JP2017014969A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Hiroshi Tanaka
比呂志 田中
圭介 永坂
Keisuke Nagasaka
圭介 永坂
和樹 鶴見
Kazuki Tsurumi
和樹 鶴見
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Abstract

【課題】電気加熱式触媒に作用する熱応力を低減する。【解決手段】触媒コンバータ38内において、電気加熱式触媒51が配置されると共に、電気加熱式触媒上流に前段触媒53が配置される。前段触媒は、中央部53Cに炭化水素吸着材56を担持すると共に外周部53Pに酸化触媒57を担持する。内燃機関を始動すべき信号が発せられたときに、まず、電気加熱式触媒の温度を電気加熱式触媒の活性温度以上に設定された設定温度よりも高くするのに必要な第1の設定エネルギ量の電気エネルギが電気加熱式触媒に供給され、次いで内燃機関が始動される。【選択図】図1

Description

本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
機関排気通路内に配置された電気加熱式触媒と、電気加熱式触媒上流の機関排気通路内に配置された触媒付き炭化水素吸着材と、を備えた内燃機関の排気浄化装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。この排気浄化装置では、電気加熱式触媒として白金Pt及びロジウムRhが用いられ、炭化水素吸着材としてゼオライトが用いられる。また、炭化水素吸着材には白金Pt及びロジウムRhが担持されている。
特許文献1では、機関を始動すべきときには電気加熱式触媒への通電を停止したまま機関が始動され、このとき機関から排出される排気ガス中の炭化水素は炭化水素吸着材に吸着される。次いで、電気加熱式触媒への通電が開始され、電気加熱式触媒が加熱される。したがって、特許文献1には必ずしも明確に記載されていないけれども、特許文献1では、次いで内燃機関からの排気ガスの温度が上昇したときに排気ガスにより炭化水素吸着材が加熱されて炭化水素吸着材から炭化水素が脱離し、次いで脱離した炭化水素が炭化水素吸着材上の触媒又は電気加熱式触媒により浄化されると考えられる。
特開平5−031359号公報
ところで、一般に、電気加熱式触媒への通電が行われたときにおいて、電気加熱式触媒の中央部から周囲雰囲気への放熱量は比較的少ないのに対し、電気加熱式触媒の外周部から周囲雰囲気への放熱量は比較的多く、このため電気加熱式触媒の中央部と電気加熱式触媒の外周部との間には比較的大きな温度差が存在する。
ところが、この温度差が過度に大きいと、電気加熱式触媒に過度に大きな熱応力が作用するおそれがあり、電気加熱式触媒が破損するおそれがある。
本発明によれば、内燃機関の排気通路内に配置された電気加熱式触媒と、前記電気加熱式触媒上流の前記排気通路内に配置された前段触媒であって、中央部に炭化水素吸着材を担持すると共に外周部に酸化触媒を担持する前段触媒と、前記内燃機関を始動すべき信号が発せられたときに、まず、前記電気加熱式触媒の温度を前記電気加熱式触媒の活性温度以上に設定された設定温度よりも高くするのに必要な第1の設定エネルギ量の電気エネルギを前記電気加熱式触媒に供給し、次いで前記内燃機関を始動するように構成されている制御器と、を備えた、内燃機関の排気浄化装置が提供される。
電気加熱式触媒の中央部と電気加熱式触媒の外周部との間の温度差を低減できるので、電気加熱式触媒に作用する熱応力を低減することができる。
内燃機関及び出力調整装置の全体図である。 触媒コンバータの部分側面断面図である。 前段触媒の部分拡大正面図である。 別の実施例による前段触媒の側面図である。 電気加熱式触媒の半径方向の温度分布を示す線図である。 粒子状物質が堆積した触媒コンバータの部分側面断面図である。 車両制御の第1実施例を説明するタイムチャートである。 第1の設定エネルギ量QEC1のマップを示す図である。 第2の設定エネルギ量QEC2のマップを示す図である。 機関回転数Ne及び酸素貯蔵量QOXを説明するタイムチャートである。 車両制御の第1実施例の通電制御ルーチンを示すフローチャートである。 車両制御の第1実施例の通電制御ルーチンを示すフローチャートである。 車両制御の第1実施例の機関始動制御ルーチンを示すフローチャートである。 車両制御の第1実施例の運転モード制御ルーチンを示すフローチャートである。 車両制御の第2実施例を説明するタイムチャートである。 車両制御の第2実施例の通電制御ルーチンを部分的に示すフローチャートである。 車両制御の第3実施例を説明するタイムチャートである。 車両制御の第3実施例の通電制御ルーチンを部分的に示すフローチャートである。 車両制御の第3実施例の運転モード制御ルーチンを示すフローチャートである。 車両制御の第3実施例の空燃比制御ルーチンを示すフローチャートである。
図1は、電気モータのみ又は内燃機関及び電気モータにより駆動されるハイブリッド車両に本発明を適用した場合を示している。この場合、ハイブリッド車両には内燃機関1と出力調整装置2とが搭載される。図示しない別の実施例では、内燃機関のみにより駆動される車両に本発明が適用される。
まず初めに図1を参照しつつ出力調整装置2について簡単に説明する。本発明による実施例では出力調整装置2が、電気モータ及び発電機として作動する第1のモータジェネレータMG1及び第2のモータジェネレータMG2と遊星歯車機構3とにより構成される。この遊星歯車機構3はサンギア4と、リングギア5と、サンギア4とリングギア5間に配置されたプラネタリギア6と、プラネタリギア6を担持するプラネタリキャリア7とを具備する。サンギア4は第1のモータジェネレータMG1の回転軸8に連結され、プラネタリキャリア7は内燃機関1の出力軸又はクランクシャフト9に連結される。また、リングギア5は一方では第2のモータジェネレータMG2の回転軸10に連結され、他方では駆動輪に連結された出力軸12にベルト11を介して連結される。したがってリングギア5が回転するとそれに伴って出力軸12が回転せしめられることがわかる。
各モータジェネレータMG1,MG2はそれぞれ対応する回転軸8,10上に取付けられかつ外周面に複数個の永久磁石を取付けたロータ13,15と、回転磁界を形成する励磁コイルを巻設したステータ14,16とを具備した交流同期電動機からなる。各モータジェネレータMG1,MG2のステータ14,16の励磁コイルはそれぞれ対応するモータ駆動制御回路17,18に接続され、これらモータ駆動制御回路17,18は直流高電圧を充電又は放電するバッテリ19に接続される。モータ駆動制御回路17,18はバッテリ19からの直流低電圧を交流高電圧に変換し又はモータジェネレータMG1,MG2からの交流高電圧を直流低電圧に変換する機能を有する。なお、本発明による実施例ではバッテリ19は車両外部から充電可能であり、車両外部に放電可能である。図示しない別の実施例では、バッテリ19は車両外部から充電不可能であり、車両外部に放電不可能である。また、本発明による実施例では第2のモータジェネレータMG2は主に電気モータとして作動し、第1のモータジェネレータMG1は主に発電機として作動する。
