JP2004205993A - 凹レンズ、凹レンズアレーおよびそれらの製造方法 - Google Patents
凹レンズ、凹レンズアレーおよびそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】凹型マイクロレンズの製造方法であって、
(1)基板上に低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する工程
(2)高軟化点ガラス層表面に凹レンズ形成部を露出させたマスクパターンを形成する工程、
(3)凹レンズ形成部に相当する低軟化点ガラス層を所定厚さで残存させる様に、高軟化点ガラス層と低軟化点ガラス層をドライエッチングする工程、
(4)マスクパターンを除去する工程、
(5)低軟化点ガラスのみを軟化させる温度で基板を加熱することにより、低軟化点ガラス層内に凹部を形成する工程
を備えた凹型マイクロレンズの製造方法。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報通信デバイス、光情報家電デバイスなどに用いられる凹型マイクロレンズ、凹型マイクロレンズアレーおよびそれらの製造技術に関する。
【0002】
本発明は、さらに、上記の凹型レンズ状構造体或いは凹型レンズアレー状構造体を型(モールド)として、凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーを製造する技術に関する。
【0003】
【従来の技術】
光情報通信用、光情報家電用などのデバイスにはレンズが多用されている。その多くは、面発光レーザーアレイとファイバーとのインターコネクション、液晶プロジェクター、光メモリピックアップなどの分野において必要とされる凸型マイクロレンズアレーである。これらの凸型マイクロレンズおよびそのアレーの主な作製方法としては、下記の方法が知られている。
(1)ガラスを溶融塩中に保持してイオン交換を行うことによって形成される屈折
率分布を利用する方法(特許文献1)、
(2)フォトレジストを熱処理することにより、その表面張力を利用して球面状に成形されたマスクを介してガラスをドライエッチングして、マイクロレンズを
形成する方法(特許文献2)、
(3)石英基板上にシリコンの円盤をパターニングし、シリコンの融点まで加熱して表面張力によって球面を形成し、その後熱酸化によってシリカガラスマイク
ロレンズとする方法(特許文献3)、
(4)低軟化点ガラスのパターンを耐熱性の高い基板の上に形成し、熱処理によって表面張力を利用して球面状マイクロレンズに成形する方法(特許文献4、特
許文献5)。
【0004】
一方、凹型マイクロレンズの作製方法としては、ピンホールを周期的に有するマスクを表面に形成したガラス材料をフッ酸などのエッチング液に浸漬し、ピンホールを介してガラス材料を内部方向に削る方法が知られている(特許文献6、特許文献7)。
【0005】
【特許文献1】特開平11-248905号公報
【0006】
【特許文献2】特開平08-166502号公報
【0007】
【特許文献3】特開平06-160607号公報
【0008】
【特許文献4】特開平10-123305号公報
【0009】
【特許文献5】特開2001-242303号公報
【0010】
【特許文献6】特開平05-303009号公報
【0011】
【特許文献7】特開2001-056402号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のマイクロレンズ形成技術は、
(1)レンズ内の屈折率分布を利用する手法、
(2)ドライエッチングによって球面状のマスク形状をそのままガラスに転写する手法、
(3)高温に熱することによってレンズ材料を溶かし、その表面張力のみによって球面形状を形成する手法、および
(4)マスクを介して、湿式エッチングによってガラス表面を等方的に削る手法に大別される。
【0013】
これらの手法中で、凹型マイクロレンズの作製に適用できる方法は、湿式エッチング法のみである。しかしながら、小さなピンホールを介してレンズ材料の湿式エッチングを行うためには、長時間を要するのみならず、その凹型形状の制御も困難である。
【0014】
従って、本発明は、湿式エッチングによることなく、高度に形状制御された凹型マイクロレンズおよび凹型マイクロレンズアレーならびにそれらの製造方法を提供することを主な目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の様な従来技術の現状を考慮しつつ研究を進めた結果、基板上に当該基板よりも軟化点の低いガラス層(低軟化点ガラス層)と低軟化点ガラス層よりも軟化点の高いガラス層(高軟化点ガラス層)とを積層し、次いで高軟化点ガラス層表面上に凹型レンズを形成すべき部分を露出させる様にマスクパターンを形成した後、ドライエッチング法により凹型レンズを形成すべき部分を削り、マスクを除去し、さらに熱処理により低軟化点ガラス層を粘性流動させる場合には、上記の目的を達成し得ることを見出した。
