JP2016014203A - 溶解パルプ及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】リグノセルロース物質を原料とし、所望の白色度、灰分含量に調整できる溶解パルプの製造方法及び当該製造方法により製造される溶解パルプを提供する。また、排水による環境負荷が低減され、なおかつ、設備投資およびランニングコストが低減された溶解パルプの製造方法及び当該製造方法により製造される溶解パルプを提供する。【解決手段】前加水分解-アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法であって、該前加水分解-アルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことを特徴とする溶解パルプ製造方法を採用することにより、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、リグノセルロース物質から溶解パルプを製造する方法及び当該製造方法により製造される溶解パルプに関する。
リグノセルロース物質から溶解パルプを製造するには、リグノセルロース物質中のヘミセルロースおよびリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。セルロース純度を表す指標としては、一般に、α−セルロース含量が用いられ、その値が大きいほど、高品質の溶解パルプであるとされている。
溶解パルプの製造方法としては、古くから酸性サルファイト蒸解法および前加水分解−クラフト蒸解法の二法が知られている。酸性サルファイト蒸解法とは、リグノセルロース物質中の多くのヘミセルロースとリグニンを蒸解工程で一度に除去する方法である。前加水分解−クラフト蒸解法とは、前加水分解工程で大部分のヘミセルロースを酸加水分解して除去し、続くクラフト蒸解で少量のヘミセルロースと大部分のリグニンを除去する方法である。前加水分解工程では、リグノセルロース物質に水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、自動的に酸性状態となり、酸加水分解が進むため、一般には酸を外から添加することなく行なわれる。酸性サルファイト蒸解法と前加水分解−クラフト蒸解法を比較すると、溶解パルプを製造することだけに焦点をあてた場合、酸性サルファイト蒸解の方が、一工程でヘミセルロースとリグニンを除去できるため効率的といえる。しかし、廃棄物のヘミセルロース、リグニンをそれぞれ分離して有効利用することに焦点をあてた場合には、前加水分解−クラフト蒸解法の方が有利ということになる。バイオマス原料であるリグノセルロース物質中のセルロース、ヘミセルロース、リグニンを分離して樹脂やバイオ燃料等の産業的利用価値の高い物質を製造する技術はバイオリファイナリーと呼ばれる。近年、そのような技術への注目度が高まってきており、これにともなって、前加水分解−クラフト蒸解法の有用性が再認識されてきている。
溶解パルプは、その用途により、要求されるパルプ粘度、白色度、灰分含有量が異なる。これは、溶解パルプを化学的に加工して製品化する際の加工条件および加工後の製品の要求が製品ごとに異なるためである。この要求を満たすためには、所望のパルプ粘度で比較的高めの白色度、灰分含有量を有する溶解パルプを製造しておき、ついで要求に応じて白色度を上げ、あるいは灰分含有量を低下させるという処理を行うのが合理的である。白色度を上げる方法としては、二酸化塩素、アルカリ、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸塩を用いる公知のパルプ漂白処理による方法が一般的である。また、灰分含有量を低下させる方法としては、硫酸、硝酸、塩酸などの無機酸で処理し、灰分を遊離させ、除去する方法が一般的である。白色度を上昇させる処理、および灰分含有量を低下させる処理の後には洗浄工程が設けられ、灰分などの溶解成分の除去が行われる。
特開2013−227705洗浄を行わず白色度を上昇させ、灰分含有量を低下させる方法の例としては、漂白工程の最終段において酸性条件下で過酸化物を添加する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、当該方法では白色度の増白効果は限定的であった。
本発明は、リグノセルロース物質から溶解パルプを製造する方法及び当該方法により製造される溶解パルプを提供することを課題とする。さらに詳しく述べれば、リグノセルロース物質を原料として、前加水分解−アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法において、予めパルプの白色度をISO白色度85%〜92%まで漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことで、所望の白色度、灰分含有量に調整できる溶解パルプの製造方法及び当該製造方法により製造される溶解パルプを提供することを課題とする。あるいは、本発明は、通常、洗浄に用いられる水が不要であることにより、排水による環境負荷が低減され、なおかつ、当該洗浄に用いる洗浄機を要さないことにより、設備投資およびランニングコストが低減された溶解パルプの製造方法及び当該製造方法により製造される溶解パルプを提供することを課題とする。
