《第1の実施形態》
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図である。図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図であって、説明のため導光体2と外カバー8をとり、LED光源4(4L,4D)の配置に着目した図である。図2は、図1(a)のA−A’の断面図である。図2に矢印で示すように方向を定義する。前面方向FDは、照明装置1が主に光を照射する方向である。照明装置1が主に光を照射する方向とは、天井50に設置、または天井50から吊るして室内(周囲)を照明するタイプの照明装置であれば、天井50から床に向かう方向(照明装置1から床に向かう方向、照明装置1の直下方向)である。
背面方向BDは、前面方向FDと反対方向で天井50がある方向である。外側方向ODは、前面方向FDと略垂直方向であって、照明装置1の中心から外側に向かう方向である。前面方向FDと略垂直であり照明装置1の外側から照明装置1の中心に向かう方向を内側方向とする。
図1は、LEDを有する光源であるLED光源4を実装する基板5の法線方向(つまり、前面方向FD)から見た正面図である。LEDを有する光源とは、単体または複数のLEDを有しても良く、単体または複数のLEDを、蛍光体を含む樹脂等で封止した光源でも良い。例えば、発光波長が450nm付近にピークを持つ青色に発光する青色LEDを、1種または多種の蛍光体を含む樹脂等で封止した光源などである。この場合、光源からは、青色LEDの光と蛍光体で波長変換された光が出射する。それゆえ、蛍光体の量、種類、封止する樹脂に入れる蛍光体種類の数などを変えることで光源から出射(発光)する色や光束を調整することが可能である。封止は樹脂で行うこともあればガラスなどを用いる場合もある。また、LEDと蛍光体は分離して配置する構成としても良い。
また、LEDを基板5に直接実装し、それを樹脂等で封止しても良い。当該樹脂には蛍光体を含んでも良く、含まなくても良い。また、LEDをリードフレームなどに実装して封止し、パッケージ化した光源を基板5に実装しても良い。このとき、封止する樹脂に蛍光体を混ぜても良い。所謂、表面実装型LEDを基板5に実装しても良い。LEDを有すれば、光源として機能するので、光源としての様々な組み合わせが可能である。
本発明は、光源や光源の実装方法に限定されず、様々な光源を用いることが可能である。以下の説明は、LEDを有する光源を代表的な光源として説明する。なお、簡単のため、LEDを有する光源をLED光源4と呼ぶことにする。
基板5において、LED光源4が実装されている面を実装面と呼ぶことにする。図1(a)は、導光体2、基板5、外カバー8、内カバー9、導光体2に付与されている第1の光取出し部3Aと第2の光取出し部3Bの概略を説明するための正面図であるため、説明に主に関係する箇所のみ記載している。図1(b)は上述したとおり、LED光源4(4L,4D)の配置に着目した図であるため、基板5、LED光源4(4L,4D)、内カバー9のみ記載している。図2の断面は、LED光源4が実装されている基板5の法線と平行な面における断面図である。図2においても、主要な部材のみ記載している。
照明装置1は、正面から見た場合に略円形状である。照明装置1は、導光体2と、LED光源4と、基板5と、反射シート6と、フレーム7と、外カバー8と、内カバー9と、電源回路10と、反射キャップ11と、固定具51などから構成されている。なお、課題を解決するためには、照明装置1は、少なくとも、導光体2と、LED光源4と、基板5と、電源回路10とを有していれば良い。更に、照明装置1として、照明装置1の配光特性を概ねランバート配光とするか、それよりも広い配光特性として、より適正な配光特性となる照明装置1を提供するためには、反射部材としての反射シート6なども有すると良い。
基板5は、正面から見た場合に略円形の輪状の形状をしている。LED光源4は、照明装置1の最外周に1列で、照明装置1の外周に沿って基板5に配置されている。当該構成は、できるだけ多くのLED光源4を、導光体2において一続きの平面からなる入射面2Aに対応して配置できる構成である。それゆえ、大光量であり、薄型であり、且つ、等方的に、床や、部屋の壁、天井50などの照明装置1の周囲を照明するという効果を奏する構成である。多数のLED光源4を配置することができるため、LED光源4の性能にもよるが、本構成における照明装置1は、照明装置1の最大外形を450mmφ〜700mmφとした場合に、6000lm以上の光束を照明装置1から出射可能である。