【0016】
また、上記の手法により得られた凹型レンズ状構造体あるいは凹型レンズアレー構造体が高分子材料成形用の型として有用であり、これを用いて溶融高分子材料の注型成形を行う場合には、高分子材料からなる高精度の凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーが得られることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明は、下記の凹型マイクロレンズとその製造方法を提供するものであり、さらにその様な凹型マイクロレンズを備えたアレーとその製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、さらにまた、下記の凹型レンズ状構造体あるいは凹型レンズアレー構造体からなる高分子材料成型用型、この型を用いる高分子材料製の凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーの製造方法、および高精度の凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーを提供する。
1.凹レンズの製造方法であって、
(1)基板上に低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する工程
(2)高軟化点ガラス層表面に凹レンズ形成部を露出させたマスクパターンを形成する工程、
(3)凹レンズ形成部に相当する低軟化点ガラス層を所定厚さで残存させる様に、高軟化点ガラス層と低軟化点ガラス層をドライエッチングする工程、
(4)マスクパターンを除去する工程、
(5)低軟化点ガラスのみを軟化させる温度で基板を加熱することにより、低軟化点ガラス層内に凹部を形成する工程
を備えた凹レンズの製造方法。
2.低軟化点ガラスが、SiO2を主成分とし、B2O3、P2O5およびGeO2から選ばれた少なくとも1種からなる添加成分を併せて含有するガラスであり、高軟化点ガラスが、SiO2ガラスであるか或いはSiO2を主成分とし、低軟化点ガラスよりも軟化点が50℃以上高いガラスである上記項1に記載の凹レンズの製造方法。
3.低軟化点ガラスの組成(モル%)が、
50<SiO2<95
0.01<B2O3<15
0.01<P2O5<15
0.01<GeO2<30
の範囲内にあり、B2O3、P2O5およびGeO2の少なくとも1種からなる添加成分の全濃度が3〜50モル%の範囲内にある上記項1または2に記載の凹レンズの製造方法。
4.基板が、シリカガラス、光学ガラス、透明結晶化ガラスまたはシリコンからなる上記項1〜3のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
5.基板表面材料よりも軟化点が50℃以上低い低軟化点ガラス層部分を形成した後、膜厚が増大するとともに軟化点が上昇する様に組成調整した低軟化点ガラス層を成長させる上記項1〜4のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
6.ドライエッチングによるエッチング深さを、基板上に厚さ100nm以上の低軟化点ガラス層が残る様に調整する上記項1〜5のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
7.テトラエトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、トリメトキシボロンおよびトリメトキシリンから選択された材料を原料として、プラズマCVD法により低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する上記項1〜6のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
8.上記項1〜7に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズ。
9.上記項1〜7に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズ状構造体からなる高分子樹脂製凸レンズ製造用の型。