本発明者らは、リグノセルロース物質を原料として、前加水分解−アルカリ蒸解法により幅広い品質の溶解パルプを効率よく製造する方法について種々検討を重ねた。その結果、前加水分解において所望のセルロース純度に制御するために条件に強弱をつける一方で、その後のアルカリ条件、漂白条件はできるだけ一定に保つようにして溶解パルプを製造し、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことで、パルプのセルロース純度、灰分含有量、白色度を所望の値に制御できることを見出し、本発明に至った。さらに詳しく説明すると、たとえば広葉樹材を原料とした場合、前加水分解をPファクターが200〜1000となる条件で行ない、次いでアルカリ蒸解を蒸解後のカッパー価が6〜18となるように行えば、セルロース純度が高い溶解パルプが得られる。さらに、該溶解パルプをISO白色度が85%〜92%となるまで漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行う。このようにすることで、灰分含有量が低減され、高い白色度を有する溶解パルプが得られることを見出し、本発明に至った。
本願発明は以下の発明を包含する。
(1)リグノセルロース物質を原料として、前加水分解−アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法であって、該前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことを特徴とする溶解パルプ製造方法。
(2)前記前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプを多段漂白工程にてISO白色度85%〜92%まで漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、未洗浄で酸を添加し、酸処理を行うことを特徴とする(1)に記載の溶解パルプの製造方法。
(3)前記溶解パルプにおける灰分の含有量が絶乾パルプ質量当たり0.2質量%以下であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法により製造される溶解パルプであって、ISO白色度が88%〜95%であり、粘度が1cP〜45cPであることを特徴とする溶解パルプ。
本発明者によれば、リグノセルロース物質を原料として、前加水分解−アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法において、予め、多段漂白を行ない、特定の白色度まで漂白を行なった後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことで、白色度が高く、灰分の含有量が低い高品質の溶解パルプを低コスト、低環境負荷にて製造することが可能となった。
以下、本発明の溶解パルプ製造方法及び当該方法により製造される溶解パルプについて詳細に説明する。
なお、本発明において「前加水分解−アルカリ蒸解法」とは、前加水分解工程にリグノセルロース物質を酸性条件下で処理することによりヘミセルロース成分を除去する処理を含み、アルカリ蒸解工程にアルカリ性条件下で脱リグニンを行う処理を含む方法を意味する。当該方法は、前加水分解−クラフト蒸解法も包含する。
また、本発明において、「アルカリ性過酸化水素処理」とは、漂白後のパルプをアルカリ存在下にて過酸化水素処理する工程をいう。なお、当該工程は、その処理時間が例えば0.1〜5分などと短時間である点において、漂白工程で採用されうるE/P漂白段(後述)とは区別されるものである。
<原料>
(リグノセルロース物質)
本発明の溶解パルプ製造方法において、原料として使用されるリグノセルロース物質は、木材、非木材のいずれでもよく、何ら限定されないが、溶解パルプの生産効率を考慮すると、容積重が高い木材が好適に用いられる。木材の中では、一般に針葉樹材よりも広葉樹材の方が容積重が高く、好適であり、広葉樹の中でも容積重が高い一部のユーカリやアカシアがさらに好適に用いられる。該当する広葉樹としては、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ユーログランディス、ユーカリ・ペリータ、ユーカリ・ブラシアーナ、アカシア・メランシ等を非限定的に挙げることができる。特に容積重の高いユーカリ・ペリータがよい。本発明で用いられるリグノセルロース物質としての木材の容積重は、450kg/m〜700kg/mのものがよく、さらに好ましくは500kg/m〜650kg/mのものであるがこれら範囲に限定されない。なお、容積重が450kg/mよりも低い材は、前記のようにパルプの生産効率の面からは不利である場合がある。一方、容積重が700kg/mよりも高い材は、前加水分解やアルカリ蒸解時の薬液浸透が不十分と成りやすく、結果としてパルプ品質が低下する可能性があるため、不利である場合がある。本発明のリグノセルロース物質としては、広葉樹材、針葉樹材、非木材をそれぞれ単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもでき、その組み合わせ方も何ら限定されない。
<前加水分解−アルカリ蒸解>
(前加水分解)
本発明の前加水分解−アルカリ蒸解法における前加水分解は、リグノセルロース物質を酸性条件下で処理することによりヘミセルロース成分を除去する処理を含む。上記酸性条件は、通常、リグノセルロース物質が含有する酸性成分により実現されうるが、公知の酸を添加して実現させてもよく、これを実現させる手段に制限はない。