LED光源4は、光を出射する出射面4Aと、基板5に実装するための基板実装面と、を備えている。本実施形態において、図1(b)に示すように、LED光源4は2色のLED光源(4L,4D)が互い違いになるよう基板5に配置されている。当該2色のLED光源4は、色温度が2500kから3500k程度の暖色のLED光源4Lと、6000kから7000k程度の白色のLED光源4Dである。両者の電流値を電源回路10で制御することで照明装置1から出射する光の色を、LED光源4Lの色温度からLED光源4Dの色温度の範囲で変化させる調色機能を実現する。なお、本発明は、2色のLED光源に限定されず、より多色であっても単色であっても良い。また、本発明における各色の色温度は限定されない。代表的な例で説明する。
基板5が一続きの一枚の基板である場合、全てのLED光源4は等間隔で配置することが容易に可能であり、本例では全てのLED光源4は等間隔で配置されている。LED光源4から発光した光は、LED光源4において光を出射する出射面4Aに対応して配置される導光体2の入射面2Aから導光体2に入射する。
なお、LED光源4の色の数、配置などは上記に限るものではない。
図2に示すように、導光体2の断面形状は、曲がる部分である伝播方向変換部2Bと、伝播方向変換部2Bに続き、内側方向と略同一方向へ至る部分である面出射部2Cと、を有する形状である。面出射部2Cは、略平行でおおよそ平らな2つの面(2CIと2CO)から構成される。
面出射部2Cを構成する面2CIと2COは、伝播方向変換部2Bを構成する面2BI、2BOよりも、前面方向FDと垂直な面との成す角度が小さく、前記前面方向FDと垂直な面と平行に近い面である。完全に平面としても良いが、本例では射出成形にて形状がばらつか無いようにするために、面2CIと2COの断面形状は略円弧形状であって、当該円弧の長さ(外側の端部から照明装置1の中心までの距離)が300mm程度であるのに対して、曲率半径が約5000mmよりも大きい断面形状を持つ、おおよそ平面に近い面である。本実施形態では断面形状を円弧としたが、これに限定されず、円弧とは異なる曲線でも良く、折れ線でも良く、直線または折れ線と曲線が混ざっていても良く、言うまでも無く直線でも良い。
また、本実施形態の伝播方向変換部2Bを構成する面2BI、2BOの断面形状は、曲率半径が10mmから40mm程度の中心角が概ね90度の略円弧形状である。なお、本実施形態では円弧としたが、光の伝播方向を変換する機能があれば良く、そのために曲がる部分があれば良い。光の伝播方向を少なくとも概ね45度以上変更する機能を有すれば良い(断面形状が略円弧の場合は、中心角が概ね45以上ということである。)。当該曲がる部分は、円弧とは異なる曲線でも良く、直線または折れ線と円弧で構成されていても良く、直線または折れ線と円弧以外の曲線で構成されていても良く、折れ線でも良い。
また、本実施形態の導光体2は、入射面2Aの幅(厚み)が導光体2の中央付近よりも厚い構成となっている。別の言い方をすれば、伝播方向変換部2Bの方が、面出射部2Cの中央付近よりも厚い部分を有する構成となっている。それは、LED光源4からの光をできるだけ導光体2に入射面2Aより入射させ、かつ、面出射部2Cまで、伝播方向変換部2Bにおいて第2の光取出し部3B以外の位置で光が漏れないように伝播させるために、所定の以上の厚さ(4mm以上、本実施形態では5mm)とし、面出射部2Cは厚くすると重くなるので導光体2の軽量化を鑑みて面出射部2Cの中央付近に向けて緩やかに薄くなっている。したがって、面2CIと2COの断面形状の円弧は、原点と曲率半径の異なる円弧となっている。
また、導光体2は透明な材料で形成された部材であって、その材料は、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、または、それらの複合材等の樹脂である。但し、本発明は導光体2が光を導光できる程度に透明であれば、これらの材料に限定されない。例えば、形状を作製できれば、ガラス等を用いても良い。
本実施形態における導光体2の断面形状は、入射面2Aから、LED光源4の略主発光方向(LED光源4の発光光度の角度分布が最も強い方向)であり、また、LED光源4の出射面4Aの法線方向と略同方向(つまり、前面方向FD)に立ち上がっている。入射面2A付近の断面形状を当該形状とすることで、LED光源4の発光光を効率よく入射させ、入射光を導光体2から漏れないように前面方向に導くという効果を奏する。