10.上記項9に記載の型を用いる高分子樹脂製凸レンズの製造方法。
11.上記項10に記載の方法により製造された高分子樹脂製凸レンズ。
12.凹レンズアレーの製造方法であって、
(1)基板上に低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する工程
(2)高軟化点ガラス層表面に凹レンズアレー形成部を露出させたマスクパターンを形成する工程、
(3)凹レンズ形成部に相当する低軟化点ガラス層を所定厚さで残存させる様に、高軟化点ガラス層と低軟化点ガラス層をドライエッチングする工程、
(4)マスクパターンを除去する工程、
(5)低軟化点ガラスのみを軟化させる温度で基板を加熱することにより、凹部を形成する工程
を備えた凹レンズアレーの製造方法。
13.低軟化点ガラスが、SiO2を主成分とし、B2O3、P2O5およびGeO2から選ばれた少なくとも1種からなる添加成分を併せて含有するガラスであり、高軟化点ガラスが、SiO2ガラスであるか或いはSiO2を主成分とし、低軟化点ガラスよりも軟化点が50℃以上高いガラスである上記項12に記載の凹レンズアレーの製造方法。
14.低軟化点ガラスの組成(モル%)が、
50<SiO2<95
0.01<B2O3<15
0.01<P2O5<15
0.01<GeO2<30
の範囲内にあり、B2O3、P2O5およびGeO2の少なくとも1種からなる添加成分の全濃度が3〜50モル%の範囲内にある上記項12または13に記載の凹レンズアレーの製造方法。
15.基板が、シリカガラス、光学ガラス、透明結晶化ガラスまたはシリコンからなる上記項12〜14のいずれかに記載の凹レンズアレーの製造方法。
16.基板表面材料よりも軟化点が50℃以上高い低軟化点ガラス層部分を形成した後、膜厚が増大するとともに軟化点が上昇する様に組成調整した低軟化点ガラス層を成長させる上記項12〜15のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
17.ドライエッチングによるエッチング深さを、基板上に厚さ100nm以上の低軟化点ガラス層が残る様に制御する上記項12〜16のいずれかに記載の凹レンズアレーの製造方法。
18.テトラエトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、トリメトキシボロンおよびトリメトキシリンから選択された材料を原料として、プラズマCVD法により低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する上記項12〜17のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
19.上記項12〜18に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズアレー。
20.上記項12〜19に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズアレー状構造体からなる高分子樹脂製凸レンズアレー製造用の型。
21.上記項20に記載の型を用いる高分子樹脂製凸レンズアレーの製造方法。22.上記項20に記載の方法により製造された高分子樹脂製凸レンズアレー。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明においては、模式的な断面図として図1に示す様に、先ず、基板上に、基板よりも軟化点の低いガラス層(以下単に「低軟化点層」ということがある)と低軟化点ガラス層よりも軟化点の高いガラス層(以下単に「高軟化点層」ということがある)とを設ける。
【0021】
基板としては、特に制限はなく、シリカガラス、光学ガラス、透明結晶化ガラス、シリコンなどの公知の材料からなる基板を使用することができる。基材材料としては、シリカガラスおよびシリコンがより好ましい。基板の軟化点は、低軟化点ガラス層の軟化点よりも、少なくとも50℃以上高いことが好ましい。低軟化点ガラス層の軟化点が低い場合には、透明結晶化ガラス、無アルカリガラスなどを使用することも出来る。
【0022】
低軟化点ガラス層材料としては、SiO2を主成分とし、B2O3、P2O5およびGeO2から選ばれた少なくとも1種からなる添加成分を併せて含有する透明なガラスが例示される。低軟化点層材料としては、その組成(モル%)が、50<SiO2<95、0.01<B2O3<15、0.01<P2O5<15および0.01<GeO2<30の範囲内にあり、かつB2O3、P2O5およびGeO2の少なくとも1種からなる添加成分の全濃度が3〜50モル%の範囲内にあるガラスがより好ましい。
【0023】
