JP2016012150A - 凹型レンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹型レンズの凹部を形成する基板上に、所定種類のエッチャントに対するエッチングレートが前記基板と異なるマスク層を形成する工程と、該基板内に形成する凹型レンズの凹部中心に対応する該マスク層の箇所に開口を形成する工程と、
前記マスク層を介して前記所定種類のエッチャントを用いてウエットエッチングする工程と、
該基板表面と該マスク層との密着状態を制御する工程を前記マスク層を形成する工程および/あるいは前記ウエットエッチング工程において含み、前記凹型レンズの曲面を規定する非球面の凹部を前記基板に形成する。
【選択図】図2
Description
また、非球面のレンズ曲面の縁付近にこの第1膜と基板との境目が存在してしまい、レンズ曲面の曲率が顕著に変化してしまう。このため、レンズ曲面の縁付近に残された第1膜が、光学性能に悪影響を及ぼすおそれがあるという問題がある。
さらに、マスク層パターンニングのドライエッチングとの組み合わせ、あるいは複数回のウエットエッチングを行う等製造工程が複雑化することから、製造コストの増加や製造歩留まりの低下などの問題がある。
また、製造工程が複雑化することなく、製造コストや製造歩留まりが低下することのない凹型マイクロレンズを含めた凹型レンズの製造方法を提供することを目的とする。
前記マスク層を介して前記所定種類のエッチャントを用いてウエットエッチングする工程と、
該基板表面と該マスク層との密着状態を制御する工程を前記マスク層を形成する工程および/あるいは前記ウエットエッチング工程において含み、前記凹型レンズの曲面を規定する非球面の凹部を前記基板に形成することを特徴とする凹型レンズの製造方法である。
また、製造工程が複雑化することなく、製造コストや製造歩留まりが低下することのない凹型レンズの製造方法を提供することが可能になる。
図1(a)は、従来の技術であり、図1(b)は、本発明のウエットエッチングの手法を用いて、基板に対して深さ方向と表面方向のエッチング量が異なる、いわゆる異方性のエッチングとする概念図である。
図1(b)は、浅いナベ状の非球面の凹部を形成する技術の原理的な概要を示す図である。図1(a)、(b)において、1は被加工基板、2はマスク層、3はフォトレジスト層、4はマスク層開口部、矢印A、Bは、被加工基板1とマスク層2との界面におけるエッチャントの浸透方向をそれぞれ示す。
実施例1〜3の条件を満たす被加工基板1とマスク層2との密着状態の度合い、マスク層2との密着状態を変化させるエッチャントの添加剤、及びこれらの条件を併合した条件によって、エッチャントが、被加工物である被加工基板1とマスク層2との界面に浸透し、被加工基板1とマスク層2の界面の密着状態がさらに変化して、微小な隙間が両者の界面に発現し、エッチャントが基板の深さ方向よりもその界面に沿って早く広がり、被加工基板1に対する加工処理開始時のマスク層開口部4からのエッチングに加えて、界面に浸透したエッチャントによるサイドエッチングが相対的に大きくなり、非球面の凹部が被加工基板1に形成される。開口部の大きさや形状は、作製する凹型レンズの大きさにより適宜選択される。ピンホール状の場合、直径10μmの円形の開口部寸法が選択される。
凹型レンズの平面方向の形状は、開口部形状や寸法によっても制御可能である。このピンホール状の開口部であれば、いわゆる凹型マイクロレンズの形成に適し、開口部を所要の大きさに設定することにより、より大型の凹型レンズの形成のためのウエットエッチング処理に対応する条件とすることが可能となる。
図2(a)〜(f)において、1は被加工基板である石英等の酸化ケイ素(SiO2)基板、2はマスク層、3はマスク層に開口を形成するフォトレジスト層、4は開口部、5は被加工基板に形成されたマイクロレンズ、矢印は、エッチング方向をそれぞれ示す。ただし、以下の詳細な説明において、材質を特定する場合は、英字の小符号を付与して他の材質を使用した場合と区別するものとする。
図2(b)において、形成する凹型レンズ5の中心位置に、クロム層2aに対して、マスク層開口部4を形成するためのフォトレジスト層3を形成する。フォトレジスト層3は、周知のスピンコート法等によりフォトレジストをクロム層2a上に塗布し、石英基板1aをスピンさせて所望の厚さの膜厚に形成し、さらに例えば100℃の窒素ガス雰囲気中でプリベークして形成する。
図2(c)において、周知のステッパーにより、フォトレジスト層3に対して、マイクロレンズを所定間隔で形成しマイクロレンズアレイとするための微小寸法のピンホール状開口部パターンを露光する。さらに、フォトレジスト層3を現像してフォトレジストマスク層としての開口部4aを形成する。さらにフォトレジスト層3を、例えば100℃の窒素ガス雰囲気中で2時間ポストベークして開口部を形成したフォトレジトマスク層とする。フォトレジストは、ポジテイブ型かネガテイブ型でもどちらでもよい。
その後、石英基板1aを純水洗浄し、さらに乾燥させてエッチングを終了する。その後にフォトレジストマスク層3を、周知のアッシング装置によるアッシングで剥離し、さらにクロム層2aをクロムウエットエッチング液を用いたウエットエッチングにより除去する。このようにして石英基板1a内に非球面の凹型レンズ5を有する凹型レンズおよび凹型レンズアレイを形成する。
被加工基板1として石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2としてクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを作製した。図2に示す製造プロセスのフローに沿って作製した。
基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1aを清浄化する。
マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層を石英基板1a上に成膜する。クロム層の成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を1300W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量を10sccmとし、クロムの成膜量は60nmである。
ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム層2aを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ酸(HF)に耐えられるように100℃の窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
マスク層であるクロム層2aにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹部を形成する。使用するエッチャントは、フッ酸水溶液と、混酸、純水の3種混合溶液である。混酸は、HY液といわれ、クロムのウエットエッチング水溶液であり、主成分は、硝酸ニセリウムアンモニウム(13%)である。全溶液に対してフッ酸の濃度を5重量%、混酸濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することでウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は85分で、加工終了後に石英基板1aに対してリンスを行い、さらに乾燥させて、ウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a上のフォトレジスト層3を、アッシングにて剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後、DC電力を1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3を石英基板1a表面から除去した。
その後、クロムウエットエッチング液に石英基板1aを浸漬し、石英基板1aの表面から残存していたクロムを除去した後に、リンスおよび乾燥を行って凹型レンズの製作を終了した。
加工基板1として石英基板1a、エッチャントとしてフッ化水素酸、マスク層2としてITO膜2b、エッチャントへの添加剤としてITO剥離液を用いて、以下のプロセスにて、石英基板1a内に凹型レンズを作成した。
(1)基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、ITO膜を石英基板1a表面に成膜する。ITO膜の成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を1100W、スパッタリング装置のガス圧力を4.0×10−4Pa、Arガス供給量40sccm、酸素ガス供給量5sccmとし、ITO膜の成膜量は100nmである。
ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。ITO成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、ITO膜2bをピンホールを介してエッチングすることにより、ITO膜2bに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層のポストベークを行った。
マスク層であるITO膜2bにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹部5を形成する。使用するエッチャントは、フッ酸水溶液と、ITO膜剥離液と純水の3種混合溶液である。ITO膜剥離液は、塩酸(18重量%)を主成分とする塩酸と純水の混合液であり、ITO膜2bのウエットエッチング水溶液である。全溶液に対してフッ酸の濃度を5重量%、ITO膜剥離液の濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することでウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は60分で、加工終了後にリンスおよび乾燥させてウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a表面上のフォトレジスト層3を、アッシングにて剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後電極パワーを1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3を石英基板1a表面から除去した。
その後、ITO膜剥離液に石英基板1aを浸漬し、石英基板1aの表面から残存していたITO膜2bを除去した後に、リンスおよび乾燥させて凹型レンズの製作を終了した。
被加工基板1として石英基板1a、エッチャントとしてフッ化水素酸、マスク層2として有機材料であるPMMA層2c、エッチャントへの添加剤に塩酸を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを作成した。
基板洗浄
石英基板を公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して基板表面上の有機物を酸化、除去して基板を清浄化する。
マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、スピンコート法によりPMMA層2cを石英基板1a上に成膜する。PMMA層2cの成膜条件は、回転数2000rpmで成膜量は150nmである。
ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径(ピンホール)を作成するためにフォトリソグラフィを行った。PMMA層2cを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、100℃窒素ガスオーブンによるプリベーク、ステッパーによる露光、現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、PMMA層2cをピンホールを介してエッチングすることにより、PMMA層2cに石英基板1aのエッチング用ピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層のポストベークを行った。
