JP2016011479A - 高アルミナ組成無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体 - Google Patents

高アルミナ組成無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱炉や溶鉱炉、還元雰囲気炉、アルミ溶解炉等における炉壁や天井の断熱部材や繊維強化金属部材の補強材として用いるのに好適な無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体を提供する。【解決手段】Al2O3が91〜99重量及びSiO2が1〜9重量%であり、かつClが2500ppm以下である無機繊維、該無機繊維を有する無機繊維集合体又は該無機繊維集合体を含有する無機繊維成型体。【選択図】なし

Description

本発明は、高アルミナ組成の無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体に係り、特に加熱炉や溶鉱炉、還元雰囲気炉、アルミ溶解炉等における炉壁や天井の断熱部材や繊維強化金属部材の補強材として用いるのに好適な無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体に関する。
従来の高アルミナ組成の無機繊維、無機繊維集合体及び無機繊維成型体は、その優れた耐熱性、耐還元性、低SiO及び高硬度等の優れた特性を活かし、加熱炉、溶鉱炉、還元雰囲気炉及びアルミ溶解炉等に断熱部材や繊維強化金属部材の補強材として用いられている。
特許文献1には、金属化合物と有機珪素化合物を含有する液状組成物から、無機繊維を紡糸し、アルミナ相をより低温化で生成する方法が記載されている。
特許文献2には、無機繊維集合体の引張強さを改良するため、無機繊維の配向方法をそろえ捕集する方法が記載されている。
特開昭49−132200号公報 特開昭61−296122号公報
特許文献1、2に記載の方法で製造した無機繊維は、燃焼後、繊維に黄色みがつくという問題点があった。これは無機繊維の製造過程で繊維内部に塩素が残渣として存在しているためである。
このことは、断熱材として加熱炉内で使用した場合、輻射率が下がり、断熱効率が悪くなる。その結果、操業上のランニングコストの増加や、炉壁の温度が上がるためといった操業上の問題点がある。
特に水溶性珪素化合物を原料にした場合は、従来原料として使用されているシリカゾル等に比べて、繊維中の構成粒子がより細かく均一になる。このため、粒子の表面面積がシリカゾル等を使用した系と比べて大きくなるため、結晶開始温度が低くなる。より低い温度で結晶化が始まるということは、より低い温度でゲル中の気孔が閉じることを意味する。このため、燃焼時に不純物等が粒子内の気孔に閉じ込められ、残渣として残りやすい問題がある。特に水溶性シリコーンオイル等は、溶解の容易さと分散性の点から用いられることが多いが、水溶性シリコーンオイル中には燃焼物質である炭化水素や水溶性官能基含有有機物質を含んでいるため、該物質の残渣が残りやすいという問題点がある。また、ポリ塩化アルミニウム等の塩素系材料を併用した場合は、水溶性珪素化合物と塩素が強く結びつく傾向があるために、比較的低い温度では塩素等が抜けにくく、焼成後の繊維内部の塩素量が増えるという問題点がある。
アルミ製造関係の断熱材や繊維強化金属の強化材に使用した場合は、繊維中に残留塩素が存在することは、コンタミの観点から問題となる。特に繊維強化金属の強化材として使用した場合、金属と塩素が反応し、繊維と金属の界面から腐食が発生する。このことにより、繊維強化金属の寿命を縮めるといった問題点がある。
また繊維内部に残渣塩素が存在すると、加熱炉内で長期間使用した際に徐々に塩素が抜け出てくる可能性がある。このことは、加熱炉内部の金属を腐食させ、設備の寿命を縮めるだけでなく、大気中へ塩素を放出するという問題がある。
また、塩素が抜けださない場合も、断熱材の取替え工事等で、廃棄する場合も塩素が含まれていることは、環境上の問題がある。