本発明の前加水分解工程は、まず、リグノセルロース物質を水の存在下で、加温処理することにより行う。ここで、リグノセルロース物質に対する水の量(液比)は、限定されるものではないが、1.0〜10、好ましくは1.5〜5.0である。液比が1.0より少ない場合には、水が不足して加水分解が十分に進まない上に反応が不均一となり得るので適さない場合がある。10より高い場合には、所望の温度まで加熱するのに要する熱量が多くなり得るため、経済的に適さない場合がある。上記水は、外部から添加しても良いし、リグノセルロース物質に元々含まれる水を利用しても良いし、加熱時に蒸気を使用する場合には蒸気に含まれる水を利用しても良く、その導入手段は何ら限定されない。また、リグノセルロース物質及び水に加えて、アルカリ、酸、キレート剤等の、多糖の加水分解を直接的、間接的に補助する薬品をさらに添加することもできる。本発明の前加水分解の条件は、何ら限定されず、当業者において適宜選択できるものである。一例を挙げると、加水分解の強度は、Pファクターが200〜1000の範囲となるものが好ましく、温度は140℃〜200℃、好ましくは160℃〜170℃で、処理時間は処理温度に対応してPファクターを考慮しつつ決定される。なお、Pファクターとは、前加水分解時の温度と時間の積であり、数1として表される。
Figure 2016014203
Pファクターが200より低い場合には、ヘミセルロースの酸加水分解が十分となり得るため、その後のアルカリ蒸解を行っても、パルプのセルロース純度を十分に高められない場合がある。Pファクターが1000より高い場合には、セルロースの酸加水分解が過剰となり得るため、パルプのセルロース純度を十分に高められない場合がある上に、パルプ粘度が低くなり、さらにはパルプ収率も低くなる場合がある。前加水分解温度が140℃よりも低い場合には反応時間を10時間以上にする必要が生じ得、巨大な反応容器が必要となることがあるため経済的ではない場合がある。逆に200℃よりも高くすると、場合によっては反応時間を0.1時間以下にする必要があり、反応の制御が困難となり得る。さらに、そのような熱条件に耐え得る装置の材質は高価になり得るため、経済的でもない場合がある。
前加水分解工程で用いる装置は、リグノセルロース物質を含水状態の加圧状態にて所望の時間の間、保持できるものであればよく、特に限定されるものではないが、好適には汎用の連続蒸解釜、バッチ釜等が用いられる。
本発明の前加水分解工程では、反応終了後アルカリ蒸解工程に送られる前に、脱水あるいは希釈洗浄、脱水が施される。なお、前加水分解後の排水は、フラッシュタンクに送られることができ、ガス層と液層とに分けられることができる。この際、ガス層に多く含まれるフルフラール類、液層に多く含まれるヘミセルロースの分解物をそれぞれ抽出してバイオマスとし、例えばバイオリファイナリーにおける原料などとして利用することも可能である。
(アルカリ蒸解)
本発明の前加水分解−アルカリ蒸解法におけるアルカリ蒸解としては、クラフト蒸解も用いられるが、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の他の公知蒸解法でもよく、アルカリ性条件下で行われる蒸解であればその具体的方法に何ら制限はない。パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。
木材をクラフト蒸解する場合の条件としては、限定されないが、クラフト蒸解液の硫化度を5%〜75%、有効アルカリ添加率を絶乾木材質量当たり5質量%〜30質量%、蒸解温度を140℃〜170℃とするものが好ましい。より好ましい条件としては、クラフト蒸解液の硫化度を20%〜35%、有効アルカリ転化率を絶乾木材質量当たり10質量%〜25質量%とする。蒸解白液の添加方法については、その方式は特に問わないが、分割で添加する方式を採用してもよい。
蒸解液には、蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノンのようなキノン系化合物および前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の求核置換体、前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、並びにディールス・アルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上の化合物が添加されてもよい。蒸解助剤の添加率は、具体的化合物に応じて好適な範囲から選択されるが、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001質量%〜1.0質量%であり得る。
本発明のアルカリ蒸解に用いられる装置は、特に限定されるものではないが、好適には汎用の連続蒸解釜、バッチ釜等が用いられる。
蒸解後のカッパー価は、特に限定されるものではないが、パルプ品質やその後の漂白性等を考慮すると、例えば広葉樹を原料とした場合には6〜18が好ましく、針葉樹を原料とした場合には20〜35が好ましい。
<前加水分解‐アルカリ蒸解後の酸素脱リグニン>
本発明では、前加水分解‐アルカリ蒸解法により得られた未晒パルプは、好適には、まず酸素脱リグニン法により脱リグニンされる。本発明に使用されうる酸素脱リグニン法としては、例えば、中濃度法あるいは高濃度法が採用され得る。特殊な脱水装置を必要とせず、操業性がよいことからパルプ濃度8質量%〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。酸素脱リグニン法に用いるアルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができる。酸素脱リグニン法に用いる酸素ガスとしては、深冷分離法により得られる酸素ガス、圧力スイング吸着(PSA;Pressure Swing Adsorption)法により得られる酸素ガス、真空スイング吸着(VSA;Vacuum Swing Adsorption)法により得られる酸素ガス等が使用できる。