電子制御ユニット又は制御器20はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス21によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセッサ)24、入力ポート25及び出力ポート26を具備する。アクセルペダル27にはアクセルペダル27の踏み込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ28が接続され、負荷センサ28の出力電圧は対応するAD変換器25aを介して入力ポート25に入力される。また入力ポート25にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ29が接続される。更に入力ポート25にはバッテリ19の充電量を表す信号及びその他の種々の信号が対応するAD変換器25aを介して入力される。一方、出力ポート26は各モータ駆動制御回路17,18に接続されると共に対応する駆動回路26aを介して内燃機関1の制御すべき要素、例えば燃料噴射弁、点火栓、スロットル弁、電気加熱式触媒等に接続される。
次に内燃機関1について説明する。本発明による実施例では内燃機関1は火花点火式内燃機関から構成される。図示しない別の実施例では内燃機関1は圧縮着火式内燃機関から構成される。
図1を参照すると、30は機関本体、31は燃焼室、32は吸気枝管、33はサージタンク、34は吸気ダクト、35はエアクリーナ、36は排気マニホルド、37は排気管、38は触媒コンバータをそれぞれ示す。吸気枝管32にはそれぞれ対応する吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁39が配置される。図示しない別の実施例では、燃料噴射弁39は燃焼室31にそれぞれ配置され、それぞれ対応する燃焼室31内に燃料を直接噴射する。吸気ダクト34内にはスロットル弁40と、吸入空気量を検出するエアフロメータ41とがそれぞれ配置される。更に燃焼室31内には点火栓42がそれぞれ配置される。また、機関本体30には機関冷却水温を検出するための水温センサ43が取り付けられる。
図2は触媒コンバータ38の部分断面図を示している。触媒コンバータ38は中空円筒状の金属製ケーシング50を有し、ケーシング50は円筒状の中間部分50aと、中間部分50aの前端及び後端に取り付けられた収縮部分50bと、収縮部分50bに取り付けられたフランジ50cとを備える。触媒コンバータ38はフランジ50cを介して排気管37と連結される。なお、図2には収縮部分50b及びフランジ50cの一方のみが図示されている。ケーシング50内には電気加熱式触媒51が配置されると共に、電気加熱式触媒51上流のケーシング50内には前段触媒53が配置される。この場合、電気加熱式触媒51の長手軸線及び前段触媒53の長手軸線がそれぞれ排気ガス流れ方向に対し平行になるように電気加熱式触媒51及び前段触媒53がケーシング50内に収容される。また、図2に示される実施例では電気加熱式触媒51と前段触媒53との間にわずかな隙間54が形成されている。ケーシング50の内周面と電気加熱式触媒51及び前段触媒53の外周面との間にはそれぞれ、断熱性及び電気絶縁性を有する保持材55が配置される。
電気加熱式触媒51はハニカム構造をなす基材を有し、この基材は互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路と、これら排気流通路を互いに隔てる隔壁とを具備する。本発明による実施例では、隔壁には酸素貯蔵能力を有する三元触媒52が担持される。すなわち、電気加熱式触媒51は酸素貯蔵能力を有している。三元触媒52は例えばアルミナから形成された担体に担持された白金、ロジウム、及びパラジウムのような貴金属と、セリアのような酸素貯蔵材とを含む。一方、基材は、例えば炭化ケイ素のような、通電されると発熱する材料から形成される。なお、基材には一対の電極が設けられており、これら電極を介してバッテリ19から基材に通電される。基材に通電されると、基材が発熱し、三元触媒52の温度が高められる。
前段触媒53もハニカム構造をなす基材を有し、この基材も互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路と、これら排気流通路を互いに隔てる隔壁とを具備する。本発明による実施例では、前段触媒53に、中央部53Cと、中央部53Cを取り囲む外周部53Pとが区画される。中央部53Cに位置する隔壁には、排気ガス中の炭化水素を吸着するための炭化水素吸着材56が担持される。炭化水素吸着材56は例えばゼオライトから形成される。一方、外周部53Pに位置する隔壁には酸化触媒57が担持される。酸化触媒57は例えばアルミナから形成された担体に担持された白金、ロジウム、及びパラジウムのような貴金属を含む。
本発明による実施例では更に、単位面積当たりの排気流通路の数をセル密度(個/cm)と称すると、前段触媒53の外周部53Pのセル密度は前段触媒53の中央部53Cのセル密度よりも低くされている。すなわち、図3に示されるように、外周部53Pにおける隔壁53Wの厚さ又は断面積は中央部53Cにおける隔壁53Wの厚さ又は断面積とほぼ等しくされつつ、外周部53Pにおける排気流通路53Fの流路面積は中央部53Cにおける排気流通路53Fの流路面積よりも大きくされる。このようにすると、排気ガスが外周部53P内を流れるのが促進される。図示しない別の実施例では、前段触媒53の外周部53Pのセル密度と前段触媒53の中央部53Cのセル密度とは互いにほぼ等しい。なお、外周部53Pの半径方向幅W53Pは前段触媒53の直径D53及び中央部53Cの直径D53Cに関わらず、10mm程度に設定される。
また、本発明による実施例では、図2に示されるように外周部53Pの長手方向全体に酸化触媒57が担持される。すなわち、酸化触媒57が担持される領域の長手方向長さL57は外周部53P又は前段触媒53の長手方向長さL外周部53Pにほぼ等しい。図4に示される別の実施例では、酸化触媒57が担持される領域の長手方向長さL57は外周部53Pの長手方向長さL53Pよりも短い。また、図4に示される別の実施例では、酸化触媒57は外周部53Pの排気流れ上流側部分に担持される。図2に示される実施例でも図4に示される別の実施例でも、酸化触媒57が担持される領域の長手方向長さL57は10mm程度に設定される。なお、炭化水素吸着材56は中央部53Cの長手方向全体に担持される。
なお、図2において、51Cは前段触媒53の中央部53Cに対面する電気加熱式触媒51の中央領域を示しており、51Pは前段触媒53の外周部53Pに対面する電気加熱式触媒51の外周領域を示している。
更に、図1に示されるように、触媒コンバータ38には電気加熱式触媒51の温度を検出する温度センサ51sが取り付けられる。
さて、本発明による実施例では、ハイブリッド車両の運転モードとしてHVモード又はEVモードが行われる。
HVモードでは、内燃機関1が運転されると共に第2のモータジェネレータMG2が電気モータとして作動され、内燃機関1の出力の一部及び第2のモータジェネレータMG2の出力が出力軸12に伝達される。すなわち、ハイブリッド車両は内燃機関1及び第2のモータジェネレータMG2により駆動される。内燃機関1の出力の残りは発電機として作動する第1のモータジェネレータMG1に伝達され、第1のモータジェネレータMG1により発生された電力は第2のモータジェネレータMG2又はバッテリ19に送られる。内燃機関1の発生した出力に対する出力軸12に送られる出力の割合は車両要求負荷に応じて変更される。なお、車両要求負荷がかなり低いときには内燃機関1は停止され、第2のモータジェネレータMG2のみによってハイブリッド車両が駆動される。