本発明は、繊維をより白色にすることを目的とする。詳しくは、繊維中の残留塩素濃度を下げることで上記の目的を達成するものである。
本発明者等は上記実情に鑑み、繊維をより白色にするために鋭意検討した結果、無機繊維中の塩素含有量を0.25重量%以下にすることにより、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]Alが91〜99重量及びSiOが1〜9重量%であり、かつClが2500ppm以下であることを特徴とする無機繊維。
[2]塩基性塩化アルミニウム及び珪素化合物を含有する紡糸液を紡糸して無機繊維前駆体を得た後に、該無機繊維前駆体を焼成することにより得られる無機繊維であって、該珪素化合物が水溶性珪素化合物である、[1]に記載の無機繊維。
[3]前記水溶性珪素化合物が水溶性シリコーンオイルである、[2]に記載の無機繊維。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の無機繊維を有する無機繊維集合体。
[5][4]に記載の無機繊維集合体を含有する無機繊維成形体。
本発明によって、繊維中の残留塩素が少なくなることで、黄色みが抑えられているため、輻射率の低下を防ぐことができる。また繊維強化金属の強化材として、好適な無機繊維を提供することができる。
<無機繊維>
本発明の無機繊維の組成は、Alが91〜99重量%及びSiOが1〜9重量%である。SiOの量が上記よりも少ない場合は、無機繊維を構成するアルミナがα‐アルミナになりやすく、しかもアルミナ粒子の粗大化により、繊維強度が著しく低くなり、無機繊維集合体としての形状を保持することが困難になるおそれがある。SiOが上記よりも多い場合は、還元雰囲気炉等での使用が難しいおそれがある。また、アルミナ比率が下がることによって硬度が低くなるため、繊維強化金属の強化材として使用することが難しいおそれがある。
本発明の無機繊維中のClが2500ppm以下であり、好ましくは、10〜2000ppmである。無機繊維中のClが2500ppmより高いと、上述した課題が問題となり、逆に無機繊維中のClが10ppmよりも低くする場合は、過度に繊維に熱を加え繊維の結晶を粗大化するか、過度に粉砕する等しないと達成困難となる。そのため繊維として集合体や成型体を形成することが難しくなる。
無機繊維中の塩素濃度の測定方法は、無機繊維を酸素気流下で完全に燃焼することで、塩素を含むガスを生成し、水溶液中で塩素原子を含むガスを回収し、該水溶液をイオンクロマトグラフにより測定することで残留塩素濃度を測定する。
具体的には、無機繊維10mgに、酸素気流条件下で燃焼を行う。その際に、公知の装置(例えば、三菱化学株式会社製 AQF−2100N)を用いることができる。なお、燃焼時に、必要に応じて、助燃剤を含めてもよい。
上記燃焼により生成した、塩素原子を含むガス全量を、2.7mM NaCO − 0.3mM NaHCO水溶液に吸収させる。該水溶液を公知のイオンクロマトグラフにより測定することで、無機繊維中に含まれる塩素元素の濃度を測定する。その際に、公知の装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 DX−500)を使用することができる。
本発明の無機繊維の引張強度は、特段の制限はないが、通常200N/mm以上であり、好ましくは500N/mm以上、特に好ましくは750N/mm以上である。無機繊維の引張強度が200N/mm以上であることにより、無機繊維として、集合体や成型体にすることが容易になるため好ましい。上限には特段の制限はないが、2000N/mm以下であることが好ましい。
本発明の無機繊維の比表面積は、特段の制限はないが、通常100.0m/g以下であり、好ましくは1.0m/g以上、特に好ましくは0.3m/g以上である。無機繊維の比表面積が10m/g以下となることで、繊維に空隙が少なくなり、繊維が脆くなりにくくなる点で好ましい。また、繊維に空孔を持たせ、触媒等を担持させる場合は、30m/g以上ある方が良い。下限には特段の制限はないが、0.1m/g以上であることが好ましい。
