一定値としての実行時間Δtsが設定されてもよい。
次に、本実施形態の制御の第3実施例を説明する。本実施例では、エンジンの減速時(特に吸入空気量の急減時)に加え、加速時(特に吸入空気量の急増時)にも、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超えないよう低下制御を実行する。
触媒担体3がその断面においてほぼ均一な温度を有する状態から、エンジンが加速運転されると、排気ガスから触媒担体3に供給されるエネルギー、具体的には熱量が増大し、その熱量が、触媒担体3の外周面3aから放散される熱量を大きく上回るようになる。すると、第2部位P2の温度T2が第1部位P1の温度T1と比べて相対的に大きく上昇し、温度差ΔTが大きくなる。この現象は、加速が急であるほど顕著に現れる。そのため、この温度差ΔTの拡大に起因して熱応力が増大し、触媒担体3にクラックが発生する虞がある。
そこで本実施例においては、エンジンの加速時にも、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超えないよう、低下制御を実行する。低下制御を実行すると、低下制御を実行しない場合に比べ、第2部位P2の温度T2の上昇を抑制し、第2部位P2の温度T2を第1部位P1の温度T1に近づけることができる。従って、触媒担体3における温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超えて拡大するのを抑制し、温度差拡大に起因する触媒担体3でのクラック発生を抑制することが可能である。
図13は第3実施例に係るタイムチャートである。時刻t1でエンジンの加速が開始され、これに伴い担体温度および吸入空気量が増加している。昇温フラグは、担体温度T3の上昇速度が所定値以上であり、且つ担体温度が所定の上限温度TH以下のときオンとなり、それ以外のときにはオフとなるフラグである。なお上限温度THは前記下限温度TLより相当に高い温度である。
本実施例では、昇温フラグがオンのときに限って低下制御を実行する。その理由は前記同様、不必要に低下制御を実行しないためである。すなわち、担体温度の上昇速度が所定値未満のときには、そもそも温度差ΔTの拡大が生じ難い。また、担体温度が上限温度THより高いときには、担体温度が相当高く、排気ガスから触媒担体3に供給される熱量が増大しても、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超えないか、または超える可能性が著しく低い。分かり易い例で説明すると、担体温度が900℃という高温条件下で加速が発生したとしても、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性は極めて低い。こうした条件下で低下制御を行う必要はないので、低下制御を停止する。これにより制御の好適化が図れる。もっとも、こうした条件を付加するのは任意であり、この条件を省略した実施例も可能である。
担体温度の上昇速度の所定値および担体温度の上限温度THは、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。図示例では、時刻t2で昇温フラグがオンされ、時刻t5で昇温フラグがオフされている。
この例では、第1実施例(図7)と同様、吸入空気量の処理後検出値Gamaを用いる。図13に示すように、エンジンの加速開始後、吸入空気量の検出値Gaが大きく増大し、これに追従するように吸入空気量の処理後検出値Gamaも遅れて且つ緩慢に増大する。
本実施例では、検出値Gaと処理後検出値Gamaとの差分が所定の差分しきい値より大きいとき、低下制御を実行する。ここで、差分は前記同様、ΔGa=Gama−Gaで定義され、加速時には差分ΔGaが負の値を有する。よって便宜上、差分ΔGaの絶対値を差分として扱い、これを正の値を有する差分しきい値ΔGasaと比較し、|ΔGa|>ΔGasaのとき低下制御を実行する。
エンジンの加速が急であるほど、温度差ΔTは大きくなり、差分ΔGaの絶対値も大きくなる傾向がある。よって差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasaより大きいとき、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるとして、その間、低下制御を実行する。差分しきい値ΔGasは、許容上限値ΔTlimを考慮し、あるいはこれに対応するよう、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。本実施形態は、特に急加速の際に有効である。
図示例では、時刻t3で差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasより大きくなり、時刻t4で差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGas以下となっている。t3〜t4の期間は、昇温フラグがオンとなっている期間t2〜t5内に含まれる。
よって図13に示すように、t3〜t4の期間で低下制御がオン(実行)され、これにより温度差ΔTの拡大、ひいては触媒担体3でのクラック発生を抑制できる。特にエンジンが急加速された場合、検出値Gaが処理後検出値Gamaから乖離する期間が長くなるので、低下制御を実行する期間も長くすることができ、温度差ΔTの拡大期間の長期化に合わせて効果的に低下制御を実行できる。
このように本実施例においては、差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasより大きいか否かによって、エンジンの加速時(特に急加速時)であるか否か、あるいはエンジンの加速が発生したか否かを実質的に判定している。つまり差分ΔGaの絶対値に基づいて加速判定を行っている。但し他の方法によって加速判定を行ってもよい。
なお、吸入空気量の代わりに、吸入空気量の相関値に基づいて加速判定を行ってもよいことは前記同様である。
本実施例に係る加速時の低下制御は、特許文献1と異なり、エンジンの冷間始動直後の加速時以外にも実行可能である。それ以外のときにも温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるからである。