マスク層であるPMMA層2cにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹型レンズ5を形成する。使用するエッチャントは、フッ酸水溶液と、塩酸、純水の3種混合溶液である。全溶液に対してフッ酸の濃度を10重量%、塩酸濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することで、ウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は40分で、加工終了後にリンスおよび乾燥を行い、ウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a上のフォトレジスト層4を、アッシングにて剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後電力パワーを1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3とPMMA層2cを石英基板1a表面から除去した。
その後、石英基板1aをキャロス洗浄し、リンスおよび乾燥させて凹型レンズの製作を終了した。
光導波路コア・クラッド構造を基板内の所要部分に形成しかつ凹型レンズを当該コア・クラッド構造の光導入部分に形成する被加工基板1を石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2をクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを有する光導波路コア・クラッド構造を作成した。図示しない光導波路コア・クラッド構造を省略した凹型レンズの製造プロセスは、図2に示す製造プロセスと同一である。
基板洗浄
光導波路コア・クラッド構造を下部の積層基板内に形成した上層部分の石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層2aを石英基板1a表面上に成膜する。クロム層2aの成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力2500W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量を10sccmとし、クロムの成膜量は50nmである。
(3)ピンホール作製
被加工基板1に所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、周知の現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
マスク層であるクロム層2aにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹型レンズ5を形成する。使用するエッチャントは、フッ酸水溶液と、混酸、純水の3種混合溶液である。混酸は、HY液といわれ、クロムのウエットエッチング水溶液であり、主成分は、硝酸ニセリウムアンモニウム(13%)である。全溶液に対してフッ酸の濃度を25重量%、混酸濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することでウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は60分で、加工終了後にリンスを行い、石英基板1aを乾燥し、ウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a上のフォトレジスト層3を、アッシングにて剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後電極パワーを1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3を石英基板1a表面から除去した。
その後、クロムウエットエッチング液に石英基板1aを浸漬し、石英基板1aの表面から残存していたクロム層2aを除去した後に、リンスおよび乾燥して光導波路コア・クラッド構造に配置された凹型レンズの製作を終了した。
(6)基板凹部への透明樹脂モールド
マスク層2a剥離を行った石英基板1aの凹部に、例えば精密微細量の液状透明樹脂モールド装置を使用して、凹部内に石英基板1aよりも屈折率が大きい透明媒質を入れる工程を更に備えてもよい。
マイクロリアクターミキサー構造を基板内の所要部分に形成しかつマイクロレンズを当該マイクロリアクターミキサー構造の光導入部分に形成する被加工基板1を石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2をクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、マイクロリアクターミキサーに配置された凹型レンズを作成した。
基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを表面に照射して石英基板1a基板表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層2aを石英基板1a表面上に成膜する。クロム層2aの成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を3000W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量10sccmとし、クロムの成膜量は40nmである。
ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径(ピンホール)を形成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム層2aを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、100℃窒素ガスオーブンによるプリベーク、ステッパーによる露光、現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを形成した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを形成した。さらにフォトレジスト層3がフッ酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
マスク層であるクロム層2aにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹型レンズ5を形成する。使用するエッチャントは、フッ酸水溶液と、混酸、純水の3種混合溶液である。混酸は、HY液といわれ、クロムのウエットエッチング水溶液であり、主成分は、硝酸ニセリウムアンモニウム(13%)である。全溶液に対してフッ酸の濃度を25重量%、混酸濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することでウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は90分で、加工終了後にリンスを行い、石英基板1aを乾燥し、ウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a上のフォトレジスト層3を、アッシングにより剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後電極パワーを1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3を石英基板1a表面から除去した。
その後、クロムウエットエッチング液に石英基板1aを浸漬し、石英基板1aの表面から残存していたクロム層2aを除去した後に、リンスおよび乾燥してマイクロリアクターミキサーに配置された凹型レンズの製作を終了した。
被加工基板1を石英基板1a、マスク層2をクロム層2a、エッチャントをフッ酸(HF)、添加剤としてのクロムウエットエッチング液をHY液として、以下の実験を行った。
クロム層2aの形成は、周知のスパッタリング装置により、石英基板1aの表面にクロム層2aを形成する。なお石英基板1aは一定条件下で加熱されている。スパッタリング装置の成膜パワーとしての供給電力、チャンバー内のガス圧力、クロム層2aの厚さ、エッチャントのHF濃度、クロムウエットエッチング液である添加剤HY濃度の諸条件を変化させた場合の凹型レンズの凹部の石英基板1a表面の平面方向のエッチング量(X)と深さ方向(Y)とを測定しX/Y比を求めた結果を図3〜図5に示す。
X/Y比の値が1を超えると浅いナベ形状の非球面の曲面の度合いが大きいこと、すなわち異方性のエッチングによる効果が大きいことを示す。
図3(a)、(b)は、スパッタリング条件の成膜パワーである供給電力を変化させることにより、石英基板1aへのクロム層2aの成膜条件を変化させた場合の、X/Y比である。図3(c)は、マスク層であるクロム層2aの開口部端部からの測定方法を示す図である。クロム層2aのウエットエッチング液は、この条件においては使用していないが、成膜パワーである供給電力が低い方が、X/Y比が大きくなる傾向、すなわち非球面の凹型レンズの凹部形成が行われる傾向が大であることがわかる。
図4(a)、(b)は、成膜パワーを2000Wと一定にして、HY濃度を主に変化させた場合のX/Y比を求めた結果である。HY添加濃度が高くなると、X/Y比が高くなり、より非球面の凹型レンズの凹部形成が行われる傾向が大であることがわかる。
図5(a)、(b)は、HY濃度を2%と一定にして、成膜パワーとHF濃度を変化させた場合のX/Yを求めた結果を示す。成膜パワーが低いとX/Yが高くなり、より非球面の凹型レンズの凹部形成が行われる傾向が大であることがわかる。
2…マスク層
3…フォトレジスト層
4…開口部
5…凹型レンズ
被加工基板1として石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2としてクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを作製した。図2に示す製造プロセスのフローに沿って作製した。
(1)基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1aを清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層を石英基板1a上に成膜する。クロム層の成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を1300W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量を10sccmとし、クロムの成膜量は60nmである。
(3)ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム層2aを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ化水素酸(HF)に耐えられるように100℃の窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
加工基板1として石英基板1a、エッチャントとしてフッ化水素酸、マスク層2としてITO膜2b、エッチャントへの添加剤としてITO剥離液を用いて、以下のプロセスにて、石英基板1a内に凹型レンズを作成した。