一方、EVモードでは、第2のモータジェネレータMG2が電気モータとして作動され、第2のモータジェネレータMG2の出力のみが出力軸12に伝達される。ただし、例えば車両急加速時のように車両要求負荷があらかじめ定められた設定負荷よりも高くなったときには、第2のモータジェネレータMG2に加えて内燃機関1が一時的に運転され、第2のモータジェネレータMG2の出力に加えて内燃機関1の出力の一部が出力軸12に一時的に伝達される。すなわち、ハイブリッド車両は主として第2のモータジェネレータMG2により駆動され、一時的に内燃機関1及び第2のモータジェネレータMG2により駆動される。なお、内燃機関1の出力の残りは発電機として作動する第1のモータジェネレータMG1に伝達される。
また、HVモード及びEVモード中の車両減速時には、発電機として作動される第1のモータジェネレータMG1に外力が出力軸12を介し伝達され、それによりエネルギが回生される。回生されたエネルギはバッテリ19に蓄えられる。
本発明による実施例では、バッテリ19の充電量があらかじめ定められた第1の設定充電量よりも多いときにはEVモードが行なわれ、バッテリ19の充電量が第1の設定充電量よりも少なくなるとHVモードが行われる。バッテリ19が車両外部から充電され、バッテリ19の充電量が第1の設定充電量よりも多くなると、再びEVモードが行われる。
更に、本発明による実施例では、HVモード及びEVモード中の内燃機関1の停止時に、バッテリ19の充電量が第1の設定充電量よりも少なく設定された第2の設定充電量よりも少なくなったときには、内燃機関1が運転されると共に、内燃機関1の出力が発電機として作動される第1のモータジェネレータMG1に伝達され、このとき発生された電気エネルギがバッテリ19に蓄えられる。
そうすると、本発明による実施例では、ハイブリッド車両の運転モードがEVモードからHVモードに切り換えられるとき、EVモードにおいて車両要求負荷が設定負荷よりも高くなったとき、及び、HVモード及びEVモード中の内燃機関1の停止時にバッテリ19の充電量があらかじめ定められた設定充電量よりも少なくなったときに、内燃機関1を始動すべき信号が発せられる。
本発明による実施例では、内燃機関1を始動すべき信号が発せられると、内燃機関1を停止したまま、電気加熱式触媒51への通電が開始され、それにより電気加熱式触媒51又は三元触媒52の温度が高められる。次いで、三元触媒52が活性化すると、内燃機関1が始動される。本発明による実施例では内燃機関1を始動するために第1のモータジェネレータMG1が電気モータとして作動され、第1のモータジェネレータMG1の出力が内燃機関1の出力軸9に伝達される。
機関始動時には内燃機関1はリッチ空燃比のもとで運転され、したがってこのときの排気ガス中には比較的多量の未燃炭化水素が含まれている。一方、内燃機関1からの排気ガスの一部は前段触媒53の中央部53Cに到り、残りは前段触媒53の外周部53Pに到る。したがって、機関始動時の未燃炭化水素の一部は前段触媒53の中央部53Cに到り、残りは前段触媒53の外周部53Pに到る。なお、内燃機関1が始動された後、機関冷却水温が上昇するにつれて空燃比は目標空燃比である理論空燃比に近づけられ、維持される。
まず、機関始動時に前段触媒53の中央部53Cに到った未燃炭化水素について説明する。機関が始動された直後は前段触媒53の中央部53Cの炭化水素吸着材56の温度は比較的低く、したがって中央部53Cに到った未燃炭化水素は炭化水素吸着材56に吸着する。次いで、内燃機関1からの排気ガスの温度が次第に上昇すると、前段触媒53の中央部53Cの炭化水素吸着材56の温度も次第に上昇する。次いで、炭化水素吸着材56の温度が脱離温度に達すると、炭化水素吸着材56から吸着されている炭化水素が脱離し始める。炭化水素吸着材56から脱離した炭化水素は主として、電気加熱式触媒51の中央領域51Cに到る。上述したように電気加熱式触媒51はすでに活性化されており、したがって電気加熱式触媒51の中央領域51Cに到った未燃炭化水素は酸化される。その結果、電気加熱式触媒51の中央領域51Cの温度が上昇する。なお、電気加熱式触媒51は上述したように酸素貯蔵能力を有しており、内燃機関1がリッチ空燃比のもとで運転されたときには電気加熱式触媒51から貯蔵されている酸素が放出され、放出された酸素により未燃炭化水素等が電気加熱式触媒51において酸化される。
ここで、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離するには脱離熱を炭化水素吸着材56に与える必要がある。このため、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離している間は、炭化水素吸着材56又は中央部53Cの温度は或る一定の温度に維持される。すなわち、内燃機関1から前段触媒53に流入する排気ガスの温度が上昇しても、炭化水素吸着材56又は中央部53Cから流出する排気ガスの温度の上昇が抑制される。このため、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離したときの電気加熱式触媒51の中央領域51Cの温度上昇が抑制される。すなわち、本発明による実施例では、前段触媒53が設けられない場合に比べて、電気加熱式触媒51の中央領域51Cの温度上昇が抑制される。
次に、機関始動時に前段触媒53の中央部53Cに到った未燃炭化水素について説明する。機関が始動された直後は前段触媒53の外周部53Pの酸化触媒57は未だ活性化しておらず、外周部53Pに到った未燃炭化水素は外周部53Pを通過し、主として電気加熱式触媒51の外周領域51Pに到る。上述したように電気加熱式触媒51はすでに活性化されており、したがって電気加熱式触媒51の外周領域51Pに到った未燃炭化水素は酸化される。その結果、外周領域51Pの温度が上昇する。
次いで、内燃機関1からの排気ガスの温度が次第に上昇すると、前段触媒53の外周部53Pの酸化触媒57の温度も次第に上昇する。次いで酸化触媒57が活性化すると、外周部53Pに到った未燃炭化水素が外周部53Pの酸化触媒57において酸化される。その結果、外周部53Pから流出する排気ガスの温度が高められる。酸化触媒57に十分な酸素が存在しないときには、前段触媒53の外周部53Pに到った未燃炭化水素は次いで、主として電気加熱式触媒51の外周領域51Pにおいて酸化される。いずれにしても、電気加熱式触媒51の外周領域51Pの温度が高められる。
しかも、本発明による実施例では、図3を参照して説明したように前段触媒53の外周部53Pのセル密度は前段触媒53の中央部53Cのセル密度よりも低くされており、したがって排気ガスが外周部53P内を流れるのが促進されている。したがって、本発明による実施例では、前段触媒53が設けられない場合に比べて、電気加熱式触媒51の外周領域51Pの温度が上昇される。