本発明の無機繊維は、繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まないことが好ましい。ここで繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まないとは、繊維径3μm以下の繊維が全繊維重量の0.1質量%以下であることをさす。
無機繊維の平均繊維径は5〜7μmであることが好ましい。平均繊維径が5μm以上であれば、空気中に浮遊する発塵量が少なくなり、また3μm以下の繊維が含まれる確率が実質低くなる。平均繊維径を7μm以下にすることで、繊維の反発力、靭性が向上するため、繊維の強度が上がり好ましい。
上述の好適な平均繊維径を有し、かつ、繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まない無機繊維集合体は、ゾルーゲル法による無機繊維集合体の製造において、紡糸液粘度の制御、紡糸ノズルに用いる空気流の制御、延伸糸の乾燥の制御により得ることができる。
本発明の無機繊維のYI値は、特段の制限はないが、5.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、特に好ましくは1.2以下である。本発明の無機繊維のYI値が5.0以下であることで、繊維中の残留塩素が少ないことを意味し、結果として繊維強化金属の強化材として、好適な無機繊維を提供することができる点で好ましい。
<無機繊維集合体>
本発明の無機繊維集合体は、特に制限はないが、本発明の無機繊維を紙漉やニードリング処理工程によって得ることができる。特にニードリング処理をすることで、無機繊維集合体の嵩密度、面密度、厚さを容易に調整でき、また反発力をもった無機繊維集合体を得ることができる。
このニードルリングを施した無機繊維集合体は、ゾル−ゲル法により無機繊維前駆体の集合体を得る工程と、得られた無機繊維前駆体の集合体に、ニードリング処理を施す工程と、ニードリング処理された無機繊維前駆体の集合体を焼成して無機繊維の集合体とする焼成工程とを経て製造される。
本発明の無機繊維集合体の嵩密度は、0.05〜0.5g/cmであることが好ましく、0.06〜0.4g/cmであることがより好ましく、より好ましくは0.08〜0.20g/cmである。嵩密度が低すぎると脆弱な無機繊維成形体しか得られず、また、嵩密度が高すぎると無機繊維成形体の嵩密度が増大するとともに反発力が失われ、靭性の低い成形体となる。
本発明の無機繊維集合体の面密度は、400〜5000g/m、特に600〜4000g/m、とりわけ800〜3500g/mであることが好ましい。この無機繊維集合体の面密度が小さ過ぎると、繊維量が少なく、極薄い成形体しか得られず、断熱用無機繊維成形体としての有用性が低くなり、面密度が大き過ぎると繊維量が多すぎることにより、ニードリング処理による厚み制御が困難となる。
本発明の無機繊維集合体の厚さは、好ましくは2〜35mm程度である。
本発明の無機繊維集合体の引張強度は、特段の制限はないが、25mm幅のサンプルの引張強度を測定した場合、通常5kgf以上であり、好ましくは7kgf以上、特に好ましくは10kgf以上である。無機繊維の引張強度が5kgf以上であることにより、無機繊維集合体としての、使用する際のハンドリング強度がある点で好ましい。上限には特段の制限はないが、25kgf以下であることが好ましい。
本発明の無機繊維集合体の嵩密度0.4g/cmでの面圧は、特段の制限はないが、通常250KPa以上であり、好ましくは400KPa以上、特に好ましくは500Pa以上である。無機繊維の引張強度が250KPa以上であることにより、無機繊維集合体の反発力を利用した施工に適する点で好ましい。上限には特段の制限はないが、1000KPa以下であることが好ましい。
<無機繊維成形体>
本発明の無機繊維成形体には、特に制限はないが、本発明の無機繊維集合体を折りたたんだり、重ねたりし無機繊維成型体としてもよい。この場合には、PPバンドや金具等、所定の方法で結束させることができる。このことにより断熱材としての施工がしやすくなる点で好ましい。