(1)基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、ITO膜を石英基板1a表面に成膜する。ITO膜の成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を1100W、スパッタリング装置のガス圧力を4.0×10−4Pa、Arガス供給量40sccm、酸素ガス供給量5sccmとし、ITO膜の成膜量は100nmである。
(3)ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。ITO成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、ITO膜2bをピンホールを介してエッチングすることにより、ITO膜2bに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ化水素酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層のポストベークを行った。
マスク層であるITO膜2bにピンホールを形成した石英基板1aをウエットエッチングして、非球面形状を有する凹部5を形成する。使用するエッチャントは、フッ化水素酸と、ITO膜剥離液と純水の3種混合溶液である。ITO膜剥離液は、塩酸(18重量%)を主成分とする塩酸と純水の混合液であり、ITO膜2bのウエットエッチング水溶液である。全溶液に対してフッ化水素酸の濃度を5重量%、ITO膜剥離液の濃度を2重量%とした。この溶液中に石英基板1aを浸漬することでウエットエッチングを行った。エッチング加工時間は60分で、加工終了後にリンスおよび乾燥させてウエットエッチングを終了した。
(5)マスク層剥離
石英基板1a表面上のフォトレジスト層3を、アッシングにて剥離する。石英基板1aをアッシング装置のチャンバー内に載置し、4.0×10−4Torrまで排気し、その後電極パワーを1250W、酸素ガス供給量を100sccmとして1分間アッシングを行い、残存していたフォトレジスト層3を石英基板1a表面から除去した。
その後、ITO膜剥離液に石英基板1aを浸漬し、石英基板1aの表面から残存していたITO膜2bを除去した後に、リンスおよび乾燥させて凹型レンズの製作を終了した。
被加工基板1として石英基板1a、エッチャントとしてフッ化水素酸、マスク層2として有機材料であるPMMA層2c、エッチャントへの添加剤に塩酸を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを作成した。
(1)基板洗浄
石英基板を公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して基板表面上の有機物を酸化、除去して基板を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、スピンコート法によりPMMA層2cを石英基板1a上に成膜する。PMMA層2cの成膜条件は、回転数2000rpmで成膜量は150nmである。
(3)ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径(ピンホール)を作成するためにフォトリソグラフィを行った。PMMA層2cを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、100℃窒素ガスオーブンによるプリベーク、ステッパーによる露光、現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、PMMA層2cをピンホールを介してエッチングすることにより、PMMA層2cに石英基板1aのエッチング用ピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ化水素酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層のポストベークを行った。
光導波路コア・クラッド構造を基板内の所要部分に形成しかつ凹型レンズを当該コア・クラッド構造の光導入部分に形成する被加工基板1を石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2をクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、凹型レンズを有する光導波路コア・クラッド構造を作成した。図示しない光導波路コア・クラッド構造を省略した凹型レンズの製造プロセスは、図2に示す製造プロセスと同一である。
(1)基板洗浄
光導波路コア・クラッド構造を下部の積層基板内に形成した上層部分の石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを基板に照射して石英基板1a表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層2aを石英基板1a表面上に成膜する。クロム層2aの成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力2500W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量を10sccmとし、クロムの成膜量は50nmである。
(3)ピンホール作製
被加工基板1に所定サイズの開口径を作成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、プリベーク、ステッパーによる露光、周知の現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを作製した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを作製した。さらにフォトレジスト層3がフッ化水素酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
マイクロリアクターミキサー構造を基板内の所要部分に形成しかつマイクロレンズを当該マイクロリアクターミキサー構造の光導入部分に形成する被加工基板1を石英基板1a、エッチャントをフッ化水素酸、マスク層2をクロム層2a、エッチャントへの添加剤としてクロムウエットエッチング液を用いて、以下のプロセスにて、マイクロリアクターミキサーに配置された凹型レンズを作成した。