図5は、機関始動時における電気加熱式触媒51の半径方向に関する電気加熱式触媒51の温度分布を示している。図5において、実線は本発明による実施例における温度分布を示しており、破線は前段触媒53が設けられない第1の比較例における温度分布を示しており、一点鎖線は前段触媒53の中央部53C及び外周部53Pに炭化水素吸着材56が設けられている第2の比較例における温度分布を示している。図5からわかるように、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の中心の温度TCCは第1の比較例における電気加熱式触媒51の中心の温度TCZ1Cよりも低く、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の外縁の温度TCEは第1の比較例における電気加熱式触媒51の外縁の温度TCZ1Eよりも高い。その結果、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の中心と外縁の温度差dTC(=TCC−TCE)は第1の比較例における電気加熱式触媒51の中心と外縁の温度差dTCZ1(=TCZ1C−TCZ1E)よりも小さい。また、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の中心の温度TCCは第2の比較例における電気加熱式触媒51の中心の温度TCZ2Cにほぼ等しく、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の外縁の温度TCEは第2の比較例における電気加熱式触媒51の外縁の温度TCZ2Eよりも高い。その結果、本発明による実施例における電気加熱式触媒51の中心と外縁の温度差dTCは第2の比較例における電気加熱式触媒51の中心と外縁の温度差dTCZ2(=TCZ2C−TCZ2E)よりも小さい。
一般に、電気加熱式触媒51の中心と外縁の温度差が小さくなるにつれて、電気加熱式触媒51に作用する熱応力は小さくなる。したがって、本発明による実施例では、電気加熱式触媒51に作用する熱応力が低減されるということになる。このため、電気加熱式触媒51の耐久性が高められる。
ところで、内燃機関1からの排気ガス中には、主として固体炭素からなる粒子状物質が含まれており、この粒子状物質が触媒コンバータ38内に堆積する場合がある。ところが、粒子状物質は導電性を有している。このため、触媒コンバータ38内に粒子状物質が堆積すると、この粒子状物質により電気加熱式触媒51とケーシング50との間に電気経路が形成され、電気加熱式触媒51の電気絶縁性が低下するおそれがある。すなわち、図6に示される例では、電気加熱式触媒51の外周領域51P、隙間54におけるケーシング50の中間部分50aの内周面、前段触媒53の外周部53P、ケーシング50の収縮部分50b及びフランジ50cの内周面上に、粒子状物質60がそれぞれ堆積しており、粒子状物質60により電気加熱式触媒51とケーシング50との間に電気経路が形成されている。
この点、本発明による実施例では、前段触媒53の外周部53Pに酸化触媒57が設けられているので、前段触媒53の外周部53P及び電気加熱式触媒51の外周領域51Pの温度が高められる。また、前段触媒53の外周部53Pのセル密度は前段触媒53の中央部53Cのセル密度よりも低くされているので、前段触媒53の外周部53P及び電気加熱式触媒51の外周領域51Pの温度がより高められる。その結果、前段触媒53の外周部53P及び電気加熱式触媒51の外周領域51Pに付着した粒子状物質60が比較的容易に酸化除去される。したがって、電気加熱式触媒51とケーシング50との間に粒子状物質60により電気経路が形成されるのが抑制され、電気加熱式触媒51の電気絶縁性が高く維持される。
次に、ハイブリッド車両において内燃機関1を始動すべき信号が発せられたときの車両制御の第1実施例を、図7を参照しながら説明する。上述したように内燃機関1を始動すべき信号は種々の条件下で発せられる。図7はハイブリッド車両の運転モードがEVモードからHVモードに切り換えられるときに内燃機関1を始動すべき信号が発せられる場合を示している。他の条件下で内燃機関1を始動すべき信号が発せられた時も同様である。
図7を参照すると、時間t11において内燃機関1を始動すべき信号が発せられると、内燃機関1を停止したまま、電気加熱式触媒51への通電が開始される。すなわち、電気加熱式触媒51への電気エネルギの供給が開始される。その結果、前段触媒53の温度TCFはほとんど上昇することなく、電気加熱式触媒51の温度TCが上昇する。なお、前段触媒53の温度TCFは前段触媒53の中心の温度によって代表され、電気加熱式触媒51の温度TCは電気加熱式触媒51の中心の温度TCCによって代表される。
次いで、時間t12において、電気加熱式触媒51に供給された総電気エネルギ量QECがあらかじめ定められた第1の設定エネルギ量QEC1に達すると、すなわち電気加熱式触媒51に第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが供給されると、車両制御の第1実施例では電気加熱式触媒51への通電が停止される。すなわち、内燃機関1を始動すべき信号が発せられたときには、まず第1の設定エネルギ量の電気エネルギが電気加熱式触媒51に供給される。この第1の設定エネルギ量QEC1は、電気加熱式触媒51の温度TCを電気加熱式触媒の活性温度TCA以上に設定された設定温度TC1よりも高くするのに必要な電気エネルギ量である。したがって、電気加熱式触媒51への第1の電気エネルギ量QC1の電気エネルギの供給が完了した時間t12において、電気加熱式触媒51の温度TCは設定温度TC1を越える。
電気加熱式触媒51への通電を開始すべきとき(時間t11)の電気加熱式触媒51の温度TCを初期触媒温度TC0と称すると、第1の設定エネルギ量QEC1は初期触媒温度TC0が高いときには初期触媒温度TC0が低いときに比べて少なく設定される。図8に示される例では、第1の設定エネルギ量QEC1は、初期触媒温度TC0があらかじめ定められた第1の設定初期温度TC01よりも低いときには比較的多いエネルギ量QEC1Xに設定され、初期触媒温度TC0が第1の設定初期温度TC01よりも高くなると初期触媒温度TC0が高くなるにつれて少なくなり、初期触媒温度TC0が第1の設定初期温度TC01よりも高く設定された第2の設定初期温度TC02よりも高くなるとゼロに設定される。すなわち、初期触媒温度TC0が第2の設定初期温度TC02よりも高いときには電気加熱式触媒51への通電が行われない。このようにしているのは、初期触媒温度TC0が第2の設定初期温度TC02よりも高いときには、電気加熱式触媒51がすでに活性状態にあるか又は内燃機関1が始動されると直ちに活性状態になるからである。
再び図7を参照すると、時間t12において、内燃機関1の運転が開始され、したがって機関回転数Neが増大する。すなわち、内燃機関1を始動すべき信号が発せられると、まず電気加熱式触媒51が活性化され、次いで内燃機関が始動される。内燃機関1の始動時において、内燃機関1の目標空燃比AFTはまずリッチに設定され、次いで機関冷却水温が上昇するにつれて理論空燃比AFSに近づけられ、維持される。更に、時間t12において、車両制御の第1実施例では、ハイブリッド車両の運転モードがEVモードからHVモードに切り換えられる。
内燃機関1の運転が開始されると、内燃機関1の排気ガスが前段触媒53に接触する。また、排気ガス中の炭化水素が前段触媒53の炭化水素吸着材56に吸着し、吸着熱が発生する。このため、前段触媒53の温度TCFは次第に上昇する。一方、このとき電気加熱式触媒51に流入する排気ガスの温度は電気加熱式触媒51の温度TCよりも低く、したがって電気加熱式触媒51の温度TCは次第に低下する。