中濃度法を用いる場合の一態様においては、前記酸素ガスとアルカリは、中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加される。次に当該パルプスラリーの混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素およびアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
本発明に採用されうる酸素脱リグニン法の条件の非限定的な例として、酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5質量%〜3質量%、アルカリ添加率は0.5質量%〜4質量%、反応温度は80℃〜120℃、反応時間は15分〜100分、パルプ濃度は8質量%〜15質量%であるものが挙げられる。この他の条件は公知のものが適用できる。本発明において使用されうる酸素脱リグニン法においては、上記酸素脱リグニンを連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい。
<前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプ漂白>
本発明では、未晒パルプは、洗浄(好ましくは前記酸素脱リグニン工程を含む。)、粗選および精選工程を経て、公知の漂白法で漂白処理に付される。
(多段漂白工程)
本発明では、前記公知の漂白法として、好ましくは多段漂白工程が採用される。本発明の多段漂白工程では、二酸化塩素漂白段(D)、アルカリ抽出段(E)、酸素脱リグニン段(O)、過酸化水素漂白段(P)、オゾン漂白段(Z)といった公知のECF漂白段を組合せて使用でき、各漂白段後には前述の洗浄段を設けることができる。なお、多段漂白工程の、各段の順序を含めた構成を表現する際には、漂白段の適用順序に従って上記アルファベット略号を順に記載し、さらに各段をハイフンで区切ることにより、例えば、D0−E/P−D1のように記載する。前記例において、「0」、「1」等の数字は、同種類の漂白段を複数回適用する場合における当該漂白段の適用の順序を表し、記号「/」は、その両隣に記載された2つの漂白段が同時に適用されることを意味する。
さらに、多段漂白工程には、高温酸処理段(A)、酸洗浄段、高温二酸化塩素漂白段、あるいはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段等を併せて導入することもできる。
本発明の多段漂白工程では、パルプのISO白色度が85%〜92%になるように漂白することができる。当該ISO白色度としては、87%〜92%が好ましく、89%〜92%がさらに好ましい。当該ISO白色度が85%未満の場合には、次いでアルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行ってもISO白色度が90%に到達しないことがあり、溶解パルプとしての品質が低くなり得るので適さない場合がある。ISO白色度が92%よりも高い場合には、多段漂白工程で使用する漂白薬品量が多くなり得るため経済的ではない場合がある上に、溶解パルプに余計な官能基が導入され得るため、溶解パルプの品質が低下する場合がある。
<洗浄段>
本発明では、アルカリ性過酸化水素処理後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行う前の箇所以外は、酸素脱リグニン後の洗浄段に限らず漂白段毎に洗浄段が設けられる。
洗浄段で使用される洗浄機としては、プレッシャーディフューザー、ディフュージョンウオッシャー、加圧型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレス洗浄機等を挙げることができ、特に限定されるものではない。各洗浄段は、一機の洗浄機でまかなうこともできるし、複数の洗浄機を使用することもできる。
本発明においては、各洗浄段の洗浄水にアルカリ、酸、キレート剤、界面活性剤等の洗浄助剤を添加することもできる。なお、洗浄排水については、前段の洗浄段の洗浄水として再利用する向流洗浄に用いることもできる。
<アルカリ性過酸化水素処理>
本発明では、未晒パルプに対して多段漂白工程等による漂白を施した後、アルカリ性過酸化水素処理が行われる。
アルカリ性過酸化水素処理におけるアルカリの添加率は、限定されるものではないが、例えば絶乾パルプ質量当たり0.3質量%〜2.0質量%であり、好ましくは0.5質量%〜1.5質量%である。0.3質量%より少なければ、pHが十分に上がらず、2.0質量%より多ければ、pHが高くなりすぎてパルプの白色度増白効果は不十分となる場合がある。また、過酸化水素の添加率は限定されるものではないが、例えば絶乾パルプ質量当たり0.01質量%〜1.0質量%であり、好ましくは0.05%〜0.5%である。0.01%では漂白薬品が不足し得るためパルプの白色度増白効果が不十分となる場合があり、1.0%以上では溶解パルプ品質が低下する場合がある。アルカリ性過酸化水素処理の反応温度は、例えば、30℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃で行われる。反応温度は、30℃より低い場合には長い反応時間を要し得ることに加えてパルプの白色度増白効果が不十分となる場合があり、90℃より高い場合には昇温に多大なエネルギーが必要となり得るため、経済的ではない場合がある。なお、本発明のアルカリ性過酸化水素処理は、その反応時間を例えば0.1〜5分などと短時間とするものであり、この点において、漂白工程に採用されうるE/P漂白段とは区別されるものである。