この際、入射面2Aから面2BI、2BOの立ち上がり角度2Ag(図3に図示)は、0.5度以上、好ましくは5度以上10度未満である。この角度範囲は次の理由による。導光体2を射出成形したあとで、金型から取り出す際に、取り出せるようにするためには角度2Agは最低0.5度以上必要で5度以上が好ましいという点と、角度2Agを10度よりも大きくすると、光が伝播方向変換部2Bを伝播せずに漏れるという現象を鑑みて設定した角度範囲である。とりわけ、5度程度が伝播方向変換部2Bで光がほとんど漏れず、成形の観点からも十分に大きな角度であって、最適な角度である。なお、射出成形で金型から取り出せ、大半の光が伝播方向変換部2Bを伝播せずに漏れることが無ければ、上記立ち上がり角度に限るものではない。また、射出成形以外の方法で成形する場合も上記立ち上がり角度に限るものではない。
図3に、図2の左半面を拡大した図を示す。中心線CLは、照明装置1の中心を通り、前面方向FDと平行な直線である。図3には光線追跡例としてRAY31〜RAY34を示す。
入射面2Aに入射した光は、導光体2の断面形状に沿って、伝播方向変換部2Bで伝播方向が変更され、面出射部2Cを伝播する。なお、導光体2中の光の導光に関しては、光が導光体2の内部において、導光体2を構成する面に当たったときに、当該面の法線と光のなす角度が全反射角度以上の場合に全反射され、この全反射を繰り返すことで導光体2の中を光が導光する。全反射角度以上の角度で導光体2を構成する面に入射して導光する光の条件を導光条件と呼ぶことにする。導光条件が崩れた光は何れ導光体2から出射する。
光取出し部3の役割は、光取出し部3に入射する光であって、全反射を繰り返している光の一部または全部を、光取出し部3にて透過により導光体2の外に出射するか、当該部位での反射光が別の部位で全反射せず透過して導光体2の外に出射するように反射することである。
面出射部2Cには、第1の光取出し部3Aを有する。本実施形態では第1の光取出し部3Aは、面出射部2Cの背面方向側の面である面2CIに配置している。図3中の光線RAY31は、伝播方向変換部2Bを伝播し、面出射部2Cの第1の光取出し部3Aで反射して出射面2COから前面方向側に出射した例である。ここで、前面方向側とは、前面方向FDを原点として前面方向FDからの角度が±90度以内の方向のことである。
図3中の光線RAY32は、伝播方向変換部2Bを伝播し、面出射部2Cの第1の光取出し部3Aにて透過して(屈折して)、反射部材である反射シート6に到達し、当該反射シート6で散乱反射して、面2CIを透過して出射面2COから前面方向に出射した例である。
本実施形態における反射シート6は白色散乱反射部材であり、導光体2の面出射部2Cよりも背面方向側に配置され、導光体2からの入射光を前面方向側に反射する。本実施形態において、反射部材を導光体2の内側に配置することは、照明装置1からの出射角度分布の適正化(照明装置1の配光特性を概ねランバート配光とするか、それよりも広い配光特性とする)において重要である。本実施形態における反射部材は、基板5、フレーム7の中心付近の平面を覆う反射シート6とLED光源4付近に位置する反射シート6、フレーム7の一部である前面方向側のフレーム7A、外カバー8および内カバー9である。
本実施形態では、基板5は実装面が白色散乱反射膜で覆われている。基板5はLED光源4の近くに位置するため、入射面2Aでの反射光(フレネルの式で表される反射率に基づく反射)や他の反射部材からの反射光が、基板5に入射するので、実装面は塗装、反射膜、反射シート6の配置などにより反射率を高くして吸収を低減することが望ましい。本実施形態では、フレーム7Aは白色で塗装されており、白色散乱反射する。
これらの反射部材の内、とりわけ、導光体2に対向して(導光体2の内側に)配置されている反射部材である反射シート6とフレーム7Aが照明装置1からの出射角度分布の適正化において重要である。その理由に関しては後述する。