次いで、時間t13において、内燃機関1が始動されてからの吸入空気量の積算値SGaがあらかじめ定められた第1の設定値SGa1を越えると、電気加熱式触媒51への通電が再開される。その結果、電気加熱式触媒51の温度TCが上昇する。
次いで、時間t14において、前段触媒53の炭化水素吸着材56から吸着されている炭化水素が脱離し始める。その結果、上述したように、前段触媒53の温度TCFは一定の温度TCFXに維持され、電気加熱式触媒51に流入する排気ガスの温度上昇が抑制される。このため、電気加熱式触媒51の温度TCが更に低下し、活性温度TCAを越えて低下するおそれがある。電気加熱式触媒51の温度TCが活性温度TCAよりも低いと、電気加熱式触媒51において排気ガスを良好に浄化できない。そこで車両制御の第1実施例では、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離する前に電気加熱式触媒51に再び通電し、それにより炭化水素吸着材56からの炭化水素脱離時に電気加熱式触媒51の温度TCが活性温度TCA以上に維持されるようにしている。その結果、電気加熱式触媒51が活性状態に維持され、排気ガスの良好な浄化が維持される。なお、図示しない別の実施例では、電気加熱式触媒51が活性状態に維持される限り、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始めると同時又はその後に、電気加熱式触媒51への再通電が開始される。
次いで、時間t15において、電気加熱式触媒51に供給された総電気エネルギ量QECが上述の第1の設定エネルギ量QEC1とあらかじめ定められた第2の設定エネルギ量QEC2との合計(QEC1+QEC2)に達すると、すなわち電気加熱式触媒51に追加的に第2の設定エネルギ量QEC2が供給されると、電気加熱式触媒51への通電が停止される。上述の説明からわかるように、この第2の設定エネルギ量QEC2は炭化水素吸着材56からの炭化水素脱離時に電気加熱式触媒51の温度TCを電気加熱式触媒51の活性温度TCA以上に維持するのに必要な電気エネルギ量である。
電気加熱式触媒51への通電を開始すべきときの機関冷却水温を初期水温TW0と称すると、初期水温TW0が低いときには初期水温TW0が高いときに比べて、内燃機関1から排出される未燃炭化水素の量は多く、したがって炭化水素吸着材56に吸着する炭化水素の量も多く、その後に炭化水素吸着材56から脱離する炭化水素の量も多い。炭化水素吸着材56から脱離する炭化水素の量が多いときには、上述の脱離熱の量が多く、したがって電気加熱式触媒51の温度TCを電気加熱式触媒51の活性温度TCA以上に維持するのに多くの電気エネルギを必要とする。そこで、第2の設定エネルギ量QEC2は初期水温TW0が高いときには初期水温TW0が低いときに比べて少なく設定される。図9に示される例では、第2の設定エネルギ量QEC2は、初期水温TW0があらかじめ定められた第1の設定水温TW01よりも低いときには比較的多いエネルギ量QEC2Xに設定され、初期水温TW0が第1の設定水温TW01よりも高くなると初期水温TW0が高くなるにつれて少なくなり、初期水温TW0が第1の設定水温TW01よりも高く設定された第2の設定水温TW02よりも高くなるとゼロに設定される。すなわち、初期水温TW0が第2の設定水温TW02よりも高いときには電気加熱式触媒51への通電が行われない。
図7に示される例では、電気加熱式触媒51への通電が停止される時間t15において、炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了し、したがって前段触媒53の温度TCFが一定の温度TCFXから上昇し始める。言い換えると、炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了したときに電気加熱式触媒51への通電が停止される。図示しない別の実施例では、炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了する前に又はその後に、電気加熱式触媒51への通電が停止される。
なお、車両制御の第1実施例では上述したように、初期触媒温度TC0が第2の設定初期温度TC02よりも高いときには、内燃機関1の始動前の電気加熱式触媒51への通電が行われない。このような場合には、内燃機関1の始動後の電気加熱式触媒51への再通電は行われない。炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離したときに、電気加熱式触媒51への再通電を行わなくても、電気加熱式触媒51が活性状態に維持されるからである。したがって電気エネルギが有効に利用される。
総括すると、車両制御の第1実施例では、電気加熱式触媒51に第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが供給された後に、炭化水素吸着材56からの炭化水素脱離時に電気加熱式触媒51の温度を電気加熱式触媒51の活性温度TCA以上に維持するのに必要な第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが電気加熱式触媒51に供給される、ということになる。その結果、電気加熱式触媒51が確実に活性状態に維持される。
また、車両制御の第1実施例では、電気加熱式触媒51への第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギの供給が終了した後、時間間隔をおいて、電気加熱式触媒51への第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギの供給が開始される。このようにすると、電気加熱式触媒51の温度TCが活性温度TCAよりも低くなる可能性のあるタイミングで電気加熱式触媒51への再通電が開始され、したがって電気加熱式触媒51がより確実に活性状態に維持される。
更に、車両制御の第1実施例では、内燃機関1が始動されてからの吸入空気量の積算値SGaが第1の設定値SGa1を越えたときに電気加熱式触媒51への第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギの供給が開始される。本願発明者らによれば、吸入空気量積算値SGaが後述する第2の設定値SGa2を越えると、初期触媒温度TC0や初期水温TW0に関わらず、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始めることが確認されており、車両制御の第1実施例では第1の設定値SGa1は第2の設定値SGa2よりもわずかに小さく設定されている。そうすると、車両制御の第1実施例では、炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が開始される直前に電気加熱式触媒51への再通電が開始される、ということになる。このようにすると、電気加熱式触媒51をより確実に活性状態に維持することができる。
ところで、内燃機関1を始動すべきときには、燃料噴射弁39による燃料噴射作用及び点火栓42の点火作用を行うことなく第1のモータジェネレータMG1によりクランキングが行なわれ、それにより機関回転数Neが上昇される。次いで、機関回転数Neがあらかじめ定められた第1の設定回転数を越えると、燃料噴射弁39による燃料噴射作用及び点火栓42の点火作用が開始され、次いで機関回転数Neが第1の設定回転数よりも高く設定された第2の設定回転数を越えると、第1のモータジェネレータMG1によるクランキングが停止される。すなわち、内燃機関1の始動が完了する。そうすると、内燃機関1が始動されてから機関回転数Neが第1の設定回転数を越えるまでの間は、クランキングにより電気加熱式触媒51に空気が送られ、電気加熱式触媒51に酸素が貯蔵されることになる。この場合、電気加熱式触媒51に貯蔵される酸素の量は第1の設定回転数に応じて定まる。このことを、図10を参照しながら説明する。