アルカリ性過酸化水素処理におけるパルプ濃度は特に限定されるものではないが、例えば1質量%〜40質量%、好ましくは8質量%〜15質量%の範囲で行われ得る。パルプ濃度が1質量%未満の場合には、用水量が多くなり得るため経済的ではない場合があり、40質量%より高い場合には、パルプと薬品の混合が不十分となり得るため、反応が不均一になる場合がある。アルカリ性過酸化水素処理のpHは例えば8.5〜12.5、好ましくは9.5〜12.0であり、8.5より低い場合にはパルプの白色度増白効果が不十分となる場合があり、12.5より高い場合には薬品量が多くなり得るため経済的でない場合がある。
<酸処理>
本発明では、アルカリ性過酸化水素処理の後、未洗浄のまま酸を添加し酸処理が行われる。酸処理における酸の添加量は限定されるものではないが、例えば絶乾パルプ質量当たり0.5%〜3.0%であり、好ましくは、1.0%〜2.0%である。0.5%よりも少ない場合には酸処理pHが高くなりすぎ灰分含有量が十分に低下しない場合、3.0%多い場合にはpHが低くなりすぎ溶解パルプの品質が低下する場合がある。酸処理の反応温度は、例えば常温〜90℃、好ましくは50℃〜80℃で行われる。反応温度は、常温より低い場合には冷却が必要になり、90℃より高い場合には昇温に多大なエネルギーが必要となり、経済的ではない場合がある。酸処理の反応時間は、例えば0.1分〜180分であるが、特に限定されるものではない。酸処理におけるパルプ濃度は特に限定されるものではないが、例えば1質量%〜40質量%、好ましくは8質量%〜15質量%の範囲で行われる。パルプ濃度が1質量%未満の場合には、用水量が多くなり得るため経済的ではない場合があり、40質量%より高い場合には、パルプと薬品の混合が不十分となり得るため、反応が不均一になる場合がある。酸処理のpHは1〜5、好ましくは2〜4である。pHが1より低い場合には反応容器が腐食しやすくなる場合があり、5より高い場合には灰分除去効果が不十分となる場合がある。
本発明の酸処理では、反応pHを調整するために酸が添加される。当該酸としては、蟻酸、蓚酸、酢酸等の有機酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、好適には比較的安価な硫酸、塩酸等が使用される。
<本発明の溶解パルプ>
本発明の溶解パルプは、前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後未洗浄で酸を添加し酸処理を行う、上述してきた製造方法により得られるものである。
本発明の溶解パルプにおける灰分の含有量は、限定されるものではないが、絶乾パルプ質量当たり0.2質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.12質量%以下が特に好ましい。また、本発明の溶解パルプのISO白色度は、限定されるものではないが、例えば88%〜95%が好ましく、90%〜94%が特に好ましい。本発明の溶解パルプの粘度は、限定されるものではないが、例えば1cP〜45cPが好ましく、5cP〜30cPが特に好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の具体的態様に限定されるものではない。特に示さない限り、パルプのカッパー価、白色度、粘度、α−セルロース含量及び灰分含有量の測定は以下の方法で行なった。また、前加水分解後のろ液中のピッチ数は目視で評価した。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。
1.パルプのカッパー価測定
JIS P 8211に準じて測定した。
2.パルプの白色度測定
漂白パルプを離解後、パルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ3.0%加え、TAPPI試験法T205os−71(JIS P 8209)に従って作成した坪量60g/mのシートを用い、JIS P 8148に従ってパルプの白色度を測定した。
3.パルプの粘度測定
JAPAN TAPPI No.44に準じて測定した。
4.パルプのα−セルロース含量測定
JIS P 8101に準じて測定した。
5.パルプの灰分含有量測定
JIS P 8251に準じて測定した。
実施例1
ユーカリ・ペリータ材チップを絶乾質量で300g採取し、水道水10リットルに一晩浸漬した。その後、チップを取り出して400メッシュの篩にかけ、濾別した後、この脱水後のチップを2.5リットル容量の間接加熱式オートクレーブ(MATARI−TUOTE oy製 Type700 325)に入れ、液比が3になるように水道水を加えた後、165℃で60分間、前加水分解処理した。この時のPファクターは406であった。
前加水分解後、オートクレーブの脱気コックから廃ガスを抜き出し、圧力ゲージにてオートクレーブ内の圧力が0になったことを確認した後、処理後のチップを400メッシュの篩にかけ、濾別した。濾別後のチップを絶乾質量で200g採取し、再度2.5リットル容量の間接加熱式オートクレーブに入れ、液比5、絶乾チップ質量当たり活性アルカリ16%、蒸解液の硫化度28%、蒸解温度165℃、蒸解時間50分の条件下でクラフト蒸解を行なった。
蒸解後、黒液とパルプを分離し、パルプを8カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選して、カッパー価16.6の未晒パルプを絶乾質量で120.0gを得た。
前記未晒パルプを絶乾質量で70.0g採取し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを2.0%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度を10%に調整した。前記パルプ懸濁液を間接加熱式オートクレーブに入れ、99.9%の市販の圧縮酸素ガスを注入してゲージ圧力0.5MPaで、100℃で60分間、酸素脱リグニンを行った。酸素漂白終了後、ゲージ圧力が0.05MPa以下になるまで減圧し、パルプをオートクレーブから取り出し、イオン交換水7リットルを用いて洗浄、脱水した。