本実施例の制御ルーチンを図14を参照して説明する。ここでは第1実施例(図8)と組み合わせた例を示すが、第2実施例(図11)と組み合わせた例も当然に可能であり、且つそのような例は当業者に自明の範疇である。
ステップS301〜S305は第1実施例(図8)のステップS101〜S105と同じである。ステップS102で降温フラグがオンでない場合、ステップS306に進んで、昇温フラグがオンであるか否かが判断される。オンである場合、ステップS307に進んで、差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasaより大きいか否かが判断される。差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasaより大きい場合、ステップS308に進んで低下制御が実行される。
他方、ステップS306で昇温フラグがオンでない場合、およびステップS307で差分ΔGaの絶対値が差分しきい値ΔGasa以下である場合には、いずれも、ステップS309に進んで低下制御が停止される。
次に、本実施形態の制御の第4実施例を説明する。本実施例も、エンジンの減速時(特に吸入空気量の急減時)だけでなく加速時(特に吸入空気量の急増時)にも低下制御を実行するが、第2実施例に類似して、吸入空気量の増大速度に基づいて低下制御の開始タイミングを定める点が、第3実施例と相違する。
図15は第4実施例に係るタイムチャートであり、図15の担体温度、昇温フラグおよび低下制御については図13のそれらと同じである。吸入空気量についてはその検出値Gaのみを示し、その変化の仕方は図13と同じである。
図15は、吸入空気量の検出値Gaの微分値Gadを示す。微分値Gadは第2実施例と同様の方法で算出される。特に、正の値を有する微分値Gadは吸入空気量の増大速度を表し、微分値Gadがプラス方向に大きいほど、吸入空気量の増大速度は速くなる。
本実施例では、エンジンの加速時、吸入空気量の増大速度が所定の速度しきい値を超えた時から所定の実行時間Δtsの間、低下制御を実行する。ここでエンジンがある程度以上加速されたときには、図示するように、微分値Gadが、正の値を有する所定の微分しきい値Gadsaよりも大きくなる。よって本実施例では、微分値Gadが微分しきい値Gadsaより大きくなったとき、吸入空気量の増大速度が所定の速度しきい値を超えたとして、低下制御を実行する。但し、他の値により吸入空気量の増大速度および速度しきい値を表すことも可能である。
エンジンの加速が急であるほど、温度差ΔTは大きくなり、また大きな微分値Gadが現れる傾向にある。よって微分値Gadが微分しきい値Gadsaより大きくなったとき、温度差ΔTが許容上限値ΔTlimを超える可能性があるとして、実行時間Δtsの間、低下制御を実行する。微分しきい値Gadsaは、温度差ΔTの許容上限値ΔTlimを考慮し、またはそれに対応するよう、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される(図10参照)。また低下制御の実行時間Δtsも同様に、温度差ΔTの許容上限値ΔTlimを考慮し、実機試験等を通じて最適に設定(適合)され、ECU20のメモリに予め記憶される。なお、ここでは実行時間Δtsを減速時と加速時で同じ値としているが、異なる値としてもよい。同様に、加速時の微分しきい値Gadsaの絶対値は、減速時の微分しきい値Gadsの絶対値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
図15に示す例では、時刻t3で微分値Gadが微分しきい値Gadsaよりも大きくなり、この時刻t3から所定の実行時間Δtsを経過した時刻t4まで、低下制御がオン(実行)されている。これらt3〜t4の期間は、昇温フラグがオンとなっている期間t2〜t5内に含まれる。こうした低下制御を実行することによっても、温度差ΔTの拡大ひいては触媒担体3でのクラック発生を抑制することができる。
本実施例においては、吸入空気量の増大速度が速度しきい値を超えたか否か、具体的には微分値Gadが微分しきい値Gadsaよりも大きくなったか否かによって、エンジンの加速時(特に急加速時)であるか否か、あるいはエンジンの加速が発生したか否かを実質的に判定している。つまり吸入空気量の増大速度ないしは微分値Gadに基づいて加速判定を行っている。しかしながら、他の判定方法が可能な点は前記同様である。また吸入空気量の代わりに、吸入空気量の相関値を用いて加速判定を行ってもよいことも前記同様である。
本実施例の制御ルーチンを図16を参照して説明する。ここでは第2実施例(図11)と組み合わせた例を示すが、第1実施例(図8)と組み合わせた例も当然に可能であり、且つそのような例は当業者に自明の範疇である。
ステップS401〜S409は第2実施例(図11)のステップS201〜S209と同じである。ステップS402で降温フラグがオンでない場合、ステップS410に進んで昇温フラグがオンであるか否かが判断される。昇温フラグがオンである場合、ステップS411に進んで低下制御フラグがオンであるか否かが判断される。オンでない場合、ステップS412に進んで、微分値Gadが微分しきい値Gadsaより大きいか否かが判断される。イエスの場合、ステップS413に進んで低下制御フラグがオンされる。
次いでステップS414で、微分値Gadが微分しきい値Gadsaを最初に上回った時点からの経過時間Δtが、所定の実行時間Δts以下であるか否かが判断される。イエスの場合、ステップS415に進んで低下制御が実行される。
他方、ステップS411で低下制御フラグがオンと判断された場合、ステップS412,S413をスキップしてステップS414に進む。ステップS414で経過時間Δtが実行時間Δtsを超えたと判断された場合、ステップS413に進んで低下制御フラグがオフされ、ステップS417で低下制御が停止される。ステップS410の判定がノーの場合も、ステップS417で低下制御が停止される。