また、本発明の無機繊維や本発明の無機繊維集合体に有機バインダーや、無機バインダーを添加して、無機繊維成型体としてもよい。この場合には、無機繊維を解繊させて、バインダーや溶媒を混ぜてスラリー状にしても良く、また無機繊維集合体に直接バインダーを含浸させてもよい。これらの方法により、無機繊維成型に所定の固さ、可撓性、形状を持たせることができる。
<製造方法>
次に、本発明に関する無機繊維の製造方法について説明する。
[紡糸工程]
ゾル−ゲル法によりアルミナ/シリカ系繊維のマット状集合体を製造するには、まず、塩基性塩化アルミニウム、珪素化合物、増粘剤としての有機重合体及び水を含有する紡糸液をブローイング法で紡糸してアルミナ/シリカ繊維前駆体の集合体を得る。
[紡糸液の調整]
塩基性塩化アルミニウム;Al(OH)3−xClは、例えば、塩酸又は塩化アルミニウム水溶液に金属アルミニウムを溶解させることにより調製することができる。上記の化学式におけるxの値は、通常0.45〜0.54、好ましくは0.5〜0.53である
珪素化合物としては、シリカゾル、水ガラス、シリコーン化合物、アルコキシシラン類、シロキサン類、ケイ酸塩類等を適宜しようすることができるが、その中でも、水溶性珪素化合物であることが好ましく、水溶性シリコーンオイルが、焼成後の珪素を均一に分散させるため特に好ましい。
増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド−ポロプロピレンオキシド共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、糖類、セルロース化合物等が挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子化合物が好適に用いられる。
紡糸液には、水の他、アルコール等の有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、アミド化合物等が挙げられる。
紡糸液中のアルミニウムの濃度が160g/L未満の場合又は有機重合体の濃度が20g/L未満の場合は、何れも、紡糸液の適当な粘度が得られずに得られる無機繊維の繊維径が細くなる。すなわち、紡糸液中の遊離水が多すぎる結果、ブローイング法による紡糸の際の乾燥速度が遅く、延伸が過度に進み、紡糸された前駆体繊維の繊維径が変化し、所定の平均繊維径で且つ繊維径分布がシャープな短繊維が得られない。しかも、アルミニウムの濃度が160g/L未満の場合は、生産性が低下する。有機重合体とは、一般的に増粘材のことを、表し、シリコーン化合物類や、アルコキシシラン類等の珪素化合物は含まない。
一方、アルミニウムの濃度が210g/Lを超える場合又は有機重合体の濃度が50g/Lを超える場合は、何れも、粘度が高すぎて紡糸液にはならない。紡糸液中のアルミニウムの好ましい濃度は170〜200g/Lであり、有機重合体の好ましい濃度は20〜40g/Lである。
上記の紡糸液は、塩基性塩化アルミニウム水溶液に上記Al:SiO比となる量の硅素化合物と有機重合体を添加し、アルミニウム及び有機重合体の濃度が上記の範囲となるように濃縮することによって調製される。
[紡糸]
紡糸(紡糸液の繊維化)は、通常、高速の紡糸気流中に紡糸液を供給するブローイング法によって行われ、これにより、無機繊維前駆体が得られる。上記の紡糸の際に使用する紡糸ノズルの構造は、特に制限はないが、例えば、エアーノズルより吹き出される空気流と紡糸液供給ノズルより押し出される紡糸液流とは並行流となり、しかも、空気の並行流は充分に整流されて紡糸液と接触する構造のものが好ましい。具体的には、特許第2602460号公報に記載されている構造が挙げられる。
また、紡糸に際しては、先ず、水分の蒸発や紡糸液の分解が抑制された条件下において、紡糸液から充分に延伸された繊維が形成され、次いで、この繊維が速やかに乾燥されることが好ましい。そのためには、紡糸液から繊維が形成されて繊維捕集器に到達するまでの過程において、雰囲気を水分の蒸発を抑制する状態から水分の蒸発を促進する状態に変化させることが好ましい。