前記酸素脱リグニン後のクラフトパルプを絶乾質量で60g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した。その後、これに絶乾パルプ質量当たり1.0%の二酸化塩素を添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬してD0段処理を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。前記D0段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を加えてパルプ濃度を10%に調整した。その後、これに絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素0.2%を添加してよく混合した後、温度が70℃の恒温水槽に90分間浸漬してE/P段処理を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
前記E/P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.3%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、D1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度89.1%、α−セルロース含量95.3%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.22%のパルプを得た。
前記D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。その後、そこに未洗浄で硫酸を対パルプ1.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、酸処理を行った。処理後のpHは2.7であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度90.9%、α−セルロース含量95.1%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.08%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1記載のE/P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、D1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度85.6%、α−セルロース含量94.6%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.29%のパルプを得た。
前記D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。その後、そこに未洗浄で硫酸を対パルプ1.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、酸処理を行った。処理後のpHは2.7であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度88.3%、α−セルロース含量94.9%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.09%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1記載のE/P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.4%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、D1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度91.6%、α−セルロース含量95.5%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.19%のパルプを得た。
前記D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。その後、そこに未洗浄で硫酸を対パルプ1.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、酸処理を行った。処理後のpHは2.6であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度93.1%、α−セルロース含量96.0%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.04%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1記載のE/P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、D1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度84.1%、α−セルロース含量93.9%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.45%のパルプを得た。