伝播方向変換部2Bでは、外側方向側にも光を出射する第2の光取出し部3Bを有する。ここで、外側方向側とは、外側方向ODを原点として外側方向ODからの角度が±90度以内の方向のことである。また、第2の光取出し部3Bは、前面方向FDを原点として前面方向FDから90度以上の背面方向側、つまり、天井に向けても光を出射する部位でもある。図3中の光線RAY33は、第2の光取出し部3Bで反射して背面方向BDに導光体2から出射した例である。本実施形態の光取出し部3の表面には、微細な凹凸が付与されており、RAY33は散乱反射された光線例でもある。図3中の光線RAY34は、第2の光取出し部3Bで散乱透過してフレーム7Aの斜面に到達し、当該斜面で散乱反射して、再度導光体2の面2BIに入射して、出射面2BOから背面方向BDに出射した例である。導光体2の内側に配置された反射部材により、外側方向側に散乱反射されて、天井50を直接照明するという効果を奏している例である。
伝播方向変換部2Bが照明装置1の最外周に沿って配置されているため、面2BOから出射した光は、照明装置1の他の部品に遮られることなく、背面方向BDに出射し、天井50を直接照明することが可能となっている。
これら光取出し部3の詳細については後述する。本実施形態では、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2としてあり、さらに、光取出し部3を溝(凹形状)として、伝播角度変換部2Bおよび面出射部2Cでは、それぞれ内側の面2BI、2CIに付与している。この光取出し部3で角度変換された光は、反射・透過を経て、外側の面2BO、2COから、直接、床や、部屋の壁、天井50など照明装置1の周囲に向かって出射し、周囲全体を照らすという効果を奏する。
ここで、伝播角度変換部2Bおよび面出射部2Cにおける光取出し部3は、内側の面2BI、2CIであっても、外側の面2BO、2COであっても良いし、内側と外側の両側にあっても良いし、一方は内側、他方は外側であっても良い。但し、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成(照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2)の場合、両方とも内側にある方が、光取出し部3に埃や汚れが付着しないという利点がある。とりわけ、光取出し部3が溝などの凹形状や散乱するための微小な凹凸がある場合に、光取出し部3を内側にすることで、凹形状や微小な凹凸に詰まる埃や汚れを防止する効果が高くなる。
従来、一般の照明装置、とりわけ個人の家に設置する住宅用照明装置においては、平面の板形状の導光板の前面に、導光板から出射した光を散乱するための散乱カバー部材が配置され、導光板から出射した光を散乱透過して、床や、部屋の壁など照明装置の周囲を照明する。導光板から出射した光で、直接、周囲を照明する場合、壁や天井方向への光が少なくなる。とりわけ、天井への光がほとんど無くなる。それゆえ、天井で反射して周囲を照明する間接光がなくなってしまうという課題があり、それらを解決するために、導光板の前面に、導光板から出射した光を散乱するための散乱カバー部材が配置されている。
本実施形態の構成の場合、LED光源4が照明装置1の最外周に沿って配置されており、さらに、そのLED光源4に対応して、入射面2Aおよび伝播角度変換部2Bが最外周に配置されている。その上で、外側方向ODに法線が向いた(前面方向FDから法線が傾いた)面2BIがあり、そこに第2の光取出し部3Bがあるので、第2の光取出し部3Bで角度変換された光が面2BOから出射し、その出射光が、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2となっているため、他の部品に遮られることなく、外側方向ODおよび背面方向BDを照射することが可能である。それゆえ、第1の光取出し部3Aからの光と合わせて、本実施形態の構成により、床や、部屋の壁、天井50など照明装置1の周囲全体を照らすという効果を奏する。
本実施形態の構成の重要な特徴を別の言葉で言えば、LED光源4からの光を、最外周から中心に向けて伝播させて、所定の位置の光取出し部3で取り出して出射させている点と、導光体2が単なる平面の板形状ではなく立体的な形状であるという点である。本特徴により、本照明装置1は、大光量、薄型、等方出射、照明装置1の周囲全体を照明するなどの効果を得ている。
また、本実施形態では、導光体2から出射した光を散乱するための散乱カバー部材などが無く、導光体2から出射した光で照明装置1の周囲を直接照明する。導光体2から出射した光で照明装置1の周囲を直接照明することで、少なくても、次に述べる利点がある。