図10を参照すると、時間ta1は内燃機関1の運転が開始されたタイミング、すなわちクランキングが開始されたタイミングを示している。クランキングが開始されると、機関回転数Neが次第に上昇する。また、電気加熱式触媒51の酸素貯蔵量QOXも次第に増大する。次いで、時間ta2において機関回転数Neが値Ne1offになると、酸素貯蔵量QOXは比較的少ない量QOXoffとなる。次いで、時間ta3において機関回転数Neが値Ne1on(>Ne1off)となると、酸素貯蔵量QOXは比較的多いQOXon(QOXon)となる。
このように機関始動前に電気加熱式触媒51に貯蔵された酸素は、その後に炭化水素吸着材56から脱離した炭化水素を酸化するのに役立つ。ところで、機関始動前に電気加熱式触媒51への通電を開始すべきときの電気加熱式触媒51の温度である初期触媒温度TC0が高いときには機関始動時における炭化水素吸着材56の温度も高く、したがってこの場合には機関始動時に炭化水素吸着材56に炭化水素がほとんど吸着されないと考えられる。これに対し、初期触媒温度TC0が低いときには機関始動時における炭化水素吸着材56の温度も低く、したがってこの場合には機関始動時に炭化水素吸着材56に比較的多量の炭化水素が吸着されると考えられる。炭化水素吸着材56に多量の炭化水素が吸着されたときには、その後に多量の炭化水素が炭化水素吸着材56から脱離し、この多量の炭化水素を電気加熱式触媒51において浄化する必要がある。多量の炭化水素を電気加熱式触媒51において確実に酸化浄化するためには、多量の酸素が必要である。
そこで車両制御の第1実施例では、機関始動前に電気加熱式触媒51への通電が行われない場合には第1の設定回転数Ne1が比較的低い値Ne1offに設定され、機関始動前に電気加熱式触媒51への通電が行われる場合には第1の設定回転数Ne1が比較的高い値Ne1onに設定される。その結果、機関始動前に通電が行われる場合に、炭化水素吸着材56から脱離する比較的多量の炭化水素を電気加熱式触媒51において確実に浄化することができる。一方、機関始動前に通電が行われない場合には、燃料噴射作用及び点火作用が速やかに開始され、したがって機関始動が速やかに完了される。この点、機関始動時に炭化水素吸着材56から脱離する炭化水素の量が多いときには機関始動時に炭化水素吸着材56から脱離する炭化水素の量が少ないときに比べて、第1の設定回転数Ne1が高く設定される、という見方もできる。
図11及び図12は車両制御の第1実施例における電気加熱式触媒51の通電制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは内燃機関1を始動すべき信号が発せられたときに1度だけ実行される。
図11及び図12を参照すると、ステップ100では機関始動前に電気加熱式触媒51に通電すべきか否かが判別される。車両制御の第1実施例では初期触媒温度TC0が第2の設定初期温度TC02よりも低いときに電気加熱式触媒51に通電すべきでないと判別され、初期触媒温度TC0が第2の設定初期温度TC02よりも高いときに電気加熱式触媒51に通電すべきと判別される。電気加熱式触媒51に通電すべきでないと判別されたときには、次いでステップ101に進み、第1の設定回転数Ne1が比較的低い値Ne1offに設定される。続くステップ103では、フラグXESがセットされる。このフラグXESは内燃機関1の始動を許容するときにセットされ(XES=1)、それ以外はリセットされる(XES=0)。
これに対し、電気加熱式触媒51に通電すべきと判別されたときにはステップ100からステップ103に進み、第1の設定エネルギ量QEC1及び第2の設定エネルギ量QEC2が図8及び図9のマップからそれぞれ算出される。続くステップ104では電気加熱式触媒51への通電が開始される。続くステップ105では電気加熱式触媒51に第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが供給されたか否かが判別される。電気加熱式触媒51に第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが供給されていないときにはステップ105に戻る。電気加熱式触媒51に第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが供給されたときにはステップ105からステップ106に進み、第1の設定回転数Ne1が比較的高い値Ne1onに設定される。続くステップ107では、フラグXESがセットされる(XES=1)。続くステップ108では電気加熱式触媒51への通電が停止される。
後述するように、フラグXESがセットされると内燃機関1の運転が開始される。続くステップ109では、内燃機関1が始動されてからの吸入空気量積算値SGaが第1の設定値SGa1よりも多いか否かが判別される。SGa≦SGa1のときにはステップ109に戻る。SGa>SGa1のときにはステップ109からステップ110に進み、電気加熱式触媒51への通電が開始される。続くステップ111では電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたか否かが判別される。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されていないときにはステップ111に戻る。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたときにはステップ111からステップ112に進み、電気加熱式触媒51への通電が停止される。
図13は車両制御の第1実施例における機関始動制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図13を参照すると、ステップ200では上述のフラグXESがセットされているか否かが判別される。フラグXESがリセットされているときには処理サイクルを終了する。フラグXESがセットされているときにはステップ200からステップ201に進み、第1のモータジェネレータMG1が作動され、クランキングが開始される。続くステップ202では機関回転数Neが第1の設定回転数Ne1よりも高いか否かが判別される。Ne≦Ne1のときにはステップ202に戻る。Ne>Ne1のときにはステップ202からステップ203に進み、燃料噴射弁39による燃料噴射作用及び点火栓42の点火作用が開始される。続くステップ204では機関回転数Neが第2の設定回転数Ne2よりも高いか否かが判別される。Ne≦Ne2のときにはステップ204に戻る。Ne>Ne2のときにはステップ204からステップ205に進み、第1のモータジェネレータMG1が停止される。続くステップ206ではフラグXESがリセットされる(XES=0)。