このルーチンによれば、ステップS401がイエス、ステップS402がノー、ステップS410がイエスと仮定して、最初に微分値Gadが微分しきい値Gadsaを上回ったとき(S412:イエス)、低下制御フラグがオンされ(S413)、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えてないので(S414:イエス)、低下制御が実行される(S415)。その後、低下制御フラグがオンなので、ステップS411からステップS414に直接進み、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えるまでは(S414:イエス)、低下制御が実行される(S415)。その後、経過時間Δtが実行時間Δtsを超えると(S414:ノー)、低下制御フラグがオフされ(S416)、低下制御が停止される(S417)。
本実施例の変形例に関し、加速時における低下制御の実行時間Δtsは、一定であってもよいが、可変でもよい。特に、吸入空気量(またはその相関値)の増大速度の最大値に応じて実行時間Δtsを変化させるのが好ましい。
図15に示すように、正の微分値Gadは、吸入空気量の検出値Gaの増大速度を表す。そして正の微分値Gadは、微分しきい値Gadsaを上回った後、最大値Gadpaに達し、その後低下する。この最大値Gadpaが吸入空気量の増大速度の最大値を表す。最大値Gadpaが大きいほど、吸入空気量の増大速度の最大値は大きい。
この好ましい例では、最大値Gadpaの値に応じて実行時間Δtsが変化させられる。具体的には、例えば図17に示すような所定のマップに従い、最大値Gadpa(正の値を有する)が大きいほど、すなわち吸入空気量の増大速度の最大値が大きいほど、実行時間Δtsが長くされる。
吸入空気量の増大速度の最大値が大きいほど、エンジンの加速度合いは大きく、温度差ΔTは大きくなると考えられる。よって、吸入空気量の増大速度の最大値が大きいほど実行時間Δtsを長くすることで、温度差ΔTの拡大を効果的に抑制することができる。
この変形例を図16のルーチンに適用した場合、ステップS414において、最大値Gadpaの取得と、取得した最大値Gadpaに対応した実行時間Δtsの算出および設定とが併せて実行される。なお最大値Gadpaの取得前は所定の一定値としての実行時間Δtsが設定されてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は他の実施形態も可能である。
(1)触媒はEHC以外の触媒であってもよい。EHC以外の触媒でも、エンジン減速時に温度差ΔTの拡大に起因する触媒担体3でのクラック発生が起こり得るからである。
(2)上記実施形態では、第1部位P1を、触媒担体3の外周面3a上に位置する部位とし、第2部位P2を、第1部位P1に対し担体半径方向内側且つ近傍に位置する部位とした。これら部位間の温度差が最も大きくなり易いからである。しかしながら、これら第1部位P1および第2部位P2を異なる部位に設定してもよい。例えば、第1部位P1を、触媒担体3の外周面3aに対し担体半径方向内側且つ近傍に位置する部位とし、第2部位P2を、第1部位P1に対しさらに担体半径方向内側且つ近傍に位置する部位としてもよい。
上記の各実施形態、各実施例および各構成は、矛盾が生じない限り任意に組み合わせることが可能である。本発明の実施形態には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 電気加熱式触媒(EHC)
2 排気通路
3 担体(触媒担体)
4 ケース
5 マット
7 電極
10 内燃機関(エンジン)
12 吸気通路
13 エアフローメータ
14 スロットルバルブ
20 電子制御ユニット(ECU)
30 バッテリ
100 車両
2 排気通路
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10 内燃機関(エンジン)
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13 エアフローメータ
14 スロットルバルブ
20 電子制御ユニット(ECU)
30 バッテリ
100 車両
Claims (10)
- 排気通路に設けられた触媒を有する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の吸入空気量またはその相関値に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出した場合に、排気ガスの温度を低下させるための低下制御を実行するように構成された制御ユニットを備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度が所定の速度しきい値を超えた時から所定の実行時間の間、前記低下制御を実行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値の減少速度の最大値に応じて前記実行時間を変化させる
ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記吸入空気量またはその相関値と、当該吸入空気量またはその相関値の平均化処理後の値との差分に基づいて、前記吸入空気量の急減を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記差分が所定の差分しきい値より大きいとき、前記低下制御を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御ユニットは、前記担体の温度の低下速度が所定値以上であり且つ前記担体の温度が所定の下限温度以上のとき、前記低下制御を実行する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記低下制御が、前記内燃機関の燃焼室内における空燃比をリッチ化するリッチ制御を含む
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関が火花点火式内燃機関であり、前記低下制御が、前記内燃機関の点火時期を進角する進角制御を含む
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記触媒が、電力の供給により発熱する前記担体を備える電気加熱式触媒からなる
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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