低軟化点層の形成手段は、特に限定されず、プラズマCVD法、火炎堆積法(FHD)、スパッタ法、蒸着法などの公知の成膜手法を適宜選択して用いることができる。
【0024】
例えば、プラズマCVD法による場合には、低軟化点層のガラス組成に応じて、代表的な原料として、Si(OC2H5)4、B(OC2H5)3、P(OCH3)3およびGe(OCH3)4をマスフローメーターで厳密に制御・混合して、酸素プラズマ中で分解させることによって、基板上に目的とする組成で所定の厚さ(通常0.1〜100μm程度、より好ましくは1〜40μm程度)の低軟化点層を成膜することができる。この原料の分解による低軟化点層の形成過程において、SiO2源と添加成分源のとの混合比を連続的或いは適宜段階的に変化させることにより、基板側から高軟化点層に向けて、軟化点が傾斜的に変化する(徐々に高くなる)低軟化点層を形成させることができる。
【0025】
低軟化点層上に形成される高軟化点層材料としては、低軟化点層のガラス材料よりも軟化点が50℃以上(より好ましくは50〜100℃程度)高い透明なSiO2系ガラスであれば、特に制限されない。より具体的には、SiO2単独からなるガラス、SiO2を主成分とし、GeO2、B2O3、P2O3などの1種または2種以上を3〜50重量%程度含有するガラスなどが挙げられる。高軟化点層ガラスと低軟化点層ガラスとの軟化点の差が小さすぎる場合には、後述の低軟化点層の加熱による粘性流動の際に、高軟化点層表面に凹凸を生じる(波打ってしまう)危険性がある。高軟化点層の厚さは、低軟化点層の厚さなどとも関連するが、通常0.1〜100μm程度であり、より好ましくは1〜40μm程度である。
【0026】
高軟化点層の形成も、公知のガラス成膜原料を適宜選択し、かつ上述の低軟化点ガラス層の形成手法に準じて、行うことが出来る。
【0027】
次いで、図1に示す様に、基板上に設けられた透明ガラス膜を所望サイズの円筒状(円形凹レンズを形成する場合)、溝状(シリンドリカルな凹レンズを形成する場合)などに微細加工する。その手法としては、特に限定されないが、例えば、リソグラフィーとドライエッチングとを組み合わせて行うことが好ましい。すなわち、フォトレジスト、金属マスクなどを用いる公知の手法により、所望の直径の円パターン或いは所望の幅の線を形成した後、CHF3、CF4、C3F8、C4F8、Arなどのプラズマ中でガラス部分をエッチングする。この際、低軟化点層を所定の厚さ(例えば、100nm程度)残存させる様にドライエッチングを行う。
【0028】
次いで、基板からフォトレジスト、金属マスクなどを完全に除去した後、低軟化点層が軟化する温度まで、基板を昇温すると、ドライエッチングにより形成された円筒状或いは溝状の底部が、低軟化点ガラスの表面張力によって、丸く変形して、凹型形状が容易に形成される。その際、円筒形状或いは溝形状の厚さ方向に軟化点を制御できる様に、ガラス組成を調節しておく(添加成分の含有量を基板側から高軟化点層部に向けて、次第に増大させるか或いは次第に減少させる)ことにより、熱処理により得られる凹型形状の曲率を調整することが可能である。
【0029】
なお、本発明において、ドライエッチングによって形成する円筒状或いは溝状部分を所定の周期的パターンにしておけば、凹型マイクロレンズアレーを作製することができる。
【0030】
さらに、得られた凹型マイクロレンズ状構造体を型(モールド)として使用し、常法に従って、溶融或いは軟化した高分子樹脂を型内に注型あるいは充填した後、得られた成形体を取り出すことにより、当該高分子樹脂からなる高精度の凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーを作製することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、基板上のガラス層内に任意のサイズで円形或いはシリンドリカルな凹型曲面形状を形成できるので、開口数、収差などを制御した凹型レンズを単一で或いはアレー状に形成することが出来る。
【0032】
また、得られた凹型マイクロレンズ状構造体を型(モールド)として使用することにより、高分子樹脂製の凸型マイクロレンズ或いは凸型マイクロレンズアレーを得ることが出来る。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明にする。
実施例1
Si(OC2H5)4を主原料とし、Ge(OCH3)4および B(OC2H5)3を添加成分源として用いるプラズマCVD法により、シリカガラス基板上に81%SiO2-9%B2O3-10%GeO2ガラス層(低軟化点層:組成はモル%を示す)を厚さ15μmに成膜した。次いで、Si(OC2H5)4を原料としてプラズマCVD法により、低軟化点ガラス層上に100%SiO2層(高軟化点層)を厚さ3μmに成膜した。