図14は車両制御の第1実施例における運転モード制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図14を参照すると、ステップ300ではバッテリ19の充電量QCBがあらかじめ定められた第1の設定充電量QCB1よりも多いか否かが判別される。QCB>QCB1のときには次いでステップ301に進み、内燃機関1が停止され又は停止状態に維持される。続くステップ302ではEVモードが行われる。これに対し、QCB≦QCB1のときにはステップ300からステップ303に進み、内燃機関1の運転が開始され又は継続される。続くステップ304ではHVモードが行われる。
次に、車両制御の第2実施例を説明する。車両制御の第2実施例は次の点で車両制御の第1実施例と構成を異にしている。すなわち、電気加熱式触媒51への第1の設定エネルギ量QCE1の電気エネルギの供給に引き続いて電気加熱式触媒51への第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギの供給が開始される。このことを、図15を参照しながら説明する。
図15を参照すると、時間t21において内燃機関1を始動すべき信号が発せられると、内燃機関1を停止したまま、電気加熱式触媒51への通電が開始される。次いで、時間t22において第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが電気加熱式触媒51に供給されると、内燃機関1の運転が開始される。しかしながら、電気加熱式触媒51への通電は停止されず、継続される。次いで、時間t23において第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが電気加熱式触媒51に更に供給されると、電気加熱式触媒51への通電が停止される。なお、図15に示される例では、次いで時間t24において炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始め、次いで時間t25において炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了する。
このように、車両制御の第2実施例では、第1の設定エネルギ量QCE1の電気エネルギ及び第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが継続して電気加熱式触媒51に供給される。このようにすると、制御が容易になる。
車両制御の第2実施例でも、車両制御の第1実施例と同様に、上述した通電制御ルーチン、機関始動制御ルーチン、及び運転モード制御ルーチンが実行される。ただし、車両制御の第2実施例では、通電制御ルーチンにおいて図16に示されるように、ステップ107(図11)からステップ111に進み、電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたか否かが判別される。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されていないときにはステップ111に戻る。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたときにはステップ111からステップ112(図11)に進む。
次に、車両制御の第3実施例を説明する。車両制御の第3実施例は次の点で車両制御の第1実施例と構成を異にしている。すなわち、車両制御の第3実施例では、炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了するまでに、内燃機関1が一時的にリーン空燃比のもとで運転される。このことを、図18を参照しながら説明する。
図17を参照すると、時間t31において内燃機関1を始動すべき信号が発せられると、内燃機関1を停止したまま、電気加熱式触媒51への通電が開始される。次いで、時間t32において第1の設定エネルギ量QEC1の電気エネルギが電気加熱式触媒51に供給されると、電気加熱式触媒51への通電が停止され、内燃機関1の運転が開始され、運転モードがHVモードに切り換えられる。次いで、時間t33において内燃機関1が始動されてからの吸入空気量積算値SGaが第1の設定値SGa1を越えると、電気加熱式触媒51への通電が再開される。次いで、時間t34において内燃機関1が始動されてからの吸入空気量積算値SGaがあらかじめ定められた第2の設定値SGa2を越えると、内燃機関1の目標空燃比AFTがリーン空燃比に設定され、すなわち内燃機関1がリーン空燃比のもとで運転される。上述したように、吸入空気量積算値SGaが第2の設定値SGa2を越えると炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始める。そこで車両制御の第3実施例ではこのときリーン空燃比のもとでの機関運転が開始される。その結果、電気加熱式触媒51に多量の酸素が供給され、したがって電気加熱式触媒51において炭化水素が確実に酸化される。図示しない別の実施例では、炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始めるよりも前、又は炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始めてから炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了するまでに、リーン空燃比のもとでの機関運転が開始される。
次いで、時間t35において第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが電気加熱式触媒51に更に供給されると、電気加熱式触媒51への通電が停止される。また、このとき内燃機関1の目標空燃比AFTが理論空燃比に戻される。なお、図17に示される例では、次いで時間t34において炭化水素吸着材56から炭化水素が脱離し始め、次いで時間t35において炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了する。すなわち、車両制御の第3実施例では炭化水素吸着材56からの炭化水素の脱離が終了すると、リーン空燃比のもとでの機関運転が終了される。
更に、車両制御の第3実施例では、リーン空燃比のもとでの機関運転が開始される前の時間t33において、運転モードがEVモードに切り換えられる。また、リーン空燃比のもとでの機関運転が終了される時間t35において、運転モードがHVモードに戻される。リーン空燃比のもとでの機関運転が行われると内燃機関1の出力が低下し、実際の車両出力が要求出力に対し不足するおそれがある。そこで車両制御の第3実施例では、リーン空燃比のもとでの機関運転が行われるときには、運転モードがEVモードに切り換えられ、第2のモータジェネレータMG2のみによりハイブリッド車両が駆動される。その結果、十分な車両出力が確保される。図示しない別の実施例では、リーン空燃比のもとでの機関運転が開始される時間t34において運転モードがEVモードに切り換えられる。図示しない更に別の実施例では、時間t32において運転モードがHVモードに切り換えられることなくEVモードに維持され、次いでリーン空燃比のもとでの機関運転が終了される時間t35において、運転モードがHVモードに戻される。