第1の利点は次の通りである。導光体2の前面に散乱カバー部材が配置されている場合は、前記散乱カバー部材は、一部の光を透過し、また、反射する。それゆえ、反射光が照明装置の内部に戻り、一部の光が照明装置内の光を吸収する部材で吸収され損失する恐れがある。本実施形態のように、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合は、これらの損失が低減し、照明装置1の光利用効率が向上するという効果を奏する。
第2の利点は次の通りである。前述のとおり、導光体2の前面に散乱カバー部材が配置されている場合は、前記散乱カバー部材は、一部の光を透過し、また、反射する。反射光の一部は、照明装置内の部材で再度反射するが、一般に該部材での光反射率は全ての光の波長で一定ではないので、該部材での再反射光のある波長の光は他の波長の光より反射光束が小さくなる恐れがある。つまり、該部材で光を再度反射すると色が変わる恐れがあるということである。この場合、例えば、LED光源4から出射する光の色温度を6500kとした場合、散乱カバー部材が配置されている照明装置から出射する光は6200Kになったりすることがある。しかしながら、本実施形態のように、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合は、導光体2の前面の散乱カバー部材で反射される光が無いので、色の変化が、導光体2の前面に散乱カバー部材がある場合に比べて少ないという効果を奏する。損失率が低減するということは、照明装置1内の部材での反射回数が低減するということであり、つまり、反射回数が少ない分だけ、色の変化も低減するということである。
第3の利点は次の通りである。LED光源4から出射された光が、略透明な導光体2を導光して、第1の光取出し部3Aと第2の光取出し部3Bから出射する照明装置1は、導光体2の透明感と光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
第4の利点は次の通りである。導光体2の前面に散乱カバー部材がないので、廃棄時に当該散乱カバー部材の産業廃棄物の低減となる。また、該散乱カバー部材の作製プロセスが無い分、省エネで照明装置を作製できるという効果を奏する。
なお、前記散乱カバー部材が有する機能である、導光板から出射した光を散乱透過して、床や、部屋の壁など照明装置の周囲を照明するという機能を、本照明装置1では、上述した導光体2の立体的な形状および光取出し部3の位置や光取出し部3への散乱特性の付与や、反射シート6などの反射部材の組み合わせにより実現している。
ここで、当該反射部材の役割について言及する。従来は、前記散乱カバーの透過散乱により、照明装置からの出射光の角度分布(配光特性)は概ねランバート配光となった。しかしながら、本実施形態の場合のように、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2となっていて、導光体2からの光で、床や、部屋の壁、天井50を直接照らすという構成の場合、出射面2BO、2COから出射する光の和の配光特性が概ね照明装置1の配光特性になるので、導光体2の当該面から出射する光の和が概ねランバート配光となる必要があり、導光体2は光が導光できる程度に透明であるので、導光体2だけでは前記散乱カバーの透過散乱程度の散乱効果を得ることは難しい。
そこで、本実施形態では、詳細は後述するが光取出し部3に散乱特性を付与したり、当該反射部材を配置することで、照明装置1の配光特性を概ねランバート配光とするか、それよりも広い配光特性として、適正な配光特性となる照明装置1を提供する。
当該反射部材の効果については、再度、図3中の光線RAY32、RAY34を用いて説明する。本実施形態では、導光体2の表面に凹形状を作ることで光取出し部3を設けている。導光体2の表面形状を変更しているので、光取出し部3も透明であり、光取出し部3への入射光は、光取出し部3を透過することも反射することもある。透過光と反射光の割合は光取出し部3の形状による。それゆえ、当該光取出し部3は、光線RAY31、RAY32のように、導光体2内を伝播した光を、導光体2から当該反射部材に向かう方向(RAY32)と、導光体2から前面方向FDと略同一方向(RAY31)に出射することが可能となる。なお、RAY31に示すように、本実施形態の第1の光取出し部3Aの場合、当該光取出し部3A前面方向FDへも出射するが、前面方向FDから伝播方向(図3では内側方向)に傾いた方向の光度が大きくなることがある。前面方向側を概ね前面方向FDと略同一方向と呼んでいる。