【0034】
得られた薄膜(低軟化点層+高軟化点層)に約1μmの厚さのタングステンシリサイド(WSi)膜をスパッタ法で成膜し、さらにポジ型フォトレジストをスピンコートした。その後、直径140μmの穴が250μmピッチで周期的に空いたマスクパターンを介して、当該レジストに5.5秒間水銀ランプ光を照射し、直ちに現像することにより、140μmの穴が周期的に空いたレジストパターンを得た。
【0035】
パターニングが施された当該薄膜をICPエッチング装置に設置し、SF6ガスを用いてレジストに覆われていない領域のWSi膜を除去し、次いで酸素プラズマでレジストを除去した後、CHF3ガスプラズマにて高軟化点層および低軟化点層をエッチングした。ただし、低軟化点層が12μmエッチングされた時点でエッチングを取りやめ、表面層に残ったWSi膜をSF6ガスプラズマで除去した。
【0036】
次いで、得られた直径140μm、深さ15μmの円筒状構造が基板上に周期的に配列されたガラス材料を、温度1000℃の酸素雰囲気中で加熱し、低軟化点層に粘性流動を起こさせた。1時間の熱処理後に当初の円筒状溝の底面が滑らかな曲面になっていることが確認された。また、得られた製品を光学顕微鏡で確認したところ、凹型円形レンズアレーとして機能していた。
【0037】
下記の表1に本実施例および実施例2〜5で得られた凹型レンズ或いは凹型レンズアレーにおける基板材料、低軟化点層および高軟化点層の組成および厚さ、熱処理条件、レンズ形状などをまとめて示す。
実施例2
実施例1と同様にしてシリカガラス基板上に成膜した薄膜材料に、同様なエッチング手法で幅140μm、深さ15μmの溝を形成し、酸素雰囲気中1000℃で1時間熱処理したところ、凹型シリンドリカルレンズアレーが得られた。
実施例3〜5
実施例1と同様な手法により、シリコン基板上またはシリカガラス基板上に表1に示す組成の薄膜をそれぞれ形成し、実施例1の手法に準じて凹型レンズアレーまたは凹型レンズを形成することができた。
【0038】
【表1】
【0039】
比較例1
実施例1の手法に準じて、シリカガラス基板表面に45%SiO2-15%B2O3-40%GeO2ガラス層を低軟化層として成膜した。しかしながら、B2O3とGeO2との合計量が55モル%にも達したため、得られた薄膜の表面は光学的均質性を失い、その後のドライエッチングなどの加工もできず、レンズ機能は確認できなかった。
比較例2
石英基板上に10mol%GeO2-90mol%SiO2ガラス(15μm)とSiO2ガラス(3μm)とを成膜し、実施例1と同様なパターンをエッチング形成し、1300℃で熱処理した。しかしながら、GeO2-SiO2層での粘性流動による曲面は形成されず、基板に熱歪みが発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による凹型マイクロレンズアレーの作製過程を示す概念図である。
Claims (22)
- 凹レンズの製造方法であって、
(1)基板上に低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する工程
(2)高軟化点ガラス層表面に凹レンズ形成部を露出させたマスクパターンを形成する工程、
(3)凹レンズ形成部に相当する低軟化点ガラス層を所定厚さで残存させる様に、高軟化点ガラス層と低軟化点ガラス層をドライエッチングする工程、
(4)マスクパターンを除去する工程、
(5)低軟化点ガラスのみを軟化させる温度で基板を加熱することにより、低軟化点ガラス層内に凹部を形成する工程
を備えた凹レンズの製造方法。 - 低軟化点ガラスが、SiO2を主成分とし、B2O3、P2O5およびGeO2から選ばれた少なくとも1種からなる添加成分を併せて含有するガラスであり、高軟化点ガラスが、SiO2ガラスであるか或いはSiO2を主成分とし、低軟化点ガラスよりも軟化点が50℃以上高いガラスである請求項1に記載の凹レンズの製造方法。
- 低軟化点ガラスの組成(モル%)が、
50<SiO2<95
0.01<B2O3<15
0.01<P2O5<15
0.01<GeO2<30