(1)基板洗浄
石英基板1aを公知の手法にてキャロス洗浄し、続いてエキシマレーザを表面に照射して石英基板1a基板表面上の有機物を酸化、除去して石英基板1a表面を清浄化する。
(2)マスク層の成膜
次に前工程の基板洗浄と連続して表面清浄のまま、インラインスパッタリング装置にて、クロム層2aを石英基板1a表面上に成膜する。クロム層2aの成膜条件は、成膜パワーである供給電力としてDC電力を3000W、スパッタリング装置のガス圧力を2.1×10−1Pa、Arガス供給量10sccmとし、クロムの成膜量は40nmである。
(3)ピンホール(開口部)形成
石英基板1aに所定サイズの開口径(ピンホール)を形成するためにフォトリソグラフィを行った。クロム層2aを成膜した石英基板1aにフォトレジストをスピンコートし、100℃窒素ガスオーブンによるプリベーク、ステッパーによる露光、現像装置による現像を行い、フォトレジスト層3にピンホールを形成した。その後、クロム層2aをピンホールを介してエッチングすることにより、クロム層2aに石英基板1aのエッチング用のピンホールを形成した。さらにフォトレジスト層3がフッ化水素酸(HF)に耐えられるように100℃窒素ガスオーブンにて2時間、フォトレジスト層3のポストベークを行った。
被加工基板1を石英基板1a、マスク層2をクロム層2a、エッチャントをフッ化水素酸(HF)、添加剤としてのクロムウエットエッチング液をHY液として、以下の実験を行った。
クロム層2aの形成は、周知のスパッタリング装置により、石英基板1aの表面にクロム層2aを形成する。なお石英基板1aは一定条件下で加熱されている。スパッタリング装置の成膜パワーとしての供給電力、チャンバー内のガス圧力、クロム層2aの厚さ、エッチャントのHF濃度、クロムウエットエッチング液である添加剤HY濃度の諸条件を変化させた場合の凹型レンズの凹部の石英基板1a表面の平面方向のエッチング量(X)と深さ方向のエッチング量(Y)とを測定しX/Y比を求めた結果を図3〜図5に示す。
X/Y比の値が1を超えると浅いナベ形状の非球面の曲面の度合いが大きいこと、すなわち異方性のエッチングによる効果が大きいことを示す。
図4(a)、(b)は、成膜パワーを2000Wと一定にして、HY濃度を主に変化させた場合のX/Y比を求めた結果である。HY添加濃度が高くなると、X/Y比が大きくなり、より非球面の凹型レンズの凹部形成が行われる傾向が大であることがわかる。
図5(a)、(b)は、HY濃度を2%と一定にして、成膜パワーとHF濃度を変化させた場合のX/Y比を求めた結果を示す。成膜パワーが低いとX/Y比が大きくなり、より非球面の凹型レンズの凹部形成が行われる傾向が大であることがわかる。
Claims (8)
- 凹型レンズの凹部を形成する基板上に、所定種類のエッチャントに対するエッチングレートが前記基板と異なるマスク層を形成する工程と、該基板内に形成する凹型レンズの凹部中心に対応する該マスク層の箇所に開口を形成する工程と、
前記マスク層を介して前記所定種類のエッチャントを用いてウエットエッチングする工程と、
該基板表面と該マスク層との密着状態を制御する工程を前記マスク層を形成する工程および/あるいは前記ウエットエッチング工程において含み、前記レンズの曲面を規定する非球面の凹部を前記基板に形成することを特徴とする凹型レンズの製造方法。 - 前記ウエットエッチングにおけるマスク層の成膜条件を調整選択して、前記基板表面と前記マスク層との密着状態を制御することにより、前記基板表面の平面方向へのエッチャントの浸透を制御して、ウエットエッチング方向を前記基板の深さ方向よりも該基板表面の平面方向寄りに大きい、異方性のエッチングとすることで、非球面の凹部を前記基板に形成することを特徴とする請求項1に記載の凹型レンズの製造方法。
- 前記ウエットエッチングにおける前記基板の材料が反応するエッチャントに、前記マスク層の材料が反応する物質を添加混合することにより、前記基板表面とマスク層との密着状態を制御することにより、前記基板表面の平面方向へのエッチャントの浸透を制御して、ウエットエッチングの方向を前記基板の深さ方向よりも該基板表面の平面方向寄りに大きい、異方性のエッチングとすることで、非球面の凹部を前記基板に形成することを特徴とする請求項1に記載の凹型レンズの製造方法。
- 前記ウエットエッチングにおける前記マスク層の成膜条件を調整選択して、前記基板表面と前記マスク層との密着状態を制御するとともに、前記ウエットエッチングにおける前記基板の材料が反応するエッチャントに、前記マスク層の材料が反応する物質を添加混合することにより、前記基板表面とマスク層との密着状態を制御することにより、前記基板表面の平面方向へのエッチャントの浸透を制御して、ウエットエッチングの方向を前記基板の深さ方向よりも該基板表面の平面方向寄りに大きい、異方性のエッチングとすることで、非球面の凹部を前記基板に形成することを特徴とする請求項1に記載の凹型レンズの製造方法。
- 前記基板は、透明基板からなり、前記凹部内に前記透明基板よりも屈折率が大きい透明媒質を入れる工程を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の凹型レンズの製造方法。
- 前記マスク層は、クロム、ITO、または耐フッ酸性有機膜からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の凹型レンズの製造方法。
- 前記基板上に前記凹型レンズがアレイ状に複数形成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の凹型レンズの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレンズの製造方法により製造される凹型レンズ。
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