光線RAY32は、反射部材(反射シート6)で散乱され、前面方向FD方向に伝播しているが、これに限らず、若干の指向性はあるものの、外側方向、内側方向にも散乱光が伝播する。反射部材である反射シート6や白色塗装したフレーム7Aの散乱効果、つまり、広い角度範囲へ反射散乱する効果は、前述の前記散乱カバーの透過散乱程度の散乱効果と同程度以上である。それゆえ、面出射部2Cからは、反射部材での散乱光が導光体2を透過する光と第1の光取出し部3Aで反射して導光条件が崩れて出射する光とが出射するので、概ねランバート配光となる。また、図3に示すように、導光体2と当該反射部材の間に空隙がある構成の場合は、当該空隙を伝播中に光は広がるので、その構成の場合は、さらなる出射位置分布(照度分布)均一性の効果を得ることが可能となる。
光線RAY34は、反射部材であるフレーム7Aの斜面で反射する例であるが、フレーム7Aが、前述の前記散乱カバーの透過散乱程度の散乱効果と同程度以上の散乱特性を有するために、同様に面2BOからの出射光は、特定の方向のみを明るくするのではなく、広い範囲に光が出射する。
また、外側方向を明るくするためには、反射部材を導光体2の内側に配置する場合には、前記反射部材(反射シート6)を面出射部2Cに対向する位置であるフレーム7の中心付近の平面を覆うだけでなく、伝播角度変換部2B付近であって、伝播角度変換部2Bに対向する位置でもあるLED光源4付近にも前記反射部材(反射シート6)を配置し、さらに、フレーム7の中心付近の平面を覆う反射シート6とLED光源4付近に配置される反射シート6との間も、フレーム7Aを白色塗装して反射部材とすることが望ましい。なぜならば、第2の光取出し部3Bからの光を反射する反射部材が離れた位置に有る場合、空気中伝播時の拡散により伝播角度変換部2Bに戻ってくる反射光が少なり、伝播角度変換部2Bから出射する光の量が少なくなるためである。
第2の光取出し部3Bにおいても、光線RAY34のように、導光体2内を伝播した光を、導光体2から当該反射部材に向かう方向にも出射可能とすることで、当該反射部材からの反射光により、伝播角度変換部2Bからの出射光も適当な角度で広がる光となり、さらに、外側方向への伝播角度変換部2Bからの出射光量を増やすことが可能となる。
総じて、光取出し部3を反射・透過、何れも可能な構成として、反射部材を面出射部2Cよりも背面方向側に配置するという構成は、配光特性を良好な特性へ改善するという効果を奏する。
本実施形態の構成によれば、導光体2は、白い反射部材から反射した光が、導光体2全体から出射し、光取出し部3からはより明るい光が出射する。それゆえ、導光体2の透明感と、導光体2を通して見える白さ、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
導光体2から出射した光のみで照明装置1の周囲を直接照明する場合は、上述した壁や天井方向への光が少なくなってしまうなどの配光特性に関係する課題以外にも様々な課題があり、それらを解決する方法については、課題と同時に順次詳述する。
基板5が一続きの一枚の基板であり、全てのLED光源4は等間隔で配置されている場合を前述した。LED光源4が等間隔で配置されていない場合には、LED光源4の距離が離れている場所が、当該距離が近い場所に比べて暗くなる光のムラが発生する恐れがある。さらに、本実施形態のように、2色のLED光源4(4L,4D)を用いている場合は、光のムラに加えて色のムラが発生して見た目が著しく損なわれる恐れがある。したがって、LED光源4はおおよそ等間隔で配置することが望ましい。さらに、隣り合うLED光源4間の隙間が10mm未満となるように設置することが望ましい。隣り合うLED光源4間の隙間を10mm以上とすると、隣り合うLED光源4間の隙間に対応して暗くなるムラが発生することを実験にて確認した。また、隣り合う2色のLED光源4(4L,4D)間の隙間を10mm以上とすると、色が混色せず、見た目が著しく損なわれる。これらのムラは、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合に、照明装置1における外観である導光体2が人間からも直接見えるために、課題となる。