の範囲内にあり、B2O3、P2O5およびGeO2の少なくとも1種からなる添加成分の全濃度が3〜50モル%の範囲内にある請求項1または2に記載の凹レンズの製造方法。 - 基板が、シリカガラス、光学ガラス、透明結晶化ガラスまたはシリコンからなる請求項1〜3のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- 基板表面材料よりも軟化点が50℃以上低い低軟化点ガラス層部分を形成した後、膜厚が増大するとともに軟化点が上昇する様に組成調整した低軟化点ガラス層を成長させる請求項1〜4のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- ドライエッチングによるエッチング深さを、基板上に厚さ100nm以上の低軟化点ガラス層が残る様に調整する請求項1〜5のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- テトラエトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、トリメトキシボロンおよびトリメトキシリンから選択された材料を原料として、プラズマCVD法により低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する請求項1〜6のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- 請求項1〜7に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズ。
- 請求項1〜7に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズ状構造体からなる高分子樹脂製凸レンズ製造用の型。
- 請求項9に記載の型を用いる高分子樹脂製凸レンズの製造方法。
- 請求項10に記載の方法により製造された高分子樹脂製凸レンズ。
- 凹レンズアレーの製造方法であって、
(1)基板上に低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する工程
(2)高軟化点ガラス層表面に凹レンズアレー形成部を露出させたマスクパターンを形成する工程、
(3)凹レンズ形成部に相当する低軟化点ガラス層を所定厚さで残存させる様に、高軟化点ガラス層と低軟化点ガラス層をドライエッチングする工程、
(4)マスクパターンを除去する工程、
(5)低軟化点ガラスのみを軟化させる温度で基板を加熱することにより、凹部を形成する工程
を備えた凹レンズアレーの製造方法。 - 低軟化点ガラスが、SiO2を主成分とし、B2O3、P2O5およびGeO2から選ばれた少なくとも1種からなる添加成分を併せて含有するガラスであり、高軟化点ガラスが、SiO2ガラスであるか或いはSiO2を主成分とし、低軟化点ガラスよりも軟化点が50℃以上高いガラスである請求項12に記載の凹レンズアレーの製造方法。
- 低軟化点ガラスの組成(モル%)が、
50<SiO2<95
0.01<B2O3<15
0.01<P2O5<15
0.01<GeO2<30
の範囲内にあり、B2O3、P2O5およびGeO2の少なくとも1種からなる添加成分の全濃度が3〜50モル%の範囲内にある請求項12または13に記載の凹レンズアレーの製造方法。 - 基板が、シリカガラス、光学ガラス、透明結晶化ガラスまたはシリコンからなる請求項12〜14のいずれかに記載の凹レンズアレーの製造方法。
- 基板表面材料よりも軟化点が50℃以上高い低軟化点ガラス層部分を形成した後、膜厚が増大するとともに軟化点が上昇する様に組成調整した低軟化点ガラス層を成長させる請求項12〜15のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- ドライエッチングによるエッチング深さを、基板上に厚さ100nm以上の低軟化点ガラス層が残る様に制御する請求項12〜16のいずれかに記載の凹レンズアレーの製造方法。
- テトラエトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、トリメトキシボロンおよびトリメトキシリンから選択された材料を原料として、プラズマCVD法により低軟化点ガラス層および高軟化点ガラス層を形成する請求項12〜17のいずれかに記載の凹レンズの製造方法。
- 請求項12〜18に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズアレー。
- 請求項12〜19に記載のいずれかの方法により製造された凹レンズアレー状構造体からなる高分子樹脂製凸レンズアレー製造用の型。
- 請求項20に記載の型を用いる高分子樹脂製凸レンズアレーの製造方法。
- 請求項20に記載の方法により製造された高分子樹脂製凸レンズアレー。
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