前記D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。その後、そこに未洗浄で硫酸を対パルプ1.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、酸処理を行った。処理後のpHは2.7であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度86.6%、α−セルロース含量94.0%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.25%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1記載のE/P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、D1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度92.4%、α−セルロース含量95.5%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.11%のパルプを得た。
前記D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。その後、そこに未洗浄で硫酸を対パルプ1.5%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、酸処理を行った。処理後のpHは2.7であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度92.5%、α−セルロース含量95.9%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.04%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1記載のD1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した。その後、これに絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、温度が70℃の恒温水槽に2分間浸漬し、アルカリ性過酸化水素処理を行った。処理後のpHは11.3であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度90.2%、α−セルロース含量95.0%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.53%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
比較例2
実施例4記載のD1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬し、処理を行った。処理後のpHは9.6であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。ISO白色度83.9%、α−セルロース含量94.0%、絶乾パルプ質量当たり灰分含有量0.44%の完成パルプを得た。結果を表1に示す。
表1の例えば実施例1と比較例1、2を比較すると明らかなように、リグノセルロース物質を原料として前加水分解−アルカリ蒸解を行なって未晒パルプを調製した後、漂白し、さらにアルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことにより、高α−セルロース含量、高白色度、低灰分含有量の溶解パルプを製造できることが判明した。
また、表1の例えば実施例と比較例2を比較すると明らかなように、リグノセルロース物質を原料として前加水分解−アルカリ蒸解を行なって未晒パルプを調製した後、ISO白色度85%〜92%まで漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、未洗浄で酸を添加し、酸処理を行うことにより、効率よく高α−セルロース含量、高白色度、低灰分含有量の溶解パルプを製造できることが判明した。
本発明により、リグノセルロースから白色度が高く、灰分含有量の低い高品質の溶解パルプを製造することが可能となる。また、本発明により、通常、酸処理前の洗浄に用いられる水が不要であることにより、排水による環境負荷が低減され、なおかつ、当該洗浄に用いる洗浄機を要さないことにより、設備投資およびランニングコストが低減された溶解パルプの製造方法が提供される。
Figure 2016014203

Claims (4)

  1. リグノセルロース物質を原料として、前加水分解−アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法であって、該前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、その後、未洗浄で酸を添加し酸処理を行うことを特徴とする溶解パルプ製造方法。
  2. 前記前加水分解−アルカリ蒸解後のパルプを多段漂白工程にてISO白色度85%〜92%まで漂白した後、アルカリ性過酸化水素処理を行い、未洗浄で酸を添加し、酸処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の溶解パルプの製造方法。
  3. 前記溶解パルプにおける灰分含有量が絶乾パルプ質量当たり0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法により製造される溶解パルプであって、ISO白色度が88%〜95%であり、粘度が1cP〜45cPであることを特徴とする溶解パルプ。
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