車両制御の第3実施例でも、車両制御の第1実施例と同様に、上述した通電制御ルーチン及び機関始動制御ルーチンが実行される。ただし、車両制御の第3実施例では、通電制御ルーチンにおいて図18に示されるように、ステップ107(図11)からステップ108に進み、電気加熱式触媒51への通電が停止される。続くステップ109では、内燃機関1が始動されてからの吸入空気量積算値SGaが第1の設定値SGa1よりも多いか否かが判別される。SGa≦SGa1のときにはステップ109に戻る。SGa>SGa1のときにはステップ109からステップ110に進み、電気加熱式触媒51への通電が開始される。続くステップ110aではフラグXEVがセットされる(XEV=1)。このフラグXEVは、HVモードを行うべきとき、すなわちバッテリ19の充電量QCBが第1の設定充電量QCB1以下であるにもかかわらずEVモードを行うべきときにセットされ(XEV=1)、それ以外はリセットされる(XEV=0)。続くステップ110bでは内燃機関1が始動されてからの吸入空気量積算値SGaが第2の設定値SGa2よりも多いか否かが判別される。SGa≦SGa2のときにはステップ110bに戻る。SGa>SGa2のときにはステップ110bからステップ110cに進み、フラグXLNがセットされる(XLN=1)。このフラグXLNは、内燃機関1をリーン空燃比のもとで運転すべきときにセットされ(XLN=1)、それ以外はリセットされる(XLN=0)。続くステップ111では電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたか否かが判別される。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されていないときにはステップ111に戻る。電気加熱式触媒51に第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが供給されたときにはステップ111からステップ111aに進み、フラグXEV及びフラグXLNがそれぞれリセットされる(XEV=0,XLN=0)。次いでステップ112(図11)に進む。
また、車両制御の第3実施例では図19に示される運転モード制御ルーチンが実行される。図19を参照すると、ステップ300ではバッテリ19の充電量QCBがあらかじめ定められた第1の設定充電量QCB1よりも多いか否かが判別される。QCB>QCB1のときには次いでステップ301に進み、内燃機関1が停止され又は停止状態に維持される。続くステップ302ではEVモードが行われる。これに対し、QCB≦QCB1のときにはステップ300からステップ303に進み、内燃機関1の運転が開始され又は継続される。続くステップ303aではフラグXEVがリセットされているか否かが判別される。フラグXEVがリセットされているときにはステップ304に進み、HVモードが行われる。これに対し、フラグXEVがセットされているときにはステップ303aからステップ302に進み、EVモードが行われる。
図20は車両制御の第3実施例における空燃比制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは内燃機関1の運転時にあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図20を参照すると、ステップ400ではフラグXLNがセットされているか否かが判別される。フラグXLNがセットされているときには次いでステップ401に進み、内燃機関1の目標空燃比AFTがリーン空燃比AFLに設定される。その結果、内燃機関1がリーン空燃比AFLのもとで運転される。これに対し、フラグXLNがリセットされているときにはステップ400からステップ402に進み、目標空燃比AFTが算出される。すなわち、目標空燃比AFTは、機関冷却水温がしきい温度よりも低いときには機関冷却水温に応じて定まるリッチ空燃比に設定され、機関冷却水温がしきい温度よりも高くなると理論空燃比AFSに設定される。
図示しない別の実施例では、車両制御の第3実施例において、車両制御の第2実施例と同様に、第1の設定エネルギ量QCE1の電気エネルギ及び第2の設定エネルギ量QEC2の電気エネルギが継続して電気加熱式触媒51に供給される。
1 内燃機関
20 電子制御ユニット
37 排気管
38 触媒コンバータ
51 電気加熱式触媒
53 前段触媒
53C 中央部
53P 外周部
56 炭化水素吸着材
57 酸化触媒

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気通路内に配置された電気加熱式触媒と、
    前記電気加熱式触媒上流の前記排気通路内に配置された前段触媒であって、中央部に炭化水素吸着材を担持すると共に外周部に酸化触媒を担持する前段触媒と、
    前記内燃機関を始動すべき信号が発せられたときに、まず、前記電気加熱式触媒の温度を前記電気加熱式触媒の活性温度以上に設定された設定温度よりも高くするのに必要な第1の設定エネルギ量の電気エネルギを前記電気加熱式触媒に供給し、次いで前記内燃機関を始動するように構成されている制御器と、
    を備えた、
    内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記前段触媒の前記外周部のセル密度が前記前段触媒の前記中央部のセル密度よりも低い、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記制御器は、前記電気加熱式触媒に前記第1の設定エネルギ量の電気エネルギを供給した後に、前記炭化水素吸着材からの炭化水素脱離時に前記電気加熱式触媒の温度を前記電気加熱式触媒の活性温度以上に維持するのに必要な第2の設定エネルギ量の電気エネルギを前記電気加熱式触媒に供給するように構成されている、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記制御器は、前記電気加熱式触媒への前記第1の設定エネルギ量の電気エネルギの供給が終了した後、時間間隔をおいて、前記電気加熱式触媒への前記第2の設定エネルギ量の電気エネルギの供給を開始するように構成されている、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記制御器は、前記内燃機関が始動されてからの吸入空気量の積算値があらかじめ定められた第1の設定値を越えたときに前記電気加熱式触媒への前記第2の設定エネルギ量の電気エネルギの供給を開始するように構成されている、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記制御器は、前記電気加熱式触媒への前記第1の設定エネルギ量の電気エネルギの供給に引き続いて前記電気加熱式触媒への前記第2の設定エネルギ量の電気エネルギの供給を開始するように構成されている、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記電気加熱式触媒が酸素貯蔵能力を備えており、前記制御器は、前記炭化水素吸着材からの炭化水素の脱離が終了するまでに、前記内燃機関を一時的にリーン空燃比のもとで運転するように構成されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記制御器は、前記内燃機関が始動されてからの吸入空気量の積算値があらかじめ定められた第2の設定値を越えたときに前記内燃機関を一時的にリーン空燃比のもとで運転するように構成されている、請求項7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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