なお、基板5は、一続きの基板としても良いが、4等分、6等分、8等分など等分割した基板を組み合わせて略円形の輪状の形状を作った方が、産業廃棄物低減の観点からは良い。以下、理由を述べる。基板は、通常、矩形の板材に銅箔パターン等を形成し、必要な部位を切り出して作製される。元となる基板から一続きの略円形の輪状の基板を切り出すよりも、小さい面積の等分割した基板を切り出すほうが、廃棄する部位が少なくなる。つまり、等分割した基板を組み合わせて円形の輪状の形状を作った方が、元となる一枚の基板から取れる、略円形の輪状の形状を構成する基板一式の数が多くなるからである。
等分割した基板を組み合わせて略円形の輪状の形状を作る場合の課題は、基板が分割されている端部において、異なる基板間で隣り合うLED光源4間の距離が、同一の基板内で隣り合うLED光源4間の距離よりも大きくなる点である。しかしながら、この場合も、できるだけLED光源4は等間隔に配置することが望ましい。また、隣り合うLED光源4間の隙間を10mm未満とすることが好ましい。なお、同一の基板内で隣り合うLED光源4間の距離を1.5から3mm程度とすると、異なる基板間で隣り合うLED光源4間の距離も同程度とすることが可能であり、ムラが発生しないことを確認済みである。
本実施形態では、LED光源4から導光体2に入射しない光を散乱反射するために、LED光源4の周囲には反射部材としての外カバー8と内カバー9を配置している。両カバーともに樹脂材料である。これらに関しては後述する。
フレーム7は大まかには2枚の金属フレーム7A、7Bで構成され、天井に近い側のフレーム7Bに電源回路10が設置され、フレーム7Aに、導光体2、基板5、反射シート6、外カバー8、内カバー9などの光学部品が設置される。フレーム7における導光体2側の部材であるフレーム7Aは、LED光源4および導光体2からの光を反射するために、白色の塗装をすることが好ましい。さらに、塗装よりも反射率の高い反射シート6で、フレーム7Aを覆うことがさらに望ましい。平面の反射シート6を使うと、正面から見た場合の照明装置1の形状が円形の場合、フレーム7Aの斜面に貼ることが困難であるが、光反射板などの反射部材に成形加工等を施すことで立体的な反射部材にして、フレーム7A全体を覆うことが好ましい。フレーム7Aまたはそれを覆う物は反射部材として活用できるように様々な加工や部材の追加をすることが好ましく、上記反射部材は白色の散乱部材であることが好ましい。
照明装置1の中央には、天井50と照明装置1を接続するための機構がある。天井50には、照明装置1を設置するための器具が設置されている。一般には、天井50には、照明装置1を固定すると同時に電力を供給する引っ掛けシーリング52が設置されている。
照明装置1の固定は、最初に、固定具51を引っ掛けシーリング52に取り付ける。固定具51には、固定具51の中心方向に押せば、固定具51の中に引っ込むことが可能な出っ張り部51Aがある。出っ張り部51Aの断面は略三角形であり、照明装置1を前面方向FDから天井に近づけると、フレーム7Bの端部7BEで押されて、出っ張り部51Aが固定具51の中に引っ込む。フレーム7Bの端部7BEが出っ張り部51Aよりも天井に近づくと、固定具51の中に引っ込んでいた出っ張り部51Aが元の位置まで戻り、図2に示す状態となり、照明装置1が天井50に固定される。なお、本発明は固定具の形状(構造)に限定されるものではない。固定具は、照明装置1を天井等の所定の位置に、固定するための機能を有していれば良い。
引っ掛けシーリング52から固定具51に電力が供給され、その電力は固定具51から配線51Bと配線10Aを介して電源回路10に供給される。配線51Bと10Aはコネクタで接続されている。これら固定具51と配線およびコネクタを収納する空間に光が入ることを抑制するために、反射キャップ11が固定具51と対向して配置されている。反射キャップ11は、光を反射する部材であり、一般に散乱反射する白色の部材である。安全性向上のために反射キャップ11は難燃性の樹脂であることが好ましい。反射キャップ11の表面に反射シート6を貼るとさらに良い。