無機繊維前駆体の集合体は、紡糸気流に対して略直角となるように金網製の無端ベルトを設置し、無端ベルトを回転させつつ、これに無機系繊維前駆体を含む紡糸気流を衝突させる構造の集積装置により連続シート(薄層シート)として回収することができる。この薄層シートを積み重ねて、無機繊維前駆体の集合体を得ることができる。
[ニードリング処理工程]
紡糸により得られた無機系繊維前駆体の集合体は、次いでニードリング処理を施してもよい。ニードリング処理により、得られる無機繊維集合体を構成する無機繊維同士が絡んだ、強固な無機繊維集合体となるだけでなく、無機繊維集合体の厚みを調整することも可能となる。ニードル密度は適宜選択して決定すればよいが、中でも2〜200打/cm、更には2〜150打/cm、とりわけ2〜100打/cm、特に2〜50打/cmであることが好ましい。このニードル密度が低過ぎると、無機繊維成形体としての厚み均一性や耐熱衝撃性が低下する等の問題が生ずる恐れがある。逆に高過ぎても、繊維を傷め、焼成後に収縮し易くなる恐れや繊維が飛散しやすくなる恐れがある。
[焼成工程]
無機繊維前駆体の焼成は、必要に応じて乾燥処理を施した後、焼成される。焼成温度は、通常500℃以上、好ましくは700℃〜1400℃の温度で行う。500℃よりも低い場合は、結晶化や有機重合体の焼成除去が不十分なため、強度が低い脆弱な繊維しか得ることができない。焼成温度が1400℃を超えると、繊維中の結晶の粒子成長が進行して、強度の低い繊維しか得ることができない。
また、焼成中の雰囲気は、水蒸気を多く含んだ雰囲気にするほうが良い。水蒸気を焼成雰囲気に含ませることで、前駆体溶液中の塩化物を塩化水素として、効率良く除去することができる。また水蒸気を含んだ雰囲気にする好ましい温度は限定的であり、800℃以上が好ましく、800℃〜850℃が最も好ましい。800℃以下では、前駆体中でAl、Si原子等と強固に結合したClを除去することができず、850℃以上では、無機繊維中の細孔が閉気孔となるため、水蒸気を添加する効果が限定的になり、繊維内部の塩素原子を除去しにくくなる。
たとえば、無機繊維もしくは、無機繊維集合体に酸化物前駆体含有液を含浸させた後に、乾燥及び/又は焼成させることで、無機繊維成型体としてもよい。この場合は、焼成後の酸化物添着量が含浸部無機繊維100質量部に対して2〜50質量部となるように調整することが望ましい。添着量が少ない場合は、所望の物性が得られない場合がある。逆に多すぎると、熱収縮率の悪化や耐熱衝撃性、耐機械衝撃性の低下が見られる場合がある。
この酸化物前駆体含有液の酸化物前駆体としては、焼成によりアルミナ、スピネル、ジルコニア、チタニア、カルシア及びマグネシアを生成する群から選ばれる1種又は2種以上を含むものが好ましく用いられる。またこれらは、水酸化物、塩化物、酢酸化物、乳酸化物、硝酸化物、ゾルを含む。
特にカルシアやマグネシアの酸化物前駆体溶液を使用した場合は、無機繊維成形体の耐スケール性が向上し、チタニアの酸化物前駆体溶液を使用した場合は、無機繊維成形体の輻射率が向上する点で好ましい。
無機繊維もしくは、無機繊維集合体を解繊し、そこへ溶媒や各種バインダー等を添加してスラリー状にしてもよい。これらをスラリー状で使用しても良いし、脱水成形を施して、セラミックファーバーモジュールとしてもよい。
無機繊維もしくは、無機繊維集合体に有機バインダーを含浸、もしくは添着させてもよい。また有機バインダーを用いることで、繊維の飛散を防ぐことができる。添着厚みや添着量を調整することで、厚み、可撓性、反発量等を調整することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例等において得られた無機繊維成形体の各種物性や特性の測定、評価方法は、以下の通りである。
[Cl濃度測定]
試料(無機繊維)10mgに燃焼装置(三菱化学株式会社製 AQF−2100N)を使用し酸素気流中で完全に燃焼し、発生したガスを2.7mM NaCO − 0.3mM NaHCO水溶液に吸収させ、分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 DX−500)によりイオンクロマトグラフ分析を実施し、無機繊維中のCl残渣を測定した。
[単繊維 引張強度]
アルミナ/シリカ系繊維を、1mm各のダイヤモンド基板上に載せて、島津製作所製微小圧縮試験機 MCTM−500にて、直径50μmの平面圧子を用いて、破壊荷重を測定した。破壊荷重より引張強度を求め、5点の引張強度の平均値を算出して、繊維の引張強度とした。
[引張強度]=2×[破壊強度]/([円周率]×[繊維径]×[繊維長])
[YI値]
得られた無機繊維を以下の条件でYI値を測定した。YI値が2以下を合格とし、2より高い場合を不可とした。YI値は、得られた繊維を、すり鉢にて細かく粉砕した後、分光色分計(製品名:CM−700d コニカミノルタ製)にて、試験品の裏側に白色板を置き、JIS Z 8722に基づき試験品の、分光反射率および三刺激値 XYZxyを測定した。その後JIS K 7373に基づき試験品の黄色度 YI値を求めた。測定条件は、C光源、SCE(de:8°)、視野角2°とした。白色版単体の三刺激値は、X=83.26、Y=85.50、Z=97.87であった。
[繊維集合体 引張強度]
得られた無機繊維集合体を、25mm幅に切り取り、万能試験機にて、無機繊維集合体の両端を固定し、100mm/minのスピードで、破壊されるまで引っ張り、最大荷重を求め、3点の平均値を算出して、集合体の引張強度とした。
[繊維集合体 面圧]
得られた無機繊維集合体を、50mm角に切り取り、万能試験機にて1mm/minのスピードで所定の嵩密度になるまで圧縮した。嵩密度 0.2、0.3、0.4g/cmの部分の荷重を求め、試験片面積で割り、それぞれの嵩密度での面圧値とした。3点測定し、平均値を、集合体の面圧値とした。
[実施例1]
塩基性塩化アルミニウム(アルミニウム含有量70g/L、Al/Cl=1.8(原子比))水溶液に、水溶性シリコーンオイルを、最終的に得られるアルミナ繊維の組成がAl2O3:SiO2=95:5(質量比)となるように加え、更に、ポリビニルアルコールを加えた後、濃縮して、粘度40ポイズ、アルミナ・シリカ含量約30質量%の紡糸液を調製し、該紡糸液を用いてブローイング法で紡糸した。
これを集綿積層し、このマット状繊維集合体にニードル密度3打/cm2以上にてニードルパンチを実施しアルミナ/シリカ系繊維前駆体のマット状繊維集合体を得た。表1で示すように、電気炉にて、大気条件化で800℃まで60分かけて昇温し、その後、電気炉内へ流入する空気を水中に通過させることで、水蒸気を多く含んだ空気に切り替え、800℃で60分間保持し、アルミナ/シリカ系の繊維集合体を得た。
得られたアルミナ/シリカ系繊維中のAlとSiOの含有量は、表2で示すように、それぞれ95重量%と5重量%であった。得られた繊維集合体において、上記の測定項目の結果を表2に示す。
[実施例2及び比較例1−6]
実施例1と同様に得られた、アルミナ/シリカ系繊維前駆体のマット状繊維集合体を、表1で示す焼成条件で焼成し、アルミナ/シリカ系の無機繊維集合体を得た。得られた繊維集合体において、上記の測定項目の結果を表2に示す。
なお、比較例2〜4は昇温条件3の後は保持せずに室温に戻した。
Figure 2016011479
Figure 2016011479

Claims (5)

  1. Alが91〜99重量及びSiOが1〜9重量%であり、かつClが2500ppm以下であることを特徴とする無機繊維。
  2. 塩基性塩化アルミニウム及び珪素化合物を含有する紡糸液を紡糸して無機繊維前駆体を得た後に、該無機繊維前駆体を焼成することにより得られる無機繊維であって、該珪素化合物が水溶性珪素化合物である、請求項1に記載の無機繊維。
  3. 前記水溶性珪素化合物が水溶性シリコーンオイルである、請求項2に記載の無機繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機繊維を有する無機繊維集合体。
  5. 請求項4に記載の無機繊維集合体を含有する無機繊維成形体。
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