光取出し部3の成形方法に関しては、導光体2は立体形状であるため、白色インクのスクリーン印刷は困難である。それゆえ、射出成形で成形できる構造であることが好ましい。また、レーザ加工で表面に凹凸をつけても良いが、射出成形の凹凸形状の方が光学的な制御がし易い。導光体2に散乱剤を含有し、散乱剤にて導光体2からの光取り出しを制御する方式もあるが、この方式は浅い角度でしか導光体2から光が出射しないために角度を変化するために、本実施形態で説明した同様の光取出し部3や光学シートが更に必要となる。それゆえ、射出成形で表面に溝などの凹凸をアンダーカット形状が無いように成形する方法が最も良い。その際、導光体2の内部に散乱剤が入っていても良い。但し、作製方法は射出成形に限定するものではなく、上記、レーザ加工やアクリル等の樹脂等の液滴をたらしてUV硬化また熱硬化等をすることで凸の光取り出し部3を成形する方法にて作製しても良い。この場合、伝播方向変換部2Bに樹脂等の液滴をたらして光取出し部3を成形するには、液滴をたらした後で、すぐに液滴が硬化する材料を用いると良い。斜面に印刷する装置があれば、白色インクのスクリーン印刷をしても良い。また、例えば平面に近い形状である面出射部2Cの第1の光取出し部3Aは、白色インクのスクリーン印刷などで作製し、伝播方向変換部2Bは別の方法で作製しても良い。
但し、白色インクは、インク濃度を濃くすると透過しなくなる。それゆえ、光が透過する程度のインク濃度で印刷すると、上述した光取出し部3を反射・透過、何れも可能な構成として、反射部材を面出射部2Cよりも背面方向側に配置するという構成により、配光特性を良好な特性へ改善するという効果も奏するので、光が透過する白色インクによる光取出し部3を形成することが好ましい。
次に、光取出し部3(3A,3B)を正面から見たときの特徴について図1を用いて説明する。LED光源4は、照明装置1の最外周に1列(図1(b)参照)で、照明装置1の外周に沿って基板5に配置されており、照明装置1において一回りのLED光源4がリング状に囲んでいる構成である。導光体2も正面視で円形であり、中心は照明装置1の中心に一致する。さらに、導光体2の中心を中心として、第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bも同様に、リング状に配置されている。光取出し部3(3A,3B)の形状は、溝形状に限定されるものでは無いが、本実施形態では溝形状がリング状に配置されている構成である。光取出し部3(3A,3B)の形状は溝形状または凸形状が最も簡単な形状で綺麗に光を取り出す形状と考えられる。LED光源4、導光体2、第1の光取出し部3A、第2の光取出し部3Bを、本実施形態の様に照明装置1の外周に沿って配置することで、照明装置1の周囲を均一に照明できるという効果を奏する。さらに、正面視でLED光源4の配置と光取出し部の配置が円形の場合は、照明装置1の周囲を等方的に照明できるという効果を奏する。また、光取出し部3(3A,3B)が照明装置1(導光体2)の中心を中心として環状に一周した構成であると、光り方が等方的で綺麗であるという効果を奏する。更に、環状に一周した構成を複数有すると、更に光り方が等方的で綺麗であるという効果を奏する。
ここで、図4は、本発明の別実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図である。図4に示すように、光取出し部3(3A,3B)が照明装置1(導光体2)の中心を中心とした渦巻状の構成としても、光り方が綺麗であるという効果を奏する。
また、第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bが照明装置1の中心を囲む場合に、特定の断面形状で一周しても良いが、ピラミッド、三角錐、凹部、凸部などの個別パターンを所定の間隔で配置して、または、繋げて配置して環状に一周しても良い。
また、図1や図4では、第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bをそれぞれ、略円形の環状や略円形の渦巻状としたが、この限りでない。略四角形や略三角形の環状や渦巻状などとしても良いし、両者を組み合わせても良い。
なお、以上説明した各実施形態において、光源はLED光源4として説明したが、これに限らず、有機発光ダイオードOLED(Organic Light Emitting Diode)など、別の光源を用いることも可能である。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の説明のために示した具体例であって、これらの各実施形態に本発明を限定するものではない。例えば、以上の各実施形態において図示した各部材の形状および構成は、当該部材が有すべき機能を満足するものであれば、必要に応じ適宜設計等は最適化するべきものである。